JPH0742774U - 把持機械のクランプ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 フリーの位置からクランプ時に至る間に滑り
を生ずることなく、鋼材の把持を容易に行える。 【構成】 左右にそれぞれアーム１とクランプ台２を備
えたクランプ装置において、アーム１の中間とクランプ
台２の頂部とをピン３により連結し、アーム１の先端
と、クランプ台２のクランプ面２ａに固着したアダプタ
４との間を上部リンク５および下部リンク６により連結
した４節リンク構成とし、下部リンク６にクランプ板７
を揺動可能に連結して、アダプタ４にクランプ板７との
間に挾持されるワーク８の受台９を設け、クランプ台２
下部とアーム１の後端との間をクランプシリンダ１０で
連結したもの。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は例えばＨ型鋼やＩ型鋼等を把持して運搬する自走式把持機械に係り、 詳しくは把持機械のクランプ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に自走式把持機械は、下部走行体の上部に設けられた旋回体に、起伏自在 なブ−ムの基端を軸着し、ブ−ムの先端に軸着したア−ムを介して各種作業機を 装着できるようにしたものである。すなわち、図３はその一例で油圧ショベル等 の下部走行体２１の上部に、運転室２３等を設けた旋回体２２からなる車両本体 を母体とする自走式把持機械２０に鉄骨ハンドリング用のクランプ装置３０を装 着した場合の側面図を示している。このクランプ装置３０は、旋回体２２に設け られた起伏自在なブ−ム２４に連結されたア−ム２５の先端に装着されたもので 、クランプアーム３１と、クランプ台３２、およびクランプシリンダ３３等から なるもので、図はＨ型鋼３４をクランプした状態である。

【０００３】 このような把持機械のクランプ装置３０において鋼材を把持するには、例えば 図４に示すようにクランプ装置３０のクランプアーム３１はクランク台３２に対 してピン３５により回動可能に連結され、先端には頂部をピン３６により回動可 能とした三角形状のクランプ板３７が設けられているので、Ｉ型鋼の場合はクラ ンプ板３７の底面と、クランプ台３２の上面とで把持するようになっているが、 実際にはＩ型鋼を横にしたとき縦になる水平部の端部がクランプ台３２に接触し ないように、クランプ台３２上に適宜高さのアダプタ３８が固定されていて、こ の上面にＩ型鋼の横となった垂直部分を乗せ、クランプ板３７の底面とＩ型鋼と の間、およびアダプタ３８とＩ型鋼との間にはそれぞれゴムパッド３９，４０を 挟むようにして、クランプ台３２側に設けたクランプシリンダ３３の作動でクラ ンプアーム３１の後端を上昇させることによりクランプ板３７を下降させて把持 するようにしている。

【０００４】 また、同じクランプ装置３０によるＨ型鋼、鋼板、山形鋼、溝型鋼等を把持す るには、例えば図５に山形鋼の場合を示すようにクランプ台３２上に山形状のア ダプタ４１を固定し、この上に把持する山形鋼を重ねて、クランプシリンダ３３ の作動で山形鋼の一辺をクランプ板３７の底面で押さえ込み把持するようにして いる。図中、４２はゴムパッドである。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら上述した図４，図５の何れの場合もクランプ板３７がフリー（２ 点鎖線）位置からクランプ時（実線）位置に移動する際に円運動のために鋼材と の接触面で滑りを伴う不具合が生ずる。したがってスムーズな把持をするには、 オペレータの熟練が必要であり、正常な把持のために長時間かかってしまう。ま た、場合によってはクランプ板３７の移動時、後方の角が把持すべき鋼材に接触 してゴムパッドが滑り、把時できないこともあり、さらにクランプ台３２上のア ダプタ３８や４１が固定されているので自由が効かず、鋼材を載せる際にうまく 行かない等の問題もあった。

【０００６】 本考案はこれに鑑み、フリーの位置からクランプ時に至る間に滑りを生ずるこ となく、またアダプタを揺動式として鋼材の把持を容易にしかも単時間に行うこ とのできる把時機械のクランプ装置を提供して従来技術の持つ欠点の解消を図る ことを目的としてなされたものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため本考案は、左右に一定間隔を有してそれぞれアームと クランプ台とを備えたクランプ装置において、前記アームの中間とクランプ台の 頂部とをピンにより連結し、アームの先端と、クランプ台下部のクランプ面に固 着したアダプタとの間を上部リンクおよび下部リンクにより連結した４節リンク 構成とし、前記下部リンクにはクランプ板を下部リンクに対して揺動可能に連結 して、前記アダプタには前記クランプ板との間に挾持されるワークの受台を設け ると共に、前記クランプ台下部と前記アームの後端との間をクランプシリンダに より連結したことを特徴とし、前記クランプ板は下部リンクに対して、常時ばね により上向きに付勢し、また、前記受台はクランプ台上面に対してピン結合によ り揺動可能としたものである。

【０００８】

【作用】

上記構成によれば、クランプシリンダの収縮により上昇していた下部リンクの クランプ板がクランプシリンダの伸長により下降して受台の上に載置されたワー クを上から押付けクランプすることができる。この場合、クランプ板は下部リン クに対して、常時ばねにより上向きに付勢されているから、ふらつくことなく下 降によりワークを下向きに押付けることができ、また、その際受台はクランプ台 上面に対してピン結合により揺動可能としたからワークの取付け位置が調整でき る。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案を図１および図２に示す実施例を参照して説明する。本考案にか かる把持機械のクランプ装置は、左右に一定間隔を有してそれぞれアーム１とク ランプ台２とを備えたクランプ装置において、前記アーム１の中間とクランプ台 ２の頂部とをピン３により連結し、アーム１の先端と、クランプ台２下部のクラ ンプ面２ａに固着したアダプタ４との間を上部リンク５および下部リンク６によ り連結した４節リンク構成とし、前記下部リンク６にはクランプ板７を下部リン ク６に対して揺動可能に連結して、前記アダプタ４には前記クランプ板７との間 に挾持されるワーク８の受台９を設けると共に、前記クランプ台２下部と前記ア ーム１の後端との間をクランプシリンダ１０により連結したもので構成されてい る。

【００１０】 クランプ台２は水平部のクランプ面２ａから直角に立ち上がった垂直部の頂部 を有して、アーム１の長手方向の中間と頂部においてピン３により連結している 。また、クランプ台２の下部となる水平部と垂直部との境界付近にはクランプシ リンダ１０のボトム側がピン１１により連結され、ロッド側は前記アーム１の後 端とピン１２により連結されている。クランプ台２のクランプ面２ａにはアダプ タ４が前後方向に固設され、アダプタ４の後部とアーム１の先端との間は、上部 リンク５および下部リンク６を介して連結されている。すなわち、アーム１の先 端と上部リンク５とはピン１３により、上部リンク５と下部リンク６とはピン１ ４により、下部リンク６とアダプタ４の後部とはピン１５によりそれぞれ回動可 能に連結されて、アーム１、上部リンク５、下部リンク６およびクランプ台２と の間を４節リンクにより連結したものである。

【００１１】 前記下部リンク６の中間部にはピン１６により回動可能に結合されたブラケッ ト７ａが設けられ、ブラケット７ａの下部には前記クランプ板７が固着されてい る。そしてこのクランプ板７の前端が下部リンク６に対して揺動するのを防止す るために、ピン１６には前端を常時上側を向くように付勢するねじりばね１７が 取付けられている。前記アダプタ４の前部にはクランプ面２ａに対して揺動可能 な山型状のワーク８の受台９がピン１８により連結されている。この受台９の上 面にはワーク８を把持する際にワーク８の滑り止めとなるゴムパッド１９が山形 状の２面にそれぞれボルト等の締結手段により固着され、また、クランプ板７の 底面にもゴムバッド１９が設けられている。

【００１２】 つぎにワーク８をクランプする場合の作動について説明する。まず、クランプ シリンダ１０を収縮してアーム１の先端を上昇させると、上部リンク５が上昇し て下部リンク６を引き上げるので上部リンク５とのなす角が大きくなり直線状態 に近づく。これに伴い下部リンク６に設けられたクランプ板７も上向きとなる。 つぎにクランプするワーク８（実施例ではＩ型鋼）の一側の水平部分と垂直部 分をゴムパッド１９の２面にそれぞれ重ねて保持する。その上でクランプシリン ダ１０を伸長してアーム１の先端を下降させると、上部リンク５と下部リンク６ とはピン１４部で折れ、下部リンク６が下向きに回動してクランプ板７がワーク ８に接触しワーク８をゴムパッド１９との間にクランプする。この場合、受台９ はピン１８により揺動可能となっているため、クランプの際の矢印ａの範囲の多 少の角度のずれを吸収できる機能を持っている。また、クランプ支点をワーク８ の近くになるように４節リンク式としており、滑りをできるだけ少なくして確実 なクランプを行えるような構造となっている。

【００１３】

【考案の効果】

以上説明したように本考案は、左右に一定間隔を有してそれぞれアームとクラ ンプ台とを備えたクランプ装置において、前記アームの中間とクランプ台の頂部 とをピンにより連結し、アームの先端と、クランプ台下部のクランプ面に固着し たアダプタとの間を上部リンクおよび下部リンクにより連結した４節リンク構成 とし、前記下部リンクにはクランプ板を下部リンクに対して揺動可能に連結して 、前記アダプタには前記クランプ板との間に挾持されるワークの受台を設けると 共に、前記クランプ台下部と前記アームの後端との間をクランプシリンダにより 連結し、また、前記クランプ板は下部リンクに対して、常時ばねにより上向きに 付勢し、さらに前記受台をクランプ台上面に対してピン結合により揺動可能とし たから、滑りが少なく確実にワークのクランプが行え、その上クランプ板をリン ク途中に設けたことによる倍力効果も期待できる。したがって従来と比較してワ ークの把持が容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案にかかる把持機械のクランプ装置の一実
施例を示す側面図である。

【図２】図１のＺ方向の斜視図である。

【図３】従来の把持機械の外観を示す側面図である。

【図４】図３における把持機械のクランプ部によるＩ型
鋼のクランプ状態を示す側面図である。

【図５】図３における把持機械のクランプ部による山型
鋼のクランプ状態を示す側面図である。

【符号の説明】

１…アーム、２…クランプ台、２ａ…クランプ面、３…
ピン、４…アダプタ ５…上部リンク、６…下部リンク、７…クランプ板、８
…ワーク、９…受台、１０…クランプシリンダ。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 左右に一定間隔を有してそれぞれアーム
   とクランプ台とを備えたクランプ装置において、前記ア
   ームの中間とクランプ台の頂部とをピンにより連結し、
   アームの先端と、クランプ台下部のクランプ面に固着し
   たアダプタとの間を上部リンクおよび下部リンクにより
   連結した４節リンク構成とし、前記下部リンクにはクラ
   ンプ板を下部リンクに対して揺動可能に連結して、前記
   アダプタには前記クランプ板との間に挾持されるワーク
   の受台を設けると共に、前記クランプ台下部と前記アー
   ムの後端との間をクランプシリンダにより連結したこと
   を特徴とする把持機械のクランプ装置。
2. 【請求項２】 前記クランプ板は下部リンクに対して、
   常時ばねにより上向きに付勢したことを特徴とする請求
   項１記載の把持機械のクランプ装置。
3. 【請求項３】 前記受台はクランプ台上面に対してピン
   結合により揺動可能としたことを特徴とする請求項１記
   載の把持機械のクランプ装置。