JPH074266Y2 - 木質床材 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、木質床材、とくに遮音性を有する木質床材
に関するものである。

なお、この明細書において、「遮音性」とは、床衝撃音
遮断性能をいう。

従来技術と考案が解決すべき課題 中高層住宅では、従来床表面材としてカーペット類を床
下地に直接貼付けるのが一般的であった。しかしなが
ら、カーペット類はメインテナンスが難しいばかりか、
貼替えにさいし手間を要するため、近年カーペット類に
代わり、木質床材を床下地に直接貼付ける傾向にある。
ところが、木質床材はカーペット類に比べ遮音性に著し
く劣っているため、居住性を損なうという欠点があっ
た。

この問題を解決するには、木質板の下面全体に発泡体の
ような緩衝部材を接合すればよく、このような構成の床
材はすでに実開昭56−3945号公報に示されている。

この考案の目的は、上記従来品よりさらに遮音性を改善
した木質床材を提供することにある。

課題を解決するための手段 この考案は、上記の目的を達成するために、下面の平坦
な木質板の下面に、上面の平坦な緩衝部材が接合せられ
ている木質床材において、接着部と非接着部との両方が
存在する状態に接合されているものである。

木質板の具体例としては、合板が一般的であるが、その
他パーティクルボード、ハードボード、中質繊維板など
をあげることができ、その表面には適宜化粧が施され
る。この化粧は、通常、銘木単板、挽板、パターンシー
ト、合成樹脂シートおよびコルク等を表面に貼着した
り、塗装を施したりすることによって行なわれる。もち
ろん化粧が施されていなくてもよい。木質板の厚さの中
間に、木質板を上下に分割することにより介在せられる
こともある。木質板は通常方形であり、その４辺には、
さねはぎ、相欠その他公知の接合方法を実施するための
加工が施されている。

緩衝部材の材料としては、発泡合成樹脂、発泡合成ゴ
ム、立体網状合成樹脂、粘弾性体、繊維物質などがある
が、なかでも発泡合成樹脂が一般的であり、合成樹脂の
具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
塩化ビニル、ポリスチレン、ポリウレタン、フェノール
をあげることができる。さらに繊維物質の具体例として
は、インシュレーションボード、ガラス繊維、石綿、こ
れらの繊維にアスファルト・ピッチを含浸したもの、フ
エルト、カーペットなどをあげることができる。上記緩
衝部材の材料は床に要求せられる性能に応じて適宜選択
せられ、単独であるいは上下組合わせて使用せられる。
緩衝部材の厚さは、その材料、床下地の種類などとの関
係から適宜決められる。

接着部と非接着部の両方が存在する態様については、後
述の実施例に示すものの外種々の態様が考えられる。

床下地は通常コンクリート床であるが、合板、パーティ
クルボード、中質繊維板などの適宜の材料で形成せられ
る場合もある。

実施例 以下、図面を参照し、この考案の実施例を説明する。

実施例１ この実施例は、第１図および第２図に示されているもの
であり、厚さ7mm、長さ900mm、幅300mmの表面化粧単板
貼り合板よりなる下面の平坦な木質板（１）の下面に、
木質板（１）と同面積で厚さ10mm、発泡倍率30倍のポリ
エチレン発泡体よりなる上下面の平坦な緩衝部材（２）
が接合せられている木質床材（Ｆ）において、接着部
（３）（４）と非接着部（５）とが混在する状態に接合
されているものである。すなわち、木質板（１）と緩衝
部材（２）との接合部は、幅10mmの額縁状接着部（３）
およびその内側に間隔30mmピッチで縦横等間隔にかつ一
直線状に配された直径10mmの円形点状接着部（４）と、
残部非接着部（５）とよりなるものである。

木質板（１）は、相欠加工の施された4.5mmの上板（1
a）と、上板（1a）に、木質板（１）と緩衝部材（２）
との上記接合部と同様に、接着部と非接着部とが混在す
る状態に接合せられた2.5mmの下板（1b）とよりなり、
平面からみて、両者が相互に若干斜めにずらされること
により、水平釘打部（６）および隣接木質板釘打部収容
部（７）が形成せられている。

第３図は、上記木質床材（Ｆ）を第１図に示すコンクリ
ート床下地（19）に接着する場合の接着剤の塗布状態を
示す。この場合も接着剤を床材（Ｆ）の下面全体および
床下地（19）全体に塗布せず、幅方向に隣り合う木質床
材（Ｆ）どうしにまたがるように、帯状に接着剤を塗布
する。（16）はこの帯状接着部であり、その幅は60mmで
ある。

実施例２ この実施例は、木質板（１）を構成する上板（1a）と下
板（1b）とが全面接着せられている点以外は実施例１と
同じものである。

実施例３ この実施例は、第４図に示されているものであり、実施
例１において、接合部が、額縁状接着部（３）およびそ
の内側に配された横縞状接着部（８）と、残部非接着部
（９）とよりなる点が異なっており、その他は同じであ
る。なお、両接着部（３）（８）の幅は10mmである。

実施例４ この実施例は、第５図に示されているものであり、実施
例１において、接合部が、その側縁部を含む縦縞状接着
部（10）と、残部非接着部（11）とよりなる点が異なっ
ており、その他は同じである。なお、接着部（10）の幅
は12mmである。

実施例５ この実施例は、第６図に示されているものであり、実施
例１において、接合部が、千鳥状に配された直径10mmの
円形点状接着部（12）と、残部非接着部（13）とよりな
る点が異なっており、その他は同じである。

以上実施例を多数あげて説明したが、下面の平坦な木質
板の下面に、上面の平坦な緩衝部材が接合せられたもの
であれば、その構造、形状および寸法は上記実施例のも
のに限定せられない。

木質板（１）を構成する上板（1a）と下板（1b）とが全
面接着せられるとともに、木質板（１）と緩衝部材
（２）とが全面接着せられている以外は実施例１と同じ
ものを比較例とし、この比較例と実施例１および実施例
２の木質床材を厚さ150mmのコンクリート・スラブ製床
下地に施し、軽量衝撃音テストを行なったところ、下表
の結果が得られた。

上表から明らかなように、125〜500Hzの音域で、実施例
１および実施例２のものは比較例に較べ、１〜2dBの低
下が認められた。

考案の効果 この考案による木質床材は、下面の平坦な木質板の下面
全体に、上面の平らな緩衝部材を接合することにより、
一応の遮音効果が期待される従来品よりも、さらに遮音
性が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はこの考案の実施例１を示すもの
で、第１図は横断面拡大図、第２図は木質板と緩衝部材
との接合部分における接着部と非接着部の状態を示す木
質板の底面図、第３図は木質床材と床下地との接着部分
を示す木質床材の底面図、第４図ないし第６図はそれぞ
れ実施例３ないし実施例５を示す第２図相当の底面図で
ある。 （１）……木質板、（２）……緩衝部材、（３）（４）
（８）（10）（12）（16）……接着部、（５）（９）
（11）（13）……非接着部、（Ｆ）……木質床材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】下面の平坦な木質板（１）の下面に、上面
   の平坦な緩衝部材（２）が接合せられている木質床材に
   おいて、接着部（８）（10）（12）（16）と非接着部
   （５）（９）（11）（13）との両方が存在する状態に接
   合されていることを特徴とする木質床材。