JPH0745194B2 - 光硬化性樹脂および三次元形状の形成方法 - Google Patents

光硬化性樹脂および三次元形状の形成方法

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JPH0745194B2
JPH0745194B2 JP63271315A JP27131588A JPH0745194B2 JP H0745194 B2 JPH0745194 B2 JP H0745194B2 JP 63271315 A JP63271315 A JP 63271315A JP 27131588 A JP27131588 A JP 27131588A JP H0745194 B2 JPH0745194 B2 JP H0745194B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、光硬化性樹脂および三次元形状の形成方法
に関し、詳しくは、光の照射によって硬化する光硬化性
樹脂と、この光硬化性樹脂を用いて立体的な三次元形状
を有する物品を成形製造する方法に関するものである。
〔従来の技術〕
光硬化性樹脂を用いて三次元形状を形成する方法は、複
雑な三次元形状を、成形型や特別な加工工具等を用いる
ことなく、簡単かつ正確に形成することができる方法と
して、各種の製品モデルや立体模型の製造等に利用する
ことが考えられており、例えば、特開昭62−35966号公
報,特開昭61−114817号公報等に開示されている。
一般的な三次元形状の形成方法を説明すると、液状の光
硬化性樹脂の液面にレーザービーム等の光を照射するこ
とによって、液面から一定深さの樹脂液が光硬化して光
硬化層が形成される。こうして一定の形状パターンに形
成された光硬化層を複数層積み重ねて一体化させること
によって、立体的な三次元形状が形成できるのである。
このような方法に用いる光硬化性樹脂は、光重合性オリ
ゴマー、光重合性モノマー、光重合開始剤等が混合され
たものであり、液状もしくは軟質状態の光硬化性樹脂に
光を照射すると、光の照射された部分のみが硬化するよ
うになっている。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記のような三次元形状の形成方法において、形状精度
の高い正確な三次元形状を有する成形品を形成するに
は、光硬化性樹脂が硬化するときの硬化収縮が出来るだ
け少ないことが要求される。すなわち、光の照射パター
ンを正確に制御したとしても、光照射によって硬化形成
された光硬化層が硬化収縮を起こして、所定の形状から
変形してしまっては、成形品の形状精度を向上させるこ
とは困難である。
ところが、従来一般に用いられている光硬化性樹脂は、
硬化時の収縮率がかなり高く、そのために形成された三
次元形状の寸法精度が低下するという問題があった。
そこで、光硬化性樹脂の硬化収縮を低減する方法とし
て、光硬化性樹脂に各種の収縮防止用充填剤を混合する
ことが考えられたが、何れも満足のいく結果を得られな
かった。
例えば、非反応性の可塑剤を用いることが考えられた
が、高分子量の可塑剤を用いると、光硬化性樹脂に溶解
するのが困難であったり、溶解しても粘度が高くなって
取り扱いが困難になる欠点があり、低分子量の可塑剤を
用いると、光硬化性樹脂が硬化反応を終了した後も軟ら
か過ぎて、三次元形状を保てなかったり、機械強度が低
下する欠点があり、可塑剤の使用は好ましくない。
また、プラスチックビーズを混入することも考えられ
た。プラスチックビーズは固くて変形し難いので、光硬
化性樹脂の収縮率を低減する効果はあるが、プラスチッ
クビーズは非常に固くてほとんど変形しないため、硬化
収縮する光硬化性樹脂との間に大きな残留応力が残って
しまう問題がある。このような大きな残留応力を残した
光硬化層もしくは成形品は、硬化の途中過程もしくは経
時的に残留応力が解放されることによって徐々に寸法変
化を起こしてしまうという欠点がある。
なお、光硬化性樹脂の用途としては、上記した三次元形
状の形成方法のほか、印刷用の型版や印刷回路用のレジ
スト材等があり、これらの用途においても、硬化収縮が
少ないことや残留応力による経時変形を起こさないこと
が要求される。
そこで、この発明の課題は、上記したような各種の用途
に用いられる光硬化性樹脂として、硬化収縮が少ないと
ともに残留応力も小さく、形成された光硬化物の寸法精
度を高め、経時変形を起こさないようにできるものを提
供することにある。また、複数層の光硬化層を積み重ね
て三次元形状を形成する方法において、成形品の形状精
度を向上できるとともに経時変形を起こさないようにで
きる方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題を解決する、この発明のうち、請求項1記載の
光硬化性樹脂は、中空粒子からなる充填剤が混入されて
いる。
請求項2記載の光硬化性樹脂は、ヤング率108dyne/cm2
以下のゴムビーズからなる充填剤が混入されている。
請求項3記載の光硬化性樹脂は、膨張性粒子からなる充
填剤が混入されている。
請求項4記載の三次元形状の形成方法は、光硬化性樹脂
に光を照射して光硬化層を形成し、この光硬化層を複数
層積み重ねて、所望の三次元形状を形成する方法におい
て、請求項1〜3の何れかに記載の光硬化性樹脂を用い
るようにしている。
〔作用〕
請求項1記載の光硬化性樹脂は、従来、硬化収縮低減用
の充填剤として用いられていた中実粒子の代わりに、あ
る程度の変形性を有する中空粒子を充填剤として混入し
ておくことによって、硬化収縮を少なくすると同時に残
留応力の発生を防止することができる。
請求項2記載の光硬化性樹脂は、ヤング率108dyne/cm2
以下のゴムビーズという、適度な固さと変形性を有する
材料からなる充填剤を混入しておくことによって、硬化
収縮を少なくすると同時に残留応力の発生を防止するこ
とができる。
請求項3記載の光硬化性樹脂は、膨張性粒子を充填剤と
して混入しているので、光硬化の際に、膨張性粒子に熱
線を照射するなどして光硬化性樹脂の硬化収縮量に見合
うだけ膨張させれば、全体の硬化収縮量を少なくするこ
とができるとともに、余分な残留応力が残ることもな
い。膨張性粒子の膨張率の制御は、膨張性粒子の種類や
混入量,加熱温度等によって制御することができ、必要
なだけの膨張量が得られる。
請求項4記載の三次元形状の形成方法は、請求項1〜3
記載の光硬化性樹脂を用いることによって、形状精度の
高い、正確な三次元形状を有する成形品が得られるとと
もに、経時後に寸法変化を起こすことがなくなる。
〔実 施 例〕
ついで、この発明の実施例について以下に詳しく説明す
る。
光硬化性樹脂としては、従来も各種用途に用いられてい
た通常の光硬化性樹脂で自由に実施できる。具体的に
は、例えば、光硬化樹脂3000シリーズ(商品名、株式会
社スリーボンド製)、フォートボンド#100,#300,#50
0(商品名、明星チャーチル株式会社製)、アデカウル
トラセット(商品名、旭電化工業株式会社製)等が挙げ
られる。
この発明では、このような光硬化性樹脂に、硬化収縮を
少なくするとともに残留応力の発生を防止できるような
充填剤を混入しておく。
充填剤としては、まず、中空粒子を用いることができ
る。中空粒子は、合成樹脂等を殻材として中空の球状等
に形成されたものであり、一般にはマイクロカプセル等
とも呼ばれているものである。中空粒子は適度な固さを
有するとともに、中実粒子に比べて変形性があるので、
光硬化性樹脂の硬化収縮を適度に抑えるとともに、中空
粒子がある程度の変形をすることによって、大きな残留
応力が残るのを防ぐことができる。また、中空粒子は軽
量であるので、光硬化性樹脂を光硬化させた硬化物の軽
量化にも有効である。具体的には、エクスパンセルDE
(商品名、日本フェライト株式会社製)が挙げられ、こ
の中空粒子は、殻材がビニリデンクロライドとアクリロ
ニトリルのコポリマーからなり、平均粒度が40μm、粒
径範囲10〜100μm、嵩比重0.02g/cm3以下、真比重0.04
g/cm3以下という性状を有している。また、マツモトマ
イクロスフェアー(商品名、松本油脂製薬株式会社製)
は、殻材がビニリデンクロライド共重合体からなり、粒
子径30〜80μm、比重0.02〜0.05、殻壁の厚み約0.2μ
mである。
中空粒子としては、上記のような合成樹脂からなるもの
のほか、無機材料からなるものも使用でき、例えば、ガ
ラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、カー
ボンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルー
ン、フェノールバルーン等が挙げられる。具体的には、
フィライト(商品名、日本フィライト株式会社製)があ
り、この中空粒子は、アルミナシリケートバルーンであ
って、粒子径30〜300μm、真比重0.7g/cm3、嵩比重0.4
g/cm3のものである。
つぎに、充填剤としては、ヤング率108dyne/cm2以下の
低ヤング率のゴムビーズを用いることができる。このよ
うなゴムビーズは、従来の合成樹脂や無機材料からなる
中実粒子に比べて、ある程度の変形が可能なため、光硬
化性樹脂に混入して光硬化させたときに、残留応力の発
生が少ないとともに、硬化収縮を防止する効果も十分に
ある。具体的なゴムビーズとしては、NBR微粉末やシリ
コーンゴム微粉末等が挙げられる。
充填剤として、熱線や紫外線の照射によって膨張する膨
張性粒子を用いることもできる。光硬化性樹脂を光照射
によって硬化させる際に、硬化用の光と同時に加熱用の
熱線等を照射することによって、光硬化性樹脂の硬化収
縮に見合う量だけ膨張性粒子を膨張させれば、全体とし
ての硬化収縮を完全に無くしたり、低く抑えたりするこ
とができるのである。また、膨張性粒子は、光硬化性樹
脂の硬化に合わせて徐々に膨張するので、残留応力の発
生も少ない。膨張性粒子の膨張量を光硬化性樹脂の硬化
収縮量に合わせて制御するが、膨張性粒子の膨張量もし
くは膨張率を制御するには、膨張性粒子の種類、混入
量、加熱温度等を適当に設定すればよい。
膨張性粒子のうち、加熱によって膨張する熱膨張性粒子
として、合成樹脂に膨張剤となるイソブタン等の低沸点
炭化水素を含有させたものが用いられる。具体的には、
未膨張エクスパンセルDU(商品名、日本フィライト株式
会社製)があり、膨張した後は、先に中空粒子の一例と
して挙げたエクスパンセルDEと同じものとなる。未膨張
時の性状は、平均粒径10μm、粒径範囲5〜30μm、嵩
比重0.7g/cm3、真比重1.3g/cm3、膨張温度80〜150℃で
あり、膨張率は体積で60倍まで膨張可能なものである。
また、マツモトマイクロスフェアーF−30(商品名、松
本油脂製薬株式会社製)は、材質が塩化ビニリデン共重
合体からなり、粒子径10〜20μm、最高膨張倍率約70
倍、殻壁の軟化温度75℃のものである。さらに、マツモ
トマイクロスフェアーF−50(商品名、松本油脂製薬株
式会社製)は、粒子径10〜20μm、最高膨張倍率(体
積)約20倍、殻壁の軟化温度100〜150℃である。
熱膨張性粒子としては、上記のように、低沸点のガス成
分を含有するもののほか、加熱によって分解ガスを発生
する発泡剤を合成樹脂粒子に含有させておき、この発泡
剤の分解ガスによって合成樹脂発泡体粒子を形成するも
のでも実施できる。発泡剤および合成樹脂としては、通
常の各種用途に用いられる発泡成形品を製造するための
材料が使用でき、具体的な発泡剤として、アゾジカルボ
ンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル(AIB
N)等が挙げられる。
膨張性粒子としては、上記のように加熱によって膨張す
る熱膨張性粒子のほか、紫外線等の光照射によって膨張
する光膨張性粒子も使用することができる。
以上に説明した光硬化性樹脂は、従来の光硬化性樹脂と
同様の各種用途に使用することができるが、光硬化性樹
脂に中空粒子等の充填剤を混入しておく場合には、充填
剤が光硬化性樹脂の中で沈降するのを防止して、充填剤
が光硬化性樹脂に均等に分散された状態で光硬化させる
ことが、光硬化性樹脂の全体の硬化収縮を均等に抑え
て、硬化収縮のバラツキや偏りがないようにするために
好ましい。充填剤を光硬化性樹脂に均等に分散させてお
くには、光硬化性樹脂を撹拌混合しておけばよいが、特
に、光硬化性樹脂に超音波振動を与えて、充填剤の沈降
を防ぎ、光硬化性樹脂内に均等に分散されるようにする
のが好ましい。
超音波振動を起こす超音波としては、通常の振動数が1.
6kHz以上で人に聞こえない程度の音波を超音波と呼んで
いるが、この発明のような、光硬化性樹脂の撹拌混合用
としては、一般の超音波洗浄用の超音波を発生する超音
波振動子を用いることができ、その周波数は10〜30kHz
程度で発振出力30〜300W程度のものが好適に用いられ
る。
つぎに、光硬化性樹脂の利用分野のうち、この発明の効
果を最も有効に発揮することのできる用途として、三次
元形状の形成方法がある。光硬化性樹脂による三次元形
状の形成方法の詳細については、前記した従来技術の説
明において説明した方法で実施できるほか、通常の各種
三次元形状の形成方法をそのまま適用することができ
る。
光硬化性樹脂による三次元形状の形成方法のうち、液状
の光硬化性樹脂を樹脂液槽に溜めておいて、その液面に
光を照射して所定パターンの光硬化層を形成する方法の
場合には、光硬化性樹脂液の中で、前記した充填剤が均
等に分散していることが重要であり、前記した超音波振
動を樹脂液槽に加えながら、光硬化による光硬化層の形
成を行うことが好ましい。
〔発明の効果〕
以上に説明した、この発明の請求項1〜3に記載の光硬
化性樹脂によれば、何れも光硬化性樹脂の硬化収縮を抑
えると同時に残留応力を小さくして、硬化形成された硬
化物の形状精度、寸法精度を向上し、経時後の寸法変化
を起こさないようにできる。
そのうち、請求項1記載の光硬化性樹脂は、軽量な中空
粒子を充填剤として混入しているので、形成された硬化
物の軽量化にも有効である。請求項2記載の光硬化性樹
脂は、低ヤング率のゴムビーズを充填剤として混入して
いるので、比較的簡単に製造できるとともに、充填剤の
固さを適当に制御できる。請求項3記載の光硬化性樹脂
は、光硬化性樹脂の硬化と同時に硬化収縮量に見合う量
だけ膨張させて、硬化収縮の防止および残留応力の低減
を図ることができるので、ほとんど硬化収縮のない精度
の高い硬化物を得ることができるとともに、残留応力も
極めて少なくなる。
また、請求項4記載の三次元形状の形成方法によれば、
硬化収縮が少なく残留応力の残らない請求項1〜3記載
の光硬化性樹脂を用いるので、形成された三次元形状の
寸法精度が極めて良好になり、経時後の変形も起こさな
くなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小澤 俊五 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−24126(JP,A)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中空粒子からなる充填剤が混入されている
    光硬化性樹脂。
  2. 【請求項2】ヤング率108dyne/cm2以下のゴムビーズか
    らなる充填剤が混入されている光硬化性樹脂。
  3. 【請求項3】膨張性粒子からなる充填剤が混入されてい
    る光硬化性樹脂。
  4. 【請求項4】光硬化性樹脂に光を照射して光硬化層を形
    成し、この光硬化層を複数層積み重ねて、所望の三次元
    形状を形成する方法において、請求項1〜3の何れかに
    記載の光硬化性樹脂を用いることを特徴とする三次元形
    状の形成方法。
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