JPH0737924Y2 - 鞍乗型車両のリヤアクスル連結装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） この考案は、各独立に懸架した左右の後輪をチェーンド
ライブによって一体的に駆動するようにした鞍乗型車両
のリヤアクスル連結装置に関する。

（従来の技術） 第５図、第６図はチェーンドライブにより独立懸架の後
輪を一体的に駆動するようにした鞍乗型車両の構成を例
示したものである。

左右一対の前輪１と左右一対の後輪２で支持され、前輪
１を棒ハンドル３で操舵し、搭載したエンジン４により
後輪２を駆動して走行するようになっている。ライダは
鞍乗型シート５に跨って棒ハンドル３、エンジン４その
他をコントロールする。

後部フレーム6aは横巾を狭く設定され、その両側に枢支
したダブルウィッシュボーン型スイングアーム７の外端
に後輪２を軸支する。また、後部フレーム6aにリヤアク
スルハウジング８を取着け、中央リヤアクスル９を軸支
する。中央リヤアクスル９の両端と両後輪２との間は、
インナユニバーサルジョイント10a、アウタユニバーサ
ルジョイント10bを介して揺動リヤアクスル11によって
連結される。中央リヤアクスル９の一端にはドリブンス
プロケットギア12bが固定され、他端にはディスクブレ
ーキのブレーキディスク13が固定される。ドリブンスプ
ロケットギア12bは、フレーム６中央部のエンジン４出
力軸に固定したドライブスプロケットギア12aからチェ
ーン14を介して駆動される。

この場合、両後輪２間の間隔（リヤトラック）を必要最
小限に抑え、逆にスイングアーム７をできるだけ長くし
て緩衝性能を高めたいので、中央リヤアクスル９は可及
的に短く設定することを要求される。しかし、中央リヤ
アクスル９は、上記のようにドリブンスプロケットギア
12bあるいはブレーキディスク13が固定され、加えてイ
ンナユニバーサルジョイント10aを介して揺動リヤアク
スル11を充分な強度を与えて接続するためには、構造が
複雑化し、スペースが極めて窮屈になる。したがって、
止むなく中央リヤアクスル９が長大化して、上記要求に
反するばかりでなく、メンテナンスのための分解、組付
けの作業がしにくいという問題が存在するものであっ
た。

（考案が解決しようとする問題点） 上記のように、独立懸架の後輪をチェーンドライブによ
って一体的に駆動するようにした鞍乗型車両では、チェ
ーンによって駆動される中央リヤアクスル周りの構造が
複雑、長大化して、リヤトラックの長大化あるいはスイ
ングアームが短くなって緩衝性能に影響を与えるという
問題があり、この考案ではこの点を改善し、充分に短い
中央リヤアクスルの両側に脱着しやすく、また大きなト
ルクを伝達するのに支障がないように、左右のインナユ
ニバーサルジョイントを結続できるようにした鞍乗型車
両のリヤアクスル連結装置を提供することを目的とす
る。

〔考案の構成〕

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するため、この考案の鞍乗型車両のリヤ
アクスル連結装置では、左右の後輪を各独立に懸架した
後部フレームにチェーンによって駆動される中央リヤア
クスルを軸支して備え、その中央リヤアクスルの両端に
インナユニバーサルジョイントを介して揺動リヤアクス
ルの内端を連結すると共に揺動リヤアクスルの外端にア
ウタユニバーサルジョイントを介して両後輪の支軸を連
結した鞍乗型車両において、中央リヤアクスルを筒状に
し、この中央アクスルの内孔にその中央部を境にして左
右のめすスプラインを、その対向する両内端縁の間隔が
上記内孔の径より小さくなるように並設すると共に、上
記両内端縁を求心方向に向って外側方へ傾斜する傾斜面
に形成して備える一方、前記インナユニバーサルジョイ
ントの入力軸端部におすスプラインを形成すると共に、
上記入力軸の先端部に設けた周溝にサークリップを嵌着
して備え、このおすスプラインを上記めすスプラインに
嵌合させ、上記サークリップ外周部を上記めすスプライ
ン内端縁の傾斜面に係止させた構成にする。

（作用） 以上のように構成することによって、中央リヤアクスル
内孔にインナユニバーサルジョイント入力軸を挿込むだ
けの作業で両者を連結することができる。軸方向の抜け
止めはサークリップを用いたので、両入力軸の内端を殆
ど隙間なく近付けることができ、その分中央リヤアクス
ルの短縮化と共にリヤトラベルの長際化を図ることがで
きる。スプライン嵌合のため大きなトルク伝達が可能で
あり、またサークリップ係合面を傾斜面にしたので、強
く力を加えれば自動的にサークリップを縮めて引き抜く
ことができ、メンテナンスのときの作業性がよい。

（実施例） 以下、この考案の実施例を示す図に就いて説明する。

第１図、第２図、第３図において、上記リヤアクスルハ
ウジング８は、両側が開放した軸受孔15を有し、後部フ
レーム6aに固定して備えられる。中央リヤアクスル９
は、第４図に示すように筒状で、一端部外表に取着フラ
ンジ16、他端外表にセレーション17とその外端に凹溝18
が成形されている。

上記のように構成した中央リヤアクスル９を、反対側
（セレーション17側）を先にして、チェーンライン側の
軸受孔15内に挿通し、ボールベアリング19a,19bによっ
て回転自在に軸支する。このとき取着フランジ16内側の
段部20とボールベアリング19aインナレース外端が接し
て位置決めされ、軸受孔15の反対側にセレーション17が
突出する。このセレーション17には、ブレーキディスク
13ボス部21を回転一体に軸支し、ボス部21の内端をボー
ルベアリング19bインナレース外端に当接する。こうし
て、凹溝18にサークリップ22を嵌着し、組付けが完了す
る。

なお、23はボールベアリング19a,19b間に介装したスペ
ーサ、24はボールベアリング19a,19bの外側に添えたオ
イルシールを示す。取着フランジ16には締着ボルト25に
よってドリブンスプロケットギア12bを固定し、ボス部2
1フランジには締着ボルト26によってブレーキディスク1
3を固定する。27はリヤアクスルハウジング８に固定し
たキャリパを示し、上記ブレーキディスク13と組合わさ
れてディスクブレーキ装置を構成する。

上記中央リヤアクスル９の内孔28には、第４図にも示す
ように中央部を境にして左右のめすスプライン29が内面
に突出するように刻設されている。その対向する両内端
縁30,30の間隔Ｌは、中央リヤアクスル９の内孔28の径
Ｄより小さくなるように設定される。また、両内端縁3
0,30は求心方向へ向って外側方へ傾斜する傾斜面に形成
される。一方、インナユニバーサルジョイント（ダブル
オフセット等速ボールジョイント）10aの入力軸31には
おすスプライン32が刻設され、その先端に設けた周溝33
にサークリップ34が嵌着して備えられる。常態でのサー
クリップ34の内径は周溝33底面との間に隙間があくよう
に設定される。この入力軸31を前記内孔28内に挿し込ん
でスプライン嵌合させるが、このときサークリップ34の
外径がめすスプライン29によって縮小し、これを越える
と拡大して内端縁30に係合し、抜けなくなる。しかし、
内端縁30は傾斜しているので、強く引くことによって抜
き出すことができる。

一方、後部フレーム6aには、ダブルウィッシュボーン型
スイングアーム７の４つの内端が球面軸受35を介して枢
支され、その外端に同じく球面軸受36を介して後輪軸受
ハウジング37が支持アーム38を介して枢支される。こう
して、軸受ハウジング37はその姿勢を保ったまま上下に
揺動する。後輪２はその軸受ハウジング37に軸支され、
その支軸39はセレーション40によりアウタユニバーサル
ジョイント10bの出力軸と結合する。前記インナユニバ
ーサルジョイント10aとこのアウタユニバーサルジョイ
ント10bとの間に揺動リヤアクスル11を接続する。

以上のように構成され、チェーン14の駆動によって中央
リヤアクスル９が回転し、インナユニバーサルジョイン
ト10a、揺動リヤアクスル11、アウタユニバーサルジョ
イント10bを経て左右の後輪２を一体的に駆動する。後
輪２は各独立に緩衝されるが、上記トルク伝導は変らな
い。

上記構成において、中央リヤアクスル９と両側のインナ
ユニバーサルジョイント10aの入力軸31とはスプライン
嵌合し、サークリップ34を抜け止めに用いたので、両入
力軸31内端を充分に近付けて配置でき、中央リヤアクス
ル９を短く設定できる。同時にスプライン嵌合によって
大きなトルクを伝達でき、また強く引張れば難なく抜く
ことができ、組付けのときは挿込むだけでよいのと合わ
せて、脱着の作業性がよく、メンテナンスしやすい。

〔考案の効果〕

上記の通り、この考案に係る鞍乗型車両のリヤアクスル
連結装置は、中央リヤアクスルの内孔に左右のインナユ
ニバーサルジョイント入力軸とを両側からスプライン嵌
合し、入力軸内端に嵌着したサークリップをめすスプラ
イン内端の傾斜面に係止させて抜け止めとしたもので、
脱着の作業性がよく、高トルクの伝達が可能であり、中
央リヤアクスルの短縮化に伴い、スイングアームの緩衝
性能を高めることができ、ダブルウィッシュボーン型ス
イングアームで独立懸架した後輪をチェーンドライブさ
せる鞍乗型車両の機能向上に大いに役立つ効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す鞍乗型車両リヤアクス
ル軸支部の縦断後面図、第２図は同平面図、第３図は同
要部の拡大した縦断後面図、第４図は中央リヤアクスル
の縦断後面図、第５図は後輪独立懸架、チェーンドライ
ブの鞍乗型車両の構成を示す側面図、第６図は同上平面
図である。 １…前輪、２…後輪、４…エンジン、6a…後部フレー
ム、８…リヤアクスルハウジング、９…中央リヤアクス
ル、10a…インナユニバーサルジョイント、11…揺動リ
ヤアクスル、12b…ドリブンスプロケットギア、14…チ
ェーン、28…中央リヤアクスル内孔、29…めすスプライ
ン、31…インナユニバーサルジョイント入力軸、32…お
すスプライン、33…周溝、34…サークリップ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】左右の後輪を各独立に懸架した後部フレー
   ムにチェーンによって駆動される中央リヤアクスルを軸
   支して備え、その中央リヤアクスルの両端にインナユニ
   バーサルジョイントを介して揺動リヤアクスルの内端を
   連結すると共に揺動リヤアクスルの外端にアウタユニバ
   ーサルジョイントを介して両後輪の支軸を連結した鞍乗
   型車両において、中央リヤアクスルを筒状にし、この中
   央アクスルの内孔にその中央部を境にして左右のめすス
   プラインを、その対向する両内端縁の間隔が上記内孔の
   径より小さくなるように並設すると共に、上記両内端縁
   を求心方向に向って外側方へ傾斜する傾斜面に形成して
   備える一方、前記インナユニバーサルジョイントの入力
   軸端部におすスプラインを形成すると共に、上記入力軸
   の先端部に設けた周溝にサークリップを嵌着して備え、
   このおすスプラインを上記めすスプラインに嵌合させ、
   上記サークリップ外周部を上記めすスプライン内端縁の
   傾斜面に係止させたことを特徴とする鞍乗型車両のリヤ
   アクスル連結装置。