JPH0739180B2 - インクジエツト記録装置の回復方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明はカラー印字などキャリジに複数の記録ヘッドを
搭載したインクジェット記録装置の回復方法に関する。

〔従来技術〕

カラー印字の場合は通常シアン、マゼンタ、イエロ、ブ
ラックの４色が使用され、また、同一色相（黒など）の
場合でも濃淡の度合いが異なる複数のインクが使用さ
れ、このような異なるインクを使用するインクジェット
記録装置ではキャリジ上にインクの種類に応じた複数の
記録ヘッドが搭載される。

各記録ヘッドの前面にはドットを形成する複数の小口す
なわちインク吐出口が形成されているが、この面に付着
する紙くずやほこりあるいは溶剤が蒸発して増粘したイ
ンクなどによりインク吐出口が目詰まりし、インク吐出
不良になることがある。

このため、インク吐出口が形成された面（記録ヘッド前
面）をクリーニングすることが要請される。

このクリーニング手段として、プラスチックシートなど
で作った可撓性のブレードで記録ヘッド前面をワイピン
グ（拭き払い）する機構が提案されている。

しかし、従来のインクジェット記録装置にあっては、キ
ャリジ移動範囲内のワイピング位置（例えばホーム位置
より右側の位置）に記録ヘッドの数に相当する複数のワ
イパーを設けるので、構造が複雑で大型になるという問
題があった。

また、ワイパーは一般に可撓性のブレードを往復動させ
るなどして複数回の拭き払いを行う機構のものであった
が、従来構造では、いったんブレードで拭き取った付着
物が次のワイピング動作時に記録ヘッドに再び付着する
ことがあり、混色を生じてしまいワイピング効果が不充
分になりやすいという問題があった。

〔目的〕

本発明の目的は、このような従来技術の問題を解決で
き、簡単な構造で複数の記録ヘッドを効果的にワイピン
グできるインクジェット記録装置の回復方法を提供する
ことである。

〔概要〕

本発明は、上述の目的を達成するために提案されたもの
で、異なるインクを吐出してカラー記録を行い得る複数
の記録ヘッドを搭載して走査されるキャリジと、前記複
数の記録ヘッドによって記録がなされる領域を外れた非
記録領域に配され前記記録ヘッドの前面に摺擦し清掃を
行うクリーニング部材と、前記記録ヘッドに当接するキ
ャップ部材と、該キャップ部材に連設され前記記録ヘッ
ドからインクを排出させるための負圧を発生する負圧発
生手段と、を備えたインクジェット記録装置の回復方法
において、前記複数の記録ヘッドの前面を、１つのクリ
ーニング部材で連続的に摺擦清掃する工程と、摺擦清掃
された複数の記録ヘッドに対し前記キャップ部材を介し
て前記負圧発生手段によって負圧を付与し、複数の記録
ヘッドのそれぞれからインクを排出させる工程と、を含
むことを特徴とする。

これによって、異なるインクを吐出する複数の記録ヘッ
ドを１つのクリーニング部材で連続的に清掃しても、清
掃後に記録ヘッドからインクを排出することでクリーニ
ング動作による異なるインクの混色の状態を解消するこ
とができ、異なるインクを吐出する複数の記録ヘッドに
対して１つのクリーニング手段でクリーニングすること
を可能とした。

〔実施例〕

以下図面を参照して本発明を具体的に説明する。

第１図は一実施例に係るインクジェット記録装置の部分
構成を示し、プラテン１にバックアップされた用紙２の
前方にガイドシャフト３が設置され、該ガイドシャフト
に沿って移動するキャリジ４上に複数（図示の例では４
個）の記録ヘッド5A、5B、5C、5Dが搭載されている。

キャリジ４のホーム位置HP（図示の例ではプラテン１の
左側）にはインク回復手段６が設けられている。このイ
ンク回復手段は、記録ヘッド5A〜5Dに対し進退駆動され
前進位置で各記録ヘッドの前面を密閉するキャップ７
と、該キャップを通してインク吐出口からインクを吸引
するポンプ８とで構成されている。

前記インク回復手段６の右側には本発明に係るワイパー
９が設置されている。

第２図および第３図は前記ワイパー９の平面および後面
を示す。

第２図および第３図において、記録装置のベース10にワ
イパー９駆動用のパルスモータ11が取付けられ、該パル
スモータの回転出力軸12には軟質プラスチックなどの可
撓性材から成るブレード13が取付けられている。図示の
例では、ブレード13は180度をなす２箇所に設けられて
おり、パルスモータ11により矢印Ａ方向に回転駆動され
る。

また、ブレード13のボス部またはパルスモータ11の出力
軸12に形成された凹部14とベース10側に取付けられ弾性
力で該凹部に離脱可能に係合される弾力部材15とによ
り、該ブレード13を第２図に示すような所定位置で位置
決め停止させうるクリック部16が設けられている。

さらに、ベース10側には、ブレード13が回転するときこ
れに接触して該ブレードを清掃するためのブレード掃き
17と、該ブレード掃きの下方に位置するインク吸収体18
とが設けられている。

然して、上記ワイパー９は、キャリジ４の移動すなわち
記録ヘッド5A〜5Dの移動に合わせてパルスモータ11でブ
レード13を回転させ、該ブレードをブレード掃き17で拭
き常に清掃した後で各記録ヘッド5A〜5D（詳しくはその
インク吐出口形成部19A〜19D）を該ブレードでワイピン
グする動作を繰返し、各記録ヘッド5A〜5Dを１つづつ順
次ワイピングするよう構成されている。

パルスモータ11の駆動トルクは、第４図に示すように、
励磁パルスの周波数Hzで変化し、高周波ほど小さくな
る。

そこで、上記ワイピング動作では、ブレード13を第２図
のような停止位置に保持しておき、まず記録ヘッド5Aが
ワイピング位置に来たとき該ブレードを矢印Ａ方向に回
転させてワイピングを行う。ワイピング後のブレード13
の位置合わせ（停止位置への復帰）は前記クリック部16
の負荷により行うが、この場合、ワイピングした後パル
スモータ11の駆動周波数を変化させてトルクを低下さ
せ、クリック部16の負荷で容易かつ正確に停止させるよ
う制御される。

なお、ブレード13で２回以上ワイピングする場合は、所
定回数ワイピングした後駆動トルクを低下させる。

各ブレード13は記録ヘッドをワイピングする度にブレー
ド掃き17で清掃されるので、常にきれいなブレードでワ
イピングすることができる。

ブレード掃き17で拭かれたインクやほこりなどの異物は
インク吸収体18に吸収されるので、装置を汚染すること
は防止される。

記録ヘッド5Aをワイピングした後、キャリジ７を矢印Ｂ
方向に移動させて次の記録ヘッド5Bをワイピング位置へ
移動させ、前述のワイピング動作を繰返す。

こうして、複数の記録ヘッドが順次ワイピングされる。

ワイピング終了後、通常ブレード13を停止位置に保持し
た状態でキャリジ４をホーム位置へ移動させてキャップ
７で密閉し、インク回復動作を実行し、その後でキャッ
プ７を開いて印字待機状態にされる。

第５図は以上説明したワイピングの動作手順を例示する
フローチャートである。

第５図において、ワイピング開始（ステップ100）によ
りキャップ７を開き（ステップ101）、キャリジ４をホ
ーム位置HPへ移動させる（ステップ102）。

その間に、第１の記録ヘッド5Aをワイピング位置へ移動
させ（ステップ103）、ブレード13を回転させてワイピ
ングを行う（ステップ104）。

次にキャリジ４を移動させて第２の記録ヘッド5Bをワイ
ピング位置へ移動させ（ステップ105）、ワイピング
（ステップ106）を行う。

こうしてｎ個の記録ヘッドの全てについて順次ワイピン
グ動作を行った（ステップ107、108）後、キャリジ４を
左方へ移動させ所定位置で停止させる（ステップ10
9）。

ステップ110でブレード13を停止位置（クリック部で停
止させる位置）に保持した状態にした後（または検出し
た後）、キャリジ４を左方のホーム位置HPへ移動させる
（ステップ111）。

このホーム位置HPで、キャップ７を閉じ（ステップ11
2）、ポンプ８を駆動してインク吸引（インク回復）動
作を行い（ステップ113）、然る後キャップ７を開く
（ステップ114）。こうして印字動作への待機状態に入
る（ステップ115）。

以上説明した実施例によれば、１個のワイパー９を設け
るだけの簡単な構造で複数の記録ヘッド5A〜5Dを容易か
つ確実にワイピングすることができる。そして、ワイピ
ングの後に記録ヘッドからポンプによってインクを吸引
するので、記録ヘッドの前面でインクが混色するような
ことがあっても、確実に吐出口から混色インクを排出す
ることができ、回復後に実行される記録に影響を与える
ことはない。また、この実施例では、常に清掃したブレ
ード13で個々のヘッドをワイピングするので、インク吐
出口部のごみ付着の問題を解消することができる。

また、ブレード13の位置決めをクリック部16で行うの
で、ワイピング機構の小型単純化することができる。

第６図は本発明の他の実施例に係るインクジェット記録
装置の回復に係る構成及び方法を示す。

本実施例においては、前記インク回復手段６（第１図）
の右側にワイパー20が設置され、このワイパー20はソレ
ノイド21でブレード22を矢印Ｃ方向に出入りさせるよう
構成されている。

この場合は、ブレード22を各記録ヘッド5A〜5D側へ突き
出した後キャリジ４を矢印Ｂ方向（インク回復手段６へ
向かう方向）へ走行させ、１個のブレード22で複数個の
記録ヘッド5A〜5Dのインク吐出口19A〜19D部分を連続的
にワイピングするよう構成されている。

このワイピングを行った後キャリジ４をホーム位置HPに
停止させて前述と同様インク回復動作を行う。

第７図は第６図のワイパー20の動作手順を例示するフロ
ーチャートである。

第７図において、ワイピング開始（ステップ200）によ
りキャリジ４がホーム位置HPにあれば（ステップ20
1）、キャップ７を開いて（ステップ202）ブレード22を
前進させる（ステップ203）。

次いで、キャリジ４を第１図中の右方向（第６図中では
左方向）へ移動させその間に各記録ヘッド5A〜5Dのイン
ク吐出口部分19A〜19Dをワイピングする（ステップ20
4）。

こうして各記録ヘッドを連続的にワイピングした後キャ
リジ４を所定位置で停止させ（ステップ205）、ブレー
ド22を後退させる（ステップ206）。

なお、場合によっては、ステップ206でのブレード後退
を省き、ステップ22を突出させたままでもよい。

次いでキャリジ４をホーム位置HPへ移動させ（ステップ
207）、キャップ７を閉じ（ステップ208）、ポンプ８を
駆動してインク吸引（ステップ209）を行う。

こうしてインク回復動作が終了した後キャップ７を開き
（ステップ210）、印字の待機状態に入る（ステップ21
1）。

本実施例によっても、１個のワイパー20を設けるだけの
簡単な構造で複数個の記録ヘッド5A〜5Dを容易かつ確実
にワイピングすることができる。

そして、ワイピングの後に記録ヘッドからポンプによっ
てインクを吸引することで、記録ヘッドの前面で混色し
たインクを確実に吐出口から排出できるので、回復後に
実行される記録に影響を与えることがない。

〔効果〕

以上の説明から明らかなごとく、本発明によれば、ワイ
ピングの後に記録ヘッドからポンプによってインクを吸
引することで、記録ヘッドの前面で混色したインクを確
実に吐出口から排出することができるので、カラー記録
を行える複数の記録ヘッドに対しても１個のワイパーの
みで容易かつ確実にワイピングすることができ、簡単で
かつコンパクトな機構で各インク吐出口部分を清浄化で
き、安定した記録品位を保持し得るインクジェット記録
装置が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係るインクジェット記録装
置の部分平面図、第２図は第１図のワイパーの平面図、
第３図は第２図中の線III−IIIから見た後面図、第４図
はパルスモータの駆動トルク特性を例示するグラフ、第
５図は第２図のワイパーの動作手順を例示するフローチ
ャート、第６図は他の実施例に係るワイパーの斜視図、
第７図は第６図のワイパーの動作手順を例示するフロー
チャートである。 ４……キャリジ、5A〜5D……記録ヘッド、９、20……ワ
イパー、13、22……ブレード、19A〜19D……インク吐出
口部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ４１Ｊ 3/04 １０２ Ｎ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】異なるインクを吐出してカラー記録を行い
   得る複数の記録ヘッドを搭載して走査されるキャリジ
   と、前記複数の記録ヘッドによって記録がなされる領域
   を外れた非記録領域に配され前記記録ヘッドの前面に摺
   擦し清掃を行うクリーニング部材と、前記記録ヘッドに
   当接するキャップ部材と、該キャップ部材に連設され前
   記記録ヘッドからインクを排出させるための負圧を発生
   する負圧発生手段と、を備えたインクジェット記録装置
   の回復方法において、 前記複数の記録ヘッドの前面を、１つのクリーニング部
   材で連続的に摺擦清掃する工程と、 摺擦清掃された複数の記録ヘッドに対し前記キャップ部
   材を介して前記負圧発生手段によって負圧を付与し、複
   数の記録ヘッドのそれぞれからインクを排出させる工程
   と、 を含むことを特徴とするインクジェット記録装置の回復
   方法。