JPH1099103A

JPH1099103A - 靴用中敷

Info

Publication number: JPH1099103A
Application number: JP25493096A
Authority: JP
Inventors: Toshikazu Koike; 利和小池
Original assignee: Yamaha Corp
Current assignee: Yamaha Corp
Priority date: 1996-09-26
Filing date: 1996-09-26
Publication date: 1998-04-21

Abstract

(57)【要約】【課題】耐久性に優れ、容易に使用者の足の形状に即
した形状となり、かつ足にかかる負担を軽減でき、しか
も靴内での足の安定性を向上させることができる靴用中
敷を提供する。【解決手段】熱可塑性エラストマーからなる基層４
と、該基層４上に設けられ、低伸び率材料からなる中間
層３と、該中間層３上に設けられ、熱可塑性樹脂からな
る表面層２とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、スポーツシューズ
などの靴内に挿入されて使用される靴用中敷に関し、特
に、耐久性に優れ、容易に使用者の足の形状に即した形
状となり、かつ足にかかる負担を軽減でき、しかも靴内
での足の安定性を向上させることができる靴用中敷に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来、スポーツシューズなどの靴に用い
られる靴用中敷としては、例えば図４および図５に示す
ものが用いられている。図４に示す靴用中敷１１は、例
えば熱可塑性ポリエチレン樹脂発泡体、エチレン酢酸ビ
ニル樹脂（ＥＶＡ）発泡体等の熱可塑性樹脂をプレス加
工やスカイビング加工などによって中敷の形状に成形し
たものである。また、図５に示す靴用中敷２１は、基層
２４と、中間層２３と、表面層２２とを有する多層構造
体である。基層２４としては、ナイロンまたはポリエチ
レン製の織物や不織布などからなる基布に、樹脂を含浸
させたものなどが用いられる。中間層２３は、ＥＶＡ発
泡体等の熱可塑性樹脂等からなるものである。また表面
層２２は、ナイロン、またはポリエチレン製の不織布等
からなる吸湿材や、織布等からなるライニング材であ
る。

【０００３】これら靴用中敷では、ヘアドライヤ等によ
る熱風加熱などにより熱可塑性樹脂を軟化させた状態で
この中敷に足を押しつけることによって、該中敷を使用
者の足の形状に沿う形状とする（以下、フィッティング
という）ことができるようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記靴
用中敷では、次のような問題があった。図４に示す中敷
１１では、弾性が劣り、かつ耐クリープ性が低いので、
長期間使用すると変形が起き易く、フィッティング時の
形状が維持できない問題があった。また、図５に示す中
敷２１では、フィッティング時に、表面層２２が中間層
２３の変形を阻止し、その形状が使用者の足の形状に沿
う形になりにくかった。このため、図７（ａ）、（ｂ）
に示すように、この中敷２１を敷いた靴内に使用者が足
を挿入したときには、足と中敷２１との接触面積が小さ
く、運動時にこれらの間でずれが起きやすくなり、靴内
での足の安定性が悪くなる不満があった。また、足の中
敷との接触部分、即ち足の母指球部等の突出部分に、荷
重による圧力が集中し、この部分にマメができ易くなる
問題があった。

【０００５】また、中敷２１は、弾性が劣るので、足を
ホールドする力が弱く、靴内での足の安定性が悪くなる
問題があった。本発明は、上記事情に鑑みてなされたも
ので、耐久性に優れ、容易に使用者の足の形状に即した
形状となり、かつ足にかかる負担を軽減でき、しかも靴
内での足の安定性を向上させることができる靴用中敷を
提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題は、熱可塑性エ
ラストマーからなる基層と、該基層上に設けられ、低伸
び率材料からなる中間層と、該中間層上に設けられ、熱
可塑性樹脂からなる表面層とを備えた靴用中敷によって
解決される。また、前記熱可塑性エラストマーと熱可塑
性樹脂の軟化点を５０〜７０℃とするのが好ましい。ま
た、前記基層のつま先側端部を、足指球部に相当する位
置よりかかと側に設けるのが好ましい。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに理解し易く
するため、例を挙げて説明する。なお以下に示す例は、
本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定する
ものではなく、本発明の範囲で任意に変更可能である。
図１ないし図３は、本発明の靴用中敷の一実施形態を示
すものであり、ここに示す中敷１は、基層４と、該層上
面に設けられた中間層３と、該層上面に設けられた基層
４とからなる多層構造体である。

【０００８】基層４は、中敷１の耐久性を高め、該中敷
の足に対するホールド力を高く保つためのもので、熱可
塑性エラストマーからなる弾性力を有するシート状物で
あり、その厚さは、好ましくは１．０〜２．０ｍｍとさ
れる。また基層４においては、その前方（つま先方向）
端部を、足指球部に相当する位置より後方（かかと方
向）側に設けるのが足指の自由度を確保するために好ま
しい。また、製造時における成形し易さ、層同士の接着
性を高めるために、該層４に多数の小孔を設けるのが好
ましい。

【０００９】上記熱可塑性エラストマーとしては、その
軟化点が５０〜７０℃のものが好適に用いられ、例えば
サーリンなどのアイオノマー樹脂、軟質ポリ塩化ビニル
樹脂（ＰＶＣ）、ＴＰＲ（サーモプラスチックラバー）
等が使用可能である。これらの材料の中でも特に、ＰＶ
Ｃが硬度設定がしやすい点で好ましい。上記エラストマ
ーの軟化点が５０℃未満であると、使用時に靴内温度が
高まった際に基層４が軟化し、足に対するホールド力が
低下しやすくなる。またこの軟化点が７０℃を越える
と、フィッティング時に、ヘアドライヤ等を用いた熱風
加熱により該層を軟化させるのが難しくなるため好まし
くない。また、基層４の常温での硬度は、デュロメータ
硬度（ＪＩＳＫ６２５３準拠）でＣ８０〜Ｄ５０であ
るのが、この中敷の耐久性の向上を図る上で好ましい。

【００１０】中間層３は、中敷１の耐久性を高めるため
に設けられたシート状物であり、その厚さは、好ましく
は０．８〜１．５ｍｍとされる。中間層３としては、低
伸び率かつ耐摩耗性に優れた材料、例えばポリウレタン
レザー、不織布、ＰＶＣ等を使用するのが好ましい。こ
れらの材料の中でも特に、ポリウレタンレザーが曲げ剛
性が低い割に伸びが少ない点で好ましい。

【００１１】表面層２は、運動時の衝撃を吸収し、かつ
中敷の足に対するホールド力を高めるためのもので、熱
可塑性樹脂からなる軟質のシート状物であり、その厚さ
は、好ましくは４．０〜５．０ｍｍとされる。上記熱可
塑性樹脂としては、軟化点が５０〜７０℃のものが好適
に用いられる。該樹脂としては、衝撃吸収性に優れた素
材である発泡体を用いるのが好ましく、例えばＥＶＡ発
泡体、ＰＶＣ発泡体、ポリエチレン発泡体等が使用可能
である。

【００１２】上記樹脂の軟化点が５０℃未満であると、
使用時に靴内の温度が高まった際に表面層２が軟化し、
足に対するホールド力が低下しやすくなる。またこの軟
化点が７０℃を越えると、フィッティング時に、ヘアド
ライヤ等を用いた熱風加熱により該層を軟化させるのが
難しくなるため好ましくない。また上記熱可塑性樹脂と
しては、加熱時の収縮率が１％未満のものを使用するの
が好ましい。上記表面層２、中間層３、基層４はポリウ
レタン系などの接着剤等によって互いに接着されてい
る。

【００１３】上記構成の中敷１をフィッティングする際
には、中敷１を靴内に挿入し、これをヘアドライヤ等に
より熱風加熱することなどによって、表面層２および基
層４の軟化点以上に加熱し、これら層２、４を軟化させ
る。次いで、靴内に足を挿入し、足を表面層２に押しつ
け、中敷１を足の形状に即した形状に変形させた状態で
放冷し、上記層２、４を硬化させる。これによって、図
３（ａ）、（ｂ）に示すように、表面層２は足の形状に
沿った形状となり、足に隙間無く接するようになる。ま
た同様に、基層４は足の形状に沿った形状となる。ま
た、フィッティング後の状態では、図３（ｂ）に示すよ
うに、中敷１のかかと部分側部は、足のかかと部分に沿
って湾曲した形状となる。

【００１４】上記のようにフィッティングした後の中敷
１を挿入した靴を使用者が着用した際には、表面層２が
使用者の足形状に沿った形状となっているため、表面層
２と足とが大きな接触面積で接するようになり、表面層
２に加えられる荷重は局所集中すること無く、均一化す
る。

【００１５】また、使用者が運動することにより表面層
２に引張り力が加わった場合には、低伸び率材料からな
り、かつ表面層２に接着された中間層３によって、表面
層２の伸び変形が阻止される。また中敷１に曲げ方向の
力が加わった場合には、弾性力を有し、かつ足形状に沿
う形状となった基層４によって層２、３が支えられ、表
面層２は足にフィットした状態に保たれる。このため、
中敷１の湾曲部分（かかと部分側部）にこれを平坦化す
る方向の力が加わっても、中敷１は常に足をホールドし
た状態に保たれる。

【００１６】上記構成の中敷１にあっては、熱可塑性樹
脂からなる表面層２を設けたので、加熱により表面層２
を軟化させた状態で該層に足を押しつけることによっ
て、その表面形状を容易に足の形状に即したものとする
ことができる。このため、該層と足との接触面積を高
め、中敷と足とのずれを起こりにくくし、靴内での足の
安定性を高めることができる。また、中敷１にかかる荷
重を均一化し、足の母指球部などの突出した部分にかか
る負担を軽減することができる。

【００１７】また、低伸び率材料からなり、かつ表面層
２に接着された中間層３を設けたので、表面層２に引張
り力が加わった場合でも、表面層２の伸び変形を防ぐこ
とができる。このため、表面層２の形状をフィッティン
グ時の状態のまま保ち、中敷１を長期間に亙る使用にも
耐え得るものとすることができる。

【００１８】また、基層４を熱可塑性エラストマーから
なるものとしたので、フィッティングによって基層４の
形状を足形状に沿った形状とすることができる。このた
め、中敷１に曲げ方向の力が加わった場合には、弾性力
を有し、かつ足形状に沿う形状となった基層４によって
層２、３が支えられ、表面層２が足にフィットした状態
に保たれる。よって、中敷１の湾曲部分（かかと部分側
部）にこれを平坦化する方向の力が加わっても、中敷１
は常に足のかかと部分をホールドした状態に保たれ、靴
内での足の安定性を長期間に亙って保つことができる。
また、基層４のつま先側端部を、足指球部に相当する位
置よりかかと側に設けることによって、大きな荷重のか
かる足指球部相当位置に、耐摩耗性に優れた中間層３を
露出させ、靴内に砂が入った場合などの摩耗が起きやす
い条件でも中敷１の耐久性を向上させることができる。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の中敷にあ
っては、熱可塑性樹脂からなる表面層を設けたので、そ
の表面形状を容易に足の形状に即したものとすることが
できる。このため、該層と足との接触面積を高め、中敷
と足とのずれを起こりにくくし、靴内での足の安定性を
高めることができる。また、中敷にかかる荷重を均一化
し、足にかかる負担を軽減することができる。

【００２０】また、低伸び率材料からなる中間層を設け
たので、表面層に引張り力が加わった場合でも、表面層
の伸び変形を防ぐことができる。このため、表面層の形
状をフィッティング時の状態のまま保ち、中敷を長期間
に亙る使用にも耐え得るものとすることができる。

【００２１】また、基層を熱可塑性エラストマーからな
るものとしたので、フィッティングによって基層の形状
を足形状に沿った形状とすることができる。このため、
中敷の湾曲部分（かかと部分側部）にこれを平坦化する
方向の力が加わっても、中敷は常に足のかかと部分をホ
ールドした状態に保たれ、靴内での足の安定性を長期間
に亙って保つことができる。また、基層のつま先側端部
を、足指球部に相当する位置よりかかと側に設けること
によって、大きな荷重のかかる足指球部相当位置に、耐
摩耗性に優れた中間層を露出させ、靴内に砂が入った場
合などの摩耗が起きやすい条件でも中敷の耐久性を向上
させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の靴用中敷の一実施形態を示す側面図
である。

【図２】図１に示す靴用中敷を示す平面図である。

【図３】図１に示す靴用中敷の使用時の状態を示す要
部拡大図であり、（ａ）はつま先部分の側面図、（ｂ）
はかかと部分の断面図である。

【図４】従来の靴用中敷の一例を示す側面図である。

【図５】従来の靴用中敷の他の例を示す側面図であ
る。

【図６】図５に示す靴用中敷を示す平面図である。

【図７】図５に示す靴用中敷の使用時の状態を示す要
部拡大図であり、（ａ）はつま先部分の側面図、（ｂ）
はかかと部分の断面図である。

【符号の説明】

１・・・中敷２・・・表面層３・・・中間層４・・・基層

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】靴内に挿入されて足に当接する靴用中敷
であって、熱可塑性エラストマーからなる基層と、該基層上に設け
られ、低伸び率材料からなる中間層と、該中間層上に設
けられ、熱可塑性樹脂からなる表面層とを備えたことを
特徴とする靴用中敷。
【請求項２】前記熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹
脂の軟化点が５０〜７０℃であることを特徴とする請求
項１記載の靴用中敷。
【請求項３】前記基層のつま先側端部が、足指球部に
相当する位置よりかかと側に設けられていることを特徴
とする請求項１または２のいずれか１項記載の靴用中
敷。