JPH0740445Y2 - 車両用シートベルトの格納構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、シートベルトを整理して格納できるようにし
た車両用シートベルトの格納構造に関する。

［従来の技術］ 自動車の衝突事故などの際に、シートベルトを着用して
いると乗員が保護される効果のあることが年々見直さ
れ、今日では運転席とフロント側における補助席でのシ
ートベルトの着用が義務付けられている。また、この効
果をもとに、乗用車のリヤシートなどのベンチシートタ
イプにもシートベルトが設置されている。

この種のシートベルトは、腰に巻き付けるだけのタイプ
のものや、フロント側のシートベルトと同様に、胸部を
拘束するタイプのものが採用されている。

第３図は、シートベルトを取り付けた乗用車の従来にお
けるリヤシートの一例を概略的に示したものである。

このリヤシート１は、ベンチシートタイプで、大きくは
シートクッション２とシートバック３とで構成されてい
る。また、このリヤシート１は三人掛け用で、３つのシ
ートベルト４を設置し、各シートベルト４はバックル５
とタング６で脱着可能に連結し得る構成になっている。
そしてバックル５はウエビング4aを介して車体フロア
（不図示）に固定され、シートクッション２とシートバ
ック３との間から導出されている。これに対し、身体を
拘束するウエビング4bの端末部は、シートバック３の側
部、あるいは裏側で一端がボディに固定され他端がリト
ラクター（不図示）を介して巻き上げ可能にボディに固
定されている。またウエビング4bには、シートバック３
の上部を回り表面側へ導出される部位にタング６が取り
付けられている。そしてリヤシート１の表面側で、タン
グ６とバックル５を介してウエビング4aとウエビング4b
とが脱着可能に連結されて使用するようになっている。

またベンチシートタイプのリヤシート１では、バックル
５とウエビング4aの一部が、シートクッション２とシー
トバック３との仕切り位置に露出配置された状態にな
る。

したがって非使用状態において、バックル５などのベル
ト結合部品が無造作にシートクッション２上に置かれて
いると見た目が悪い。このため非使用状態のときにはス
ッキリとした形で格納しておくことのできる手段を、車
両のシートなどに設けることが望まれていた。

そこで、この要望に応えるための従来の方法として、例
えば第４図乃至第５図に示すようなシートベルトの格納
装置を車両のシートに設けたものがある。この図に示す
装置は、第３図中に符号Ａで示した部分に対応するもの
である。

そして、この格納装置は、一面に開口を有する箱状の格
納ケース７を、シートバック３に形成した凹所（不図
示）内に開口面を室内側に向けて取り付け、この格納ケ
ース７内にバックル５を格納するようにしている。

さらに説明すると、この格納ケース７は、左右側壁7a,7
bの内面間の幅寸法がバックル５の幅寸法に略等しく形
成されているとともに、左右の各側壁7a,7bの内面に小
突起（不図示）が設けられている。そして、格納すると
きは格納ケース７内にバックル５が圧入され、格納され
た後は左右の側壁7a,7bから付与される圧接力で保持さ
れる。

また、この格納装置では、バックル５が格納された状態
において、バックル５と格納ケース７の天面7cとの間に
隙間Ｘが作られるようにしている。そしてシートベルト
４を使用するときに、この隙間Ｘから人の指を差し込み
バックル５の上部に指を掛けて手前側へ引くと、格納ケ
ース７内からバックル５が取り出せるように格納ケース
７の上下寸法をバックル５よりも大きく形成している。

［考案が解決しようとする課題］ したがって、この従来におけるシートベルトの格納構造
は、非使用時の格納状態においても、格納ケース７内の
上部に室内側から見える凹部が形成されたままになって
いる。このため見た目が悪い問題があった。さらにタン
グ６が差し込まれる挿入口を上に向けて格納しているの
で、格納状態において上部隙間Ｘがあると、タング６を
差し込む挿入口に小さな異物が入り込み、バックル５の
故障を誘発するような問題もあった。

本考案は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、そ
の目的とするところは、簡単な構造でシートベルトの非
使用時にシートベルトの結合部品であるバックルまたは
タングをスッキリとした形で格納でき、また取り出し時
には簡単にその所在が分かるようにするとともに、シー
トベルトの格納および取り出し時における操作性を向上
させることのできる車両用シートベルトの格納構造を提
供しようとするものある。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するため、本考案は、シートバックの表
面に設けられてシートベルトのバックルまたはタングが
収納される格納凹所に対し、格納凹所の奥壁部に設けら
れて、格納凹所内にあるバックルまたはタングをその背
面側から突出して押し出す作動部材と、前記作動部材を
格納凹所内に突出する方向へ付勢しているとともに、作
動部材がバックルまたはタングを介して前記奥壁部側に
押されると一回おき毎に作動部材を退避した位置でロッ
クするロック機構部とを持つ押し出し装置を備えた車両
用シートベルトの格納構造であって、前記シートバック
の格納凹所に支軸を介して回動自在に設けられ、前記押
し出し装置の作動部材により格納凹所から押し出され
て、前記バックルまたはタングをその上面開口から内部
に出し入れ自在である格納ケースを有している。

［作用］ この構成によれば、シートベルトの非使用時には、シー
ト上で遊んでいるバックルまたはタングを、シートバッ
クの表面に設けられた格納凹所内に格納ケースを介して
格納することができる。

また格納ケースに格納したバックルまたはタングは、使
用時に格納ケースを格納凹所内に再度押すと、押し出し
装置によって格納凹所内から格納ケースに入れられた状
態で強制的に押し出される。したがって収納凹所とバッ
クルまたはタングとの間に指を差し込む隙間などを設け
る必要がなくなり、格納状態においては格納凹所の格納
ケースの前面でほぼピッタリと閉じることができる。

また取り出し時には、押し出し装置の付勢力でバックル
またはタングが格納ケース内に入れられた状態で強制的
に押し出されて来るので、取り出し操作に大きな力を必
要としない。

［実施例］ 以下、本考案の実施例について図面を用いて詳細に説明
する。

第１図乃至第２図は、本考案の実施例に係る車両用シー
トベルトの格納構造を示すもので、また第３図のＡ部に
相当するものである。したがって第１図乃至第２図で、
第３図中に示した符号と同じ符号を付して示したもの
は、第３図と同じものを示している。

そして、この車両用シートベルトの格納構造は、大きく
はシートバック３の表面に開口された格納凹所15にあっ
て、支軸16を介して回転自在に設置される格納ケース17
と、格納凹所15に上側に位置して格納凹所15よりも多少
奥行きを大きく形成されたスペース11の奥壁に取り付け
られた押し出し装置９とで構成されている。

格納ケース17は、樹脂材で上面が開口された箱状に形成
され、上面開口からバックル５を格納ケース17内にで出
し入れ可能になっている。また左右の各側面17aには、
上面から切り込んで形成された切欠部17bがそれぞれ設
けられている。さらに下面にはシートベルト４を通すた
めのスリット孔18が形成されている。そして、このスリ
ット孔18内にシートベルト４が通され、格納ケース17内
でシートベルト４とバックル５とが連結されている。

押し出し装置９は、作動部材12と、ロック機構部13とで
構成され、ロック機構部13がスペース11の奥壁に固定さ
れた状態になっている。

この作動部材12は、一端がロック機構部13内に取り付け
られ、他端がスペース11内に向かって突き出されてお
り、また突き出された他端には格納ケース17の背面を介
してバックル５を吸引保持するための永久磁石（不図
示）が一体に取り付けられている。

一方、ロック機構部13は、図示しないがロック機構部13
内から作動部材12を突き出し付勢している付勢手段と、
付勢手段の付勢に抗して作動部材12の動作を制御し得る
ロック手段とを備えている。このロック手段は、外部か
ら付与される押し込み力で作動部材12がロック機構部13
内に押し込まれると、この押し込まれた状態で保持ロッ
クする。そして、再度、作動部材12が押されると、この
保持ロックを解除し、付勢手段の付勢で作動部材12が再
び突き出されるのを許容するように構成されている。な
お、このような動作を行わせるタイプのロック手段自体
は、例えばプッシュプルスイッチなどで良く知られてい
る機構である。

また、この押し出し装置９では、作動部材12がロック機
構部13内に押し込まれてロック手段によってロックされ
ているときに、作動部材12の突き出し先端が第１図の如
く格納ケース17の背面側に接する状態に設定されてい
る。また逆にロック手段によるロックが解除されて、作
動部材12がロック機構部13から突き出されると、作動部
材12の突き出し先端がスペース11内に大きく突出され
て、スペース11内に格納されている格納ケース17を外側
へ強制的に押し出すことができる状態に設定されてい
る。

このようにして構成された車両用シートベルトの格納構
造では、シートベルト４を使用しないとき、すなわち格
納状態においてバックル５は格納ケース17内に落とし込
み収納され、さらに格納ケース17の上部がシートバック
３側に回動されて、第１図中に実線で示すように格納ケ
ース17の全体が格納凹所15内に収納された状態になって
いる。そして、この格納ケース17の収納で、作動部材12
もロック機構部13内に押し込まれてロックされ、突き出
し先端が格納凹所15内のスペース11から退避した状態に
なっている。また、この状態では、図示しないが格納凹
所15側から格納ケース17の左右両側面17aに摩擦力が付
与され、この摩擦力で格納ケース17の回動が拘束されて
いる。

そして、次にシートベルト４を使用する場合は、指で格
納ケース17の前面上部を矢印方向へ軽く押すと、ロック
手段が解除され、作動部材12がスペース11内に突出され
る。このとき作動部材12で格納ケース17の背面側が押さ
れ、格納ケース17の上部が格納凹所15ないしはスペース
11の外側へ強制的に押し出される。この状態は第１図中
に一点鎖線で示している。そして格納ケース17の左右の
各側面17aにそれぞれ形成された切欠部17bにおいて、バ
ックル５を左右両側から掴み、さらに上方へ引き上げる
と格納ケース17内から取り出すことができる。なお、こ
のときシートベルト４もスリット孔18を通して引き出さ
れる。

また、再び格納する場合は、バックル５を格納ケース17
内に落とし込んだ後、この格納ケース17の上部を格納凹
所15ないしはスペース11側へ回動させれば、上述したよ
うに格納しておくことができる。

したがって、この車両シートベルトの格納構造では、バ
ックル５の格納保持は、格納ケース17を介して簡単に格
納および取り出しの操作が行えれることに加え、バック
ル５を直接保持するものではないので、バックル５の傷
付きなどを防ぐことが出来る。またバックル５に代えて
タング６を格納させることもできる。

また格納ケース17の回動は前面側から押すだけでよいの
で、従来の如く格納ケースとバックルとの間に指を差し
込むような隙間を設ける必要がなく、格納凹所15ないし
はスペース11を格納ケース17の前面壁でほぼピッタリと
閉じることができるので、見栄えが向上するとともに、
シートバック３の表面と格納ケース17との一体感もより
向上できる。さらに、取り出し時にも大きな力を必要と
しない。

なお、上記各実施例ではベンチシートタイプのリヤシー
ト１に適用した構造を開示したが、本考案はシートのタ
イプに限定されるものではなく、さらにフロント側のシ
ートにも適用できるものである。

［考案の効果］ 以上説明したとおり、本考案に係る車両用シートベルト
の格納構造によれば、シートベルトの非使用時は遊んで
いるシートベルトのバックルまたはタングを格納ケース
内を介して収納凹所内にスッキリと整理した状態で所定
位置に格納しておくことができる。この場合、特に、収
納凹所の開口を格納ケースの前面壁で完全に閉じること
ができるので、不要な開口や隙間がなくなって見た目が
よく、シートバック表面との一体感を向上できる。

また、シートベルトの使用時には格納ケースおよび押し
出し装置を介して簡単に取り出すことができる。この場
合、押し操作は指などで格納ケースの前面を押すことと
なるので違和感がなく、使い勝手がよい。

しかも、押し出し装置は収納ケースに作動することか
ら、バックルまたはタングを傷つけることもなく、商品
価値を向上できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係る車両用シートベルトの格
納構造をバックルが格納された状態で示した要部概略断
面図、第２図は第１図に示した同上格納構造に適用した
格納ケース単品をバックルを格納した状態で示した外観
斜視図、第３図はシートベルトを取り付けた乗用車の従
来におけるリヤシートの一例を概略的に示した斜視図、
第４図は従来における車両用シートベルトの格納構造を
概略的に示した要部正面図、第５図は第４図に示した同
上格納構造の側面図である。 １…リヤシート ４…シートベルト ５…バックル ６…タング ９…押し出し装置 12…作動部材 13…ロック機構部 15…格納凹所 17…格納ケース

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シートバックの表面に設けられてシートベ
   ルトのバックルまたはタングが収納される格納凹所に対
   し、格納凹所の奥壁部に設けられて、格納凹所内にある
   バックルまたはタングをその背面側から突出して押し出
   す作動部材と、前記作動部材を格納凹所内に突出する方
   向へ付勢しているとともに、作動部材がバックルまたは
   タングを介して前記奥壁部側に押されると一回おき毎に
   作動部材を退避した位置でロックするロック機構部とを
   持つ押し出し装置を備えた車両用シートベルトの格納構
   造であって、 前記シートバックの格納凹所に支軸を介して回動自在に
   設けられ、前記押し出し装置の作動部材により格納凹所
   から押し出されて、前記バックルまたはタングをその上
   面開口から内部に出し入れ自在である格納ケースを有す
   ることを特徴とする車両用シートベルトの格納構造。