JPH0735606Y2 - 圧延機のロール支持装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、圧延機に係り、更に詳しくは、ロールベンデ
ングにより形状制御を行う形式の圧延機において、ロー
ルの撓みに伴うロールチックの傾斜に対応するための機
構に関する。

〔従来の技術〕 従来、圧延材の板幅方向の板厚精度等の向上を図るた
め、垂直方向のロールベンデング装置を設けてロールク
ラウンを付与し、更に、作業ロールや中間ロールを圧下
ラインよりずらして圧延時に圧延方向に撓みを発生さ
せ、これを制御することで高精度の形状制御を行うよう
にした技術が知られている（例えば、特開昭57-165107
号公報参照）。また、ロールベンデングと組み合わせて
作業ロールもしくは中間ロールを軸方向に移動させてよ
り広範囲の形状制御を行うことも提案されている（例え
ば、特開昭47-29260号公報、特公昭52-26508号公報参
照）。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上記従来技術においては、ロール端部の
支持構造ないしロールをロックするための構造は、ロー
ル撓みに伴うロールチョックの傾きに対応できるような
機能を有していない。そのためロールチョックにベンデ
ィングを付与してもロール支持部でロールチョックの傾
きを規制しベンディング力をロールチョックに有効に作
用させることができない欠点があった。

また、ロール支持部ではロールの上下方向の動きに対し
て摺動可能であるが、ロールチョックの傾きに対応でき
ないため、ロールベンディング時に摺動部に偏摩耗が生
じロール軸方向の拘束が十分でなかった。

そこで、本考案の目的は、かかる従来技術の課題に鑑
み、ロールのロック用キーパープレートにロック撓みに
対応しうる機能を付与して、ロールベンディング力をロ
ールチョックに有効に作用させ制御範囲を拡げ形状制御
性を高めると共に摺動部の偏摩耗を防止しロールの軸方
向の拘束を確実にすることにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的達成のため、本考案は、ロールベンデングによ
り形状制御を行う形式の圧延機において、ロールの端部
にロック部材を形成し、該ロック部材に溝を刻設し、こ
の溝に嵌合する回転可能な状態にて一端に軸着された嵌
合片と、他端にロール交換時に前記ロック部材の溝と前
記嵌合片の着脱を行うロックシリンダとを備えたキーパ
ープレートを設けたことを特徴とする圧延機のロール支
持装置である。

〔作用〕

上記構成において、ロール撓みによってロールチョック
が傾斜すると、エンド部材の溝に嵌合している嵌合片
が、キーパープレートの軸部で回転し、ロールチョック
の傾きに追従でき、これによりロール撓みによるロール
チョックの傾斜は自由となり、ベンディング力がロール
チョックに有効に作用しベンディングによる制御範囲が
拡がり、形状制御性が向上する。また、嵌合片がロール
チョックの傾きに追従することにより摺動部の偏摩耗も
う防止できる。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を図面を参照しながら説明す
る。

第１図は本考案に係る圧延機のロール端部の平面図、第
２図は第１図におけるＡ−Ａ線部分断面図、第３図は第
１図におけるＢ−Ｂ線断面図である。

図において、１はロール（中間ロール、作業ロールな
ど）、２はロール１をロールネックベアリング（図示
略）で支承されているロールチョック、３はロールチョ
ック２の端部に形成したロック部材、６はキーパープレ
ート、８はキーパープレート６を進退させるロックシリ
ンダ、10はシフトシリンダ12の伸縮によりロール軸方向
に移動するシフト板、14はシフトフレーム、15はハウジ
ングである。

第１図ないし第３図に示すように、ロールチョック２の
端部に立方体状のロック部材３が形成されており、この
ロック部材３の両側面には、断面が台形状の縦長の溝
４、４が刻設されている。一方、この溝４、４に嵌合す
る台形柱状の嵌合片７、７が、キーパープレート６、６
の端面に突設された軸部6A、6Aに回転可能に軸着されて
いる。この嵌合片７、７は押え板7b、7bでキーパープレ
ート６、６の軸部6A、6Aに複数のボルト7cでもって止着
されている。なお、7aはブッシュである。ここで、嵌合
片７をキーパープレート６に軸着する他の方法として
は、図示はしていないが、嵌合片７に軸部を突設し、キ
ーパープレート６に軸穴を設け、この軸穴に軸部を回転
自在に嵌入し、同時に何らの抜け止めを設けておく場合
が考えられる。

上記キーパープレート６、６は矩形板状に形成されてお
り、案内筒５、５内にブッシュ5aを介して摺動可能に嵌
挿されている。そして、このキーパープレート６、６の
端部にロックシリンダ８、８の作用端が連結されてお
り、ロックシリンダ８、８の伸縮によりロール軸に直角
方向に案内筒５、５内を摺接しながら進退し、上記嵌合
片７、７が溝４、４に嵌脱可能となっている。なお、ロ
ックシリンダ８の胴部は、案内筒５の端面に固着されて
いる。ロール１の交換時には、ロックシリンダ８、８を
作動させてキーパープレート６、６を退去させ、嵌合片
７、７を溝４、４より離脱させる。

上記案内筒５、５はシフト板10上に固着されている。そ
して、このシフト板10の両側は、シフトフレーム14上に
固着されたガイド台９にライナー10aを介してロール軸
方向の移動が可能なよう支持されている（第２図）。な
お、9aは押え板であって、ガイド台９に止着されてい
る。

上記シフトシリンダ12は、その胴部はブラケット13に取
着され、その作用端12Aは、シフト板10上に固着された
ブラケット11に枢着されている。

上述のような構成は、上下に配置されている作業ロー
ル、中間ロール、補強ロール等に対して適用される。

次に、上記本考案の構成における動作について説明す
る。

ロールベンデイグによるロール１の撓みによって、ロー
ルチョック２も傾斜しようとするが、この場合、第３図
に示すように、ロールチョック２の端部に設けたロック
部材３の溝４に嵌合し、かつ、キーパープレート６の軸
部6Aによって軸支されている嵌合片がその軸部6Aの回り
に回転する。従って、ロールチョック２は自由な傾斜が
許される。なお、この時ロールチョックの傾きによりロ
ールチョック中心とキーパープレートの中心がわずかに
移動することになるが、この移動量は形状制御上問題に
ならない量である。

なお、形状制御のためにロール１を軸方向に移動させる
際には、シフトシリンダ12を作動させて作用端12Aを進
退させ、シフト板10をガイド台９に沿って移動させる。
これによりロール１を軸方向に移動させる。

〔考案の効果〕 以上説明したように、本考案によれば、ロールの撓みに
よりロールチョックが傾斜しても、その支持部がキーパ
ープレートの軸部回りに回転可能となっているから、ベ
ンディング力がロールチョックに有効に作用し、ベンデ
ィングによる制御範囲が拡がり、形状制御性が向上す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る圧延機のロール端部の平面図、第
２図は第１図におけるＡ−Ａ線部分断面図、第３図は第
１図におけるＢ−Ｂ線断面図である。 １……ロール、２……ロールチョック、３……ロック部
材、４……溝、５……案内筒、６……キーパープレー
ト、6A……軸部、７……嵌合片、８……ロックシリン
ダ、９……ガイド台、10……シフト板、12……シフトシ
リンダ、14……シフトフレーム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ロールベンデングにより形状制御を行う形
   式の圧延機において、ロールの端部にロック部材を形成
   し、該ロック部材に溝を刻設し、この溝に嵌合する回転
   可能な状態にて一端に軸着された嵌合片と、他端にロー
   ル交換時に前記ロック部材の溝と前記嵌合片の着脱を行
   うロックシリンダとを備えたキーパープレートを設けた
   ことを特徴とする圧延機のロール支持装置。