JPH0745589Y2 - 床下地用緩衝材 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 集合住宅等の中高層建築物における床下地と、床板等の
床材との間に介在させて床衝撃音が階下に伝わるのを低
減させる床下用緩衝材に関するものである。

〔従来技術とその問題点〕

従来、この種の床下用緩衝材としては「グラスウールマ
ットやロックウールマット等の繊維系の緩衝材」あるい
は「発泡ポリエチレンシートや発泡ゴムシート等の発泡
樹脂系の緩衝材」が用いられている。

このうち、前者の繊維質のものは繊維径が３〜５μのグ
ラスウールを見掛け比重0.04〜0.08のマットにしたもの
が主流であり、後者の発泡体によるものに比べると、 ＊発泡体の圧縮破壊のような永久歪が生じ難い。

＊緩衝材が圧縮されると、内部の空気が繊維の隙間を流
動して拡散されるので圧縮時の内部空気圧の上昇が小さ
くて衝撃力を伝え難い。

＊繊維がしなやかであり、床下地の不陸になじみ易い。

という利点を有する。

しかしながら、しなやかな細い繊維のみで形成されてい
るので厚さを増して使用すると圧縮歪みが大きくなって
床面が不安定になるという欠点があった。又、３〜５μ
という繊維径のグラスウールは曲げによって容易に折れ
を生じ易く、根太材等を緩衝材上に配すると表層の繊維
が根太を介した衝撃力で折れて復元力が低下してしまう
欠点がある。逆に繊維径を太くすると重量が大きくなる
と共に全体的に硬くなって衝撃力が伝わりやすいという
欠点が生じ、繊維径の調整で両者の欠点を克服するとい
う事は出来なかった。

〔目的〕

本考案はかかる従来例の問題点に鑑みてなされたもの
で、その目的とする処は、中空繊維を３次元の立体網目
状に絡ませたマットを用いる事により柔軟性を有し、か
つ弾性に富み復元力にすぐれた床下用緩衝材を提供する
にある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は上記問題点を解決するために； 床下地（１）と床板（２）等の床材（３）との間に介
在される繊維質の緩衝材（Ａ）であって、 繊維（４）の内部に繊維（４）の長さ方向に沿った中
空部（５）が形成された中空繊維（４）を３次元の立体
網目状に絡ませてマット状に集合させる。

という技術的手段を採用している。

〔作用〕 以上のように中空繊維（４）を３次元の立体網目状に
絡ませてマット状に集合させて形成してあるので、同一
の見掛け比重のマットでも太い繊維で構成されていて静
荷重に対しての変形が小さくて床面が安定している。

又、太い繊維（４）でも内部が中空であるので衝撃力
で急激な圧縮変形をする時には中空部（５）で断面形状
がつぶれるような変形を生じ、縦及び横圧縮による繊維
形状の変形がスムーズになって衝撃力を吸収することが
できる。即ち、床に普通の荷重が加っている時にはあま
り床面が沈み込まず、床に衝撃力が加った時には、中空
部（５）の変形で柔軟に曲げ変形を生じて衝撃エネルギ
ーを吸収するようになっている。

床板（２）の下面に貼って直貼り施工する場合には繊
維（４）の外径が太いので、接着力が増して床板（２）
の下面や下地（１）からの剥離も少なく、固着力にも優
れている。

〔実施例〕

以下、本考案を図示実施例に従って詳述する。第１図は
本考案に係る床下地用緩衝材（Ａ）の一実施例で、例え
ばナイロン，ポリプロピレン，ポリエステル，カーボン
繊維等の合成繊維で、例えば繊維径が100μのものは直
径が30μの円形中空部（５）を有するもので、３次元の
立体網目状に絡ませて集合してマット状にしてある。繊
維（４）同士の結合は、バインダーや熱融着で行われ
る。床下地用緩衝材（Ａ）は全てが前記中空部（５）を
有する繊維で構成しても良いし、又、中空部（５）を有
する繊維（４）と中空部を有さない中実体の繊維（４）
とを混合して構成しても良い。

使用繊維（４）は通直なものよりも曲がりを生じた捲縮
繊維にしたものが絡み合い分で中空部（５）の曲げによ
る押しつぶし変形が生じ易くなり、衝撃吸収性および下
地へのなじみが良くて好ましい。

第２図は捲縮状態の繊維の絡み合い状態を示す例示図
で、前述のように中空部（５）を有しているので同じ重
量でも太さ及び外表面が大きくされているので、硬さや
剛さを具備しつつ、しかもその復元性も大きいものであ
る。第３図（ａ）は中空繊維（４）の縦圧縮前の状態で
あり、同図（ｂ）は縦圧縮後の状態である。又、第４図
（ａ）は中空繊維（４）の横圧縮前の状態であり、同図
（ｂ）は横圧縮後の状態である。いずれも中空部（５）
の存在により中空部をもたない同じ大きさの繊維に比べ
て圧縮，復元が容易である。又、繊維（４）を中空体に
する事により繊維マットの重量を大きくすることなく復
元力を大きくできるものである。

第６図は、本考案の使用例の一つで、床下地（１）上に
床下地用緩衝材（Ａ）を敷設し、その上にパーティクル
ボード（６）を敷設し、続いて合板（７）を敷設釘止め
し、最後に実結合しつつ化粧板（２）を敷設釘固定して
行く。

又、第５図は床下地用緩衝材（Ａ）と化粧床板（２）と
を例えばゴム系接着剤にて接着した複合床材（Ｂ）であ
り、第７図のようにこの複合床材（Ｂ）を直接床下地
（１）上に敷設して行っても良いし、図示していない
が、第６図の場合において床下地用緩衝材（Ａ）はパー
ティクルボード（６）との間に根太を介装しても良い
し、この緩衝材を前述のように単独で使う他、他の緩衝
材等と積層して組合せて使ってもよいことは言うまでも
ない。

〔効果〕

本考案は叙上のように、床下地と床板等の床仕上げ材と
の間に介在される繊維質の緩衝材であって繊維の内部に
繊維の長さ方向に沿った中空部が形成された中空繊維を
３次元の立体網目状に絡ませてマット状に集合させて形
成したものであるので、構成繊維は外径が太くて硬さや
剛さを具備しており、それ故、床に普通の静荷重が加っ
ている時には荷重担持力が大きくてあまり床面が沈み込
まないで床面安定性が高く、一方、床衝撃力が加った時
には中空部の変形で柔軟に曲げ変形を生じて衝撃エネル
ギーを吸収する事が出来るものである。換言すれば本考
案に係る床下地用緩衝材を構成する繊維は中空繊維であ
るので、同一の見掛け比重のものでも太い繊維で構成さ
れていて家具などの静荷重に対しての変形が小さくて沈
み込みを防止し床面を安定させることができ、又、太い
繊維でも内部が中空繊維で３次元の立体網目状に絡まっ
ているので衝撃力で圧縮変形をする時には、中空部で断
面形状がつぶれるような変形を生じ、縦圧縮の変形がス
ムーズになって衝撃力を吸収することができる。又、繊
維の横圧縮でも中空部のつぶれによる変形が生じて衝撃
力が吸収され、衝撃力の階下への伝達を減少させる事が
出来る。

更に、本考案に係る床下地用緩衝材を化粧床板下面に貼
って直貼り施工する場合には繊維の外径が太いので接着
力が増して化粧床板下面や床下地からの剥離も少なく、
固着力にも優れているという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図……本考案の床下地用緩衝材の一実施例の正面図 第２図……本考案の床下地用緩衝材に係る繊維の絡み具
合の例を示す拡大正面図 第３図（ａ）……本考案の床下地用緩衝材の縦圧縮前の
部分拡大斜視図 第３図（ｂ）……本考案の床下地用緩衝材の縦圧縮後の
部分拡大斜視図 第４図（ａ）……本考案の床下地用緩衝材の横圧縮前の
部分拡大斜視図 第４図（ｂ）……本考案の床下地用緩衝材の横圧縮後の
部分拡大斜視図 第５図……本考案の床下地用緩衝材と化粧床板との複合
床材の正面図 第６図……本考案の施工例を示す断面図 第７図……本考案の他の施工例を示す断面図 （Ａ）……床下地用緩衝材、（Ｂ）……複合床材 （１）……床下地、（２）……化粧床板 （３）……床材、（４）……繊維 （５）……中空部、（６）……パーティクルボード （７）……合板

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 三木 功 大阪府大阪市北区中之島２丁目３番18号 大建工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭48−24075（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−113451（ＪＰ，Ａ) 実開 昭62−7859（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】床下地と床板等の床材との間に介在される
   繊維質の緩衝材であって、繊維の内部に繊維の長さ方向
   に沿った中空部が形成された中空繊維を３次元の立体網
   目状に絡ませてマット状に集合させてなる床下地用緩衝
   材。