JPH0748440B2 - 薄膜磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッドの製造方法

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JPH0748440B2
JPH0748440B2 JP63232178A JP23217888A JPH0748440B2 JP H0748440 B2 JPH0748440 B2 JP H0748440B2 JP 63232178 A JP63232178 A JP 63232178A JP 23217888 A JP23217888 A JP 23217888A JP H0748440 B2 JPH0748440 B2 JP H0748440B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、パーマロイ磁性薄膜を有する薄膜磁気ヘッド
の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
磁気ヘッド、位置検出センサー、速度計等に用いられる
磁性薄膜材料としては、多種多様なものが知られてい
る。例えば81Ni−19Feの合金組成を有するパーマロイ薄
膜は、小さい保磁力と高周波領域において高い透磁率を
示すもので、薄膜磁気ヘッド等の高速スイッチング素子
用磁性材料として、広く使用されている。
その一例として、第2図(a)に示すような断面構造を
有する誘導型薄膜磁気ヘッドがある。セラミック基板1
上に、ギャップ膜3、絶縁膜6を介して、下部パーマロ
イ膜2と上部パーマロイ膜4が形成されている。なお、
5は導体膜であり、7は保護膜である。そしてこれら下
部及び上部パーマロイ膜2、4の磁気特性は、薄膜磁気
ヘッドの特性を著しく左右する。一般に磁性薄膜に要求
される特性としては、まず、組成変動のないことと、保
磁力小であることが挙げられるが、良好なヘッド特性を
得るためには、磁性薄膜のFe組成を段差部で平坦部と比
べ、±0.2wt%Fe以内にその差を抑える必要があると同
時に、磁性薄膜の磁化困難軸方向の保磁力を1.0Oe以下
に抑える必要がある。
このような磁性薄膜の形成は、スパッタリングによるこ
とが多く、バイアススパッタ法、イオンビームスパッタ
法、プラズマスパツタ法等が用いられている。しかし、
いずれも一長一短があり、薄膜が均一に安定して形成し
難かったり、薄膜形成速度が遅かったり、薄膜形成雰囲
気中の残留ガス、例えば酸素等の活性な不純物ガスの影
響で保磁力が高くなる等の問題点を有していた。
そこで、近時、特開昭52−112797号等のように高周波ス
パッタ法やマグネトロンスパッタ法により磁気ヘッドの
磁性薄膜を製造することが行なわれている。マグネトロ
ンスパッタ法は、ターゲット表面に平行な磁界を印加す
ることにより、ターゲットから放出される高速電子を偏
向させ、基板衝突による基板加熱等の悪影響を抑制する
と同時に、アルゴンガスのイオン化に積極的に利用する
方法である。そのため、5×10-3Torr程度の低アルゴン
ガス圧下でも、ホトレジスト等の有機絶縁膜上に高速で
膜を形成することができ、薄膜磁気ヘッド用磁性膜形成
法として最も適したスパッタ法といえる。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来技術は、軟磁気特性を有する磁性薄膜が凹凸の
ある基板上に形成されることについて配慮されておら
ず、凹凸の段差部では平坦部と比較して組成、例えばFe
組成が異なるという問題があった。
すなわち、通常のマグネトロンスパッタ法で放電が持続
する限界である1×10-3Torrのアルゴンガス圧下で、タ
ーゲット電位が700V未満でスパッタを行なっても、膜厚
1μm以上のパーマロイ膜の保磁力は、段差部で1.0Oe
以下とならず、また、段差部でのFe組成も平坦部と比較
して0.7wt%ぐらいFeが少なくなってしまう。
それ故薄膜磁気ヘッド用磁性膜として使用可能な保磁力
1.0Oe以下の薄膜を、凹凸のある基板上に安定して形成
することができないという問題があった。
本発明の目的は、段差のあるところに、低保磁力で、均
一な組成の磁性薄膜を形成することのできる薄膜磁気ヘ
ッドの製造方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、本発明の薄膜磁気ヘッドの
製造方法は、ベルジャー内に基板を配設し、ベルジャー
内に不活性ガスを流入し、所定の真空度に設定し、プラ
ズマ状にイオン化した不活性ガスを、陰極であるターゲ
ットに衝突させ、飛び出したターゲットの構成粒子を基
板上に堆積させて磁性薄膜を形成するときに、ベルジャ
ー内の真空度とターゲットへの印加電圧を相互に制御
し、ベルジヤー内の真空度を1.0×10-3Torrを越える状
態で放電を開始し、基板上への磁性薄膜の形成時には、
真空度を1.0×10-3Torrより小さな圧力とし、かつ、タ
ーゲットに700V以上の電位を印加したまま放電を持続さ
せ、段差を有する磁性薄膜の成分組成が均一なパーマロ
イ磁性薄膜を製造するようにしたものである。
パーマロイ膜等をスパッタ法で形成する場合、膜の保磁
力及び透磁率に影響を及ぼす因子として、例えばアルゴ
ンガス圧力、ターゲット電位、到達真空度がある。保磁
力を小さくするためには、到達真空度を良くし、アルゴ
ンガス圧力を装置の能力範囲内でなるべく低くすること
が望ましい。
そのため、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法は、例え
ばマグネトロンスパッタ法で、上記のようにベルジャー
内の真空度とターゲットへの印加電圧を相互に制御して
スパッタを行なう。それによって、放電が安定して持続
し、組成が均一な磁性薄膜が得られる。
〔作用〕
前述の如く、パーマロイ膜等をスパッタ法で形成する場
合、膜の保磁力及び透磁率に影響を及ぼす因子として、
例えばアルゴンガス圧力、ターゲット電位、到達真空度
がある。保磁力を小さくするためには、到達真空度を良
くし、アルゴンガス圧力を装置の能力範囲内でなるべく
低くすることが望ましい。
これは、スパッタリング中に膜中に吸蔵される活性な不
純物ガス(例えば、酸素)の量がアルゴンガス圧力の減
少に伴って少なくなるため、不純物ガスによる磁気特性
の劣化が防止されるからである。また、膜の透磁率を向
上させるためにはスパッタリング時のターゲット電位を
高くする必要がある。
上記のマグネトロンスパッタ法による磁性薄膜の製造方
法では、陰極となるターゲットの電位を700V以上となる
ように制御し、かつ、1×10-3Torr以下のアルゴンガス
圧下で放電させるため、薄膜形成時における不純物ガス
の影響を著しく軽減することが可能である。
〔実施例〕
以下、図面を用いて本発明の一実施例を説明する。
第1図は、本発明に用いるマグネトロンスパッタ装置の
概略構成を示す図である。第1図において、ベルジャー
(真空室)10は、磁界をつくるためのヘルムホルツコイ
ル16でその回りを取り囲まれている。ベルジャー10内に
は陰極となるターゲット17が、永久磁石13の上に配設さ
れている。ターゲット17に対向し空間を介して陽極とな
る基板12が配置してある。さらに、ベルジャー10の内側
上部には基板12を加熱するためのヒータ15が取り付けて
ある。ベルジャー10の下部には、主排気ポンプ連絡口11
aを介してベルジャー内を真空にするための主排気ポン
プ(図示せず)が連結する一方、不活性ガスを導入する
ためのガス導入口14が接続している。この導入口14の他
端は、ガスの流量を制御するガス流量コントローラ8と
連結している。そしてガス流量コントローラ8に継がれ
るガス管の途中にはガス管を開閉するための電磁弁9が
設けてある。また、ターゲット17と基板12のなす空間に
位置するよう、シャッター18が、ベルジャー10内に設け
てある。このシャッター18は、プリスパッタのとき、基
板12に不純物が被着しないようにするものである。
この装置において、第2図に示す誘導型薄膜磁気ヘッド
用下部パーマロイ膜2(17.5Fe−Ni)、上部パーマロイ
膜4を形成する方法を詳述する。まず、洗浄済のセラミ
ック基板1をベルジャー10内の所定の場所に設置し、主
排気ポンプ11により1×10-5Torrまで排気する。その
後、セラミック基板1をヒータ15により、350℃まで加
熱するとともに、ベルジャー10内の残留ガスを排出す
る。ベルジャー10内のガス圧が1×10-7Torrに達した時
点でセラミック基板1の温度を250℃まで降下させる。
所定の時間250℃で保持した後、ベルジャー10内のガス
圧が5×10-3Torrになるようにガス流量コントローラ8
のポテンショダイヤルを調整し、アルゴンガスをガス導
入口14から導入する。また、第3図に示すように、ベル
ジャー10の下側にバリアブルオリフィス20を介して主排
気ポンプ11が連結している。このバリアブルオリフィス
20は、ベルジャー10内のアルゴンガス圧力を調整するた
めの絞りであって、ベルジャー10内の圧力を測る圧力計
19の値に応じ、圧力コントローラ21により、無段階状に
コントロールされる。この圧力コントローラ21を使用し
てガス導入口14から導入したアルゴンガス圧力を無段階
状にコントロールするわけであるが、その前に、ターゲ
ット17表面を清浄化するため、セラミック基板1表面に
膜が被着しないようにシャッター18を閉じたままでプリ
スパッタを行なう。この時、電源23を介して、ターゲッ
ト電極22に800Vのターゲット電位を印加して、アルゴン
ガス圧力を圧力コントローラ21により、徐々に10-4Torr
台にコントロールし、5×10-4Torrになった時点で800V
のターゲット電位を維持しながら、シャッターを開き、
本スパッタを開始し、約2μm厚さの下部パーマロイ膜
2を形成する。
その後、従来と同様にRF2極スパッタリング法でアルミ
ナのギャップ膜3を0.5μmの厚さに形成し、絶縁膜6
としてポリイミド樹脂を回転塗布法により3μmの厚さ
に形成し、ホトレジスト法で所望の形状とし、Cuの導体
膜を2μmの厚さに所望の形状に形成し、さらに絶縁膜
6をその上に回転塗布法で7μmの厚さに形成する。
上部パーマロイ膜4を2μmの厚さに前記と同じ方法で
形成し、ついで従来と同様に20μm厚のアルミナの保護
膜7をRF2極スパッタ法で形成し、以下従来と同様にし
て薄膜磁気ヘッドを形成した。
この例では、第2図に示すようにターゲット電位を800V
維持した際には、段差中央部のB点でも平坦なA、C点
と同様のFe組成を有するパーマロイ膜を得ることができ
た。これに対し、同様の実験をターゲット電位500Vで確
認すると段差中央部のB点で平坦なA、C点と比較して
約0.5〜1.0wt%Feが少なくなる。
薄膜磁気ヘッドのような積層構造を有するデバイスの場
合、他の層から磁性膜(この場合パーマロイ膜(Ni−F
e))に及ぼす応力が複雑となるため、磁性膜そのもの
の磁歪定数が零近傍になるよう、組成を高精度にコント
ロールする必要がある。しかも高速磁化反転を必要とす
るため、磁性膜そのものの保磁力を極力小さくする必要
がある。これらを実現するためには、ガス圧力を10-4To
rr台とし、しかもその際のターゲット電位を700V以上と
する必要があることが分かった。
上述した本実施例のように、放電しやすいアルゴンガス
圧力下で一旦放電を励起させると、その後アルゴンガス
圧力を低下させても放電は安定的に持続することが確認
できた。
なお、本実施例においては、高透磁率磁性材料からなる
磁性薄膜として、Fe−Ni合金(パーマロイ)膜を形成す
る場合について述べたが、Fe−Ni−Mo、Fe−Al−Si、Fe
−B、Fe−C、Co−Ti、Co−Nb−Zr、Co−Ta−Zr等の高
透磁率材料の薄膜を形成する場合についても実験したと
ころ、同様の結果が得られた。
また、本実施例においては、誘導型薄膜磁気ヘッドにつ
いて述べたが、磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドについて
も同様の効果が確認できた。
〔発明の効果〕
本発明によれば、不純物活性ガスの少ない状態で安定し
て放電が持続でき、段差部での組成変動が少ない、低保
磁力の磁性膜を再現性よく製造することができる。本発
明によって製造した薄膜磁気ヘッドは従来より再生出力
が向上した。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に用いるマグネトロンスパッタ装置の一
例の概略を示す構成図、第2図は誘導型薄膜磁気ヘッド
の一例を示す断面図並びにFe組成及び保磁力と測定位置
の関係を表わす図、第3図は本発明に用いるマグネトロ
ンスパッタ装置の一例の概略構成図である。 1……セラミック基板、2……下部パーマロイ膜 3……ギャップ膜、4……上部パーマロイ膜 5……導体膜、6……絶縁膜 7……保護膜 8……ガス流量コントローラ 9……電磁弁、10……ベルジャー 11a……主排気ポンプ連絡口 11……主排気ポンプ、12……基板 13……永久磁石、14……ガス導入口 15……ヒータ、16……ヘルムホルツコイル 17……ターゲット、18……シャッター 19……圧力計 20……バリアブルオリフィス 21……圧力コントローラ、22……ターゲット電極 23……電源、24……電圧計 25……制御用コンピュータ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ベルジャー内に基板を配設し、該ベルジャ
    ー内に不活性ガスを流入し、所定の真空度に設定し、プ
    ラズマ状にイオン化した上記不活性ガスを、陰極である
    ターゲットに衝突させ、飛び出した該ターゲットの構成
    粒子を上記基板上に堆積させ磁性薄膜を形成する薄膜磁
    気ヘッドの製造方法において、上記ベルジャー内の真空
    度と上記ターゲットへの印加電圧を相互に制御し、上記
    ベルジャー内の真空度を1.0×10-3Torrを越える状態で
    放電を開始し、上記基板上への磁性薄膜の形成時には、
    上記真空度を1.0×10-3Torrより小さな圧力とし、かつ
    上記ターゲットに700V以上の電位を印加したまま放電を
    持続させ、段差を有する磁性薄膜の成分組成が均一なパ
    ーマロイ磁性薄膜を形成することを特徴とする薄膜磁気
    ヘッドの製造方法。
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