JPH0742542B2 - 鉛快削鋼の製造方法 - Google Patents

鉛快削鋼の製造方法

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JPH0742542B2
JPH0742542B2 JP62195829A JP19582987A JPH0742542B2 JP H0742542 B2 JPH0742542 B2 JP H0742542B2 JP 62195829 A JP62195829 A JP 62195829A JP 19582987 A JP19582987 A JP 19582987A JP H0742542 B2 JPH0742542 B2 JP H0742542B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 冷間圧造性、被削性などの材料特性が優れた鉛快削鋼を
連続鋳造方により安定して製造する方法に関する。
(従来の技術) 従来の連続鋳造法による鉛快削鋼の製造方法は、次のも
のが代表的であった。すなわち、その方法は、取鍋内に
溶鋼を注入した後、この取鍋内溶鋼に造滓剤の添加、ス
ラグの調整、温度調整および各種原料添加による成分調
整などからなる精錬処理を行い、この精錬処理後にスラ
グをかき分け、裸湯面を露出させ、この裸湯面上へ鉛成
分の添加のために粒状の鉛原料すなわち鉛または鉛化合
物(以降、この鉛または鉛化合物を鉛原料という。)を
投入し、溶解し、溶鋼中の鉛含有量の調整を行い、つい
でこの調整が行われた溶鋼を連続鋳造するものであっ
た。この溶鋼の連続鋳造において、鋳型への溶鋼の注入
は、溶鋼をタンディッシュに注入し、そのタンディッシ
ュノズルを介して行われるのが一般的であるが、取鍋ノ
ズルを介して取鍋から鋳型へ直接注入される場合もあ
る。いずれの注入による場合も、ノズル閉塞を防止する
ためにノズル部に不活性ガスが吹き込まれる。
(発明が解決しようとする問題点) 従来の連続鋳造法による鉛快削鋼の製造方法は、精錬処
理が行われた溶鋼を連続鋳造する工程において、鋳型へ
その溶鋼を注入する際、鋳造途中におけるタンディッシ
ュノズルの閉塞を防止するために、そのノズル部に不活
性ガスが吹き込まれる。このノズル閉塞は連続鋳造にお
いて致命的な障害であるので、その防止が必要とされ
る。この防止手段としてノズル部に不活性ガスが吹き込
まれる理由は、それがノズル閉塞の原因である介在物な
どの集積を制御する効果を有するからである。
上記ノズル閉塞の防止のためにそのノズル部に吹き込ま
れた不活性ガスの一部は、溶鋼と共にそのノズル部から
鋳型部へ、さらに、鋳型の引き出し方向へ移動し、その
ガスの一部は溶鋼から脱け出すことができず、鋳片の凝
固界面に残留する。この際、その不活性ガスの作用によ
り、鋳片の凝固界面にはそのガスと共に成分の鉛および
硫黄の偏在が生成する。そのためにその凝固界面には他
の部分にくらべて多量の鉛および硫黄が存在する。その
結果、鋳造凝固されてできた鋳片は、その表層下に鉛お
よび硫黄のマクロ偏析が存在する。これらの偏析は鉛快
削鋼の材料特性を著しく劣化させ、例えば冷間圧造の場
合に割れを生じさせる。
上記は、タンディッシュノズル部の閉塞防止のために吹
き込まれる不活性ガスによって生ずる問題点であるが、
取鍋ノズルを介して取鍋内溶鋼を鋳型へ直接注入する場
合においても、当該ノズル閉塞防止のために当該ノズル
部に不活性ガスが吹き込まれるので、上記の場合と同
様、凝固界面すなわち鋳片の表層下に鉛および硫黄のマ
クロ偏析が生じて、材料特性の著しい劣化を来すという
問題点がある。
また、従来の連続鋳造法による鉛快削鋼の製造方法に
は、上記の他にも問題点がある。すなわち、鉛成分の添
加は溶鋼の湯面への粒状の鉛原料の投入によって行われ
るので、鉛原料が完全に溶解し難い。そのためにそれら
の一部が未溶解のまま鋳片中に残留したり、あるいは、
溶解されても鋳片中の鉛成分の分布が不均一になったり
する。。その結果として材料特性が著しく劣化したり、
また、ばらつきがでたりするという問題点がある。
この発明は、従来の連続鋳造法による鉛快削鋼の製造方
法における以上のような問題点を解消させ、冷間圧造
性、被削性などの材料特性が優れた鉛快削鋼を連続鋳造
法により安定して製造する方法を提供することを目的と
する。
(問題点を解決するための手段) この目的を達成させるために、本発明は次のような鉛快
削鋼の製造方法としている。
すなわち、取鍋内に注入された溶鋼に造滓剤の添加、ス
ラグの調整、温度調整および各種原料添加による成分調
整を行った後、鉛成分の添加のために粉末状の鉛原料を
不活性ガスの搬送により、その不活性ガスとともに溶鋼
中に注入し、その注入と同時あるいはその注入の後に、
カルシウムあるいはカルシウムの化合物(以降、これら
をカルシウム系化合物という。)の線状体を溶解中へ送
給して再度精錬処理を行い、ついでこの精錬処理が行わ
れた溶鋼を連続鋳造するものとしている。
あるいは、前記カルシウム系化合物の線状体の送給後、
さらに溶鋼中に不活性ガスの吹き込みによる精錬処理を
行い、ついでこの精錬処理が行われた溶鋼を連続鋳造す
るものとしている。
(作 用) 本発明は、前記の如き構成の鉛快削鋼の製造方法として
いるので、次のような作用を有する。
すなわち、取鍋内に注入された溶鋼に対し、先ず造滓剤
の添加によるスラグ組成の調整、温度調整および各種原
料添加による成分調整を行う。ここで、温度調整は溶鋼
中におけるアーク通電などの方法で溶鋼を加熱して行
う。また、各種原料添加による成分調整は、鉛快削鋼の
成分の中で鉛以外の成分についての調整であって、マン
ガン量調整のためのフェロマンガン、酸素量調整のため
の脱酸剤のアルミニウムなどの添加により行うものであ
る。
次に、鉛成分の添加のために粉末状の鉛原料を不活性ガ
スの搬送により、その不活性ガスとともに溶鋼中に注入
する。この搬送注入は、溶鋼中に管の一部を浸漬し、こ
の管に粉末状の鉛原料を大気圧以上の圧力を有する不活
性ガス、例えばアルゴンガスと共に吹き込み、溶鋼中に
放出せしめる方法などにより行う。ここで、注入される
鉛原料は溶解しやすい粉末状であること、および溶鋼中
に鉛原料とともに注入された不活性ガスによって溶鋼が
強制撹拌されることにより、鉛原料を完全に溶解させ、
しかも鉛成分を鋼中に均一分布させることができる。こ
のとき、注入される不活性ガスの圧力が高いほど溶鋼の
撹拌効果が大きくなり、鉛原料の溶解に有効に作用す
る。このように本発明は鉛原料を完全に溶解させられる
ので、未溶解の鉛原料の残留を生じず、また鋼鋳の鉛成
分の分布を均一にすることができるのである。
鉛原料の注入、溶解と同時あるいはその後にカルシウム
系化合物の線状体が送給される。この送給は、溶鋼中の
介在物の形態制御を行う作用がある。すなわち、この送
給の前の溶鋼において、その溶鋼中の介在物は高融点の
酸化アルミニウムなどであるが、この送給によりカルシ
ウム系化合物が溶解し、前記高融点の介在物と反応し、
酸化カルシウムと酸化アルミニウムなどからなる複合酸
化物となる。すなわち介在物の形態制御が行われる。こ
の複合酸化物は融点が低いので連続鋳造する溶鋼の温度
では溶融されている。一方、送給されたカルシウム系化
合物は、前記介在物の形態制御の他に溶鋼中の硫黄と反
応し、硫化カルシウムを生成する。この硫化カルシムウ
の生成量は、溶鋼中の硫黄が少ない場合は極めて少な
く、硫黄含有量が約0.015%以上の高硫黄鋼の製造の場
合には溶鋼中の硫黄量が多いので、比較的多く、かつ生
成される硫化カルシウムも大きい。したがって、低硫黄
鋼の製造の場合において、本発明によるカルシウム系化
合物の線状体の送給により介在物の形態制御が行われた
溶鋼は、ノズル閉塞の原因となる固体状介在物がほとん
どないので、この溶鋼を連続鋳造する際にノズル閉塞が
起こらず、そのためノズル部に従来ノズル閉塞防止のた
めに行われていた不活性ガスの吹き込みを行う必要がな
くなる。一方、高硫黄鋼の製造の場合においても、上記
介在物の形態制御が行われた溶鋼は、この溶鋼を連続鋳
造する際にノズル部への不活性ガスの吹き込みを行わな
くても連続して鋳造することができるが、溶鋼を長時間
で連続鋳造する場合は硫化カルシウムの堆積の恐れがあ
るので、望ましくはその対策が必要である。
上記介在物形態の制御のためにカルシウム系化合物を線
状体で送給する代わりに、粉状体で湯面に投入する場合
は溶鋼全体にわたっての介在物形態の制御がなされない
という問題点があり、また粉状体を不活性ガスにより溶
鋼中へ注入する場合は溶鋼との脱硫および脱酸反応が急
激に進み、また温度低下が大きい等、操業上の問題があ
る。すなわちカルシウム系化合物は介在物形態の制御作
用の他に、脱硫および脱酸の作用があり、粉状体で溶鋼
中に注入される場合は脱酸及び脱硫反応が急速に進み、
溶鋼中の硫黄およびアルミニウムが急激に減少するた
め、それらの成分の原料を再度添加しなければならず、
この再添加は溶鋼の温度低下を来たして操業が困難とな
り、またランス費の上昇を招くのである。これに対して
線状体を送給する場合は、脱酸および脱硫反応が比較的
ゆるやかに進むので、前記硫黄などの原料の再添加を必
要としない程度に脱酸および脱硫反応を制することがで
き、この程度で同時に目的とする介在物形態の制御も出
来るのである。
カルシウム系化合物の線状体をまとめて溶鋼中に入れる
場合は、線状体が浮上し、溶鋼全体と均一に反応できな
いので、介在物形態の制御作用の効果が極めて小さくな
る。したがって、カルシウム系化合物の線状体は、その
一端から漸次溶鋼中へ送給し、また浸漬位置を順次変化
させることが望ましい。
上記の如く、カルシウム系介在物の溶鋼中への送給は、
硫黄などの原料の再添加を必要としない範囲内において
ノズル閉塞の原因の高融点介在物の量を極めて減少させ
るので、特に低硫黄鋼の製造の場合においては、溶鋼を
連続鋳造する時、ノズル部に不活性ガムを吹き込む必要
がなくなる。そのため、従来ノズル部への不活性ガスの
吹き込みが原因となって生じていた鉛の偏析、硫黄の偏
析が生じなくなるのである。
一方、高硫黄鋼の製造の場合において、比較的短時間で
連続鋳造する時はノズル部への不活性ガスの吹き込みは
必要ないが、長時間で連続鋳造する時は硫化カルシウム
によりノズル閉塞が生じる可能性があるので、カルシウ
ム系化合物の線状体の送給後、溶鋼中に不活性ガスの吹
き込みを行う。この不活性ガスの吹き込みは、吹き込ま
れたガスが浮上するとき、硫化カルシウムを凝集し、肥
大させ、湯面上へ浮上させる作用がある。湯面上へ浮上
することにより、介在物の硫化カルシウムが下部溶鋼か
ら分離された状態すなわちスラグと同様の状態となる。
この状態となった溶鋼は、湯面上部を分離して連続鋳造
することができる。したがって、高硫黄鋼の製造の場合
であって長時間の連続鋳造を行う時も、低硫黄鋼製造の
場合と同様のカルシウム系化合物の線状体の送給を.っ
た後、不活性ガスの吹き込みによる硫化カルシウムの凝
集肥大と浮上分離を行うことにより、連続鋳造をする際
にノズル部に不活性ガスを吹き込む必要がなくなる。
また、カルシウム系化合物の線状体の送給後の不活性ガ
スの吹き込みは、低硫黄鋼の製造の場合にも適用でき、
これを適用した場合は、ノズル部に不活性ガスを吹き込
まない場合の連続鋳造において、ノズル閉塞防止がより
完全なものとなる。
以上のように、本発明は、取鍋ノズルやタンデイッシュ
ノズルにおいて、ノズル閉塞防止のために従来行われて
いた不活性ガスの吹き込みを行わなくても、ノズル閉塞
を生じることなく安定して連続鋳造することができる。
そのため、ノズル部への不活性ガスの吹き込みが原因で
生じていた表層下の鉛および硫黄の偏析層発生の問題を
除去できるのである。
(実 施 例) 本発明の実施例を、第1表〜第3表を参照しながら以下
に説明する。
第1実施例 本発明の第1実施例は、高硫黄鋼を対象とし、比較的短
時間で溶鋼を連続鋳造するものであって、第1表〜第3
表においては実験No.1に示すものであり、それらに基づ
いて以下に説明する。
転炉で溶製した90トンの溶鋼を、スラグドラッガーによ
りスラグ除去した後、取鍋内に注入し、次にその取鍋内
の溶鋼に造滓剤を添加して酸化カルシウム(以降、これ
をCeOという。)45%,酸化マグネシグウム(以降、こ
れをMgOという。)10%,二酸化シリコン(以降、これ
をSiO2という。)20%およびアルミナ(以降、これをAl
2O3という。)25%からなるスラグ組成に調整した。そ
のあと、溶鋼中へのアーク通電により溶鋼温度を調整す
ると同時に、フェロマンガン,脱酸剤のアルミニウムな
どの各種原料を添加して鉛以外の成分について成分調整
を行った。ついで、溶鋼中に浸漬された注入管を用い
て、400Kgの粉末状の酸化鉛(以降、この酸化鉛をPb2O
という。)をアルゴンガスにより搬送し、当該アルゴン
ガスと共に溶鋼中に順次注入した。この時当該アルゴン
ガスの流量は40Nm3/Hrとした。この後、CaSiの線状体を
溶鋼中へ送給した。すなわち、この線状体をその先端部
から溶鋼の最大深部まで溶鋼中に浸漬した後、その溶解
の進行に伴って、順次この線状体を送り続けて行い、溶
鋼を精錬処理した。この時、この線状体の総送給量は50
Kgとした。
上記精錬処理の後、この取鍋内竹鋼を連続鋳造した。こ
の連続鋳造において、鋳型への溶鋼の注入は、溶鋼をタ
ンディッシュに注入し、そのノズルを介して行った。ま
た、鋳込み総重量は90トン、鋳込み時間は1時間とし
た。この場合、取鍋およびタンデイッシュとも、それら
のノルズ部にはアルゴンガスなどの不活性ガスの吹き込
みを行っていないが、鋳込み注入の途中、ノズル閉塞を
全く起こすことなく、円滑に溶鋼の注入ができた。
また、上記連続鋳造において、鋳片の形状寸法は、厚さ
300mm,幅430mmのブルームとし、鋳造後このブルームを
直径17mmの丸棒に圧延し、冷間圧造性について調査した
結果、冷間圧造は割れなどの不具合を全く生じることな
く行うことができた。尚、前記ブルームを用いて化学成
分の分析を行い、その結果は第3表の実験No.1に示され
るものである。
前記冷間圧造テスト材について、10個所切断した後、そ
の断面について顕微鏡によるミクロ調査を行ったが、第
2表に示すように表層下における鉛および硫黄の偏析お
よび未溶解Pb2Oの残留などの欠陥は全く認められなかっ
た。
一方、本発明の効果を確認するため、従来の製造方法に
よる実験も行った。この方法およびその結果は、第1表
〜第3表において実験No.2および3に相当するものであ
り、高硫黄鋼を対象とするものである。
すなわち、実験No.2は、本発明の実施例と同様、転炉溶
製の90トンの溶鋼を取鍋内に注入し、次に取鍋内の溶鋼
に本発明の実施例と同様の方法によりスラグ組成の調
整,溶鋼温度の調整,各種原料添加を行った後、再度ス
ラグをかき分けて裸湯面を露出させ、その湯面に400Kg
の粒状のPb2Oを投入添加した。これらの一連を精錬処理
をした後、一部の条件を除いて本発明の実施例と同様の
方法により、取鍋内溶鋼を連続鋳造した。すなわち、そ
の条件はノズル部へのアルゴンガス吹込みに関するもの
であり、実験No.2の場合、取鍋ノズルおよびタンディッ
シュノズル部ともノズル閉塞防止のために、当該ノズル
部にアルゴンガスを吹き込みながら、溶鋼の注入を行っ
た。そのため、ノズル閉塞を生じていない。
この連続鋳造によってつくられた鋳片(本発明の実施例
と同様の形状寸法のブルーム)は、本発明と同様の加
工,冷間圧造およびミクロ調査に供した。その結果、冷
間圧造により部分的に割れを生じており、その割れ近傍
には鉛が偏析していることが確認された。また、冷間圧
造割れを生じていない個所についても、表層下に鉛およ
び硫黄の偏析層が圧延方向に延びて存在していた。
実験No.3は、上記実験No.2の場合に生じた問題点の冷間
圧造割れ、鉛および硫黄の偏析を解消するため、溶鋼の
連続鋳造の際に、タンディッシュノズル部にアルゴンガ
スを吹き込まない状態で溶鋼を鋳型に注入したものであ
り、他の条件および加工、また調査内容は実験No.2の場
合と同様である。この場合は第2表に示すように、実験
No.2の場合における問題点のうち、冷間圧造割れは極く
軽微となり、改善されたが、未溶解のPb2Oの残留が認め
られた。また、溶鋼を鋳型に注入する時、その注入途中
においてタンディッシュノズル部が閉塞し、それを機械
的に修復して引き続き注入を行ったが、再度ノズル部が
閉塞し、全注入が終了するまでに計2回のタンディッシ
ュノズルの閉塞が生じた。
以上のように、従来の製造方法である実験No.2あるいは
その改善のために実施した実験No.3においては、冷間圧
造割れ,鉛および硫黄の偏析,未溶解Pb2Oの残留あるい
はタンディッシュノズル閉塞の問題点を有するが、本発
明の実施例では、これらの問題点が全て解消され、ノズ
ル閉塞を生じることなく、安定して連続鋳造ができ、ま
た、冷間圧造割れの発生もなく、さらに、鉛および硫黄
の偏析、未溶解Pb2Oの残留も生じていない。
第2実施例 本発明の第2実施例は、第1表〜第3表においては実験
No.4に示すものであり、その特徴とするところは前記第
1実施例(実験No.1)に比較してタンディッシュノズル
を通過する溶鋼量を3倍の270トンにし、それに応じて
取鍋内容鋼の精錬処理時に添加する材料、鋳込み重量お
よび鋳込み時間などをそれぞれ3倍にしたことにある。
すなわち、本実施例は、高硫黄鋼を対象とし、前記第1
実施例において粉末状Pb2Oの添加量を1200Kg,線状のCaS
iの投入量を150Kgとし、また、鋳込み総重量を270ト
ン,鋳込み時間を3時間としたもの である。
本実施例(実験No.4)は、取鍋内溶鋼の連続鋳造におい
て、ノズル部へのアルゴンガス吹き込みは行っていない
が、ノズル閉塞を全く生ずることなく、鋳型への溶鋼注
入ができた。また、冷間圧造割れは全く生じておらず、
さらに、表層下における鉛および硫黄の偏析および未溶
解Pb2Oの残留などの欠陥は全く認められなかった。
第3実施例 本発明の第3実施例は、第1表〜第3表においては実験
No.5および実験No.6に示すものであり、その特徴とする
ところは前記第1実施例(実験No.1)に比較してタンデ
ィッシュノズルを通過する溶鋼量を6倍の540トンに
し、それに対応して精錬処理時に添加する各種材料の
量,鋳込み重量および鋳込み時間などをそれぞれ6倍に
したこと、および、実験No.5については硫黄含有量を低
くしたことにある。
実験No.5の場合すなわち低硫黄鋼(0.012%)の場合
は、取鍋内溶鋼の連続鋳造において、ノズル部へのアル
ゴンガス吹き込みは行っていないが、ノズル閉塞を全く
生ずることなく、鋳型への溶鋼の安定注入ができた。一
方、実験No.6の場合すなわち高硫黄鋼(0.023%)の場
合は、注入を開始してから約5時間後にタンディッシュ
ノズルが閉塞寸前となったので、それを機械的に修復す
る必要が生じた。その修復後はノズル閉塞は全く起こら
なかった。このことからも、高硫黄鋼であり、かつ、長
時間の溶鋼注入である場合には、前記実施例(実験No.5
および実験No.6)のような精錬処理だけでは、ノズル閉
塞が生じる可能性があることがわかる。
連続鋳造後においては、本実施例のいずれの場合も冷間
圧造割れ、冷延材の表層下における鉛および硫黄の偏析
層および未溶解Pb2Oの残留などの欠陥は全く認められな
かった。
第4実施例 本発明の第4実施例は、第1表〜第3表においては実験
No.7に示すものであり、その特徴とするところは前記第
1実施例(実験No.1)に比較してタンディッシュノズル
を通過する溶鋼量を6倍の540トンにし、それに応じて
精錬処理時の各種材料の添加量,鋳込み重量および鋳込
み時間などを6倍にしたこと、ならびに、上記第1実施
例に取鍋内溶鋼処理として溶鋼中へのアルゴンガス吹き
込みの工程を付加したことにある。
すなわち、本実施例は、高硫黄鋼を対象とし、取鍋内に
注入された540トンの溶鋼に対して、前記第1実施例と
同様のスラグ組成、溶鋼温度および成分の調整を行った
後、前記第1実施例と同様の操作によって、溶鋼中への
2400Kgの粉末状Pb2Oの注入、および、300Kgの線状CaSi
の投入を行い、その直後に取鍋底部に設けられたガス吹
き込み口より、アルゴンガスの吹き込みを開始した。こ
のガスの吹き込み量は20/minの一定とし、吹き込みを
続けた。当該アルゴンガスは溶鋼を撹拌しながら溶鋼中
を上昇する。この時、当該アルゴンガスの作用は溶鋼中
の硫化カルシウム系介在物を凝集肥大させ、それを浮上
させ、溶鋼中から分離することにある。
上記精錬処理の後、前記第1実施例の場合と同様の方法
により、取鍋内溶鋼を連続鋳造し、硫黄含有量が0.024
%の高硫黄鋼を製作した。この連続鋳造において、ノズ
ル部へのアルゴンガスの吹き込みは行っていないが、ノ
ズル閉塞は全く起こすことなく、安定して溶鋼注入がで
きた。
上記鋳造後、前記第1実施例と同様の冷間圧造および当
該圧造材の調査を行った。冷間圧造割れは全く生じてお
らず、また、表層下における鉛および硫黄の偏析層およ
び未溶解Pb2Oの残留などの欠陥は全く認められなかっ
た。
上記のことからも、本実施例(実験No.7)の精錬方法に
よれば、高硫黄鋼であり、かつ、長時間の溶鋼注入であ
る場合も、ノズル閉塞を生じることなく溶鋼の安定注入
が可能となり、また、鉛および硫黄の偏析層などの欠陥
の発生を防止できることが確認された。
(発明の効果) 本発明は以上説明したように、簡単かつ独特な溶鋼の精
錬処理によって、溶鋼中の介在物の量を極めて少なくす
ることができるため、溶鋼の連続鋳造において、鋳型へ
の溶鋼の注入時、タンディッシュノズルなどの溶鋼注入
ノズルの閉塞防止の目的で従来行われていたアルゴンガ
スなどの不活性ガスの吹き込みを行わなくても、ノズル
閉塞を生ずることなく安定して連続鋳造することができ
る。そのため、従来生じる可能性が大きかった鋳片の表
層下における鉛および硫黄のマクロ偏析層が、本発明に
よる製造方法では生成しないという効果がある。また、
前記のように溶鋼中の介在物量が極めて少ないので、清
浄度が高い鉛快削鋼を製することができるという効果も
ある。なお、本発明による前記精錬処理において、急速
な脱硫あるいは脱酸反応に因る原料の再添加などの操業
上の問題を招くことはない。
さらに、鉛の成分調整においては、その添加原料を溶解
し易い粉状体とし、かつ、その粉状体をアルゴンガスな
どの不活性ガスと共に溶鋼を強制撹拌しながら溶鋼中に
注入するという簡単な方法で、添加原料を完全に溶解
し、しかも、成分としての鉛を鋼中に均一分布させるこ
とができる。そのため、従来生じる可能性があった鉛の
偏析、あるいは、未溶解の鉛原料の残留が生じないとい
う効果がある。
したがって、本発明は、従来の連続鋳造法による鉛快削
鋼の製造方法における問題点を解消させ、内部欠陥がな
く、冷間圧造性および被削性などの材料特性が優れた鉛
快削鋼を連続鋳造法により安定して製造することができ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】取鍋内に注入された溶鋼に造滓剤の添加、
    スラグの調整、温度調整および各種原料添加による成分
    調整を行った後、鉛成分の添加のために粉末上の鉛原料
    を不活性ガスの搬送により、その不活性ガスとともに溶
    鋼中に注入し、その注入と同時あるいはその注入の後
    に、カルシウム系化合物の線状体を溶鋼中へ送給して再
    度精錬処理を行い、ついでこの精錬処理が行われた溶鋼
    を連続鋳造することを特徴とする鉛快削鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】取鍋内に注入された溶鋼に造滓剤の添加、
    スラグの調整、温度調整および各種原料添加による成分
    調整を行った後、鉛成分の添加のために粉末状の鉛原料
    を不活性ガスの搬送により、その不活性ガスとともに溶
    鋼中に注入し、その注入と同時あるいはその注入の後
    に、カルシウム系化合物の線状体を溶鋼中へ送給して精
    錬処理し、この精錬処理後に不活性ガスを吹き込む精錬
    処理を行い、ついでこの精錬処理が行われた溶鋼を連続
    鋳造することを特徴とする鉛快削鋼の製造方法。
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