JPH0739507U - 靴の中敷 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 使用時に汗でむれず、足にフィットして履き
易くクッション性に富み、耐摩擦性、耐久性、保形性に
優れた靴の中敷を提供する。 【構成】 コルク粒子を軟質ゴム発泡体中に分散させた
表層材に、表層材より硬質で低反発弾性の発泡体よりな
る裏面材を一体的に積層した平板状の積層体から成り、
その裏面材の底面には、歩行時にこの中敷を靴底に対し
て容易にならい変形させるための複数の溝を設けた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は使用時に汗でむれず、足にフィットして履き易いクッション性に富み 、しかも耐摩擦性、耐久性、保形性に優れた靴の中敷に関するものである。

【０００２】

【従来技術】

天然素材としてのコルクは吸湿材として効果があり、また通気性、保温性に優 れた素材であるので、以前からシート状にして靴の中敷に頻繁に用いられてきた 。しかし、コルク単独構造によるシートではその構造が脆弱なことから、使用中 の屈曲により中敷が変形したり、或は亀裂が発生し、惹いては該シートが折れる などの欠点があり、耐摩擦性、耐久性、特に保形性に問題を残していた。

【０００３】 そこで、上記問題点を解決すべく表層材としてコルク粒とウレタン樹脂等より なる樹脂製バインダーの混合物をシート状に成形し、さらに該表層材より硬質で ＥＶＡ等よりなる発泡体シートを裏面材として一体的に積層した靴の中敷も提案 されている（実公昭６３−１８４５号）。しかしながら、該考案は使用中にシー トが変形する、亀裂が入る、折れるという欠点は解決したものとして評価に値す るが、より耐久性を重視して表層材より硬質でより低反発弾性の発泡体を裏面材 として用いた場合においては、シート全体が固くなり使用時に満足のゆく屈曲が 得られず、且つ靴底との屈曲性とのバランスが悪くなり、靴本体との一体感が損 なわれた不安定で履き心地の悪い靴の中敷となる欠点を有する。逆により軟質の 発泡体を裏面材として用いた場合においても、中敷の亀裂、断裂といった傷みは 減少するものの、中敷の型くずれ、擦り切れが起こり、前述の耐摩擦性、耐久性 及び保形性の解決には至ってはいない。

【０００４】 これら欠点を補うものとして、柔軟な合成樹脂等からなるシートの中央部から 踵部に至る後半部分にのみ、上記合成樹脂等より硬質で厚みのあるシートを裏打 ちされた靴の中敷がこれまでに提案されてはいる（実公昭６１−２２４８４号） 。しかし、この提案に係る靴の中敷は、屈曲性は満たしてはいるものの、走歩時 に絶えず屈曲が繰り返されることによって、裏打材の設けていないシート前半部 分の耐久性に問題が残ること、さらに、裏打材の設けていないシート前半部分と 、裏打材を設けてたシート後半部分の屈曲率がそれぞれ前後において二分化され るため、走歩時において絶えず漸次的に変化する踏圧とその向きに対して、十分 、かつ適当に衝撃を吸収、分散できるものとは言えず、歩行安定性、及び疲労軽 減等の機能面を満足させることはできない。さらに、歩行を継続することによっ て、シート中央部の裏打材接合部分に屈曲による負担が集中し、その結果、シー ト中央部に亀裂断裂を引き起こし、或は裏打材の接着部が脱落する等、耐久性に も問題が残る。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

以上のように、吸湿性、保温性に優れた特性を有するコルクを素材として靴の 中敷に使用する場合、その構造上の脆さを補強するため前述のような構造による 改良が為されてはいるが、何れも屈曲性と、耐摩擦性、耐久性及び保形性はその 機能の面において互いに背反し理想的な靴の中敷には至っていなかった。

【０００６】 一般に、靴の中敷は安定した歩行を長時間続けられ、且つ、足腰にかかる疲労 の蓄積を最小限に抑えられるような構造であることが望ましく、そのためには、 足裏に直接触れる表層部が柔軟で靴底にかかるショックを十分吸収分散できる屈 曲性を備え、それが長期に使用しても変わらぬ性能を発揮し得る耐久性を備えて いなければならない。

【０００７】 本考案は、このような諸問題をすべて解決すべく為されたものであって、耐摩 擦性、耐久性及び保形性を確保しつつ、且つ、履用時の踏圧のベクトルに対応し て靴底からの衝撃を吸収、分散し、優れた屈曲性を実現した理想的な靴の中敷を 提供せんとするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】 本考案よりなる靴の中敷は、上記の目的を達成するためになされたものであり 、具体的には、コルク粒子を軟質ゴム発泡体中に分散させた表層材に、表層材よ り硬質で低反発弾性の発泡体よりなる裏面材を一体的に積層した平板状の積層体 から成り、その裏面材の底面に、歩行時に靴底に対して容易にならい変形するた めの複数の溝を設けたところにある。

【０００９】 上記の溝は、中敷シートの前後或は左右それぞれの部位で踏圧の大きさ、向き 、頻度が異なるため、溝のパターン、溝と溝との間隔、溝の深さ、或は溝の幅等 は、シートの各部位によって異なる。特に屈曲性が求められるシート前半部にお いては、溝と溝との間隔を狭く、且つ溝の幅、深さを大きく取ることにより、十 分な屈曲性を確保することができ、逆に、シート後半部については、足元の支持 を安定し、且つ靴底からの衝撃が十分吸収分散されることに重点を置けば、図に 示すような、踵部を中心とした同心円状の溝を刻むことにより十分な支持安定性 、衝撃吸収性を確保することができる。同様に、シート前半部の内側部分（土踏 まずと親指の中間部）にも、踵部に匹敵する踏圧がかかるため、同心円状の溝を 刻むことで衝撃吸収に効果的である。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の特徴を図面を参照しながら詳細に説明する。

【００１１】 図１は本考案の靴の中敷の部分拡大断面図、図は２側面図、図３は底面図であ る。

【００１２】 これらの図において、表層材１は、約１ｍｍ径のコルク粒子２をアクリロニト リルブタジエンゴム配合物に２０重量％混合し、加熱加圧して硬さ４５（アスカ −Ｃ型）のゴム発泡体シート３を製造し、このシートより厚さ３ｍｍのシートを 漉き、靴底型に打ち抜き表層材としたものである。次ぎに、この表層材１を靴の 中敷成形用金型の下型に置き、底面５の溝６形成用の突起を設けた裏面材成形用 の上型を被せ、硬さ６０（ＪＩＳＡ型）の発泡ウレタン樹脂を注型し、発泡硬化 させた後脱型して、コルク粒子２を混入した表層材１と硬質の裏面材４とが一体 的に積層された靴の中敷を得た。

【００１３】 本例の靴の中敷によれば、中敷自体は通常は平板状の形状を保つが、人が靴を 履いた場合には、中軸の底面に溝が設けられているので、荷重により靴底の複雑 な曲面に対して容易にならい変形することができ、上述した目的である十分な屈 曲性と、耐摩擦性、耐久性及び保形性が確保されるものとなった。なお本考案の 中軸の裏面材の底面に設ける溝は、本例の形状に限定されるものでないことは当 然である。

【００１４】

【考案の効果】

以上述べた如く、本考案によれば、コルク粒を含有する軟質発泡体からなる表 層材と表層材より硬質で低反発弾性の発泡体からなる裏面材とが一体積層されて いるため、耐摩擦性、耐久性、保形性に特にすぐれたものである。

【００１５】 また本考案の靴の中敷は、表層材より硬質で低反発弾性の発泡体からなる裏面 材に、適所に複数の溝を入れることによって、耐摩擦性、耐久性及び保形性が損 なわれずに、且つ十分な屈曲性を確保することができる。

【００１６】 更に本考案の靴の中敷は、裏面材に構成される溝のパターン、溝の間隔、溝の 深さ、或は溝の幅等をシートの各部位の踏圧に応じて適当に変えることで、漸次 的に変化する靴底からの衝撃吸収に対して最も効果的に踏圧を吸収分散し、履用 者にソフトな踏圧感を与え、走歩時の疲労蓄積を最小限に抑えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、靴の中敷の一部省略拡大断面図。

【図２】図２は、同側面図。

【図３】図３は、同底面図。

【符号の説明】

１・・・表層材、 ２・・・コルク粒子、 ３・・・軟質ゴム発泡体、 ４・・・裏面材、 ５・・・底面、 ６・・・溝。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 血脇 昭 東京都台東区今戸２丁目33番５号

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 靴の中敷であって、コルク粒子２を軟質
   ゴム発泡体中３に分散させた表層材１に、この表層材１
   より硬質で低反発弾性の発泡体よりなる裏面材４を一体
   的に積層した平板状の積層体から成り、その裏面材４の
   底面５には、歩行時に靴底に対して容易にならい変形す
   るための複数の溝６を設けてなることを特徴とする靴の
   中敷。