JP4827666B2 - 炭化水素ガスから水素ガスを製造するための触媒材料とその製造方法、並びにその触媒材料を用いた水素ガスの製造方法 - Google Patents

炭化水素ガスから水素ガスを製造するための触媒材料とその製造方法、並びにその触媒材料を用いた水素ガスの製造方法 Download PDF

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Description

この出願の発明は、炭化水素ガスから水素ガスを製造するための触媒材料とその製造方法、並びにその触媒材料を用いた水素ガスの製造方法に関するものである。
水素ガスは燃焼にともなう有害排気ガスを発生しないことや、地球上に水や天然ガスなど水素を含んだ資源が豊富に存在することから、クリーン・エネルギーとしてエネルギー、運輸、環境などに関連する各種の産業分野において期待されているが、その製造に高温の熱エネルギーや高い電気エネルギーを要するため、安価に水素ガスを製造する方法が模索されている。
たとえば、メタンガスから水素ガスを取り出すためには、従来より、水蒸気をメタンガスに接触させて水素ガスを発生させる改質反応が普及している。しかし、この改質反応では700〜900℃の高温の水蒸気が用いられ、この水蒸気を作り出すために化石燃料などを燃焼させて高温の熱エネルギーを供給する必要があった。
そこで、より低温で炭化水素ガスから水素ガスを取り出すため触媒材料の開発が望まれているが、高効率な触媒反応を生じさせるためには単に触媒材料の比表面積が高いだけではなく、多孔体構造を有する触媒材料表面で貴金属ナノ微粒子のサイズと分布密度とを均一に制御する必要性がある。しかしながら、多孔体構造の表面および内面に貴金属ナノ微粒子を高密度かつ均一に担持させることは、従来から報告されている活性炭、アルミナ、珪素酸化物などの多孔体構造物質に対して物理吸着法や真空蒸着法などを応用した従来の手法では技術的に困難であり、これまで炭化水素ガスから水素ガスを発生させるだけの触媒性能を示す材料と方法がみつかっていないのが実情である。
そこで、本願発明は、以上の通りの背景から、200℃のような低温雰囲気下において、炭化水素ガスから水素ガスを発生させることができる触媒材料とその製造方法、並びにその触媒材料を用いた水素ガスの製造方法を提供することを課題としている。
本願発明は、前記の課題を解決するものとして、以下の発明を提供する。
本願発明の触媒材料は、炭化水素ガスまたはジメチルエーテルガスから水素ガスを製造するための触媒材料であって、直径10nm以下の貴金属ナノ微粒子が担持された、直径1nm〜100nmの範囲であり長さ3nm〜900nmの範囲であるニードル状のR型二酸化マンガンのナノ微粒子の凝集体からなることを特徴とする。
この触媒材料においては、貴金属ナノ微粒子が担持されたR型二酸化マンガンのナノ微粒子の凝集体が、メソポーラス多孔体構造を形成してなることが好ましい。
この触媒材料においては、R型二酸化マンガンのナノ微粒子が、直径2nm〜10nmの範囲、長さ5nm〜30nmの範囲であることが好ましい。
この触媒材料においては、R型二酸化マンガンのナノ微粒子が、直径10nm〜30nmの範囲、長さ30nm〜300nmの範囲であることが好ましい。
この触媒材料においては、貴金属ナノ微粒子が、平均粒径5nm以下であることが好ましい。
この触媒材料においては、少なくとも2個以上の貴金属原子が集まって構成されるクラスターがR型二酸化マンガンのナノ微粒子表面に担持されていることが好ましい。
この触媒材料においては、貴金属ナノ微粒子が、パラジウムのナノ微粒子であることが好ましい。
この触媒材料においては、貴金属ナノ微粒子が多孔体の細孔内面に担持されていることが好ましい。
この触媒材料においては、膜状に形成されていることが好ましい。
本願発明の触媒材料の製造方法は、炭化水素ガスまたはジメチルエーテルガスから水素ガスを製造するための触媒材料の製造方法であって、2価のマンガン化合物を焼成してマンガン酸化物の粉末とし、この粉末を酸処理して貴金属を含む水溶液に懸濁させて乾燥して触媒材料を得ることを特徴とする。
この触媒材料の製造方法においては、マンガン酸化物の粉末を酸処理した後、これを乾燥処理して再度酸処理した後に貴金属を含む水溶液に懸濁させて乾燥することが好ましい。
この触媒材料の製造方法においては、2価のマンガン化合物が、炭酸マンガンであることが好ましい。
この触媒材料の製造方法においては、貴金属元素を含む水溶液がpH5.0〜6.0の範囲であることが好ましい。
この触媒材料の製造方法においては、貴金属元素を含む水溶液がパラジウム水溶液であることが好ましい。
本願の水素ガスの製造方法は、上記した触媒材料に炭化水素ガスまたはジメチルエーテルガスを通過接触させて水素ガスを製造することを特徴とする。
この水素ガスの製造方法においては、炭化水素ガスが、メタンガスであることが好ましい。
この水素ガスの製造方法においては、200℃〜500℃の雰囲気下で触媒材料に炭化水素ガスまたはジメチルエーテルガスを通過接触させて水素ガスを製造することが好ましい。
上記発明によれば、メタンガスやジメチルエーテルなどの炭化水素ガスから水素ガスを触媒反応によって200℃のような低温の温度雰囲気下で製造することができるため、安価に水素ガスを製造することができる。さらに、本願発明を応用することによって、たとえば、メタンガスのタンクに接続された管路内に本願発明の触媒材料を設置することで、直接的に水素ガスを製造するシステムの実現が期待できる。
本願発明の触媒材料は、貴金属ナノ微粒子が担持されたマンガン酸化物のナノ微粒子の凝集体からなることを特徴としている。ここで、マンガン酸化物のナノ微粒子は大きさがナノメートルスケールであり、その形状も各種のものが考慮され、たとえば不定形のもの、粒形状のもの、太さが略均一で針状(ロッドともいう)形状を有するニードル状のものであってもよく、本発明では、貴金属ナノ微粒子が担持されたマンガン酸化物のナノニードルが凝集されてメソポーラス多孔体構造を形成してなる触媒材料をも提供する。炭化水素ガスから水素ガスを製造するための触媒材料であることを考慮すると、メソポーラス多孔体構造を形成してなる凝集体の方が炭酸水素ガスの通気性・反応性がより優れているため好ましい。
マンガン酸化物のナノニードルの大きさは、直径1nm〜100nmの範囲、長さ3nm〜900nmの範囲のものが考慮されるが、とくに直径2nm〜10nmの範囲で長さ5nm〜30nmの範囲のナノニードルや直径10nm〜30nmの範囲で長さ30nm〜300nmの範囲のナノニードルが考慮される。
上記メソポーラス多孔体構造は、ナノニードルが絡みあって直径2〜50nmの細孔、とくに直径が7nm〜15nmあるいは15nm〜21nmの細孔が形成されている。たとえば、ナノニードルの大きさが直径2nm〜10nmの範囲で長さ5nm〜30nmの範囲である場合の凝集体の細孔直径は7nm〜15nmの範囲であり、ナノニードルの大きさが直径10nm〜30nmの範囲で長さ30nm〜300nmの範囲である場合の凝集体の細孔直径は15nm〜21nmの範囲の多孔体構造が形成される。
凝集体の大きさとしては、とくに限定されるものではないが、たとえば、メソポーラス多孔体構造を考慮すると直径が1〜100μm程度のもの、さらにはその上限値が2〜5cm程度あるいはそれ以上のものが考慮される。このような凝集体は、たとえば、後述するペースト状体に必要に応じて適宜な量の骨材等を添加して乾燥することで所望の大きさの凝集体を得ることが可能である。
本発明におけるマンガン酸化物は、たとえば、酸化マンガンMnや二酸化マンガン等を例示することができる。二酸化マンガンはその結晶構造に応じて、α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、ε(イプシロン)、δ(デルタ)、λ(ラムダ)、R(アール)型に分類できるが、本発明ではとくにR型の二酸化マンガンの触媒材料を提供する。
担持される貴金属ナノ微粒子の大きさとしては、細孔内面に担持できるような大きさであることが好ましく、たとえば、直径が1nm〜20nmの範囲であることが好ましい。なかでも、直径が10nm以下であることが好ましく、さらには直径5nm以下であることが好ましい。マンガン酸化物のナノニードルに担持されている貴金属微粒子の大きさは、たとえば、透過型電子顕微鏡による観察することができる。図1は、貴金属(パラジウム)を担持させたマンガン酸化物のナノニードルの透過型電子顕微鏡写真である。この図によれば、ナノニードルの表面に黒い斑点で示されているパラジウムの微粒子が担持されており、その直径が5nm以下の大きさであることがわかる。
なお、後述する実施例のように化学処理条件をかえることで、貴金属ナノ微粒子のサイズをより小さくして、少なくとも2個以上の貴金属原子が集まって構成されるクラスターがマンガン酸化物のナノ微粒子表面に多数担持されるようにしてもよい。また、本発明では、マンガン酸化物のナノ微粒子表面に貴金属ナノ微粒子を担持させた後、このマンガン酸化物のナノ微粒子を加熱処理することで、担持された貴金属ナノ微粒子の粒径をその加熱温度に応じて変えることができる。具体的には、担持された貴金属ナノ微粒子は加熱温度によって成長してその粒径が大きくなる。したがって、まず、低濃度の貴金属を含む水溶液を用いて粒径が小さい貴金属が担持されたマンガン酸化物のナノ微粒子を製造し、このものをあらかじめ設定した温度で加熱処理することによって、所定の粒径の貴金属が担持されたマンガン酸化物のナノ微粒子を得ることができる。
本願発明における貴金属ナノ微粒子の種類としては、その貴金属表面で触媒作用を有するものであればとくに制限されるものではなく、たとえば、パラジウム、白金、ロジウム、金、銀などが挙げられるが、水素ガスの製造を考慮するとパラジウムであることが好ましい。
本願発明における触媒材料は膜状に形成されていてもよく、これによって水素ガス製造の際には炭化水素ガスをこの触媒材料に効果的に通過接触させることができ、水素ガスを効率よく製造することができる。触媒材料の膜状化については、後述する実施例のように、たとえば、貴金属を担持させたマンガン酸化物ニードル凝集体粉末をイオン交換純水で湿らせた状態にしてペーストとし、それを導電性のメッシュ(たとえば、金属メッシュやカーボンメッシュ)(50μm、300メッシュ程度の粗さのメッシュ)に塗布して100℃で12時間乾燥して厚さ0.5mm、直径25mmの膜状体としてもよく、これらを複数枚接着したものでもよい。もちろん、使用する金属メッシュや乾燥温度、乾燥時間等は、製造する膜状の触媒材料の厚みや直径などの大きさ等によって適宜に設定される。また、その触媒材料の形状、大きさについてもとくに制限されるものではなく、用いる水素ガスの製造装置の反応容器の大きさ等により適宜に設定される。図2は、水素ガスの製造のための反応容器と膜状の触媒材料の写真である。
以上の触媒材料は、多孔体構造の表面および細孔の内面に貴金属ナノ微粒子が高密度かつ均一に担持されており、従来では実現できなかった高効率な触媒反応を生じさせることができる。このため、たとえば、200℃のような低温雰囲気下において、メタンガスまたはジメチルエーテルガスなどの炭化水素ガスから水素ガスを発生させることができるのである。
次に、本願発明の触媒材料の製造方法について説明する。
本願発明の触媒材料は、2価のマンガン化合物を焼成してマンガン酸化物の粉末とする。次いで、この粉末を酸処理して貴金属を含む水溶液に懸濁する。そして、これを例えば90〜120℃、2時間〜12時間乾燥することで、貴金属ナノ微粒子が担持されたマンガン酸化物のナノ微粒子の凝集体からなる触媒材料を得る。ここで、マンガン酸化物の粉末を酸処理した後に乾燥処理して再度酸処理した後、これを貴金属を含む水溶液に懸濁させて乾燥することで、貴金属ナノ微粒子が担持されたマンガン酸化物のナノニードルが凝集されてメソポーラス多孔体構造を形成してなる触媒材料を得ることができる。
上記製造方法についてさらに詳細に説明する。
炭酸マンガンMnCOなどの2価のマンガン化合物の粉末を焼成することで、その粉末表面には酸化マンガンMnの外殻が形成される。次いで、この粉末を希塩酸などの酸処理溶液中でたとえば1〜5時間程度攪拌して酸処理することで、不定形の水素化した酸化マンガンHMnOナノ微粒子が生成する。この酸処理溶液を減圧ろ過器で固液分離した回収物は、水素化した酸化マンガンHMnOナノ微粒子が多数集まった水分を含んだ状態のペースト状となっている。水素化した酸化マンガンHMnOナノ微粒子は、二酸化マンガンMnOの結晶構造にプロトンHおよび電子eが含侵したマンガン価数+4価のナノ微粒子であり、付加的な電気エネルギーなしに、水中で金やパラジウムなどの金属錯体を貴金属ナノ微粒子として水素化した酸化マンガンの表面に析出させる強い還元能力を有している。したがって、水素化した酸化マンガンHMnOのナノ微粒子のペースト状体を貴金属を含む水溶液に懸濁させることで貴金属を水素化した酸化マンガンHMnOのナノ微粒子に析出させ、次いでこれを乾燥して水分を蒸発させることにより、貴金属ナノ微粒子が担持されたR型二酸化マンガンのナノ微粒子の凝集体を得る。このとき、水溶液の貴金属濃度とpHを制御することで、得られる触媒材料表面で貴金属ナノ微粒子のサイズと分布密度とが均一に制御されて、貴金属ナノ微粒子が高密度かる均一に担持された触媒材料を得ることができる。このようなpHとしては、たとえば、pH5.0〜6.0の範囲であることが考慮され、pHを一定の値に保ちつつ懸濁させるようにする。また、水溶液の貴金属濃度を低くすることで、担持される貴金属ナノ微粒子のサイズ、すなわち粒径をより小さくすることができる。そして、上述したように、このような粒径の小さい貴金属のナノ微粒子が担持されたマンガン酸化物のナノ微粒子を加熱処理することによって、加熱温度に応じて貴金属が成長し、所定の粒径の貴金属が担持されたマンガン酸化物のナノ微粒子を得ることも可能となるのである。たとえば、後述する実施例では、パラジウム濃度40ppmの水溶液を用いてパラジウム粒子を析出させたマンガン酸化物のナノ微粒子を500℃の温度で加熱すると、粒径2〜3nmのパラジウム粒子が担持されたマンガン酸化物のナノ微粒子とすることができる。800℃の温度で加熱した場合には、粒径が30nm程度のパラジウム粒子が担持されたマンガン酸化物のナノ微粒子とすることができる。
本発明は、上記マンガン酸化物の粉末を酸処理して得た水素化した酸化マンガンHMnOのナノ微粒子のペースト状体を、乾燥処理して水分を蒸発させることにより、R型二酸化マンガンのナノニードルとすることができる。そして、これを再度、希塩酸などの酸処理溶液中でたとえば1〜5時間程度攪拌して酸処理し、減圧ろ過器で固液分離することで水素化した酸化マンガンHMnOナノニードルが多数集まったペースト状体を得る。次いで、このペースト状体を貴金属を含む水溶液に懸濁させることで、水素化した酸化マンガンHMnOのナノニードルに貴金属析出させ、これを乾燥して水分を蒸発させることにより、貴金属ナノ微粒子が担持されたR型二酸化マンガンのナノニードルの凝集体を得ることができる。この凝集体はメソポーラス多孔体構造を有している。
本願発明では、上記マンガン酸化物の粉末を酸処理して得た水素化した酸化マンガンHMnOのナノ微粒子のペースト状体の乾燥条件を変えることによって、得られる二酸化マンガンナノニードルの大きさを制御するとともに、その凝集体におけるメソポーラス多孔体構造の平均細孔直径の大きさを調節することができる。たとえば、乾燥条件として、大気中、乾燥機などで90〜120℃、2時間〜12時間乾燥することで、すなわちペースト中の水分の脱水速度を速めることで、得られるR型二酸化マンガンのナノニードルの大きさをより小さくすることができる。具体的には、太さ2〜10nm、長さ5〜30nmのR型二酸化マンガンのナノニードルとすることが可能となる。
一方で、より大きく成長したR型二酸化マンガンのナノニードルを得るためには、ペースト中の水分の脱水速度を遅くしたり、上記ペーストに希塩酸などの希酸を添加してペーストが含む水分中の水素イオンの量を増加させた後、乾燥処理することで、より大きく成長したR型二酸化マンガンのナノニードルを得ることができる。具体的には、太さ10〜30nm、長さ30〜300nmのR型二酸化マンガンのナノニードルとすることが可能となる。
このようなR型二酸化マンガンのナノニードルの凝集体は、そのメソポーラス多孔体構造の平均細孔直径はR型二酸化マンガンのナノニードルの太さと長さに依存する。たとえば、太さ2〜10nm、長さ5〜30nmのR型二酸化マンガンのナノニードルの凝集体は、その平均細孔直径が7nm〜15nmの範囲となる。そして、太さ10〜30nm、長さ30〜300nmのR型二酸化マンガンのナノニードルの凝集体は、その平均細孔直径が15nm〜21nmの範囲となる。
本発明における2価のマンガン化合物としては、炭酸マンガン、水酸化マンガン、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、シュウ酸マンガン等が挙げられが、入手のし易さ、触媒材料の製造効率等を考慮すると炭酸マンガンであることが好ましい。また、マンガン化合物の大きさとしては、平均粒径0.02〜2μmの範囲の粉末であることが好ましい。
焼成温度としては、180〜300℃の範囲であることが好ましく、好適には200〜250℃である。焼成時間については、焼成温度を考慮して適宜に設定されるが、たとえば、1〜20時間程度である。
酸処理に用いる酸としては、無機酸であればとくに制限されず、好ましくは塩酸、硝酸または硫酸である。酸の濃度が高いとマンガン酸化物の溶解が多くなる場合があるので、濃度範囲が0.1〜1.0mol/Lの範囲であることが好ましい。硫酸は最も安価であるため経済性を重視する際には硫酸の使用が好ましい。
酸処理は、1回または2回以上繰り返し行うことができる。酸処理を繰り返し行うことによって、2価のマンガン化合物を4価の二酸化マンガンに酸化することができ、酸処理の回数は、たとえば酸処理に供する焼成した炭酸マンガンの量や、使用する酸の種類、濃度によって適宜に設定される。
本願発明は、水素の製造方法をも提供する。
前述のように本願発明の触媒材料は、多孔体構造の表面および細孔の内面に貴金属ナノ微粒子が高密度かつ均一に担持されており、従来では実現できなかった高効率な触媒反応を生じさせることができる。このため、たとえば、200℃〜500℃の温度雰囲気下、とくに200℃のような低温雰囲気下において、メタンガスまたはジメチルエーテルガスなどの炭化水素ガスを触媒材料に接触させることで水素ガスを製造することができるのである。より効果的に炭化水素ガスを接触させるために、膜状化した触媒材料を用いることが好ましい。
水素ガスの製造方法を具体的に説明すると、たとえば、200℃に加熱したステンレス製の反応容器内に炭化水素ガスをボンベから導入し、膜状化した触媒材料に圧力をかけることで、触媒材料に炭化水素ガスを通過接触させるようにする。図2は、水素ガスの製造のための反応容器と膜状の触媒材料の写真である。
以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん以下の例によって本願発明の実施態様が限定されることはない。
<実施例1>
<シングルナノスケールのパラジウムを担持したマンガン酸化物ナノ微粒子の製造>
(焼成)
磁性ルツボに入れた純度99.9%の炭酸マンガンの粉末(和光純薬社製、特級試薬)25gを大気開放型チューブ電気炉中で、200℃で6時間焼成した後、室温まで放冷して酸化マンガンMnの外殻が表面に形成された炭酸マンガンの粉末を得た。以下、本粉末を前駆体とする。
(炭酸マンガンの除去と水素化した酸化マンガンの合成)
50gの前駆体粉末を0.5mol/Lの希塩酸1Lに懸濁させ、1時間撹拝し、0.25マイクロメッシュのガラス繊維ろ紙を用いて吸引ろ過を行い固液分離した。ガラス繊維ろ紙上に分離された前駆体粉末を再び0.5mol/Lの希塩酸1Lに懸濁させ、1時間攪拌し、再度吸引ろ過を行い固液分離した。この操作を計3回繰返すことで、前駆体から炭酸マンガンをマンガンイオンMn2+と二酸化炭素および水に変化させ、二酸化炭素による内圧の上昇によってマンガンイオンが水流とともに前駆体粉末の内部から噴出する際の触媒効果によって水素化した酸化マンガンを得た。この水素化した酸化マンガンは希塩酸中からろ過することで、ろ紙上に希塩酸で湿ったペーストとして得られる。
(パラジウムの担持)
上記水素化した酸化マンガンをろ過後の湿った状態で、水酸化ナトリウムペレットの溶解によってpHを6.0に調整したパラジウム標準液10000ppm水溶液50mLに懸濁させた。pHの低下に伴い水酸化ナトリウムペレットの投与によって、パラジウム水溶液のpHを6.0に保ち、パラジウムが水酸化パラジウムとして析出沈殿することを防ぎつつ4日間保持した。その後、0.25マイクロメッシュのガラスろ紙を用いて吸引ろ過を行い固液分離した。ろ過回収した固体粉末をpH7に調整した純水を通水して濯ぎ、大気圧下100℃で乾燥して、パラジウムを担持したマンガン酸化物ナノ微粒子凝集体粉末を得た。
(乾燥)
さらに、大気圧下100℃で12時間乾燥して、パラジウムを担持した乾燥マンガン酸化物ナノ微粒子凝集体粉末2.44gを得た。本物質の表面は透過型電子顕微鏡で観察され、シングルナノスケールのパラジウム微粒子が均一に析出している様子が確認された。透過型電子顕微鏡用のサンプル作製にあたっては、メノウ乳鉢中でアルコールを加えて粉砕し、さらにアルコールに懸濁した該粉末を試験管に移して超音波を当てて分散させることで、該粉末の分散微粒子溶液を作製し、その溶液を透過型電子顕微鏡用のグリッドに1滴たらして乾燥する操作で観察用サンプルを作製した。
<実施例2>
<シングルナノスケールのパラジウムを担持した酸化マンガンニードルの製造>
(焼成)
磁性ルツボに入れた純度99.9%の炭酸マンガンの粉末(和光純薬社製、特級試薬)25gを大気開放型チューブ電気炉中で、200℃で6時間焼成した後、室温まで放冷して酸化マンガンMnの外殻が表面に形成された炭酸マンガンの粉末を得た。以下、本粉末を前駆体とする。
(炭酸マンガンの除去と水素化した酸化マンガンの合成)
50gの前駆体粉末を0.5mol/Lの希塩酸1Lに懸濁させ、1時間攪拌し、0.25マイクロメッシュのガラス繊維ろ紙を用いて吸引ろ過を行い固液分離した。ガラス繊維ろ紙上に分離された前駆体粉末を再び0.5mol/Lの希塩酸1Lに懸濁させ、1時間攪拌し、再度吸引ろ過を行い固液分離した。この操作を計3回繰返すことで、前駆体から炭酸マンガンをマンガンイオンMn2+と二酸化炭素および水に変化させ、二酸化炭素による内圧の上昇によってマンガンイオンが水流とともに前駆体粉末の内部から噴出する際の触媒効果によって水素化した酸化マンガンを得た。この水素化した酸化マンガンは希塩酸中からろ過することで、ろ紙上に希塩酸で湿ったペーストとして得られる。
(水素化した酸化マンガンの乾燥とR型二酸化マンガンナノニードルの生成)
ろ紙上に回収された水素化した酸化マンガンのペースト12gを電気炉で100℃に6時間乾燥処理した。この際、乾燥処理をする前に該ペーストに対して濃度0.5mol/Lの希塩酸5mLを添加して湿潤状態にしたのちに乾燥処理した場合には、乾燥処理後に直径10〜30nm、長さ30〜300nmのR型二酸化マンガンのナノニードルが凝集した塊が得られた。希塩酸を添加しないで該ペーストをそのまま乾燥処理した場合には直径2〜10nm、長さ5〜30nmのR型二酸化マンガンのナノナノニードルが凝集した塊が得られた。
(パラジウムの担持)
ろ紙上に回収された水素化した酸化マンガンのペーストを乾燥することで得られた塊状のR型二酸化マンガンを、メノウ乳鉢で粉砕し、濃度0.5mol/Lの希塩酸1Lに懸濁させて1時間攪拌したのち、吸引ろ過を行い固液分離した。ろ紙上に得られた希塩酸で湿った状態の湿ったR型二酸化マンガンを、水酸化ナトリウムペレットの溶解によってpHを6.0に調整したパラジウム標準液10000ppm水溶液50mLに懸濁させた。pHの低下に伴い水酸化ナトリウムペレット、または1規定濃度の水酸化ナトリウム水溶液の投与によって、パラジウム水溶液のpHを6.0に保ち、パラジウムが水酸化パラジウムとして析出沈殿することを防ぎつつ4日間保持した。その後、0.25マイクロメッシュのガラスろ紙を用いて吸引ろ過を行い固液分離した。
(パラジウムを担持したR型二酸化マンガンの乾燥)
さらに、大気圧下100℃で12時間乾燥して、パラジウムを担持した酸化マンガンニードル凝集体粉末2.44gを得た。本物質の表面は透過型電子顕微鏡で観察され、シングルナノスケールのパラジウム微粒子が均一に析出している様子が確認された。透過型電子顕微鏡用のサンプル作製にあたっては、メノウ乳鉢中でアルコールを加えて粉砕し、さらにアルコールに懸濁した該粉末を試験管に移して超音波を当てて分散させることで、該粉末の分散微粒子溶液を作製し、その溶液を透過型電子顕微鏡用のグリッドに1滴たらして乾燥する操作で観察用サンプルを作製した。観察では、全ての酸化マンガンニードルの表面にパラジウムの吸着が観察されたことから、メソポーラス構造を有する酸化マンガンニードル凝集体粉末の多孔体の表面だけではなく、該多孔体の細孔内面にもパラジウムの析出が生じていることがわかった。また、窒素ガス吸着法による表面分析より、得られた凝集体粉末が平均細孔直径4.3nmのメソポーラス多孔体であることも窒素ガス吸着法による表面分析から確認された。表面分析には島津製作所製ASAP2010が使われた。また、パラジウムを担持している物質がR型二酸化マンガンであることを粉末X線回折分析によって確認した。X線回折分析にはリガクRAD−IIBを用いた。
<実施例3>
<クラスターのパラジウムを担持した酸化マンガンニードルの製造>
(焼成)
磁性ルツボに入れた純度99.9%の炭酸マンガンの粉末(和光純薬社製、特級試薬)25gを大気開放型チューブ電気炉中で、200℃で6時間焼成した後、室温まで放冷して酸化マンガンMnの外殻が表面に形成された炭酸マンガンの粉末を得た。以下、本粉末を前駆体とする。
(炭酸マンガンの除去と水素化した酸化マンガンの合成)
50gの前駆体粉末を0.5mol/Lの希塩酸1Lに懸濁させ、1時間攪拌し、0.25マイクロメッシュのガラス繊維ろ紙を用いて吸引ろ過を行い固液分離した。ガラス繊維ろ紙上に分離された前駆体粉末を再び0.5mol/Lの希塩酸1Lに懸濁させ、1時間攪拌し、再度吸引ろ過を行い固液分離した。この操作を計3回繰返すことで、前駆体から炭酸マンガンをマンガンイオンMn2+と二酸化炭素および水に変化させ、二酸化炭素による内圧の上昇によってマンガンイオンが水流とともに前駆体粉末の内部から噴出する際の触媒効果によって水素化した酸化マンガンを得た。この水素化した酸化マンガンは希塩酸中からろ過することで、ろ紙上に希塩酸で湿ったペーストとして得られた。
(水素化した酸化マンガンの乾燥とR型二酸化マンガンナノニードルの生成)
ろ紙上に回収された水素化した酸化マンガンのペースト12gを電気炉で100℃に6時間乾燥処理した。この際、乾燥処理をする前に該ペーストに対して濃度0.5mol/Lの希塩酸5mLを添加して湿潤状態にしたのちに乾燥処理した場合には、乾燥処理後に直径10〜30nm、長さ30〜300nmのR型二酸化マンガンのナノニードルが凝集した塊が得られた。また、希塩酸を添加しないで該ペーストをそのまま乾燥処理した場合には直径2〜10nm、長さ5〜30nmのR型二酸化マンガンのナノナノニードルが凝集した塊が得られた。
(パラジウムの担持)
得られた塊状のR型二酸化マンガンを、メノウ乳鉢で粉砕し、濃度0.5mol/Lの希塩酸1Lに懸濁させて1時間攪拌したのち、吸引ろ過を行い固液分離した。ろ紙上に得られた希塩酸で湿った状態のR型二酸化マンガンを、水酸化ナトリウムペレットの溶解によってpHを6.0に調整したパラジウム濃度が100ppm水溶液1000mLに懸濁させた。pHの低下に伴い濃度1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の投与によって、パラジウム水溶液のpHを6.0に保ち、パラジウムが水酸化パラジウムとして析出沈殿することを防ぎつつ4日間保持した。その後、0.25マイクロメッシュのガラスろ紙を用いて吸引ろ過を行い固液分離した。ろ過回収した固体粉末をpH7に調整した純水を通水して濯ぎ、パラジウムを担持した酸化マンガンニードル凝集体粉末のペーストを得た。
(乾燥)
さらに、大気圧下100℃で12時間乾燥して、パラジウムを担持した乾燥マンガン酸化物ニードル凝集体粉末2.44gを得た。本物質の表面は透過型電子顕微鏡で観察され、パラジウム原子数個からなるクラスターが多数、高密度に均一に析出している様子が確認された。透過型電子顕微鏡用のサンプル作製にあたっては、メノウ乳鉢中でアルコールを加えて粉砕し、さらにアルコールに懸濁した該粉末を試験管に移して超音波を当てて分散させることで、該粉末の分散微粒子溶液を作製し、その溶液を透過型電子顕微鏡用のグリッドに1滴たらして乾燥する操作で観察用サンプルを作製した。観察では、全てのマンガン酸化物ニードルの表面にパラジウムの吸着が観察されたことから、メソポーラス構造を有する酸化マンガンニードル凝集体粉末の多孔体の表面だけではなく、該多孔体の細孔内面にもパラジウムの析出が生じていることがわかった。また、窒素ガス吸着法による表面分析より、得られた凝集体粉末がメソポーラス多孔体であることも確認された。
<実施例4>
<メタンガスから水素ガスを製造する方法>
(膜化)
実施例3の(パラジウムの担持)において得られるイオン交換純水で湿った状態のパラジウムのナノ微粒子を高密度に担持させたマンガン酸化物ニードル凝集体粉末ペーストをステンレスメッシュ(50μm、300メッシュ)に塗布して100℃で12時間乾燥して、パラジウムのナノ微粒子を高密度に担持したマンガン酸化物ニードル凝集体粉末の膜(厚さ0.5mm、直径25mm)を作製した。
このパラジウムのナノ微粒子を高密度に担持させたマンガン酸化物ニードル凝集体粉末の膜を3枚作製し、それらを重ねた状態で200℃に加熱したステンレス製の反応容器内に密閉して2時間加熱することで膜同士を接着した。
(メタンガスとの接触)
3枚の膜を接着して1枚の膜とした後、反応容器に内に再び密閉して200℃を保った状態の反応管に純度99.9%のメタンガスをボンベ(ジーエル・サイエンス社製純メタン99.9%、充填圧力0.8MPa(35℃))から導入して膜に圧力をかけることで、メタンガスを膜に通過接触させた。反応容器には、アドバンテック東洋製のステンレス製ガスラインホルダーLS−25を用いた。また、200℃に反応容器を加熱するためには、大科電器製マントルヒーターとアズワン製温度コントローラーTC−3000を用いた。
(発生水素ガス濃度の測定)
密閉容器内の膜を通過後のガスを採取し、ガスクロマトグラフ法でガスの成分を分析した結果、26ppmの水素濃度が検出された。測定装置としては島津製ガスクロマトグラフGC−14Aを用い、熱伝導度検出器カラムを使って、カラム温度60℃、検出器温度100℃、キャリアーガスとしてアルゴンを使って測定を実施した。また、パラジウムのナノ微粒子を高密度に担持した酸化マンガンニードル凝集体粉末の膜を反応容器内に設置しない場合には反応容器を通過後のガスに水素ガスが含まれないことをガスクロマトグラフ法によって確認した。
<実施例5>
<ジメチルエーテルガスから水素ガスを製造する方法>
(膜化)
実施例3の(パラジウムの担持)において得られるイオン交換純水で湿った状態のパラジウムのナノ微粒子を高密度に担持させたマンガン酸化物ニードル凝集体粉末ペーストをステンレスメッシュ(50μm、300メッシュ)に塗布して100℃で12時間乾燥して、パラジウムのナノ微粒子を高密度に担持したマンガン酸化物ニードル凝集体粉末の膜(厚さ0.5mm、直径25mm)を作製した。
このパラジウムのナノ微粒子を高密度に担持させたマンガン酸化物ニードル凝集体粉末の膜を3枚作製し、それらを重ねた状態で200℃に加熱したステンレス製の反応容器内に密閉して2時間加熱することで膜同士を接着した。
(ジメチルエーテルガスとの接触)
3枚の膜を接着して1枚の膜とした後、反応容器に内に再び密閉して200℃を保った状態の反応管に純度99.9%の液体ジメチルエーテル(ジーエル・サイエンス社製純度99.9%)をバブラー(アドバンテック東洋製GT−300 0.3L)中に満たした純水に導入して、ジメチルエーテルの飽和蒸気をつくり、この蒸気を反応容器に導入して膜に圧力をかけることで、蒸気を膜に通過接触させた。反応容器には、アドバンテック東洋製のステンレス製ガスラインホルダーLS−25を用いた。また、200℃に反応容器を加熱するためには、大科電器製マントルヒーターとアズワン製温度コントローラーTC−3000を用いた。
(発生水素ガス濃度の測定)
密閉容器内の膜を通過後のガスを採取し、ガスクロマトグラフ法でガスの成分を分析した結果、64ppmの水素濃度が検出された。測定装置としては島津製ガスクロマトグラフGC−14Aを用い、熱伝導度検出器カラムを使って、カラム温度60℃、検出器温度100℃、キャリアーガスとしてアルゴンを使って測定を実施した。また、パラジウムのナノ微粒子を高密度に担持した酸化マンガンニードル凝集体粉末の膜を反応容器内に設置しない場合には反応容器を通過後のガスに水素ガスが含まれないことをガスクロマトグラフ法によって確認した。
<実施例6>
<加熱処理によるパラジウム粒子径の制御方法>
試薬特級の炭酸マンガンMnCO nHO(和光純薬製)25gを、電気炉を使って200℃で6時間焼成した後、室温まで放冷し、酸化マンガンMnの外殻が表面に形成された炭酸マンガンの粉末を得た。この粉末を0.5mol/Lの希塩酸1Lに懸濁させ、1時間攪拌し、0.25マイクロメッシュのガラス繊維ろ紙を用いて吸引ろ過を行い固液分離した。ガラス繊維ろ紙上に分離された水素化した二酸化マンガンのペーストを再び0.5mol/Lの希塩酸1Lに懸濁させ、1時間攪拌し、再度吸引ろ過を行い固液分離した。この操作を計3回繰返すことで、前駆体から炭酸マンガンをマンガンイオンMn2+と二酸化炭素および水に変化させ、二酸化炭素による内圧の上昇によってマンガンイオンが水流とともに前駆体粉末の内部から噴出する際の触媒効果によって水素化した酸化マンガンを得た。この水素化した酸化マンガンは希塩酸中からろ過することで、ろ紙上に希塩酸で湿ったペーストとして得られた。
(水素化した酸化マンガンの乾燥とR型二酸化マンガンナノニードルの生成)
ろ紙上に回収された水素化した酸化マンガンのペーストを電気炉で100℃に6時間乾燥処理した。これらの操作によって、直径2〜10nm、長さ5〜30nmのR型二酸化マンガンのナノナノニードルが凝集した塊が得られた。
(パラジウムの担持)
得られた塊状のR型二酸化マンガンを、メノウ乳鉢で粉砕し、濃度0.5mol/Lの希塩酸1Lに懸濁させて1時間攪拌したのち、吸引ろ過を行い固液分離した。ろ紙上に得られた希塩酸で湿った状態のR型二酸化マンガンを、水酸化ナトリウムペレットの溶解によってpHを6.0に調整したパラジウム濃度が40ppmの水溶液1000mLに懸濁させた。pHの低下に伴い濃度1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の投与によって、パラジウム水溶液のpHを6.0に保ち、パラジウムが水酸化パラジウムとして析出沈殿することを防ぎつつ2日間保持した。その後、0.25マイクロメッシュのガラスろ紙を用いて吸引ろ過を行い固液分離した。ろ過回収した固体粉末をpH7に調整した純水を通水して濯ぎ、パラジウムを担持した酸化マンガンニードル凝集体粉末のペーストを得た。
(乾燥)
さらに、大気圧下100℃で12時間乾燥して、パラジウムを担持した乾燥酸化マンガンニードル凝集体粉末2.4gを得た。本物質の表面は透過型電子顕微鏡で観察され、パラジウム原子が該酸化マンガンニードルの表面全体にほぼ均一に存在することを電子顕微鏡に付属のEDX分析装置によって確認した。しかしながら、パラジウムの担持の際に使用したパラジウムの濃度が40ppmと希薄であったために、出力200kVの透過型電子顕微鏡(フィリップス製CM−10)では該酸化マンガンニードルの表面に存在するパラジウム粒子を観察することはできなかった。そこで、このパラジウムの粒径が小さ過ぎて観察できなかった試料を600℃、および800℃で4時間30分電気炉を使って加熱した。その結果、得られた試料の透過型電子顕微鏡写真を図3,および図4に示す。図3では粒径が2〜3nmのパラジウム粒子が黒点として観察される。また図4では粒径が30nm程度のパラジウム粒子が黒点として観察される。これらのパラジウム粒子は、粒径が小さ過ぎて観察できなかったパラジウム粒子同士が加熱によって結合して結晶成長した効果によって、透過型電子顕微鏡で観察が可能になったと考えられる。この際、パラジウムを担持している二酸化マンガンは、R型の二酸化マンガンからβ型の酸化マンガンMnに変化していることを粉末X線回折分析法によって確認した。
以上のように、パラジウムの担持の際に使用する塩化パラジウムのパラジウム濃度を40ppmの様に希薄に設定することで、R型二酸化マンガンの表面に透過型電子顕微鏡では観察が困難な1nm以下の超微粒子として析出させた試料を、500℃、800℃の様に加熱温度を変えて再加熱処理することで、加熱温度に応じて酸化マンガン表面のパラジウムの粒子径を制御できることを確認した。すなはち、500℃の加熱によっては粒径が2〜3nmのパラジウム粒子が酸化マンガン表面に得られ、800℃の加熱によっては粒径が30nm程度のパラジウム粒子が酸化マンガン表面に得られた。
貴金属(パラジウム)を担持させたマンガン酸化物のナノニードルの透過型電子顕微鏡写真である。 水素ガスの製造のための反応容器と膜状の触媒材料の写真である。 実施例6において500℃で加熱処理したパラジウムを担持した乾燥酸化マンガンニードルの透過型電子顕微鏡写真である。 実施例6において800℃で加熱処理したパラジウムを担持した乾燥酸化マンガンニードルの透過型電子顕微鏡写真である。

Claims (17)

  1. 炭化水素ガスまたはジメチルエーテルガスから水素ガスを製造するための触媒材料であって、直径10nm以下の貴金属ナノ微粒子が担持された、直径1nm〜100nmの範囲であり長さ3nm〜900nmの範囲であるニードル状のR型二酸化マンガンのナノ微粒子の凝集体からなることを特徴とする触媒材料。
  2. 貴金属ナノ微粒子が担持されたR型二酸化マンガンのナノ微粒子の凝集体は、メソポーラス多孔体構造を形成してなることを特徴とする請求項1に記載の触媒材料。
  3. R型二酸化マンガンのナノ微粒子は、直径2nm〜10nmの範囲、長さ5nm〜30nmの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の触媒材料。
  4. R型二酸化マンガンのナノ微粒子は、直径10nm〜30nmの範囲、長さ30nm〜300nmの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の触媒材料。
  5. 貴金属ナノ微粒子は、平均粒径5nm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の触媒材料。
  6. 少なくとも2個以上の貴金属原子が集まって構成されるクラスターがR型二酸化マンガンのナノ微粒子表面に担持されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の触媒材料。
  7. 貴金属ナノ微粒子は、パラジウムのナノ微粒子であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の触媒材料。
  8. 貴金属ナノ微粒子が多孔体の細孔内面に担持されていることを特徴とする請求項2から7のいずれかに記載の触媒材料。
  9. 膜状に形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の触媒材料。
  10. 炭化水素ガスまたはジメチルエーテルガスから水素ガスを製造するための触媒材料の製造方法であって、2価のマンガン化合物を焼成してマンガン酸化物の粉末とし、この粉末を酸処理して貴金属を含む水溶液に懸濁させて乾燥して触媒材料を得ることを特徴とする触媒材料の製造方法。
  11. 請求項10に記載の触媒材料の製造方法において、マンガン酸化物の粉末を酸処理した後、これを乾燥処理して再度酸処理した後に貴金属を含む水溶液に懸濁させて乾燥することを特徴とする触媒材料の製造方法。
  12. 2価のマンガン化合物は、炭酸マンガンであることを特徴とする請求項10または11に記載の触媒材料の製造方法。
  13. 貴金属元素を含む水溶液はpH5.0〜6.0の範囲であることを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載の触媒材料の製造方法。
  14. 貴金属元素を含む水溶液はパラジウム水溶液であることを特徴とする請求項10から13のいずれかに記載の触媒材料の製造方法。
  15. 請求項1から9のいずれかに記載の触媒材料に炭化水素ガスまたはジメチルエーテルガスを通過接触させて水素ガスを製造することを特徴とする水素ガスの製造方法。
  16. 炭化水素ガスは、メタンガスであることを特徴とする請求項15に記載の水素ガスの製造方法。
  17. 200℃〜500℃の雰囲気下で触媒材料に炭化水素ガスまたはジメチルエーテルガスを通過接触させて水素ガスを製造することを特徴とする請求項15または16に記載の水素ガスの製造方法。
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