JPH0737663B2 - アルミナ皮膜付Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金の製造方法 - Google Patents
アルミナ皮膜付Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金の製造方法Info
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- JPH0737663B2 JPH0737663B2 JP41430690A JP41430690A JPH0737663B2 JP H0737663 B2 JPH0737663 B2 JP H0737663B2 JP 41430690 A JP41430690 A JP 41430690A JP 41430690 A JP41430690 A JP 41430690A JP H0737663 B2 JPH0737663 B2 JP H0737663B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電気カミソリの内刃
や外刃やバリカン等の刃物あるいは電動工具のチャック
やギア等の機構部品など高硬度、高耐摩耗性が要求され
る用途に好適なアルミナ皮膜付Fe−Cr−Ni−Al
系フェライト合金の製造方法に関する。
や外刃やバリカン等の刃物あるいは電動工具のチャック
やギア等の機構部品など高硬度、高耐摩耗性が要求され
る用途に好適なアルミナ皮膜付Fe−Cr−Ni−Al
系フェライト合金の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高温酸化により合金表面に均一なAl2
O3 皮膜(アルミナ皮膜)を生じる合金としては、Fe
−Cr−Al系フェライト合金が、アルミナ皮膜の剥離
が起こり易いFe−Ni−Cr−Al系オーステナイト
合金よりも優れている。Fe−Cr−Al系フェライト
合金については、特開昭54-141314 号公報、特開昭56-1
21641 号公報、特開昭58-177437 号公報、特開昭59-536
57号公報、特開昭59-93853号公報で酸化膜の耐剥離性等
の改善が提案されており、また、特開昭57-57859号公
報、特開昭64-47837号公報で加工性の改善が提案されて
いる。
O3 皮膜(アルミナ皮膜)を生じる合金としては、Fe
−Cr−Al系フェライト合金が、アルミナ皮膜の剥離
が起こり易いFe−Ni−Cr−Al系オーステナイト
合金よりも優れている。Fe−Cr−Al系フェライト
合金については、特開昭54-141314 号公報、特開昭56-1
21641 号公報、特開昭58-177437 号公報、特開昭59-536
57号公報、特開昭59-93853号公報で酸化膜の耐剥離性等
の改善が提案されており、また、特開昭57-57859号公
報、特開昭64-47837号公報で加工性の改善が提案されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来のFe−Cr−Al系フェライト合金は、強度およ
び硬度が低く、特に、厚み数μm以上のアルミナ皮膜を
生じさせるために1000℃程度の高温加熱処理をする
と、合金基地の結晶粒が粗大化し、得られたアルミナ皮
膜付Fe−Cr−Al系フェライト合金の硬度が非常に
低いという問題があった。
従来のFe−Cr−Al系フェライト合金は、強度およ
び硬度が低く、特に、厚み数μm以上のアルミナ皮膜を
生じさせるために1000℃程度の高温加熱処理をする
と、合金基地の結晶粒が粗大化し、得られたアルミナ皮
膜付Fe−Cr−Al系フェライト合金の硬度が非常に
低いという問題があった。
【0004】この発明は、緻密かつ密着性に優れた均一
なアルミナ皮膜が硬度の十分な母材表面に形成されてな
るFe−Cr−Ni−Al系フェライト合金を製造する
ことのできる方法を提供することを課題とする。
なアルミナ皮膜が硬度の十分な母材表面に形成されてな
るFe−Cr−Ni−Al系フェライト合金を製造する
ことのできる方法を提供することを課題とする。
【0005】
【問題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、請求項1記載のアルミナ皮膜付Fe−Cr−Ni−
Al系フェライト合金の製造方法は、所定の形状に成形
されたFe−Cr−Ni−Al系フェライト合金を、酸
化雰囲気中、700℃以上1200℃未満の温度で加熱
することにより前記合金の表面に酸化アルミニウムを析
出させて酸化アルミニウム(アルミナ)皮膜を形成した
後、1200℃以上に加熱し、1℃/秒以上の速度で冷
却するようにしており、請求項2記載のアルミナ皮膜付
Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金の製造方法
は、所定の形状に成形されたFe−Cr−Ni−Al系
フェライト合金を、酸化雰囲気中、1200℃以上の温
度まで加熱し前記合金の表面に酸化アルミニウムを析出
させて酸化アルミニウム皮膜を形成した後、1℃/秒以
上の速度で冷却するようにしている。
め、請求項1記載のアルミナ皮膜付Fe−Cr−Ni−
Al系フェライト合金の製造方法は、所定の形状に成形
されたFe−Cr−Ni−Al系フェライト合金を、酸
化雰囲気中、700℃以上1200℃未満の温度で加熱
することにより前記合金の表面に酸化アルミニウムを析
出させて酸化アルミニウム(アルミナ)皮膜を形成した
後、1200℃以上に加熱し、1℃/秒以上の速度で冷
却するようにしており、請求項2記載のアルミナ皮膜付
Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金の製造方法
は、所定の形状に成形されたFe−Cr−Ni−Al系
フェライト合金を、酸化雰囲気中、1200℃以上の温
度まで加熱し前記合金の表面に酸化アルミニウムを析出
させて酸化アルミニウム皮膜を形成した後、1℃/秒以
上の速度で冷却するようにしている。
【0006】これら、請求項1、2記載の発明における
Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金の組成は、請
求項3のように、Cr:25〜35重量%、Ni:15
〜25重量%、Al:4〜8重量%、Ti:0〜0.5
重量%、Zr、Y、Hf、Ce、La、NdおよびGd
のうちのいずれか1種または2種以上:0.05〜1.
0重量%、残部が実質的にFeからなるものが適当であ
る。
Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金の組成は、請
求項3のように、Cr:25〜35重量%、Ni:15
〜25重量%、Al:4〜8重量%、Ti:0〜0.5
重量%、Zr、Y、Hf、Ce、La、NdおよびGd
のうちのいずれか1種または2種以上:0.05〜1.
0重量%、残部が実質的にFeからなるものが適当であ
る。
【0007】この発明で得られるアルミナ皮膜付Fe−
Cr−Ni−Al系フェライト合金(以下、適宜に「フ
ェライト合金」と言う)は、フェライト相の生地に、高
強靱化に大きな役割を果たすといわれているNiAl系
金属間化合物が均一に分散析出した状態となっている。
このため、従来のFe−Cr−Al系フェライト合金に
比べて強度および硬度が飛躍的に向上している。また、
合金基地中に均一に分散析出したNiAlの存在によ
り、アルミナ皮膜形成のための熱処理を行った場合、結
晶粒の粗大化が抑制される利点がある。唯、実用性のあ
る十分な厚みのアルミナ皮膜を形成するためには長時間
高温で酸化処理する必要があり、この場合、そのままで
は、フェライト相生成元素であるAlがAl2 O3 とな
るにつれて、NiAlの減少並びにオーステナイト相生
成元素であるNi元素の余剰で生じるオーステナイト相
の新たな出現あるいは粗大化が生じ、母材硬度の低下が
起こる。しかし、この発明のように、1℃/秒以上の急
速度で冷却することで硬度低下が阻止できるのである。
Cr−Ni−Al系フェライト合金(以下、適宜に「フ
ェライト合金」と言う)は、フェライト相の生地に、高
強靱化に大きな役割を果たすといわれているNiAl系
金属間化合物が均一に分散析出した状態となっている。
このため、従来のFe−Cr−Al系フェライト合金に
比べて強度および硬度が飛躍的に向上している。また、
合金基地中に均一に分散析出したNiAlの存在によ
り、アルミナ皮膜形成のための熱処理を行った場合、結
晶粒の粗大化が抑制される利点がある。唯、実用性のあ
る十分な厚みのアルミナ皮膜を形成するためには長時間
高温で酸化処理する必要があり、この場合、そのままで
は、フェライト相生成元素であるAlがAl2 O3 とな
るにつれて、NiAlの減少並びにオーステナイト相生
成元素であるNi元素の余剰で生じるオーステナイト相
の新たな出現あるいは粗大化が生じ、母材硬度の低下が
起こる。しかし、この発明のように、1℃/秒以上の急
速度で冷却することで硬度低下が阻止できるのである。
【0008】請求項1記載の発明の場合、アルミナ(酸
化アルミニウム)皮膜を形成するための酸化性雰囲気で
の熱処理は、700℃以上1200℃未満である。70
0℃未満だと全面に均一なアルミナ皮膜が形成されず、
また、母材が脆化する恐れがあるので、下限を700℃
とした。一方、1200℃以上だとアルミナ皮膜の形成
速度が早いため、長時間加熱した場合、NiAlの構成
元素であり、かつ、合金基地のフェライト相生成元素で
あるAl元素がAl2 O3 となるにつれてNiAl量の
減少並びにオーステナイト相生成元素であるNi元素の
余剰によるオーステナイト相の新たな出現あるいは粗大
化が加速されることにより、母材硬度の大幅な低下を招
くので、1200℃未満とした。好ましくは、1150
℃以下である。また、加熱温度が900℃以下と低い場
合は、加熱時間は0.5時間以上が好ましい。0.5時
間より短いと全面に均一なアルミナ皮膜が形成されない
ことがある。アルミナ皮膜の厚さは、特に限定されな
い。
化アルミニウム)皮膜を形成するための酸化性雰囲気で
の熱処理は、700℃以上1200℃未満である。70
0℃未満だと全面に均一なアルミナ皮膜が形成されず、
また、母材が脆化する恐れがあるので、下限を700℃
とした。一方、1200℃以上だとアルミナ皮膜の形成
速度が早いため、長時間加熱した場合、NiAlの構成
元素であり、かつ、合金基地のフェライト相生成元素で
あるAl元素がAl2 O3 となるにつれてNiAl量の
減少並びにオーステナイト相生成元素であるNi元素の
余剰によるオーステナイト相の新たな出現あるいは粗大
化が加速されることにより、母材硬度の大幅な低下を招
くので、1200℃未満とした。好ましくは、1150
℃以下である。また、加熱温度が900℃以下と低い場
合は、加熱時間は0.5時間以上が好ましい。0.5時
間より短いと全面に均一なアルミナ皮膜が形成されない
ことがある。アルミナ皮膜の厚さは、特に限定されな
い。
【0009】アルミナ皮膜形成後、合金基地中に分散析
出しているNiAlを合金基地に固溶させ微細化させる
1200℃以上の温度の熱処理を行う。温度が1200
℃未満だと固溶・微細化が生じにくいので、1200℃
を下限とした。また、1350℃を超えて加熱すると、
母材が脆化し易くなるので、加熱温度は1350℃以下
が好ましい。
出しているNiAlを合金基地に固溶させ微細化させる
1200℃以上の温度の熱処理を行う。温度が1200
℃未満だと固溶・微細化が生じにくいので、1200℃
を下限とした。また、1350℃を超えて加熱すると、
母材が脆化し易くなるので、加熱温度は1350℃以下
が好ましい。
【0010】1200℃以上での保持時間は、合金基地
中に分散析出しているNiAlを合金基地に固溶させ微
細化させるに十分な時間であれば特に限定されないが、
加熱温度が1200℃以上では急速にNiAl粒が固溶
・微細化するため保持する必要は特に無い。また、いた
ずらに長時間の加熱はコスト的に不利であるばかりでな
く、前述のとおりAl元素がAl2 O3 となることによ
り、NiAl量の減少、オーステナイト相の新たな出現
あるいは粗大化による母材硬度の軟化を招くので、1時
間以内とするのが好ましい。
中に分散析出しているNiAlを合金基地に固溶させ微
細化させるに十分な時間であれば特に限定されないが、
加熱温度が1200℃以上では急速にNiAl粒が固溶
・微細化するため保持する必要は特に無い。また、いた
ずらに長時間の加熱はコスト的に不利であるばかりでな
く、前述のとおりAl元素がAl2 O3 となることによ
り、NiAl量の減少、オーステナイト相の新たな出現
あるいは粗大化による母材硬度の軟化を招くので、1時
間以内とするのが好ましい。
【0011】冷却速度が、1℃/秒未満だと加熱温度で
合金基地に固溶し微細化したNiAlが粒成長を起こ
し、そのため、母材硬度の向上が図れないので、1℃/
秒を冷却速度の下限とした。なお、冷却方法としては、
空冷、水冷等が挙げられるが、これに限らない。この発
明においては、合金表面に形成されたアルミナ皮膜は緻
密で合金との間の密着性が良好であるため、1200℃
以上の高温度から急速水冷を行っても、アルミナ皮膜の
剥離は生じない。
合金基地に固溶し微細化したNiAlが粒成長を起こ
し、そのため、母材硬度の向上が図れないので、1℃/
秒を冷却速度の下限とした。なお、冷却方法としては、
空冷、水冷等が挙げられるが、これに限らない。この発
明においては、合金表面に形成されたアルミナ皮膜は緻
密で合金との間の密着性が良好であるため、1200℃
以上の高温度から急速水冷を行っても、アルミナ皮膜の
剥離は生じない。
【0012】請求項2の発明においても、表面に緻密で
かつ合金との密着性に優れたAl2 O3 を主成分とする
酸化物皮膜を備える。従来の耐高温酸化合金であるFe
−Cr−Al系合金は、フェライト系固有の強度、硬度
が小さいという弱点をもっており、また、表面に均一な
アルミナ皮膜を形成させるために高温加熱処理を施した
場合、一般の合金と同様に結晶粒の粗大化が認められ硬
度が低下するのに対し、この発明のフェライト合金で
は、酸化雰囲気中、1200℃以上に加熱し、加熱直後
あるいは所定時間保持の後、1℃/秒以上の速度で冷却
することによって、合金中に均一に分散析出したNiA
lを微細にかつ均一に分散させることにより加熱前に比
べて硬度の大幅な向上を図ることができる。酸化雰囲気
中、1200℃以上の温度に達する熱処理で同時に表面
に緻密かつ合金との密着性に優れたAl2 O3 を主成分
とする酸化皮膜を形成することができる。
かつ合金との密着性に優れたAl2 O3 を主成分とする
酸化物皮膜を備える。従来の耐高温酸化合金であるFe
−Cr−Al系合金は、フェライト系固有の強度、硬度
が小さいという弱点をもっており、また、表面に均一な
アルミナ皮膜を形成させるために高温加熱処理を施した
場合、一般の合金と同様に結晶粒の粗大化が認められ硬
度が低下するのに対し、この発明のフェライト合金で
は、酸化雰囲気中、1200℃以上に加熱し、加熱直後
あるいは所定時間保持の後、1℃/秒以上の速度で冷却
することによって、合金中に均一に分散析出したNiA
lを微細にかつ均一に分散させることにより加熱前に比
べて硬度の大幅な向上を図ることができる。酸化雰囲気
中、1200℃以上の温度に達する熱処理で同時に表面
に緻密かつ合金との密着性に優れたAl2 O3 を主成分
とする酸化皮膜を形成することができる。
【0013】請求項2記載の発明において、加熱温度が
1200℃未満だと、合金基地中に分散析出しているN
iAlの合金基地への固溶による微細化が起こり難く、
1℃/秒以上の速度で冷却しても硬度の大幅な向上を図
ることは難しいので、1200℃を下限とした。また、
1350℃を超えて加熱すると母材が脆化し易くなるの
で、加熱温度は1350℃以下が好ましい。
1200℃未満だと、合金基地中に分散析出しているN
iAlの合金基地への固溶による微細化が起こり難く、
1℃/秒以上の速度で冷却しても硬度の大幅な向上を図
ることは難しいので、1200℃を下限とした。また、
1350℃を超えて加熱すると母材が脆化し易くなるの
で、加熱温度は1350℃以下が好ましい。
【0014】1200℃以上での保持時間は、合金基地
中に分散析出しているNiAlを合金基地中に固溶させ
微細化させるに十分な時間であれば特に限定されるもの
ではないが、加熱温度が1200℃以上で保持する必要
はなく、加熱後すぐ1℃/秒以上の速さで冷却すれば十
分に硬化する。即ち、合金基地内に固溶し一度微細化す
れば、その後の加熱保持は硬化には不要であり、短時間
で硬化できる利点がある。
中に分散析出しているNiAlを合金基地中に固溶させ
微細化させるに十分な時間であれば特に限定されるもの
ではないが、加熱温度が1200℃以上で保持する必要
はなく、加熱後すぐ1℃/秒以上の速さで冷却すれば十
分に硬化する。即ち、合金基地内に固溶し一度微細化す
れば、その後の加熱保持は硬化には不要であり、短時間
で硬化できる利点がある。
【0015】請求項2記載の発明においても、冷却速度
が、1℃/秒未満では加熱温度で合金基地に固溶し微細
化したNiAlが粒成長を起こし、その為、母材硬度の
向上が図れないので、1℃/秒を冷却速度の下限とし
た。なお、冷却方法としては、空冷、水冷等があるが、
特に限定されない。得られるフェライト合金表面のアル
ミナ皮膜厚みは、加熱温度が高く加熱時間が長いほど厚
くなる。請求項2記載の発明では、1200℃以上の加
熱温度で保持しなくても全面に均一なアルミナ皮膜が形
成される。また、1350℃を超えて加熱すると母材が
脆化し易くなるので、加熱温度は1350℃以下が好ま
しい。アルミナ皮膜厚みを増加させたい場合、加熱時間
を長くすればよい。長いほどアルミナ皮膜厚さに有効で
あるので特に限界はない。しかし、いたずらに長時間加
熱することはコスト的に不利であるばかりでなく、Ni
Alの成分であり、フェライト安定化元素でもあるAl
元素がAl2 O3 となるにつれて、微細NiAl量の減
少ならびにオーステナイト相の新たな出現あるいは粗大
化により、1℃/秒以上の急冷によっても母材が硬化せ
ず軟化現象を招くので、5時間以内とするのが好まし
い。アルミナ皮膜の厚みは、特に限定されない。
が、1℃/秒未満では加熱温度で合金基地に固溶し微細
化したNiAlが粒成長を起こし、その為、母材硬度の
向上が図れないので、1℃/秒を冷却速度の下限とし
た。なお、冷却方法としては、空冷、水冷等があるが、
特に限定されない。得られるフェライト合金表面のアル
ミナ皮膜厚みは、加熱温度が高く加熱時間が長いほど厚
くなる。請求項2記載の発明では、1200℃以上の加
熱温度で保持しなくても全面に均一なアルミナ皮膜が形
成される。また、1350℃を超えて加熱すると母材が
脆化し易くなるので、加熱温度は1350℃以下が好ま
しい。アルミナ皮膜厚みを増加させたい場合、加熱時間
を長くすればよい。長いほどアルミナ皮膜厚さに有効で
あるので特に限界はない。しかし、いたずらに長時間加
熱することはコスト的に不利であるばかりでなく、Ni
Alの成分であり、フェライト安定化元素でもあるAl
元素がAl2 O3 となるにつれて、微細NiAl量の減
少ならびにオーステナイト相の新たな出現あるいは粗大
化により、1℃/秒以上の急冷によっても母材が硬化せ
ず軟化現象を招くので、5時間以内とするのが好まし
い。アルミナ皮膜の厚みは、特に限定されない。
【0016】また、この発明において、フェライト合金
に形成されるアルミナ皮膜は緻密でかつ合金との密着性
に優れている為、1℃/秒以上の急速な冷却、例えば、
加熱温度から水冷を行っても、アルミナ皮膜の剥離は起
こらない。請求項3の組成における各元素含有量の限定
理由を説明する。この発明の合金は、フェライト生成元
素であるCrおよびAlと、オーステナイト生成元素で
あるNiとを多量に含有したFe基合金であり、合金が
主としてフェライト相で構成されるように各元素の量を
選ばねばならない。この発明の合金を主としてフェライ
ト相にする理由は次のとおりである。フェライト相の合
金は、酸化加熱処理により、表面に緻密で下地との密着
性の良い厚いAl2 O3 の膜が均一に生じず、剥離する
からである。合金をフェライト相にする場合、Ni量を
増加させると、(Cr+Al)量も増加させる必要があ
る。なお、わずかのオーステナイト相が混合してもこの
発明のフェライト合金の性質を損なうことはない。
に形成されるアルミナ皮膜は緻密でかつ合金との密着性
に優れている為、1℃/秒以上の急速な冷却、例えば、
加熱温度から水冷を行っても、アルミナ皮膜の剥離は起
こらない。請求項3の組成における各元素含有量の限定
理由を説明する。この発明の合金は、フェライト生成元
素であるCrおよびAlと、オーステナイト生成元素で
あるNiとを多量に含有したFe基合金であり、合金が
主としてフェライト相で構成されるように各元素の量を
選ばねばならない。この発明の合金を主としてフェライ
ト相にする理由は次のとおりである。フェライト相の合
金は、酸化加熱処理により、表面に緻密で下地との密着
性の良い厚いAl2 O3 の膜が均一に生じず、剥離する
からである。合金をフェライト相にする場合、Ni量を
増加させると、(Cr+Al)量も増加させる必要があ
る。なお、わずかのオーステナイト相が混合してもこの
発明のフェライト合金の性質を損なうことはない。
【0017】この発明の合金では、Crは、全体の25
〜35重量%を占める。Fe−Cr−Al系合金におい
て、緻密で表面に均一なアルミナ皮膜を形成させるため
に必要であるが、この発明の合金では多量のNiを含有
していて、合金をフェライト相にするためには、Niが
下限値でAlが上限値の場合でも24重量%以上のCr
が必要である。それで、Crの下限は25重量%であ
る。また、合金中のCr含有量が増加するにつれて脆化
の傾向が強くなるので、Crの上限は35重量%であ
る。
〜35重量%を占める。Fe−Cr−Al系合金におい
て、緻密で表面に均一なアルミナ皮膜を形成させるため
に必要であるが、この発明の合金では多量のNiを含有
していて、合金をフェライト相にするためには、Niが
下限値でAlが上限値の場合でも24重量%以上のCr
が必要である。それで、Crの下限は25重量%であ
る。また、合金中のCr含有量が増加するにつれて脆化
の傾向が強くなるので、Crの上限は35重量%であ
る。
【0018】この発明の合金では、Niは、全体の15
〜25重量%を占める。この発明では、微細なNiAl
を合金中に析出させることにより、機械的性質の向上を
はかっているが、Alとの共存下でNiAlを析出させ
るためにNiは不可欠の元素である。機械的性質の向上
に十分効果的であるだけのNiAlを析出させるために
は、15重量%程度以上のNiを必要とするので、Ni
の下限は15重量%である。Ni量が増加すれば、Ni
Alの析出や機械的性質の向上に好都合であるが、この
発明の合金はフェライト相で構成されねばならないの
で、オーステナイト生成元素であるNiの含有量を増加
すればそれに伴ってCrおよびAlの含有量を増加させ
る必要がある。しかし、Ni量が25重量%を越える
と、Cr量を増加させねばならず、そうすると脆化しや
すくなるので、Niの上限値は25重量%である。
〜25重量%を占める。この発明では、微細なNiAl
を合金中に析出させることにより、機械的性質の向上を
はかっているが、Alとの共存下でNiAlを析出させ
るためにNiは不可欠の元素である。機械的性質の向上
に十分効果的であるだけのNiAlを析出させるために
は、15重量%程度以上のNiを必要とするので、Ni
の下限は15重量%である。Ni量が増加すれば、Ni
Alの析出や機械的性質の向上に好都合であるが、この
発明の合金はフェライト相で構成されねばならないの
で、オーステナイト生成元素であるNiの含有量を増加
すればそれに伴ってCrおよびAlの含有量を増加させ
る必要がある。しかし、Ni量が25重量%を越える
と、Cr量を増加させねばならず、そうすると脆化しや
すくなるので、Niの上限値は25重量%である。
【0019】この発明の合金では、Alは、全体の4〜
8重量%を占める。Alは合金中にNiAlを析出さ
せ、さらに、高温酸化処理により合金表面にアルミナ皮
膜を形成させるためには不可欠な元素である。特に、緻
密で均一な皮膜を形成させるためには、4重量%以上の
Alを含有することが必要である。Al含有量の増加
は、NiAlの析出やアルミナ皮膜の形成に有利である
が、8重量%を越えると合金の加工性が低下するので、
Alの上限は8重量%である。
8重量%を占める。Alは合金中にNiAlを析出さ
せ、さらに、高温酸化処理により合金表面にアルミナ皮
膜を形成させるためには不可欠な元素である。特に、緻
密で均一な皮膜を形成させるためには、4重量%以上の
Alを含有することが必要である。Al含有量の増加
は、NiAlの析出やアルミナ皮膜の形成に有利である
が、8重量%を越えると合金の加工性が低下するので、
Alの上限は8重量%である。
【0020】この発明の合金では、Zr、Y、Hf、C
e、La、Nd、Gd等のチタン族元素や希土類元素は
アルミナ皮膜内に混入して皮膜の脆さを改善するととも
に、皮膜直下の合金内に内部酸化物粒子として分散し、
皮膜の密着性を著しく向上させる。これらの効果が発揮
されるには、Zr、Y、Hf、Ce、La、Ndおよび
Gdのうちの1種または2種以上が少なくとも0.05
重量%必要である。他方、1.0重量%を越えて含有す
ると、合金の加工性が急激に低下するので、上限は1.
0重量%である。
e、La、Nd、Gd等のチタン族元素や希土類元素は
アルミナ皮膜内に混入して皮膜の脆さを改善するととも
に、皮膜直下の合金内に内部酸化物粒子として分散し、
皮膜の密着性を著しく向上させる。これらの効果が発揮
されるには、Zr、Y、Hf、Ce、La、Ndおよび
Gdのうちの1種または2種以上が少なくとも0.05
重量%必要である。他方、1.0重量%を越えて含有す
ると、合金の加工性が急激に低下するので、上限は1.
0重量%である。
【0021】Tiは合金中に0.5重量%程度含有され
ている場合、適当な熱処理により微細な金属間化合物を
形成し、合金の強靱化に役立つ。この発明の合金は、T
iを含んでいないものであってもよいが、このような理
由によりTiを含んでいてもよい。ただし、Tiの含有
量が0.5重量%を越えるとアルミナ皮膜の密着性や緻
密性を損なうおそれがあるので0.5重量%以下が望ま
しい。
ている場合、適当な熱処理により微細な金属間化合物を
形成し、合金の強靱化に役立つ。この発明の合金は、T
iを含んでいないものであってもよいが、このような理
由によりTiを含んでいてもよい。ただし、Tiの含有
量が0.5重量%を越えるとアルミナ皮膜の密着性や緻
密性を損なうおそれがあるので0.5重量%以下が望ま
しい。
【0022】この発明の合金は、以上の成分以外の残部
をFeが占める。ただし、残部が全てFeである場合の
みに限定されず、たとえば、残部がFe以外に不可避的
に存在している不純物も含んでいる場合も含める。な
お、不純物の中でも、Si、C、Nの3元素は、下記の
理由により、下記の範囲となるようにすることが好まし
い。
をFeが占める。ただし、残部が全てFeである場合の
みに限定されず、たとえば、残部がFe以外に不可避的
に存在している不純物も含んでいる場合も含める。な
お、不純物の中でも、Si、C、Nの3元素は、下記の
理由により、下記の範囲となるようにすることが好まし
い。
【0023】Siは高温酸化処理中にSiO2 となり、
アルミナ皮膜に混入して皮膜の緻密性を損なうおそれが
あることから、0.3重量%以下とすることが望まし
い。0重量%であってもよい。Cは高温でCrと反応し
てCr炭化物を形成し、合金を脆化させる。また、CO
がCO2 ガスとなり、アルミナ皮膜を破壊する。さら
に、希土類と容易に反応し皮膜の密着性向上に対する希
土類元素の効果を低下させる。これらのことから、Cは
0.01重量%以下が望ましい。0重量%であってもよ
い。
アルミナ皮膜に混入して皮膜の緻密性を損なうおそれが
あることから、0.3重量%以下とすることが望まし
い。0重量%であってもよい。Cは高温でCrと反応し
てCr炭化物を形成し、合金を脆化させる。また、CO
がCO2 ガスとなり、アルミナ皮膜を破壊する。さら
に、希土類と容易に反応し皮膜の密着性向上に対する希
土類元素の効果を低下させる。これらのことから、Cは
0.01重量%以下が望ましい。0重量%であってもよ
い。
【0024】Nは合金の靱性を低下させ、また、高温加
熱中にCrと反応しCr系窒化物となり、合金の脆化の
原因となりうる。このため、0.015重量%以下が望
ましい。0重量%であってもよい。この発明のフェライ
ト合金は、以上の成分限定理由で述べたように、基本的
にはフェライト相であるが、数%、より好ましくは10
%(体積率)以下のオーステナイト相が混合しても合金
の性質を損なうことはなく、均質な膜を形成することが
可能である。
熱中にCrと反応しCr系窒化物となり、合金の脆化の
原因となりうる。このため、0.015重量%以下が望
ましい。0重量%であってもよい。この発明のフェライ
ト合金は、以上の成分限定理由で述べたように、基本的
にはフェライト相であるが、数%、より好ましくは10
%(体積率)以下のオーステナイト相が混合しても合金
の性質を損なうことはなく、均質な膜を形成することが
可能である。
【0025】なお、熱処理する所定形状のフェライト合
金は、各成分を一緒に真空溶解して鋼片を得てから、熱
間鍛造・圧延、温冷間加工の後、所定の形状に成形する
ようにする。この発明により製造されたアルミナ皮膜付
のフェライト合金は、表面に緻密で合金との密着性に優
れた均一なアルミナ皮膜が形成されていて、表面硬度が
母材よりも極めて高く、母材の保護皮膜となっており、
また、従来合金よりも硬度が大幅に向上しているため、
耐摩耗性と耐食性が要求される電気カミソリの内刃、外
刃、バリカン刃の固定刃、可動刃などの刃物や、また、
電動工具等のチャックやギアなどの機構部品、内燃機関
用あるいは腐食雰囲気用バルブなどに応用できる。しか
し、用途は、これらに限定されない。
金は、各成分を一緒に真空溶解して鋼片を得てから、熱
間鍛造・圧延、温冷間加工の後、所定の形状に成形する
ようにする。この発明により製造されたアルミナ皮膜付
のフェライト合金は、表面に緻密で合金との密着性に優
れた均一なアルミナ皮膜が形成されていて、表面硬度が
母材よりも極めて高く、母材の保護皮膜となっており、
また、従来合金よりも硬度が大幅に向上しているため、
耐摩耗性と耐食性が要求される電気カミソリの内刃、外
刃、バリカン刃の固定刃、可動刃などの刃物や、また、
電動工具等のチャックやギアなどの機構部品、内燃機関
用あるいは腐食雰囲気用バルブなどに応用できる。しか
し、用途は、これらに限定されない。
【0026】
【実施例】以下、この発明の具体的な実施例および比較
例を示すが、この発明は下記実施例に限定されない。 −請求項1記載の発明の実施例− 表1に示す試料 No.1〜7の組成の合金を高周波誘導加
熱式真空溶解炉で溶製し、0.5mm厚の板状に圧延し
た。すなわち、5×10-4Torr以上の高真空中で、電解
鉄、電解クロムおよびNiペレットをアルミナるつぼに
入れて溶解し、溶融液中に、アルミニウム鉄合金、Fe
Zr合金、FeTi合金、ならびに、Hfおよび希土類
元素小片を添加した。さらに、同じ真空中で炉内にある
鉄あるいは銅鋳型に鋳込んで約1kgの合金インゴット
を得た。得られたインゴットを800〜1100℃に加
熱し、ハンマーで鍛造、さらに、同温度で圧延し、1.
5mm厚とし、表面酸化物を除去後、冷間圧延によって
0.5mm厚とした。これらを0.5mm×15mm×20mm
の大きさ切断し試料とした。
例を示すが、この発明は下記実施例に限定されない。 −請求項1記載の発明の実施例− 表1に示す試料 No.1〜7の組成の合金を高周波誘導加
熱式真空溶解炉で溶製し、0.5mm厚の板状に圧延し
た。すなわち、5×10-4Torr以上の高真空中で、電解
鉄、電解クロムおよびNiペレットをアルミナるつぼに
入れて溶解し、溶融液中に、アルミニウム鉄合金、Fe
Zr合金、FeTi合金、ならびに、Hfおよび希土類
元素小片を添加した。さらに、同じ真空中で炉内にある
鉄あるいは銅鋳型に鋳込んで約1kgの合金インゴット
を得た。得られたインゴットを800〜1100℃に加
熱し、ハンマーで鍛造、さらに、同温度で圧延し、1.
5mm厚とし、表面酸化物を除去後、冷間圧延によって
0.5mm厚とした。これらを0.5mm×15mm×20mm
の大きさ切断し試料とした。
【0027】試料 No.1〜6の板材を、表2に示す条件
のもとに、大気中で加熱し酸化処理を行い、続いて12
00℃以上に再加熱し、再加熱直後あるいはその温度で
所定時間保持後、1℃/秒以下の速度で急冷した。図1
は、酸化処理および再加熱処理温度と経過時間との関係
をあらわすグラフであり、T1は酸化処理温度、t1は
酸化処理時間、T2は再加熱温度、t2は再加熱時間で
ある。
のもとに、大気中で加熱し酸化処理を行い、続いて12
00℃以上に再加熱し、再加熱直後あるいはその温度で
所定時間保持後、1℃/秒以下の速度で急冷した。図1
は、酸化処理および再加熱処理温度と経過時間との関係
をあらわすグラフであり、T1は酸化処理温度、t1は
酸化処理時間、T2は再加熱温度、t2は再加熱時間で
ある。
【0028】冷却後、板材断面のマクロビッカース硬度
(Hv)を測定するとともにアルミナ皮膜厚みを測定し
た。測定結果を表2に示す。比較のために、試料 No.1
〜7の板材を、表3に示す条件のもとに、処理し、アル
ミナ皮膜付の合金を得た。マクロビッカース硬度(H
v)およびアルミナ皮膜厚みを測定した。測定結果を、
表3に記す。なお、比較例13、14は従来例である。
(Hv)を測定するとともにアルミナ皮膜厚みを測定し
た。測定結果を表2に示す。比較のために、試料 No.1
〜7の板材を、表3に示す条件のもとに、処理し、アル
ミナ皮膜付の合金を得た。マクロビッカース硬度(H
v)およびアルミナ皮膜厚みを測定した。測定結果を、
表3に記す。なお、比較例13、14は従来例である。
【0029】−請求項2記載の発明の実施例− 表1に示す試料 No.1〜7の組成の合金を高周波誘導加
熱式真空溶解炉で溶製し、0.5mm厚の板状に圧延し
た。すなわち、5×10-4Torr以上の高真空中で、電解
鉄、電解クロムおよびNiペレットをアルミナるつぼに
入れて溶解し、溶融液中に、アルミニウム鉄合金、Fe
Zr合金、FeTi合金、ならびに、Hfおよび希土類
元素小片を添加した。さらに、同じ真空中で炉内にある
鉄あるいは銅鋳型に鋳込んで約1kgの合金インゴット
を得た。得られたインゴットを800〜1100℃に加
熱し、ハンマーで鍛造、さらに、同温度で圧延し、1.
5mm厚とし、表面酸化物を除去後、冷間圧延によって
0.5mm厚とした。これらを0.5mm×15mm×20mm
の大きさ切断し試料とした。
熱式真空溶解炉で溶製し、0.5mm厚の板状に圧延し
た。すなわち、5×10-4Torr以上の高真空中で、電解
鉄、電解クロムおよびNiペレットをアルミナるつぼに
入れて溶解し、溶融液中に、アルミニウム鉄合金、Fe
Zr合金、FeTi合金、ならびに、Hfおよび希土類
元素小片を添加した。さらに、同じ真空中で炉内にある
鉄あるいは銅鋳型に鋳込んで約1kgの合金インゴット
を得た。得られたインゴットを800〜1100℃に加
熱し、ハンマーで鍛造、さらに、同温度で圧延し、1.
5mm厚とし、表面酸化物を除去後、冷間圧延によって
0.5mm厚とした。これらを0.5mm×15mm×20mm
の大きさ切断し試料とした。
【0030】試料 No.1〜6の板材を、表4に示す条件
のもとに、大気中で1200℃以上の温度に達する処理
を、到達温度に達した直後ないし所定時間保持後、1℃
/秒以下の速度で急冷した。冷却後、板材断面のマクロ
ビッカース硬度(Hv)を測定するとともにアルミナ皮
膜厚みを測定した。測定結果を表4に示す。比較のため
に、試料 No.1〜7の板材を、表5に示す条件のもと
に、処理し、アルミナ皮膜付の合金を得た。マクロビッ
カース硬度(Hv)およびアルミナ皮膜厚みを測定し
た。測定結果を、表5に記す。なお、比較例33、34
は従来例である。
のもとに、大気中で1200℃以上の温度に達する処理
を、到達温度に達した直後ないし所定時間保持後、1℃
/秒以下の速度で急冷した。冷却後、板材断面のマクロ
ビッカース硬度(Hv)を測定するとともにアルミナ皮
膜厚みを測定した。測定結果を表4に示す。比較のため
に、試料 No.1〜7の板材を、表5に示す条件のもと
に、処理し、アルミナ皮膜付の合金を得た。マクロビッ
カース硬度(Hv)およびアルミナ皮膜厚みを測定し
た。測定結果を、表5に記す。なお、比較例33、34
は従来例である。
【0031】なお、実施例と比較例のデータを比べれ
ば、この発明で得られたアルミナ皮膜付のFe−Cr−
Ni−Al系フェライト合金が十分な硬度を維持してい
ることがよく分かる。図2は、実施例4のアルミナ皮膜
付Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金の母材内部
の金属組織をあらわす光学顕微鏡写真(倍率700倍)
である。
ば、この発明で得られたアルミナ皮膜付のFe−Cr−
Ni−Al系フェライト合金が十分な硬度を維持してい
ることがよく分かる。図2は、実施例4のアルミナ皮膜
付Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金の母材内部
の金属組織をあらわす光学顕微鏡写真(倍率700倍)
である。
【0032】図3は、比較例3のアルミナ皮膜付Fe−
Cr−Ni−Al系フェライト合金の母材内部の金属組
織をあらわす光学顕微鏡写真(倍率700倍)である。
実施例4の場合、NiAl粒子は微細であるが、比較例
3の場合、粒径2〜4μmの粗大NiAl粒子がみられ
る。図4は、実施例22のアルミナ皮膜付Fe−Cr−
Ni−Al系フェライト合金の母材内部の金属組織をあ
らわす光学顕微鏡写真(倍率700倍)である。
Cr−Ni−Al系フェライト合金の母材内部の金属組
織をあらわす光学顕微鏡写真(倍率700倍)である。
実施例4の場合、NiAl粒子は微細であるが、比較例
3の場合、粒径2〜4μmの粗大NiAl粒子がみられ
る。図4は、実施例22のアルミナ皮膜付Fe−Cr−
Ni−Al系フェライト合金の母材内部の金属組織をあ
らわす光学顕微鏡写真(倍率700倍)である。
【0033】図5は、比較例19のアルミナ皮膜付Fe
−Cr−Ni−Al系フェライト合金の母材内部の金属
組織をあらわす光学顕微鏡写真(倍率700倍)であ
る。実施例22の場合、NiAl粒子は1μm以下と微
細であるが、比較例19の場合、粒径2〜4μmの粗大
NiAl粒子がみられる。
−Cr−Ni−Al系フェライト合金の母材内部の金属
組織をあらわす光学顕微鏡写真(倍率700倍)であ
る。実施例22の場合、NiAl粒子は1μm以下と微
細であるが、比較例19の場合、粒径2〜4μmの粗大
NiAl粒子がみられる。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
【発明の効果】請求項1、2記載の発明で得られるアル
ミナ皮膜付のFe−Cr−Ni−Al系フェライト合金
は、母材がFe−Cr−Ni−Al系フェライト合金で
あるため、アルミナ皮膜は緻密で合金との密着性に優
れ、1℃/秒以下の急冷処理を受けているため、母材硬
度が十分となっている。
ミナ皮膜付のFe−Cr−Ni−Al系フェライト合金
は、母材がFe−Cr−Ni−Al系フェライト合金で
あるため、アルミナ皮膜は緻密で合金との密着性に優
れ、1℃/秒以下の急冷処理を受けているため、母材硬
度が十分となっている。
【0040】請求項3記載の発明で得られるアルミナ皮
膜付のFe−Cr−Ni−Al系フェライト合金は、合
金組成が適切であるため、緻密で合金との密着性に優れ
たアルミナ皮膜付で母材硬度が十分なものが確実に得ら
れる。
膜付のFe−Cr−Ni−Al系フェライト合金は、合
金組成が適切であるため、緻密で合金との密着性に優れ
たアルミナ皮膜付で母材硬度が十分なものが確実に得ら
れる。
【図1】酸化処理および再加熱処理温度と経過時間との
関係をあらわすグラフである。
関係をあらわすグラフである。
【図2】実施例4のアルミナ皮膜付Fe−Cr−Ni−
Al系フェライト合金の母材内部の金属組織をあらわす
光学顕微鏡写真(倍率700倍)である。
Al系フェライト合金の母材内部の金属組織をあらわす
光学顕微鏡写真(倍率700倍)である。
【図3】比較例3のアルミナ皮膜付Fe−Cr−Ni−
Al系フェライト合金の母材内部の金属組織をあらわす
光学顕微鏡写真(倍率700倍)である。
Al系フェライト合金の母材内部の金属組織をあらわす
光学顕微鏡写真(倍率700倍)である。
【図4】実施例22のアルミナ皮膜付Fe−Cr−Ni
−Al系フェライト合金の母材内部の金属組織をあらわ
す光学顕微鏡写真(倍率700倍)である。
−Al系フェライト合金の母材内部の金属組織をあらわ
す光学顕微鏡写真(倍率700倍)である。
【図5】比較例19のアルミナ皮膜付Fe−Cr−Ni
−Al系フェライト合金の母材内部の金属組織をあらわ
す光学顕微鏡写真(倍率700倍)である。
−Al系フェライト合金の母材内部の金属組織をあらわ
す光学顕微鏡写真(倍率700倍)である。
T1 酸化処理温度 t1 酸化処理時間 T2 再加熱温度 t2 再加熱時間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/50
Claims (3)
- 【請求項1】 所定の形状に成形されたFe−Cr−N
i−Al系フェライト合金を、酸化雰囲気中、700℃
以上1200℃未満の温度で加熱することにより前記合
金の表面に酸化アルミニウムを析出させて酸化アルミニ
ウム皮膜を形成した後、1200℃以上に加熱し、1℃
/秒以上の速度で冷却するようにするアルミナ皮膜付F
e−Cr−Ni−Al系フェライト合金の製造方法。 - 【請求項2】 所定の形状に成形されたFe−Cr−N
i−Al系フェライト合金を、酸化雰囲気中、1200
℃以上の温度まで加熱し前記合金の表面に酸化アルミニ
ウムを析出させて酸化アルミニウム皮膜を形成した後、
1℃/秒以上の速度で冷却するようにするアルミナ皮膜
付Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金の製造方
法。 - 【請求項3】 Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合
金が、Cr:25〜35重量%、Ni:15〜25重量
%、Al:4〜8重量%、Ti:0〜0.5重量%、Z
r、Y、Hf、Ce、La、NdおよびGdのうちのい
ずれか1種または2種以上:0.05〜1.0重量%、
残部が実質的にFeからなる請求項1または2記載のア
ルミナ皮膜付Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP41430690A JPH0737663B2 (ja) | 1990-12-25 | 1990-12-25 | アルミナ皮膜付Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP41430690A JPH0737663B2 (ja) | 1990-12-25 | 1990-12-25 | アルミナ皮膜付Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04308031A JPH04308031A (ja) | 1992-10-30 |
JPH0737663B2 true JPH0737663B2 (ja) | 1995-04-26 |
Family
ID=18522800
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP41430690A Expired - Fee Related JPH0737663B2 (ja) | 1990-12-25 | 1990-12-25 | アルミナ皮膜付Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0737663B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7284461B2 (en) * | 2004-12-16 | 2007-10-23 | The Gillette Company | Colored razor blades |
-
1990
- 1990-12-25 JP JP41430690A patent/JPH0737663B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04308031A (ja) | 1992-10-30 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |