JPH0740031A - 溶湯鍛造方法およびダイカストマシン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 横型締竪鋳込型ダイカストマシンを用いて効
果的な溶湯鍛造を行い，良好な製品を得る。 【構成】 可動金型４にスライドコア６を金型の開閉方
向軸心と直角で水平方向に開閉可能に取付け，固定金型
２にテーパリング５を取付け，型締時に閉じたスライド
コアの先端部をテーパリング中に入れ得るように設け，
鋳込スリーブ１６をテーパリングに当てることなくスラ
イドコアの垂直状の合せ面の下部にドッキングさせて金
型キャビティ１０内に溶湯を鋳込み得るようにした横型
締竪鋳込型のダイカストマシンを用い，低圧型締をして
スライドコアの先端側部をテーパリングのテーパ内面に
接触させた状態で金型キャビティ内に溶湯を鋳込み，続
いて，高圧型締をしてスライドコアの先端側部がテーパ
リングのテーパ内面に強く接触するようにスライドコア
を前進させて溶湯鍛造を行うようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は横型締竪鋳込型のダイカ
ストマシンを用いて鋳造し，更に鍛造する場合の溶湯鍛
造方法およびダイカストマシンに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より，自動車用のアルミホイール等
をダイカストで成形する場合は，例えば，特公平３−４
２９７号公報や特開平３−１３２５７号公報等に記載さ
れているような竪型締竪鋳込型のダイカストマシンを用
いて行っていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このようにダイカスト
マシンを用いてアルミホイール等を鋳造する場合に，金
型内での溶湯の流れの状態を一層良好にし，金型キャビ
ティ内の溶湯に鋳込圧力をより有効に作用させて，緻密
で巣の発生もなく機械的性質も良好な鋳込製品を得るた
めに，横型締竪鋳込型のダイカストマシンを用いること
が考えられる。その場合に，固定金型と可動金型の分割
面部に鋳込スリーブを配置すると，可動金型に取付けた
スライドコアの先端部を保持するために固定金型側に取
付けたテーパリングの一部を切断することになり，テー
パリングによる保持力が弱まり，実施が困難である。

【０００４】なお，前記したようにスライドコアとテー
パリングを用いる場合には，製品の取出や金型のメンテ
ナンス等を行うために，スライドコアの先端部とテーパ
リングが係合するテーパ部分が短い方が望ましい。しか
し，このテーパ部分が短い場合，高圧力で金型キャビテ
ィ内に溶湯を鋳込んだときに，スライドコア開閉用のコ
アシリンダの力だけではスライドコアを強く閉じておく
のには不充分で，スライドコアの可動金型側の合せ面が
開く可能性があり，その合せ面の間からバリが吹く可能
性がある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明においては，一方
の金型にスライドコアを金型の開閉方向軸心と直角で水
平方向に開閉可能に取付け，他方の金型に完全な円管状
のテーパリングを取付け，型締時に閉じたスライドコア
の先端部をテーパリング中に入れ得るように設け，鋳込
スリーブをテーパリングに当てることなくスライドコア
の垂直状の合せ面の下部にドッキングさせて金型キャビ
ティ内に溶湯を鋳込み得るようにした横型締竪鋳込型の
ダイカストマシンを用い，低圧型締をしてスライドコア
の先端側部をテーパリングのテーパ内面に接触させた状
態で金型キャビティ内に溶湯を鋳込み，続いて，高圧型
締をしてスライドコアの先端側部がテーパリングのテー
パ内面に強く接触するようにスライドコアを前進させて
溶湯鍛造を行うようにした。

【０００６】また，そのための装置として，固定金型と
可動金型を設け，固定金型と可動金型の一方の金型に金
型の開閉方向軸心と直角な方向に開閉可能な分割されて
いるスライドコアを取付け，固定金型と可動金型とスラ
イドコアとの間の金型キャビティ内に溶湯を鋳込む鋳込
手段を備えた鋳込装置において，他方の金型の前記一方
の金型側の外周付近に完全な円管状のテーパリングを取
付け，前記一方の金型に取付けたスライドコアを金型の
開閉方向軸心と直角で水平方向に開閉可能に取付け，ス
ライドコアの前記他方の金型側の先端側部を前記テーパ
リングのテーパ内面に係合可能に設け，かつ，スライド
コアの垂直状の分割面の下部にテーパリングに当てるこ
となく鋳込スリーブを着脱可能に設けた横型締竪鋳込型
のダイカストマシンを用いた。なお，場合によっては，
前記一方の金型に対するスライドコアのスライド面側
に，当り面がテーパ面になっているリング状のコアロッ
クリングを前記一方の金型よりスライドコア内の当り面
がテーパ面になっているリング状の溝の中に出し入れ自
在に設けることもできる。

【０００７】

【作用】まず，分割しているスライドコアを閉じた状態
で金型を低圧力の作用で前進させて型締し，スライドコ
アの先端側部をテーパリングのテーパ内面に比較的に軽
く押付け，完全な型締が行われる直前で可動金型を停止
させ，その位置に可動金型やスライドコア等を保持して
おいた状態で，鋳込スリーブをスライドコアの閉じてい
る分割面部の下部に，テーパリングに接触させることな
く，ドッキングさせて，鋳込動作を行う。

【０００８】溶湯を金型キャビティ内に鋳込んだら，続
いて可動金型とスライドコアに高圧力の型締力を作用さ
せて高圧型締を行い，スライドコアの先端側部をテーパ
リングのテーパ内面に強く押付ける。そうすれば，この
時，スライドコアも強い力で押されて最終型締位置まで
前進するので，金型キャビティ内の溶湯は押付けられ，
溶湯鍛造が行われ，緻密な鋳込製品が得られる。

【０００９】なお，スライドコアを閉じたとき，コアロ
ックリングを金型より出して，コアロックリングの先端
部のテーパ状の当り面をスライドコアに設けている円形
状のテーパ溝に挿入してスライドコアが開くのを防止し
てバリが吹かないようにしておくこともできる。鋳造が
終り，キャビティ内の溶湯が固化し冷却したら，コアロ
ックリングを引込め，型開きし，スライドコアを開いた
後，製品を取出す。

【００１０】

【実施例】図１〜図３は本発明の方法を実施するための
装置の１実施例を示すもので，図１は縦断面図，図２は
図１のＡ−Ａ線断面図，図３は図１のＢ−Ｂ線断面図で
ある。図１〜図３において，１は固定盤，２は固定金
型，３は可動盤，４は可動金型であり，型締型開は水平
方向に行われる。固定金型２の可動金型４側の外周付近
には，真円状のテーパリング５を取付け，テーパリング
５の内側にはテーパ面５ａを設けた。なお，この１実施
例では，可動金型４が特許請求の範囲に言う一方の金型
を構成し，固定金型２が他方の金型を構成する。しか
し，逆の構成にすることもできる。

【００１１】可動金型４は，中央部の突出部４ａと，こ
の突出部４ａの基部であるホルダ部４ｂによって構成
し，ホルダ部４ｂの突出部４ａ回りの垂直平面部には，
２つ割のスライドコア６を可動金型４の開閉方向軸心と
直角で水平方向に開閉可能に取付けた。したがって，２
個のスライドコア６の合せ面ともなる分割面６ａは垂直
状態に形成されている。７はスライドコア６の上下に水
平に設けたガイドであり，８はスライドコア６の分割面
６ａの上端部の一部に設けた例えば特公昭５８−４６３
８７号公報や特公昭５９−３０９号公報等に記載されて
いるような金型用ガス抜き装置，９は金型キャビティ１
０の上部の一部と金型用ガス抜き装置８を連結したガス
抜き用の通路であり，通路９はスライドコア６の分割面
６ａに設けた。

【００１２】スライドコア６の固定金型２側の先端外周
部にはテーパ面６ｂを設け，型締したときにテーパ面６
ｂをテーパリング５のテーパ面５ａに係合可能に設け
た。テーパ面６ｂとテーパ面５ａの係合は，低圧型締で
は軽く接触するだけで，型締動作の最終部の高圧型締時
には，強く押付けられるようにした。

【００１３】可動金型４のホルダ部４ｂのスライドコア
６側には，円形状のコアロックリング１１を可動金型４
から出し入れ自在に設け，コアロックリング１１の先端
側の内周面には全周にテーパ面１１ａを設けている。一
方，半割りのスライドコア６の可動金型４に対するスラ
イド面側には，テーパ面１２ａを有するリング状の溝１
２を設け，コアロックリング１１の先端部がこの溝１２
に入り，テーパ面１１ａがテーパ面１２ａに当り，スラ
イドコア６の位置を規制するようにした。１３は，円周
方向に数個設けたコアロックリング１１出し入れ用のシ
リンダである。

【００１４】１４は製品押出用の押出ピン，１５は押出
シリンダである。スライドコア６の垂直状の分割面６ａ
の下部には，鋳込スリーブ１６を垂直方向に着脱自在に
設け，鋳込スリーブ１６の中にはプランジャチップ１７
を摺動自在に設けた。鋳込スリーブ１６は，テーパリン
グ５に当接することなく，完全にスライドコア６の分割
面６ａ部にドッキングさせ得るようにした。１８はスラ
イドコア６の分割面６ａの下部に設けた鋳込スリーブ１
６先端部を装入用の穴，１９は穴１８の上に設けたゲー
ト部，２０は鋳込時に溶湯が流れる湯道である。なお，
図２，図３において，２１はコラムである。また，２２
はスライドコア６を開閉するためのシリンダである。

【００１５】次に，動作について説明する。まず，可動
金型４が開いており，コアロックリング１１が後退して
いる状態で，スライドコア６を閉じ，これにコアロック
リング１１を前進させて，スライドコア６をロックす
る。次に，可動盤３を前進させ金型４，２を閉じる。こ
の場合，スライドコア６の先端側部のテーパ面６ｂが固
定金型２側のテーパリング５のテーパ面５ａにはまりこ
む。テーパリング５およびコアロッグリング１１とその
相手のスライドコア６の当り面の寸法は，規定の力を加
えることによってテーパリング５およびコアロックリン
グ１１が押拡げられて製品が規定厚みになるように，可
動金型４が前進するように設計しておく。

【００１６】したがって，可動金型４を，型締シリンダ
の圧力を低圧の状態で型締を行うと，テーパリング５，
コアロックリング１１の抵抗のために，可動金型４は前
進限の少し手前で停止する。この状態で，鋳込スリーブ
１６を，スライドコア６の分割面６ａの合せ面に設けた
穴１８の中に装入してドッキングさせ，低圧鋳込を行
う。このとき，金型２，４とスライドコア６の間の金型
キャビティ１０の空間は，可動金型４が規定寸法の位置
に到達しておらないために，少し大きい状態にある。し
たがって，溶湯は規定厚みより厚い状態で充填される。
なお，鋳造時に，金型キャビティ１０内の空気は，通路
９と金型用ガス抜き装置８を通って，金型２，４外に排
出される。

【００１７】低圧充填が完了すると同時に，例えば，特
開平３−１３２５７号公報にも記載されているように，
型締圧力および鋳込圧力を同時に上昇させる。型締圧が
上昇し，高圧型締を行うと，可動金型４はスライドコア
６のテーパ面６ｂ，１２ａでテーパリング５とコアロッ
クリング１１を押拡げながら，例えば，図４に実線で示
した位置から点線で示したように規定寸法の位置まで前
進するので，金型キャビティ１０内に充填された溶湯は
凝固収縮体積以上に圧縮され，加圧鍛造され，良品質の
製品が得られる。

【００１８】その際，鋳込シリンダの圧力は平行的に上
昇して，溶湯が鋳込スリーブ１６内に逆流することを防
止するとともに，ゲート部１９付近の凝固収縮の大きい
部分に溶湯を補充する。その場合，スライドコア６が前
進するのに伴い，鋳込スリーブ１６もわずか移動する
が，鋳込シリンダがヒンジで取付けてあるので問題はな
い。

【００１９】なお，本実施例において，型締時には，図
１に示すように，円形状のコアロックリング１１をスラ
イドコア６に設けた溝１２に挿入して，スライドコア６
が開くことを防止する。すなわち，スライドコア６の内
面に溶湯が充満し，圧力がかかり，スライドコア６が開
こうとすると，その荷重はスライドコア６の開き方向で
コアロックリング１１に伝えられ，スライドコア６の開
き方向と直角な方向ではスライドコア６が開く荷重が加
わる。コアロックリング１１はその荷重でスライドコア
６の開き方向には変形膨張する。そのとき，スライドコ
ア６の開き方向と直角な方向では幅が縮まる方向に変形
する。そのために，開こうとするスライドコア６の両端
を抑える形となり，バリが吹くのを防止する。また，ス
ライドコア６が全然動かないので，鋳込製品の形状寸法
が少しでもくるうようなこともない。

【００２０】鋳造終了後，型開を行って製品を取出す場
合は，スライドコア６を左右に開く必要があるので，そ
のときは，コアロックリング１１をシリンダ１３の力に
より可動金型４内に引込み，スライドコア６が左右に動
けるようにして開き，製品押出用のシリンダ１５と押出
ピン１４の作用で製品を押出して取出を行う。次のサイ
クルで型締を行う場合は，コアロックリング１１を引込
めた状態でスライドコア６を閉めてから型締・射出を行
う。

【００２１】

【発明の効果】本発明においては，一方の金型にスライ
ドコアを金型の開閉方向軸心と直角で水平方向に開閉可
能に取付け，他方の金型にテーパリングを取付け，型締
時に閉じたスライドコアの先端部をテーパリング中に入
れ得るように設け，鋳込スリーブをスライドコアの垂直
状の合せ面の下部にドッキングさせて金型キャビティ内
に溶湯を鋳込み得るようにした横型締竪鋳込型のダイカ
ストマシンを用い，低圧型締をしてスライドコアの先端
側部をテーパリングのテーパ内面に接触させた状態で金
型キャビティ内に溶湯を鋳込み，続いて，高圧型締をし
てスライドコアの先端側部がテーパリングのテーパ内面
に強く接触するようにスライドコアを前進させて溶湯鍛
造を行うようにしたので，効率の良い溶湯鍛造を行うこ
とができ，緻密で巣のない強度や伸び等の機械的性質が
向上された鋳込製品を確実容易に得ることができる。

【００２２】なお，前記一方の金型に対するスライドコ
アのスライド面側に，当り面がテーパ面になっているリ
ング状のコアロックリングを前記一方の金型よりスライ
ドコア内の当り面がテーパ面になっているリング状の溝
の中に出し入れ自在に設けておけば，鋳込時にスライド
コアが開くことがなく，スライドコアの合せ面からバリ
が吹出すこともなく，かつ，鋳込製品の形状寸法がわづ
かでもくるうようなこともない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の方法を実施するための装置の１実施例
を示す縦断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図３】図１のＢ−Ｂ線断面図である。

【図４】本発明の溶湯鍛造時の作用状態を示す縦断面図
である。

【符号の説明】

２ 固定金型（他方の金型） ４ 可動金型（一方の金型） ５ テーパリング ５ａ，６ｂ，１１ａ，１２ａ テーパ面 ６ スライドコア ６ａ 分割面 ８ 金型用ガス抜き装置 １０ 金型キャビティ １１ コアロックリング １２ 溝 １３，１５，２２ シリンダ １６ 鋳込スリーブ １７ プランジャチップ ２０ 湯道

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 // Ｂ２９Ｃ 45/56 9156−4Ｆ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一方の金型にスライドコアを金型の開閉
   方向軸心と直角で水平方向に開閉可能に取付け，他方の
   金型にテーパリングを取付け，型締時に閉じたスライド
   コアの先端部をテーパリング中に入れ得るように設け，
   鋳込スリーブをスライドコアの垂直状の合せ面の下部に
   ドッキングさせて金型キャビティ内に溶湯を鋳込み得る
   ようにした横型締竪鋳込型のダイカストマシンを用い，
   低圧型締をしてスライドコアの先端側部をテーパリング
   のテーパ内面に接触させた状態で金型キャビティ内に溶
   湯を鋳込み，続いて，高圧型締をしてスライドコアの先
   端側部がテーパリングのテーパ内面に強く接触するよう
   にスライドコアを前進させて溶湯鍛造を行うようにした
   溶湯鍛造方法。
2. 【請求項２】 固定金型と可動金型を設け，固定金型と
   可動金型の一方の金型に金型の開閉方向軸心と直角な方
   向に開閉可能な分割されているスライドコアを取付け，
   固定金型と可動金型とスライドコアとの間の金型キャビ
   ティ内に溶湯を鋳込む鋳込手段を備えた鋳込装置におい
   て，他方の金型の前記一方の金型側の外周付近にテーパ
   リングを取付け，前記一方の金型に取付けたスライドコ
   アを金型の開閉方向軸心と直角で水平方向に開閉可能に
   取付け，スライドコアの前記他方の金型側の先端側部を
   前記テーパリングのテーパ内面に係合可能に設け，か
   つ，スライドコアの垂直状の分割面の下部に鋳込手段の
   鋳込スリーブを着脱可能に設けた横型締竪鋳込型のダイ
   カストマシン。