JPH0741322A - 繊維状マグネタイト及びその製造法 - Google Patents

繊維状マグネタイト及びその製造法

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JPH0741322A
JPH0741322A JP5208949A JP20894993A JPH0741322A JP H0741322 A JPH0741322 A JP H0741322A JP 5208949 A JP5208949 A JP 5208949A JP 20894993 A JP20894993 A JP 20894993A JP H0741322 A JPH0741322 A JP H0741322A
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magnetite
fibrous
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fiber
reduced
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JP5208949A
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Masayoshi Suzue
正義 鈴江
Harue Mizobuchi
治恵 溝渕
Kihachiro Nishiuchi
紀八郎 西内
Takuro Morimoto
琢郎 森本
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Otsuka Chemical Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の粒子状の還元型マグネタイトに比し著
しく優れた炭酸ガス分解活性を有し、且つ、気孔率が高
いので圧力損失による触媒効率の低下がなく再利用可能
な触媒となり得る繊維状マグネタイトを提供する。 【構成】 繊維質基材の表面がFe34-X(0<x≦0.
5)で示される還元型マグネタイトで被覆されてなる繊
維状マグネタイト及びその製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維状マグネタイトに
関する。該繊維状マグネタイトは、例えば、炭酸ガス分
解用の触媒基材として有用である。また繊維質基材に導
電性を有するものを用いる場合には、例えば、燃料電池
などの素材としても有用である。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境の保全に対する認識が高
まり、クリーンエネルギーの利用や開発、炭酸ガスの除
去や削減などが大きな課題となつている。
【0003】クリーンエネルギーを利用する方法として
は、例えば、太陽熱を利用して水を電気分解し、水素及
び酸素を製造する方法が提案されている。しかしなが
ら、この方法によれば太陽熱の利用効率を高めるために
大規模なプラントを必要とし、従つて設置場所が海洋、
砂漠などに限定され、設置コストが莫大になるだけでな
く、国際的な協調が要求されるなど問題点が多い。
【0004】炭酸ガスを除去または削減する方法として
は、例えば、アミンを用いて回収する方法が提案されて
いる。しかしながら、この方法では資源としての再利用
が不可能であり、経済的な付加価値に乏しい。
【0005】更に炭酸ガスを分解するために、マグネタ
イト(Fe34)、還元型マグネタイトなどの微細粒状
物を触媒として用いることが研究されている(機能材料
1990年12月号、特開平3−245845号、特開平3−
285829号)。これらの触媒は良好な触媒活性を有
しているが、一層優れたものが要望されている。また、
これらの触媒を用いて炭酸ガスの分解を行うに当たつて
は、現状では流動床を用いる固体/気相系反応(具体的
には該触媒中に炭酸ガスを通す反応)以外に方法がない
が、この方法には圧力損失が生ずるという欠点がある。
すなわち該触媒が微細粒子で且つ気孔率の低いものであ
るため、炭酸ガスの流入圧力によつて目詰まりや固化を
起こし、触媒効率が著しく低下したり或いは固化により
再利用ができなくなる。更にマグネタイトよりも優れた
炭酸ガス分解能を有する還元型マグネタイトは、通常マ
グネタイト中に水素ガスを通して製造されるが、この場
合にも前記と同様に水素ガスの流入圧力によつてマグネ
タイトの目詰まりや固化が起こり、マグネタイトの還元
が充分に行われないという問題がある。
【0006】一方本発明者は、特開昭62−25680
0号公報および特開昭62−260800号公報におい
て、樹脂への充填を目的とした電磁波シールド用素材と
して、繊維質基材の表面をマグネタイトで被覆してなる
磁性物質を提案している。しかしながら、これらの公報
には、炭酸ガスの分解についての記載はなく、また還元
型マグネタイトに関する記述もない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の粒子状の還元型マグネタイトに比し著しく優れた
炭酸ガス分解活性を有し、且つ、気孔率が高いので圧力
損失による触媒効率の低下がなく再利用可能な触媒とな
り得る繊維状マグネタイトを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、(1)繊
維質基材の表面がFe34-X(0<x≦0.5)で示される
還元型マグネタイトで被覆されてなる繊維状マグネタイ
ト、(2)前記(1)の繊維状マグネタイトの製造法、
及び(3)前記(1)の繊維状マグネタイトの表面の一
部又は全面を、更に炭素被覆してなる繊維状マグネタイ
トを提供するものである。
【0009】上記(1)の繊維状マグネタイトは、繊維
質基材の表面がFe34-X(0<x≦0.5)で示される還
元型マグネタイトで被覆されたものである。
【0010】繊維質基材としては、特に制限はないが、
通常繊維長が3μm〜50mm程度、好ましくは10μm〜30mm
程度で、アスペクト比が通常10以上、好ましくは10〜10
00程度、より好ましくは10〜300程度のものがよい。繊
維長が3μm未満では、炭酸ガスを分解する際などに繊
維が折れて更に短くなり、圧力損失による触媒活性の低
下を起こす可能性がある。一方50mmを越えても特に問題
はないが、還元型マグネタイトの被覆が困難になり、し
かもより一層の触媒活性の向上が望めない可能性があ
る。アスペクト比が10より著しく小さくなると、触媒活
性の向上が不十分になるおそれがある。
【0011】また繊維質基材を構成する材質としても特
に制限はないが、被覆する還元型マグネタイトの安定
性、触媒活性などを考慮すると、Li、Na、Kなどのア
ルカリ金属、Mg、Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金
属、Ti、ZrなどのIVa族元素、Mo、WなどのVIa族元
素、Fe、CoなどのVII族元素、CuなどのIb族元素、
B、AlなどのIIIb族元素、C、Si、Sn、PbなどのIV
b族元素、N、P、SbなどのVb族元素、F、Cl、Br、
Iなどのハロゲン元素及びこれらの酸化物、含水素化合
物、炭酸塩、硫酸塩などを挙げることができ、これらの
少なくとも1種を使用できる。本発明で使用する繊維質
基材は、例えば、前記成分の混合物、化合物、複塩、共
晶物、微結晶などの少なくとも1種の集合体などであつ
てもよく、或いは単結晶体であつてもよい。繊維質基材
の具体例としては、例えば、グラフアイトウイスカー、
炭素繊維、炭化ホウ素繊維、炭化ケイ素繊維、炭化チタ
ン繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、窒化アルミ
ニウム繊維、酸化ケイ素繊維、酸化チタン繊維、酸化ア
ルミニウム繊維、酸化錫繊維、酸化亜鉛繊維、酸化マグ
ネシウム繊維、二酸化チタン繊維、チタン酸アルカリ繊
維、チタン酸アルカリ土類繊維、ホウ酸アルミニウム繊
維、ホウ酸マグネシウム繊維、珪酸アルミニウム繊維、
珪酸マグネシウム繊維、珪酸カルシウム繊維、珪酸亜鉛
繊維、リン酸カルシウム繊維、アルミナ繊維、アルミナ
−シリカ繊維などを挙げることができ、その中でも、窒
化ケイ素繊維、窒化アルミニウム繊維、酸化ケイ素繊
維、酸化チタン繊維、酸化アルミニウム繊維、チタン酸
アルカリ繊維、チタン酸アルカリ土類繊維、ホウ酸アル
ミニウム繊維などが好ましい。これらの繊維は異種元素
で微量ドープされていてもよく、前記成分で表面処理さ
れていてもよい。また、例えば特開昭58−20722
号公報に記載の方法に従い、これらの繊維表面にAu、
Pt、Ag、Ni、炭素などの導電性及び触媒活性を有す
る物質を被覆してもよい。
【0012】本発明において、上記繊維質基材の表面に
被覆する還元型マグネタイトは、組成式:Fe3
4-X(0<x≦0.5)で示されるものである。xが0.5を
越えると、炭酸ガス分解活性が低下するおそれがある。
還元型マグネタイト自体は、上述の様に公知の化合物で
あり、マグネタイト(Fe34)を還元することにより
製造される。還元型マグネタイトの繊維質基材への被覆
割合は特に制限されず、使用する繊維質基材の比重、表
面積の大きさなどに応じて広い範囲から適宜選択できる
が、通常繊維質基材/還元型マグネタイト=95/5〜10
/90程度とするのがよい。前記の範囲から著しく外れる
と、得られる触媒の炭酸ガス分解活性が低下するおそれ
がある。
【0013】上記(1)の本発明繊維状マグネタイトを
製造するに当たつては、まず繊維質基材の表面に含酸素
鉄化合物を被覆する。前記の含酸素鉄化合物は公知のも
のであり、通常マグネタイト、マグヘマイト、フエライ
トなどを言う。
【0014】含酸素鉄化合物の被覆には、例えば、湿式
法、気相化学反応法(CVD)、多相沈積法(PV
D)、スパツタリング法などの公知の方法が採用でき
る。
【0015】例えば湿式法によれば、尿素の存在下、繊
維質基材の水分散液に第1鉄塩と第2鉄塩の等量混合水
溶液を添加混合すればよい。この反応は攪拌下に行つて
もよい。鉄塩としては、その水溶液が中性又は酸性を示
すもの及び水可溶性溶媒に溶解し得るか又は該溶媒中で
安定なコロイド分散系を形成し得るものを使用する。具
体的には、例えば、塩化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、水酸化
鉄、炭酸鉄、有機質鉄塩などを挙げることができ、これ
らの少なくとも1種を使用できる。鉄塩水溶液中の鉄塩
濃度は特に制限されないが、通常第1鉄塩と第2鉄塩の
合計量で0.1〜70(v/v)%程度とすればよい。0.1%
未満では鉄塩の被覆量が低下するおそれがあり、一方70
%を越えると混合機による攪拌又は混練が困難になり、
作業性が低下するおそれがある。尿素の使用量は特に制
限はないが、含酸素鉄化合物の生成のし易さ、経済性な
どを考慮すると、通常第2鉄イオンに対して10〜100程
度、好ましくは30〜50程度(モル比)とすればよい。反
応条件も特に制限はないが、通常50℃〜沸点程度の温度
下に行うのが好ましく、また反応系のpHを5〜12、好
ましくは10〜12とするのが良い。
【0016】また多相沈積法によれば、例えば、必要に
応じ攪拌下にて、繊維質基材の水分散液に鉄塩水溶液を
添加し、加水分解を行う方法を挙げることができる。鉄
塩及びその濃度は、上記湿式法の場合と同様でよい。ま
た加水分解法としては公知の方法が採用でき、例えば、
Li、Ki、Na、Ca、Mg、Ba、Srなどのアルカリ金
属又はアルカリ土類金属などの加水分解剤を添加する方
法などを挙げることができる。加水分解剤の使用量は、
鉄塩や繊維質基材の種類などに応じて適宜選択すればよ
いが、鉄塩に対して通常0.1〜8程度、好ましくは0.7〜
6(モル比)程度とすればよい。加水分解剤は通常その
まま又は水溶液の形態で使用される。加水分解を促進す
るために、エアレーシヨンを行つてもよい。反応温度
は、通常50℃以上とするのがよい。さらに、繊維質基材
表面に鉄系化合物を沈積させ、これを加熱酸化により含
酸素鉄化合物に変化させてもよい。
【0017】次いで、繊維質基材表面に被覆された含酸
素鉄化合物を還元することにより、該含酸素鉄化合物が
組成式:Fe34-X(0<x≦0.5)で示される還元型マ
グネタイトに変換され、上記(1)の繊維状マグネタイ
トを得ることができる。
【0018】還元法としては、例えば、水素還元法、減
圧又は真空処理法などを挙げることができる。水素還元
は、例えば、含酸素鉄化合物被覆−繊維質基材を含む反
応系の気相をヘリウムガスなどの不活性ガスで置換した
後、更に100〜400℃の温度下に水素ガスを導入すること
により行われる。水素ガスの導入時間は、反応系の温
度、含酸素鉄化合物被覆−繊維質基材の量などに応じて
適宜選択すればよい。
【0019】含酸素鉄化合物を還元型マグネタイトに変
換する時、繊維質基材として、表面の全面又は一部に炭
素質層を有するもの又は表面が炭素で被覆されたものを
使用すると、含酸素鉄化合物が効率良く還元型マグネタ
イトに変換され、しかも触媒活性、触媒効率、安定性及
び再利用性の面から特に優れた繊維状マグネタイトが得
られる。この様な優れた効果が得られる理由は、未だ充
分明らかではないが、炭素質層の表面は極めて微細な凸
凹状態となり、比表面積が著しく増大するためと考えら
れる。なお表面に炭素質層を有する繊維質基材は導電性
を有しており、かかる繊維質基材を用いて製される繊維
状マグネタイトは燃料電池の素材としても使用でき、こ
の場合炭素質層の厚みは1.0nm〜10μm程度とするのがよ
い。
【0020】本発明の繊維状マグネタイトには、その触
媒活性、再利用性などを一層向上させる目的で、その表
面の一部又は全面に炭素質層を形成してもよい。炭素質
材料としては公知のものが使用でき、例えば、黒鉛、グ
ラフアイトなどを挙げることができる。炭素質層を形成
するには、例えば、公知の方法に従い、本発明の繊維状
マグネタイトを用いて炭酸ガスを分解すればよい。
【0021】本発明の繊維状マグネタイトを用いて炭酸
ガスを分解するに際しては、公知の方法、例えば機能材
料1990年12月号、特開平3−245845号、特開平3
−285829号等に記載された方法が採用できる。
【0022】
【実施例】以下に実施例、比較例及び実験例を挙げ、本
発明を一層明瞭なものとする。
【0023】実施例1 マグヘマイト被覆繊維状物の製造 塩化第2鉄(FeCl3・6H2O、ナカライテクス社製)
の10重量%水溶液136gに塩化第1鉄(FeCl2・6H
2O、ナカライテクス社製)5.0gを加えて溶解した。こ
の溶液に、4チタン酸カリウム水和物を塩酸処理後300
℃で5時間焼成して得られたチタニア繊維(繊維長18μ
m、繊維径0.2μm)5.0gを加えて分散させた後、1モル
/mlのアンモニア水200mlを攪拌下室温で30分を要して
添加し、30分間熟成後、固形物を濾別、水洗、エタノー
ル洗浄、濾別、減圧乾燥し、黒褐色で磁性を示す物質1
1.04gを得た。これをX線回折したところ、マグヘマイ
ト(γ−Fe23)とチタニアからなる物質であつた。
またSEM観察から、該物質が繊維長18μm、径0.3μm
の繊維状物であり、チタニア繊維の表面に、径が約1nm
のマグヘマタイト粒子が径約10nmの凝集体となり厚さ約
0.05μmの均質な層を形成していることが判明した。該
物質のマグヘマイト/チタニア繊維(重量比)=54.7/
45.3であつた。
【0024】繊維状還元マグネタイトの製造 内径10mm、長さ30cmの石英管内に、上記マグヘマイト被
覆チタニア繊維5gを約10cmの長さで軽く充填し、両側
に石英綿を詰めて固定した。さらに出口側に線状の酸化
銅(ナカライテクス社製)を5mmの長さに充填し、石英
綿で固定した後、これを管状電気炉に設置し、出口側に
アスピレーター及び入口側にヘリウム導入管をそれぞれ
接続した。アスピレーターで吸引しながら、ヘリウムガ
スを20ml/分の割合で2時間流しながら炉内温度を700
℃まで昇温し、さらに30分間ヘリウムガスを流して系内
をヘリウム置換した。その後アスピレーターを除去し、
炉内温度を300℃に保持したまま、ヘリウムガスに代え
て水素ガスを10ml/分の割合で流した。水素ガス導入初
期には、水素ガスと酸化銅の反応生成物である水蒸気に
よる日煙が僅かに認められるだけであつたが、水素ガス
導入30分経過して日煙が濃くなり、石英管の出口付近に
結露が生じた時点で水素ガスをヘリウムガスに切替え、
加熱をやめ、室温まで冷却し、表面に還元マグネタイト
(x=0.2)の層を有する繊維状物を得た。該繊維状物
の還元マグネタイト/チタニア繊維=53.5/46.5であつ
た。
【0025】繊維状炭素被覆還元マグネタイト生成の確
認 マグヘマイト被覆チタニア繊維に代えて上記の繊維状還
元マグネタイトを用い、且つ酸化銅を用いない以外は、
上記「繊維状還元マグネタイトの製造」と同様に操作し
て、該繊維状還元マグネタイトの充填、系内のヘリウム
ガス置換を行い、300℃に加熱して水素ガスを導入し、
さらに100%炭酸ガスを10ml/分の割合で30分間流した
後、加熱を止め、室温まで冷却した。
【0026】石英管内の繊維状還元マグネタイトは黒色
に変化しており、SEM観察及び燃焼法による元素分析
から、表面に微細な炭素粒子が付着した物質であること
が確認された。このものの炭素含量は0.81重量%であつ
た。この反応条件により炭素が付着することから、炭素
被覆された還元マグネタイトの生成が確認される。
【0027】実施例2 チタニア繊維(繊維長18μm、繊維径0.2μm)5.0gを脱
イオン水800gに分散させた。この分散液に、攪拌下、塩
化第1鉄(FeCl2・6H2O)9.9g、塩化第2鉄(Fe
Cl3・6H2O)27.0g、尿素50gを順次加えて溶解させ
た後、液温を80℃まで上げこの温度を保持しつつ、更に
尿素150gを5回に分けて30分を要して添加した。添加終
了後同温度下に1時間熟成を行い、以下参考例1と同様
に精製し、黒褐色で磁性を示す物質16.9gを得た。
【0028】この物質は、X線回折からマグネタイト
(Fe34)とチタニアからなる物質であつた。該物質
のマグネタイト/チタニア繊維(重量比)=70.4/29.6
であつた。
【0029】この物質を用い、以下実施例1と同様に操
作し、表面に還元マグネタイト(x=0.12)の層を有す
る繊維状物を得た。該繊維状物の還元マグネタイト/チ
タニア繊維=70.2/29.8であつた。
【0030】実施例3 繊維質基材として、チタン酸カリウムウイスカーの表面
に炭素を8%化学蒸着させた導電性ウイスカー〔デント
ールBK−300、大塚化学(株)製〕を用い、反応系
にエタノール20gをさらに加える以外は実施例1と同様
に操作し、黒色で、磁性及び導電性を示す物質10.7gを
得た。
【0031】X線回折により、この物質がマグヘマイト
(γ−Fe23)と上記導電性ウイスカーからなるもの
であることが判る。またSEM観察によれば、該物質の
表面は、マグヘマイト粒子は実施例1のものよりやや粗
くなつていたが、ほぼ類似の状態であつた。該物質のマ
グヘマイト/上記導電性ウイスカー(重量比)=53.3/
46.7であつた。
【0032】この物質を用い、以下実施例1と同様に操
作し、表面に還元マグネタイト(x=0.15)の層を有す
る繊維状物を得た。該繊維状物の還元マグネタイト/導
電性ウイスカー(重量比)=51.7/48.3であつた。
【0033】実施例4 繊維質基材として、カーボン繊維〔興亜石油(株)製、
繊維長500μm、径1μm〕を用いる以外は実施例3と同
様に操作し、黒色物質10.5gを得た。
【0034】X線回折により、この物質がカーボン繊維
表面にマグヘマイトの被覆層を有するものであること、
及び該物質のマグヘマイト/カーボン繊維(重量比)=
55.4/44.6であつた。またSEM観察によれば、該物質
の表面は実施例1と同様に微細なマグヘマイト粒子の凝
集体が均質に付着していた。
【0035】この物質を用い、以下実施例1と同様に操
作し、表面に還元マグネタイト(x=0.06)の層を有す
る繊維状物を得た。該繊維状物の還元マグネタイト/カ
ーボン繊維(重量比)=54.4/45.6であつた。
【0036】比較例1 粉末状マグヘマイトの製造 実施例1においてチタニア繊維を用いずに操作を行い、
300メツシユ通過のマグヘマイト粉末5.9gを得た。
【0037】還元マグネタイトの製造 実施例1と同様にして、内径10mm、長さ30cmの石英管内
に上記マグヘマイト粉末5gを充填すると約3cmの長さ
になり、10cm充填するためには、14gを要した。この両
側に石英綿を詰め、さらに出口側に線状酸化銅を5mmの
長さに充填し、石英綿で固定した。これを管状電気炉に
設置する前に、架台に乗せ、出口側にアスピレーター及
び入口側にヘリウム導入管をそれぞれ接続してヘリウム
ガスを流して予備試験を行つたところ、マグヘマイト粉
末充填部分に所々亀裂が発生し、亀裂によつて分かれた
各部分が圧縮された状態となり、ヘリウムガスの導入が
困難であつた。
【0038】そこで、マグヘマイト粉末の量を5gに減
らし、少しほぐしながら5cmの長さにゆるく充填し、管
状電気炉に設置した。ヘリウムガスを20ml/分の割合で
5時間流しながら炉内温度を300℃まで昇温し、さらに3
0分間ヘリウムガスを流して系内をヘリウム置換した。
以下実施例1の「繊維状還元マグネタイトの製造」と同
様に操作して水素ガスを導入したが、導入初期から多量
の水蒸気が発生し、約10分で水蒸気の発生が停止した時
点で酸化銅が完全に還元された。さらに30分間水素ガス
を導入した後、ヘリウムガスに切替え、加熱をやめ、室
温まで冷却した。
【0039】石英管を管状電気炉から取り出して観察し
たところ、底部に厚さ約4〜5mmの粉末層ができ、上部
は空洞化していた。よつてガス接触が不十分であつたこ
とが判る。
【0040】上記石英管から還元された酸化銅を除いた
後、再び電気炉に設置し、上記と同様にして系内をヘリ
ウムガス置換し、300℃に加熱して水素ガスを導入し、
さらに100%炭酸ガスを10ml/分の割合で30分間流した
後、加熱を止め、室温まで冷却した。
【0041】石英管内の粉末層の表面及び該層が接触し
ている石英管の底部壁面に炭素質物質の付着がごく僅か
に認められたが、該層の中心部には変化がなく、還元マ
グネタイトが殆ど生成していないことが確認された。
【0042】比較例2 マグネタイト粉末の製造 実施例2においてチタニア繊維を用いずに操作を行い、
300メツシユ通過のマグネタイト粉末10.7gを得た。 還元マグネタイトの製造 比較例1と同様にしてマグネタイト粉末の還元を行つた
ところ、粉末層は石英管の底面壁面に付着していた。石
英管から酸化銅を取り除き、系内のヘリウム置換、水素
ガスの導入(5時間)及び炭酸ガスの導入(5時間)を
順次行つた後、加熱を止め、室温まで冷却した。石英管
内の粉末層の表面及び周辺部には炭素質物質が付着して
いたが、該層の中心部について元素分析を行つたとこ
ろ、炭素含量は0.3%以下であり、マグネタイトの還元
が不均一に行われていることが判る。なお、炭酸ガス導
入の際に、30分毎に排ガスをソーダ石灰の吸入管に1分
間通過させて炭酸ガスの重量の増減について調べたとこ
ろ、導入の全期間において10%前後の重量増を示した。
このことから、マグネタイト粉末を還元しても、還元が
不均一になり、充分な炭酸ガス分解活性を有する還元マ
グネタイトが得られないことが判る。
【0043】実施例5 実施例1のマグネタイト被覆チタニア繊維、実施例4の
マグネタイト被覆カーボン繊維及び粉末活性炭を78/20
/2(重量比)の割合で混合し、エタノール中に分散さ
せ、濾布により濾別し、吸引乾燥することにより、厚さ
約1cmのフエルト状シート(気孔率40%)を得た。この
シートを白金製蓋付ルツボに入れ、電気炉内にて窒素ガ
ス雰囲気中で350℃で3時間熱処理し、次いで室温まで
冷却することにより、活性炭から発生する一酸化炭素に
よつて該マグネタイトが還元マグネタイトに変換し、主
に本発明の繊維状還元マグネタイトからなるフエルト状
シートが得られた。該シートの気孔率は52%であつた。
【0044】実施例6 実施例1のマグヘマイト被覆チタニア繊維、実施例4の
マグヘマイト被覆カーボン繊維及び粉末活性炭の混合割
合を70/25/5(重量比)と変更する以外は、実施例5
と同様にして厚さ約1cm、気孔率45%のフエルト状シー
トを得た。このシートを、焼成時間を5時間とする以外
は実施例5と同様に操作し、その表面に炭素質物質が付
着した繊維状還元マグネタイトからなるフエルト状シー
トが得られた。該シートの気孔率は48%であつた。
【0045】実験例1 内径10mm、長さ30cmの石英管内に、実施例1で得られた
繊維状還元マグネタイト繊維5gを約10cmの長さで軽く
充填し、両側に石英綿を詰めて固定した後、これを管状
電気炉に設置し、出口側にアスピレーターを接続し、入
口側には、自動車排ガス1lを充填した風船を接続し
た。炉内温度300℃でアスピレーターで吸引しながら自
動車排気ガスを導入し、出口側のガスを分析したとこ
ろ、導入初期から連続的に一定量のメタンガスが排出さ
れていることが確認された。
【0046】実験例2 実施例2で得られた炭素付着還元マグネタイト繊維を用
い、自動車排ガスに代えて水蒸気を導入する以外は実験
例1と同様に操作したところ、導入初期から連続的に一
定量の水素ガスが排出されていることが確認された。実
施例4のものでも同様の結果が得られた。
【0047】
【発明の効果】
(a) 本発明によれば、簡易な方法により効率良く、
極めて優れた炭酸ガス分解活性を有する繊維状マグネタ
イトを提供できる。本素材を用いれば、炭酸ガスを分解
して高純度の水素やメタンを発生させることができる。 (b) 本素材は繊維形状で気孔率が高いため、圧力損
失ひいては触媒活性の低下がなく、再利用性にも優れて
いる。 (c) 本素材は、触媒活性成分が基材表面に薄く被覆
されているので、該活性成分の利用効率が高い。 (d) 繊維形状を有する本素材は、布帛、シート状な
どに加工することが容易であり、利用形態が豊富であ
る。 (e) 本素材は、炭酸ガス分解用触媒として使用でき
るだけでなく、燃料電池の素材としての利用も可能であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 23/745 35/06 ZAB J 8017−4G (72)発明者 森本 琢郎 京都府京都市伏見区桃山町養斉5−16

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維質基材の表面がFe34-X(0<x
    ≦0.5)で示される還元型マグネタイトで被覆されてな
    る繊維状マグネタイト。
  2. 【請求項2】 繊維質基材が、その表面の全面又は一部
    に炭素質層を有する請求項1の繊維状マグネタイト。
  3. 【請求項3】 繊維質基材の表面を含酸素鉄化合物で被
    覆した後、該含酸素鉄化合物を還元することを特徴とす
    る請求項1の繊維状マグネタイトの製造法。
  4. 【請求項4】 水素還元を行う請求項3の繊維状マグネ
    タイトの製造法。
  5. 【請求項5】 請求項1の繊維状マグネタイトの表面の
    全面又は一部を、更に炭素被覆してなる繊維状マグネタ
    イト。
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