JPH0739369U - 育苗用ポット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 環境にやさしい材料を使用し、かつポットを
土壌に定植した後の処理を不要にする育苗用ポットの提
供。 【構成】 微生物分解性の材料によって形成した有底容
器の底部３に排水孔２を穿設し、容器の上端縁部４ａに
２以上複数の切溝５を配設したことを特徴とし、前記切
溝は、高さ方向に５ｍｍ〜２０ｍｍ、幅方向に０．１ｍ
ｍ〜１５ｍｍの範囲で空隙であり、また、切溝は少なく
とも対向する隅角部に配設した育苗用ポット。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本願考案は、野菜や花等の苗を育てるための育苗用ポットに係る。

【０００２】

【従来の技術】

従来からポットを使用する目的は、育苗時の防虫・防菌の管理がしやすく、作 物の栽培期間を長くすることなどによって良質の苗を育てることができるためで あり、一例としてポリポットが知られている。

【０００３】 ポリポットを使用して、種から苗を育てる場合には、他の土壌にまいた種を発 芽させ、ある程度育てた苗をポリポットに移植し、さらに一定の大きさになった ら畑などの土壌にポリポットから出して定植している。

【０００４】 このポリポットは、苗をポットから抜いて他に移植するなどの手間がかかり、 また、使用後の廃棄処分についても腐らないために燃焼するなどの手間がかかる だけでなく地球環境を汚染するなどの問題がある。

【０００５】 そこで、前記ポリポットに対して、土中の水分や微生物等で時間が経つに連れ て微生物分解するピートモスやパルプモールド等の環境保全に適した材料で成形 した容器が使用されるようになった。

【０００６】 例えば、図９はパルプモールド製ポットの一例を示す斜視図であり、パルプモ ールドすなわち古紙やパルプを原料として、これを離解した後、金型の金網で吸 引形成し、脱水乾燥させて形成したものを一体成形している。

【０００７】 このポット９０は、中央に排水孔を備えた底部の四辺に側壁９１を連成して立 設した容器であり、この容器は、育苗家等が育てた苗をある程度育った時点でポ ット９０ごと土中に定植し、水分等を与えながら苗などの育成を行なう。

【０００８】 そして、定植の場合は、前記土壌にポット９０がそのまま残るものの前記のよ うにポット９０は、土壌微生物によって徐々に微生物分解するため、土壌に還元 して汚染するということがない。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、前記従来例は、有底容器の隅角部を連設した形態のポットであり、一 般に、育苗するには、ポット内に腐葉土や堆肥等をポットの上端まで加えて、苗 を移植し、ポットの上端まで水を注いで、さらにポットを手で叩く等の振動を与 えると土の集積度に応じて密集するようになりポット内の土の上端部が低下する （図１０ａ〜１０ｂ参照）。

【００１０】 そして、畑等の土壌に移して定植した後のポットは、上端縁部を残してその側 壁は土壌に埋設された状態となる。

【００１１】 しかしながら、ポットの側壁部分は、土壌に埋設しているので時間経過と共に 微生物分解は進むが上端縁部は土の上にリング状に残り、そのままでは微生物分 解しないために景観が悪く、その除去作業あるいは土壌へ埋める等の作業を強い られ、定植後の処理が面倒であった。

【００１２】 本願考案は、畑などに定植した後でも、そのまま放置しておくだけで全ての部 分が速やかに微生物分解するポットの提供を目的としている。

【００１３】

【課題を解決するための手段】

本願考案は、微生物分解性の材料により形成した容器の上端縁部に２以上複数 の切溝を配設したことを特徴とする育苗用ポットである。そして、角形容器の場 合には、隅角部の上端縁部すなわち隣接する側壁が接する上端から高さ方向に５ ｍｍ〜２０ｍｍ、幅方向に０．１ｍｍ〜１５ｍｍの切溝を施し、また、円形容器 の場合には、２以上複数箇所に上記と同様の切溝を施している。

【００１４】

【作用】

前記本願考案のポットは、苗を植えて水を注いだ後の土のレベルとポットを埋 設した土のレベルとがほぼ同一となるようにポットごと定植する。そして、土壌 の水分や微生物によって隔壁並びに底部の微生物分解が徐々に進む。さらに、土 から上に位置する隔壁の上端縁部だけが微生物分解しないで残るものの前記切溝 を境にしてこの上端縁部が土の上に倒れ、微生物分解が速やかに進んで早く土に 還元される。

【００１５】

【実施例】

図１は本願考案の一実施例を示す斜視図、図２は同じく正面図、図３は側面図 並びに図４は底面図、図５は縦断面図であり、図６ａ〜図６ｅは育苗時の経時変 化を示す説明図である。

【００１６】 本願考案の育苗用ポット１は、平面四角形等の多角形又は、円形を呈し、その 原材料としてパルプモールド、ピートモスあるいは微生物分解性プラスチック等 の土壌微生物によって分解可能な材料で成形される。すなわち、前記したように パルプモールドは、古紙やパルプ等を原料として、これを離解した後、金型の金 網で吸引形成し、脱水乾燥させて形成した材料によって一体成形している。

【００１７】 前記ポット１は、排水孔２を穿設した底部３と、底部３と一体に連設した側壁 ４と、この側壁４の上端縁部４ａに適宜の間隔をおいて二以上複数の切溝５とで 構成している。なお、図１は、平面四角形を呈し、隅角部の上端のみに高さ方向 に１〜５ｃｍ、幅方向に０．１ｍｍ〜１．５ｃｍの空隙からなる切溝５を設けて いるが、隅角部に加えて中間位置に配設しても差し支えない。

【００１８】 さらに、側壁４の底部近縁に細窓６を配設し、排水並びに棚等にポット１を載 置した場合には、ポット１の側面から光をポット１内へ照射することを可能とし ている。

【００１９】 また、底部３の下面には、前記排水孔２を中心として放射状にリブ７を突設し て平板等の棚に載置した時の設置性や排水性を良くしている。

【００２０】 なお、前記切溝５は、モールド時の型に設けてもあるいは後から打ち抜いても よい。

【００２１】 前記構造のポット１は、苗が適度に成長した段階でポット１ごと土壌に埋め、 しかも側壁４の上端縁部４ａを地上に出しておき、ポット１内に水が溜まったり 、葉に土がかかるのを防いでいる。

【００２２】 そして、定植の場合は、ポット１を土壌に残したまま育てる。そのためにポッ ト１は、土壌微生物によってまず、土壌部分に埋設した側壁４が微生物分解され 、そして切溝５と側壁４との境まで進むと上端縁部４ａが自然に地上に倒れて、 土壌との接触面積が増加して微生物分解が進んで上端縁部４ａは速やかに土壌と して還元される。

【００２３】

【考案の効果】

本願考案は、前記したように環境にやさしいパルプモールド等の微生物分解可 能な材料によって形成したので、従来のように育成後に残ったリング状部分を取 り除いたり、土壌に踏みつけて埋める等、定植した場合の煩わしい作業を不要と しただけでなく、ポットの上端縁部の微生物分解が速やかに進む等優れた効果を 奏する。

【００２４】 また、本願考案は、パルプモールド製ポットとして従来と変わらぬコストで提 供でき、優れた経済性を発揮し、産業利用上有益である。

【００２５】

【図面の簡単な説明】

【図１】 本願考案の一実施例を示す斜視図。

【図２】 同上正面図。

【図３】 同上平面図。

【図４】 同上底面図。

【図５】 同上縦断面図。

【図６ａ〜６ｅ】 育苗時の経時変化等を示す説明図。

【図７】 他の事例を示す斜視図。

【図８】 同じく他の事例を示す斜視図。

【図９】 従来例を示す斜視図。

【図１０ａ〜１０ｅ】 同上経時変化を示す説明図。

【符号の説明】

１ ポット ２ 排水孔 ３ 底部 ４ 側壁 ４ａ 側壁上端縁部 ５ 切り溝 ６ 細窓 ７ リブ

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 微生物分解性の材料によって形成し、か
   つ底部に排水孔を備えた容器の上端縁部に２以上複数の
   切溝を配設したことを特徴とする育苗用ポット。
2. 【請求項２】 上記容器は、角形又は円形容器であり、
   かつ側壁の上端から高さ方向に５ｍｍ〜２０ｍｍ、幅方
   向に０．１ｍｍ〜１５ｍｍの範囲の空隙を有する切溝を
   施したことを特徴とする育苗用ポット。
3. 【請求項３】 上記切り溝は、少なくとも対向する隅角
   部に配設したことを特徴とする育苗用ポット。