JPH0738700Y2 - コンクリートポンプの配管破損防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はコンクリート打設のためにコンクリートを輸送
中にコンクリートが閉塞したときにコンクリートポンプ
の配管が破損することがないようにするために用いるコ
ンクリートポンプの配管破損防止装置に関するものであ
る。

［従来の技術］ コンクリートポンプには、ホッパ内のコンクリートを２
本のコンクリートシリンダで交互に吸入吐出させるよう
に切り換える切換弁として、すべり弁を用いる型式のも
の、揺動弁を用いる型式のもの等があり、又、２本のコ
ンクリートシリンダで交互に吸入吐出を行わせる型式の
ほかに、チューブをロータで圧搾しながら吸入吐出を行
わせるスクイズ式のものもある。更に、コンクリートポ
ンプは定置式にするものと、車両に搭載させてコンクリ
ートポンプ車としたものがあり、コンクリートポンプ車
にも、コンクリートを輸送する配管をブームに沿わせて
格納、展張できるようにしてあるブーム付コンクリート
ポンプ車のほかに、配管を継足してコンクリートを輸送
するようにする配管搭載式のものがある。

これらいずれのコンクリートポンプでも、コンクリート
輸送中にコンクリートが閉塞すると、閉塞個所より上流
側の圧力上昇に伴い配管の一部に肉厚の薄くなった個所
があると、その個所が破損する問題がある。

一例として、従来の揺動弁を用いたコンクリートポンプ
について示すと、第４図に示す如く、前面下部に２つの
吸入吐出口２を設けたホッパ１内に揺動管13を揺動自在
に収納し、且つ上記２つの吸入吐出口２には、２本のコ
ンクリートシリンダ３と４を平行に配して連通させ、該
２本のコンクリートシリンダ３と４には、洗浄室５を介
して２本の主油圧シリンダ６と７を接続し、コンクリー
トシリンダ３と４内に収納したコンクリートピストン８
と９を、主油圧シリンダ６と７内の主油圧ピストン10と
11に各々１本のピストンロッド12を介して一体的に連結
し、上記主油圧ピストン10と11を交互に前進後退させる
ことによりコンクリートピストン８と９が交互に前進後
退させられてコンクリートシリンダ３と４が交互に吸入
吐出に切り換えるようにしてあり、吐出側となったコン
クリートシリンダ内のコンクリートが揺動管13から配管
（輸送管）14を通し圧送されるようにしてある。15は先
端ホースである。

かかるコンクリートポンプにおいて、コンクリートの閉
塞が起きて配管14が破損するのを防止する手段として、
従来では、主油圧シリンダ６又は７への圧油ライン16に
圧力センサPSを設け、該圧力センサPSを操作盤17に接続
し、該操作盤17からの指令により電磁式四方弁18を切り
換えて逆転運転を行うようにしたものが採用されてい
る。

［考案が解決しようとする課題］ ところが、コンクリートの閉塞は先端ホース15の内部で
起こり易いが、上記従来の方式では、コンクリートポン
プを駆動する油圧発生部に圧力センサPSを設けて油圧力
の上昇を検知し、油圧力が或る値以上にまで上昇したと
きに逆転運転を行わせるようにしてあるため、先端ホー
ス15の内部で閉塞が起きると、圧力センサPSで油圧力の
上昇が検知されるまでの間に配管全体がポンプ最高圧力
にさらされることになる。すなわち、従来のコンクリー
トポンプの通常運転時の配管内コンクリート圧力は、第
５図に示す曲線ａのようになっているが、閉塞すると油
圧の上昇を検知する関係上、油圧上昇までの間に配管全
体において管内コンクリート圧力が曲線ｂの如くポンプ
最高圧力に達することになり、配管14の肉厚が薄くなっ
た部分があると、その部分が破損して内部のコンクリー
トが噴出するおそれがある。

そこで、本考案は、コンクリート圧送中に閉塞が起こり
易い先端ホースの内部で閉塞が起きたとき、配管内のコ
ンクリート圧力の僅かな上昇で閉塞を検知して配管の破
損事故を未然に防止できるようにしようとするものであ
る。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、上記課題を解決するために、コンクリートを
輸送する配管をホッパ内の揺動管を介して２本のコンク
リート圧送用シリンダに連通させると共に、該２本のコ
ンクリート圧送用シリンダに２本の主油圧シリンダを連
結し、且つ上記配管の先端にホースを有するコンクリー
トポンプにおける上記先端ホース近くの配管位置に、配
管内部の圧力を検知する圧力センサを設け、更に、上記
主油圧シリンダへの圧油ラインに、圧油を電磁弁の切換
操作により無負荷でアンロードさせ得る安全弁を組み込
み、且つ上記圧力センサの検出圧力が設定圧力よりも高
くなったときに上記電磁弁へ切換指令を送るようにした
操作盤を備えてなる構成とする。

又、主油圧シリンダへ供給する圧油を安全弁を通してア
ンロードさせるよう指令する操作盤に代えて、主油圧シ
リンダへの圧油ラインに組み込んである電磁式四方弁を
励磁、消磁させるようにする操作盤を用いるようにした
構成としてもよい。

［作用］ 先端ホースの内部で閉塞が起きて、先端ホースの近くで
圧力が僅かでも上昇すると、圧力センサにより閉塞が検
知され、操作盤からの指令で電磁弁が切り換えられるの
で、主油圧シリンダへ供給すべき圧油が無負荷で安全弁
を通りアンロードされることにより、主油圧シリンダの
作動が停止させられてコンクリートポンプの運転が停止
させられる。したがって、配管の破損事故が防止され
る。

又、圧力センサにより閉塞が検知されたときに、主油圧
シリンダへの油圧ラインに組み込んである電磁式四方弁
を切り換え操作させるようにすると、油油圧シリンダへ
の圧油の供給を遮断させてコンクリートポンプの運転を
停止させるか、あるいは、前進作動中の主油圧シリンダ
を後退作動させてコンクリートポンプを逆転運転させる
ことができるようになる。

［実施例］ 以下、図面に基づき本考案の実施例を説明する。

第１図は本考案の一実施例を示すもので、第４図に示し
た従来の揺動弁型式のコンクリートポンプと同様に、ホ
ッパ１の前面下部の２つの吸入吐出口２に接続した２本
のコンクリートシリンダ3,4を、主油圧シリンダ6,7によ
り交互に吸入側と吐出側に切り換えると同時に、揺動管
13を吐出側となるコンクリートシリンダ３又は４を連通
するように切り換えてコンクリートを配管14内を通し輸
送し、先端ホース15より打設させるようにしてある構成
において、コンクリートの閉塞が起こり易い先端ホース
15の近く配管14の位置に、配管14の当該部分の内部コン
クリート圧力を検知する圧力センサPSを設置し、該圧力
センサPSからの信号を入力し該圧力センサPSで検知され
る先端ホース近くの配管内コンクリート圧力値が通常の
値より少しでも高いときに制御指令を発するようにして
ある操作盤19を、たとえば、コンクリートポンプ車上に
搭載し、該操作盤19と圧力センサPSとを電気的に接続す
る。又、２本の主油圧シリンダ６と７への圧油ライン16
の途中に、電磁式四方弁20を設置し、主油圧シリンダ6,
7の各前進端側のストロークエンドに設けた近接スイッ
チSW1又はSW2のONにより操作盤19を経由して電磁式四方
弁20のソレノイドSOL1又はSOL2が励磁されて主油圧シリ
ンダ６と７が交互に前進、後退に切り換えられるように
し、又、主油圧ポンプ21の吐出側に安全弁22を設け、該
安全弁22を切り換える電磁弁23を設け、該電磁弁23のソ
レノイドSOL3を、上記操作盤19からの信号により励磁、
消磁させるようにして、励磁することにより主油圧ポン
プ21から吐出された圧油が無負荷で安全弁22を通りアン
ロードさせられるようにする。図中、第４図に示すもの
と同一部分には同一符号が付してある。

コンクリートポンプの通常運転時は、電磁弁23のソレノ
イドSOL3は、励磁されていないので、安全弁22は作動せ
ず、近接スイッチSW1又はSW2のONにより操作盤19を経由
してソレノイドSOL1又はSOL2が励磁されて圧油が主油圧
シリンダ６又は７の各ヘッド側へ供給されて主油圧ピス
トン10と11が交互に前進、後退させられている。

今、先端ホース14の内部で閉塞が起きると、閉塞により
配管14の内部コンクリート圧力が上昇して来る。圧力セ
ンサPSは、先端ホース15の手前の圧力の低い（ホースの
抵抗分の圧力しか発生しない）ところで圧力を検知でき
るため、圧力が僅かに上っただけでも圧力センサPSによ
り圧力上昇が検知されて操作盤19に圧力上昇の検知値が
入力され、電磁弁23のソレノイドSOL3が励磁されて主油
圧ポンプ21からの吐出油が無負荷で安全弁22及び電磁弁
23を通りアンロードされる。これにより主油圧シリンダ
6,7は作動せず、コンクリートの圧送が停止させられる
ので、配管14に摩耗により肉厚の薄くなった部分があっ
ても、その肉厚の薄くなった部分が破裂するようなこと
を防止することができる。

上記圧力センサPSを取り付けた先端ホース15手前の位置
の圧力（曲線ｃ）とコンクリートポンプ出口部の圧力
（曲線ｄ）とは第２図に示すような関係があり、圧力セ
ンサPS取付部分の管内圧力がセンサ設定圧力値に達する
と、操作盤19から指令が発せられることになる。

次に、第３図は本考案の他の実施例を示すもので、電磁
式四方弁20のソレノイドSOL1とSOL2に操作盤24を接続し
て、圧力センサPSで管内コンクリート圧力の上昇による
閉塞が検知されたとき、電磁式四方弁20を中立状態にし
てコンクリートポンプを停止させるようにしたものであ
り、あるいは、場合によって、第３図の状態において、
電磁式四方弁20のソレノイドSOL1を消磁、ソレノイドSO
L2を励磁して、前進中の主油圧ピストン11を後退させる
ことによってコンクリートポンプを逆転運転できるよう
にしたものである。

この実施例によってもコンクリート閉塞による管内コン
クリート圧力の上昇により配管14が破損することを未然
に防止することができる。

なお、上記実施例では、揺動弁型式のコンクリートポン
プの場合であって、配管14を継ぎ足してコンクリートを
輸送するようにした場合を示したが、ブーム付きのコン
クリートポンプ車の場合は、ブーム先端部の配管に圧力
センサを取り付け、該圧力センサからの信号線をブーム
に沿わせて操作盤まで導くようにすればよいこと、又、
上記の実施例ではピストン式ポンプの場合を示したが、
スクイズ式ポンプの場合でも同様に適用できることは勿
論である。

［考案の効果］ 上記述べた如く、本考案のコンクリートポンプの配管破
損防止装置によれば、コンクリートが閉塞し易い先端の
ホースの近くの配管位置に、当該位置の管内コンクリー
ト圧力を検知する圧力センサを取り付け、該圧力センサ
を操作盤に接続して、コンクリートが先端ホース内部で
閉塞した場合の圧力上昇を圧力センサで検知したとき
に、電磁弁を切り換えて圧油を無負荷で安全弁を通しア
ンロードさせることができるようにしてあるので、コン
クリートを輸送する配管の長さ、コンクリートの種類に
よらず閉塞位置の近くの圧力上昇を検知することによっ
て閉塞を検知でき、コンクリートポンプの運転を停止さ
せることができ、又、圧力センサで圧力上昇を検知した
ときに、圧油ラインに組み込んである電磁式四方弁を操
作盤からの指令で切り換え操作できるようにすることに
より、コンクリートポンプの運転を停止させたり、ある
いは、前進作動中の主油圧シリンダを後退作動させるこ
とによってコンクリートポンプを逆転運転させることが
でき、したがって、配管に肉厚の薄いところがあっても
配管の破損を防止することができる、という優れた効果
を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す概略平面図、第２図は
コンクリート閉塞時の配管内圧力の変動を示す図、第３
図は本考案の他の実施例を示す概略平面図、第４図は従
来の例を示す概略平面図、第５図は従来方式による場合
の閉塞時の配管内圧力の変動を示す図である。 １…ホッパ、3,4…コンクリートシリンダ、6,7…主油圧
シリンダ、13…揺動管、14…配管、15…先端ホース、19
…操作盤、20…電磁式四方弁、22…安全弁、23…電磁
弁、24…操作盤。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】コンクリートを輸送する配管をホッパ内の
   揺動管を介して２本のコンクリート圧送用シリンダに連
   通させると共に、該２本のコンクリート圧送用シリンダ
   に２本の主油圧シリンダを連結し、且つ上記配管の先端
   にホースを有するコンクリートポンプにおける上記先端
   ホース近くの配管位置に、配管内部の圧力を検知する圧
   力センサを設け、更に、上記主油圧シリンダへの圧油ラ
   インに、圧油を電磁弁の切換操作により無負荷でアンロ
   ードさせ得る安全弁を組み込み、且つ上記圧力センサの
   検出圧力が設定圧力よりも高くなったときに上記電磁弁
   へ切換指令を送るようにした操作盤を備えてなることを
   特徴とするコンクリートポンプの配管破損防止装置。
2. 【請求項２】主油圧シリンダへ供給する圧油を安全弁を
   通してアンロードさせるよう指令する操作盤に代えて、
   主油圧シリンダへの圧油ラインに組み込んである電磁式
   四方弁を励磁、消磁させるようにする操作盤を用いた請
   求項１記載のコンクリートポンプの配管破損防止装置。