JPH073470A - 射出成形用アルミニウム金型の表面処理方法及びその装置 - Google Patents

射出成形用アルミニウム金型の表面処理方法及びその装置

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JPH073470A
JPH073470A JP14660993A JP14660993A JPH073470A JP H073470 A JPH073470 A JP H073470A JP 14660993 A JP14660993 A JP 14660993A JP 14660993 A JP14660993 A JP 14660993A JP H073470 A JPH073470 A JP H073470A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金型表面に形成する耐摩耗性のための硬質膜
の効果を十分に引出し得るようにすること。 【構成】 アルミニウムを主成分とするアルミニウム合
金材料を用いた金型1表面を活性化した後、この金型1
表面の金属元素を窒化して硬質窒化物を形成するととも
にこの硬質窒化物を前記金型1表面に拡散させて固溶体
化した硬化層1bを形成し、この硬化層1b表面に硬質
膜1cを形成するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、射出成形用アルミニウ
ム金型の表面処理方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、射出成形用金型として、汎用樹
脂成形では鉄鋼系材料が多用されており、精密転写性を
要する樹脂射出成形ではこれらの材料中でも、例えば、
プレハードン鋼のようにグレードの高い高価なものが用
いられている。
【0003】このような汎用樹脂成形用金型材料とし
て、最近では、非鉄軽合金材料が検討されており、特
に、アルミニウム合金系は、軽量で切削等の機械加工性
がよい上に、再利用できるとか、溶接加工ができる、と
いった利点を持ち、金型製作のコスト軽減や製品の開発
期間短縮のための試作用金型として、或いは、精密転写
性を必要としない成形用金型の材料として検討されてい
る。
【0004】ところで、近年では、樹脂(プラスチック
ス)射出成形の分野にあっても、新材料、所謂、エンジ
ニアリングプラスチックスが使われるようになってきて
いる。そこで、ガラス繊維やSiCなどの無機質の硬い
繊維の入ったプラスチックス成形においても、アルミニ
ウム合金系が実用化されれば、 ・型製作期間の短縮化 ・金型の軽量化 ・良好なる熱伝導性による成形サイクルの短縮化 ・再利用の容易性(小さな金型が大きな金型の再利用加
工で可能となる) 等の利点からして、製品開発や製造ラインにとって莫大
な効果が得られることが期待される。
【0005】ところが、アルミニウム合金は、A707
5材(超々ジュラルミン)であっても、その表面硬度は
ビッカース硬度が高々Hv150程度であり、ガラス繊
維やSiCなどの高硬度繊維入りの樹脂を射出成形する
と、短期間で金型の成形面が摩耗してしまい、ダレが発
生したり、摩耗面から樹脂が漏れて成形品にバリが発生
するとか、形状寸法や成形面の状態変化により、成形品
の品質が著しく低下するので実用に適さないという問題
がある。
【0006】このような問題に対する解決策の一つとし
て、例えば、特公昭57−14291号公報、特公昭5
9−35771号公報、特開昭63−303714号公
報などによれば、アルミニウム合金からなる金型表面に
硬質アルマイト処理(陽極酸化膜)を施して硬質アルマ
イト膜を形成することにより、耐久性を向上させるよう
にした射出成形用金型が検討されている。ここに、この
ような硬質アルマイト膜の硬度は、ビッカース硬度が最
大でHv400程度有するものの、母材となるアルミニ
ウム合金のビッカース硬度が前述したようにHv150
程度であるので、この金型を実用に耐え得るようにする
ためには、硬質アルマイト膜の膜厚を30μm以上にす
る必要がある。しかし、硬質アルマイト膜の膜厚制御は
難しい上に、例えば形状寸法を変化させたくない個所
(例えば、嵌め合い個所など)にマスクを施して硬質ア
ルマイト処理をしない部分を作ることは、ウェットプロ
セス上では難しいものである。さらには、表面処理後の
寸法精度の要求されるとき(例えば、表面処理後の寸法
変化が5μm以下に規定されるようなとき)には、ウェ
ットプロセスにより金属表面を処理する方法は適用でき
ない不都合もある。また、ウェットプロセスにおいて
は、従来の電気めっき法の他に、無電解Ni‐Pめっき
や、無電解Ni‐Pマトリックス中に硬質微粒子や潤滑
性微粒子を分散共析させた複合めっきを、アルミニウム
合金系金型に用いた例も報告されている(例えば、特開
平1−168407号公報、特開昭63−188022
号公報参照)。
【0007】しかし、このようなめっきプロセスでは、
下地(母材表面)の表面粗さや前処理の仕方などによっ
てめっき膜(複合めっき膜を含む)の特性が大きく変わ
ってしまい、成膜条件の制御が難しいものとなる。さら
に、無電解めっきに関して、例えば、めっき皮膜のまま
では無電解Ni‐P皮膜の場合にはその膜厚を数10μ
mとかなり厚くしてもビッカース硬度が高々Hv500
程度であり、実用的には熱処理を施してその析出硬度に
より硬度を上げなければならないものとなる。この熱処
理条件は、概ね、400℃で数時間必要となる。ちなみ
に、SiC等の硬質粒子を分散させた無電解Ni‐P複
合めっき膜(Ni‐P‐SiC)ではHv700程度で
あり、400℃、2時間の熱処理によりHv1000程
度で析出硬化することが知られている。
【0008】ところが、本発明者らの実験によれば、ア
ルミニウム合金、例えばA7075のような超々ジュラ
ルミンではその母材を180℃、1時間なる条件で加熱
すると、硬度が30〜35%程度低下し、200℃を超
えると硬度の低下が著しくなることが判明したものであ
る。よって、A7075系材料を金型に使用して表面硬
化処理を行う場合には、そのプロセス温度を150℃以
下に抑えることが望ましいと考えられる。従って、無電
解Ni‐Pめっき膜は、ウェットプロセス(めっきプロ
セス)を低温で行うことができても、実用的な表面硬化
膜としてアルミニウム合金上に処理する場合には母材の
硬度を低下させない温度条件で処理しなければならない
ものとなる。
【0009】その他、金型に対するドライプロセスによ
る硬化処理として、PVD(Physical Vapor Deposi
tion)法、例えば、イオンプレーティング法やスパッタ
リング法により金型表面を改質する方法が種々の公報等
により知られている。一般に、これらのプロセスでは、
薄い硬質膜が密着性よく金型表面に形成されることにな
る。中でも、例えば特開昭59−118419号公報に
よれば、成形面に耐摩耗性及び耐蝕性を有する金属、金
属酸化物、金属窒化物或いは金属炭化物のÅからμオー
ダの薄膜(硬質膜)を金型表面にイオンプレーティング
法或いはスパッタリング法により形成して高精度な金型
を作製するとともに、金型の長寿命化を図るようにして
いる。また、特開平2−214619号公報によれば、
アルミニウムからなる金型表面に超硬合金からなる中間
被膜を形成し、その表面に反応性スパッタリング法によ
り窒化チタン或いは炭化チタンを形成することにより金
型表面に多層膜からなる硬質膜を形成し、金型を長寿命
化させるようにした金型表面改質方法が提案されてい
る。
【0010】ここに、このような従来のドライプロセス
による表面処理法(表面改質法)の場合、薄い硬質膜形
成により金型の形状寸法の変化を防止することや、膜組
成の制御等は容易になし得る。しかし、イオンプレーテ
ィング法にあっては金型表面に薄膜を形成する際に金型
を例えば300℃前後といった高温に加熱しながら薄膜
を形成することになるため、アルミニウム合金は180
℃程度の熱処理によっても強度が低下してなまってしま
うので、金型母材自体の硬度が低下してしまうという問
題がある。また、スパッタリング法にあっては、比較的
低温処理が可能であるものの、硬質膜を1〜3μm程度
の膜厚で形成しても金型表面と膜との内部応力が異なる
などの理由や、金型母材自体の硬度がビッカース硬度で
Hv150程度であるといった理由により、硬質膜の亀
裂や剥離等が発生してしまう問題がある。また、超硬合
金からなる中間被膜を形成するといった方法をとる場合
にはコスト高となってしまう。
【0011】ちなみに、ドライプロセスとしては、上記
のPVD法の他に、CVD(Chemical Vapor Deposi
tion)法、例えば、プラズマCVD法や熱CVD法によ
る硬質膜形成法があるが、処理温度が通常でも600℃
以上となるため、アルミニウム合金材料の表面改質には
適さないものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】このような従来技術に
関する課題を明らかにするため、本発明者らの行った実
験結果を図4に示す。この実験は、アルミニウム合金材
料(JIS A7075系)の表面にSiC硬質粒子分
散無電解Ni‐Pめっき膜を5μmの厚さでコーティン
グしたものをサンプルA、TiNをイオンプレーティン
グ法により2μmの厚さでコーティングしたものをサン
プルBとして用意し、これらのサンプルA,Bの表面性
状(状態)を連続荷重式スクラッチ試験機により摩擦性
の面から評価したものである。この摩擦係数や引っ掻き
痕(条痕)の形態観察の結果によれば、以下のことが判
明したものである。
【0013】 サンプルA(SiC硬質粒子分散無電
解Ni‐Pめっき膜)は、熱処理なしで膜自体の硬度は
厚さ5μmの膜の場合でビッカース硬度Hv350程度
である。 サンプルAの摩擦係数は、低荷重から高荷重に渡っ
て大きな変化はなく、その摩擦係数μは0.4程度であ
り、スタイラス(引っ掻き針)に加える荷重が450g
でようやく膜の剥離が生じたものである。 サンプルB(イオンプレーティングTiN膜)は膜
厚2μmでビッカース硬度Hvが約1300程度であ
る。 サンプルBは、低荷重においても摩擦係数μが0.
5と大きく、スタイラスに加える荷重が100g程度か
ら膜の剥離が生じたものである。
【0014】サンプルA,Bのような2種類の表面改質
コーティングを実際のアルミニウム合金金型(JIS
A7075系)に適用すると、ビッカース硬度Hvが1
200程度のガラス繊維が50%(wt・%)入ってい
るポリカーボネート樹脂の射出成形においては、イオン
プレーティングTiN膜は剥離が激しいものとなる。も
っとも、金型表面との密着性は良好であり、剥離されな
がらも完全に膜がなくなってしまうようなことはない
(即ち、剥離状態は凝集剥離である)。これは、TiN
膜の硬度(Hv1300〜2000)が大きいが、脆い
ため、薄膜の場合には金型母材が樹脂圧により塑性変形
となり(アルミニウム合金母材の硬度が小さいため)、
割れが起こっているためであると考えられる。さらに、
このTiN膜の摩擦係数が大きいため、樹脂中のガラス
繊維の強い衝撃に対して激しい応力が発生するためであ
ると考えられる。
【0015】一方、SiC硬質粒子分散無電解Ni‐P
めっき膜は、膜の硬度自体はイオンプレーティングTi
N膜に比べて小さいが、膜の低摩擦性によりガラス繊維
の衝撃が緩和されるとともに、膜の粘り強さによりガラ
ス繊維の摩耗痕は発生したとしても浅くて膜の剥離も小
さいものである。
【0016】本発明は、このような実験的事実に基づ
き、アルミニウム合金による金型表層を硬化処理するこ
とにより耐摩耗性の硬質膜として効果を十分に引出すた
めの基礎を与え、耐摩耗性のこの硬質膜がガラス繊維を
含む樹脂の圧力や衝撃を受けても応力割れが生じないよ
うに金型母材表面の変形を防ぎ、金型母材に対して耐摩
耗性の硬質膜を傾斜組成を持つものとすることにより金
型母材との密着力を補強すること、さらに、このような
硬質膜の摩擦性向上を図るために低摩擦性を有する膜を
付けること、さらに、この膜を硬質化・平滑化すること
により耐摩耗性を増強し実用的なアルミニウム合金系金
型とすることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明で
は、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金材料
を用いた金型表面を活性化した後、この金型表面の金属
元素を窒化して硬質窒化物を形成するとともにこの硬質
窒化物を前記金型表面に拡散させて固溶体化した硬化層
を形成し、この硬化層表面に硬質膜を形成するようにし
た。
【0018】請求項2記載の発明では、硬質膜をアルミ
ニウムとチタンとの少なくとも一方の金属元素を含む硬
質窒化膜により形成し、この硬質窒化膜に金型表面から
離れる程窒化率が高くなる傾斜組成を持たせた。
【0019】請求項3記載の発明では、金型表面に硬質
窒化物を拡散・固溶体化させる層硬化処理と、硬質膜を
形成する表面硬質膜形成処理とを同一の真空容器内で行
った後、金型表面にめっき処理により潤滑性硬質粒子を
分散させた低摩擦性を有する無電界ニッケルめっき膜を
形成するようにした。
【0020】請求項4記載の発明では、低摩擦性を有す
る無電解ニッケルめっき膜に荷電粒子ビームを照射する
硬化処理を施すようにした。
【0021】請求項5記載の発明では、金型表面に硬質
窒化物を拡散・固溶体化させる層硬化処理と、硬質膜を
形成する表面硬質膜形成処理とを第1の真空容器内で行
うとともに、金型表面の活性化処理と無電解ニッケルめ
っき膜の硬化処理とを荷電粒子を用いた活性化手段によ
り第2の真空容器内で行い、この第2の真空容器内での
前記金型表面の活性化処理時にこの金型表面に吸着され
た不純物の脱離を気相分子検出手段により検出してこの
金型表面の活性化状態を監視しながら、後続する層硬化
処理と表面硬質膜形成処理とを行う第1の真空容器内に
前記金型を大気中に曝すことなく移送させるようにし
た。
【0022】請求項6記載の発明では、低摩擦性を有す
る無電解ニッケルめっき膜に荷電粒子ビームを照射して
硬化処理する際に、金型表面の前記無電解ニッケルめっ
き膜のみを電子線の物理的作用により衝撃加熱するとと
もに、冷却手段により金型自体を冷却するようにした。
【0023】請求項7記載の発明では、低摩擦性を有す
る無電解ニッケルめっき膜に荷電粒子ビームを照射して
硬化処理した後、硬化処理された無電解ニッケルめっき
膜表面を荷電粒子衝撃手段によりスパッタエッチングす
る表面平坦化処理を行うようにした。
【0024】請求項8記載の発明では、表面硬質膜形成
処理として、アルミニウムとチタンとの少なくとも一方
の金属元素を含む金属ターゲットに直流電力又は高周波
電力を供給して前記金属元素のスパッタリング作用で金
型表面にスパッタリング成膜を行うと同時に、前記金型
表面に高純度窒素ガスを供給して反応性スパッタリング
により前記金型表面に前記金属元素を含む硬質窒化膜を
形成するようにした。
【0025】請求項9記載の発明では、荷電粒子ビーム
源によって生成されたアルゴンと窒素との混合イオンビ
ームの照射を反応性スパッタリングと同時に行う際、当
初は、窒素イオンビームの割合を少なくして表面硬化処
理された金型にアルミニウムとチタンとの少なくとも一
方の金属原子を主成分とする膜を形成し、次第に、前記
窒素イオンビームの割合を増して窒化率を高くした傾斜
組成を持つ硬質窒化膜を形成するようにした。
【0026】請求項10記載の発明では、請求項1記載
の射出成形用アルミニウム金型の表面処理方法を実施す
るための表面処理装置として、金型表面にプラズマの物
理的・化学的作用を利用して硬質窒化物を形成するため
の電子サイクロトロン共鳴型プラズマ源と、窒化物を拡
散・固溶体化させるためのイオンビーム源とを有するも
のとした。
【0027】請求項11記載の発明では、電子サイクロ
トロン共鳴型プラズマ源により生成されたアルゴンと窒
素との混合プラズマに関してこのプラズマ中の電子温
度、電子密度、イオン密度等のプラズマパラメータをモ
ニタするプラズマ解析手段と、硬質窒化膜形成時に供給
される高純度窒素ガスの分圧をモニタする質量分析計と
を設け、プラズマ解析手段のモニタ結果に基づき前記プ
ラズマの生成時の磁界強さ、マイクロ波電力、放電ガス
等の条件を制御して金型表面に対する硬質窒化膜形成を
最適化するとともに前記質量分析計のモニタ結果に基づ
き硬質窒化膜形成時の窒化条件を安定化させる制御手段
を設けた。
【0028】請求項12記載の発明では、硬質窒化物形
成により硬化処理された金型に対するイオンビーム源に
より生成された不活性ガスイオン照射時のこの不活性ガ
スのイオンビームの照射エネルギーとその照射量とを最
適化するためにモニタするエネルギー分析器及び荷電粒
子検出手段を設けた。
【0029】請求項13記載の発明では、低摩擦性を有
する無電解ニッケルめっき膜に荷電粒子ビームを照射す
るための照射手段として金型表面全面に電子線を照射す
る電子シャワー装置を設けるとともに、前記金型自体を
浮動状態で保持する保持手段を設け、前記金型に印加す
る電圧を可変させてこの金型表面が受ける電子線のエネ
ルギー最適量を制御する電圧制御手段と、最適照射量を
設定するために前記電子線の量をモニタする荷電粒子検
出手段とを設けた。
【0030】
【作用】請求項1記載の発明においては、アルミニウム
を主成分とするアルミニウム合金材料を用いた金型はア
ルミニウム原子が活性なため大気中で酸化アルミニウム
となったり不純物が吸着しやすい点に着目し、これらを
除去してプラズマ処理前にこの金型表面を再び活性化で
き、このプラズマの窒化作用により金型表面の金属元素
を窒化して形成した硬質窒化物を浸透・拡散させて固溶
体化した硬化層を形成することで、金型表層の硬さを金
型母材自身の硬さの8倍程度に高めることができ、この
ため、金型表面に形成する耐摩耗性のための硬質膜の効
果を十分に引出せる。
【0031】請求項2記載の発明においては、硬質膜を
アルミニウムとチタンとの少なくとも一方の金属元素を
含む硬質窒化膜により形成し、この硬質窒化膜に金型表
面から離れる程窒化率が高くなる傾斜組成を持たせるこ
とにより、硬質窒化膜の内部応力が緩和され、金型に対
する硬質窒化膜の密着性が改善される。
【0032】請求項3記載の発明においては、金型表面
に硬質窒化物を拡散・固溶体化させる層硬化処理と、硬
質膜を形成する表面硬質膜形成処理とを同一の真空容器
内で行った後、金型表面にめっき処理により潤滑性硬質
粒子を分散させた低摩擦性を有する無電界ニッケルめっ
き膜を形成することで、金型に硬質化処理に加えて表面
低摩擦性を付与する処理を施したので、硬質膜の剥離が
防止されるとともに、耐摩耗性も向上するものとなる。
【0033】請求項4記載の発明においては、低摩擦性
を有する無電解ニッケルめっき膜に荷電粒子ビームを照
射する硬化処理を施すようにしたので、150〜180
℃以下の温度でしか熱処理できないアルミニウム合金材
料による金型の場合であっても低温アニールによる硬化
処理を簡便に行える。
【0034】請求項5記載の発明においては、金型表面
に硬質窒化物を拡散・固溶体化させる層硬化処理と、硬
質膜を形成する表面硬質膜形成処理とを第1の真空容器
内で行うとともに、金型表面の活性化処理と無電解ニッ
ケルめっき膜の硬化処理とを荷電粒子を用いた活性化手
段により第2の真空容器内で行い、この第2の真空容器
内での前記金型表面の活性化処理時にこの金型表面に吸
着された不純物の脱離を質量分析器等の気相分子検出手
段により検出してこの金型表面の活性化状態を監視しな
がら、後続する層硬化処理と表面硬質膜形成処理とを行
う第1の真空容器内に金型を大気中に曝すことなく移送
させるようにしたので、表面が活性のアルミニウム合金
材料による金型を大気に曝すことなく処理でき、活性化
の効果を確認できるので、効率のよいものとなる。
【0035】請求項6記載の発明においては、低摩擦性
を有する無電解ニッケルめっき膜に荷電粒子ビームを照
射して硬化処理する際に、金型母材が昇温によりその硬
度が低下することがないように金型表面の前記無電解ニ
ッケルめっき膜のみを電子線の物理的作用により衝撃加
熱するが、金型本体は低温冷却水や液体窒素シュラウド
等の冷却手段により冷却することでその温度上昇を防止
できる。
【0036】請求項7記載の発明においては、低摩擦性
を有する無電解ニッケルめっき膜に荷電粒子ビームを照
射して硬化処理した後、硬化処理された無電解ニッケル
めっき膜表面をその表面潤滑性を向上させるために逆ス
パッタリング等の荷電粒子衝撃手段によりスパッタエッ
チングする表面平坦化処理を行い、耐摩耗性を図るよう
にしたので、金型基体の表面平坦化とその低摩擦性とを
向上させ得るものとなる。
【0037】請求項8記載の発明においては、表面硬質
膜形成処理として、アルミニウムとチタンとの少なくと
も一方の金属元素を含む金属ターゲットに直流電力又は
高周波電力を供給して前記金属元素のスパッタリング作
用で金型表面にスパッタリング成膜を行うと同時に、前
記金型表面に高純度窒素ガスを供給して反応性スパッタ
リングにより前記金型表面に前記金属元素を含む硬質窒
化膜を形成するようにしたので、硬質セラミックス系の
薄膜を容易に形成できるものとなる。
【0038】請求項9記載の発明においては、荷電粒子
ビーム源によって生成されたアルゴンと窒素との混合イ
オンビームの照射を反応性スパッタリングと同時に行う
際、当初は、窒素イオンビームの割合を少なくして表面
硬化処理された金型にアルミニウムとチタンとの少なく
とも一方の金属原子を主成分とする膜を形成し、次第
に、前記窒素イオンビームの割合を増して窒化率を高く
した傾斜組成を持つ硬質窒化膜を形成するようにしたの
で、金型基体に対する硬質窒化膜の密着性が一層改善さ
れるものとなる。
【0039】請求項10記載の発明においては、請求項
1記載の射出成形用アルミニウム金型の表面処理方法を
実施するための表面処理装置として、金型表面にプラズ
マの物理的・化学的作用を利用して硬質窒化物を形成す
るための電子サイクロトロン共鳴型プラズマ源と、窒化
物を拡散・固溶体化させるためのイオンビーム源とを有
するものとしたので、低温・高密度なるプラズマの生成
が可能となり、アルミニウム合金材料による金型のよう
に低温処理に限られるものでもその表面改質が支障なく
可能となる。
【0040】請求項11記載の発明においては、電子サ
イクロトロン共鳴型プラズマ源により生成されたアルゴ
ンと窒素との混合プラズマに関してこのプラズマ中の電
子温度、電子密度、イオン密度等のプラズマパラメータ
をラングミュアプローブ等のプラズマ解析手段を用いて
モニタし、制御手段によってプラズマの生成時の磁界強
さ、マイクロ波電力、放電ガス等の条件を制御して金型
表面に対する硬質窒化膜形成を最適化するとともに、硬
質窒化膜形成時に供給される高純度窒素ガスの分圧を質
量分析計によりモニタして制御手段により窒化条件を安
定化させるので、窒化処理が安定化されたものとなり、
かつ、金型基体の条件が変わっても膜形成の最適化が可
能となる。
【0041】請求項12記載の発明においては、硬質窒
化物形成により硬化処理された金型に対するイオンビー
ム源により生成された不活性ガスイオン照射時のこの不
活性ガスのイオンビームの照射エネルギーとその照射量
とを最適化するためにモニタするエネルギー分析器とフ
ァラデーコレクタ等の荷電粒子検出手段を設けたので、
金型表層に形成された窒化物を拡散させ固溶体化させる
イオン衝撃等の物理的効果を適正に行わせることがで
き、窒化処理が安定化されたものとなり、かつ、金型基
体の条件が変わっても膜形成の最適化が可能となる。
【0042】請求項13記載の発明においては、低摩擦
性を有する無電解ニッケルめっき膜に荷電粒子ビームを
照射するための照射手段として金型表面全面に電子線を
照射する電子シャワー装置を設けるとともに、前記金型
自体を浮動状態で保持する保持手段を設け、前記金型に
印加する電圧を可変させてこの金型表面が受ける電子線
のエネルギー最適量を制御する電圧制御手段と、最適照
射量を設定するために前記電子線の量をモニタするファ
ラデーコレクタ等の荷電粒子検出手段とを設けたので、
低温アニール及びそのアニール条件の制御が可能とな
る。
【0043】
【実施例】本発明の一実施例を図1ないし図3に基づい
て説明する。まず、アルミニウム合金材料による金型1
の基本的な表面処理方法を図1を参照して説明する。ア
ルミニウム合金材料なる金型基材1aを真空排気された
真空容器内で逆スパッタリング等の荷電粒子衝撃手段に
より表面の酸化物、不純物を除去し、表面を活性化する
(活性化処理)。ついで、真空状態を破ることなく、プ
ラズマ処理・成膜室に金型基材1aを移送し、窒素を主
体とするプラズマ中でこの金型基材1aの表層に窒化物
を形成し、さらに、アルゴンを主とするイオンビームを
照射することで金型基材1aの表層に硬化層1bを形成
する。さらに、スパッタリングによりチタン(Ti)、
アルミニウム(Al)、或いは、TiAl合金なる金属
ターゲットのスパッタ粒子と窒素ガスとの反応性スパッ
タリングにより金型基材1a表面に、Ti,Al或いは
TiAlの窒化物膜を形成する。この際、イオンビーム
源により窒素イオンビームの照射量を次第に増すことで
窒化率に関して傾斜組成を持たせた硬質膜1cを形成す
る。その後、一旦、金型基材1aを大気中に取出してウ
ェットプロセス(無電解ニッケル‐リンめっき)によ
り、硬質潤滑性粒子を分散させた複合めっき膜1dを形
成して、再び、真空容器内に入れる。この複合めっき膜
1dの電子シャワーによるアニール硬化処理を、金型基
材1aを冷却しながら行い、スパッタエッチングにより
表面の整形を行う。
【0044】ちなみに、図1に示す構造において、望ま
しい寸法は、硬化層1bが2〜3μm、硬質膜1cが1
〜2μm、複合めっき層1dが5μm程度である。
【0045】ついで、上記のような表面処理方法を行う
ための表面処理装置の構成例を図2により説明する。ま
ず、第1の真空容器2と第2の真空容器3とがゲートバ
ルブ4により真空状態を維持したまま連通し得るように
並設されている。ここに、前記真空容器3内の中央付近
には金型基材1Aを下向きに保持するワークホルダ(保
持手段)5が設けられている。このワークホルダ5は前
記金型基材1Aを真空容器3から電気的に浮動(絶縁)
された状態で保持する電極構造のものであり、真空容器
3外部の高周波電源6に接続されて高周波電圧(RF電
圧)を印加し得るように構成されている。この高周波電
源6はマッチング調整回路を含むものとされている。ま
た、前記ワークホルダ5には真空容器3外部で直流バイ
アス電源(電圧制御手段)7も接続可能とされている。
前記真空容器3内ではこのようなワークホルダ5に対向
させてアース電極8が下方に配置され、逆スパッタリン
グ手段(荷電粒子衝撃手段)9が構成されている。
【0046】また、前記真空容器3内にはワークホルダ
5とアース電極8との対向領域に向けて斜め配設させた
質量分析計10が気相分子検出手段として設けられ、真
空容器3外部の計測・制御系11に接続されている。さ
らに、真空容器3内には質量分析計10とは逆サイドで
ワークホルダ5とアース電極8との対向領域に向けて斜
め配設させた電子シャワー装置12が設けられ、真空容
器3外部の電源13に接続されている。また、真空容器
3内においてこの電子シャワー装置12の上方にはファ
ラデーコレクタ14が荷電粒子検出手段として設けられ
ている。前記ワークホルダ5背面(上面)には吸排系を
備えた液体窒素シュラウド15が冷却手段として設けら
れている。なお、液体窒素シュラウド15に代えて、低
温冷却水を冷却手段として用いるようにしてもよい。
【0047】なお、前記真空容器3には真空バルブ16
を介して真空排気系17が連結されている。この真空排
気系17としては例えばターボ分子ポンプが使用され
る。
【0048】一方、前記真空容器2内の中央付近には金
型基材1Bを下向きに保持するホルダ21がアースされ
て設けられ、このホルダ21下方に位置して金属ターゲ
ット22を保持するターゲット用電極23が設けられ、
真空容器2外部の高周波電源(又は直流電源)24に接
続されている。また、これらのホルダ21とターゲット
用電極23との対向領域に向けて斜めに配設させたEC
R型プラズマ源(電子サイクロトロン共鳴型プラズマ
源)25が容器壁部に一体化されて設けられている。こ
のECR型プラズマ源25は真空排気系26に接続され
ているとともに、N2 ガスを導入するためのガス導入系
27やArガスを導入するためのガス導入系28が連結
されている。これらのガス導入系27,28は流量制御
器(図示せず)を含むものである。さらに、ECR型プ
ラズマ源25とホルダ21とターゲット用電極23との
対向領域中に臨ませたラングミュアプローブ29がプラ
ズマ解析手段として設けられ、真空容器2外部の計測系
30に接続されている。このような領域に向けて高純度
2 を導入するための高純度窒素ガス導入系31も設け
られている。
【0049】また、真空容器2内にはECR型プラズマ
源25とは逆サイドにてホルダ21とターゲット用電極
23との対向領域に向けて斜めに配設させたイオンビー
ム源32が設けられ、真空容器2外部の制御電源33が
接続されているとともに、Arガスを導入するためのガ
ス導入系34やN2 ガスを導入するためのガス導入系3
5が接続されている。真空容器2内においてこのイオン
ビーム源32の上方には質量分析計36が配設され、真
空容器2外部の計測・制御系37に接続されている。ま
た、この質量分析計36付近には、エネルギー分析器3
8と荷電粒子検出手段となるファラデーコレクタ39と
のアセンブリが配設されている。これらのエネルギー分
析器38とファラデーコレクタ39とは、前記ファラデ
ーコレクタ14と共通に、真空容器2外部の計測系40
に接続されている。
【0050】なお、前記真空容器2には真空バルブ41
を介して真空排気系42が連結されている。
【0051】このような表面処理装置において、まず、
アルミニウム合金材料による金型基材1Aを真空容器3
内のワークホルダ5に設置し、真空排気系17により真
空容器3内を5×10~7Torr 程度まで真空排気する。
その後、アルゴンガス導入系(図示せず)によりArガ
スを導入し、10~2Torr 程度として放電を発生させ
る。ここに、ワークホルダ5は真空容器3から浮動した
電極構造となっており、高周波電源6によりRF電圧が
印加されているので、アース電極8との間で放電が起こ
り、所謂、逆スパッタリングにより金型基材1Aの表面
(下面)の酸化物、水分、不純物が除去される。これに
より、金型基材1Aの表面が活性状態とされる。この時
の金型基材1Aの表面活性化の状態は、質量分析計10
を用いて、スパッタされた中性粒子(スパッタ粒子)の
分析を行うことにより確認する。
【0052】ここに、逆スパッタリング中のスパッタ粒
子の分析は、質量分析計10を直接使えない圧力領域で
あるので、図3に示すような構成にて分析される。即
ち、質量分析計10は細孔(オリフィス)43aを有す
るマニホールド43内に収納されて真空容器3の壁3a
に取付けられて用いられる。このマニホールド43は差
動排気系44に連結されている。これにより、マニホー
ルド43内は常に10~5Torr 以下に真空を保たれてお
り、スパッタ粒子は細孔43aを通して質量分析計10
に入ってくる。金型基材1Aからスパッタされ離脱した
酸化物の構成元素や水、不純物の構成要素(例えば、
C,O,H,Alなど)が粒子分析され、表面活性化が
完了すると、金型基材1Aを構成する主元素であるAl
原子が大半を占めるようになるので容易に判断すること
ができる。
【0053】その後、金型基材1Aは、再度高真空まで
真空排気されて、予め10~7Torr程度の高真空に保持
された真空容器2中にゲートバルブ4を介して大気中に
曝されることなく移送される(移送系は、特に図示しな
い)。このように移送された金型基材を1Bとする。つ
いで、この真空容器2中で金型基材1Bは、ECR型プ
ラズマ源25によって窒素とアルゴンとの混合プラズマ
の照射を受ける。この混合プラズマは、窒素イオンとア
ルゴンイオンとの混合比が概ね7:3となるように調整
される。ここに、窒素イオンは金型基材1Bの表層のイ
オン窒化のためであり、アルゴンイオンはこの表面への
衝撃効果を狙ったものである。また、このようなプラズ
マ照射と同時に、金型基材1Bの表面近傍に高純度窒素
ガス導入系31から窒素ガスが真空容器2中に供給され
て金型基材1Bの表層にアルミニウムの窒化物AlNが
形成される。これは、窒素ガス中の窒素原子がプラズマ
中のイオン、電子の作用を受けて活性となり、非熱平衡
状態においてアルミニウム合金材料による金型基材1B
の表面のアルミニウム原子と活性な窒素原子とが表面反
応によりAlNとなり、アルゴンイオンの衝撃を受けて
表面反応が促進されることによる。この反応により、窒
化物層は1〜2μm程度となる。
【0054】なお、このプラズマ処理に関して、本実施
例ではECR型プラズマ源25を用いているので、金型
基材1Bを水冷した場合は100℃以下、水冷しない場
合でも150℃以上には温度上昇しないので、アルミニ
ウム合金材料を含む金型基材1Bのプラズマ処理に適し
たものである。
【0055】また、金型基材1Bへの窒化による窒化物
層形成の条件は、ラングミュアプローブ29及びその計
測系30によりプラズマの解析を行い、状態をモニタし
ながら行う。これにより、プラズマ生成時のガス流量
(Ar,N2 )、N2 とArの流量比、マイクロ波電
力、ガス圧、磁界強度によるプラズマ状態の変化を知る
ことができ、条件のコントロールが可能となる。さら
に、高純度窒素ガス導入系31により供給される高純度
窒素ガスの真空容器2内における分圧も、質量分析計3
6及びその計測・制御系37でモニタできる。なお、こ
れらの質量分析計10,36に対する計測・制御系1
1,37は同時に使用することはないので、別個に設け
ず、片方のみとして共用するようにしてもよい。何れに
しても、これらのモニタ手段により金型基材1Bの窒化
物層形成について、金型基材1Bのサイズが変わったり
形状が変わっても、形成条件を最適化することができ
る。
【0056】なお、ラングミュアプローブ29ではプラ
ズマ中の電子の温度、密度、イオンの密度等を解析でき
る。これらは、マイクロ波周波数2.54GHz、磁界
強度875Gaussが定まっていても、プラズマ生成時の
条件で変わるので、常時、モニタリングすることが必要
なためである。
【0057】ところで、ECR型プラズマ源25を用い
たECRプラズマの作用で、金型基材1Bの表層に窒化
物層を形成すると同時に、イオンビーム源32により窒
素とアルゴンとの混合イオンビームをこの金型基材1B
に加速照射する。ここに、イオンビームの加速電圧は高
々2kVであり、通常は、1kV前後とされる。なお、
窒素イオンビームは通常は照射しないが、窒化物層の窒
化の度合いが低い場合はアルゴンイオンビームに若干量
の窒素イオンビームを混合させるものである。何れにし
ても、イオンビームの物理・化学的効果により金型基材
1Bの表層の窒化物を表面内部に浸透・拡散し、熱処理
で行うのと同様の効果を、非熱平衡プロセスで低温にて
実現することができる。この表層は、窒化物が固溶体化
して表層を硬化・改質処理する役割をイオンビームが担
うことになる。
【0058】ここに、イオンビームの加速エネルギーと
照射量は、このような効果を左右する重要なパラメータ
であるので、反射電界型のエネルギー分析器38とファ
ラデーコレクタ39とのアセンブリ及びその計測系40
で検出し、イオンビーム源32の制御電源33をコント
ロールする。ECRプラズマによる窒化物層形成は8×
10~5〜2×10~4Torr 、イオンビームの照射はプラ
ズマによる窒化処理中にあってはそれと同程度の圧力
下、プラズマによる窒化処理後にあっては10~6Torr
台の圧力下で行うようにする。なお、エネルギー分析器
38とファラデーコレクタ39とのアセンブリはイオン
ビーム源32に対向する位置に配設するのが望ましい。
【0059】このような金型基材1B表層の窒化物層形
成、浸透・拡散、固溶体化処理後にTi,Al或いはT
iAl化合物なる金属ターゲット22を用いて、これら
の窒化物を反応性スパッタリングにより成膜する。この
際、図示しないアルゴンガス導入系によりアルゴンガス
を導入し、10~2〜10~1Torr 程度までに真空度を設
定し放電させる。このような放電の開始と同時に、高純
度窒素ガス導入系31より高純度窒素ガスを供給して、
反応性スパッタリングによりTiN,AlN又はTiA
lNの硬質膜を金型基材1B表面に1〜2μmの膜厚で
形成する。
【0060】この際、金型基材1B表面に、いきなりこ
れら窒化物膜を形成すると、表面とこれらの窒化物膜と
の内部応力の相違や、金属、セラミックス薄膜の接合界
面の性質により、膜が剥がれやすくなってしまう。そこ
で、本実施例では反応性スパッタリングでターゲット元
素の窒化物を金型基材1B表面に形成する際、最初は、
この金型基材1B表面の主成分元素の多い膜や金属元素
の割合が多い膜として成膜することで基材表面との密着
性向上を図り、徐々に、反応性ガス(即ち、窒素ガス)
やイオンビーム源32から照射する窒素イオンビームの
量を増加することで窒化率を徐々に増加させて、ストイ
キオメトリックな窒化物系セラミックス被膜を傾斜組成
を持たせて形成するようにしている。即ち、イオンビー
ム源32は窒素とアルゴンとの混合イオンビームを照射
するが、この混合イオンビーム中の窒素イオンビームを
徐々に増加させるものとなる。ここに、アルゴンイオン
ビームは反応のアシストイオンとして作用し、膜形成時
の応力緩和や表面反応の促進を図るために用いられる。
なお、このプロセスにおいても、窒素ガスの分圧やイオ
ンビームの加速電圧、イオンビームの照射量は前述した
ようなモニタ手段でモニタされる。
【0061】金型基材1Bにこのような表面処理を施し
た後、ウェットプロセスにより、無電解ニッケル‐リン
めっきをマトリクスとする複合めっき処理を行う。ここ
に、硬質潤滑性粒子としてボロンナイトライド(BN)
或いはダイヤモンド超微粒子を分散させる。これらのめ
っき膜の膜厚は、高々5μm程度とすればよい。このよ
うなめっき膜は、そのままでも、ある程度の硬度と低摩
擦特性を有するものの、再度、真空容器3中に入れて真
空排気させた後、電子シャワー装置12によって金型基
材1Aの表面のめっき膜に対して電子線をシャワー状に
照射することで、電子線によるアニールを行う。この
際、金型基材1Aの表面のめっき膜のみをアニールすれ
ばよく、基材内部の温度が上昇しないように液体窒素シ
ュラウド15で冷却しながら行うのがよい。この際、金
型基材1Aはアルミニウム合金材料によるものであり、
熱伝導性がよいので、冷却効果の大きいものとなる。こ
の時、金型基材1Aの凹部等にも電子線が行き渡り、電
子線のエネルギーも制御できるようにするため、本実施
例では、バイアス直流電源7がワークホルダ5(金型基
材1A)に接続可能とされている。このような電子線の
照射量は、ファラデーコレクタ14とその計測系40に
よりモニタし、条件設定を行えばよい。
【0062】このような電子線によるアニール処理後、
同一の真空容器3内で逆スパッタリング手段9を用い
て、アルゴンイオンによってスパッタエッチングを行
い、複合めっき膜の表面粗さ等の改善を行い、潤滑・低
摩擦性を引出すようにする。
【0063】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、アルミニ
ウムを主成分とするアルミニウム合金材料を用いた金型
はアルミニウム原子が活性なため大気中で酸化アルミニ
ウムとなったり不純物が吸着しやすい点に着目し、これ
らを除去してプラズマ処理前にこの金型表面を再び活性
化でき、このプラズマの窒化作用により金型表面の金属
元素を窒化して形成した硬質窒化物を浸透・拡散させて
固溶体化した硬化層を形成するようにしたので、金型表
層の硬さを金型母材自身の硬さの8倍程度に高めること
ができ、このため、金型表面に形成する耐摩耗性のため
の硬質膜の効果を十分に引出すことができる。
【0064】請求項2記載の発明によれば、硬質膜をア
ルミニウムとチタンとの少なくとも一方の金属元素を含
む硬質窒化膜により形成し、この硬質窒化膜に金型表面
から離れる程窒化率が高くなる傾斜組成を持たせるよう
にしたので、硬質窒化膜の内部応力を緩和して、金型に
対する硬質窒化膜の密着性を改善することができる。
【0065】請求項3記載の発明によれば、金型表面に
硬質窒化物を拡散・固溶体化させる層硬化処理と、硬質
膜を形成する表面硬質膜形成処理とを同一の真空容器内
で行った後、金型表面にめっき処理により潤滑性硬質粒
子を分散させた低摩擦性を有する無電界ニッケルめっき
膜を形成することで、金型に硬質化処理に加えて表面低
摩擦性を付与する処理を施すようにしたので、硬質膜の
剥離を防止できるとともに、耐摩耗性も向上させること
ができる。
【0066】請求項4記載の発明によれば、低摩擦性を
有する無電解ニッケルめっき膜に荷電粒子ビームを照射
する硬化処理を施すようにしたので、150〜180℃
以下の温度でしか熱処理できないアルミニウム合金材料
による金型の場合であっても低温アニールによる硬化処
理を簡便に行うことができる。
【0067】請求項5記載の発明によれば、金型表面に
硬質窒化物を拡散・固溶体化させる層硬化処理と、硬質
膜を形成する表面硬質膜形成処理とを第1の真空容器内
で行うとともに、金型表面の活性化処理と無電解ニッケ
ルめっき膜の硬化処理とを荷電粒子を用いた活性化手段
により第2の真空容器内で行い、この第2の真空容器内
での前記金型表面の活性化処理時にこの金型表面に吸着
された不純物の脱離を質量分析器等の気相分子検出手段
により検出して金型表面の活性化状態を監視しながら、
後続する層硬化処理と表面硬質膜形成処理とを行う第1
の真空容器内に金型を大気中に曝すことなく移送させる
ようにしたので、表面が活性のアルミニウム合金材料に
よる金型を大気に曝すことなく処理でき、活性化の効果
を確認できるので、効率のよいものとすることができ
る。
【0068】請求項6記載の発明によれば、低摩擦性を
有する無電解ニッケルめっき膜に荷電粒子ビームを照射
して硬化処理する際に、金型母材が昇温によりその硬度
が低下することがないように金型表面の前記無電解ニッ
ケルめっき膜のみを電子線の物理的作用により衝撃加熱
するが、金型本体は低温冷却水や液体窒素シュラウド等
の冷却手段により冷却するようにしたので、その温度上
昇を防止することができる。
【0069】請求項7記載の発明によれば、低摩擦性を
有する無電解ニッケルめっき膜に荷電粒子ビームを照射
して硬化処理した後、硬化処理された無電解ニッケルめ
っき膜表面をその表面潤滑性を向上させるために逆スパ
ッタリング等の荷電粒子衝撃手段によりスパッタエッチ
ングする表面平坦化処理を行い、耐摩耗性を図るように
したので、金型基体の表面平坦化とその低摩擦性とを向
上させることができる。
【0070】請求項8記載の発明によれば、表面硬質膜
形成処理として、アルミニウムとチタンとの少なくとも
一方の金属元素を含む金属ターゲットに直流電力又は高
周波電力を供給して前記金属元素のスパッタリング作用
で金型表面にスパッタリング成膜を行うと同時に、前記
金型表面に高純度窒素ガスを供給して反応性スパッタリ
ングにより前記金型表面に前記金属元素を含む硬質窒化
膜を形成するようにしたので、硬質セラミックス系の薄
膜を容易に形成することができる。
【0071】請求項9記載の発明によれば、荷電粒子ビ
ーム源によって生成されたアルゴンと窒素との混合イオ
ンビームの照射を反応性スパッタリングと同時に行う
際、当初は、窒素イオンビームの割合を少なくして表面
硬化処理された金型にアルミニウムとチタンとの少なく
とも一方の金属原子を主成分とする膜を形成し、次第
に、前記窒素イオンビームの割合を増して窒化率を高く
した傾斜組成を持つ硬質窒化膜を形成するようにしたの
で、金型基体に対する硬質窒化膜の密着性を一層改善す
ることができる。
【0072】請求項10記載の発明によれば、請求項1
記載の射出成形用アルミニウム金型の表面処理方法を実
施するための表面処理装置として、金型表面にプラズマ
の物理的・化学的作用を利用して硬質窒化物を形成する
ための電子サイクロトロン共鳴型プラズマ源と、窒化物
を拡散・固溶体化させるためのイオンビーム源とを有す
るものとしたので、低温・高密度なるプラズマの生成が
可能となり、アルミニウム合金材料による金型のように
低温処理に限られるものでもその表面改質を支障なく行
うことができる。
【0073】請求項11記載の発明によれば、電子サイ
クロトロン共鳴型プラズマ源により生成されたアルゴン
と窒素との混合プラズマに関してこのプラズマ中の電子
温度、電子密度、イオン密度等のプラズマパラメータを
ラングミュアプローブ等のプラズマ解析手段を用いてモ
ニタし、制御手段によってプラズマの生成時の磁界強
さ、マイクロ波電力、放電ガス等の条件を制御して金型
表面に対する硬質窒化膜形成を最適化するとともに、硬
質窒化膜形成時に供給される高純度窒素ガスの分圧を質
量分析計によりモニタして制御手段により窒化条件を安
定化させるようにしたので、窒化処理を安定化させるこ
とができ、かつ、金型基体の条件が変わっても膜形成の
最適化が可能となる。
【0074】請求項12記載の発明によれば、硬質窒化
物形成により硬化処理された金型に対するイオンビーム
源により生成された不活性ガスイオン照射時のこの不活
性ガスのイオンビームの照射エネルギーとその照射量と
を最適化するためにモニタするエネルギー分析器とファ
ラデーコレクタ等の荷電粒子検出手段を設けたので、金
型表層に形成された窒化物を拡散させ固溶体化させるイ
オン衝撃等の物理的効果を適正に行なわせることがで
き、窒化処理を安定化させることができ、かつ、金型基
体の条件が変わっても膜形成の最適化が可能となる。
【0075】請求項13記載の発明によれば、低摩擦性
を有する無電解ニッケルめっき膜に荷電粒子ビームを照
射するための照射手段として金型表面全面に電子線を照
射する電子シャワー装置を設けるとともに、前記金型自
体を浮動状態で保持する保持手段を設け、前記金型に印
加する電圧を可変させてこの金型表面が受ける電子線の
エネルギー最適量を制御する電圧制御手段と、最適照射
量を設定するために前記電子線の量をモニタするファラ
デーコレクタ等の荷電粒子検出手段とを設けたので、低
温アニール及びそのアニール条件の制御を行うことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す金型の模式的断面図で
ある。
【図2】表面処理装置の構成例を示す概略側面図であ
る。
【図3】質量分析計の実装例を示す概略側面図である。
【図4】従来方式による実験結果の評価を示す特性図で
ある。
【符号の説明】 1 金型 1b 硬化層 1c 硬質膜 1d 無電解ニッケルめっき膜 2 第1の真空容器 3 第2の真空容器 5 保持手段 7 電圧制御手段 9 荷電粒子衝撃手段 10 気相分子検出手段 12 電子シャワー装置 14 荷電粒子検出手段 15 冷却手段 22 金属ターゲット 25 電子サイクロトロン共鳴型プラズマ源 29 プラズマ解析手段 32 イオンビーム源 36 質量分析計 38 エネルギー分析器 39 荷電粒子検出手段

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムを主成分とするアルミニウ
    ム合金材料を用いた金型表面を活性化した後、この金型
    表面の金属元素を窒化して硬質窒化物を形成するととも
    にこの硬質窒化物を前記金型表面に拡散させて固溶体化
    した硬化層を形成し、この硬化層表面に硬質膜を形成す
    るようにしたことを特徴とする射出成形用アルミニウム
    金型の表面処理方法。
  2. 【請求項2】 硬質膜をアルミニウムとチタンとの少な
    くとも一方の金属元素を含む硬質窒化膜により形成し、
    この硬質窒化膜に金型表面から離れる程窒化率が高くな
    る傾斜組成を持たせたことを特徴とする請求項1記載の
    射出成形用アルミニウム金型の表面処理方法。
  3. 【請求項3】 金型表面に硬質窒化物を拡散・固溶体化
    させる層硬化処理と、硬質膜を形成する表面硬質膜形成
    処理とを同一の真空容器内で行った後、金型表面にめっ
    き処理により潤滑性硬質粒子を分散させた低摩擦性を有
    する無電界ニッケルめっき膜を形成するようにしたこと
    を特徴とする請求項1記載の射出成形用アルミニウム金
    型の表面処理方法。
  4. 【請求項4】 低摩擦性を有する無電解ニッケルめっき
    膜に荷電粒子ビームを照射する硬化処理を施すようにし
    たことを特徴とする請求項3記載の射出成形用アルミニ
    ウム金型の表面処理方法。
  5. 【請求項5】 金型表面に硬質窒化物を拡散・固溶体化
    させる層硬化処理と、硬質膜を形成する表面硬質膜形成
    処理とを第1の真空容器内で行うとともに、金型表面の
    活性化処理と無電解ニッケルめっき膜の硬化処理とを荷
    電粒子を用いた活性化手段により第2の真空容器内で行
    い、この第2の真空容器内での前記金型表面の活性化処
    理時にこの金型表面に吸着された不純物の脱離を気相分
    子検出手段により検出してこの金型表面の活性化状態を
    監視しながら、後続する層硬化処理と表面硬質膜形成処
    理とを行う第1の真空容器内に前記金型を大気中に曝す
    ことなく移送させるようにしたことを特徴とする請求項
    4記載の射出成形用アルミニウム金型の表面処理方法。
  6. 【請求項6】 低摩擦性を有する無電解ニッケルめっき
    膜に荷電粒子ビームを照射して硬化処理する際に、金型
    表面の前記無電解ニッケルめっき膜のみを電子線の物理
    的作用により衝撃加熱するとともに、冷却手段により金
    型自体を冷却するようにしたことを特徴とする請求項4
    記載の射出成形用アルミニウム金型の表面処理方法。
  7. 【請求項7】 低摩擦性を有する無電解ニッケルめっき
    膜に荷電粒子ビームを照射して硬化処理した後、硬化処
    理された無電解ニッケルめっき膜表面を荷電粒子衝撃手
    段によりスパッタエッチングする表面平坦化処理を行う
    ようにしたことを特徴とする請求項4記載の射出成形用
    アルミニウム金型の表面処理方法。
  8. 【請求項8】 表面硬質膜形成処理として、アルミニウ
    ムとチタンとの少なくとも一方の金属元素を含む金属タ
    ーゲットに直流電力又は高周波電力を供給して前記金属
    元素のスパッタリング作用で金型表面にスパッタリング
    成膜を行うと同時に、前記金型表面に高純度窒素ガスを
    供給して反応性スパッタリングにより前記金型表面に前
    記金属元素を含む硬質窒化膜を形成するようにしたこと
    を特徴とする請求項2記載の射出成形用アルミニウム金
    型の表面処理方法。
  9. 【請求項9】 荷電粒子ビーム源によって生成されたア
    ルゴンと窒素との混合イオンビームの照射を反応性スパ
    ッタリングと同時に行う際、当初は、窒素イオンビーム
    の割合を少なくして表面硬化処理された金型にアルミニ
    ウムとチタンとの少なくとも一方の金属原子を主成分と
    する膜を形成し、次第に、前記窒素イオンビームの割合
    を増して窒化率を高くした傾斜組成を持つ硬質窒化膜を
    形成するようにしたことを特徴とする請求項8記載の射
    出成形用アルミニウム金型の表面処理方法。
  10. 【請求項10】 金型表面にプラズマの物理的・化学的
    作用を利用して硬質窒化物を形成するための電子サイク
    ロトロン共鳴型プラズマ源と、窒化物を拡散・固溶体化
    させるためのイオンビーム源とを有することを特徴とす
    る請求項1記載の射出成形用アルミニウム金型の表面処
    理方法を実施するための表面処理装置。
  11. 【請求項11】 電子サイクロトロン共鳴型プラズマ源
    により生成されたアルゴンと窒素との混合プラズマに関
    してこのプラズマ中の電子温度、電子密度、イオン密度
    等のプラズマパラメータをモニタするプラズマ解析手段
    と、硬質窒化膜形成時に供給される高純度窒素ガスの分
    圧をモニタする質量分析計とを設け、プラズマ解析手段
    のモニタ結果に基づき前記プラズマの生成時の磁界強
    さ、マイクロ波電力、放電ガス等の条件を制御して金型
    表面に対する硬質窒化膜形成を最適化するとともに前記
    質量分析計のモニタ結果に基づき硬質窒化膜形成時の窒
    化条件を安定化させる制御手段を設けたことを特徴とす
    る請求項10記載の射出成形用アルミニウム金型の表面
    処理装置。
  12. 【請求項12】 硬質窒化物形成により硬化処理された
    金型に対するイオンビーム源により生成された不活性ガ
    スイオン照射時のこの不活性ガスのイオンビームの照射
    エネルギーとその照射量とを最適化するためにモニタす
    るエネルギー分析器及び荷電粒子検出手段を設けたこと
    を特徴とする請求項10記載の射出成形用アルミニウム
    金型の表面処理装置。
  13. 【請求項13】 低摩擦性を有する無電解ニッケルめっ
    き膜に荷電粒子ビームを照射するための照射手段として
    金型表面全面に電子線を照射する電子シャワー装置を設
    けるとともに、前記金型自体を浮動状態で保持する保持
    手段を設け、前記金型に印加する電圧を可変させてこの
    金型表面が受ける電子線のエネルギー最適量を制御する
    電圧制御手段と、最適照射量を設定するために前記電子
    線の量をモニタする荷電粒子検出手段とを設けたことを
    特徴とする請求項4記載の射出成形用アルミニウム金型
    の表面処理方法を実施するための表面処理装置。
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