JPH0740446Y2 - フロントシート用ベルトガイドの支持構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は、２ドア車におけるフロントシート用ベルトガ
イドの支持構造の改良に関する。

（従来の技術） ２ドア車においては、リヤシートへの乗降をより容易化
するため、ドアの開口部を大きくとるのが普通である。
すなわち、その開口部はフロントシート側部からリヤシ
ート側部の一部にかけて開口する。

ところで、フロントシート用のシートベルト装置を構成
する、リトラクタやスルーリングとしてのベルトガイド
を最適位置に設ける必要がある。上述したように、上記
開口部は可能な限り大きく形成されているところから、
その少なくとも一部は、開口部のリヤ側に位置するボデ
ィ部位に取付けることとなる。

従来、たとえば第４図に示すような、フロントシート用
のシートベルト装置要部が構成される。Ｓはフロントシ
ートであり、このシートクッションａ側部のシールドカ
バー１に下部ベルトガイド２が突設される。また、ここ
では図示しないボディ上端部であるルーフレールには、
上部ベルトガイド３が設けられる。この上部ベルトガイ
ド３の位置は少なくともフロントシートＳのリヤ側にあ
り、換言すれば、ここでは図示しないリヤシートの側部
に対向する。４はリトラクタであり、上記リヤシートの
側部で、かつここでは図示しない開口部のリヤ側ボディ
であるサイドレールに設けられる。このリトラクタ４か
ら延出されるウエビング５は、上部ベルトガイド３から
下部ベルトガイド２に亘って挿通掛止され、上記リトラ
クタ４近傍に設けられる、ここでは図示しない止め具に
その端部が取付け固定されている。そして、上記下部ベ
ルトガイド２と上部ベルトガイド３との間のウエビング
５中途部には、ここでは図示ないタングが挿通掛止し、
上記フロントシートＳの反対側側部に設けられるここで
は図示しないバックル部に掛脱自在である。すなわち、
このシートベルト装置は、いわゆる３点ベルトを構成す
る。

（考案が解決しようとする課題） このようにしてフロントシート用のシートベルト装置が
構成され、実際の使用にあたっては、フロントシートＳ
に着座する乗員を確実に拘束する。

しかるに、フロントシートＳに乗員が着座するか否かに
拘らず、上部ベルトガイド３と下部ベルトガイド２との
間のウエビング５の中途部は、リヤシートへの乗降用の
スペースを横切る。そのため、リヤシートへの乗降の際
には、たとえフロントシートＳのシートバックｂを前倒
ししても、そのウエビング５中途部が邪魔になり、ある
いは乗降が不可能になる。

したがって、下部ベルトガイド２においては、ウエビン
グ５の中途部が掛脱自在となる構造を採用している。す
なわち、上部ベルトガイド３のような完全リング状では
なく、その一部を切欠し、ウエビング５が挿通可能な形
状である。

一旦、下部ベルトガイド２から外したウエビング５を再
び掛止するには、第５図に示すように、下部ベルトガイ
ド２の切欠部2aにウエビング５の側部を対向してから、
ベルトガイド２内に挿入する。第６図は、ウエビング５
の挿入途中の状態を示す。このベルトガイド２の挿入側
方向の寸法はウエビング５の幅寸法よりも小さく、一部
が突出するから、ここで図中二点鎖線で示すように、ウ
エビング５を捩って90度向きを変える必要がある。結果
的には、再び第４図に示すように、ウエビング５は下部
ベルトガイド２に挿通掛止することになる。

リヤシートへの乗降の際などウエビング５を外すには、
逆の操作をすればよく、予めウエビング５を２ツ折りに
してその一側部をベルトガイド２の切欠部2aに対向し、
かつその側部からウエビング５を抜き出すこととなる。

したがって、リヤシートへの乗降の毎に下部ベルトガイ
ド２からウエビング５を挿脱しなければならず、その位
置が極端に低いとともにウエビング５を捩じったり折る
手間がかかって面倒である。また、ウエビング５をベル
トガイド２の狭いスペース内で捩じったり折る作業およ
び元の平坦に戻す作業がわずらわしいところから、場合
によっては捩じったり折った状態のままにしておくこと
があり、確実な乗員拘束ができない恐れが生じる。

本考案は、上記事情に着目してなされたものであり、リ
ヤシートへの乗降の度にベルトガイドからウエビングを
挿脱する作業を不要化し、ベルトガイド自体をフロント
シートに着脱する構造に換えて、作業の煩わしさの解消
とウエビングの捩じれ等を防止し、正確化および容易化
を得られるフロントシート用ベルトガイドの支持構造を
提供することを目的とする。

〔考案の構成〕

（課題を解決するための手段） 本考案は、フロントシート用ベルトガイドをフロントシ
ート側部に設け、リヤシート側部におけるリヤシート乗
降用のスペースを横切って、乗降の際に邪魔になる位置
からフロントシート側部に延出されるウエビングに対す
るスルーリングをなし、このベルトガイドは、上記ウエ
ビングの中途部を挿通する完全リング状のリング部およ
びこのリング部に一体に突設し先端部にテーパ部および
このテーパ部に連設して掛合溝を有するピンとからな
り、このベルトガイドの上記ピン先端部であるテーパ部
を支持体に押込むことにより弾性力に抗して拡開し、か
つ上記掛合溝に対向することにより弾性復帰力が作用し
閉止してベルトガイドを回転自在に枢支し、リリース体
で上記支持体をこの弾性力に抗して拡開可能とし上記ピ
ンの掛合溝を支持体から解放自在としたことを特徴とす
るフロントシート用ベルトガイドの支持構造である。

（作用） リヤシートへの乗降の際にはウエビングが邪魔になるの
で、リリース体を押込む。すると、リリース体は、支持
体をその弾性力に抗して拡開し、ピンを解放する。ウエ
ビングを挿通掛止したままベルトガイドをフロントシー
トから取外しでき、リヤシート乗降のためのスペースが
あく。

リヤシートへの乗降が終わって再びベルトガイドをフロ
ントシートに取付けるには、ベルトガイドのピンの先端
部であるテーパ部を支持体に挿入する。支持体は拡開し
てピンの掛合溝に掛合しベルトガイドを回転自在に枢支
するところから、ウエビングの中途部が捩じれることも
ない。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を第１図ないし第３図にもとづ
いて説明する。図中Ｓは、従来のものと全く変りがない
フロントシートである。このフロントシートＳを構成す
るシートクッションａの側部には、シールドカバー１が
設けられていて、ここから後述するフロントシート用ベ
ルトガイド10が突出する。このベルトガイド10は、上部
ベルトガイド３とともにリトラクタ４から延出されるウ
エビング５の中途部を挿通掛止し、これらでシートベル
ト装置が構成される。

上記フロントシート用ベルトガイド10は、ウエビング５
の中途部を挿通する完全リング状であるリング部11と、
このリング部11に一体に突設されるピン12とからなる。
上記ピン12は、その先端部がテーパ状に形成されるテー
パ部13であり、またこのテーパ部13に連設して掛合溝14
が設けられる。

このようなベルトガイド10がフロントシートＳに枢支さ
れる通常の状態において、上記ウエビング５は、リヤシ
ート側部におけるリヤシート乗降用のスペースを横切
り、乗降の際に邪魔になる位置からフロントシートＳ側
部に亘って延出される。

またこのとき上記ベルトガイド10は、フロントシートＳ
の側部に設けられる支持体15に掛合する。すなわち上記
支持体15は、第２図において下端部が回動自在に連結さ
れる一対の曲成板体からなる押さえ板16,16と、これら
押さえ板16,16の上端部である自由端側に架設され押さ
え板16,16を互いに近接する方向に弾性的に付勢する引
っ張りばね17とからなる。これら押さえ板16,16は、上
記掛合溝14の曲率半径と略同一の曲率半径に曲成される
押さえ部16a,16aを有し、かつ上記引っ張りばね17の弾
性力が作用した状態で、押さえ板16,16の自由端相互は
ある程度の間隔を存するよう曲成される。

このような支持体15の上記押さえ板16,16自由端間に
は、リリース体であるワンタッチリリースボタン18の先
端部が介挿する。このワンタッチリリースボタン18の先
端部はテーパ状に形成されていて、図中矢印方向である
下方に押し込むことにより、引っ張りばね17の弾性力に
抗して押さえ板16,16相互を離間する方向に回動付勢で
きる。

しかして、フロントシートＳに着座する乗員を拘束可能
な通常の状態において、上記ウエビング５の中途部はフ
ロントシート用ベルトガイド10の完全リング状に形成さ
れるリング部11に挿通掛止される。このウエビング５
は、リヤシート側部におけるリヤシート乗降の際に邪魔
になる位置に延出されることは上述した通りである。そ
してまた、上記リング部11に一体に突設されるピン12の
掛合溝14は、支持体15を構成する押さえ板16,16に掛合
する。すなわち引っ張りばね17の弾性力が作用して押さ
え板16,16相互が弾性的に掛合し、したがってベルトガ
イド10は回転自在に枢支され、ウエビング５の中途部が
捩じれることがない。また、ワンタッチリリースボタン
18の端部は押さえ板16,16相互間に介挿するが、その深
さは僅かであるところから、引っ張りばね17の弾性力に
抗する作用は発生しない。

リヤシートへの乗降の際は、ウエビング５が乗降用のス
ペース一部を横切っているところから邪魔になるので、
これを上記スペースから除去しなければならない。この
ときは上記ワンタッチリリースボタン18を押込めばよ
い。すると、リリースボタン18の先端部に形成されるテ
ーパ部18aが、引っ張りばね17の弾性力に抗して押さえ
板16,16を互いに離間する方向に拡開し、ピン12の掛合
溝14を解放する。上記ベルトガイド10は押さえ板16,16
から引抜くことができ、ウエビング５を挿通掛止したま
まフロントシートＳから取外し可能である。上記ワンタ
ッチリリースボタン18への付勢力を除去すれば、引っ張
りばね17の弾性復帰力が作用して、押さえ板16,16相互
が近接した状態に戻る。結局、上記ワンタッチリリース
ボタン18に対するワンタッチ操作のみで、ウエビング５
ごとベルトガイド10を取外し、リヤシート乗降のための
充分なスペースを得る。

リヤシート乗降が終わって再びベルトガイド10をフロン
トシートＳ側部に取付けるには、ピン12の先端部である
テーパ部13を押さえ板16,16の所定位置に挿入すればよ
い。上記テーパ部13により、押さえ板16,16相互は引っ
張りばね17の弾性力に抗して円滑に拡開する。このテー
パ部13が挿通する間は拡開状態を保持し、掛合溝14が対
向すると、引っ張りばね17の弾性復帰力が作用して再び
押さえ板16,16は同時に掛合溝14に掛合し、ベルトガイ
ド10を回転自在に枢支する。すなわち、上記ベルトガイ
ド10に対するワタッチ操作のみでフロントシートＳへの
取付けが可能である。

なお上記実施例においては、フロントシートＳを構成す
るシートクッションａの側部にベルトガイド10を着脱自
在にしたが、これに限定されるものではなく、同じくフ
ロントシートＳを構成するシートバックｂの側部に取付
けるようにしてもよい。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、比較的簡単な構成
でありながら、ワンタッチ操作でベルトガイドのフロン
トシートへの着脱が可能であり、従来のごときウエビン
グ中途部の着脱作業が不要となって作業性の向上を図れ
るとともにウエビングの捩じれを確実に防止し、シート
ベルトとしての機能を保持するなどの効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本考案の一実施例を示し、第１図
はフロントシート用シートベルト装置の一部省略した斜
視図、第２図はフロントシート用ベルトガイドの支持構
造の縦断面図、第３図はその一部側面図、第４図ないし
第６図は本考案の従来例を示し、第４図はフロントシー
ト用シートベルト装置の一部省略した斜視図、第５図は
フロントシート用ベルトガイドの支持構造の縦断面図、
第６図はその一部側面図である。 Ｓ…フロントシート、５…ウエビング、11…リング部、
13…テーパ部、14…掛合溝、12…ピン、10…フロントシ
ート用ベルトガイド、15…支持体、16…押さえ板、17…
引っ張りばね、18…リリース体（ワンタッチリリースボ
タン）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】フロントシート側部に設けられリヤシート
   乗降のスペースを横切る位置に延出されるウエビングの
   中途部を挿通する完全リング状のリング部およびこのリ
   ング部に一体に突設され先端部にテーパ部、このテーパ
   部に連設して掛合溝を有するピンからなるフロントシー
   ト用ベルトガイドと、このフロントシート用ベルトガイ
   ドの上記ピン先端部であるテーパ部を押込むことにより
   弾性力に抗して拡開し、かつ上記掛合溝に対向すること
   により弾性復帰力が作用して閉止しベルトガイドを回転
   自在に枢支する支持体と、この支持体の弾性力に抗して
   拡開可能であり上記ピンの掛合溝を支持体から解放自在
   なリリース体とからなることを特徴とするフロントシー
   ト用ベルトガイドの支持構造。