JPH0744817A - 薄膜磁気ヘッド及び磁気ディスク装置 - Google Patents

薄膜磁気ヘッド及び磁気ディスク装置

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JPH0744817A
JPH0744817A JP18812993A JP18812993A JPH0744817A JP H0744817 A JPH0744817 A JP H0744817A JP 18812993 A JP18812993 A JP 18812993A JP 18812993 A JP18812993 A JP 18812993A JP H0744817 A JPH0744817 A JP H0744817A
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宏 福井
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    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/127Structure or manufacture of heads, e.g. inductive
    • G11B5/31Structure or manufacture of heads, e.g. inductive using thin films
    • G11B5/3109Details
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 隣接トラックからのクロストークが小さい高
トラック密度用薄膜磁気ヘッドを提供する。 【構成】 下部磁気コアと上部磁気コアの記録媒体に対
向する面の形状を以下のように設定する。すなわち、一
方の磁気コアは幅が磁気コアの膜厚方向に略一定であ
り、他方の磁気コアは幅が磁気ギャップ近傍で略一定で
あり、磁気ギャップから離れるとともに広がる部分を有
し、後者の磁気コアの、幅が略一定である膜厚方向の長
さd1(μm)、幅が広がる部分にあたる磁気コアの側
面と磁気ギャップ面との成す角度θ(度)、上部及び下
部磁気コアの磁気ギャップに接する辺の長さの差d
2(μm)、上部及び下部磁気コアの磁気ギャップに接
する辺のうち短い方の長さと、磁気コアの最も広がった
幅との差d3(μm)が下記条件を満たすようにする。 θ≧15.5−34.4×d1+410×(d2/d34

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高トラック密度に適し
た磁気ディスク装置に係り、特に高トラック密度に適し
た磁気ディスク装置用の薄膜磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】図2に、従来の磁気ディスク装置に用い
られている薄膜磁気ヘッドの概略を示す。図2(a)は
断面図、図2(b)は磁気コアの記録媒体に対向する面
の形状を示す図である。従来の薄膜磁気ヘッドは、基板
6上に下部磁気コア2、磁気ギャップ層3、薄膜コイル
7、非磁性絶縁層8、上部磁気コア1及び保護膜9を順
次積層形成して構成される。10は記録媒体に対向する
面である。図2(b)に示すように、従来の薄膜磁気ヘ
ッドでは下部磁気コア2の幅が上部磁気コア1の幅より
広くなり、一般に、記録媒体に対向する磁気コア先端に
おいて、上部磁気コア1の磁気ギャップ3に接する辺4
cの長さと下部磁気コア2の磁気ギャップ3に接する辺
5cの長さに数μmの差が生じる。
【0003】磁気記録装置の高トラック密度化を実現す
るためには、磁気ヘッドのトラック幅加工精度の向上が
必要である。記録再生において有効なトラック幅は、下
部磁気コア2と上部磁気コア1の磁気ギャップ3を挾ん
で向かいあっている辺の長さTw(以下、トラック幅と
呼ぶ。)で決まる。図2に示す従来の薄膜磁気ヘッドで
は、トラック幅は上部磁気コア1の幅で決定される。と
ころが、上部磁気コア1は非磁性絶縁層8の斜面部の段
差直下に形成するため、レジストが厚くなりトラック幅
加工精度が悪くなる。また、上部磁気コア1は斜面部を
もつ非磁性絶縁層8の上に形成されるため、上部磁気コ
ア1の膜厚を下部磁気コア2の膜厚よりも厚くして記録
特性を向上している場合が多い。この場合、トラック幅
を膜厚の厚い上部磁気コア1の幅で決定すると、トラッ
ク幅を形成する精度の面で不利である。このような点か
らして、トラック幅は平坦部に形成される下部磁気コア
2で決める方が有利であり、膜厚の薄い下部磁気コア2
の幅でトラック幅を決めれば、トラック幅加工精度は一
層の向上が期待できる。そこで、トラック幅が下部磁気
コア2の幅でほぼ決定される種々の薄膜磁気ヘッドが提
案されている。
【0004】特開平2−68704号公報は、上部磁気
コアの側端部(トラック幅方向の端部)が磁気ギャップ
に対し傾斜し、かつ上部磁気コアの磁気ギャップに接す
る部分の幅と下部磁気コアの幅を揃えた薄膜磁気ヘッド
を開示している。また、特開平4−53012号公報及
び米国特許第5084957号明細書は、上部磁気コア
の側端部のうち磁気ギャップ近傍部分での幅が下部磁気
コアの幅と略同じである薄膜磁気ヘッドを開示してい
る。
【0005】以上の薄膜磁気ヘッドの側端部形状は、ク
ロストークを低減することを目的とするものでもある。
隣接トラックからのクロストークは、上部磁気コアと下
部磁気コアの幅を膜厚方向に一定にすると低減できるこ
とが知られている。例えばアイ・イー・イー・イー・トラン
ズアクション・オン・マグネティクス、第25巻、第5
号、3197〜3199頁に記載されているように、ト
ラック幅に対して余分な磁気コアの突出がなく、上部磁
気コアと下部磁気コアの側面のなす角度が大きいほど、
隣接トラックからのクロストークは低減される。
【0006】しかしながら、各々数μmの膜厚のある上
部磁気コアと下部磁気コアの幅を一定に高精度に加工す
るのは困難である。そこで、上述の薄膜磁気ヘッドのよ
うに、少なくとも磁気ギャップ近傍部分では上部磁気コ
アと下部磁気コアの幅を揃え、両磁気コアの側面のなす
角度を略180度にして、隣接トラックからのクロスト
ークを低減することが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】高トラック密度磁気記
録における記録ではトラック幅から横方向にはみ出るフ
リンジの大きさが問題になり、再生では隣接トラックか
らのクロストークの増大による信号対雑音比の低下が問
題となる。隣接トラックからのクロストークを低減する
には、基本的には特開平4−53012号公報で示され
た磁気コア形状が有効と考えられる。しかしながら、こ
の磁気コアの側端部形状は従来の磁気ヘッドに比べかな
り複雑である。
【0008】隣接トラックからのクロストークが大きく
なるのは、磁気コアのトラック幅より広がる余分な突出
部分があるためである。すなわち、隣接トラックからの
クロストークは、記録媒体に対向する磁気コア先端の側
端部形状に大きく依存する。特に、狭トラック幅ではト
ラック中央部分からの再生出力はトラック幅に略比例し
て低下する一方、トラック端部からの再生出力は変わら
ないいために、トラック端部の影響が顕著となる。した
がって、十分なクロストーク低減効果を持つ薄膜磁気ヘ
ッドを得るためには、磁気コア先端の側端部形状とクロ
ストークとの関係を考慮して磁気コア先端の側端部形状
を決めることが不可欠である。本発明の目的は、磁気コ
ア先端の側端部形状を隣接トラックからのクロストーク
を小さくするのに適切な形状にし、高トラック密度でも
信号対雑音比の良好な狭トラック幅の薄膜磁気ヘッドを
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明では、磁気コアの
側端部を所定の形状とすることによって前記目的を達成
する。すなわち、磁気ギャップを挟む下部磁気コアと上
部磁気コアの一方は、その幅が膜厚方向に略一定であ
り、他方の磁気コアは、その幅が磁気ギャップ近傍で略
一定であり、磁気ギャップから離れると磁気ギャップ近
傍よりも広い部分を有する薄膜磁気ヘッドにおいて、後
者の磁気コアの、幅が略一定である膜厚方向の長さd1
(μm)、幅が広がる部分にあたる磁気コアの側面と磁
気ギャップ面との成す角度θ(度)、下部磁気コアと上
部磁気コアの磁気ギャップに接する辺の長さの差d
2(μm)、下部磁気コアと上部磁気コアの磁気ギャッ
プに接する辺のうち短い方の辺の端部と磁気コアの幅が
最も広がった部分の縁部の間の磁気ギャップ面方向の距
離d3(μm)が下記条件を満たすようにする。 θ≧15.5−34.4×d1+410×(d2
34, 0.65>d2/d3≧0
【0010】上記条件は、下部磁気コアと上部磁気コア
の磁気ギャップに接する辺の長さが等しい場合(d2
0の場合)、磁気ギャップから離れると磁気コアの幅が
磁気ギャップ近傍よりも広い部分を有する方の磁気コア
で、磁気ギャップ近傍で磁気コアの幅が略一定となる部
分を有しない場合(d1=0の場合)、磁気コアの幅が
広がる部分にあたる側面と磁気ギャップ面が略平行とな
る場合(θ=0の場合)であっても成立し、それぞれ上
式より導かれる条件を満足する形状とすることにより隣
接トラックからのクロストークを小さくすることができ
る。
【0011】
【作用】隣接トラックからのクロストークが生ずる原因
は、隣接トラックの記録磁化からの磁束が、磁気コア先
端の媒体対向面の側端部から吸い込まれるためである。
したがって、磁気コアのトラック幅より広がる余分な突
出部分は、隣接トラックからのクロストークを大きくす
る原因となる。しかしながら、本発明者らは、計算機シ
ミュレーションによる検討によって、磁気コアの一部の
幅がトラック幅より広くても、磁気ギャップ近傍で磁気
コアの幅をトラック幅と略同じに保ち、磁気ギャップか
ら離れたところで磁気コアの幅が広がる部分を有する浮
上面形状とすれば、隣接トラックからのクロストークを
低減することができることを見出した。
【0012】図3に、磁気ヘッドのトラック幅方向での
磁界分布を示す。縦軸は磁気ギャップの中間での磁界で
あり、トラック中央の値で規格化してある。横軸はトラ
ック中央からのトラック幅方向への距離であり、トラッ
ク幅で規格化してある。破線は図2に示した従来の薄膜
磁気ヘッドの磁界分布、実線は上部磁気コアの磁気ギャ
ップ近傍部分の幅と下部磁気コアの幅を同じにした磁気
ヘッドの磁界分布を示している。前者の磁気ヘッドに比
べ、後者の磁気ヘッドはトラック幅の端まで強い磁界を
発生し、トラック幅の外側では急峻に磁界は減衰する。
後者の磁気ヘッドの発生する記録磁界は高トラック密度
に適している。また、後者の磁気ヘッドではトラック端
部での漏れ磁界が小さいことから、クロストークが低い
ことが予測される。
【0013】図4、図5及び図6は、計算機シミュレー
ションにより得られた隣接トラックからのクロストーク
と薄膜磁気ヘッドの磁気コア先端の側端部形状との関係
を示している。図4において横軸は、磁気ギャップ近傍
で上部磁気コアの幅が略一定である膜厚方向の長さd1
(以下、段高さと呼ぶ。)である。縦軸は隣接トラック
からのクロストーク量であり、段高さが0の時の値で規
格化してある。破線で示したのは、トラック幅より広が
る余分な突出部分のない磁気ヘッドのクロストーク量で
ある。段高さを高くすることによりクロストーク量は減
少する。段高さが0.5μm以上では、クロストーク量
の減少は段高さに対して略直線的になる。また、段高さ
を1.5μm以上に高くしても、さらに得られるクロス
トーク低減の効果はそれほど大きくはならない。
【0014】図5において横軸は、上部磁気コアの幅が
広がる部分にあたる側面と磁気ギャップ面との成す角度
θ(以下、広がり角と呼ぶ。)である。縦軸は隣接トラ
ックからのクロストーク量であり、広がり角が0度の時
の値で規格化してある。破線で示したのは、トラック幅
より広がる余分な突出部分のない磁気ヘッドのクロスト
ーク量である。広がり角を大きくすることによりクロス
トーク量は減少する。広がり角が15度以上では、クロ
ストーク量の減少は広がり角に対して略直線的になる。
また、広がり角を45度以上に大きくしても、さらに得
られるクロストーク低減の効果はそれほど大きくはなら
ない。
【0015】図6において横軸は、磁気ギャップに接す
る磁気コアの辺の長さの差d2である。縦軸は隣接トラ
ックからのクロストーク量であり、磁気ギャップに接す
る磁気コアの辺の長さの差が1.5μmの時の値で規格
化してある。ここで、磁気コアの磁気ギャップに接する
辺のうち短い方の長さと、磁気コアの最も広がった幅と
の差d3は1.5μm、段高さは0.5μm、広がり角
は0度である。磁気ギャップに接する磁気コアの辺の長
さの差を小さくすることにより、クロストーク量は減少
する。
【0016】磁気コアの示すクロストーク特性は、上記
の段高さ、広がり角及び磁気ギャップに接する磁気コア
の辺の長さの差の効果の組合せとなる。したがって、隣
接トラックからのクロストークを低減するには、ただ単
に磁気ギャップ近傍部分での上部磁気コアと下部磁気コ
アの側面のなす角度を略180度にするだけでは不十分
であり、磁気コアの側端部の全体形状を考慮することが
必要になる。上記のクロストーク特性の結果から磁気コ
アの側端部形状を最適化し、所定の範囲とすることによ
り、本発明は、従来型の薄膜磁気ヘッドよりも隣接トラ
ックからのクロストークが小さく、狭トラック幅に適し
た薄膜磁気ヘッドを実現するものである。
【0017】
【実施例】本発明の実施例を以下、図面に基づいて詳細
に説明する。図1に、本発明による薄膜磁気ヘッドの類
型を示す。図は、各薄膜磁気ヘッドの記録媒体に対向す
る面の形状を表し、1及び2はそれぞれ上部磁気コア及
び下部磁気コアを示す。また、3はアルミナ等セラミッ
ク材料からなる非磁性絶縁層で形成された磁気ギャップ
である。これらの磁気ヘッドは、例えば特開平2−68
704号公報や、特開平4−53012号公報に示され
る手法によって作成する。
【0018】〔実施例1〕図1(a)は、本発明による
薄膜磁気ヘッドの第1の実施例の説明図である。本実施
例の特徴は、下部磁気コア2の幅が膜厚方向に略一定で
あり、上部磁気コア1は、磁気ギャップ3近傍での幅が
膜厚方向に略一定となる部分4a及び磁気ギャップ3か
ら離れるとともに幅が広がる部分4bを有することであ
る。
【0019】本実施例では、下部磁気コア2の側面と上
部磁気コア1の磁気ギャップ3近傍の側面4aが、磁気
ギャップ3を挾んで略180度になっているので、隣接
トラックからのクロストークは小さくなる。また、上部
磁気コア1の側面4bを磁気ギャップ3に対し磁気ギャ
ップ3から離れる方向に傾斜させることによりクロスト
ークはさらに低減される。
【0020】図7に、隣接トラックからのクロストーク
特性を本実施例及び従来の薄膜磁気ヘッドで比較した結
果を示す。縦軸はクロストーク量であり、50kFCI
での再生出力に対する隣接トラックからの13kFCI
での再生出力の比である。横軸はトラック間隔である。
ヘッドAは従来の薄膜磁気ヘッド、ヘッドBは第1の実
施例で段高さd1が1.0μmのヘッドである。それぞ
れトラック幅は5μm、下部磁気コア2と上部磁気コア
1の磁気ギャップに接する辺のうち短い方の辺の端部
と、磁気コアの最も広がった幅との差d3は1.5μm
である。
【0021】図7に示されているように、一般にトラッ
ク間隔の減少とともにクロストークは増大するが、本実
施例によるヘッドBは、クロストーク特性がヘッドAよ
りも約4.6dB改善される。ヘッドCのように段高さ
が存在しない形状にし、下部磁気コア2でトラック幅を
決め、トラック幅精度を改善することができるが、ヘッ
ドCのクロストーク特性はヘッドAよりも約4.7dB
悪くなる。このように、従来の薄膜磁気ヘッドよりもク
ロストークを低減するには、第1の実施例ではある値以
上の段高さd1が必要であることがわかる。
【0022】さらに詳しく第1の実施例における段高さ
と広がり角について検討したところ、図8に示す結果が
得られた。すなわち、広がり角θ(度)と段高さd
1(μm)が下記(1)式を満たし、図8の斜線部の領
域に入るようにすることにより、隣接トラックからのク
ロストークを従来の薄膜磁気ヘッドよりも低減できる。 θ≧15.5−34.4×d1 (1) 磁気ギャップ3を挾んで成す磁気コアの側面は、本実施
例のように磁気ギャップ3に垂直であることが望ましい
が、磁気コアの側面が磁気ギャップ3と成す角度が75
〜105度の範囲にあれば、クロストーク特性の改善の
点で問題はない。また、上下の磁気コアの側面同士の成
す角度は、150〜180度の範囲にあれば問題ない。
【0023】特に、段高さd1を約0.45μm以上に
すれば、広がり角θに関係なく、従来の薄膜磁気ヘッド
よりも隣接トラックからのクロストークを低減できる。
また、広がり角θを15.5度以上にし、上部磁気コア
と下部磁気コアの磁気ギャップに接する辺の長さを揃え
れば、段高さに関係なく従来の薄膜磁気ヘッドよりも隣
接トラックからのクロストークを低減できる。
【0024】以上の検討結果から、形状としては、広が
り角θを90度程度まで大きくすることも考えうるが、
プロセス面から考えると広がり角θが大きい場合には、
段高さの変動量が大きくなり、得られる浮上面形状のば
らつきが大きくなる問題がある。この点からすると、広
がり角θは45度以下が望ましい。
【0025】〔実施例2〕図1(b)は、本発明による
薄膜磁気ヘッドの第2の実施例の説明図である。本実施
例は、磁気ギャップ3に接する上部磁気コアの辺4cが
下部磁気コアの辺5cよりも広い点で第1の実施例と異
なる。本実施例において、トラック幅は上部磁気コアの
辺4cと下部磁気コアの辺5cの短い方5cで決まり、
辺4cと辺5cの長さの差d2は隣接トラックからのク
ロストークの増大の原因となる。
【0026】発明者等の検討によれば、上部磁気コアと
下部磁気コアの磁気ギャップに接する辺の長さが異なっ
ている場合でも、長い方の辺の長さが磁気コアの最も広
がった幅よりも十分に狭ければ、隣接トラックからのク
ロストークを低減でき、前記実施例と同様の効果が得ら
れる。図9に、従来の薄膜磁気ヘッドよりも隣接トラッ
クからのクロストークを低減しうる上部磁気コアと下部
磁気コアの磁気ギャップに接する辺の長さの差d2と広
がり角θの関係を、段高さが0μmの場合について示
す。横軸は、上部磁気コア1と下部磁気2コアの磁気ギ
ャップ3に接する辺の長さの差d2(μm)を、前記磁
気コアの磁気ギャップに接する辺のうち短い方の長さと
磁気コアの最も広がった幅との差d3(μm)で規格化
した値である。縦軸は、広がり角θ(度)である。
【0027】計算機シミュレーションの結果、図9の斜
線部の領域に入る下記(2)式の条件を満たす磁気コア
先端の側端部形状において、従来の薄膜磁気ヘッドより
も隣接トラックからのクロストークを低減できる。但
し、d2/d3が約0.65以上では従来の薄膜磁気ヘッ
ドよりも隣接トラックからのクロストークを低減できな
くなる。 θ≧15.5+410×(d2/d34 (2)
【0028】図10に、従来の薄膜磁気ヘッドよりも隣
接トラックからのクロストークを低減しうる上部磁気コ
アと下部磁気コアの磁気ギャップに接する辺の長さの差
2と段高さd1の関係を、広がり角が0度の場合につい
て示す。横軸は、上部磁気コア1と下部磁気コア2の磁
気ギャップ3に接する辺の長さの差d2(μm)を、前
記磁気コアの磁気ギャップに接する辺のうち短い方の長
さと磁気コアの最も広がった幅との差d3(μm)で規
格化した値である。縦軸は段高さd1(μm)である。
計算機シミュレーションの結果、図10の斜線部の領
域に入る下記(3)式の条件を満たす磁気コア先端の側
端部形状において、従来の薄膜磁気ヘッドよりも隣接ト
ラックからのクロストークを低減できる。 d1≧0.45+11.9×(d2/d34 (3)
【0029】以上により、上部磁気コアと下部磁気コア
の磁気ギャップに接する辺の長さの差d2が0μmの場
合、段高さd1が0μmの場合、及び広がり角θが0度
の場合について、従来の薄膜磁気ヘッドよりも隣接トラ
ックからのクロストークを低減しうる磁気コア側端部形
状が、それぞれ(1)式、(2)式及び(3)式で示さ
れることが分かった。さらに、隣接トラックからのクロ
ストークを低減しうる磁気コア側端部形状として、上部
磁気コアと下部磁気コアの磁気ギャップに接する辺の長
さの差d2(μm)、段高さd1(μm)、及び広がり角
(度)の間には、一般に次式の関係が成立する。 θ≧15.5−34.4×d1+410×(d2/d34 (4)
【0030】(4)式は(1)式と(2)式を合成した
形になっている。(1)式より、段高さd1と広がり角
θは略逆比例の傾向を示し、(2)式及び(3)式よ
り、段高さd1と広がり角θが上部磁気コアと下部磁気
コアの磁気ギャップに接する辺の長さの差d2に対して
略同様の傾向を示すため、(1)式にd2の効果を加え
た形の(4)式の関係が成立する。(1)式、(2)式
及び(3)式は、(4)式で夫々d2を0μm、d1を0
μm、又はθを0度することにより導かれる。
【0031】したがって、第2の実施例において、辺4
cと辺5cの短い方の長さと磁気コアの最も広がった幅
との差d3に対する、辺4cと辺5cの長さの差d2
比、広がり角θ及び段高さd1について上記の条件を満
たせば、隣接トラックからのクロストークを十分低減で
きる磁気ヘッド先端形状となる。本実施例では、下部磁
気コア2と上部磁気コア1の端部が磁気ギャップ3を挾
んで成す角度が略90度となってしまうが、d2/d3
対し広がり角θと段高さd1を所定の大きさにすること
により、隣接トラックからのクロストークは十分低減さ
れる。
【0032】〔実施例3〕図1(c)は、本発明による
薄膜磁気ヘッドの第3の実施例の説明図である。本実施
例の特徴は、第1の実施例に対して、磁気ギャップ3に
接する下部磁気コアの辺5cを上部磁気コアの辺4cよ
りも長くするものである。本実施例において、トラック
幅は上部磁気コアの辺4cと下部磁気コアの辺5cの短
い方4cで決まり、辺4cと辺5cの長さの差d2は隣
接トラックからのクロストークの増大の原因となる。本
実施例の磁気コア側端部形状においても、従来の薄膜磁
気ヘッドよりも隣接トラックからのクロストークを低減
しうる形状について計算機シミュレーションを行った結
果、前記実施例2と同様に(1)式、及び(2)式が成
立し、一般に前記の(4)式が成立することが分かっ
た。
【0033】〔実施例4〕図1(d)は、本発明による
薄膜磁気ヘッドの第4の実施例の説明図である。本実施
例の特徴は、上部磁気コア1の幅が膜厚方向に略一定で
あり、下部磁気コア2は、磁気ギャップ3近傍での幅が
膜厚方向に略一定となる部分5a及び磁気ギャップ3か
ら離れるとともに幅が広がる部分5bを有することであ
る。本実施例では、上部磁気コア1の側面と下部磁気コ
ア2の磁気ギャップ3近傍の側面5aが、磁気ギャップ
3を挾んで略180度になっているので、隣接トラック
からのクロストークは小さくなる。また、下部磁気コア
2の側面5aを磁気ギャップ3に対し磁気ギャップ3か
ら離れる方向に傾斜させることによりクロストークはさ
らに低減される。
【0034】第4の実施例は第1の実施例の上部磁気コ
アと下部磁気コアの形状を入れ替えたものに相当する。
前記第1の実施例のクロストーク特性は、上部磁気コア
の磁気ギャップ近傍での幅が膜厚方向に略一定となり、
磁気ギャップから離れると磁気コアの幅が広がる部分を
もつことによる。したがって、前記の磁気コアの側端部
形状を下部磁気コア側に適用した場合でも、同様に隣接
トラックからのクロストーク低減の効果を得られること
は明らかである。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、磁気ギャップ近傍の磁
気コアの幅は略揃えられており、トラック幅を下部磁極
で決めるため、トラック幅の精度を向上させることがで
きる。また、磁気コア先端の側端部形状において、磁気
コアの幅が磁気ギャップ近傍より広がる部分にあたる磁
気コアの側面が磁気ギャップ面となす角度、磁気ギャッ
プ近傍で磁気コアの幅が略一定である膜厚方向の長さ、
及び磁気ギャップに接する上下磁気コアの辺の長さの差
を適切な値としたので、十分に隣接トラックからのクロ
ストークを低減できる。また、本発明の磁気ヘッドを記
録ヘッドとして用いた場合には、トラック幅から横方向
にはみ出るフリンジの大きさを小さくすることができ
る。以上の効果により本発明の薄膜磁気ヘッドは、高ト
ラック密度でも信号対雑音比の良好な磁気ディスク装置
の実現を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す図。
【図2】従来の薄膜磁気ヘッドの概略図。
【図3】薄膜磁気ヘッドのトラック端部での磁界分布を
示す図。
【図4】隣接トラックからのクロストークと段高さの関
係を示す図。
【図5】隣接トラックからのクロストークと広がり角の
関係を示す図。
【図6】隣接トラックからのクロストークと磁気ギャッ
プに接する磁気コアの辺の長さの差との関係を示す図。
【図7】従来の薄膜磁気ヘッドと本発明の薄膜磁気ヘッ
ドのクロストーク特性の比較を示す図。
【図8】隣接トラックからのクロストークを低減しうる
広がり角と段高さの関係を示す図。
【図9】磁気ギャップに接する磁気コアの辺の長さの差
と広がり角の関係を示す図。
【図10】磁気ギャップに接する磁気コアの辺の長さの
差と段高さの関係を示す図。
【符号の説明】
1…上部磁気コア、2…下部磁気コア、3…磁気ギャッ
プ、4a…上部磁気コアの磁気ギャップ近傍での幅が膜
厚方向に略一定となる部分、4b…上部磁気コアの幅が
広がる部分、4c…上部磁気コアの磁気ギャップ接する
辺、5a…下部磁気コアの磁気ギャップ近傍での幅が膜
厚方向に略一定となる部分、5b…下部磁気コアの幅が
広がる部分、5c…下部磁気コアの磁気ギャップ接する
辺、6…基板、7…導体コイル、8…非磁性絶縁膜、9
…保護膜、10…薄膜磁気ヘッドの記録媒体に対向する

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端が磁気ギャップを挾んで記録媒体に
    対向し、他端が接続されて磁気回路を構成する下部磁気
    コア及び上部磁気コアと、該磁気回路に鎖交する導体膜
    から成る巻線を含む薄膜磁気ヘッドにおいて、 前記下部磁気コアと前記上部磁気コアの記録媒体に対向
    する面の形状が、一方の磁気コアにおいては該磁気コア
    の幅が該磁気コアの膜厚方向に略一定であり、他方の磁
    気コアにおいては前記磁気ギャップ近傍で該磁気コアの
    幅が略一定であり、前記磁気ギャップから離れると該磁
    気コアの幅が前記磁気ギャップ近傍での幅よりも広い部
    分を有し、前記他方の磁気コアの、前記幅が略一定であ
    る膜厚方向の長さd1(μm)、前記幅が広がる部分に
    あたる該磁気コアの側面と前記磁気ギャップ面との成す
    角度θ(度)、前記下部磁気コアと前記上部磁気コアの
    前記磁気ギャップに接する辺の長さの差d2(μm)、
    前記下部磁気コアと前記上部磁気コアの前記磁気ギャッ
    プに接する辺のうち短い方の辺の端部と前記磁気コアの
    幅が最も広がった部分の縁部の間の前記辺の方向の距離
    3(μm)が θ≧15.5−34.4×d1+410×(d2
    34,及び 0.65>d2/d3≧0 の条件を満たすことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記下部磁気コアと前記上部磁気コアの
    前記磁気ギャップに接する辺の長さが等しく、 θ≧15.5−34.4×d1,及び 0.65>d2
    3≧0 の条件を満たすことを特徴とする請求項1記載の薄膜磁
    気ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記他方の磁気コアで、前記磁気ギャッ
    プ近傍で該磁気コアの幅が略一定となる部分を有せず、 θ≧15.5+410×(d2/d34,及び 0.6
    5>d2/d3≧0 の条件を満たすことを特徴とする請求項1記載の薄膜磁
    気ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記他方の磁気コアで、該磁気コアの幅
    が広がる部分にあたる側面と前記磁気ギャップ面が略平
    行であり、 d1≧0.45+11.9×(d2/d34,及び 0.
    65>d2/d3≧0 の条件を満たすことを特徴とする請求項1記載の薄膜磁
    気ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項記載の薄膜
    磁気ヘッドを搭載した磁気ディスク装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6001468A (en) * 1997-07-04 1999-12-14 Fujitsu Limited Magnetic head
WO2000017860A1 (fr) * 1998-09-18 2000-03-30 Fujitsu Limited Tete magnetique a couche mince a pole sous-magnetique d'extremite, et procede de production correspondant
WO2000017861A1 (fr) * 1998-09-18 2000-03-30 Fujitsu Limited Tete magnetique d'ecriture par induction a couche mince, et procede de fabrication correspondant

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