JPH0739382A - プラスミドベクター - Google Patents

プラスミドベクター

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JPH0739382A
JPH0739382A JP15874893A JP15874893A JPH0739382A JP H0739382 A JPH0739382 A JP H0739382A JP 15874893 A JP15874893 A JP 15874893A JP 15874893 A JP15874893 A JP 15874893A JP H0739382 A JPH0739382 A JP H0739382A
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JP
Japan
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plasmid
dna fragment
dna
fragment
restriction enzyme
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JP15874893A
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Keiko Kohama
恵子 小浜
Yasurou Kurusu
泰朗 久留主
Hideaki Yugawa
英明 湯川
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (a)プラスミドpBY503由来のコリネ
型細菌内でプラスミドの自律複製を司る機能に関与する
遺伝子を含むDNA断片であって、プラスミドのコピー
数を増加し得る変異点が該遺伝子内の少なくとも1カ所
に存在するDNA断片、(b)プラスミドpBY503
由来のコリネ型細菌内で複製増殖可能なプラスミドを該
細菌内において安定に保持させる機能に関与する遺伝子
を含むDNA断片および(c)プラスミドマーカーとな
りうる薬剤耐性遺伝子を含むDNA断片を保有すること
を特徴とするプラスミドベクター。 【効果】 本発明のプラスミドベクターは、コリネ型細
菌内に多コピー数で存在し、且つ宿主内に安定に維持さ
れるベクターであり、該ベクターに工業的に有用な遺伝
子を連結し、これにより形質転換されたコリネ型細菌を
用いることで、従来よりも高効率に有用微生物産物を生
産することが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コリネ型細菌細胞内で
複製増殖し同細胞内において、多コピー数で存在し且つ
安定に保持されるプラスミドベクターに関する。
【0002】
【従来の技術】遺伝子組換え技術において、プラスミド
ベクターは、有用な遺伝情報をコードする遺伝子DNA
断片を宿主細胞内に導入し、それを宿主細胞内で安定に
複製させ、且つ有用遺伝子がコードする遺伝情報を発現
させるための有用遺伝子の運び手として極めて重要なも
のである。
【0003】コリネ型細菌は、ブレビバクテリウム・フ
ラバム(Brevibacterium flavu
)等のアスパラギン酸等のアミノ酸を大量に生産する
ものを含み、工業的に極めて重要な微生物群である。こ
のようなコリネ型細菌を宿主とし、遺伝子組換え技術に
よりこれらのコリネ型細菌の有用物質の生産性を高める
ため、既にいくつかのプラスミドベクターが開発されて
いる(特開平3−210184号公報参照)。
【0004】これらのプラスミドベクターはいずれもコ
リネ型細菌内で複製増殖するが、プラスミドのコピー数
が低く、有用遺伝子をさらに高発現させる場合には不適
合である。またプラスミドベクター自身のサイズが大き
いため、挿入される遺伝子のサイズが限定される。従っ
て、コリネ型細菌内に多コピー数で存在し、且つ宿主内
で安定に保持される小型のプラスミドベクターの開発が
望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、コリネ型細菌細胞内で複製増殖しうるものであっ
て、宿主細胞内で多コピー数存在し且つ安定に保持さ
れ、以上に述べた特徴が損なわれないような有用遺伝子
の挿入部位が複数以上存在する、しかも小型のプラスミ
ドベクターを創製することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】叙上の課題を解決するた
め本発明者らは鋭意研究の結果、コリネ型細菌内で複製
増殖しうるブレビバクテリウム・スタチオニス(Bre
vibacterium stationis)IFO
12144(FERM BP−2515)が保持するプ
ラスミドpBY503(特開平1−95785号公報参
照)に由来するプラスミドの自律複製を司る機能に関与
するDNA領域を改変することにより、コリネ型細菌内
でプラスミドのコピー数の増加をもたらしうるDNA断
片を取得することができ、さらに該DNA断片と本願発
明者らが先に提案したプラスミドpBY503由来のコ
リネ型細菌内で複製増殖可能なプラスミドを該細菌内に
おいて安定に保持させる機能に関与する遺伝子を含むる
DNA断片(特開平2−276579号公報参照)と、
プラスミドマーカーとなりうる薬剤耐性遺伝子を含むD
NA断片とを組合せることにより、コリネ型細菌内で多
コピー数で存在し、且つ宿主内で安定に保持されるプラ
スミドベクターが造成可能なことを見い出し、本発明を
完成するに至った。
【0007】かくして本発明によれば、(a)プラスミ
ドpBY503由来のコリネ型細菌内でプラスミドの自
律複製を司る機能に関与する遺伝子を含むDNA断片で
あって、プラスミドのコピー数を増加し得る変異点が該
遺伝子内の少なくとも1カ所に存在するDNA断片、
(b)プラスミドpBY503由来のコリネ型細菌内で
複製増殖可能なプラスミドを該細菌内において安定に保
持させる機能に関与する遺伝子を含むDNA断片および
(c)プラスミドマーカーとなりうる薬剤耐性遺伝子を
含むDNA断片を保有することを特徴とするプラスミド
ベクターが提供される。
【0008】本発明の上記プラスミドベクターは、複数
のクローニングサイトを有し、コリネ型細菌内で多コピ
ー数存在し、且つ該細菌内で安定に複製増殖する。この
プラスミドベクターに有用遺伝子を導入してコリネ型細
菌を形質転換することにより、工業的に有用なコリネ型
細菌の育種改良が可能である。以下、本発明のプラスミ
ドベクターについてさらに詳細に説明する。
【0009】本発明のプラスミドベクターの造成に用い
る、(a)コリネ型細菌内でプラスミドの自律複製を司
る機能に関与する遺伝子(以下これを「自律複製遺伝
子」ということがある。)を含むDNA断片であって、
プラスミドのコピー数を増加し得る変異点が該遺伝子内
の少なくとも1カ所に存在するDNA断片(以下これを
「多コピー数自律複製DNA断片」ということがあ
る。)とは、該DNA断片を用いて造成されたプラスミ
ドベクターのコピー数を、変異点を有しない自律複製遺
伝子を含むDNA断片を用いて造成されたプラスミドベ
クターのコピー数と比較して、増加し得る作用を有する
DNA断片を意味するものである。
【0010】ここで、本明細書においては、コピー数と
いう術語は1細胞当たりのプラスミド分子数(プラスミ
ドの存在数)を意味し、多コピー数という術語はプラス
ミドpBY503またはpCRY3のコピー数よりも多
いコピー数を意味する。上記の多コピー数自律複製DN
A断片は、その塩基配列が決定された後においては合成
することも可能であるが、通常は、ブレビバクテリウム
・スタチオニス(Brevibacterium st
ationis)IFO12144(FERM BP−
2515)が保持する大きさ約15kbのプラスミドp
BY503(特開平1−95785号公報参照)上に存
在するコリネ型細菌内で自律複製を司る機能に関与する
遺伝子を変異誘起処理して改変した後、コピー数の増加
がもたらされたプラスミドを適当な制限酵素で切断して
得られる切断断片の中から、分離および取得することが
できる。
【0011】即ち、自律複製遺伝子を含むプラスミドp
BY503を適当な制限酵素で切断し、得られるDNA
断片を、マーカーとなり得る薬剤耐性遺伝子を有するベ
クタープラスミド、例えば、クロラムフェニコール耐性
遺伝子を有するpHSG398(宝酒造製)、カナマイ
シン耐性遺伝子を有するpHSG298(宝酒造製)ま
たはテトラサイクリン耐性遺伝子を有するpBR322
(宝酒造製)に、それ自体既知の常法により挿入し、こ
のベクタープラスミドを電気パルス法による形質転換に
より宿主コリネ型細菌に導入し(なお、宿主コリネ型細
菌および形質転換法等は後述のものと同様である)、得
られる形質転換株よりプラスミドDNAを、それ自体既
知の常法、例えばアルカリ−SDS法等により抽出し、
適当な制限酵素で切断して解析することにより、挿入さ
れたpBY503由来の自律複製遺伝子を含むDNA断
片を確認することができる。
【0012】このプラスミド保持株を、X線、γ線、ま
たは紫外線等で照射するか、あるいはN−メチル−N′
−ニトロ−N−ニトロソグアニジン等の変異誘起剤に曝
した後に、各種濃度のマーカー薬剤による選択圧下で培
養して薬剤耐性濃度の上昇した菌株をプラスミドコピー
数の増加による遺伝子増幅効果が現れたものと見なして
選抜し、選抜株が保持するプラスミドのコピー数を解析
する。かくして得られる薬剤耐性およびプラスミドコピ
ー数が親株より上昇した菌株から組換えプラスミドを抽
出し、該プラスミドを適当な制限酵素で切断することに
より、多コピー数自律複製DNA断片を得ることができ
る。
【0013】ここで、コピー数の解析は、Journa
l of Bacteriology,152,p72
2(1982)に記載の方法に従い、細胞より染色体D
NAおよびプラスミドDNAを抽出し、双方の分子数の
比を求めることにより行うことができる。
【0014】上記手法により得られる多コピー数自律複
製DNA断片としては、前記プラスミドpCRY3を保
持するブレビバクテリウム・フラバムMJ233 GE
102(FERM BP−2513)をN−メチル−
N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジンで処理すること
により得られる、クロラムフェニコール耐性濃度が上昇
し、かつプラスミドコピー数が約2倍に増加した菌株で
あるブレビバクテリウム・フラバムMJ233 cop
1(FERM P−13619)および同MJ233
cop2(FERM P−13620)からそれぞれ得
られるプラスミドpCOP1およびpCOP2を制限酵
KpnIで切断して得られる、大きさ約6.0kbの
DNA断片が挙げられる。
【0015】なお、本明細書において、制限酵素による
「認識部位数」という術語は、DNA断片またはプラス
ミドを過剰の制限酵素の存在下に完全分解して得られる
分解物を、それ自体既知の方法に従い1%アガロースゲ
ル電気泳動および4%ポリアクリルアミドゲル電気泳動
に供したときに分離可能な断片の数から決定した値を意
味する。
【0016】また、「切断断片の大きさ」という術語
は、1%アガロースゲル電気泳動を用いる場合にはエシ
エリヒア・コリのλファージのDNAを制限酵素Hin
dIIIで切断して得られる分子量既知のDNA断片を試
料と同時に泳動して得られる標準線に基づき、また、4
%ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いる場合にはエ
シエリヒア・コリのφx174ファージのDNAを制限
酵素HaeIII で切断して得られる分子量既知のDNA
断片を試料と同時に泳動して得られる標準線に基づき、
切断DNA断片の大きさをそれぞれ算出して決定するこ
とができる。また、「プラスミドの大きさ」は、前記
「切断断片の大きさ」を決定する手法によりプラスミド
の各DNA断片の大きさを決定し、それを加算すること
で求めることができる。なお、各DNA断片の大きさの
決定においては、1kb以上の断片の大きさついては1
%アガロースゲル電気泳動の結果を採用し、1kb未満
の断片の大きさについては4%ポリアクリルアミドゲル
電気泳動の結果を採用した。
【0017】このようにして大きさが決定されたDNA
断片を上記泳動ゲルより抽出することにより、特定の大
きさを有するDNA断片を取得することができる。上記
プラスミドpCOP1およびpCOP2を制限酵素Kp
nIで切断して得られる大きさ約6.0kbの多コピー
数自律複製DNA断片を各種の制限酵素で切断して得ら
れる認識部位数および切断断片の大きさは、両プラスミ
ドにおいて同一であり、その値を下記表1に示す。
【0018】
【表1】 表 1 制限酵素 認識部位数 切断断片の大きさ(kb) SmaI 1 1.3,4.7 XhoI 2 1.6,4.0,0.4 SphI 2 3.6,1.7,0.7
【0019】上記表1に示した、前記大きさ約6.0k
bのKpnI切断断片をXhoIで切断して得られる大
きさ約4.0kbのDNA断片、およびHhaIで切断
して得られる大きさ約1.8kbのDNA断片は、双方
共に多コピー数自律複製機能を有していることが確認さ
れており、従って、これらのDNA断片も多コピー数自
律複製DNA断片として用いることができる。
【0020】以上の如く、自律複製遺伝子または多コピ
ー数自律複製遺伝子は、プラスミドpBY503、pC
RY3、pCOP1またはpCOP2を制限酵素Xho
Iで切断することにより得られる大きさ約4.0kbの
DNA断片、および同プラスミドを制限酵素HhaIで
切断して得られる大きさ約1.8kbのDNA断片中に
含まれているものと考えられる。
【0021】上記プラスミドpCOP1およびpCOP
2を制限酵素XhoIで切断して得られる大きさ約4.
0kbのDNA断片をさらに各種制限酵素で切断したと
きの認識部位数および切断断片の大きさは、両プラスミ
ドにおいて同一であり、その値を下記表2に示す。
【0022】
【表2】 表 2 制限酵素 認識部位数 切断断片の大きさ(kb) PstI 2 0.9,0.8,2.3 SphI 2 2.0,1.7,0.3
【0023】また、上記pCOP1およびpCOP2を
制限酵素HhaIで切断して得られる大きさ約1.8k
bのDNA断片をさらに各種制限酵素で切断したときの
認識部位数および切断断片の大きさも、両プラスミドに
おいて同一であり、その値を下記表3に示す。また、こ
れら多コピー数自律複製DNA断片の制限酵素切断点地
図を図1に示す。
【0024】
【表3】 表 3 制限酵素 認識部位数 切断断片の大きさ(kb) PstI 1 0.4,1.4 SphI 1 0.7,1.1 SpeI 1 1.3,0.5
【0025】一方、プラスミドpCOP1およびpCO
P2を制限酵素HhaIで切断して得られる大きさ約
1.8kbの多コピー数自律複製遺伝子を含むDNA断
片、ならびにプラスミドpBY503およびpCRY3
を制限酵素HhaIで切断して得られる大きさ約1.8
kbの自律複製遺伝子を含むDNA断片については、そ
の塩基配列をプラスミドpUC18またはpUC19を
用いるジデオキシヌクレオチド酵素法(dideoxy
chain termination metho
d,Sanger,F.ら,Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA,74,5463,1977)に
より決定することができる。
【0026】このようにして得られる、プラスミドpB
Y503およびpCRY3から得られる自律複製遺伝子
またはプラスミドpCOP1およびpCOP2から得ら
れる多コピー数自律複製遺伝子を含む1.8kbのDN
A断片の塩基配列は、1897塩基対より構成されてお
り、その中に261個のアミノ酸をコードする783塩
基対よりなるオープン・リーディング・フレーム(OR
F)が存在していた。またプラスミドpBY503およ
びpCRY3からそれぞれ得られる大きさ約1.8kb
の自律複製DNA断片は同一の塩基配列を有していた
(以下これを「野生型の配列」と言うことがある)。
【0027】一方、プラスミドpCOP1から得られた
DNA断片の配列では野生型の配列の1307番目のグ
アニン(G)がアラニン(A)に変異することによりコ
ードするアミノ酸がアルギニン(Arg)からヒスチジ
ン(His)に変換され、またプラスミドpCOP2か
ら得られたDNA断片の配列では野生型の配列の157
7番目のGがAに変異することによりコードするアミノ
酸がグリシン(Gly)からアスパラギン酸(Asp)
に変換されていることが明らかとなった。
【0028】かくして、後記配列表の配列番号:1に示
す塩基配列もまた本願発明でもちいる多コピー数自律複
製DNA断片として使用することができる。なお、配列
番号:1に示した配列においてpCOP1から得られる
配列は、塩基配列1307番目のRがA、1577番目
のRがGであり、アミノ酸配列129番目のXxxがH
is、219番目のZzzがGlyである。またpCO
P2から得られる配列は、塩基配列1307番目のRが
G、1577番目のRがAであり、アミノ酸配列129
番目のXxxがArg、219番目のZzzがAspで
ある。さらに野生型の配列は、塩基配列1307番目お
よび1577番目のRがともにGであり、アミノ酸配列
219番目のXxxがArg、219番目のZzzがG
lyである。
【0029】上記した後記配列表の配列番号:1に示し
た多コピー数自律複製DNA断片は、プラスミドpCO
P1およびpCOP2から単離されたもののみならず、
通常用いられるDNA合成装置、例えばアプライドバイ
オシステムズ社製Model373Aを用いて合成され
たものであってもよい。また、配列番号:1に示した配
列を有する多コピー数自律複製DNA断片は、多コピー
数自律複製機能を実質的に損なうことがない限り、塩基
配列の一部の塩基が他の塩基で置換されていてもよく、
あるいは新たに塩基が挿入されていてもよく、また一部
の塩基が欠損していてもよく、これら誘導体のいずれも
が、多コピー数自律複製DNA断片として使用可能であ
る。
【0030】次に、本発明のプラスミドベクターの造成
に用いる、(b)プラスミドpBY503由来のコリネ
型細菌内で複製増殖可能なプラスミドを該細菌内におい
て安定に保持させる機能に関与する遺伝子を含むDNA
断片(以下これを「安定化DNA断片」ということがあ
る。)は、その塩基配列が決定されており(特開平2−
276579号公報参照)合成することも可能である
が、通常は、前記したブレビバクテリウム・スタチオニ
スIFO12144(FERM BP−2515)が保
持するプラスミドpBY503上に存在し、このプラス
ミドpBY503を、例えば制限酵素KpnIで分解
し、分解物を0.8%アガロースゲル電気泳動により分
離して、大きさ約7.4kbのKpnI断片をゲルより
抽出する。得られたDNA断片を制限酵素XhoIおよ
HindIII で切断し、0.8%アガロースゲル電気
泳動により分離して大きさ約1.1kbのDNA断片
XhoI−HindIII 切断)をゲルより抽出し、こ
れを安定化DNA断片として用いることができる。
【0031】さらに、本発明のプラスミドベクターの造
成に用いる、(c)プラスミドマーカーとなりうる薬剤
耐性遺伝子を含むDNA断片(以下これを「薬剤耐性遺
伝子DNA断片」と言うことがある。)としては、宿主
コリネ型細菌内で発現し、宿主に薬剤耐性能を付与する
ことができ、その薬剤耐性能によりプラスミドの存在が
検出可能なものであれば特に制限はなく、プラスミドベ
クター内に1種類でも複数存在していても良い。上記薬
剤耐性遺伝子DNA断片の具体例としては、例えば、ク
ロラムフェニコール耐性遺伝子を有するpHSG398
(宝酒造製)、カナマイシン耐性遺伝子を有するpHS
G298(宝酒造製)、テトラサイクリン耐性遺伝子を
有するpBR322(宝酒造製)等を適当な制限酵素で
切断することによって得られるDNA断片を挙げること
ができる。
【0032】本発明において新規に提供されるプラスミ
ドベクターは、以上に詳述した、(a)多コピー数自律
複製DNA断片、(b)安定化DNA断片、(c)薬剤
耐性遺伝子DNA断片の3つの必須DNA断片を保有す
るものである。本発明のプラスミドベクターの造成は、
上記した3つの必須DNA断片を前記で詳述した方法に
より調製し、T4DNAリガーゼを作用させて順次DN
A断片を結合することにより容易に行うことができる。
【0033】本発明により提供されるプラスミドベクタ
ーの好適具体例としては、前記した3つのDNA断片か
ら実質的になり、大きさ約4.1kbのプラスミドで、
本発明者らがそれぞれpKPR−1およびpKPR−2
と命名したプラスミドを挙げることができる。プラスミ
ドpKPR−1およびpKPR−2を各種の制限酵素で
切断したときの認識部位数および切断断片の大きさは、
両プラスミドにおいて同一であり、その値を表4に、制
限酵素切断点地図を図2に示す。
【0034】
【表4】 表 4 制限酵素 認識部位数 切断断片の大きさ(kb) KpnI 1 4.1 BamHI 1 4.1 EcoRI 1 4.1 EcoRV 1 4.1 XhoI 2 2.9,1.2
【0035】以上に述べた本発明のプラスミドベクター
pKPR−1およびpKPR−2は、例えば以下に示す
方法で調製することができる。
【0036】前記したプラスミドpCOP1及びpCO
P2上の大きさ約1.8kbの多コピー数自律複製DN
A断片をそれぞれ制限酵素KpnIの切断部位を有する
プライマーと制限酵素XhoIの切断部位を有するプラ
イマーを用いてPCR法〔Nature,324,16
3(1986)〕により増幅させて、KpnI−Xho
Iの断片として調製する。一方、前記の様に調製した大
きさ約1.1kbの安定化DNA断片(XhoI−Hi
dIII 断片)とをT4DNAリガーゼによって結合
し、適当なクローニングサイトを持つベクター、例えば
大腸菌プラスミドpBluescriptII(ストラタ
ジーン社製)のKpnI,HindIII サイトに導入す
る。作製したプラスミドのSmaIサイトにカナマイシ
ン耐性遺伝子(ファルマシア製)を平滑末端化処理して
導入する。構築したプラスミドより、コピー数自律複製
DNA断片、安定化DNA断片およびカナマイシン耐性
遺伝子DNA断片を、制限酵素KpnI及びBamHI
で切断し、取得する。次に、DNA合成装置(アプライ
ドバイオシステムズ社製373A)により作製したKp
I−BamHIリンカー〔d(GGTACCGGAT
CC)〕をT4 リガーゼにより、上記のKpnI−Ba
HI断片に結合させ、pCOP1及びpCOP2にそ
れぞれ由来する多コピー数自律複製DNA断片を有する
プラスミドベクターpKPR−1及びpKPR−2を調
製することができる。
【0037】かくして造製されるプラスミドベクターp
KPR−1およびpKPR−2は、有用遺伝子のクロー
ニングサイトとしてEcoRIサイト、EcoRVサイ
ト、KpnIサイト、BamHIサイト等を有してお
り、諸種の目的遺伝子のクローニングが可能である。本
発明の多コピー数自律複製DNA断片および安定化DN
A断片を保有するコリネ型細菌で安定に多コピー数で自
律複製可能なプラスミドベクターには、種々の産業上有
用な物質をコードする構造遺伝子等を含むDNA断片を
組み込むことができる。従って、本発明のプラスミドベ
クターを有用遺伝子等で組換えたプラスミドを宿主微生
物に導入して培養することにより、該有用遺伝子でコー
ドされた有用物質を効率よく工業的に生産することが可
能となる。
【0038】本発明のプラスミドベクターに組み込みう
る有用な構造遺伝子等を含むDNAとしては、例えば、
アスパルターゼ(E.C.4.3.1.1)をコードす
る遺伝子を含むDNA断片;少なくともトリプトファン
シンターゼ(E.C.4.2.1.20)遺伝子をコー
ドする遺伝子(trpAとtrpB)と該遺伝子の発現
を制御するプロモーターおよびオペレーターとを含むD
NA断片;スレオニン生合成遺伝子またはイソロイシン
生合成遺伝子等のアミノ酸生合成遺伝子を含むDNA断
片等が挙げられる。
【0039】本発明の前記プラスミドベクターに上記有
用遺伝子を組み込んだプラスミドベクターで形質転換し
得る宿主微生物としては、コリネ型細菌、例えば、ブレ
ビバクテリウム・フラバムMJ233(FERM BP
−1497)、ブレビバクテリウム・フラバムMJ23
3−AB−41(FERM BP−1498)、ブレビ
バクテリウム・フラバムMJ233−ABT−11(F
ERM BP−1500)、ブレビバクテリウム・フラ
バムMJ233−ABD−21(FERM BP−14
99)等が挙げられる。
【0040】なお、上記FERM BP−1498の菌
株はFERM BP−1497の菌株を親株としてDL
−α−アミノ酪酸耐性を積極的に付与されたエタノール
資化性微生物である(特公昭59−28398号公報参
照)。また、FERM BP−1500の菌株はFER
M BP−1497の菌株を親株としたL−α−アミノ
酪酸トランスアミナーゼ高活性変異株である(特開昭6
2−51998号公報参照)。さらに、FERM BP
−1499の菌株はFERM BP−1497の菌株を
親株としたD−α−アミノ酪酸デアミナーゼ高活性変異
株である(特開昭61−177993号公報参照)。
【0041】上記微生物の他に、ブレビバクテリウム・
アンモニアゲネス(Brevibacterium
mmoniagenes)ATCC6871、同ATC
C13745、同ATCC13746、ブレビバクテリ
ウム・デバリカム(Brevibacterium
ivaricatum)ATCC4020、ブレビバク
テリウム・ラクトファーメンタム(Brevibact
erium lactofermentum)ATCC
13869、コリネバクテリウム・グルタミカム(Co
rynebacterium glutamicum
ATCC31830等を宿主微生物として用いることも
できる。
【0042】なお、宿主としてブレビバクテリウム・フ
ラバムMJ233由来の菌株を用いる場合、本菌株が保
持するプラスミドpBY502のために形質転換が困難
となる場合があるので、そのような場合には、本菌株よ
りプラスミドpBY502を除去することが望ましい。
プラスミドpBY502を除去する方法としては、例え
ば、継代培養を繰り返すことにより自然に欠落させるこ
とも可能であるし、人為的に除去することも可能である
〔Bact.Rev.36,p.361−405(19
72)参照〕。
【0043】上記宿主微生物の前記組換えプラスミドベ
クターによる形質転換は、それ自体既知の方法、例え
ば、Satoh,Y.ら、Journal of In
dustrial Microbiology,,p
159(1990)(宿主微生物にパルス波を通電する
方法);Calvin,N.M.およびHanawal
t,P.C.,Journal of Bacteri
ology,170,2796(1988);Ioo,
K.,Nishida,T.およびIzaki,K.,
Agricultural and biologic
al Chemistry,52,293(1988)
等の文献に記載の方法により行うことができる。
【0044】次に実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。当然ながら、下記実施例は本発明について具
体的な認識を得る一助としてのみ挙げたものであり、本
発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0045】
【実施例】
参考例1プラスミドpBY503とプラスミドpHSG398と
からなる複合プラスミドpCRY3の造成 (A)プラスミドpBY503の調製 プラスミドpBY503は、ブレビバクテリウム・スタ
チオニス(Brevibacterium stati
onis)IFO12144(FERM BP−251
5)から分離された分子量約10メガダルトン(約15
kb)のプラスミドであり、その詳細は特開平1−95
785号公報に記載されている。プラスミドpBY50
3は以下の方法にて調製した。
【0046】半合成培地A培地〔組成:尿素2g、硫酸
アンモニウム7g、リン酸−カリウム0.5g、リン酸
二カリウム0.5g、MgSO4 0.5g、MnSO4
・4〜6H2 O 6mg、FeSO4 ・7H2 O 6m
g、酵母エキス2.5g、カザミノ酸5g、ビオチン2
00μg、塩酸チアミン200μg、グルコース20g
を蒸留水に溶解して1リットルとする(pH7.4)〕
1リットルにてブレビバクテリウム・スタチオニスを対
数増殖期後期まで培養して菌体を集めた。得られた菌体
をリゾチーム10mg/ml濃度で含有する緩衝液〔組
成:25mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタ
ン、10mM EDTA、50mMグルコース〕20m
lに懸濁し、37℃で1時間反応させた。反応液にアル
カリーSDS液〔組成:0.2N NaOH、1%(W
/V)SDS〕40mlを添加し、緩やかに混和して室
温にて15分間静置した。
【0047】次に、この反応液に酢酸カリウム水溶液
〔組成:5M酢酸カリウム溶液60ml、酢酸11.5
ml、蒸留水28.5mlの混合液〕30mlを添加
し、充分混和してから、氷水中に15分間静置した。溶
菌物全量を遠心管に移し、4℃で10分間、15,00
0×gの遠心分離にかけ、上澄液を得た。
【0048】これに等量のフェノール/クロロホルム
(1:1、v/v)混和液を添加して懸濁した後、全量
を遠心管に移し、室温下で5分間、15,000×gの
遠心分離にかけ、水層を得た。該水層に2倍量のエタノ
ールを添加し、−20℃で1時間静置した後、4℃で1
0分間、15,000×gの遠心分離にかけ、その沈殿
を回収した。
【0049】得られた沈殿を減圧乾燥した後、TE緩衝
液〔10mMトリス、1mM EDTA;塩酸にてpH
8.0に調整〕2mlに溶解した。この溶解液に塩化セ
シウム溶液〔組成:5倍濃度のTE緩衝液100mlに
塩化セシウム170gを溶解させた液〕15mlと10
mg/mlエチジウム・ブロマイド溶液1mlを添加し
て該液の密度を1.392g/mlに調節した。この溶
液を12℃で42時間、116,000×gの遠心分離
にかけた。遠心後、プラスミドpBY503は、紫外線
照射により遠心管内の下方に存在するバンドとして見い
だされる。このバンドを、滅菌済みプラスチック製注射
器で遠心管の側面から抜き出すことにより、プラスミド
DNAを含む分画液を得た。
【0050】次いでこの分画液を等量のイソアミルアル
コールで4回処理してエチジウム・ブロマイドを抽出除
去し、その後TE緩衝液に対して透析を行った。このよ
うにして得られたプラスミドpBY503を含む透析液
に、最終濃度が30mMとなるように3M酢酸ナトリウ
ム溶液を添加した後、2倍量のエタノールを添加して−
20℃で1時間静置した。この溶液を15,000×g
の遠心分離にかけてDNAを沈降させ、プラスミドpB
Y503のDNA約50μgを回収した。
【0051】(B)プラスミドpHSG398の準備 プラスミドpHSG398(宝酒造製)はコリネ型細菌
内で複製せず、大腸菌内で複製してクロラムフェニコー
ル耐性を発現する、大きさ約2.2kbのプラスミドで
あり、市販品として宝酒造より購入可能である。
【0052】(C)複合プラスミドpCRY3の造成 前記プラスミドpHSG398(宝酒造製)0.5μg
を、制限酵素KpnI5unitsと37℃で1時間反
応させて該プラスミドDNAを完全分解した。前記
(A)で調製したプラスミドpBY503DNA 2μ
gを制限酵素KpnI 1unitと37℃で30分間
反応させて該プラスミドDNAを部分分解した。両者の
プラスミドDNA分解物を混合し、65℃で10分間加
熱処理して制限酵素を不活性化させた後、該混合液にそ
れぞれの最終濃度が50mMトリス緩衝液(pH7.
6)、10mM MgCl2 、10mMジチオスレイト
ール、1mM ATP、およびT4DNAリガーゼ1u
nitとなるように各成分を添加して強化し、16℃で
約15時間インキュベートした。この溶液を用いて、大
腸菌JM109コンピテントセル(宝酒造社製)を製造
者のマニュアルに従い形質転換した。
【0053】得られた形質転換株は、30μg/ml
(最終濃度)クロラムフェニコール、100μg/ml
(最終濃度)イソプロピル−β−D−チオガラクトピラ
ノシド(IPTG)、100μg/ml(最終濃度)5
−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラ
クトピラノシド(X−gal)を含むL培地〔組成:ト
リプトン10g、酵母エキス5g、塩化ナトリウム5g
を蒸留水に溶解して1リットルとした液(pH7.
2)〕で37℃にて24時間培養し、培地上に白いコロ
ニーとして生育した株をそれぞれ独立に選抜し、各々の
プラスミドをアルカリ−SDS法〔T.Maniati
s,E.F.Fritsch,J.Sambrook,
“Molecular cloning”,p90−9
1(1982)参照〕により抽出した。
【0054】(D)複合プラスミドのコリネ型細菌への
形質転換 形質転換には電気パルス法を用いた。ブレビバクテリウ
ム・フラバムMJ233(FERM BP−1497)
プラスミド除去株を100mlの前記A培地で対数増殖
期初期まで培養した後、ペニシリンGを1unit/m
lとなるように添加してさらに2時間浸透培養した。培
養菌体を遠心分離にて集め、20mlのパルス用溶液
〔組成:272mMシュークロース、7mM KH2
4 、1mM MgCl2 ;pH7.4〕にて洗浄し
た。再度、遠心分離にて菌体を集め、5mlのパルス用
溶液に懸濁し、0.75mlの細胞と前記(C)で得ら
れたDNA溶液50mlとを混合し、氷中にて20分間
静置した。ジーンパルサー(バイオラド社製)を用い
て、2500ボルト25μFDに設定し、パルスを印加
後中に20分間静置した。全量を3mlの前記A培地に
移し、30℃にて1時間培養後、クロラムフェニコール
3μg/ml(最終濃度)を含む前記A寒天培地に植菌
して30℃で2〜3日間培養し、出現したクロラムフェ
ニコール耐性株をブレビバクテリウム・フラバムMJ2
33 GE102と命名し、この形質転換株より上記
(A)に記載の方法を用いてプラスミドを得た。このプ
ラスミドを各種制限酵素で切断し、得られた切断断片の
大きさを測定した。その結果を下記表5に示す。
【0055】
【表5】 表 5 制限酵素 認識部位数 切断断片の大きさ(kb) KpnI 2 6.0,2.2 SauI 1 8.2 BamHI 1 8.2 PstI 2 5.7,2.5
【0056】上記制限酵素の切断断片により特徴付けら
れるプラスミドを“pCRY3”と命名した。上記表5
から明らかな如く、前記プラスミドpCRY3を制限酵
KpnIで切断することにより、プラスミドpHSG
398に由来する大きさ2.2kbのDNA断片に加え
て、プラスミドpBY503に由来する大きさ6.0k
bの自律複製遺伝子を含むDNA断片が確認された。な
お、複合プラスミドpCRY3により形質転換されたブ
レビバクテリウム・フラバムMJ233 GE102
は、茨城県つくば市東1丁目1番3号の工業技術院生命
工学工業技術研究所に、受託番号:FERM BP−2
513としてブタペスト条約に基いて国際寄託されてい
る。
【0057】実施例1プラスミドpCRY3からの変異型多コピー数プラスミ
ドの取得 (A)クロラムフェニコール高濃度耐性株の取得 プラスミドpCRY3で形質転換されたブレビバクテリ
ウム・フラバムMJ233 GE102(FERM B
P−2513)株を300μg/mlのN−メチル−
N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジンに30℃で30
分間曝す変異誘発処理を行った。次に半合成A培地〔組
成:尿素2g、(NH4 2 SO4 7g、K2 HPO4
0.5g、KH2 PO4 0.5g、MgSO4 0.5
g、FeSO 4 ・7H2 O 6mg、MnSO4 ・4〜
6H2 O 6mg、酵母エキス2.5g、カザミノ酸5
g、ビオチン200μg、塩酸チアミン200μg、グ
ルコース20gを蒸留水に溶解して1リットルとする〕
にクロラムフェニコールを6μg/ml添加した培地を
用い、33℃で5時間培養した。得られた培養菌体を、
クロラムフェニコールを36μg/ml、寒天を15g
/l含有する半合成A培地に塗抹して培養し、クロラム
フェニコール高濃度耐性株を選抜して2株のクロラムフ
ェニコール高濃度耐性株を得た。
【0058】前記クロラムフェニコール高濃度含有培地
上で生育可能な変異株を、それぞれブレビバクテリウム
・フラバムMJ233 cop1、同MJ233 co
p2と命名した。
【0059】(B)プラスミドコピー数の確認 上記(A)にて得たブレビバクテリウム・フラバムMJ
233 cop1および同MJ233 cop2、なら
びにプラスミドpCRY3を保有する同MJ233 G
E102(FERM BP−2513)を、前記半合成
A培地で対数増殖期後期まで培養し、菌体を集めた。得
られた菌体を10mg/mlの濃度にリゾチームを含む
緩衝液〔組成:25mMトリス(ヒドロキシメチル)ア
ミノメタン、10mM EDTA、50mMグルコー
ス〕20mlに懸濁し、37℃で1時間反応させた。反
応液にアルカリ−SDS液〔組成:0.2N NaO
H、1%(W/V)SDS〕を40ml添加し、緩やか
に混和して室温にて15分間静置した。次に、この反応
液に酢酸カリウム水溶液〔組成:5M酢酸カリウム溶液
60ml、酢酸11.5ml、蒸留水28.5mlの混
合液〕30mlを添加し、充分混和してから、氷水中に
15分間静置した。
【0060】溶菌物全量を遠心管に移し、4℃で10分
間、15,000×gの遠心分離にかけ、上澄液を得
た。これに等量のフェノール/クロロホルム(1:1、
v/v)混和液を添加して懸濁した後、全量を遠心管に
移し、室温下で5分間、15,000×gの遠心分離に
かけ、水層を得た。該水層に2倍量のエタノールを添加
し、−20℃で1時間静置した後、4℃で10分間、1
5,000×gの遠心分離にかけ、DNAの沈殿を回収
した。
【0061】得られた沈殿を減圧乾燥した後、TE緩衝
液〔組成:10mMトリス、1mMEDTA;塩酸にて
pH8.0に調整〕2mlに溶解した。以上のようにし
て抽出したプラスミドおよび染色体DNAをそれぞれ
0.8%アガロースゲル電気泳動により分離した。次
に、泳動ネガフィルムをデンシトメーターにかけ、染色
体DNAとプラスミドDNAの割合を測定し、染色体D
NAの分子量を3.0×109 ダルトン、プラスミドの
分子量を5.4×103 ダルトン(8.2kb)とし
て、プラスミドコピー数を算出した。
【0062】その結果、ブレビバクテリウム・フラバム
MJ233cop1および同MJ233cop2には1
0〜12コピーのプラスミドが存在し、同MJ233G
E102には5〜6コピーのプラスミド(pCRY3)
が存在することが判明した。
【0063】(C)大きさ約6.0kbの多コピー数自
律複製DNA断片の取得 参考例1(A)と同様の方法により、前記(A)で得た
ブレビバクテリウム・フラバムMJ233 cop1お
よび同MJ233 cop2からプラスミドを抽出し、
これを各種制限酵素で切断してその切断断片の大きさを
測定した。その結果、両株から得られたプラスミドの制
限酵素による認識部位数および切断断片の大きさは同一
であり、前記表5に示したプラスミドpCRY3の値と
一致した。
【0064】上記の如く、菌体当たり10〜12のコピ
ー数で存在し、かつ表5に示した制限酵素による認識部
位数および切断断片の大きさを有することで特徴付けら
れ、ブレビバクテリウム・フラバムMJ233 cop
1より得られるプラスミドを“pCOP−1”、また同
MJ233 cop2より得られるプラスミドを“pC
OP−2”と、それぞれ命名した。
【0065】次に、プラスミドpCOP−1およびpC
OP−2から制限酵素KpnIで大きさが約6.0kb
の多コピー数自律複製DNA断片を切り出し、このDN
A断片を各種の制限酵素で切断し、切断断片の大きさを
求めた。その結果、両プラスミドから得られたDNA断
片の制限酵素認識部位数および切断断片の大きさは同一
であり、前記表1に示したとおりであった。
【0066】なお、プラスミドpCOP−1を保有する
ブレビバクテリウム・フラバムMJ233cop1、お
よびプラスミドpCOP−2を保有する同MJ233c
op2は、茨城県つくば市東1丁目1番3号の工業技術
院生命工学工業技術研究所に、平成5年4月27日付
で、それぞれ受託番号:FERM P−13619およ
び受託番号:FERM P−13620として寄託され
ている。
【0067】実施例2大きさ約4.0kbの多コピー数自律複製DNA断片の
クローニング 実施例1で調製したプラスミドpCOP−1およびpC
OP−2のコリネ型細菌内で多コピー数で自律複製し得
る機能を担う遺伝子領域を特定化するために、両プラス
ミドが有する約6.0kbの自律複製DNA断片を更に
縮小化した。以下の操作は全て、両プラスミドについて
各々独立に行った。
【0068】プラスミド1μgを制限酵素XhoI 1
unitと37℃で1時間反応させてプラスミドDNA
を完全分解した。得られた分解物を0.8%アガロース
ゲル電気泳動で分離して、大きさ約4.0kbのDNA
断片画分をゲルから切り出した。この画分よりDNAを
抽出精製して、約0.5μgのDNAを得た。次に、参
考例1に既述の大腸菌プラスミドpHSG398 1μ
gを制限酵素SalI1unitと37℃で1時間反応
させた後、該反応液を70℃で10分間加熱して酵素を
失活させた。この失活溶液と上記で得た大きさ約4.0
kbのDNAとを混合し、この混合液にそれぞれの最終
濃度が50mMトリス緩衝液(pH7.6)、10mM
ジチオスレイトール、1mM ATP、10mM Mg
Cl2およびT4DNAリガーゼ1unitとなるよう
に各成分を添加し、これを12℃で15時間反応させて
DNA断片を結合させた。
【0069】結合させたDNAを参考例1(D)と同様
にしてブレビバクテリウム・フラバムMJ233に導入
して該細菌を形質転換した。形質転換株は、クロラムフ
ェニコール36μg/mlを含む半合成A培地に寒天を
15g/l添加した固体培地上に2〜3日間培養し、ク
ロラムフェニコール高濃度耐性株を取得した。上記操作
により得られた、プラスミドpCOP−1に由来する大
きさ約4.0kbのDNA断片が導入されたプラスミド
を保有する菌株を“ブレビバクテリウム・フラバムMJ
233cop1−4.0”、およびプラスミドpCOP
−2に由来する大きさ約4.0kbのDNA断片が導入
されたプラスミドを保有する菌株を“ブレビバクテリウ
ム・フラバムMJ233cop−4.0”と、それぞれ
命名した。
【0070】上記菌株のプラスミドコピー数を、実施例
1(B)と同様の方法を用い、プラスミドの分子量を
4.0×103 ダルトン(6.2kb)として、算出し
た。その結果、それぞれの形質転換株の保持するプラス
ミドコピー数は10〜12であることが判明した。得ら
れた2種の形質転換株から、参考例1(A)と同様の方
法でプラスミドを抽出し、そのプラスミドをそれぞれ各
種制限酵素で切断して切断断片の大きさを求めた。その
結果、両プラスミドから得られたDNA断片の制限酵素
認識部位数および切断断片の大きさは同一であった。そ
の値を表6に示す。
【0071】
【表6】 表 6 制限酵素 認識部位数 切断断片の大きさ(kb) EcoRI 1 6.2 BamHI 1 6.2 KpnI 1 6.2 SphI 3 4.2,1.7,0.3
【0072】上記の如く、菌体当たり10〜12のコピ
ー数で存在し、かつ表6に示した制限酵素による認識部
位数および切断断片の大きさを有することで特徴付けら
れ、ブレビバクテリウム・フラバムMJ233cop1
−4.0が保持するプラスミドを“pCOP1−4.
0”、また同MJ233cop2−4.0が保持するプ
ラスミドを“pCOP2−4.0”と、それぞれ命名し
た。
【0073】次に、プラスミドpCOP−1およびpC
OP−2から得られた上記大きさ約4.0kbの多コピ
ー数自律複製DNA断片を各種の制限酵素で切断して切
断断片の大きさを求めた。その結果、両プラスミドから
得られたDNA断片の制限酵素認識部位数および切断断
片の大きさは同一であり、前記表2に示したとおりであ
った。
【0074】実施例3大きさ約1.8kbの多コピー数自律複製DNA断片の
クローニング 参考例1で得たプラスミドpCRY3、ならびに実施例
1で得たプラスミドpCOP−1およびpCOP−2を
各々1μgとり、それぞれを制限酵素KpnI1uni
tと1時間反応させて完全分解した。次いで、該分解物
を0.8%アガロースゲル電気泳動により分離したが、
その際に、大腸菌λファージの制限酵素HindIII に
よる分解物(λHindIII 分解物)をサイズマーカと
して試料と同時に泳動した。泳動に用いたゲルからプラ
スミドの自律複製を司る機能に関与する大きさ約6.0
kbのDNA断片を含むアガロース画分を切り出し、該
画分より大きさ約6.0kbのDNA断片を抽出した。
【0075】得られた大きさ約6.0kbのDNA断片
0.8μgを制限酵素HhaI 0.1unitと37
℃で30分間反応させて不完全に分解し、種々の大きさ
の分解物を得た後、反応液を70℃で10分間加熱処理
して酵素を失活させた。次に、前述の大腸菌プラスミド
pHSG398 0.5μgを制限酵素AccI 0.
5unitと37℃で1時間反応させて完全分解した
後、この反応液も70℃で10分間加熱処理して酵素を
失活させた。
【0076】得られた双方の分解物を混合し、この混合
液にそれぞれの最終濃度が50mMトリス緩衝液(pH
7.6)、10mMジチオスレイトール、1mM AT
P、10mM MgCl2 およびT4DNAリガーゼ1
unitとなるように各成分を添加し、これを12℃で
15時間反応させてDNA断片を結合させた。結合して
得られたプラスミドDNAを参考例1(D)と同様にし
て電気パルス法によりコリネ型細菌に導入して該細菌を
形質転換し、前記半合成A培地にて培養した。さらに、
プラスミドpCOP−1およびpCOP−2由来のDN
Aで形質転換させた菌体は30μg/ml(最終濃
度)、pCRY3由来のDNAで形質転換させた菌体は
5μg/ml(最終濃度)のクロラムフェニルコールを
それぞれ含有する前記A培地の寒天培地上に植菌し、3
0℃で2〜3日間培養して、それぞれのクロラムフェニ
コール耐性株を得た。
【0077】出現したクロラムフェニコール耐性株をそ
れぞれ独立に上記半合成A培地1リットルを用いて対数
増殖期後期まで培養した後、菌体を回収した。得られた
菌体をリゾチームを10mg/mlの濃度で含有する緩
衝液〔組成:25mMトリス(ヒドロキシメチル)アミ
ノメタン、10mM EDTA、50mMグルコース〕
20mlに懸濁し、37℃で1時間反応させた。この反
応液にアルカリ−SDS液〔組成:0.2N NaO
H、1%(W/V)SDS〕40mlを添加し、緩やか
に混和して室温にて15分間静置した。次に、該反応液
に酢酸カリウム溶液〔組成:5M酢酸カリウム溶液60
ml、酢酸11.5ml、蒸留水28.5mlの混合
液〕30mlを添加し、これを充分に混和してから氷水
中に15分間静置した。
【0078】リゾチームによる溶菌物を全量遠心管に移
し、4℃で10分間、15,000×gの遠心分離にか
けて上澄液を得た。該上澄液に等量のフェノール/クロ
ロホルム液(1:1、v/v)を加えて懸濁してから遠
心管に移し、室温下で5分間15,000×gの遠心分
離にかけて、その水層を回収した。該水層に2倍量のエ
タノールを添加して−20℃で1時間静置した後、4℃
で10分間、15,000×gの遠心分離にかけ、沈殿
を回収した。得られた沈殿には染色体DNAとプラスミ
ドDNAが含まれている。この沈殿を減圧乾燥した後、
TE緩衝液〔組成:10mMトリス、1mM EDT
A;塩酸にてpHを8.0に調整〕2mlに溶解して試
料とした。
【0079】上記手順により得た、抽出プラスミドDN
Aを含む試料をそれぞれ0.8%アガロースゲルを用い
た電気泳動にかけてその分子量を測定したところ、3.
0×109 ダルトンの染色体DNAと2.6×103
ルトン(4.0kb)のプラスミドDNAのバンドが確
認された。従って、得られたプラスミドにおいては、プ
ラスミドpHSG398の大きさ2.2kbのDNA断
片に、プラスミドpCRY3、pCOP−1およびpC
OP−2を制限酵素HhaIでそれぞれ切断して得られ
る大きさ約1.8kbのDNA断片(多コピー数自律複
製DNA断片)が挿入されていることが確認された。
【0080】上記で得られた、3種の大きさ約1.8k
bの制限酵素HhaI切断DNA断片がそれぞれ導入さ
れたプラスミドを各種の制限酵素で切断して切断断片の
大きさを求めた。その結果、3種のプラスミドの制限酵
素認識部位数および切断断片の大きさは同一であり、そ
の値を下記表7に示す。
【0081】
【表7】 表 7 制限酵素 認識部位数 切断断片の大きさ(kb) EcoRI 1 4.0 KpnI 1 4.0 BamHI 1 4.0 SphI 2 0.7,3.3 PstI 2 0.4,3.6
【0082】上記の如くして取得された、プラスミドp
COP−1に由来する大きさ約1.8kbの制限酵素
haI切断DNA断片を有し、かつ上記表7に示す切断
断片により特徴付けられるプラスミドを“pCOP1−
1.8”、プラスミドpCOP−2に由来する大きさ約
1.8kbの制限酵素HhaI切断DNA断片を有し、
かつ上記表7に示す切断断片により特徴付けられるプラ
スミドを“pCOP2−1.8”、プラスミドpCRY
3に由来する大きさ約1.8kbの制限酵素HhaI切
断DNA断片を有し、かつ上記表7に示す切断断片によ
り特徴付けられるプラスミドを“pS−1”と、それぞ
れ命名した。
【0083】また、実施例1(B)と同様の手順により
取得した上記プラスミドおよび染色体DNAをアガロー
スゲル電気泳動にかけ、染色体DNAの分子量を3.0
×109 ダルトン、プラスミドの分子量を2.6×10
3 ダルトン(4.0kb)としてプラスミドのコピー数
を算出した。その結果、プラスミドコピー数はpS−1
で5〜6、pCOP1−1.8およびpCOP2−1.
8では10〜12であることが判明した。
【0084】さらに、プラスミドpCOP−1およびp
COP−2を制限酵素HhaIで切断して得られる大き
さ約1.8kbの多コピー数自律複製DNA断片を各種
の制限酵素で切断し、切断断片の大きさを求めた。その
結果、両プラスミドから得られたDNA断片の制限酵素
認識部位数および切断断片の大きさは同一であり、前記
表3に示したとおりであった。
【0085】なお、プラスミドpCOP1−1.8を保
持するブレビバクテリウム・フラバムCOP1−1.8
およびpCOP2−1.8を保持するブレビバクテリウ
ム・フラバムCOP2−1.8は、茨城県つくば市東1
丁目1番3号の工業技術院生命工学工業技術研究所に、
平成5年3月4日付で受託番号:FERM P−135
06およびFERM P−13507として寄託されて
いる。
【0086】実施例4多コピー数変異プラスミドにおける変異位置の決定 実施例3で得た、制限酵素HhaIで切断して得られる
大きさ約1.8kbのDNA断片の塩基配列を、プラス
ミドpUC18またはプラスミドpUC19を用いてジ
デオキシヌクレオチド酵素法〔dideoxy cha
in termination method,San
ger,F.ら,Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA,74,5463(1977)参照〕により
決定した。
【0087】各DNA断片の配列は1897塩基対から
なるが、その中に261個のアミノ酸をコードするオー
プン・リーディング・フレームが存在し、これがプラス
ミドの複製に不可欠な複製蛋白質をコードしているもの
と推察される。プラスミドpCOP−1およびpCOP
−2から得られる配列をpS−1から得られる配列と比
較したところ、配列中のオープン・リーディング領域に
おいて、pCOP−1から得られる配列では1307番
目の塩基GがAに変異することにより該部位がコードす
るアミノ酸がArgからHisに変換し、pCOP−2
から得られる配列では1577番目のGがAに変異する
ことにより該部位がコードするアミノ酸がGlyからA
spに変換していることが判明した。
【0088】また、これらの配列から、大きさ1.8k
bの多コピー数自律複製DNA断片は、後記配列表の配
列番号:1で表される配列を有することが確認できた。
なお、配列番号:1に示した配列においてpCOP1か
ら得られる配列は、塩基配列1307番目のRがA、1
577番目のRがGであり、アミノ酸配列129番目の
XxxがHis、219番目のZzzがGlyである。
またpCOP2から得られる配列は、塩基配列1307
番目のRがG、1577番目のRがAであり、アミノ酸
配列129番目のXxxがArg、219番目のZzz
がAspである。さらに野生型の配列は、塩基配列13
07番目および1577番目のRがともにGであり、ア
ミノ酸配列219番目のXxxがArg、219番目の
ZzzがGlyである。
【0089】実施例5プラスミドベクターpKPR−1及びpKPR−2の作
(A)多コピー数自律複製DNA断片の調製 実施例3で取得したプラスミドpCOP1−1.8及び
pCOP2−1.8より、以下のプライマー鋳型とし、
DNAサーマルサイクラー480型(宝酒造社製)を用
いて、PCR法により大きさ約1.8kbの多コピー数
自律複製DNA断片を増幅させた。DNA断片の増幅
は、それぞれXhoI及びKpnIの制限酵素サイトを
付加した下記プライマーを用いて行った。
【0090】プライマー1(アンダーライン部分はXh
Iサイト): TCCTCGAGGCGCAGCCTGACCATG
(配列番号:2) プライマー2(アンダーライン部分はKpnIサイ
ト): TCGGTACCGCGCAGCAAAGCCTCG
(配列番号:3) 増幅DNA断片0.5μgを、制限酵素XhoI(0.
5v)及びKpnI(0.5v)で消化し、XhoI−
KpnIの断片として調製した。これらの断片を以下そ
れぞれcop1断片及びcop2断片と称する。
【0091】(B)安定化DNA断片の調製 コリネ型細菌内でプラスミドを安定に保持させる機能に
関与する遺伝子を含むDNA断片(安定化DNA断片)
としては、特開平2−276579号公報に記載されて
いるプラスミドpBY503由来DNA断片をあげるこ
とができる。安定化DNA断片は、次の様にして調製で
きる。
【0092】参考例1で得られたpBY503(5μ
g)を制限酵素KpnI(5unit)で37℃1時
間、完全分解した。分解液を0.8%アガロースゲル電
気泳動により分離して、大きさ約7.4kbのKpn
断片をゲルより抽出し精製した。得られたDNA 1μ
gを制限酵素XhoI(1unit)及びHindIII
(1unit)で切断し、0.8%アガロースゲル電気
泳動により分離し、大きさ約1.1kbのDNA断片を
ゲルより抽出し、安定化DNA断片を得た。
【0093】(C)プラスミドベクターpKPR−1及
びpKPR−2の作製 プラスミドpBluescriptII KS+ (ストラ
タジーン社製)0.5μgを制限酵素KpnI及びHi
dIII で37℃1時間、完全分解した。次に上記
(A)及び(B)で調製した多コピー数自律複製DNA
断片と安定化DNA断片を混合し、70℃で10分間加
熱して制限酵素を失活させた後、50mMトリス緩衝液
(pH7.6)、10mMジチオスレイトール、1mM
ATP 10mM MgCl2 およびT4DNAリガ
ーゼ1unitの各成分を添加し(各成分の濃度は最終
濃度である)、12℃で15時間反応させ結合させた。
結合させたプラスミドDNAを用いて大腸菌JM109
コンピテントセル(宝酒造社製)を形質転換し、アンピ
シリン耐性株として取得した。形質転換株よりプラスミ
ドDNAを前記と同様の方法で抽出し、その1μgを制
限酵素SmaIで切断した。この切断DNA断片に、カ
ナマイシン耐性遺伝子(ファルマシア社製)を制限酵素
PstIで切断し平滑末端化処理したDNA断片を加え
て結合させた。このプラスミド用いて大腸菌JM109
コンピテントセル(宝酒造社製)を形質転換し、カナマ
イシンを含む前記L培地で37℃にて24時間培養し、
生育株を得た。これらの生育株より前記と同様にして、
プラスミドを抽出した。
【0094】このように構築されたプラスミドを制限酵
KpnI及びBamHIで切断し、アガロースゲル電
気泳動にて切断DNAを分離し、ゲルよりDNAを抽出
回収して、多コピー数自律複製DNA断片、安定化DN
A断片、カナマイシン耐性遺伝子DNA断片の3種のD
NA断片を得た。次にDNA合成装置アプライドバイオ
システム社製373Aにより作製したKpnI−Bam
HIリンカー〔d(GGTACCGGATCC)〕(配
列番号:4)を上記の断片と混合し、前述の条件にて結
合させた。結合させたプラスミドの溶液を用い、ブレビ
バクテリウム・フラバムMJ233の形質転換を電気パ
ルス法により次のとおり行った。
【0095】ブレビバクテリウム・フラバムMJ233
(FERM BP−1497)プラスミドpBY502
除去株を100mlの前記A培地で対数増殖初期まで培
養し、ペニシリンGを1ユニット/mlになるように添
加して、さらに2時間振盪培養し、遠心分離により菌体
を集め、菌体を20mlのパルス用溶液(272mMS
ucrose、7mM KH2 PO4 、1mM MgC
2 :pH7.4)にて洗浄した。さらに菌体を遠心分
離して集め、5mlのパルス用溶液に懸濁し、0.75
mlの細胞と、前記で得られたプラスミドDNA溶液5
0μlとを混合し、水中にて20分間静置した。ジーン
パルサー(バイオラド社製)を用いて、2500ボル
ト、25μFDに設定し、パルスを印加後氷中に20分
間静置した。全量を3mlの前記A培地に移し30℃に
て1時間培養後、カナマイシン15μg/ml(最終濃
度)を含む前記A寒天培地に植菌し30℃で2〜3日間
培養した。出現したカナマイシン耐性株より、参考例1
に記載の方法によりプラスミドを得た。このプラスミド
を各種制限酵素で切断して、切断断片の大きさを測定し
た。その結果は、両プラスミドにおいて同一であり、前
記表4に示したとおりであった。
【0096】プラスミドpCOP1−1.8から得られ
たDNA断片を有し且つ前記表4に示す切断断片により
特徴づけられるプラスミドを“pKPR−1”、プラス
ミドpCOP2−1.8から得られたDNA断片を有し
且つ前記表4に示す切断断片により特徴づけられるプラ
スミドを“pKPR−2”と命名した。これらプラスミ
ドの制限酵素切断点地図を図2に示す。
【0097】実施例6プラスミドベクターpKPR−1及びpKPR−2のコ
ピー数と安定性 実施例4で得られたプラスミドベクターpKPR−1、
pKPR−2ならびに実施例3で得られたpS−1をそ
れぞれ含有するブレビバクテリウム・フラバムMJ23
3より、実施例1(B)と同様の手順により染色体DN
A及びプラスミドを取得し、アガロースゲル電気泳動に
かけ、染色体DNAの分子量を3.0×109 ダルト
ン、pKPR−1及びpKPR−2の分子量を2.7×
103 ダルトン(4.1kb)pS−1の分子量を2.
6×103 ダルトン(4.0kb)としてプラスミドの
コピー数を算出した。その結果、プラスミドのコピー数
はpS−1で5〜6、pKPR−1及びpKPR−2で
は10〜12であることが判明した。
【0098】プラスミドの安定性は、次のようにして確
認した。上述のpKPR−1、pKPR−2及びpS−
1をそれぞれ含有するブレビバクテリウム・フラバムM
J233由来株をカナマイシン50μg/ml(最終濃
度)を含む前記A培地に植菌し、30℃で15時間前培
養した。次にA培地に1ml当たり104 cellsの
割合になるように植え継ぎを行い約200世代培養し
た。培養液中のカナマイシン耐性株、すなわちプラスミ
ド保持株数の全菌数に対する割合を百分率で示した結果
を下記表8に示す。
【0099】
【表8】 表 8 菌株(保持プラスミド名) プラスミド保持率(%) pS−1 18 pKPR−1 98 pKPR−2 98
【0100】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:1897 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:プラスミド DNA 起源 生物名:ブレビバクテリウム フラバム 株名:MJ233 cop1 又は MJ233 cop2 配列の特徴 特徴を表す記号:peptide 存在位置:922-1704 特徴を決定した方法:E 他の情報 下記塩基配列中1307番目および1577番目のRは
G又はAを示すが、双方が同時にGであることはなく、
また、下記アミノ酸配列中129番目のXxxはArg
又はHisを、219番目のZzzはGly又はAsp
をそれぞれ示すが、129番目のXxxがArgである
ときには219番目のZzzがGlyであることはな
い。
【0101】 配列 GCGCAGCCTG ACCATGGACA TGCTTCTACG TTCTTCCACA CTGGTATCTT TTGGTTGCAA 60 TATATATTGC AACCATGCTG GTAAAACAAC TTTTTAGCGT GTCTTGCCCA AAATTACAGT 120 CATGTGATTT ACAGTTGAAA GATACTGAAA ATCAAAGAAG GCCACTCGGC GGCAACCGAA 180 TGACCTTCGC TTATCACCCA GTCCTACCTG GGAGAAAGCA TGTACATGAT TATACCCAAT 240 AGTACGCCCG CGTACCCCAT TTCCGGTTCG CGTGTTAACA CGCCATCACG TTTGCGCCCT 300 GACTGCGCAG GCCTTGATGA CACCCCAGCG AGCACCGTTG ACCGGGACAA GCTGCTCGCA 360 CATCTTGGCC GTACAGCACT GCACGGGTCT ATAAGTCGAA ACTTCAAAGG CGCTTATCGC 420 CTCGTTGTGG ATAAGGAAAC GGGGGAAAAG CGAAGCGTTC CGAACCTTTA CCGCATTGAT 480 TCCGAAAAAC TCGGTCGCTG CGAATACGTC ATGCTGACTA GTAAGCAATA TGCTTCGGTC 540 ATGGTCATAG ACGTTGACCA GATAGGAGAG GCTGGAGGAC ATCCAGAAAA CCTCAACTCC 600 TATGTCAAAG GCGTTATCTG GGTACTTGTG CAGCACGGAA TTGGACCAGC ATGGGCAGGC 660 ATTAATCCGA TTAGTGGTAA AGCGCAGTTT ATTTGGCTTA TTGACCCAGT TTATGCAGGA 720 AAGAATCGTG CGTCCCGGAA TATGGAGCTA CTCAAAGCCA CAAGTCACGA GTTGGGTGAG 780 TTACTGGATC ATGATCCACA TTTTGCGCAT CGGTTTAGCC GGAGTCCTTT TTATACTGGA 840 AAGTCACCGG AGGCTTATCG CTGGTATTGC CAGCATGACC GGGTTATACG CCTCCAAGAC 900 TTTCTAAGGC AGGTGCGCGA G ATG GCG GGA CAA TCC CAG CAC ATT AAA AAC 951 Met Ala Gly Gln Ser Gln His Ile Lys Asn 1 5 10 AAG CGC CAG CAA TTT AAC AGT GGC CGT GAG CTT ATT AAT GCG GTC AAA 999 Lys Arg Gln Gln Phe Asn Ser Gly Arg Glu Leu Ile Asn Ala Val Lys 15 20 25 ACT CGC CGT GAA GAA GCC CAA GCC TTT AAA GCA CTT GCT GAG GAT GTC 1047 Thr Arg Arg Glu Glu Ala Gln Ala Phe Lys Ala Leu Ala Glu Asp Val 30 35 40 GAA AAC GAG ATA AGT GAA GAA ATC GAT CAA TAC GAC CCG GAA CTA ATC 1095 Glu Asn Glu Ile Ser Glu Glu Ile Asp Gln Tyr Asp Pro Glu Leu Ile 45 50 55 GAC GGG GTG CGC GTG CGC TGG ATT AGC CAA GGG GTC GCA GCA CGC GAC 1143 Asp Gly Val Arg Val Arg Trp Ile Ser Gln Gly Val Ala Ala Arg Asp 60 65 70 GAA ACA GCG TTT AGC CAC GCA CTA AAA ATT GGT CAC CGC CTA CGC AAA 1191 Glu Thr Ala Phe Ser His Ala Leu Lys Ile Gly His Arg Leu Arg Lys 75 80 85 90 GCA GGA CAA CGA CTC ACA GAC GCC GCC GTT ATC GAT GCC TAC GAG CAT 1239 Ala Gly Gln Arg Leu Thr Asp Ala Ala Val Ile Asp Ala Tyr Glu His 95 100 105 GCC TAT AAC GTT GCA CAA CAA CAA GGC TCA GCA GGC CGA GAC AGC GAA 1287 Ala Tyr Asn Val Ala Gln Gln Gln Gly Ser Ala Gly Arg Asp Ser Glu 110 115 120 ATG CCA CCC ATG CGT GAC CRC CAG ACC ATG GCA CGA CGC GTA CGC GGC 1335 Met Pro Pro Met Arg Asp Xxx Gln Thr Met Ala Arg Arg Val Arg Gly 125 130 135 TAT GTC ACC CAA TCC AAA ACC AAC ACA AGT CTA GGA GCT AGC GCT CCC 1383 Tyr Val Thr Gln Ser Lys Thr Asn Thr Ser Leu Gly Ala Ser Ala Pro 140 145 150 GGA CGC GTT ACC AGC AGC GAA CGC AAA GCA CTG GCC ACC ATG GGG CGA 1431 Gly Arg Val Thr Ser Ser Glu Arg Lys Ala Leu Ala Thr Met Gly Arg 155 160 165 170 AAA GGC GGA CAG AAA GCA GCA CAA CGC TGG AAA ACC GAT CCA GAA GGT 1479 Lys Gly Gly Gln Lys Ala Ala Gln Arg Trp Lys Thr Asp Pro Glu Gly 175 180 185 CAA TAC GCA CAA AAT CAG CTG CAG AAA CTA AAG AAA ACG CAC CGG AAG 1527 Gln Tyr Ala Gln Asn Gln Leu Gln Lys Leu Lys Lys Thr His Arg Lys 190 195 200 AAG CGG GTG GAA GGA CAG ACC ACG CGT GCG AAG ATT CAA GCC TTA ATT 1575 Lys Arg Val Glu Gly Gln Thr Thr Arg Ala Lys Ile Gln Ala Leu Ile 205 210 215 GRT GAA GCT TAC GTG CAA ACA GGC GAG GTA CTT ACC CGC AAA CAG ATT 1623 Zzz Glu Ala Tyr Val Gln Thr Gly Glu Val Leu Thr Arg Lys Gln Ile 220 225 230 GTG GAT GAG ACA GGA CTA TCT AGA GCT ACA GTG ACA CGG CAT TTG GCG 1671 Val Asp Glu Thr Gly Leu Ser Arg Ala Thr Val Thr Arg His Leu Ala 235 240 245 250 GCA CTT CGA GAA CAG GGA GCA CTT CCG GAA ACG TAGGGGCTCATACCGTAAGCA 1725 Ala Leu Arg Glu Gln Gly Ala Leu Pro Glu Thr 255 260 ATATACGGTT CCCCTGCCGG TAGGAATGTA GTAATAACCT CTCTTGAAGA AAACCTTGTA 1785 GGGCAAGGCT ACTTATGCTT CCGGGGTTAG TCGTTCTTCT ATTGCGGTGA TGAGTTCTAG 1845 ACCTTTATCT AAGTCCTGGG GGCTGCTGTT GCCGTGCGAG GCTTTGCTGC GC 1897
【0102】配列番号:2 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TCCTCGAGGC GCAGCCTGAC CATG 24
【0103】配列番号:3 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TCGGTACCGC GCAGCAAAGC CTCG 24
【0104】配列番号:4 配列の長さ:12 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GGTACCGGAT CC 12
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラスミドベクターの造成に用いる多
コピー数自律複製DNA断片の制限酵素切断点地図。
【図2】本発明のプラスミドベクターpKPR−1およ
びpKPR−2の制限酵素切断点地図。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:13)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)プラスミドpBY503由来のコ
    リネ型細菌内でプラスミドの自律複製を司る機能に関与
    する遺伝子を含むDNA断片であって、プラスミドのコ
    ピー数を増加し得る変異点が該遺伝子内の少なくとも1
    カ所に存在するDNA断片、(b)プラスミドpBY5
    03由来のコリネ型細菌内で複製増殖可能なプラスミド
    を該細菌内において安定に保持させる機能に関与する遺
    伝子を含むDNA断片および(c)プラスミドマーカー
    となりうる薬剤耐性遺伝子を含むDNA断片を保有する
    ことを特徴とするプラスミドベクター。
JP15874893A 1993-06-29 1993-06-29 プラスミドベクター Pending JPH0739382A (ja)

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