JPH0745901B2 - 自動車の歯車変速機用ロツク式同期装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、切替スリーブが案内スリーブ上に相対回転不
能にかつばねリングを予圧縮しながら軸方向に摺動可能
に設けられ、切替スリーブが空転ホイールの対応する切
替歯部に係合する切替歯部と、同期リングの外側円錐部
と協働する半径方向内向きの円錐面を備え、同期リング
が周方向において対称的に分配された半径方向内方へ突
出する複数の爪を備え、この爪が空転ホイールの幅広の
歯間隙に係合し、この歯の間隙が空転ホイールの切替歯
部の間において１個または複数の歯を切除することによ
って形成され、同期リングが空転ホイールの歯間隙内で
制限的に回転可能である、空転ホイールと固定ホイール
からなる自動車の歯車式変速機ためのロック式同期装置
に関する。

〔従来の技術〕

この種類のロック式同期装置は西独国特許出願公告第20
59218号公報によって知れている。この場合、案内スリ
ーブは駆動軸に固定されている。案内スリーブの外歯部
には、切替スリーブの同心的な内側の切替歯部が係合
し、切替歯部は相対回転不能にかつ案内スリーブの方へ
軸方向に摺動可能である。切替スリーブの切替歯部は長
手方向に摺動する際に、連結すべき空転ホイールの環状
突起に形成された対応する切替歯部に係合する。しか
し、空転ホイールは前もって、間に設けられた同期リン
グによって切替スリーブと同期される。この同期リング
の外側円錐部は切替スリーブの内側円錐部に摩擦結合す
る。同時に、半径方向内方に向いた同期リングの突起部
は、空転ホイールの環状突起に形成された対応する凹部
に係合する。切替スリーブと同期リングの摺動運動に対
してばねリングが反作用する。このばねリングが突起部
の内側へ開放した環状溝に挿入され、環状突起の円錐状
内周面に弾性的に支持されている。

この同期装置の場合には、円錐状周面を備えた環状突起
のために必要な全体幅が大きいという欠点がある。更
に、歯部を製作した後で、突起部を収容するために、深
くて寸法が正確な凹部とポケットを空転ホイールに穿設
しなければならない。これにより、製作が困難でコスト
がかかる。

〔発明の目的〕

本発明の課題は、上記のようなロック式同期装置の全体
幅を狭めることと、その製作を簡単にすることである。

〔発明の効果〕

この課題は、同期リングがその長手方向摺動時に、その
爪の円錐形内周面によってばねリングを半径方向に圧縮
し、爪の両側に係止面が形成され、この係止面が、空転
ホイールの切替歯部の歯間隙を画成する歯に形成され
た、対応して傾斜した偏向面と協働し、ばねリングが空
転ホイールの切替歯部の軸方向後方に形成された環状溝
内で半径方向内方へ移動可能に設けられ、遠心力による
ばねリングの拡径が爪への当接によって制限されること
によって解決される。

〔発明の効果〕

ばねリングが同期リングに形成された爪の円錐状で先細
の内周面によって圧縮されると、空転ホイールの環状突
起の円錐状内周面は不要となる。従って、この空転ホイ
ールは狭く形成することができる。空転ホイールは簡単
に製作可能である。なぜなら、ばねリングを案内するた
めの環状突起に、環状溝が外側から穿設されるからであ
る。この環状溝内で、ばねリングが横方向の遊びをもっ
て半径方向に弾性的に移動可能である。浸食加工によっ
て製作される凹部は不要である。歯間隙は歯切りのとき
に一緒に形成される。

〔発明の好ましい実施態様とその効果〕

右側または左側の挿入位置で切替スリーブを負荷下で錠
止するため、および変速位置の飛び越しを回避するため
に、切替歯部と案内スリーブの外側歯部との間のかみ合
い角度α1,α２は適当に異なるように定められている。
このような錠止装置は西独国特許第2523953号公報に記
載されている。この錠止位置は本発明との組み合わせて
使用すると、非常に好都合である。なぜなら、空転ホイ
ールのと切替スリーブの切替歯部の後方支持が不要であ
るからである。

〔実施例〕 本発明の実施例が図に示してある。以下、この実施例に
ついて説明する。

自動車の歯車変速機の駆動軸１には、案内スリーブ２が
内側の伝動歯部３によって相対回転不能にかつ軸方向に
も移動不能に固定されている。更に、案内スリーブ２は
外歯部４を備えている。この外歯部には、切替スリーブ
すなわち制御スリーブ６の内側の切替歯部５がかみ合っ
ている。中央の切替歯部５の両側において切替スリーブ
６には、環状部分７が形成されている。この環状部分の
内側円錐部８は、切替スリーブ６が案内スリーブ２上を
左方または右方へ軸方向摺動するや否や、同期リング10
の外側円錐部９と磨擦結合的に協働する。同期リング10
の内周には、対称的に分配配置された６個の爪11が形成
されている。この爪は左側の空転ホイール13と右側の空
転ホイール14に取り付けられた環状突起15の歯間隙12に
挿入可能である。爪11の内周面16は切替スリーブ６に向
かって狭くなっている。爪の内周面にはばねリング17が
予圧縮されて接触している。ばねリング17は環状突起15
に外側から穿設された環状溝18の中で半径方向に移動可
能に案内されている。

切替スリーブ６が左側の係合位置の方へ移動すると、先
ず円錐面を介して同期リング10と摩擦結合される。同期
リング10は一緒に回転駆動され、その爪11の狭い範囲19
は回転によって、環状突起15の切替歯部20の、歯間隙12
を画成する歯に当たる。同時に、狭い範囲19と広い範囲
22の間の接続領域として形成された爪11の係止面21は空
転ホイール13の環状突起15の偏向面23に当たる。それに
よって、空転ホイール13と切替スリーブ６の間で回転数
の一致が行われない間は、切替スリーブ６の連結が阻止
される。切替スリーブ６がこの軸方向位置にあるときに
は、同期リング10がばねリング17によって軸方向で錠止
される。このばねリングは爪11の内周面16に形成された
溝24に形状補完的に係合している。

回転数が一致するや否や、偏向面23と係止面21の間で軸
方向に作用する、切替力と反対向きの係止力が低下す
る。従って、切替スリーブ６は完全挿入位置まで摺動可
能である。そのために、先ずばねリング17が溝24から出
され、爪11の円錐状内周面16を介して半径方向に更に圧
縮される。この圧縮は、左側に示す端位置に達し、空転
ホイール13と切替スリーブ６の連結が達成されるまで行
われる。切替スリーブ６をこの位置に固定保持し、変速
位置を飛び越さないようにするために、切替歯部５と案
内スリーブ２の外歯部を適当に形成することによって、
係止力が切替スリーブ６に加えられる。この係止力は回
転モーメント負荷のときに有効である。そのために、第
３図では切替スリーブ６の切替歯部５のかみ合い角度α
１が案内スリーブ２の外歯部４のかみ合い角度α２より
も大きくなっている。すなわち、α１はほぼ15゜に等し
く、α２は約12゜に等しい。更に、案内スリーブ２の外
歯部４には両側に向かって、約15〜35゜の角度α３で傾
斜部25が形成されている。西独国特許第2523953号明細
書に詳細に記載されているように、ギアを入れるとき
に、切替スリーブ６の切替歯部５の切替開始斜面27の交
差縁26と前記傾斜部25との間に、作動個所Ｂが生じる。
これにより、後方支持部を形成すること、すなわち切替
スリーブ６の切替歯部と空転ホイール13の環状突起５に
逆向きの傾斜部を形成することが回避される。この傾斜
部は製作技術的に面倒でコストがかかる。

ギアチェンジするときに、同期リング10は半径方向に予
圧縮されたばねリング17によって初期位置に押し戻され
る。同期リング10の軸方向の戻りを制限するために、案
内スリーブ２の外歯部４の基礎円直径28は、爪11の内面
を画成する最小の直径29よりも大きくなっている。

【図面の簡単な説明】

第１図はロック式同期装置の構成要素の斜視図、第２図
は切替スリーブが中央の中立位置と一点鎖線で示した係
合位置にあるロック式同期装置の縦断面図、第３図は切
替歯部と案内スリーブの外側歯部のかみ合い角度を示す
図である。 ２……案内スリーブ、６……切替スリーブ、８……円錐
面、９……外側円錐部、10……同期リング、11……爪、
12……歯の間隙、13……空転ホイール、15……切替歯
部、16……内周面、17……ばねリング、23……偏向面

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】切替スリーブ（６）が案内スリーブ（２）
   上に相対回転不能にかつ軸方向に摺動可能に設けられ、
   この切替スリーブおよび案内スリーブと同軸に、同期リ
   ング（10）と空転ホイール（13）が設けられ、切替スリ
   ーブ（６）が空転ホイール（13）の対応する切替歯部
   （20）に係合する切替歯部（５）と、同期リング（10）
   の外側円錐部（９）と協働する円錐面（８）を備え、同
   期リング（10）が周方向において対称的に分配された半
   径方向内方へ突出する複数の爪（11）を備え、この爪が
   空転ホイール（13）の幅広の歯間隙（12）に係合し、こ
   の歯間隙が空転ホイール（13）の切替歯部（20）の間に
   おいて１個または複数の歯を切除することによって形成
   され、同期リング（10）が空転ホイール（13）の歯間隙
   （12）内で制限的に回転可能である、自動車の歯車式変
   速機のためのロック式同期装置において、ばねリング
   （17）が空転ホイール（13）の切替歯部（20）の軸方向
   背後に形成された環状溝（18）内で半径方向内方へ移動
   可能に設けられ、同期リング（10）がその長手方向摺動
   時に、その爪（11）の円錐形内周面（16）によってばね
   リング（17）を半径方向に圧縮し、爪（11）の両側に係
   止面（21）が形成され、この係止面が、空転ホイール
   （13）の切替歯部（20）の歯間隙（12）を画成する歯に
   形成された、対応して傾斜した偏向面（23）と協働する
   ことを特徴とするロック式同期装置。
2. 【請求項２】切替スリーブ（６）がモーメント負荷の下
   で、その切替歯部（５）と両側が傾斜した案内スリーブ
   （２）の外側歯部（４）との間の異なるかみ合い角度
   （α1,α２）を適当に定めることによって、その都度の
   左側または右側の係合位置で軸方向に錠止可能であるこ
   とを特徴とする、特許請求の範囲第１項記載のロック式
   同期装置。
3. 【請求項３】同期リング（10）の爪（11）が軸方向に段
   差が付けられて、狭い範囲（19）と広い範囲（22）を備
   え、係止面（21）が爪（11）の幅の異なる両面（19,2
   2）の間の接続領域として形成されていることを特徴と
   する、特許請求の範囲第１項試合のロック式同期装置。
4. 【請求項４】案内スリーブ（２）の外側歯部（４）の基
   礎円直径（28）が、爪（11）の内側を画成する最小の直
   径（29）よりも大きくなっており、それによって同期リ
   ング（10）の軸方向戻し運動が、案内スリーブ（２）に
   対する爪（11）の当接によって制限されることを特徴と
   する、特許請求の範囲第１項記載のロック式同期装置。
5. 【請求項５】切替スリーブ（６）の切替歯部（５）の端
   面側の連結斜面（27）と空転ホイール（13）の互いに等
   しい傾斜角度が、爪（11）の係止面（21）と空転ホイー
   ル（13）の偏向面（23）の互いに等しい傾斜角度と異な
   っており、この傾斜角度が容易な連結と確実な係止のた
   めに互いに別々に最適化可能であることを特徴とする、
   特許請求の範囲第１項または第３項記載のロック式同期
   装置。
6. 【請求項６】切替スリーブ（６）が中央の中立位置にあ
   るときに、ばねリング（17）が爪（11）の内周面（16）
   に形成された溝（24）に形状補完的に係合していること
   を特徴とする、特許請求の範囲第１項記載のロック式同
   期装置。