JPH0738766Y2 - シリンダヘッドガスケット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は内燃機関用ガスケット、特に、内燃機関のシリ
ンダヘッドガスケットに関する。

〔従来の技術〕

シリンダヘッドガスケットの一般的な形体としては、膨
張黒鉛シートやアスベストシート等のシートを芯材の両
面に添着したガスケット用シートから、所要の平面形体
を有するガスケット本体を打抜き成形し、ガスケット本
体に形成されたシリンダ孔に金属薄板を鳩目加工したグ
ロメット（以下、これを「ボアグロメット」と云う。）
が知られている。

ところで、近年の内燃機関の高出力化、高効率化、小型
軽量化等に伴い、シリンダヘッドガスケットに荷せられ
る種々の条件も厳しいものとなっており、主として、燃
焼ガスのシールを向上するために、締付面圧のシリンダ
孔周縁における部分的な高面圧化による改良が数多く試
みられ、実用化されている。例えば、ボアグロメット内
にＯ−リング様の部材を内在させることによって、グロ
メット部位における締付面圧を高めようとしたシリンダ
ヘッドガスケット（実開昭61−117960号）や、シリンダ
孔をその周縁から僅少離間して囲繞するようＯ−リング
様の金属リングをガスケットの面上に配設することによ
って、局部的に高い締付面圧の部分を配設しようとする
シリンダヘッドガスケット（実開昭60−97347号）等が
ある。

このようなシリンダヘッドガスケットは、シリンダ孔に
近接した位置に冷却水や潤滑油が流動する孔（以下、こ
れらの孔を「水孔等」と総称する。）が配設されてい
る。そのため、ガスケット本体の締付時のシリンダ孔周
縁における圧縮抵抗は、水孔等が存在する側の周縁部分
（以下、これを「孔側周縁部分」と云う。）において、
その他の周縁部分よりも低圧縮抵抗となって十分な燃焼
ガスシール面圧を確保することが出来ず、それにより、
シリンダ孔の燃焼ガスが孔存在部分を通り、水孔等にモ
レを生じてしまい易いものであった。

加えて、ガスケット本体のシリンダ孔と水孔等との間に
介在する部分（以下、これを「孔間介在部分」と云
う。）が締付面圧等により変形し、水孔等の流路内に突
出して円滑な流動を阻害するだけでなく、ガスケット本
体の破壊をも引起こす一因となるものであった。

〔考案が解決しようとする課題〕

本考案が解決しようとする課題は、上述した従来のシリ
ンダヘッドガスケットにおける欠点を除去し、シリンダ
孔周縁における締付時の圧縮抵抗を均一化し、燃焼ガス
の通り抜けを阻止しうるシリンダヘッドガスケットを提
供することにある。

本考案が解決しようとする別の課題は、ガスケット本体
の孔間介在部分が締付面圧等によって変形する恐れのな
いシリンダヘッドガスケットを提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案によるシリンダヘッドガスケットは、膨張黒鉛シ
ート、アスベストシート等の軟質ガスケット用シートを
芯材の両面に備えたガスケット本体と、該ガスケット本
体の一面側のシリンダ孔周縁から該シリンダ孔内周を通
りガスケット本体の他面側のシリンダ孔周縁へ延びるボ
アグロメットとから構成される。

前記ボアグロメットの前記他面側における外周縁は、シ
リンダ孔近傍に位置する水孔等へと孔間介在部分に部分
的に延び、そして該水孔等の内周を少なくとも部分的に
通ってガスケット本体の前記一面側の該水孔等の周縁へ
延びるように形成されることにより上記課題を解決して
いる。

〔作用〕

本考案のシリンダヘッドガスケットは、周知の手段によ
って、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間に装着
されて使用される。

締付使用時に、ボアグロメットの部分で高面圧を生じ、
シリンダ孔の燃焼ガスのシールを行う。このとき、シリ
ンダ孔周縁における締付面圧の分布は、ボアグロメット
の外周縁部が、孔間介在部分上を被覆した形体で設けら
れ、かつ水孔等の内周縁の少なくともシリンダ孔に隣接
する部分を囲繞するよう設けられているため、孔側周縁
部分においてもその他の周縁部分と同等な面圧を保持す
る。

また、締付面圧等によって孔間介在部分のガスケット本
体が変形しようとしても、ボアグロメットとその外周縁
の伸延する部分と水孔等に巻回した部分とによって機械
的に固定された構造であるため、その変形を阻止される
ことになる。

〔実施例〕

本考案の実施例によるシリンダヘッドガスケットは、第
１図および第２図に示すように、膨張黒鉛シート、アス
ベストシートまたはその他のシート１を芯材２の両面に
添着されたガスケット用シートを所要の平面寸法形体に
打抜き成形することにより、シリンダ孔３、その近傍に
位置する水孔等４およびその他の所要の開口を備えたガ
スケット本体５を形成される。ガスケット本体５のシリ
ンダ孔３の内周縁にはボアグロメット６が鳩目加工され
る。

ボアグロメット６の外周縁部6aは、ガスケット本体５の
少なくとも一面上において、シリンダ孔３からその近傍
に位置する水孔等４へと延び、水孔等４の少なくともシ
リンダ孔３に隣接する内周縁部分4aを囲繞するようかし
め加工される。こゝにおいて、必要ならば、水孔等４の
内周縁全体を囲繞するグロメットのように形成すること
も可能ではあるが、グロメット加工を施すことにより、
該水孔等の部分における面圧が過大となることのないよ
う注意すべきである。

ボアグロメット６の外周縁部6aのシリンダ孔３から水孔
等４へと延びる平面形体は、該伸延部分において急激な
面圧変化が生じることのないよう、従来のボアグロメッ
ト外周縁l0から緩やかな弧状曲線l1で画定された形体に
形成するのが好ましい。

本考案の別の実施例によるシリンダヘッドガスケット
は、第３図に示すように、シリンダ孔３から、ガスケッ
ト本体５の一面上を通り、水孔等４の内周縁部分を囲繞
したボアグロメット６の外周縁部6bが、ガスケット本体
５の他面上に更に伸延するよう形成される点において前
記実施例と異なっている。

外周縁部6bの他面上における伸延部分の平面形体は、前
記実施例において述べたと同様に、該伸延部分において
急激な面圧変化が生じることのないよう、緩やかな弧状
曲線で画定された形体に形成されるが、シリンダ孔と水
孔等との間の間隔が狭い部位ほど伸延部分が大きく展張
するような平面形体にするのが好ましい。

〔考案の効果〕

本考案によれば、ボアグロメット６の外周縁部がシリン
ダ孔３からその近傍に位置する水孔等４へと延び、水孔
等４の少なくともシリンダ孔３に隣接する内周縁部分4a
を囲繞するようかしめ加工されていることにより、シリ
ンダ孔周縁における締付面圧の分布は、孔側周縁部分に
おいてもその他の周縁部分と同等な面圧を保持できるこ
とになる。

また、ガスケット本体５の孔間介在部分が、締付面圧等
によって変形しようとしても、ボアグロメット６の鳩目
加工部分とその外周縁のガスケット本体の面上に伸延す
る部分と水孔等に巻回したかしめ加工部分とによって機
械的に固定されており、変形されることはない。

更に、ボアグロメット６の伸延部分の平面形体を適当に
選定することにより、該伸延部分を有することによる面
圧の急激な変化を回避することができる等、実用性の極
めて高いシリンダヘッドガスケットを安価に製造できる
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す部分平面図。第２図は第
１図Ａ−Ａ線における断面拡大図。第３図は本考案の別
の実施例を示す第２図と同様な図。 ３…シリンダ孔 ４…水孔等 ５…ガスケット本体 ６…ボアグロメット

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 黒沢 実 神奈川県横浜市神奈川区宝町２番地 日産 自動車株式会社内 (72)考案者 神宮 宣久 神奈川県横浜市神奈川区宝町２番地 日産 自動車株式会社内 (72)考案者 上野 恒明 東京都港区虎ノ門２丁目３番３号 石野ガ スケット工業株式会社内 (56)参考文献 実開 昭63−137170（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】膨張黒鉛シート、アスベストシート等の軟
   質ガスケット用シートを芯材の両面に備えたガスケット
   本体と、該ガスケット本体の一面側のシリンダ孔周縁か
   ら該シリンダ孔内周を通りガスケット本体の他面側のシ
   リンダ孔周縁へ延びるボアグロメットとから構成され、
   前記ボアグロメットの前記他面側における外周縁は、シ
   リンダ孔近傍に位置する水孔等へと孔間介在部分に部分
   的に延び、そして該水孔等の内周を少なくとも部分的に
   通ってガスケット本体の前記一面側の該水孔等の周縁へ
   延びるように形成されることを特徴とするシリンダヘッ
   ドガスケット。