JPH074466U - バンチ巻解舒装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ボビンに吹きつけるエアによって、糸端がト
レイとボビンの下端との間隙に入り込むことがないよう
にした、ボビンの口出し装置におけるバンチ巻解舒装置
を提供する。 【構成】 トレイ７に装着した糸巻ボビン２のバンチ巻
部分３８に向け空気を吹きつけるエアノズル３７を備え
たバンチ巻解舒装置において、トレイ７とボビン２との
境界部位に近接してエアノズル３７からの空気流を規制
するガイド板４１を設けたものであり、それにより、ボ
ビンに吹きつけるエアによって、糸端がトレイとボビン
の下端との間隙に入り込むことがないようにしたもので
ある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、糸巻ボビンをトレイに挿立して自動ワインダーに搬送する際、予め 糸端の口出し処理を行う口出し装置において、ボビンに巻かれたバンチ巻部を解 舒するためのバンチ巻解舒装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

精紡機で紡出され、糸を巻かれたボビンは、所定の大きさのパッケージを形成 するために、隣接する自動ワインダーに搬送される。この搬送に際しては、糸巻 ボビンをトレイに挿立し、ベルトコンベアにより自動ワインダーに搬送するが、 自動コンベアにおいては多数の糸巻ボビンにより１個のパッケージを形成するた め、１つの糸巻ボビンが空になると直ちに次の糸巻ボビンを取り込み、その糸端 とパッケージ側の糸端を糸継ぎして巻取りを再開することを繰り返し、所定の大 きさのパッケージを形成している。

【０００３】 したがって、自動ワインダーは、ボビンの糸端を直ちに引き込んで糸継ぎを行 わなければならないので、自動ワインダーに搬送されるボビンは、予めその糸端 を糸継ぎを行うことができる状態にしておく必要があり、そのため、自動ワイン ダーへのボビンの搬送ライン中に、糸端の口出し処理装置を設け、所定の口出し 処理が行われた糸巻ボビンのみ自動ワインダーへ搬送している。

【０００４】 この口出し装置では、周縁に等間隔にトレイ収容溝を設けたターレット円板を 間欠的に回転させ、精紡機から搬送されたボビン挿立トレイを収容溝に受け入れ た後は、ターレット円板の外周囲に等間隔に設けた口出し処理ステーションに順 次搬送し、所定の口出し処理を行っている。最後の搬出ステーションにおいては 、所定の口出しが行われているか否かを判別し、所定の口出し処理が行われてい ない時には、そのままターレット円板の収容溝に収容したまま最初のトレイ収容 ステーションに戻し、再び口出し処理操作を行っている。

【０００５】 口出し装置においては、ターレット円板の外周に設けた各処理ステーションで 所定の口出し処理を行うに際し、最初のステーションにおいては、ボビンの糸端 をボビン下端部に巻き付けたバンチ巻を解舒切断するロータリーカッターをこの バンチ巻部に近接させ、トレーをローラでボビンの糸の解舒方向に回転させ、更 にボビンの外周に高圧エアを吹きつけるとともに、ロータリーカッターの中空内 部から外周開口に向けてサクションエアを作用させている。それにより、高圧エ アでボビン外周から浮き上がった糸端部分をロータリーカッターの外周開口から 内部に引き込み、作動時にロータリーカッター外周に圧接して引き込まれた糸を 切断する可動刃によって、糸端をボビン外周に引き出す作業をおこなっている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

上記口出し装置におけるバンチ巻解舒ステーションの作動において、高圧エア をボビン外周に吹きつけると、ホビンを挿立しているトレイのボビン受け面とボ ビン下端に形成される不規則な隙間に糸端が入り込むことがある。このように、 トレイとボビン端部の隙間に糸端が入り込むと、次のステーションにおいてこの 糸端を処理しょうとしても、糸端を取り出すことができず、口出し処理をおこな うことができなくなる。

【０００７】 その対策として、吹きつける空気の圧力を低くすることが考えられるが、糸端 を吹きつける力が弱くなるため、バンチ巻が解舒できないことがあり、また、ロ ータリーカッターのサクションエアのみでは糸端をロータリーカッター内に吸引 することができず、バンチ巻解舒処理を行うことができなくなる。

【０００８】 したがって、本考案は、ボビンに吹きつけるエアによって、糸端がトレイとボ ビンの下端との間隙に入り込むことがないようにした、ボビンの口出し装置にお けるバンチ巻解舒装置を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】 本考案は、上記課題を解決するため、トレイに装着した糸巻ボビンのバンチ巻 部分に向け空気を吹きつけるエアノズルを備えたバンチ巻解舒装置において、ト レイとボビンとの境界部位に近接して前記エアノズルからの空気流を規制するガ イド板を設けたものであり、それにより、ボビンに吹きつけるエアによって、糸 端が、トレイとボビンの下端との間隙に入り込むことがないようにしたものであ る。

【００１０】

【作用】

本考案は、上記のように構成したので、口出し装置に搬入された糸巻ボビンは 、バンチ巻解舒装置において、ボビンを挿立するトレイの回転によって、ボビン の糸の解舒方向に回転されながら、エアノズルからボビンの外周のバンチ巻部分 に対し、ロータリーカッターに向けて空気が吹きつけられ、浮き上がった糸端は 、ロータリーカッターの周囲開口から内部に吸引される。この糸端は、ロータリ ーカッターに当接する可動刃により切断され、バンチ巻部分の解舒処理が行われ る。この時、バンチ巻部分に対し、ロータリーカッターに向けて吹きつけられる 空気は、ガイド板により案内されてロータリーカッター内に入るので、トレイの 受け面周囲に流れることがなくなり、その結果、糸端がトレイのボビン受け面と ボビン下端部の間隙に入り込むことが防止される。

【００１１】

【実施例】

本考案の実施例を図面に沿って説明する。図１に示すように、精紡機からコン ベア１により搬送された糸巻ボビン２は、口出し装置３に搬送され、所定の口出 し処理が行われた糸巻ボビンは、コンベア４により図示されない自動ワインダー に搬送される。口出し装置３においては、軸５を中心に回転するターレット円板 ６を備え、ターレット円板６の外周には、ボビン２を挿立して搬送するトレイ７ を受け入れる受容部８を備えている。受容部８に収容されたトレイ７は、ターレ ット円板６の回転により、ターレット円板６の外周囲と基板の円形縁部１０によ って形成されるガイド溝１１でトレイ７の首部をガイドされて、各ステーション Ａ乃至Ｆを間欠的に移動する。

【００１２】 ターレット円板６の各受容部８には、図３に示す２個のベアリング１２を備え 、トレイ７は、このベアリング１２で片側を支持された状態で受け入れステーシ ョンＡからバンチ巻解舒装置１３を備えたバンチ巻解舒ステーションＢに送られ る。次いで、ステーションＢにおいて掬い出された糸端を、ステーションＣにお いて、ローラ１４によるボビンの糸の巻付け方向の回転により、ボビン外周囲に 軽く巻付ける。ステーションＤにおいては、糸巻ボビン２の外周に近接するサク ションマウス１５にサクションエアを作用させて、ローラ１６によりトレイ７を ボビンの解舒方向に回転させ、糸端をサクションマウス１５により吸引し、その 糸端をスリット１７に沿って次のステーションＥの上方にまで導く。ステーショ ンＥに糸巻ボビンが搬送されると、糸端はカッター１８により所定長に切断され る。この時、トレイ７の下部からペッグの中空部を通り、ペッグ端部開口を介し てボビンの中央通孔にサクションエアを作用させておくことにより、カッター１ ８で切断された糸端は、ボビンの上端部開口から垂下され、糸端の口出し処理作 業は終了する。適正に口出し処理されたボビンはコンベア４に移載され、自動ワ インダーに搬送され、適正な口出し処理が行われなかったボビンは、ステーショ ンＧ，Ｈを通って再びステーションＡに戻り、再度口出し処理を行う。

【００１３】 上記口出し装置３のバンチ巻解舒装置１３は、図２に示すように、底板２０上 に移載され、片側を２個のベアリング１２で支持されたトレイ７に対し、モータ ２１で駆動されるトレイ回転ローラ２２をベアリング１２方向に押圧して、モー タ２１の駆動により、トレイ７をボビン２の糸の解舒方向に回転させる。

【００１４】 トレイ回転ローラ２２の上部には、トレイ７のボビン載置部２３上のペッグに 挿立されたボビン端部２４の外周に近接して、ロータリーカッター２５の回転体 ２６が配置されており、回転体２６は、モータ２７により駆動されるベルト２８ により、トレイ回転ローラ２２と反対方向に回転している。回転体２６の内部は 、図３に示すように、中空になっており、周囲壁３０には多数の開口３１を備え 、回転体２６の上部は、コネクタ３２と回転自在にかつシール状態で接続してい る。コネクタ３２にはエアダクト３３を接続し、サクションエア供給源と連通す ることにより、回転体２６の開口３１にサクションエアを作用させている。

【００１５】 ボビン２を中心にロータリーカッター２５とは反対側に、エアノズル装置３５ を配置する。エアノズル装置３５は、図２に示すように、上下２個のエアノズル ３６，３７を設けており、上側エアノズル３６は、糸巻ボビン２の上方から外周 に向けて空気を吹きつけており、それにより、ボビン外周に巻かれたワインド糸 を浮き上がらせる。また、下側エアノズル３７は、ボビン端部２４に巻き付けら れたバンチ巻き部３８に直接空気を吹きつけており、その空気は、ボビン端部２ ４の裏側に位置するロータリーカッター２５に向けられ、したがって、その空気 はロータリーカッター２５の開口３１に吸い込まれる。

【００１６】 一方、ベアリング１２の固定軸４０上端部には、ガイド板４１を固定しており 、このガイド板４１の先端は、トレイ７のボビン載置部２３の上面に一致する高 さ（上面よりわずかに上方に位置する高さ）に、かつ、その外周囲に近接する形 状を有し、略水平面をなしている。なお、ガイド板４１の下面には、トレイ７の 上面を押さえる押圧板４２を設けている。

【００１７】 上記装置において、その作動に際しては、バンチ巻解舒ステーションに搬送さ れた糸巻ボビン２は、トレイ回転ローラ２２により糸の解舒方向に回転され、各 エアノズル３６，３７から空気が吹き付けられ、ボビン外周に巻かれたワインド 糸及びボビンの下端部２４に巻かれたバンチ巻き部３８の糸は浮き上がり、モー タ２７により駆動される回転体２６は、エアダクト３３から供給されるサクショ ンエアを開口３１に作用させ、浮き上がった糸端を開口３１に吸引する。回転体 ２６の外周に圧接する可動刃３４により、糸端は開口３１の縁部で切断される。 この時、下側エアノズル３７から吹きつける空気は、ガイド板４１によりガイド されて略水平に流動し開口３１に流れる。すなわち、トレイのボビン載置部上面 とボビン下端との境界部位に流れることがない。したがって、切断した糸端をト レイのボビン載置部上面とボビン下端間の隙間に押し込むことがない。

【００１８】

【考案の効果】

本考案は、上記のように構成し作用するので、エアノズルから糸巻ボビンに対 して吹きつける空気流は、ガイド板によってその流れがガイドされ、トレイとボ ビンとの境界部に流れることがないので、解舒された糸が、トレイとボビンの下 端の隙間に入り込むことを防止することができ、バンチ巻解舒処理を確実に行う ことができるので口出し装置の口出し処理効率が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案を適用する口出し装置の概要を示す斜視
図である。

【図２】本考案の実施例を示す側面図である。

【図３】同断面図である。

【符号の説明】

２ ボビン ３ 口出し装置 ６ ターレット円板 ７ トレイ ８ 受容部 １１ ガイド溝 １２ ベアリング １３ バンチ巻解舒装置 １４ ローラ １５ サクションマウス １６ ローラ １７ スリット １８ カッター ２２ トレイ回転ローラ ２３ ボビン載置部 ２４ ボビン下端部 ２５ ロータリーカッター ２６ 回転体 ２７ モータ ２８ ベルト ３１ 開口 ３２ コネクタ ３３ エアダクト ３６ エアノズル ３７ エアノズル ３８ バンチ巻き部 ４０ 固定軸 ４１ ガイド板

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 トレイに装着した糸巻ボビンのバンチ巻
   部分に向け空気を吹きつけるエアノズルを備えたバンチ
   巻解舒装置において、トレイとボビンとの境界部位に近
   接して前記エアノズルからの空気流を規制するガイド板
   を設けたことを特徴とするバンチ巻解舒装置。