JPH0746301Y2 - 遊技機における外枠の設置角度調整装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案はパチンコ機に代表され
る遊技機において、その外枠の設置角度を調整する装置
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】パチンコ機を使用する各種の遊技機にお
いて、機体をなす外枠は一般に木製であって縦長方形の
枠状に組立てられ、遊技主体部を有する前枠がこの外枠
の前側で開閉可能に取付けられている。このような外枠
を使用した遊技機は、その実施状態として、ゲームホー
ル内の各設置枠台（通称島）毎に縦向きに配列されて遊
技に供される。そして、各列毎の全台のパチンコ遊技機
においては、その外枠が所要の傾斜角度で設置されて、
これに前枠側全体が組付けられることから、遊技面が後
方へ傾けた状態に保持され、これがむしろ正常で適正姿
勢とされている。

【０００３】上述した遊技機の傾きについて、当業界で
は設置枠台に載置される外枠の垂直状態を基準に観て、
上端を後方へどれだけ変位させるかの前提において、そ
の変位量を「何分何厘」とも称し、これに基づいて全体
の傾きを設定している。そして、例えば「１分又は５
厘」の変位量に基づく傾きが変化された場合、それだけ
でゲーム状態つまり遊技面内におけるパチンコ球の遊動
状態ひいては入賞状況等に大きな影響を及ぼし、相当な
変化や差異を生ずる。それだけに遊技機全体を適正とさ
れる所要の傾きに設定して固定保持することが重要とな
り、また希求されているところでもある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】前述した背景にあっ
て、従来より一般的に行なわれている遊技機の傾き設置
については、当該設置枠台毎において紐状材を水平に張
り渡して基準出し線とし、これに設置枠台に設置した各
外枠の位置を整合したもとで、角度測定器を使用して傾
き角度を設定する。そして、外枠の上杆部と下杆部とを
設置枠台の上板と下受け板とに夫々釘止め固定してい
る。しかし、このような設置態様では、精確な基準出し
及び測定をしたとしても、釘打ち時における強い衝撃に
より、外枠が変更することがある。このため再度におけ
る外枠の微動調整、測定、釘の打直し等が必要となり、
その作業に手間が掛かるとともに、相当な熟練が要求さ
れる。

【０００５】本考案の目的は、前述した課題を解決すべ
く提案されたもので、設置枠台に設置される外枠を所要
の傾斜角度に設定して長く安定に固定化保持し得るとと
もに、設置以後において別の所要傾斜角度に変更調整す
る場合、簡単な操作で手早く精確になし得るようにした
設置角度調整装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案は、先に述べた課
題を克服するとともに、所期の目的を達成するための技
術手段として、遊技機用の設置枠台に所要の傾斜角度を
以て固定されるとともに、遊技主体部を装備する前枠を
組付け支持するための外枠において、外枠の下部を構成
するための下枠部材について、水平底板をなす下枠杆部
と、垂立前板をなす支持枠杆部と、水平上辺をなす補強
板部及び左右の連結板部を合せて一体に合成樹脂成形さ
れる一方、この下枠部材の左右両側に成形された角度調
整機構について、下枠杆部の前後方向へ横長にして貫通
された長孔と、この長孔の側縁に沿った同方向に亘り下
枠杆部の上面に形成されて多数の歯を有する位置決め用
の係止部とを備え、前記角度調整機構において、係止部
に対して別成形された固定部材を１つの歯毎の変位調整
により所定位置に噛合係止し、この部材に挿通された止
めねじを長孔から前記設置枠台の下受け板にねじ込んで
固定部材を位置決め固定して、下受け板に対して下枠部
材を所定位置に固定保持し得るようにしたものである。

【０００７】

【作用】まず、外枠を設置枠台に対して所要の傾斜角度
で設置する場合では、外枠の下端前縁を設置枠台の下受
け板の所定位置に合わせたもとで、上端側を後方へ変位
させて所要傾斜角度に設定して設置枠台の上板に固定す
る。次いで外枠の下端前縁を下受け板の所定位置に対し
て精確に基準位置合わせする。このもとで外枠の下枠部
材に成形された角度調整機構における位置決め用の係止
部に対して固定部材を基準位置に合わせ、この固定部材
に挿入した止めねじを下受け板側にねじ込んで強固に固
定する。これにより外枠は、その下枠部材が下受け板に
位置決め固定されて傾き設置される。

【０００８】そして、前述のように設置された外枠を別
の傾斜角度に変更調整する場合には、まず、前記止めね
じを少し緩めて係止部に対し固定部材を一旦係合解除す
る。次いで、外枠の下部側を前方又は後方へ適宜移動さ
せて、固定部材に対する下枠部材の相対的変位関係を確
認しながら所定の傾き位置に決定する。以後は、止め ね
じを下受け板側に再度ねじ込んで固定部材を係止部に固
定し直すことにより、固定部材によって下枠部材が強固
に位置決め固定されて、外枠全体が傾き設置される。

【０００９】

【実施例】以下、本考案に係る遊技機における外枠の設
置角度調整装置の一実施例を図面を参照して説明する。

【００１０】本実施例の外枠１については、上枠杆部２
と左右両枠杆部３，４と後述する下枠部材５とから縦長
方形の枠状に組立てられている。上枠杆部２と両枠杆部
３，４は木製であり、互いに釘により接合されている。
上枠杆部２と左右の枠杆部３，４との間の接合部分には
それぞれ補強金具６，７が取着され、上枠杆部２と左枠
杆部３との間の補強金具６には上側開閉支持ピン６ａが
挿着されている。

【００１１】外枠１の下部を構成する前記下枠部材５は
水平底板をなす下枠杆部８と、この下枠杆部８の前縁で
垂直に立ち上がる支持枠杆部９と、この下枠杆部８及び
支持枠杆部９の左右両端部に連設されて垂直に立ち上が
る一対の連結板部１０とからなり、それらがともに合成
樹脂により連設状態で一体に成形されて、全体が木製の
場合以上に強化されている。この下枠部材５は左右の枠
杆部３，４の下端部間に嵌め込まれる。これにより、下
枠杆部８が上枠杆部２と平行に対向する下底部に位置さ
れる一方、支持枠杆部９が外枠１の前側に位置され、ま
た左右の連結板部１０が左右の枠杆部３，４の下端部の
内側に重合されて複数のタッピングビス１１により固定
連結されている。

【００１２】上記支持枠杆部９の上端部には水平な補強
板部１２が左右の連結板部１０間にわたり形成され、こ
の補強板部１２上には右枠杆部４側寄りに前枠１４のた
めの案内滑座部１２ａが形成されている。また、左枠杆
部３に連結される連結板部１０の付近で補強板部１２上
には下側開閉支持部１３が突設され、前枠１４がこの下
側開閉支持部１３と前記上側開閉支持ピン６ａとにより
外枠１の前側で開閉及び着脱可能に支持されている。外
枠１に対し前枠１４を閉じた場合、前枠１４の下面が補
強板部１２上の案内滑座部１２ａの上面に直接当接し、
この結果前枠１４側全体は水平状態で適正な高さに安定
保持される。

【００１３】前述した合成樹脂成形製の下枠部材５にお
いて、下枠杆部８の左右両側には下記に詳述する一組の
角度調整機構Ｓが設けられている。この角度調整機構Ｓ
において、下枠杆部８には長孔１５が下枠杆部８の前後
方向に貫設されているとともに、この長孔１５の左右両
側で位置決め用の係止部としての係止帯１６が長孔１５
に沿って形成され、この係止帯１６上には多数の歯１６
ａが係止帯１６の延びる方向へ並設されている。そし
て、夫々の機構Ｓでは、下枠部材５の固定用部材とし
て、別成形された固定部材１７を使用し、この部材１７
の下面の左右両側に歯１８が並設されて、両係止帯１６
の歯１６ａと噛合するようになっている。そして、この
固定部材１７及び長孔１５には固定部材１７の上方から
止めねじ１９が挿通されて、設置枠台の下受け板Ａにね
じ込み得るようになっている。

【００１４】また、この係止帯１６に隣接して下枠杆部
８の上面には調整表示手段としての目盛２０が付されて
おり、これに対して固定部材１７の側端にはこの目盛２
０に対する指針２１が形成され、固定部材１７と下枠杆
部８との間の相対位置関係が読めるようになっている。
なお、前述の下枠部材５において、下枠杆部８と支持枠
杆部９との間の連設補強リブや、下枠杆部８等に形成さ
れる孔等については、図示省略している。

【００１５】このような外枠１を機体とする遊技機は、
その実施状態として、ゲームホール内の設置枠台（通称
島）に外枠１が固定されたもとで縦向きに配列されて遊
技に供し得る。すなわち、外枠１は設置時において前枠
１４側と一旦組外された状態にある。このもとで、図５
に部分的に示されるように、まず設置枠台の下受け板Ａ
上に載せて、下枠部材５の下端前縁（下枠杆部８と支持
枠杆部９との連接稜縁）を下受け板Ａの所定位置に合わ
せる。次いで、外枠１全体を所要傾斜角度に測定して後
方へ傾斜させ、上枠杆部２を設置枠台の上板（図示しな
い）に釘の打込みにより固定する。

【００１６】そして、外枠１の下端部を精確に調整固定
すべく、前記下枠部材５の下端前縁を下受け部材Ａ上の
所定位置に精確に整合させ、このもとで双方の角度調整
機構Ｓにより下枠部材５を固定する。つまり、図３に例
示されるように、夫々の固定部材１７について、指針２
１を目盛２０の例えば「０」点位置に基準合わせして、
係止帯１６に対し互いの歯１６ａ，１８を介して位置決
め噛合させる。そして、止めねじ１９を固定部材１７及
び長孔１５に挿入しながら下受け板Ａに深くねじ込み、
固定部材１７を上から強く締付けて下枠杆部８を直接押
圧固定する。これにより、外枠１全体が所要傾斜角度で
固定保持され、以後はこの外枠１に前枠１４側が組付け
られる。

【００１７】前述のように設置された外枠１を別の設置
角度に変更する場合には、まず止めねじ１９を少し緩め
て係止帯１６の歯１６ａと固定部材１７の歯１８との噛
合を解除し、外枠１の下枠部材５を前後いずれかの所要
方向に微動させる。これにより、前記設置枠台の下受け
板Ａにねじ込まれたままの止めねじ１９に位置決めされ
ている固定部材１７に対し、下枠杆部８がその長孔１５
を介して相対的に移動される。この移動調整について
は、固定部材１７の指針２１が示す下枠杆部８上の目盛
２０を見て行い、指針２１に対して、前述した数値
「０」点基準合わせの状態から数値「１〜４」のいずれ
かの点に変更整合させる。これにより外枠１の傾斜角度
が決定される。

【００１８】そして、前述のように外枠１を角度設定し
た以後は、前記止めねじ１９を再び強く締付けることに
より、固定部材１７が係止帯１６に対して変位部位で再
び強固に噛合固定される。これにより、固定部材１７に
対する下枠杆部８の微動が阻止されて、外枠１の全体が
設置枠台に対し所定設置角度で確実に位置決めされる。
なお、外枠１の設置角度の変更調整に伴い、外枠１に組
付けられる前枠１４の遊技面の角度も変化する。

【００１９】本実施例においては、このようにして外枠
１の設置角度を調整できるので、その調整作業が大変容
易になるとともに、外枠１の位置決めも確実になる。さ
らに、角度調整機構Ｓにおいてその長孔１５、係止帯１
６及び目盛２０を、合成樹脂成形製の下枠部材５の下枠
杆部８に一体成形したため、部品点数を少なくして角度
調整機構Ｓの構造が簡単になる。

【００２０】なお、本考案はパチンコ機以外の遊技機に
おける外枠に対しても勿論実施できる。

【００２１】

【考案の効果】本考案に係る遊技機における外枠の設置
角度調整装置によれば、設置枠台に設置される遊技機の
外枠を所要の傾斜角度で強固に設置して長く安定に固定
化保持できる。そして、外枠の設置角度の調整及び位置
決めが簡単かつ精確に行い得るので、その作業に高度な
熟練を不要にして手早く楽に行うことができる。特に、
本考案の設置角度調整装置では、外枠の合成樹脂成形製
の下枠部材において、装置自体の主体部である角度調整
機構を下枠杆部に一体成形しているので、下枠部材と共
通に成形製作することができると共に、この下枠部材単
位で取扱い得、実質的な構成部品を別成形の固定部材だ
けにして、装置全体の構成を極めて簡単にかつコンパク
トにまとめて安価にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本実施例にかかるパチンコ機の外枠を示す組
立斜視図である。

【図２】 同じく外枠の分解斜視図である。

【図３】 この外枠の下部を構成する下枠部材に設けた
角度調整機構を示す一部切欠き部分平面図である。

【図４】 図３のＸ−Ｘ線断面図である。

【図５】 図１のＹ−Ｙ線部分拡大断面図である。

【符号の説明】

１ 外枠、２ 上枠杆部、３ 左枠杆部、４ 右枠杆
部、５ 下枠部材、８ 下枠杆部、９ 支持枠杆部、１
０ 連結板部、１２ 補強板部、１５ 長孔、１６ 係
止帯、１６ａ 歯、１７ 固定部材、１８ 歯、１９
止めねじ、Ｓ 角度調整機構、Ａ 設置枠台の下受け
板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 遊技機用の設置枠台に所要の傾斜角度を
   以て固定されるとともに、遊技主体部を装備する前枠
   （１４）を組付け支持するための外枠（１）において、外枠（１）の下部を構成するための下枠部材（５）につ
   いて、水平底板をなす下枠杆部（８）と、垂立前板をな
   す支持枠杆部（９）と、水平上辺をなす補強板部（１
   ２）及び左右の連結板部（１０，１０）を合せて一体に
   合成樹脂成形される一方、この下枠部材（５）の左右両
   側に成形された角度調整機構（Ｓ）について、下枠杆部
   （８）の前後方向へ横長にして貫通された長孔（１５）
   と、この長孔（１５）の側縁に沿った同方向に亘り下枠
   杆部（８）の上面に形成されて多数の歯（１６ａ）を有
   する位置決め用の係止部（１６）とを備え、 前記角度調整機構（Ｓ）において、係止部（１６）に対
   して別成形された固定部材（１７）を１つの歯（１６
   ａ）毎の変位調整により所定位置に噛合係止し、この部
   材（１７）に挿通された止めねじ（１９）を長孔（１
   ５）から前記設置枠台の下受け板（Ａ）にねじ込んで固
   定部材（１７）を位置決め固定して、下受け板（Ａ）に
   対して下枠部材（５）を所定位置に固定保持し得るよう
   にした ことを特徴とする遊技機における外枠の設置角度
   調整装置。