JPH0739619B2 - 溶接熱影響部の低温靭性の優れた高張力鋼 - Google Patents

溶接熱影響部の低温靭性の優れた高張力鋼

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JPH0739619B2
JPH0739619B2 JP2138401A JP13840190A JPH0739619B2 JP H0739619 B2 JPH0739619 B2 JP H0739619B2 JP 2138401 A JP2138401 A JP 2138401A JP 13840190 A JP13840190 A JP 13840190A JP H0739619 B2 JPH0739619 B2 JP H0739619B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は溶接入熱が200KJ/cm程度の大入熱溶接に至る広
範な入熱の溶接条件において、良好な溶接熱影響部の低
温靱性を有する高張力鋼にかかわるものである。
(従来の技術) 近年、海洋構造物、船舶等、大型構造物の材質に対する
要求は安全性確保の点から厳しさを増している。特に母
材に比べて材質が劣化する傾向にある溶接熱影響部の低
温靱性の向上が望まれている。
一般に鋼材をサブマージアーク溶接やエレクトロスラグ
溶接などの溶接入熱の大きい自動溶接を行うと、溶接熱
影響部(以下、HAZと称する)のオーステナイト結晶粒
が粗大化することによりHAZの組織が粗くなり、HAZ靱性
が著しく低下する。
HAZ靱性向上のためにはHAZ、特に高温にさらされる融合
部(フュージョンライン、以下FLと称する)近傍のHAZ
組織を微細化する必要がある。従来、以下に示すような
種々のHAZ組織微細化方法が提案されている。
例えば、昭和54年6月発行の「鉄と鋼」第65巻第8号12
32頁においては、TiNを微細析出させることによりHAZの
オーステナイト粒を微細化して、50kgf/mm2級高張力鋼
の大入熱溶接時のHAZ靱性を改善する技術が開示されて
いるが、TiNはFL直近では溶接時に大部分が溶解し、オ
ーステナイトの粗粒化と固溶Nの増加とによりHAZ靱性
の劣化が避けられないという欠点が存在する。
ごく最近では、オーステナイトの細流化によらずに粒内
フェライトを生成させることにより、HAZ組織の微細化
を図る技術が開発されている。粒内フェライトの生成核
としてTi酸化物が有効であり、Ti酸化物は高温にさらさ
れても溶解することがなく、FL直近でも粒内に針状のフ
ェライトを生成し、これにより組織微細化が可能で、Ti
N等を利用した鋼に比較してFL近傍のHAZ靱性の著しい改
善が可能であることが、例えば特開昭61-117245号公報
に示されている。
(発明が解決しようとする課題) Ti酸化物を粒内変態核とした場合はTiNや他の複合単窒
化物等を核とした場合に比べて高温安定性には優れてい
るが、酸化物であるため、凝固時にその分散状態が決定
され、単窒化物に比べて分散状態の制御が困難であり、
またTi酸化物の個数自体も現状の製鋼、凝固法において
はTiNなどと比べて非常に少ない。さらに、粗大なTi酸
化物ができやすく、その場合には酸化物自信が脆性破壊
の起点となってHAZ靱性劣化を招く。
また、全面粒内フェライト組織にすることが困難で、靱
性に悪影響を及ぼす粗大な粒界フェライトやフェライト
サイドプレートの生成が不可避で、得られるHAZ靱性に
も限度がある。
従って、酸化物を用いた鋼材で安定したHAZ靱性を確保
し、一層のHAZ靱性向上を図るためには粒内フェライト
の核となり得る酸化物を微細、多量且つ均一に分布で
き、且つ、粗大な粒界フェライトやフェライトサイドプ
レートの生成を抑制できる新しい手法が必要となる。
(課題を解決するための手段) Ti酸化物を分散させた鋼のFL近傍の溶接熱影響部粗粒域
の組織は、主として旧オーステナイト粒界に板状の初析
粒界フェライトと粒内の針状フェライトからなる。FL直
近で、オーステナイト粒が粗大な場合は粒界焼入性が高
いため、粒界からの変態が抑制され、その分粒内からの
変態が支配的で、粒内のほぼ全面を粒内フェライト組織
とすることはそれほど困難ではない。
しかしながら、FLから遠ざかるにつれて溶接による加熱
温度が低下し、オーステナイト粒径が微細になるにつれ
て粒界からの変態が優先的となり、靱性に有害な粗大な
粒界フェライトやフェライトサイドプレートが生成しや
すくなり、結果として粒内フェライトの生成が少なくな
り、靱性が劣化する。
従って、Ti酸化物を含有して粒内フェライトにより靱性
向上を計る鋼においてはFL直近よりも比較的母材に近
く、比較的粒径の細かいHAZでの靱性劣化の懸念があ
る。
即ち、従来の炭窒化物を用いてオーステナイトの細粒
化、粒内フェライト生成により靱性向上を計る鋼ではFL
直近のHAZの靱性劣化が不可避で、最近見いだされたTi
酸化物を用いて粒内フェライト生成により靱性向上を計
る鋼では、FLから離れたHAZにおける靱性劣化を生じや
すい。
本発明者らは従来鋼、Ti酸化物を含有する鋼それぞれの
持つ問題を克服して、HAZ全域で安定して靱性を確保
し、且つ一層の高靱性化をはかる新しい手段について種
々検討した結果、針状の粒内フェライトによらず、FL直
近から母材近傍のオーステナイト粒径の小さい母材に近
いHAZに至るHAZ全域において、塊状のフェライトを粒
界、粒内によらず生成して、HAZ全域の靱性向上が可能
な鋼の発明に至った。
以下、その詳細について実験結果に基づいて説明する。
FL直近は融点近くの非常に高温にさらされ、この温度で
オーステナイト粒径抑制やフェライト核として有効な析
出物、介在物を確保するには炭窒化物では困難で、やは
り、なんらかの酸化物を活用する必要がある。しかし、
酸化物は微細分散が困難で、特に脱酸力の強い元素の酸
化物ほど粗大な傾向にある、鋼中の含有量も少なくな
る。例えば、通常行われているAl脱酸では粒内フェライ
ト生成に必要な酸化物個数は絶対的に不足である。
TiはAlに比較して脱酸力が弱く、溶鋼中の酸化物も微細
で個数も多くなる上、凝固時にも二次脱酸生成物として
Ti酸化物が微細に分散するので、粒内フェライト生成核
として比較的多量の酸化物の分散が可能となる。しか
し、Ti脱酸による酸化物の分散にも限度があり、例え
ば、連続鋳造スラブの中心部においては観察断面積1
mm2あたり最大50個程度の分散が限度である。
本発明者らはTi脱酸鋼以上にフェライトの生成核となる
酸化物の微細、多量分散を可能とする方法について検討
した結果、Ti,Al,Ca等の強脱酸元素を含有せず、且つ鋼
中の酸素量を適切にすることにより、鋼中に含有される
酸化物の個数を飛躍的に高めることが可能であることを
見いだした。
その実験結果の1例を第3図に示す。
この図はC:0.08%、Si:0.1%、Mn:1.5%、Ni:0.5%、C
u:0.5%を基本成分として、この基本成分鋼と、さらに
溶鋼中にそれぞれV:0.05%、Ti:0.015%、Ca:0.005%、
Al:0.03%を単独に添加したインゴット重量300kgの真空
溶解鋼について、インゴット中心部の酸素含有量と酸化
物の関係を示した図である。なお、酸化物個数と粒子径
は酸化物を形成する元素の特性X線をコンピューターに
より画像解析処理し(CMA装置)求めた。
いずれの鋼も酸素含有量が増加するにつれて酸化物の個
数も増加するが、Al,Caを含有する鋼では酸素量が多く
ても酸化物個数は非常に少ない。Ti含有鋼ではこれらに
比べれば酸化物個数は多くなるが、酸素量が多くても70
個/mm2程度が限度である。
一方、TiやAlなどの強脱酸元素を含まない基本成分鋼
と、V含有鋼は酸素含有量が多い場合に酸化物個数が飛
躍的に増加し、Ti含有鋼に比べても2〜3倍程度以上の
酸化物の鋼中への分散が可能である。
V含有鋼は基本成分鋼に比べても酸化物個数が増える傾
向にあるが、その差は小さい。即ち、強脱酸元素を含有
せずに酸素量を増加することにより酸化物個数を増加さ
せることが可能なことが判明した。このときの酸化物は
種々複雑な組成を有するものが観察されるが、主として
Fe,Mn,Siを含有する複合酸化物となる。V含有鋼ではさ
らにVを微量に含む複合酸化物も観察される。
以上のように酸化物個数に関しては、強脱酸元素を含ま
ないことにより増加が可能であるが、単に酸化物個数だ
けを増加させてもフェライトの生成を促進することはで
きない。即ち、Ti酸化物を含有する鋼で粒内の針状フェ
ライト生成が促進されるのは、オーステナイトからの冷
却中、フェライト変態前にTi酸化物に直接、ないしはTi
酸化物上にMnSが析出した部分に、Tiの炭窒化物が析出
するためである。
従って、Tiを含まない鋼ではTiに変わる炭窒化物生成元
素が必須であり、それにはV添加が酸化物の分散への悪
影響もなく、非常に効果的であることを見いだした。即
ち、Vの炭窒化物はTiの炭窒化物に比べても固溶析出が
容易で、特に加熱温度が低い場合でも固溶析出しやすい
ため、HAZ全域にわたって、フェライト生成促進に有効
に利用可能である。
そして、Al,Tiなどの強脱酸元素を含まず、酸素を適量
含有して酸化物個数が多く、さらにVを含有している鋼
では、フェライト生成能がTi酸化物含有鋼に比較しても
向上する結果、FL直近のHAZ組織においても塊状のフェ
ライト生成が優先するようになり、Ti酸化物含有鋼の粒
界フェライト+針状粒内フェライト組織とは全く異なっ
た、90%以上が塊状のフェライトで、残部が針状粒内フ
ェライトの組織となり、粗大な粒界フェライトやフェラ
イトサイドプレートの生成が抑制されて、靱性が飛躍的
に向上する。
なお、本発明では面積率はHAZの組織を200倍の倍率で光
学顕微鏡を用いて写真撮影し、塊状フェライトを同定
し、画像解析装置あるいはそれと等価な方法で塊状フェ
ライトが占有する面積率を求めた値と定義する。
また、塊状フェライト主体組織であるため、針状粒内フ
ェライト主体組織に顕著に認められる組織のオーステナ
イト粒径依存性が小さく、HAZ全域にわたって、類似の
組織を示し、結果としてHAZ位置による靱性変動も小さ
い。
その検討結果を示したのが第1図、第2図である。
これは第3図の結果の内、酸素量が80〜100ppm程度の基
本成分鋼(鋼A)、V含有鋼(鋼B)、Ti含有鋼(鋼
C)について、各々のインゴットを熱間圧延し、焼入れ
焼戻し処理を加えて素材とし、素材より採取した試験片
にHAZ全域の受ける熱履歴をシミュレートした溶接再現
熱サイクルを加えた後、シャルピー特性を調査した結果
である。
溶接再現熱サイクル条件は加熱温度を1450℃から1300℃
まで変化させ、保持時間1秒で、800〜500℃までの冷却
時間(Δ8/5をサブマージアーク(SAW)溶接の大入熱溶
接に相当する161秒(第1図)と、中入熱溶接に相当す
る40秒(第2図)の2種類とした。
基本成分鋼(鋼A)は第3図に示すように酸化物個数は
多いが値フェライト変態直前に析出して直接フェライト
変態を誘起すべき炭窒化物形成元素を含有しないため、
組織は上部ベイナイト組織主体で、靱性(シャルピー試
験の被面遷移温度:vTrs)は加熱温度、冷却条件によら
ず劣る。
Ti含有鋼(鋼C)はこれに比べれば靱性は優れている。
特にFL直近に相当する加熱温度1450℃の条件において従
来鋼に比べて優れた靱性を示す。
従来の、例えばTiN鋼においては加熱温度が低い1350℃
程度の加熱条件ではオーステナイトの細粒化により、Ti
酸化物を含有する鋼と同様以上の靱性を得ることも不可
能ではないが、加熱温度が1400℃以上の高温ではTiNが
溶解してオーステナイトの細粒化が期待できないため、
FL直近の靱性劣化を防止できない。
しかしながら、Ti酸化物を含有する鋼では逆に加熱温度
が低い条件で粒内フェライトの生成が困難となるため、
従来鋼のようにFLから離れたHAZにおける靱性向上は望
めない。
一方、本発明鋼であるVを含有する鋼(鋼B)はいずれ
の加熱温度、冷却条件においても優れた再現熱サイクル
靱性を示し、HAZ全域において一層のHAZ靱性向上を計れ
ることが明白である。
(作用) 以上が、本発明の基本要件であるが、HAZ靱性の向上
や、高張力鋼としての基本特性確保等のためには、さら
に各々の構成元素量についても限定する必要がある。
以下その限定理由について述べる。
先ず、Cは強度を向上するために有効な成分として添加
するもので、0.02%未満では構造用高張力鋼に必要な強
度の確保が困難である。ただし、0.20%を超える過剰の
添加はHAZ靱性、耐溶接割れ性などを著しく低下させる
ので、0.02〜0.20%の範囲とした。
次に、Siは母材の強度確保に有効な元素であり、またHA
Z靱性向上に必要な酸化物を形成する上で、必要な元素
であるので、0.01%以上の添加は必要である。しかし、
Siは過剰に添加すると、HAZに島状マルテンサイトを形
成しやすく、HAZ靱性を大きく劣化させるため、上限を
0.25%とした。
Mnも母材の強度確保に有効な元素であり、且つHAZ靱性
向上に必要な酸化物を形成する上で必要な元素であるた
め、0.4%以上の添加が必要である。ただし、2.0%を超
えて添加すると、母材靱性、耐溶接割れ性を劣化させる
ので、0.4〜2.0%の範囲とした。
SについてはMnSを形成してフェライト生成を助長する
元素であるので、0.001%以上必要であるが、0.01%を
超える過剰の添加は粗大なA系介在物を形成して母材の
延性、靱性の低下と機械的性質の異方性の増加を招く上
から避けるべきであり、従って、Sは0.001〜0.010%の
範囲とすべきである。
Vは本発明において特に重要な元素であり、フェライト
変態を促進するために必須であり、その効果を生じさせ
るためには0.02%以上の添加が必要である。しかし、0.
20%を超える添加を行うと、析出脆化が大きくなり、組
織が微細になっても靱性向上が望めなくなるため、0.02
〜0.20%の範囲とした。
NはVNを形成してフェライト変態促進に必要であり、そ
のためには0.0010%以上の添加が必要である。ただし、
NはHAZ組織中に島状マルテンサイトを生成してHAZ靱性
を低下させる元素であるため、過剰な添加は避けるべき
であり、本発明者らの検討結果に基づいて上限を0.0060
%とした。
Oも第3図に示したように適切な量添加して酸化物を鋼
中に多量に分散させるために必須の元素である。安定し
て塊状フェライト組織としてHAZ靱性向上を計るために
は、本発明者らの検討によれば酸化物は70個/mm2程度
以上必要である。従って、第3図からO量は0.0020%以
上必要である。O量が増加すれば酸化物個数は増加し、
組織改善には有効であるが、O量が多すぎると酸化物が
粗大化して逆に靱性劣化を生じるため、上限を0.020%
に制限した。
また、PはHAZ靱性や耐溶接割れ性を劣化させる元素で
極力低減するべきであり、上限を0.015%とした。
Alは非常に脱酸力の強い元素であり、不純物しても一定
量以上含有すると、Al酸化物を形成して微細な酸化物の
形成を妨げるので、Ti酸化物含有鋼においても極力低減
する必要があったが、本発明においても当然低減が必要
で、その悪影響を許容できる限度として上限を0.006%
とした。
以上が、本発明鋼の基本成分の各々の限定理由である
が、母材強度調整及び母材靱性向上の目的で、必要に応
じてNi,Cuの1種以上を含有することができる。
先ず、Niは母材の強度、靱性とHAZ靱性を同時に向上で
きる極めて有効な元素であるが、3.0%を超える過剰な
添加をすると、ベイナイトが生成しやすくなり、フェラ
イトの生成が抑制され、HAZ靱性が劣化するようになる
ため、上限を3.0%とした。
また、Cuは母材強度を高める割にはHAZ靱性劣化が少な
い点で有効な元素であるが、1.5%を超える多量の添加
は応力除去焼鈍による割れやHAZ靱性劣化の問題等が顕
著になるため、上限を1.5%とした。
以上が各元素の限定理由であるが、本発明においてはさ
らに炭素当量も併せて限定する必要がある。即ち、鋼の
焼入性が高すぎると、酸化物が適切に分散し、フェライ
ト生成を助長するVの炭窒化物が冷却中に析出できても
フェライトの生成が困難となる。従って、本発明におい
ては通常の溶接条件の範囲で十分目的の塊状フェライト
を組織を得られる成分範囲を検討した結果から、Ceq.
(Ceq=C%+Si%/24+Mn%/6+Ni%/40+V%/14+Cu
%/15)0.45%以下に限定した。
(実施例) 第1表に本発明に従って試作した鋼板及び比較鋼板の化
学成分、酸化物個数、溶接部の靱性等を示す。
ここで、No.1〜No.10が本発明鋼であり、No.11〜No.16
が比較鋼である、本発明鋼、比較鋼とも圧延により20mm
及び30mmの鋼板とした。
20mm材についてはX開先で、電流700A、電圧32V、溶接
速度30cm/min、入熱45kJ/cmの両面1層1電極潜弧溶接
(サブマージアーク溶接)を行った。30mm材については
Y開先で、電流1380A(L極)、1150A(T1極)、1040A
(T2極)、電圧36V(L極)、42V(T1極)、46V(T2
極)、溶接速度45cm/min、入熱194kJ/cmの片面1層3電
極サブマージアーク溶接を行い、いずれも2mmVノッチシ
ャルピー衝撃試験片を板表面から7mmの位置が試験片の
中心部となり、溶接金属とHAZの境界(融合部:FL)から
HAZ側に1mm入った位置がノッチ位置となるよう採取し、
−60℃で試験を実施した。
このような試験片の採取方法によれば、ノッチはHAZと
斜めに交差し、ノッチ先端にはFL直近〜母材に近いHAZ
まで様々な位置のHAZが含まれることになる。
第1表から明らかなように、本発明鋼は比較鋼に比べて
優れたHAZ靱性を有し、−60℃の低温でも構造物の安全
性確保に十分なシャルピー試験の吸収エネルギーを示す
ことが分かる。即ち、本発明鋼はいずれも微細な複合酸
化物が多量に鋼中に分散しており、その結果として、入
熱40kJ/cmの両面1層溶接だけでなく、入熱194kJ/cmの
片面1層の大入熱溶接においてもきわめて優れたシャル
ピー特性を示している。
一方、比較鋼はいずれも本発明の要項を完全には満たし
ていないために、本発明鋼に比較して継手シャルピー特
性は劣っている。即ち、比較鋼No.11はVを含有してい
ないために、HAZ組織が上部ベイナイト主体組織とな
り、靱性が劣る。No.12はTi酸化物を含有した鋼であ
り、FL近傍のHAZ組織は針状物内フェライト主体組織と
なるが、FLから離れたHAZでは粒内フェライト組織とな
らないため、HAZ靱性はばらつきが大きくなり、平均値
としては高吸収エネルギーを示すものの、最低値は改善
されない。No.13はAlを含むため、酸化物個数が極端に
少なく、Vを含有していてもHAZ靱性は劣る。No.14,15
はそれぞれO,V量が本発明の範囲を外れているため、優
れたHAZ靱性が得られていない。No.16は各成分の範囲は
本発明の範囲内であるが、Ceq.が高すぎるため、酸化物
個数も十分で、Vも含有しているにもかかわらず、フェ
ライトの生成が抑制され、ベイナイト主体組織となり、
やはりHAZ靱性が劣化する。
以上の実施例から本発明によれば、200kJ/cm程度の大入
熱溶接に至るまで極めて優れたHAZ靱性が得られること
が明白である。
(発明の効果) Ti酸化物を利用してHAZ組織に粒内フェライトを生成さ
せて組織の微細化を図る技術は、HAZ靱性向上のための
優れた技術である。
一方、本発明はTiを含むことなく、酸化物をTi酸化物を
含む鋼以上に多量に分散させた上、Vを含有することに
より、フェライト生成能を向上させて、FL直近も含めた
HAZ全域で塊状フェライト主体のHAZ組織とすることに特
徴を有し、一層のHAZ靱性向上が図れることは以上の実
施例からも明らかである。
従って、過酷な使用条件に対しても安全性の高い溶接構
造用鋼を提供することが可能となるものであり、その効
果は極めて顕著である。
【図面の簡単な説明】
第1図は酸化物粒子数とΔ8/5=161秒の溶接再現熱サイ
クルを加えたときのシャルピー特性の関係を示す図表、
第2図は酸化物粒子数とΔ8/5=40秒の溶接再現熱サイ
クルを加えたときのシャルピー特性の関係を示す図表、
第3図は各種の鋼の鋼中の酸素量と酸化物の個数の関係
を示す図表である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、 C :0.02〜0.20% Si:0.01〜0.25% Mn:0.4〜2.0% S :0.001〜0.010% V :0.02〜0.20% N :0.0010〜0.0060% O :0.0020〜0.020% を含有し、炭素当量Ceq.(Ceq=C%+Si%/24+Mn%/6
    +V%/14)が0.45%以下で、不純物としてP:0.015%以
    下、Al:0.006%以下、残部はFe及び不可避的不純物から
    なり、溶接熱影響部全域において塊状フェライト主体の
    組織からなることを特徴とする溶接熱影響部の低温靱性
    の優れた高張力鋼。
  2. 【請求項2】Ni:3.0%以下 Cu:1.5%以下 の1種以上を含有し、炭素当量Ceq.(Ceq=C%+Si%/
    24+Mn%/6+Ni%/40+V%/14+Cu%/15)が0.45%以
    下を特徴とする請求項1記載の溶接熱影響部の低温靱性
    の優れた高張力鋼。
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