JPH0741318B2 - ベンダー加工装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） この発明は、鉄板あるいは熱交換器等を円弧状に曲げる
ベンダー加工装置に関する。

（従来の技術） 例えば鉄板、あるいは熱交換器などの曲げ成形には、タ
ンジェントベンダーと呼ばれるベンダー加工装置が用い
られている。

こうしたベンダー加工装置には、曲げプレート（曲げ用
ダイ部）が上部に載置された下型と、曲面で形成される
曲げ用ポンチ部を先端部にもつ上型とを組合わせた構造
が用いられている。そして、下型の曲げプレートにワー
ク（被加工部材）となる鉄板をセットした後、上型をワ
ークを挟むように下型に対して装着し、その後、下型を
上型の曲面に沿って回動させることにより、ワークの曲
げ用ポンチ部に対する押付けから、該曲面形状にならう
形状にワークを曲げることができるようにしている。

ところが、こうした単に上型の曲面に沿って下型を回動
して加工する装置は、曲げられるワークに対し滑りが生
じ、すり傷，潰れなどがワークに発生する不具合をもっ
ている。

そこで、従来より、ラック・ピニオン機構を用いて、下
型の曲げるポイントを順次にずらして、滑りをなくすよ
うにしたベンダー加工装置が使用されている。具体的に
は、第４図ないし第６図に示されるようなベンダー加工
装置が採用されている。

このベンダー加工装置には、枠状に構成されたフレーム
１の上部開口端の対向する二つの地点にピニオンブラケ
ット２を設置し、このピニオンブラケット2,2の開口側
に向く内側面にそれぞれピニオンギヤ３を突設する。ま
たフレーム１の上部開口に、下型回動装置４につなが
る、例えば角形板状の下型５を設ける。但し、下型５に
はフレーム１の開口より小なる外形もつものが使用され
る。この下型５の上面全体に曲げプレート６（曲げ用ダ
イ部）を載せ、これを第６図に示されるように下型５の
幅方向両側に突設した一対のプレートガイド7,7でスラ
イド可能に支持する。そして、この曲げプレート６の幅
方向両側に、第５図にも示されるようにラックギア8,8
をピニオンギヤ３の軸心とは直角な長手方向に沿って設
け、これらラックギヤ8,8の歯をピニオンギア３に噛合
させた構造が用いられる。そして、鉄板などの二点鎖線
で示す板状のワーク９を曲げプレート６上にセットした
後、図示しない昇降機構で、略かまぼこ状の上型10を上
方から、下型５の所定位置となるピニオンギヤ8,8間の
地点に下降させ、上型10の先端部に形成した曲げプレー
ト６の長手方向に沿う円弧の曲面よりなる曲げ用ポンチ
部11の中心をピニオンギヤ３の中心と一致させて、ワー
ク９上に位置決める。そして、その後、下型回動装置４
で、下型５を曲げ用ポンチ部11の曲線（ピニオンギヤ
３）の中心点を中心として時計回りに円運動させれば、
ピニオンギヤ3,ラックギヤ8,さらにはプレートガイド７
で拘束された曲げプレート６が回転しながら前進してい
き、ワーク９を曲げ用ポンチ部11の曲面に押付けて、ワ
ーク９に第５図中、二点鎖線で示すような曲げ加工を施
していく。

むろん、ピニオンギヤ３にはワーク９の曲げ半径Ｒにワ
ーク９の厚みを加えた寸法をピッチ円形に決定したもの
が使用される。

但し、ワーク９に曲げが加工された後は、下型回動装置
４の逆作動で、下型５が逆方向、すなわち反対時計回り
に円運動する一方、ラックギヤ８の後端に接続したラッ
ク戻し用スプリング12の弾性力でラックギヤ８を引張
り、曲げプレート６を当初の位置に戻していく。つい
で、上型10が上昇していき、加工したワーク９を取り出
せる状態を形成していく。

（発明が解決しようとする課題） ところが、こうしたベンダー加工装置によると、加工す
るワーク９の曲げの曲率などを変更する場合、上型10を
交換する他に、ピニオンブラケット２をフレーム１から
着脱してピニオンギヤ３を交換しなければならない。

このため、交換に伴う段取作業が長く、能率が悪いもの
であった。

この発明はこのような事情に着目してなされたもので、
その目的とするところは、部品交換に伴う、段取時間を
短縮することができるベンダー加工装置を提供すること
にある。

［発明の構成］ （問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために、ベンダー加工装置は、ラッ
クギヤの位置に対して上型の幅方向側部に、上型の装着
と共にラックギヤと着脱自在に噛合うピニオンギヤを設
けて、ピニオンブラケットを無くす構造とした。

（作用） 加工しようとする被加工部材の曲げを変更したいとき
は、曲げに合った上型を選らびさえすれば、その上型を
下型の曲げ用ダイ部に対して設置する際、同時に曲げに
合った大きさのピニオンギヤがラックギヤの歯と噛合っ
て、そのまま曲げ加工工程に入っていく。それ故、上型
を交換するのみでよく、従来、必要とされていたピニオ
ンギヤ，ピニオンブラケットの交換時間が不要となる。

（実施例） 以下、この発明を第１図ないし第３図に示す一実施例に
もとづいて説明する。なお、一実施例において、先の
「従来の技術」の項で述べたものと同じものには同一符
号を附してその説明を省略し、この項では異なる部分に
ついて説明することにする。

すなわち、本実施例は、フレーム１からピニオンブラケ
ット２およびピニオンギヤ３を無くし、そのピニオンギ
ヤ3,3を上型10の側部に設けている。詳しくは、ピニオ
ン3,3は、上型10の幅方向側面上、曲げ用ポンチ部11の
中心となる点に、中心を一致させて取着されている。そ
して、ピニオンギヤ3,3は、いずれもラックギヤ8,8と対
応した位置に配置されていて、上型10を従来と同じワー
ク９上の所定位置に設置さえすれば、そのままラックギ
ヤ3,3と噛合うことができるようになっている。むろ
ん、曲げ具合が異なる曲げ用ポンチ部11をもつ上型10に
は、その曲げに合った大きさのピニオンギヤ3,3が設け
られているもので、上型10の選択から各種の曲げ半径Ｒ
の曲げ加工ができるようになっている。

なお、例えばフレーム１（あるいは下型５）には、ラッ
ク戻しスプリング12で戻るラックギヤ８の当初の位置
を、定位置で位置決めるためのストッパー13が設けられ
ていて、常にラックギヤ３の所定位置を、定位置から昇
降する昇降機構の昇降部分に対して一致させるようにし
ている。

このように構成されたベンダー加工装置を用いて、板状
のワーク９に曲げを施すときは、まず、ワーク９を曲げ
プレート６上に所要にセットする。ついで、図示しない
昇降機構で、上型10を所定位置、すなわち曲げプレート
６の後部（従来のピニオンギヤ3,3間と同じ部位）に対
し下降していく。すると、第３図に示されるように上型
10の幅方向両側のピニオンギヤ3,3が、曲げプレート６
の幅方向両側に有るラックギヤ8,8と噛合って、従来と
同じく曲げ用ポンチ部11がワーク９上に位置決められて
いく。

その後、下型５が下型回動装置４で駆動され、下型５を
ピニオンギヤ３（曲げ用ポンチ部11の曲線）の中心点を
中心として時計回りに円運動させていく。すると、従来
と同様、第２図に示されるようにピニオンギヤ3,ラック
ギヤ8,さらにはプレートガイド７で拘束された曲げプレ
ート６が回転しながら前進していき、ワーク９を曲げ用
ポンチ部11の曲面に押付け、第２図中、二点鎖線で示す
ような曲げ加工をワーク９に施していく。

そして、加工を終えると、下型回動装置４が逆作動し
て、下型５が逆方向、すなわち反時計回りに円運動し、
下型５を曲げプレート６と共に戻していく。ついで、上
型10を昇降機構で上昇させていく。すると、この上昇と
共にピニオンギヤ3,3がラックギヤ8,8から離脱してい
く。そして、離脱と共にラック戻し用スプリング12で引
張られている曲げプレート６の後端がストッパー13に当
接していき、曲げプレート６を当初の位置に戻してい
く。

しかして、例えばワーク９の曲げを変更するべく部品交
換を行なうときは、その曲げに合った上型10を選ぶ。む
ろん、この上型10にはその曲げに合ったピニオンギヤ8,
8も付いている。そして、この選んだ上型10を、先の上
型10に代えて昇降機構にセットし、先に述べた曲げ工程
にしたがって、上型10を同じく曲げプレート６上の所定
位置に設置していけば、交換作業を終えることになる。

すなわち、先の曲げ工程のように曲げ用ポンチ部11の設
置作業と同時進行で、上型10の側部に有る曲げに合った
大きさのピニオンギヤ8,8がラックギヤ8,8の歯と噛合っ
て、曲げ加工工程に入っていく。かくして、交換作業と
しては上型10を交換するのみだけでよく、従来、必要と
されていたピニオンギヤ，ピニオンブラケットの交換時
間は不要となる。

したがって、段取時間を短縮することができる。しか
も、ピニオンブラケットが不要になったことで、装置全
体の小型化、部品点数の減少によるコストダウン化を図
ることができる。そのうえ、ピニオンギヤ３が上型５と
一体なので、上型５の管理および保全が容易になる。

［発明の効果］ 以上説明したようにこの発明によれば、曲げに合った上
型を選んでセットさえすれば、従来ようなピニオンおよ
びピニオンブラケットの段取りを必要とせずに、交換作
業を行なうことができる。

したがって、部品交換に伴う、段取時間を短縮すること
ができる。しかも、ピニオンブラケットが不要なので、
装置全体の小形化、部品点数の減少によるコストダウン
化を図ることができる。そのうえ、ピニオンギヤは上型
と一体なので、その分、上型の管理および保全を容易に
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図はこの発明の一実施例を示し、第１
図はベンダー加工装置を示す斜視図、第２図はそのラッ
ク・ピニオン機構廻りを示す側断面図、第３図はその正
断面図、第４図は従来のベンダー加工装置を示す斜視
図、第５図はそのラック・ピニオン機構廻りを示す側断
面図、第６図はその正断面図である。 ３……ピニオン、４……下型回動装置、５……下型、６
……曲げプレート（曲げ用ダイ部）、７……プレートガ
イド、８……ラックギヤ、９……ワーク（被加工部
材）、10……上型、11……曲げ用ポンチ部、12……ラッ
ク戻しスプリング、13……ストッパー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上部に被加工部材を受ける曲げ用ダイ部が
   幅方向に沿って載置された下型と、前記曲げ用ダイ部の
   上部の所定位置に前記被加工部材を挟むように幅方向沿
   いに着脱可能に設置される先端部に前記曲げ用ダイ部の
   幅方向とは直角な方向に沿う曲面からなる曲げ用ポンチ
   部が設けられた上型と、前記曲げ用ダイ部の幅方向側部
   に前記上型とは直角な方向に沿って設けられたラックギ
   ヤと、このラックギヤの位置に対応して前記上型の幅方
   向側部に設けられ前記上型の装着と共にラックギヤの歯
   と着脱自在に噛合うピニオンギヤと、前記下型を前記ラ
   ックギヤと噛合うピニオンギヤの中心として回動駆動
   し、前記被加工部材を前記曲げ用ポンチ部の曲面に添わ
   して曲げる手段とを具備したことを特徴とするベンダー
   加工装置。