JPH0744827Y2 - シンクロキーリテーナ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は常時噛み合い式ギアとそのギアが支持された回
転軸との間に取付けられたシンクロメッシュ機構に用い
られるシンクロキーリテーナに関する。

（従来の技術） 変速機やトランスファーでは互いに対向する一対のギア
が、所要時に、噛み合いあるいは分断状態に切り替え操
作される。

ここで用いられる、一対のギアはその切り替え操作時に
おいて、互いの噛み合いの切り替えをスムーズに行なう
べくシンクロメッシュ機構を装置したものが多い。

このシンクロメッシュ機構は、例えば、一方より他方の
回転軸に回転を伝える常時噛み合い式の一対のギアの内
の一方に取り付けられる。ここでは、回転軸に対して一
方のギアが枢支され、そのギアと回転軸とはシンクロメ
ッシュ機構を介して一体結合あるいは分断されるように
構成されている。

この種のシンクロメッシュ機構は第４図及び第５図に示
すように、回転軸１の端部のギア２に取付けられること
がある。この場合、、回転軸１と一体のハブ３のキー溝
に支持されたシンクロキー４は回転中心l1の方向におけ
る一方端がギア２と一体のクラッチギア５に対向され、
他方端はシンクロキーリテーナ６の外周縁側に対向され
る。このシンクロキーリテーナ６はその中央側にリテー
ナ回り止め凸部７を形成され、その周辺部分にキー倒れ
押え部８を形成されている。このリテーナ６はそのリテ
ーナ回り止め凸部７をハブ３の中央の凹部９に嵌合され
た上で、回転軸１に螺着されるナット10により締め付け
固定される。しかも、キー倒れ押え部８によりシンクロ
キー４の他方端の回転中心線l1より離れる方向への移動
を押えられるように構成されている。

（考案が解決しようとする課題） この様に従来のリテーナ６とハブ３とは、各シンクロキ
ー４の他方端に各キー倒れ押え部８を対向させると共に
凹部９にリテーナ回り止め凸部７を嵌合させる必要があ
る。

このため、ハブ３のキー溝と凹部９との相対的位置及び
リテーナ側の凸部７とキー倒れ押え部８との相対的位置
をそれぞれ所要位置精度の基に加工形成する必要があ
り、このためハブ及びリテーナのコスト高を招くという
問題がある。しかも、組立時にも相互の位置合わせに時
間が採られ問題となっている。

本考案の目的はハブの加工が容易化されるシンクロキー
リテーナを提供することにある。

（課題を解決するための手段） 上述の目的を達成するために本考案は、回転軸と一体回
転するハブの側面に設けられた回り止め手段に自身の回
り止め手段が係止された上で回転軸に螺着されるナット
により締め付け固定され、ハブの外周面に回転軸の軸心
に沿って設けられたキー溝に支持されるシンクロキーに
対設されたシンクロキーリテーナにおいて、シンクロキ
ーリテーナの半径方向におけるシンクロキーと対向する
位置に、シンクロキーの外端部に当接可能に設けられて
いるキー倒れ押え部が、軸心を中心として環状に連続形
成されたことを特徴とする。

（作用） キー倒れ押え部が回転軸の軸心を中心として環状に連続
形成されているので、ハブ側のシンクロキーに対してキ
ー倒れ押え部は常に適正位置を確保するようになる。

（実施例） 第１図のシンクロキーリテーナ20はカウンタシャフト21
の端部に取付けられている。

このカウンタシャフト21は第３図に示すように、クラッ
チ22に接続された変速機23のケーシング24内に枢着さ
れ、ここでは、入力軸25の回転を駆動ギア26に噛み合う
従動ギア30を介して受ける。更に、カウンタシャフト21
は受けた回転を各カウンタシャフト21側の変速ギア271,
272,…及び出力軸29側の変速ギア281,283,…を介して出
力軸29に伝える。出力軸29の回転は軸後端より図示しな
いプロペラシャフトに伝達されるように構成されてい
る。

ここで、変速ギア281と286の間、変速ギア282と283の
間、変速ギア284と駆動ギア26の間にはそれぞれシンク
ロメッシュ機構S1,S2,S3が配備され、これにより、各出
力軸29側の変速ギア281,283,…を選択的に出力軸29に一
体回転するように結合している。なお、符号276,286は
それぞれカウンタシャフト21及び出力軸29のリバースギ
アを示している。

更に、カウンタシャフト21の後端の変速ギア275と出力
軸29後端の変速ギア285とは常時噛み合い、カウンタシ
ャフト21と変速ギア275とはシンクロメッシュ機構S0を
介して互いが一体回転するように結合可能に形成されて
いる。

このシンクロメッシュ機構S0は他のシンクロメッシュ機
構が左右両側のギアを選択的に回転軸側に一体結合する
のに体して、片側、すなわち、前側の変速ギア275のみ
を回転軸に適時に一体的に結合するものである点で異な
る。

第１図に示すように、変速ギア275はカウンタシャフト2
1に回転軸に軸支され、その側部にはクラッチギア31が
一体結合されている。変速ギア275の隣にはハブ32が並
設され、ハブ32の隣にはシンクロキーリテーナ20が並設
され、これらはカウンタシャフト21に螺着されたナット
33により一体的に結合されている。

ハブ32はそのボス部がカウンタシャフト21にスプライン
結合され、外周縁にはハブスプライン321が形成され
る。しかも、第２図に示すように、外周縁には周方向に
等間隔でカウンタシャフト21の軸心に沿う３つのキー溝
34が形成されている。ハブスプライン321にはスリーブ3
7のスリーブスプライン371が噛み合っている。スリーブ
37はその外周部分に図示しない変速操作リンク系のシフ
トフォークが遊嵌する環状溝372が形成され、スリーブ
スプライン371の中央にはシンクロキーの押圧端352が突
入可能な切り込みが形成されている。

各キー溝34にはシンクロキー35がそれぞれ嵌着されてい
る。各シンクロキー35は支持端351と押圧端352とを備え
る。支持端351はハブ32の左右面に支持された一対の拡
径方向に弾性力を発するばね39,39により外方（回転中
心線l1に対して放射方向）に向け、押圧されている。

押圧端352は変速ギア275側の側面をシンクロリング38の
側面に接離可能に対設され、他側面にはリテーナ20の外
周縁201が当接されている。

ここで、リテーナ20は金属のプレス成形品であり、概略
皿状を呈する。これはカウンタシャフト21に貫通される
中央穴202と、キー倒れ押え部としての環状押え壁203
と、中央側の回り止め部としての係止凸部204と外周縁2
01とで構成されている。

中央穴202の周縁部分はナット33により押圧される部分
であり、その一部分に係止凸部204が形成される。他
方、ハブ32の中央側には回り止め手段としての凹穴36が
形成され、ここに係止凸部204が押し込み嵌入されるよ
うに構成されている。

環状押え壁203は回転中心線l1回りに環状に連続形成さ
れており、いずれの部分もシンクロキーの支持端351の
側端部が回転中心線l1より離れる方向への移動を押える
ように形成されている。

第１図のシンクロキーリテーナは組み付け時において、
ハブ32のボス上の凹穴36に対して、係止凸部204を対向
させ、その上でナット33を締め付け固定することによ
り、ハブ32側に一体的に固定される。このとき、３つの
シンクロキー35の支持端35の一側端はそれぞれ環状押え
壁203に的確に対設される。このため、従来のように、
組み付け時に各キーとキー倒れ押え部（第５図参照）と
の回転方向の位相合わせの必要が無く、組み付け作業が
容易に行なわれる。

しかも、このリテーナ20は従来のようにキー倒れ押え部
を打ち抜き加工により形成する必要が無く、プレス加工
のみで製造でき、コストの低減をも図り易い。

（考案の効果） 以上のように、本考案は、ハブとリテーナの回り止め手
段を互いに係止させるのみで、ハブ側のシンクロキーに
対してキー倒れ押え部を対設することが容易になされ、
しかも、リテーナ自体の加工が容易化される利点があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例としてのシンクロキーリテー
ナを変速ギアに取付けた場合の要部切欠断面図、第２図
は同上リテーナ及びハブの平面図、第３図は同上リテー
ナを装着した変速機の概略断面図、第４図は従来のシン
クロメッシュ機構で用いるリテーナの断面図、第５図は
第４図のリテーナ及びハブの平面図である。 20…シンクロキーリテーナ、21…カウンタャフト、203
…環状押え壁、204…係止凸部、32…ハブ、33…ナッ
ト、34…キー溝、35…シンクロキー、36…凹穴。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】回転軸と一体回転するハブの側面に設けら
   れた回り止め手段に自身の回り止め手段が係止された上
   で上記回転軸に螺着されるナットにより締め付け固定さ
   れ、上記ハブの外周面に上記回転軸の軸心に沿って設け
   られたキー溝に支持されるシンクロキーに対設されたシ
   ンクロキーリテーナにおいて、 上記シンクロキーリテーナの半径方向における上記シン
   クロキーと対向する位置に、上記シンクロキーの外端部
   に当接可能に設けられているキー倒れ押え部が、上記軸
   心を中心として環状に連続形成されたことを特徴とする
   シンクロキーリテーナ。