JPH0742415U - 車両用駆動力制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 前進時だけでなく後退時においても駆動輪の
スリップ収束が十分に行なわれて車両挙動の安定性を確
保することができる車両用駆動力制御装置の提供。 【構成】 駆動輪の回転数を検出する駆動輪回転数検出
手段ａと、従動輪の回転数を検出する従動輪回転数検出
手段ｂと、駆動輪の回転数と従動輪の回転数との回転数
差から駆動輪のスリップ状態を検出するスリップ検出手
段ｃと、駆動力発生手段ｄと駆動輪との間に介在された
変速ギアのギア切り換え位置を検出するギア位置検出手
段ｅと、スリップ検出手段ｃでスリップ状態が検出され
ると、その時の変速ギアのギア位置が前進ギアである時
は基本となる制御則に基づいて駆動力発生手段ｄの駆動
力を低減させ、変速ギアのギア位置がバックギアである
時は前進時の制御則とは異なる制御則に基づいて駆動力
発生手段の駆動力を低減させる駆動力制御手段ｆと、を
備える。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、駆動輪のスリップを防止する車両用駆動力制御装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、車両用駆動力制御装置としては、例えば、特開昭６０−１３５３３３号 公報に記載されたものが知られている。

【０００３】 この従来装置は、過給圧を制御するための入力情報として内燃機関と車輪との 間に配置された変速機の変速比に関する情報を用いてスリップ低減を行なうこと により、車両の発進時及び加速時において駆動輪スリップを早急に収束させ、こ れにより、安全に発進・加速が行われるようにしたものであった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上述の従来装置にあっては、車両の前進時に比べ、後退時では 変速ギアの変速比が異なる（減速比が大きい）ことから車輪駆動力が大きくなり 、このため、前進時のスリップ制御における制御則による時は、車両の後退発進 の際に発生するスリップに対しては、その収束が不十分で、車両挙動の安定性確 保が困難になるという問題点があった。

【０００５】 本考案は、上述の従来の問題点に着目してなされたもので、前進時だけでなく 後退時においても駆動輪のスリップ収束が十分に行なわれて車両挙動の安定性を 確保することができる車両用駆動力制御装置を提供することを目的とするもので ある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上述の目的を達成するために、本考案の車両用駆動力制御装置は、図１のクレ ーム対応図に示すように、駆動輪の回転数を検出する駆動輪回転数検出手段ａと 、従動輪の回転数を検出する従動輪回転数検出手段ｂと、駆動輪の回転数と従動 輪の回転数との回転数差から駆動輪のスリップ状態を検出するスリップ検出手段 ｃと、駆動力発生手段ｄと駆動輪との間に介在された変速ギアのギア切り換え位 置を検出するギア位置検出手段ｅと、スリップ検出手段ｃでスリップ状態が検出 されると、その時の変速ギアのギア位置が前進ギアである時は基本となる制御則 に基づいて駆動力発生手段ｄの駆動力を低減させ、変速ギアのギア位置がバック ギアである時は前進時の制御則とは異なる制御則に基づいて駆動力発生手段の駆 動力を低減させる駆動力制御手段ｆと、を備えている手段とした。

【０００７】

【作用】

本考案の車両用駆動力制御装置では、上述のように構成されるため、その時の 変速ギアのギア位置が前進ギアである時は基本となる制御則に基づいて駆動力発 生手段の駆動力を低減させるもので、これにより、従来と同様に車両の発進時や 加速時における駆動輪のスリップ収束が十分に行なわれて車両挙動の安定性を確 保することができる。

【０００８】 また、変速ギアのギア位置がバックギアである時は前進時の制御則とは異なる 制御則に基づいて駆動力発生手段の駆動力を低減させるもので、これにより、後 退時においても駆動輪のスリップ収束が十分に行なわれて車両挙動の安定性を確 保することができる。

【０００９】

【実施例】

本考案実施例を図面に基づいて説明する。 図２は、本考案実施例の車両用駆動力制御装置を示す構成説明図であって、図 において、１_FL，１_FRは左右各従動輪 WFL， WFRの回転数Ｎf を検出する従動輪 回転数センサで、１_RL，１_RRは左右各駆動輪 WRL， WRRの回転数Ｎd を検出する 駆動輪回転数センサであり、それぞれ、ピックアップコイルを使用した電磁式回 転センサが使用され、各車輪の回転数に応じた周波数信号を出力する。

【００１０】 また、２は駆動力発生手段を構成するエンジン、３は点火プラグ、４はインテ ークマニホールド、５は排気管、６はオートマチック・トランスミッション（変 速ギア）A/T のギア位置を検出するギア位置検出センサであり、前記インテーク マニホールド４には、エンジン２の各気筒に対する燃料噴射を行なうインジェク タ７が設けられている。

【００１１】 また、８はエンジンコントロールユニットであり、このエンジンコントロール ユニット８では、エンジン２の駆動力等の制御が行なわれる他、点火プラグ３の 点火時期や、インジェクタ７における燃料噴射量等を任意に調整することができ るようになっている。

【００１２】 また、９はトラクションコントロールユニットであり、このトラクションコン トロールユニット９は、従動輪回転数センサ１_FL，１_FR、駆動輪回転数センサ１_RL ，１_RR、及び、ギア位置検出センサ６からの信号が入力される。そして、この トラクションコントロールユニット９には、駆動輪のスリップ状態を検出するス リップ検出手段と、駆動輪のスリップ状態に基づいてエンジン２の駆動力を制御 （低減）すべくエンジンコントロールユニット８に駆動力低減制御信号を出力す る駆動力制御手段とが設けられている。

【００１３】 そして、前記エンジンコントロールユニット８では、駆動力低減制御信号に応 じて燃料噴射料の低減及び／または点火時期の遅角等による駆動力低減制御が行 なわれるようになっている。

【００１４】 次に、前記トラクションコントロールユニット９における制御作動を、図３の フローチャートに基づいて説明する。 まず、ステップ１０１では、駆動輪回転数センサ１_RL，１_RR及び従動輪回転数 センサ１_FL，１_FRからの入力信号に基づいて、駆動輪回転数Ｎd 及び従動輪回転 数Ｎf を検出する。

【００１５】 ステップ１０２では、次式(1) に基づき、駆動輪回転数Ｎd を基準としたスリ ップ判断しきい値Ｎo を求める。 Ｎo ＝ｋ×Ｎf ＋Ｌ ・・・・・・・・・・・・・・・・・(1) 尚、ｋ，Ｌは定数である。

【００１６】 ステップ１０３では、スリップ判断しきい値Ｎo より駆動輪回転数Ｎd が大で あるか否かを判定し、ＹＥＳである時（所定量以上のスリップが生じている時） は、ステップ１０４へ進み、ＮＯである時（所定量以上のスリップが生じていな い時）は、これで制御フローを終了する。

【００１７】 ステップ１０４では、ギア位置検出センサ６からの入力信号に基づき、オート マチック・トランスミッションA/T のギア位置がバックギア位置であるか否かを 判定し、ＹＥＳ（バックギア位置）である時は、車両の後退時と判断し、ステッ プ１０５に進んで後退時における制御ゲインを選択し、また、ＮＯ（バックギア 以外の位置）である時は、車両の前進時と判断し、ステップ１０６に進んで基本 となる前進時における制御ゲインを選択する。

【００１８】 ステップ１０７では、エンジン２の駆動力低減制御を行なう。即ち、前記ステ ップ１０５または１０６のいずれかで選択された制御ゲイン及び駆動輪 WRL， W RRと従動輪 WFL， WFRとの回転数差（Ｎd −Ｎf ）に基づいて、駆動力低減量を 算出し、この駆動力低減量に応じた駆動力低減制御信号をエンジンコントロール ユニット８に対し出力する。尚、前記制御ゲインは、前進時より後退時の方が高 めに設定されていて、前進時より後退時の方が駆動力低減量が大きくなるように なっている。 以上で一回の制御フローを終了し、以後は以上の制御フローを繰り返すもので ある。

【００１９】 即ち、この実施例では、駆動輪に所定量以上のスリップが発生した場合に、そ の時のオートマチック・トランスミッションA/T のギア位置がバックギア位置以 外（前進位置）である時は、基本となる前進時における制御ゲインに基づいたエ ンジン２の駆動力低減制御が行なわれるもので、これにより、従来と同様に車両 の発進時や加速時における駆動輪のスリップ収束が十分に行なわれて車両挙動の 安定性を確保することができると共に、その時のオートマチック・トランスミッ ションA/T のギア位置がバックギア位置である時は、前進時における制御ゲイン よりは高めの制御ゲインに基づいたエンジン２の駆動力低減制御が行なわれるも ので、これにより、後退時においても車両の発進時や加速時における駆動輪のス リップ収束が十分に行なわれて車両挙動の安定性を確保することができるように なるという特徴を有している。

【００２０】 以上、実施例について説明してきたが具体的な構成はこの実施例に限られるも のではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本考案に含 まれる。

【００２１】 例えば、実施例では、駆動力低減手段として、点火時期を遅角する場合と、燃 料噴射料を低減させる場合とを例示したが、その他にスロットル開度の調整や、 ブレーキングによる手段や、過給圧の調整による手段を用いることができる。

【００２２】 また、本考案が適用される駆動力発生手段としては、ガソリンエンジンの他に 、ディーゼルエンジン，ガスタービン，電動モータその他公知の駆動力発生手段 に適用することができる。

【００２３】

【考案の効果】

以上説明してきたように本考案の車両用駆動力制御装置は、駆動輪の回転数と 従動輪の回転数との回転数差から駆動輪のスリップ状態を検出するスリップ検出 手段と、駆動力発生手段と駆動輪との間に介在された変速ギアのギア切り換え位 置を検出するギア位置検出手段と、スリップ検出手段でスリップ状態が検出され ると、その時の変速ギアのギア位置が前進ギアである時は基本となる制御則に基 づいて駆動力発生手段の駆動力を低減させ、変速ギアのギア位置がバックギアで ある時は前進時の制御則とは異なる制御則に基づいて駆動力発生手段の駆動力を 低減させる駆動力制御手段と、を備えている手段としたことで、前進時だけでな く後退時においても駆動輪のスリップ収束が十分に行なわれて車両挙動の安定性 を確保することができるようになるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の車両用駆動力制御装置を示すクレーム
概念図である。

【図２】本考案実施例の車両用駆動力制御装置を示す構
成説明図である。

【図３】実施例装置のトラクションコントロールユニッ
トにおける制御作動を示すフローチャートである。

【符号の説明】

ａ 駆動輪回転数検出手段 ｂ 従動輪回転数検出手段 ｃ スリップ検出手段 ｄ 駆動力発生手段 ｅ ギア位置検出手段 ｆ 駆動力制御手段

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｆ０２Ｄ 45/00 ３１２ Ｍ ３４５ Ｇ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 駆動輪の回転数を検出する駆動輪回転数
   検出手段と、 従動輪の回転数を検出する従動輪回転数検出手段と、 駆動輪の回転数と従動輪の回転数との回転数差から駆動
   輪のスリップ状態を検出するスリップ検出手段と、 駆動力発生手段と駆動輪との間に介在された変速ギアの
   ギア切り換え位置を検出するギア位置検出手段と、 スリップ検出手段でスリップ状態が検出されると、その
   時の変速ギアのギア位置が前進ギアである時は基本とな
   る制御則に基づいて駆動力発生手段の駆動力を低減さ
   せ、変速ギアのギア位置がバックギアである時は前進時
   の制御則とは異なる制御則に基づいて駆動力発生手段の
   駆動力を低減させる駆動力制御手段と、を備えているこ
   とを特徴とする車両用駆動力制御装置。