JP2009172467A - メタル担体及びガス中の二酸化炭素の分解触媒、これらの製造方法、並びに二酸化炭素の分解方法 - Google Patents

メタル担体及びガス中の二酸化炭素の分解触媒、これらの製造方法、並びに二酸化炭素の分解方法 Download PDF

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Abstract

【課題】二酸化炭素分解触媒として有用なマグネタイトウィスカーが多数の貫通孔の内壁表面に直接立設し、二酸化炭素の分解触媒等として有用なメタル担体を提供する。
【解決手段】鉄系材料で形成されて多数の貫通孔を有する担体本体と、この担体本体の少なくとも前記貫通孔の内壁に直接立設された多数のマグネタイトウイスカーとを有するメタル担体。また、その製造においては、酸素原子を含有する気体雰囲気に、ハニカム形状等の多数の貫通孔を有する担体本体を、鉄系材料が酸化する温度以上で接触させ、気体から供給される酸素と担体本体から供給される鉄とから、少なくとも担体本体の貫通孔内壁の表層に直接マグネタイトウィスカーを立設させるか、もしくはマグヘマイト等の酸化鉄ウィスカーを立設させた後に、酸化又は還元処理により酸化鉄ウィスカーを、マグネタイト、又はカチオン欠陥マグネタイト、あるいはカチオン過剰マグネタイトへと改質させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、触媒等の用途に使用可能なメタル担体に関し、更には、発電所や製鉄所等のプラントから発生する二酸化炭素や自動車の排気ガス中の二酸化炭素を分解するための前記メタル担体を用いたガス中の二酸化炭素の分解触媒と、これらメタル担体や分解触媒の製造方法と、前記分解触媒を用いた二酸化炭素の分解方法とに関する。
二酸化炭素を化学処理して固体炭素まで分解する方法としては、これまでに、マグネタイトを触媒とした分解反応、マグネシウムを触媒とした分解反応、水素やアンモニア等の還元剤を併用する酸化タングステン、ニッケル、コバルト等を触媒とした分解反応等が知られている。これらの中で、マグネタイトを触媒とした分解反応は、マグネタイトが安価であると共に無害であるので、以下に述べる従来技術の欠点を克服すれば、有望な二酸化炭素分解技術となる可能性が高い。
マグネタイト(Fe3O4)は、スピネル構造をとり、化学量論上1個のFe2+イオンと2個のFe3+イオンとからなる。このうちのFe3+イオンが還元されるとFe3+→Fe2+となりプラスの電荷が減少するので、電気的中性を保つために、酸素イオン(O2-)を放出し、その結果カチオン過剰マグネタイト(Fe3O4-δ)が生成する。しかし、このカチオン過剰マグネタイトは、極めて不安定であるので、より安定なFeやFeO相に変態し易い。ここで、温度200℃〜400℃の比較的低温でマグネタイトの還元を行うと、この変態を起こさずにカチオン過剰マグネタイトを得ることができる。
そして、このカチオン過剰マグネタイトは二酸化炭素を分解する強力な還元物質となることが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1で得られる粉末状触媒を用いて炭酸ガスの分解を行うには、固定床又は流動床を用いる固体/気相系反応(具体的には該粉末触媒中に炭酸ガスを通す反応)以外に方法がないが、この方法には圧力損失が生ずるという欠点がある。すなわち、該触媒が微細粒子であるため、二酸化炭素の分解が進んで該微細粒子に炭素が付着すると目詰まりや固化が起こり易くなり、その結果として、触媒効率が著しく低下し、固化により再利用ができなくなる等の問題が発生し易くなる。
これに対して、鉄系材料の基板上に強固に固定されているマグネタイトウィスカー(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)は、ガスの流入圧力による目詰まりや固化を起こすことがないという特徴がある。しかしながら、特許文献2及び3に示された方法は、単に平板の上にマグネタイトウィスカーを立設させるに過ぎないものである。
一方、触媒担体としては、表面積を大きくすることができるハニカム形状にすることが優れていると考えられる。しかし、特許文献2及び3にはこのようなハニカム形状の触媒担体にマグネタイトウィスカーを立設させることは開示されていない。しかも、しかも、従来の方法でハニカム形状の触媒担体の貫通孔の内壁にマグネタイトウィスカーを立設させようとすると、触媒担体内の平板と波板とが接合している部分や、この触媒担体が外筒に接触して押されている部分等の応力が集中する箇所において、優先的にマグネタイトウィスカーが成長し、貫通孔の内壁全面に密にマグネタイトウィスカーを立設させることは困難であった。
また、ハニカム形状の金属箔担体に酸化物ウィスカーを担持させた例として、アルミニウムを3〜6重量%含有するフェライト系ステンレス箔からなる金属箔担体に、剥離処理による欠陥の付与と熱処理とを施すことによって、アルミナウィスカーを箔表面に形成させた例がある(例えば、特許文献4参照)。アルミニウムは鉄よりも酸素との親和性が高いので、アルミニウム含有ステンレス箔を大気中で870℃から970℃に加熱すると、アルミニウムイオンが欠陥の拡散路に沿って表層に移動して優先的に酸化され、該ステンレス箔に応力を加えなくとも、アルミナウィスカーが容易に成長する。しかし、アルミナウィスカーには、二酸化炭素の分解触媒能が殆ど認められない。
ハニカム構造は、六角柱やそのほかの形状のものが集合した蜂の巣状の構造体で、軽量で剛性が高いという特徴がある。たとえば流体中にハニカム構造を入れた場合、流体の整流効果が優れるという特性があり、加えてハニカム構造は小さなセルで仕切られているので、体積当りの表面積が大きく、気体や液体に対する接触面積が大きくとれることから、触媒担体としての効果が大きい。このためハニカム構造のメタル担体の貫通孔の内壁にマグネタイトウィスカーを一様に立設させることができれば、高効率の二酸化炭素分解触媒とすることができる。
本発明で述べるマグネタイトウィスカー及び酸化鉄ウィスカーには軸方向螺旋転移が存在しないので、その成長機構は螺旋転移成長ではない。更に、融点より遥かに低温の600℃以下でも成長し、先端部に不純物を含まないので、合金液滴形成物質による一方向優先成長、すなわちVLS成長でもない。その成長機構はまだ明らかにされていない(例えば、非特許文献1参照)。
錫等の金属ウィスカーが固体(基板)から自然成長する際、基板の錫が応力を受け、その応力を開放するために柱状結晶が成長する。すなわち、成長の駆動力は、ここでは、転位に蓄えられる変形による歪エネルギー、結晶表面の自由エネルギー、そして粒界の界面エネルギーであり、その成長機構は、結晶内のこうした応力が何らかの転位増殖機構を駆動する過程、もしくは再結晶過程であると考えられている(例えば、非特許文献2参照)。
特開平3-245845号公報 特開2005-306727号公報 特願2005-309148号公報 特開平2-290252号公報 "酸化鉄ウィスカーの成長とエミッション特性"鈴木、村井、岡田、根尾、三村;第54回応用物理学関係連合講演会、予稿集No.2、p. 808、29a-ZV-9 (2007) 「ひげ結晶」、金子聡、共立出版、1993年10月1日発行 O.Knacke, O.Kobaschewski著、Thermochemical Properties of Inorganic Substances、Springer-Verlag 1991
以上述べたように、本発明は、触媒担持構造として優れるハニカム構造の如き担体本体の多数の貫通孔の内壁にマグネタイトウィスカーを直接立設させたメタル担体及びガス中の二酸化炭素の分解触媒を提供することを目的とする。また、本発明は、担体本体の各貫通孔の内壁にマグネタイトウィスカーを直接かつ密に立設させ、触媒能をより高め、高効率の二酸化炭素分解が可能なメタル担体及びガス中の二酸化炭素の分解触媒を提供することをもう1つの目的とする。
上記知見を踏まえて、本発明者らは、ハニカム形状等の担体本体の多数の貫通孔の内壁に直接マグネタイトウィスカーを立設させるために鋭意研究を行った。その結果、加熱処理の雰囲気と温度の調整が重要であることを見出し、また、メタル担体を構成するハニカム形状等の担体本体に引っ張りもしくは圧縮等の機械的応力を加えながら熱処理を行うことが、該ウィスカーを密に立設させるのにより有効なことを見出して、本発明を為すに至った。
その要旨は以下の通りである。
(1)鉄系材料で形成されて多数の貫通孔を有する担体本体と、この担体本体の少なくとも前記貫通孔の内壁に直接立設された多数のマグネタイトウイスカーとを有することを特徴とするメタル担体。
(2)担体本体が、鉄系材料からなる平箔と波箔の組み合わせで構成された単一層又は複数層のハニカム形状に形成されていることを特徴とする(1)に記載のメタル担体。
(3)(1)又は(2)に記載のメタル担体からなるガス中の二酸化炭素の分解触媒。
(4)前記マグネタイトが、カチオン過剰マグネタイト(Fe3O4-δ)を含むことを特徴とする(3)記載のガス中の二酸化炭素の分解触媒。
(5)前記マグネタイトウィスカーが、直径5nm〜3μm及びアスペクト比100以上であることを特徴とする(3)又は(4)に記載のガス中の二酸化炭素の分解触媒。
(6)(1)又は(2)に記載のメタル担体の製造方法であって、酸素原子を含有する気体に、鉄系材料で形成されて多数の貫通孔を有する担体本体を、前記鉄系材料が酸化する温度以上の温度で接触させ、前記気体から供給される酸素と前記担体本体から供給される鉄とから、前記担体本体の少なくとも貫通孔の内壁に直接マグネタイトウィスカーを立設させることを特徴とするメタル担体の製造方法。
(7)(1)又は(2)に記載のメタル担体の製造方法であって、酸素原子を含有する気体に、鉄系材料で形成されて多数の貫通孔を有する担体本体を、前記鉄系材料が酸化する温度以上の温度で接触させ、前記気体から供給される酸素と前記担体本体から供給される鉄とから前記担体本体の少なくとも貫通孔の内壁に直接酸化鉄ウィスカーを立設させ、その後に、酸化処理又は還元処理により前記酸化鉄ウィスカーをマグネタイトウィスカーへと改質させることを特徴とするメタル担体の製造方法。
(8)担体本体が、鉄系材料からなる平箔と波箔の組み合わせで構成された単一層又は複数層のハニカム形状に形成されていることを特徴とする(6)又は(7)に記載のメタル担体。
(9)前記マグネタイトウィスカーを還元処理して、前記マグネタイトの一部をカチオン過剰マグネタイト(Fe3O4-δ)へと改質することを特徴とする(6)〜(8)のいずれかに1項に記載のメタル担体の製造方法。
(10)前記担体本体の貫通孔の内壁の表面にマグネタイトウィスカー又は酸化鉄ウィスカーを立設させる際、前記担体本体に機械的応力を負荷させることを特徴とする(6)〜(9)のいずれかに記載の製造方法。
(11)(6)〜(10)のいずれかに記載のメタル担体を分解触媒とすることを特徴とするガス中の二酸化炭素の分解触媒の製造方法。
(12)(3)〜(5)のいずれかに記載のガス中の二酸化炭素の分解触媒を使用した二酸化炭素の分解方法であって、前記触媒に、又は、還元処理した後の前記触媒に二酸化炭素を含むガスを接触させ、前記ガス中の二酸化炭素を分解することを特徴とする二酸化炭素の分解方法。
なお、上に述べる担体本体が鉄系材料からなる箔で形成されている場合、該箔に酸化鉄ウィスカーを立設させる手順としては、展開されている箔に先ず酸化鉄ウィスカーを立設させてその後に該箔を巻いて担体本体としての形状を備えたメタル担体にする方法と、平箔と波箔を巻いて予め担体本体の形状にしてから該担体本体に酸化鉄ウィスカーを立設させる方法とがある。
また、本発明のメタル担体の製造方法や二酸化炭素の分解触媒の製造方法において、鉄系材料からなる担体本体を酸素原子を含有する気体に鉄系材料が酸化する温度以上で接触させる際には、酸素原子を含有する気体が形成する雰囲気(気体雰囲気)において鉄が酸化する温度を予め求めておくことが必要であるが、この鉄が酸化する温度については、実験的に求めることができるほか、理論的にも求めることができる。
本発明において、酸化鉄ウィスカーの生成過程は平衡反応であるので、基板表面での原子の酸化挙動は酸化物の平衡解離圧po2[atm]で整理できる。この平衡解離圧po2は、気体雰囲気(もしくは原子周囲の自由酸素分子)の酸素分圧に置きかえられ、酸素分圧がこれよりも大きいと原子は酸化され、酸素分圧がそれよりも小さければ酸化されない。平衡解離圧po2は以下の(1)式で表される。
o2=exp(ΔG0/RT) ……(1)
ここで、上記(1)式中のΔG0(J/mol)は、酸化物質の酸化前と酸化後のギブスの自由エネルギーの変化分であり、酸素分子の係数を1とする鉄の酸化反応式を下記の(2)式
aFe+O2=bFexy ……(2)
(但し、a、bは反応係数を示し、x、yは鉄酸化物の組成比を示す。)と表すと、ΔG0
ΔG0=bμFexOy−aμFe−μO2
(但し、μ[J/mol]はそれぞれの物質の化学ポテンシャルを示す。)と表される。
ΔG0の値とμの値は各種文献に記載されており(例えば、非特許文献3参照)、鉄の酸化においてヘマタイトとマグネタイトの生成のし易さを比較した場合、1atmの乾燥空気中では、620℃以下ではヘマタイトが優先的に生成し、620℃以上ではマグネタイトが生成し易いことが理論的に導かれる。
このようにして、鉄を酸化させる温度は、予め予測され、気体雰囲気に応じて設定される。
本発明のメタル担体及びガス中の二酸化炭素の分解触媒は、その担体本体が多数の貫通孔を有し、気体や液体等の流体に対する整流効果に優れ、また、大きな接触面積を持つ等、触媒担体構造として優れているほか、マグネタイトウィスカーが担体本体のの貫通孔の内壁(箔の表面)に直接立設しているため、高効率の触媒能、特に二酸化炭素分解能を発揮する。
以下に本発明の内容について具体的に説明する。
本発明は、鉄系材料で形成されて多数の貫通孔を有する担体本体と、この担体本体の少なくとも前記貫通孔の内壁に直接立設された多数のマグネタイトウイスカーとを有するメタル担体として形成されていることを特徴とするものであり、前記担体本体としては、例えば鉄系材料で形成された多数の毛細管を所定の外筒中に密に充填して構成したもの等であってもよいが、好ましくは、鉄系材料からなる平箔と波箔の組み合わせで構成された単一層又は複数層のハニカム形状に形成されているものである。
なお、メタル担体の担体本体が例えばハニカム形状に形成される場合、担体本体としては、1インチ平方当りのセル数(セル密度:CPSI)が200〜2000CPSI程度の範囲のものが一般に製造されており、このセル密度(CPSI)の選定当たっては、本発明のマグネタイトウィスカーの形状に従って適宜決めればよい。例えば、ウィスカーの長さが100〜200μmで貫通孔の内壁の壁面に対して垂直に伸びている場合、セル密度が200〜600CPSIの担体本体を用いることが望ましい。一方、同様の長さのウィスカーが貫通孔の内壁の壁面に対して水平に成長する場合もあるが、このような場合にはセル密度が600〜2000CPSIの範囲の担体本体を用いることが望ましい。
このマグネタイトウィスカーについては、貫通孔の内壁表面から最初からマグネタイトとして成長させる場合と、初めに貫通孔の内壁表面にヘマタイト等のマグネタイトではない酸化鉄ウィスカーを成長させ、次にこの酸化鉄ウィスカーを酸化又は還元によりマグネタイトに変化させて生成させる場合とがある。
本発明の酸化鉄ウィスカー(マグネタイトを含む)の特徴は、直径がこの種のウィスカーとしては微細な5nmから充分に太い3μmまでであって、長さが1μmから1mmの範囲であり、アスペクト比が10以上10万以下、好ましくは10以上1000以下であるのがよく、反応時間と温度、気体雰囲気を制御することにより幅広く作り分けることができる。ここで、ウィスカーの長さは、電子顕微鏡写真での長さをノギス等で測定し、倍率を考慮して計算することにより求められ、また、ウィスカーの直径は、同じく電子顕微鏡写真で直径を測定して得られる。なお、ウィスカーの断面は一般には多角形であるが、本発明で言うウィスカーの直径とは、これらの断面多角形に外接する円の直径で定義される。
本発明で言う酸化鉄とは、ウスタイト(FeO、Fe0.98O、Fe0.94O)、ヘマタイト(α-Fe2O3)、マグヘマイト(γ-Fe2O3)、マグネタイト(Fe3O4)、カチオン欠陥マグネタイト(Fe3-δO4)、カチオン過剰マグネタイト(Fe3O4-δ)、鉄−酸素の全ての二元系化合物(FexOyかつ0<x≦3、0<y≦4)の各々の単体、及びここに述べた鉄−酸素化合物を複数(2種類以上)含む混合物をも指す。加えて、鉄と酸素以外の原子を10atm%以下の範囲で含むものも包含されるが、望ましくは8atm%以下、理想的には0.5atm%以下のものがよい。鉄と酸素以外の不純物原子が10atm%超で含まれると、結晶内に多くの欠陥が発生し、ウィスカーの強度が低下する等の弊害が起こり易くなる。
酸化鉄の結晶の寸法は、正方晶系のマグヘマイト(Fe23)のc軸方向が最も長く、2.5nmある。ここにおいて、これらの結晶からなるウィスカーの直径が小さくなると、ある直径を境にして指数関数的に強度が低下することがわかった。この制約によって直径5nm以上が規定される。その物理的な理由は、球形のマイクロクラスターにおいて明らかにされている以下に述べる理由と同様であると本発明者は考えている。
すなわち、少数の原子が結晶構造をとっているマイクロクラスターは、直径50nm程度以下の大きさになると、結晶表面にある結合手が切れた原子の割合が結晶全体の原子数に対して増加することにより不安定になり、原子同士の結合力が弱くなる。ウィスカーのような一次元(線状)物質では、上記の効果が一次元に連なる結合によってある程度緩和されるので、結合力の低下が現れる寸法上の下限が低下する。本発明者が実際にマグネタイトウィスカーをハニカム形状の担体本体の貫通孔の内壁に立設させたメタル担体を用いて、二酸化炭素分解の実験を行ったところ、直径5nm未満のウィスカーは紛化して固化や目詰まりの原因となり、実用上許容される直径の下限が直径5nmであることが明らかになった。
上限の直径3μmの値は、ウィスカーの直径が3μmを超えると、ウィスカーからの酸素の放出と吸収がウィスカー表層のみに止まり、触媒効率が向上しないということから規定される。
本発明において、担体本体の貫通孔の内壁に直接ウィスカーが立設されているという意味は、熱酸化によって該貫通孔の内壁を構成する鉄原子が、雰囲気から供給される酸素原子と化合して酸化鉄ウィスカーとなり、そのウィスカーの根元が、周囲の結晶粒と稠密に粒界を介して結合しているということである。そのために、本発明で得られる酸化鉄ウィスカーは、貫通孔の内壁に強固に固定されているために、ガスの流れや差圧に対して、脱落し難いという特長を有する。
また、本発明者らは、担体本体の貫通孔の内壁に一様にマグネタイトウィスカーを立設させるために、担体本体に機械的応力、好ましくは引っ張り応力もしくは圧縮応力を加えながら、熱処理を行うことが有効であることを見出した。そして、本発明においては、好ましくは担体本体が鉄系材料からなる平箔と波箔の組み合わせで構成された単一層又は複数層のハニカム形状に形成されているが、単一層のハニカム形状の担体本体に機械的応力を負荷させながらその貫通孔の内壁にマグネタイトウィスカー及び/又は酸化鉄ウィスカーを立設させる場合も含まれ、加えて、通常の平箔と波箔の組み合わせの複数層のハニカム形状の担体本体に、同様に、機械的応力を負荷させながらマグネタイトウィスカー及び/又は酸化鉄ウィスカーを立設させる場合も含まれる。
担体本体に応力を負荷させる方法としては、例えば、担体を機械的に圧縮するか、引っ張る等の方法や、担体本体を熱膨張率の異なる物体に接触・固定させておいて、加熱処理時における熱膨張の差を利用して静的に応力を負荷させる方法等を適用することができる。
ここで、本発明のメタル担体は、その担体本体が、好ましくは鉄系材料からなる平板と波板とを交互に重ね合わせてなる単一層又は複数層のハニカム形状の構造、より好ましくは平箔と波箔とを重ね合わせた上で渦巻状に巻きまわして外筒に収納した複数層の渦巻状ハニカム形状の構造を有している。そこで、以下に、この複数層の渦巻状ハニカム形状の構造を有する担体本体を用い、担体本体に機械的圧縮応力を負荷させながらこの担体本体を所定の気体雰囲気中で鉄が酸化する温度に加熱し、その貫通孔の内壁に前記気体から供給される酸素を接触させて直接マグネタイトウィスカーを立設させる方法を一例(試験例)にして、本発明の方法をより詳細に説明する。
すなわち、図1において、先ず、ステンレス(熱膨張率:2×10-5/K)製の平箔と波箔を重ね合わせて渦巻状に巻きまわし、次いでこれを外筒内に収納して複数層の渦巻状ハニカム形状の担体本体1(直径30mm、長さ300mm、及びセル密度1200CPSI)を形成し、この担体本体1を担体本体1より若干短いコージェライト系低膨張セラミックス(熱膨張率:2×10-8/K)製の円筒2の内部に挿入し、担体本体1の外周をかしめて前記円筒2の内壁面に担体本体1の外周面を密着させた。次に、この状態で円筒2と共に担体本体1を反応管4の内部に配置し、更に前記担体本体1の両端を円盤付き圧縮棒3により圧力1×105Pa(ゲージ圧)で挟み込み、担体本体1を反応管4の内部に設置した。なお、担体本体1の両端に接触する圧縮棒3の円盤には、反応管4内に導入されたガスが担体本体1の貫通孔の内部に流入できるように、通気孔が設けられている。
この状態で反応管4内にアルゴンと酸素ガスの混合気体を流し、排気流量を調整することによって全圧を大気圧に保つと同時に酸素分圧を3000Paとした。次に、反応管4内を室温から5分間で750℃に昇温し、引き続きこの750℃を30分間保った。このとき該担体本体1は熱膨張するので、コージェライト系低膨張セラミックス製の円筒2と圧縮棒3とから圧縮応力を受ける。この圧縮応力は円筒2か圧縮棒3のどちらか片方のみで与えても有効である。
この後、ガスの流入を止め、反応管4内を真空排気し、内部を真空の状態に維持しながら反応管4全体を自然放冷させた。その結果、複数層の渦巻状ハニカム形状に形成された担体本体1の貫通孔の内壁表面全体に直径100nm〜3μm、長さ約20μmのマグネタイトウィスカーが成長して立設したメタル担体が得られた。図3に該メタル担体を分解して、内部の箔を展開したものの表面を光学顕微鏡で撮影した写真を示す。長さ約20μmのウィスカーが稠密かつ均一に成長している。また、このウィスカーがマグネタイトであることは、テープ剥離法で採取した該ウィスカーを、電子線回折で分析して確認した。
上記と同様にして、ハニカム形状の担体本体1の内部全体にマグネタイトウィスカーを均一に成長させたメタル担体を作成したのち、該メタル担体の外周をかしめている円筒2と圧縮棒3を外し、次に反応管4内に水素ガスのみを流してその全圧を大気圧にした。次に、反応管4内を室温から3分間で350℃に昇温し、引き続きこの350℃を10分間保った後、真空排気し、自然放冷させた。その結果、マグネタイトウィスカー(Fe3O4)がカチオン過剰マグネタイト(Fe3O4-δ)のウィスカーに改質された。
カチオン過剰マグネタイトが生成しているかどうかは、CO2分解能力を持つかどうかで判断することができる。化学量論的な組成比のマグネタイトウィスカーやカチオン欠陥マグネタイトウィスカー(カチオン欠陥マグネタイトを含有するマグネタイトウィスカー)は二酸化炭素を分解しないが、カチオン過剰マグネタイトウィスカー(カチオン過剰マグネタイトを含有するマグネタイトウィスカー)は約300℃で二酸化炭素を分解するからである。
鉄系材料からなるメタル担体の熱酸化により、担体本体の貫通孔内部にウィスカーを成長させる場合、熱酸化の条件によってはヘマタイト、マグヘマイト等のウィスカーが成長することがある。その場合は、更に水素含有ガスで還元することにより、マグネタイトに改質することができる。ウスタイトは酸化処理にてマグネタイトに改質される。
本発明で言うハニカム形状の担体本体を形成する上で好適な鉄系材料としては、次のようなものを例示することができる。
1)純鉄。この純鉄には、例えば走査型トンネル顕微鏡のプローブで鉄原子一つ一つを並べて得られるような、原子オーダーで文字通り100%の純鉄から、不可抗力の不純物を微量に含む工業的な冶金で得られる純鉄まで含まれる。
2)鉄原子を重量比で10%以上含む合金で、合金に含まれる鉄以外の原子が以下に列挙される原子から選ばれたいずれか1種あるいは2種以上を含む化合物や混合物。鉄以外の原子とは、原子番号3番(リチウム)から103番(ローレンシウム)までの全ての原子で、かつ、これらからVIII族(希ガス)原子と鉄原子とを除いたものである。これらの原子には天然同位体比で同位体を含むものや、同位体分離によって質量数の同じ原子のみからなるものも含まれる。
3)鉄原子を重量比で0.001重量%以上10重量%未満の割合で含むもので、鉄以外に含まれる原子は、その酸化物が温度50℃から1500℃の間で平衡解離圧がヘマタイト(Fe2O3)よりも高いもの。この様な原子には、例えばコバルト、ニッケル、銅等があり、そのような性質をもつ原子を1種もしくは2種以上含む鉄化合物もしくは鉄混合物。
4)上記1、2、及び3で述べた材料を層状に組み合わせたり、はめ込んで組み合わせたり、混合させたり、共析物とさせて得られた材料。
上記1)、2)、3)又は4)の鉄系材料を用いると、生成するウィスカー内に鉄以外の金属原子が拡散して混入する場合があるが、このときの混入量は高々10atm%程度以下であり、これを不可避的不純物原子と呼ぶ。
本発明で用いることができる酸素原子を含有する気体としては、空気、酸素、及びメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等の水酸基を有するアルコール類の蒸気や、酢酸、酢酸メチル等のカルボニル基を有する有機溶剤の蒸気、更に水蒸気等が挙げられる。これらの気体はそのいずれかを単独で用いてもよいし、2種類以上を混ぜて用いてもよい。更に分圧を調整するために、酸素を含有しない別の気体とこれらとを混ぜて用いてもよい。
次に、本発明の二酸化炭素の分解方法においては、上述したマグネタイトウィスカーが立設したメタル担体を、水素ガス等で還元処理してマグネタイトをカチオン過剰マグネタイト(Fe3O4-δ)に改質することにより、分解触媒とした後、この分解触媒に二酸化炭素を含むガスを接触させて炭素と酸素とに分解する。ここで、マグネタイトウィスカーを立設させる際や、酸化鉄ウィスカーからマグネタイトウィスカーに改質する際に、マグネタイト中にカチオン過剰マグネタイト(Fe3O4-δ)が生成してくる場合があり、その際は、新たに水素ガス等で還元処理しなくても、二酸化炭素を分解することができるが、カチオン過剰マグネタイトは不安定な物質であるため、二酸化炭素の分解処理の前に水素ガス等で還元処理し、引き続き、二酸化炭素の分解処理を行うことが好ましい。
二酸化炭素が分解されて生じた炭素は、カチオン過剰マグネタイト表面に析出し、分解されて生じた酸素は、カチオン過剰マグネタイト中の酸素欠乏箇所に取り込まれる。
以下に、図4を用いて、本発明のマグネタイトウィスカーが立設したメタル担体からなる二酸化炭素の分解触媒を使用した、再生処理を含んだ二酸化炭素分解プロセスの一例を説明する。
図4の化学式は、左辺がハニカム形状等の担体本体の表層の鉄で、右辺が酸化鉄ウイスカーの組成である。空気等の酸素原子を含有する気体雰囲気下での700〜900℃の酸化処理により立設されたマグネタイトウィスカーは、反応(1)の水素雰囲気中の300℃の還元処理でカチオン過剰マグネタイト(Fe3O4-δ)となる。反応(1)の還元雰囲気は水素以外にアンモニアも使用できる。
引き続き反応(2)で二酸化炭素を分解し、炭素はマグネタイトウィスカー表面に析出し、酸素は酸素欠乏箇所に取り込まれる。析出した炭素は活性状態にあり、これを利用して反応(3)で水蒸気と反応させ水素を発生させる。ここで発生させた水素を反応(1)や反応(4)で使うことも可能である。
反応(3)では同時に酸素イオンラジカル(O2 -)がマグネタイト表面に吸着する。このカチオン欠陥マグネタイトは二酸化炭素分解能を持たない。その後、酸素をキャリアガス中に放出した後、650℃で水素ガスと反応させ、メタンを発生させる。
この一連の反応の組み合わせによりCO2-CH4の資源循環システムが構築される。反応熱には製鉄所や火力発電所の排熱を利用することができる。自動車の排気ガス処理では、エンジンの燃焼熱を利用することができる。
以下、実施例を挙げて具体的な条件及び結果を説明する。
[実施例1]
図1に示す構成で、反応管4の内部に、ステンレスSUS304製渦巻状ハニカム体を外筒に収納した構造の担体本体1(直径38mm、長さ200mm、及びセル密度
900CPSI)を設置し、かつ該担体本体1の外周をコージェライト系低膨張セラミックス製の円筒2でかしめる。更に円筒構造の担体本体1の両端を、圧縮棒3で圧力1×105 Pa(ゲージ圧)で挟みこむ。圧縮棒3の担体本体1に接触する円盤にはガスが担体本体1内部に流入できるように通気孔が設けてある。この状態で反応管4内(内径40mm、長さ700mm)に酸素ガスと水蒸気の混合気体を流し、排気流量を調整することによって全圧を5000Paに保つと同時に酸素分圧を1000Paとした。そして100℃から5分間で750℃に昇温し、引き続き750℃を30分間保った。その結果、直径50nm〜0.5μm、長さ約50μm及びアスペクト比約100〜1000のマグヘマイトウィスカー(γ‐Fe2O3)がハニカム形状の担体本体1の各貫通孔内部全体に亘って略均一に成長し立設しているメタル担体が得られた。
次に、該メタル担体の外周をかしめている円筒2と圧縮棒3を外し、次に反応管4内に水素ガスのみを流して全圧を1気圧(101300 Pa)にした。室温から3分間で800℃に昇温し、引き続き800℃を5分間保った後、真空排気し、自然放冷させた。その結果、該マグヘマイトウィスカーがカチオン過剰マグネタイト(Fe3O4-δ)のウィスカーに改質された。
引き続き、真空の反応管4中のメタル担体を300℃に加熱した後、二酸化炭素を1気圧入れ、封印してからそのまま300℃を5時間保った。その結果、メタル担体中に炭素が堆積し、封印されている気体の圧力が0.08気圧だけ低下した。残留ガスの成分をガスクロマトグラフにより測定したところ、二酸化炭素であった。従って8%前後の二酸化炭素が分解された。
[実施例2]
図1に示すかしめ用の円筒2と圧縮棒3とを取り除いた以外の他の条件は実施例1と同様にして、酸素ガスと水蒸気の混合気体でマグヘマイトウィスカーを成長させたところ、渦巻状ハニカム形状の担体本体1の貫通孔の中心付近ではウィスカーが成長しなかった。次に、実施例1と同様に水素ガスで処理したところ、渦巻状ハニカム形状の担体本体1の外周付近にあるマグヘマイトウィスカーがカチオン過剰マグネタイト(Fe3O4-δ)のウィスカーに改質された。このウィスカーは直径50nm〜0.5μm、長さ約50μm及びアスペクト比約100〜1000の性状を有していた。引き続き、真空の反応管4中の該メタル担体を300℃に加熱した後、二酸化炭素を1気圧入れ、封印してからそのまま300℃を5時間保った。その結果メタル担体中に炭素が堆積し、封印されている気体の圧力が0.005気圧だけ低下した。残留ガスの成分をガスクロマトグラフにより測定したところ、二酸化炭素であった。従って0.5%前後の二酸化炭素を分解できた。
[実施例3]
図2に示すように、ステンレス(SUS304)の平箔と波箔とを重ね合わせて形成された単一層のハニカム体からなる担体本体6(巻かれていない状態のハニカム体;板厚50μm、幅38mm、及び長さ200mmの単一層ハニカム体で、これを巻いたときのセル密度1200CPSI)の両端を把手7でつかみ、図1に示す反応管4内に設置した。そして、把手7によって担体本体6を1×105Pa(ゲージ圧)の圧力で引っ張り、担体本体6に引っ張り応力を負荷させた。ガスは該把手7を素通りして、担体本体6の貫通孔内部に流入できるようにした。この状態で反応管4内にアルゴンと酸素ガスの混合気体を流し、排気流量を調整することによって全圧を5000Paに保つと同時に酸素分圧を1000Paとした。
室温から5分間で750℃に昇温し、引き続き750℃を30分間保った。この後、ガスの流入を止め、反応管4内を真空排気し、内部は真空の状態で反応管4全体を自然放冷させた。その結果、直径100nm〜3μm、長さ約20μm及びアスペクト比約5〜200のマグネタイトウィスカーが該ハニカム形状の担体本体6の貫通孔内部に、全体に亘って成長した。
[実施例4]
図1に示す構成で、反応管4の内部に、純鉄製渦巻状ハニカム体を外筒に収納した構造の担体本体1(直径38mm、長さ200mm、及びセル密度1200CPSI)を設置し、かつ該担体本体1の外周をコージェライト系低膨張セラミックス製の円筒2でかしめる。更に円筒構造の担体本体1の両端を、圧縮棒3で圧力1×105Pa(ゲージ圧)で挟みこむ。圧縮棒3の担体本体1に接触する円盤にはガスが担体本体1の貫通孔内部に流入できるように通気孔が設けてある。この状態で反応管4内(内径40mm、長さ700mm)にアルゴンと酸素ガスの混合気体を流し、排気流量を調整することによって全圧を5000Paに保つと同時に酸素分圧を1000Paとした。室温から5分間で750℃に昇温し、引き続き750℃を30分間保った。この後、ガスの流入を止め、反応管4内を真空排気し、内部は真空の状態で反応管4全体を自然放冷させた。その結果、図5に示すように直径約50nm、長さ約20μm及びアスペクト比約400のマグネタイトウィスカーが該ハニカム形状の担体本体1の貫通孔内部に、密に成長した。
次に該メタル担体の外周をかしめている円筒2と圧縮棒3を外し、引き続き真空の反応管4中のメタル担体を300℃に加熱した後、二酸化炭素を1気圧入れ、封印してからそのまま300℃を5時間保った。その結果、メタル担体中に炭素が堆積し、封印されている気体の圧力が0.07気圧だけ低下した。残留ガスの成分をガスクロマトグラフにより測定したところ、二酸化炭素であった。従って7%前後の二酸化炭素が分解された。
[実施例5]
図1に示すかしめ用の円筒2と、圧縮棒3とを取り除いた以外の他の条件は実施例4と同様に、反応管4内で純鉄製担体本体1(直径38mm、長さ200mm、及びセル密度1200CPSI)に酸化熱処理を施した。その結果、図6に示すように、直径約50nm、長さ約5μm及びアスペクト比約100のマグネタイトウィスカーが該ハニカム形状の担体本体1の貫通孔内部に、成長した。但し、実施例4に比較すると均一性は良くなかった。
引き続き真空の反応管4中のメタル担体を300℃に加熱した後、二酸化炭素を1気圧入れ、封印してからそのまま300℃を5時間保った。その結果、メタル担体中に炭素が堆積し、封印されている気体の圧力が0.007気圧だけ低下した。残留ガスの成分をガスクロマトグラフにより測定したところ、二酸化炭素であった。従って0.7%前後の二酸化炭素が分解された。
図1は、担体本体に応力を負荷しながら、その貫通孔内部に酸化鉄ウィスカーを立設させ、また、この立設した酸化鉄ウィスカーを改質させるために用いられる装置の説明図である。
図2は、平箔と波箔とを重ね合わせて形成された単一層のハニカム体からなる担体本体に、両端の把手で引っ張り応力を負荷している状態を示す模式図である。
図3は、試験例で得られた、マグネタイトウィスカーが立設されたハニカム形状の担体本体の貫通孔内部のステンレス表面を観察した光学顕微鏡写真である。
図4は、二酸化炭素分解の循環サイクルを示す説明図である。
図5は、実施例4で得られた、マグネタイトウィスカーが密に立設されたハニカム形状の担体本体の貫通孔内部の鉄表面を観察した電子顕微鏡写真である。
図6は、実施例5で得られた、マグネタイトウィスカーが不均一に立設されたハニカム形状の担体本体の貫通孔内部の鉄表面を観察した電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1…メタル担体、2…かしめ用の円筒、3…圧縮棒、4…反応管、5…ヒーター、6…単一層のハニカム体からなる担体本体、7…把手。

Claims (12)

  1. 鉄系材料で形成されて多数の貫通孔を有する担体本体と、この担体本体の少なくとも前記貫通孔の内壁に直接立設された多数のマグネタイトウイスカーとを有することを特徴とするメタル担体。
  2. 担体本体が、鉄系材料からなる平箔と波箔の組み合わせで構成された単一層又は複数層のハニカム形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のメタル担体。
  3. 請求項1又は2に記載のメタル担体からなるガス中の二酸化炭素の分解触媒。
  4. 前記マグネタイトが、カチオン過剰マグネタイト(Fe3O4-δ)を含むことを特徴とする請求項3に記載のガス中の二酸化炭素の分解触媒。
  5. 前記マグネタイトウィスカーが、直径5nm〜3μm及びアスペクト比100以上であることを特徴とする請求項3又は4に記載のガス中の二酸化炭素の分解触媒。
  6. 請求項1又は2に記載のメタル担体の製造方法であって、酸素原子を含有する気体に、鉄系材料で形成されて多数の貫通孔を有する担体本体を、前記鉄系材料が酸化する温度以上の温度で接触させ、前記気体から供給される酸素と前記担体本体から供給される鉄とから、前記担体本体の少なくとも貫通孔の内壁に直接マグネタイトウィスカーを立設させることを特徴とするメタル担体の製造方法。
  7. 請求項1又は2に記載のメタル担体の製造方法であって、酸素原子を含有する気体に、鉄系材料で形成されて多数の貫通孔を有する担体本体を、前記鉄系材料が酸化する温度以上の温度で接触させ、前記気体から供給される酸素と前記担体本体から供給される鉄とから前記担体本体の少なくとも貫通孔の内壁に直接酸化鉄ウィスカーを立設させ、その後に、酸化処理又は還元処理により前記酸化鉄ウィスカーをマグネタイトウィスカーへと改質させることを特徴とするメタル担体の製造方法。
  8. 担体本体が、鉄系材料からなる平箔と波箔の組み合わせで構成された単一層又は複数層のハニカム形状に形成されていることを特徴とする請求項6又は7に記載のメタル担体の製造方法。
  9. 前記マグネタイトウィスカーを還元処理して、前記マグネタイトの一部をカチオン過剰マグネタイト(Fe3O4-δ)へと改質することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに1項に記載のメタル担体の製造方法。
  10. 前記担体本体の貫通孔の内壁の表面にマグネタイトウィスカー又は酸化鉄ウィスカーを立設させる際、前記担体本体に機械的応力を負荷させることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載のメタル担体の製造方法。
  11. 請求項6〜10のいずれかに記載のメタル担体を分解触媒とすることを特徴とするガス中の二酸化炭素の分解触媒の製造方法。
  12. 請求項3〜5のいずれか1項に記載のガス中の二酸化炭素の分解触媒を使用した二酸化炭素の分解方法であって、前記触媒に、又は、還元処理した後の前記触媒に二酸化炭素を含むガスを接触させ、前記ガス中の二酸化炭素を分解することを特徴とする二酸化炭素の分解方法。
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