JPH0740510A - 塩化ビニル系樹脂基材用転写箔 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂基材用転写箔

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JPH0740510A
JPH0740510A JP20246893A JP20246893A JPH0740510A JP H0740510 A JPH0740510 A JP H0740510A JP 20246893 A JP20246893 A JP 20246893A JP 20246893 A JP20246893 A JP 20246893A JP H0740510 A JPH0740510 A JP H0740510A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 塩化ビニル系樹脂からなる内外装材基材に、
転写法によって耐候性、耐摩性、耐熱水性が優れ、しか
も高意匠感を表現しうる転写箔を提供する。 【構成】 電離放射線硬化性樹脂の剥離層、アクリル系
樹脂の装飾層、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂で
二次転移温度(Tg)が100〜110℃で、且つ平均
分子量が60000〜80000の範囲の特定の樹脂か
らなる接着層を、順次積層した構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩化ビニル系樹脂から
なる基材の表面を化粧するための塩化ビニル系樹脂基材
用転写箔に関し、特に塩化ビニル系樹脂成形体表面を化
粧し、外装用途や水回り用途などの耐候性、耐摩性、耐
熱水性が要求される用途に好適の化粧材を提供できる転
写箔に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塩化ビニル系樹脂の成形体を用い
た外装材あるいは内装材において、樹脂の成形体のまま
では意匠性に乏しいために、樹脂成形体の表面に種々の
方法で模様付けを行い、意匠感の有る内外装材としてい
る。例えば、塩化ビニル樹脂の押し出し成形体にあって
は、その表面にグラビアオフセット印刷、その他の印刷
方法によって直接絵柄を形成し、さらにその上に透明な
クリヤー保護層を形成して仕上げる方法がある。あるい
は、樹脂成形体を形成する樹脂そのものの中に着色顔料
やパール顔料等を混入した樹脂原料を用いて成形した樹
脂成形体とし、それで最終的な内外装材とする方法等も
あった。さらに、樹脂成形体の表面への絵柄の形成を間
接的に、すなわち転写箔により形成する方法も試みられ
ていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の塩化ビ
ニル系樹脂成形体からなる意匠性を有する内外装材の製
造において、上記した直接に絵柄を樹脂成形体の表面に
グラビア印刷、オフセット印刷、その他の印刷方法によ
って形成する方法の場合、被印刷面となる樹脂成形体の
表面は平滑性が悪かったり、あるいは、平面であること
は通常稀であり、また、それら平面の組み合わせからな
る樹脂成形体に対しては、各々の平面毎に印刷を繰り返
す必要があった。この為に、複数の面毎に絵柄を印刷す
る場合には絵柄の見当合わせが困難であり、さらに多色
刷りにおいては絵柄が不鮮明となり、意匠感に優れた外
装材とすることは困難であった。しかも、一色の印刷毎
に乾燥工程が必要となるために、多色印刷の場合には極
めて生産効率が悪かった。くわえて、印刷形成された絵
柄を保護する意味で、透明なクリヤー保護層を印刷後に
別途形成するための後工程も必要であるなど、得られる
意匠感の割りにコスト高となるものであった。
【0004】また、樹脂成形体を形成する樹脂原料に、
着色顔料やパール顔料を混入したものを用いて内外装材
を製造する場合には、柄模様の意匠を表現することが本
質的に不可能であり、原料樹脂に前記顔料を混ぜ合わせ
る工程が必要になる反面、極めて単調な意匠感を有する
内外装材しか得られなかった。
【0005】さらに、樹脂成形体に間接的に、すなわち
転写法によって、成形体表面を化粧する試みもなされて
来てはいるが、押し出し成形体のような表面が平滑でな
い基材に対しては、均一に転写することが難しく、また
室内用途の化粧材と違い雨風や直射日光等の厳しい条件
にに曝される外装用途、あるいは、浴室、キッチンなど
の水回りに使用される内装用途においては、基本的な転
写性能を具備しつつ、耐候性、耐摩性、耐熱水等の点で
も充分に満足できる特性を具備した実用的な転写箔は得
られていなかった。
【0006】特に、外装用、浴室用では、煮沸水に浸漬
して加熱する試験を行っても、変色、層間剥離を起こさ
ないことが要求される。現在、業界では、一番厳しい規
格としては、最大10時間煮沸に耐えることが要求され
る。また、外装用に於いては、耐候性として、カーボン
アーク燈サンシャインウエザオメータ(耐候性促進試験
機)で最低1000時間照射しても、変褪色、転写層の
剥脱等のないことが要求される。そこで、本発明は、特
に塩化ビニル系樹脂基材用途の転写箔において、耐候
性、耐摩性、耐熱水性が優れた塩化ビニル系樹脂基材用
転写箔を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では上記
課題を解決するために、転写箔用基材の一方の面に、電
離放射線硬化性樹脂からなる耐摩性を有するハードコー
ト層と、アクリル系樹脂をビヒクルの主体とする印刷層
による装飾層と、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂
からなる接着剤層とが順次積層されていることを特徴と
した塩化ビニル系樹脂基材用転写箔とするものである。
また、前記接着剤層を構成する塩化ビニル・酢酸ビニル
共重合体樹脂の二次転移温度(Tg)が100〜110
℃で、且つ平均分子量が60000〜80000である
ことを特徴とした塩化ビニル系樹脂基材用転写箔とする
ものである。
【0008】以下、図面に従って本発明を詳述する。図
1は本発明に係る一実施例を示す塩化ビニル系樹脂基材
用転写箔の縦断面図である。本発明による塩化ビニル系
樹脂基材用転写箔1は、転写箔用基材2の片面に、剥離
層3、プライマー層7、装飾層4、接着剤層5を順次設
けた構成からなる。転写の際は、転写箔用基材2と剥離
層3との界面で剥離し被転写基材側に転写される層、す
なわち転写層6は、転写後の状態で表層から順次剥離層
3、プライマー層7、装飾層4、接着剤層5となる。
【0009】転写箔用基材2は、剥離層3との剥離性の
よいものが利用され、例えば、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレートコ
ポリマー、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステ
ルフィルム、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィル
ム等が利用でき、特に厚さ10〜100μmの2軸延伸
ポリエチレンテレフタレートフィルムが好適である。な
お、剥離層3との剥離性を制御する意味で、図示はしな
いが転写箔用基材2の剥離層3が形成される面に離型層
を設けたものであってもよい。離型層は、フッ素系樹
脂、各種ワックス、シリコーン等の離型剤を公知のビヒ
クル、例えば、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ビ
ニル系樹脂等に添加した塗料の塗膜を形成したり、離型
性の樹脂、例えば、フッ素系樹脂、シリコーン、メラミ
ン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、電離放射線硬化性ア
クリル系樹脂等を塗工、あるいはエクストルージョンコ
ート等で製膜したものを用いればよい。
【0010】剥離層3は、転写箔から装飾層が被転写基
材に転写された以降、転写層6の最外層となるものであ
り、プライマー層7(省略する場合も有り)を介して装
飾層4の上層となって装飾層4を保護する役割を果た
し、本願目的の一つである優れた耐摩性を具現化する際
に特に重要な構成要素である。優れた耐摩性に顕著な効
果を奏する剥離層3としては、電離放射線硬化性樹脂が
好ましい。このような電離放射線硬化性樹脂としては、
例えば、分子中に複数のアクリロイル基、メタクリロイ
ル基等の重合性不飽和結合またはエポキシ基を有するプ
レポリマー、オリゴマー及び/又は単量体を適宜混合し
た組成物を用いることができる。
【0011】前記プレポリマー、オリゴマーとしては、
例えば、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物
等の不飽和ポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリエステ
ルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリ
オールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメ
タクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシ
アクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルア
クリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリ
レート等のアクリレート類等があげられる。
【0012】また、前記単量体としては、例えば、スチ
レン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体、アク
リル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アク
リル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、ア
クリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル
酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メ
チル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メ
タクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチ
ル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等の
メタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N、N−
ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸−2−(N、N
−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N、N
−ジベンジルアミノ)エチル、メタクリル酸−2−
(N、N−ジメチルアミノ)メチル、アクリル酸−2−
(N、N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和酸の置
換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタ
クリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレング
リコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタ
クリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレン
グリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジ
アクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレー
ト、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレン
グリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジ
メタクリレート等の多官能性化合物、あるいは分子中に
2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例
えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、
トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタ
エリスリトールテトラチオグリコール等が挙げられる。
【0013】なお、ここで電離放射線とは電磁波又は荷
電粒子線のうち分子を重合架橋し得るエネルギー量子を
有するものを意味し、通常は紫外線、電子線が用いられ
る。紫外線を用いる場合は、上記にて列記した樹脂の組
成物にさらに、光重合開始剤、増感剤等を添加すること
になるが、本発明の転写箔の物性として耐候性を具備す
る為には、光重合開始剤や増感剤は好ましくない。その
理由としては、これらを含んだ剥離層は、これらが光に
より反応して長時間日光に暴露されると黄変等の劣化を
来すからである。従って、上記した電離放射線硬化性樹
脂を光重合開始剤や増感剤を添加しなくても硬化する、
電子線によって硬化させることが好ましい。電子線硬化
によって、耐候性に優れた転写箔とすることができる。
【0014】本発明の目的である耐候性、表面硬度の物
性を備え、なお且つ、被転写基材の角や曲面への転写適
性を実現する可撓性も兼ね備えた剥離層を形成するとい
う点では、上記した電離放射線硬化性樹脂となる化合物
のなかでも、特にアクリロイル基、又はメタアクリロイ
ル基を分子中に有するアクリレート系又はメタアクリレ
ート系のプレポリマー、オリゴマー、及び/又は単量体
を用いるのが好ましい。
【0015】剥離層を形成するには、以上の化合物を必
要に応じて1種もしくは2種以上混合した樹脂組成物を
用いるが、樹脂組成物に通常の塗工適性を付与する為、
及び屋外暴露時の寒暖変化による繰り返しの膨張・収縮
によって亀裂や剥脱を生じないために、前記プレポリマ
ー又はオリゴマー重量/単量体重量=10/90〜90
/10、より望ましくは40/60〜60/40とする
とが好ましい。この様にすると、樹脂組成物の未硬化時
の粘度・流動性がグラビアコート、ロールコート等に適
したものとなる。更に架橋密度及び架橋単位(架橋点と
架橋点との間の分子長)が適切となる為、架橋硬化物に
可撓性、柔軟性が生じ、繰り返し応力を緩和するからで
ある。
【0016】単量体の選定に際しては、可撓性を持たせ
る為には、単量体の量は少なめにしたり、1官能又は2
官能のアクリレート系又はメタアクリレート系単量体を
用い比較的低架橋密度の構造に調整する。一方、剥離層
の表面硬度を実現するには、塗工適性に支障の無い範囲
で単量体の量を多めにしたり、3官能以上のアクリレー
ト系単量体を用いて架橋密度を高めに調整する。これ
ら、1、2官能の単量体と3官能以上の単量体を混合し
て、塗工適性と剥離層の表面硬度及び可撓性を調整する
ことができる。表面硬度と可撓性とをバランスさせ、寒
暖変化の繰返し応力による亀裂や剥脱を防止し、なお且
つ十分な耐擦傷性を持たせる為には、単量体、プレポリ
マー又はオリゴマーとして1官能又は2官能のものの重
量/3官能以上のものの重量=10/90〜30/70
とするのが好ましい。
【0017】以上の様な1官能のアクリレート又はメタ
アクリレート系系単量体としては、例えば、2−ヒドロ
キシシ(メタ)アクリレート((メタ)アクリレート
は、メタアクリレート又はアクリレートの意味。以下同
様)、2−ヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシ
エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、2
官能の(メタ)アクリレート系単量体としては、例え
ば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,
6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピ
レングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられ
る。3官能以上の(メタ)アクリレート系単量体とし
は、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリ
レート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリ
レート等が挙げられる。
【0018】プライマー層7は、剥離層3と装飾層4と
の間に介在し、剥離層3と装飾層4との密着性を実現す
るものである。剥離層3と装飾層4とが充分密着性を有
する場合は、これを省く事ができる。プライマー層7と
しては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)
アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルの単独又は共重合体か
らなるアクリル系樹脂、トリレンジイソシアネート、ヘ
キサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシア
ネート等の多価イソシアネートとエチレングリコール、
アクリルポリオール等のポリオールとからなるポリウレ
タン樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリエス
テル樹脂等が用いられる。
【0019】装飾層4は、耐候性において優れた特性を
発揮するアクリル系樹脂をビヒクルを主体とする印刷層
からなる。装飾層4の形成に使用する印刷インキ中の着
色剤は、通常のグラビアインキに使用する着色剤であっ
てもよいが、例えば、ベンガラ、二酸化チタン、朱、群
青、緑青(塩基性炭酸銅)、カーボンブラック等の無機
質顔料や、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリド
ン系顔料やイソインドリノン系顔料等の縮合多環状顔料
等の有機質顔料等が、耐候性の面で優れた特性を発揮す
る。ビヒクルの主成分としては、ポリメチル(メタ)ア
クリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリエ
チルヘキシル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メ
タ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとスチレ
ン、酢酸ビニル等との共重合体等のアクリル系樹脂であ
る。これに、ポリ酢酸ビニル等の他の樹脂を必要に応じ
て混合する。優れた耐候性に顕著な効果を奏する装飾層
4としては、アクリル系樹脂が最適であるが、アクリル
系樹脂単体だと塗膜が硬すぎて、転写時或いは、転写後
の温度変化、変形加工時の外力等により亀裂が入るとい
う欠点がある。これを改善する為に、塩化ビニル・酢酸
ビニル共重合体樹脂をアクリル系樹脂に混合する。混合
比は、アクリル系樹脂/塩化ビニル・酢酸ビニル共重合
体樹脂=9/1〜7/3の範囲であり、特に8/2程度
が好ましい。アクリル系樹脂が少ないと耐候性が低下
し、日光暴露によって黄変等を生じやすくなる。印刷す
る絵柄としては、例えば木目模様、大理石模様等の天然
物模様、全面ベタ、幾何学模様、文字、記号等がある。
【0020】接着剤層5は、耐熱性及び耐水性の面で塩
化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂が使用される。特
に、優れた耐熱水性、耐湿熱性を発揮する点で、塩化ビ
ニル・酢酸ビニル共重合体樹脂の二次転移温度(Tg)
が100〜110℃で、且つ平均分子量が60000〜
80000の範囲にある樹脂であることが好ましい。T
gが100℃未満であったり、あるいは平均分子量が6
0000未満である場合には、転写層の物性が不十分と
なり易く、逆に、Tgが110℃を越えたり、あるいは
平均分子量が80000を越える場合には、被転写基材
との初期密着力が十分に得られないことがある。このよ
うな特定の塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂を用い
ることによ、り100℃の熱水中で10時間煮沸して
も、転写層の剥脱、ふくれ、変色等の異常発生がない化
粧材となる。また、このような樹脂を用いることによ
り、被転写基材の表面の平滑性が悪い場合でも均一な転
写が得られる転写箔となる。接着剤層5の厚みは、通常
1〜50μm(乾燥塗布重量で1〜36g/m2)程度であ
る。
【0021】本発明に係る塩化ビニル系樹脂基材用転写
箔の被転写基材を構成する塩化ビニル系樹脂としては、
塩化ビニルの単独重合体である塩化ビニル樹脂、塩化ビ
ニルと、エチレン、プロピレン、アクリル酸エステル、
メタクリル酸エステル等の他の重合性ビニル単量体との
共重合体樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂等の塩化ビニル樹
脂又は前記共重合体樹脂を変性した変性樹脂、あるいは
塩化ビニル樹脂、前記共重合体樹脂、前記変性樹脂にア
クリル系樹脂、塩素化ポリエチレン、エチレン・酢酸ビ
ニル共重合体樹脂等の他の樹脂をブレンドしたブレンド
樹脂などが挙げられる。これらの樹脂の平均重合度とし
ては、大体700〜2000程度のものを選択する。こ
れらの塩化ビニル系樹脂には、必要に応じ、可塑剤、熱
安定剤、充填剤、難燃剤等を添加する。可塑剤として
は、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル等のフタル
酸エステル類、トリクレジルフォスファイト等の燐酸エ
ステル類、塩化パラフィン、トリメリット酸或いはエポ
キシ化大豆油等の化合物であり、外装、水回り用として
は、通常、最大30重量部程度の添加量である。熱安定
剤としは、鉛、錫、カドミウム、バリウム、マグネシウ
ム、又はカルシウム等のカルボン酸塩、金属石鹸、キレ
ーター等である。また、被転写基材としては前記塩化ビ
ニル系樹脂から押出成形、射出成形、プレス成形等によ
り成形してなる、平板又は曲面板、棒状体等の各種形状
の成形体や基材、あるいは、成形体表面が塩化ビニル系
樹脂から構成されている成形体や基材に適用できる。
【0022】図2は、本発明に係る塩化ビニル系樹脂基
材用転写箔の他の実施例を示す縦断面図である。図2で
は、転写箔基材2として、例えばポリエチレンテレフタ
レートフィルム等で表面艶消や、ヘアライン等の凹凸模
様の基材を用いることで、転写後の転写層6の表面層と
なる剥離層3の表面がマット状、ヘアライン等の凹凸模
様状になるようにしたものである。また、図1では、特
に明示しなかったが、装飾層4にベタ層を設けた例を明
示したものである。
【0023】
【作用】本発明に係る塩化ビニル系樹脂基材用転写箔に
よれば、被転写基材に転写後の転写層の最上層となる剥
離層が電離放射線硬化性樹脂により構成されている結
果、耐候性及び耐摩性に対して特に優れた転写層の物性
を発揮する。特に剥離層に光重合開始剤、光増感剤を含
まない電離線硬化型のものを用いることにより、耐候性
は特に良好である。また、接着剤層にポリ塩化ビニル・
酢酸ビニル共重合体樹脂において、二次転移温度(T
g)が100〜110℃で、且つ平均分子量が6000
0〜80000の特定の樹脂を使用する結果、耐熱水
性、耐湿熱性に対して特に優れた転写層の物性を発揮す
る。
【0024】《実施例1》以下、本発明に係る塩化ビニ
ル系樹脂基材用転写箔について具体的な構成を実施例に
基づいて説明する。転写箔基材として、2軸延伸ポリエ
チレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 x−4
5 厚さ25μm)を用い、その片面に、剥離層用とし
て電離放射線硬化性樹脂液(3官能ウレタンアクリレー
トプレポリマー60重量%、単官能アクリレート単量体
20重量%、2官能アクリレート単量体5重量%、3官
能アクリレート15重量%)をグラビアコータにて、塗
工し乾燥重量で5g/m2の剥離層を形成した。
【0025】次いで、プライマー層として、イソシアネ
ートを架橋剤とする2液硬化型ポリウレタン樹脂をグラ
ビアコータにて、乾燥重量3g/m2塗工した。
【0026】次に、装飾層を、アクリル系樹脂/塩化ビ
ニル・酢酸ビニル共重合体樹脂=8/2(重量比)の混
合物をビヒクルとするグラビアインキによる絵柄印刷層
と、同じ物をビヒクルとするグラビアインキ((株)昭
和インク工業所製 化Xインキ)によるベタ刷り層とに
より、形成した。
【0027】しかる後、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合
体樹脂(Tg=105℃、平均分子量80,000によ
る接着剤層を、機械彫刻グラビアベタ版(ヘル社のヘリ
オクリショグラフ、線数40/cm、角度設定0度)を用
いて塗工し、乾燥重量で6g/m2の接着剤層を設けた。以
上にて、本発明に係る塩化ビニル系樹脂基材用転写箔を
作成した。
【0028】次いで、被転写基材として硬質塩化ビニル
樹脂の押し出し成形体からなる外装材基材の表面に、前
記の塩化ビニル系樹脂基材用転写箔を当接して熱圧を加
え、塩化ビニル系樹脂基材用転写箔の転写層を被転写基
材表面に転写して、外装化粧材を得た。得られた外装化
粧材の耐摩性を、テーバー摩耗試験CS−17、摩耗輪
500g荷重、200回転まで試験したところ、装飾層
の絵柄が取れること無く、充分な性能を発揮した。ま
た、表面硬度は、スチールウール#0000で5往復こ
すっても傷がつかない程度と硬く、耐熱水性も100℃
の熱水中で10時間煮沸後も、転写層には剥脱、ふく
れ、変色等の異常が認められず、セロハンテープ密着性
試験(ニチバン(株)の工業用セロテープ25mm幅を転
写層に貼着して剥離する)も良好で剥離層がセロテープ
に付着し剥がれることもなく充分な耐熱水性を発揮し
た。
【0029】《比較例1》接着剤層として用いた塩化ビ
ニル・酢酸ビニル共重合体についてTg=60℃、平均
分子量24,800とした以外は、実施例と同様にし転
写箔を作製した。その結果、転写直後、熱水浸漬前のセ
ロテープ密着性試験でも剥離層のセロテープへの付着・
剥離はなく良好であった。しかし、煮沸水浸漬を10時
間行ったところ、転写層にふくれや剥脱が生じた。
【0030】《比較例2》接着剤層として用いた塩化ビ
ニル・酢酸ビニル共重合体についてTg=115℃、平
均分子量95,000とした以外は、実施例と同様にし
転写箔を作製した。その結果、転写直後、熱水浸漬前の
セロテープ密着性試験で、転写層がセロテープに付着し
て剥離した。
【0031】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。本
発明の塩化ビニル系樹脂基材用転写箔は、通常の転写箔
の転写工程によって、塩化ビニル系樹脂の基材の表面に
対して化粧が可能であり、得られた化粧材は、表面の平
滑性の悪い塩化ビニル樹脂の押し出し成形体であって
も、鮮明な絵柄を的確に表現可能であり、更に剥離層に
電離放射線硬化性樹脂を用いている為に、充分な性能の
耐摩性、表面硬度が得られる。また、光重合開始剤等が
残量しない電子線によって硬化する樹脂からなる剥離
層、さらにはアクリル系樹脂による装飾層となっている
ため、耐候性にも優れるという顕著な効果を奏する。
【0032】くわえて、接着剤層を形成する塩化ビニル
・酢酸ビニル共重合体樹脂の二次転移点(Tg)及び平
均分子量を特定したものを用いることにより、塩化ビニ
ル系樹脂基材に転写層を転写・接着した化粧材の、耐熱
水性、耐湿熱性が良好であり、水回り用途の内外装用の
塩化ビニル系樹脂部材に要求される「100℃熱水中で
の10時間煮沸後も、転写層の剥脱、ふくれ、変色等の
異常を生じないだけの耐熱水、耐温水性」を充分に満た
すという顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塩化ビニル系樹脂基材用転写箔の一実
施例を示す縦断面図。
【図2】本発明の塩化ビニル系樹脂基材用転写箔の他の
実施例を示す縦断面図。
【符号の説明】
1 塩化ビニル系樹脂基材用転写箔 2 転写箔基材 3 剥離層 4 装飾層 4a 絵柄 4b ベタ 5 接着剤層 6 転写層 7 プライマー層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転写箔用基材の一方の面に、電離放射線
    硬化性樹脂からなるハードコート層と、アクリル系樹脂
    をビヒクルの主体とする印刷層による装飾層と、塩化ビ
    ニル・酢酸ビニル共重合体樹脂からなる接着剤層とが順
    次積層されていることを特徴とする塩化ビニル系樹脂基
    材用転写箔。
  2. 【請求項2】 前記接着剤層を構成する塩化ビニル・酢
    酸ビニル共重合体樹脂の二次転移温度(Tg)が100
    〜110℃で、且つ平均分子量が60000〜8000
    0であることを特徴とする請求項1記載の塩化ビニル系
    樹脂基材用転写箔。
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