JPH0734614U - マルチ移植機におけるシート押さえ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 マルチ移植機における移植時のシート１６の
固定性を高める。 【構成】 マルチ移植機の植付杆１３近傍に、植付杆１
３の植付作動に際して被覆シート１６を圃場面５１に押
圧して密着固定させる押さえ具４４を取り付けて設け
た。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案はマルチ移植機におけるシート押さえ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、レタス、白菜、キャベツ等、生鮮野菜栽培（畑作）の分野においては、 圃場の保温性を高めて種子の発芽や活着を良好にするとともに、降雨時の土の跳 ね上がりや雑草の発生を防止するため、土壌表面をビニールフィルム等のシート で被覆するマルチ栽培が広く普及している（実開昭６３−４６６１号公報等）。

【０００３】 また稲作の分野においても、苗株だけを出して田面を上記同様のシート等で被 覆することにより、雑草の生えるのを防止して除草剤による環境汚染の問題を解 決し、かつ植付後における栽培管理の簡略化と省力化が達成できるため、マルチ 水稲栽培法が注目されている。

【０００４】 そして、上記のようなマルチ栽培用の移植機（マルチ移植機）として、従来種 々のが提案されている（実開昭６２−２１８４４号公報、実開昭６３−４６１１ 号公報、実開平２−４４９２０号公報、実開平２−４４９２４号公報等）。 こ のようなマルチ移植機を用いた移植方法は、一般に、走行機体の後方に植付部を 昇降自在に連結し、ロール支持部に横架されたロール状シート部材を順次後方に 繰り出して圃場面を被覆しながら植付杆により苗を被覆されたシート部材の上か ら植え付けるものである。 そして本出願人は上記のようなマルチ移植を行う装置として、特願平４−３１ ９４０２号明細書及び図面に示されたものを提案している。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

稲作用のマルチ移植に際しては、移植機から繰り出されるシートを、移植圃場 に伸展させて密着させてから植付を行い、植付後はシートの繰り出し反力を十分 に確保し且つシートのめくれや浮き上がりを防止するために圃場面に十分固定さ れる必要があるが、特に植付杆によってシートを貫いて移植苗の植付を行う際に シートの浮き上がりや内部空洞が発生すると、植付杆に把持されている苗がシー トを貫くショックで外れ落ちたり、姿勢の乱れが生じて植付姿勢の乱れが発生す るほか、植付後も内部空洞によってシートが不安定なために苗の損傷や横倒れ、 浮き苗現象を生じる等の問題があった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記問題点を解決するための本考案の特徴は、機体走行に伴って圃場面５１を 覆うように繰り出されるロール状のシート１６と、繰り出されたシート１６上か ら移植苗４１ａを植え付ける植付杆１３とを設けたマルチ移植機において、上記 植付杆１３の近傍に植付杆１３による苗移植時に植付杆１３近傍において上記シ ート１６を圃場面５１に押接する押さえ具４４を設けた点にある。

【０００７】

【作用】

ロール状のシート１６は、マルチ移植機の進行に伴って、繰り出し端を圃場面 ５１に固定した状態で順次繰り出されて、植付杆１３前方から下方に至る圃場面 ５１を被覆し、植付杆１３は移植機上の苗４１を掻き取りシート１６を貫いて移 植する。この時押さえ具４４は、少なくとも植付杆１３による圃場への苗の植付 動作の開始から終了迄の間は、シート１６を植付杆１３近傍において圃場面５１ に押接して密着させる。 この動作により植付苗４１ａはシート１６が少なくとも植付位置では圃場面に 密着した状態で植え付けられ、シート１６の浮上状態での植付によるトラブルが 防止されるほか、押さえ具４４によりシート１６が植付作業とともに順次小刻み に又は連続して圃場に押圧密着されるので、植付後の圃場面への密着性、固定性 も高まる。

【０００８】

【実施例】

図１，図２は本考案に係るマルチ移植機（田植機）の全体側面図及び平面図で 、走行機体１は前後輪２，３に支持され、その機体フレーム４上にはボンネット ６及び運転席７が搭載され、機体後方には昇降リンク８を介して植付作業機９が 昇降及びローリング自在に取り付けられ、ボンネット６の左右両側には補給苗ス トック用のラック状をなす補助苗台１１が設置されている。

【０００９】 作業機９上には上端が前傾する苗のせ台１２が斜設され、苗のせ台１２の背面 下端のマット苗４１を機体走行とともに順次掻き取って移植する公知のロータリ ー式植付杆１３が、作業機フレームを構成するプランターケース３０に付設され 、作業機９の底面には、機体走行中に圃場面に追従転接してその転接圧又は高さ を感知して昇降リンク８の揺動を制御し、作業機９を所定高さに支持せしめる（ この高さ制御により植付深さが決められる）前後２本の長尺ローラからなる押さ えローラ１４がイコライザアーム１５により横設支持されている。また押さえロ ーラ１４は次に述べるシート１６の繰り出しを案内するとともに、圃場面に押接 する機能も備えている。上記押さえローラ１４の前方上部位置には、段ボール紙 の再生紙等よりなる紙シート製のローラー状に巻かれたシート１６を回転自在に 左右方向に内蔵軸支する筒状のシートケース１７が、作業機フレームを構成して 取り付けられている。１８は時計方向に回動させて下向きに突出させた状態で作 業機９を格納時等に支持し、後方向き状態で作業機のガードを行うスタンドであ る。

【００１０】 ２０は機体側方に支持されているシート１６の予備ローラで、機体１の後方に 水平回動自在に支持されている支持アーム２５及び予備ロールを支持する支持フ レーム３１とで保持され、ロール紙補給時には支持フレーム３１と前端を側方か ら後方に支点１９で回動して予備ローラ２０をシートケース１７の位置に移動さ せて挿入される。運転席７の前方側方位置の支持フレーム３１上には側面視ゲー ト状の把手３２が前後方向に立設され、支持フレーム３１の回動時及びステップ ３４に足を掛けてオペレーターが乗降する際の把手として利用できる。３３は支 持フレーム３１の前端を機体１側に係脱自在に固着してロックするロック装置で アーム２５に付設したロック操作部３５によってロック解除操作される。

【００１１】 上記シートケース１７の後方開口部にはシート繰り出し用のガイドローラ２９ が回動自在に軸支され、機体走行とともにシート１６は押さえローラ１４の下面 により後方に繰り出されながら圃場面に押接され、シート後端は圃場面に接地し ながらその繰り出し反力を保持し、順次帯状に敷設される。２１はシートケース １７の下方位置より後方にフォーク状に延出する棒状の支持体２１ａの下部に沿 って板状のガイド２１ｂを付設したシート受けで、機体回行時又は非作業時の機 体上昇状態でシート繰り出し端を受け止めるものである。

【００１２】 ２２は作業機９の後方位置に横設された背面視鋸歯状の薄板からなるシートカ ッターで、その両端は作業機側方に揺動自在に軸支されたカッターアーム２３の 後端に取り付けられ、運転席７側方のカッター操作用のレバー２４によって牽引 操作される操作ワイヤ２６を介してカッターアーム２３の後端が昇降揺動され、 カッター２２が圃場面に打ち降ろされることによって、シート１６がシート被覆 終了位置において切断される。２８はシートケース１７の開口部に付設されたシ ートセンサーでシート１６の残量がなくなった時に警報を発すべくシート１６の 近接位置に設置されている。

【００１３】 作業機フレームを構成するシートケース１７の下方左右端には、ブラケット３ ６が突設されており、該ブラケットにはシート１６の幅より僅かに短く後輪３の 左右幅より大きい１本のならしローラ３７が回転自在に軸支されており、作業機 ９を下降接地させて移植作業を行う際に、シート１６の敷設圃場の車輪跡その他 の凹凸を平均化してならす構成となっている。このならし作業によりシート１６ は平均化されて整地された圃場面に、より密着して空気溜まりを形成させずに敷 設され、押さえローラ１４による田面感知を正確なものにし且つ植付深さを正確 なものとする。

【００１４】 さらに作業機９の後方下部の左右両端には、移植作業時のシート繰り出しに伴 って、シート１６の左右両端を圃場面に押さえ付けるように転接する端押さえロ ーラ３８がアーム３９によって昇降調節自在に軸支されている。該端押さえロー ラ３８はシートケース１７よりシート受け２１上に繰り出されるシート１６の左 右端を、確実に押圧するものである。

【００１５】 上記装置によるマルチ移植作業は、水田等の圃場において、ロール状シート１ ６の繰り出し端を移植開始点に固定し、作業機９を下降接地した状態で押さえロ ーラ１４，端押さえローラ３８でシート１６を押圧しながら機体１を走行させて 行う。上記機体走行とともに植付杆１３を軌跡Ｌに沿って作動させ、苗のせ台１ ２の下端よりマット状の苗４１を掻き取って圃場に伸展させて敷設されたシート １６上よりこれを貫いて順次植え付ける。

【００１６】 図３は植付部の構造を示し、プランターケース３０の側面にローター軸４０を 中心に反時計方向回転するローター４２を軸支し、該ローター４２の両端には、 ビーク１３ａとフォーク１３ｂとからなる植付杆１３がプランターアーム４３を 介して付設された点及びそのダブルアクション方式と称される植付動作は公知の ものである。上記植付部のプランターアーム４３の後部近傍には、シート押さえ 用の押さえ具４４が取り付けられ、該押さえ具４４は図５に示すように縦方向の 取付プレート４６と、その側方に突出するゲート状に屈曲形成された押さえフレ ーム４７及び該押さえフレーム４７の下端にＵ字形に湾曲して挿入固定される耐 摩耗性材製のゴムホース等からなる弾力性を有する押さえ部材４８とで構成され る。

【００１７】 上記押さえ具４４は取付プレート４６をプランターアーム４３又はローター４ ２に着脱自在に取り付けられ、植付苗４１ａを植え付ける際に、植付杆１３に近 接した後方位置にあって、押さえ部材４８の下端が弾力的にシート１６を圃場面 に押圧して凹状の押さえ跡４９を形成するように作用する。そしてこの押圧は図 ４（Ａ）〜（Ｃ）の作用図に示すように、少なくとも植付杆１３がシート１６を 突き差す瞬間から苗４１ａを圃場５１に差し込んで植付を完了し、圃場５１及び シート１６より抜き出しを完了する間継続されることが望ましい。

【００１８】 上記シート押さえ作用により、機体走行に伴うシート１６の前方への引っ張り 力と、前進しながら軌跡Ｌに沿って作動する植付杆１３による外力の作用でシー ト１６が動かず、特に前方に引きずられないように圃場面５１に対して押圧固定 するとともに、植付進行とともに株間毎に押さえ具４４で圃場に凹状の押さえ跡 ４９を形成しながら押圧密着させ且つ係合させるように作用するので、シート１ ６は圃場面により強固に固定され、引きずり防止効果も一層向上する。

【００１９】 図６（Ａ），（Ｂ）はともに押さえ具４４の他の実施例を示し、同図（Ａ）の ものは、取付プレート４６の下端を片側に湾曲させ、その下端にフィンガー状の 弾性部材からなる押さえ部材４８を先端が下降傾斜するように基端部を嵌着した もので、植付杆１３の植付作動時にその基端部側が弾力的に湾曲しながらシート １６を押圧する。

【００２０】 図６（Ｂ）は押さえ具４４の第３実施例を示し、この例ではＪ字形に下端が湾 曲した丸棒状の金属又は弾力性を有する合成樹脂材等からなる押さえ部材を取付 プレート４６の下端に取り付けたものを示し、下端のアール面でシート１６を押 圧するものである。

【００２１】 図７，図８はシート押さえ装置の第４実施例を示し、この例では植付杆１３に 近接した位置のローター４２にローター軸４０と同心をなすパイプ製の円形リン グからなる押さえ具４４をリブ５２を介して取り付け、植付杆１３の植付作動時 に該押さえ具４４の下部外周が植付杆１３の後方側方の近接位置で、常時シート １６上面にローター４２とともに回転しながら転接して機体進行方線に沿った凹 状で直線状をなす押さえ跡４９を形成しながら、シート１６を田面に押圧密着さ せて固定するものである。上記押さえ具４４はローター４２に対してフリー回転 するように取り付けてもよく、この場合機体進行に伴ってリング状の押さえ具４ ４が回転するようにシート１６に転接する。上記押さえ具４４は金属製でも、弾 力性を有し且つリングが押圧時に弾性変形可能な合成樹脂材製でもよい。

【００２２】 図９，図１０は予備ローラ２０の水平回動時のロック装置３３とその操作部３ ５の機構を示しており、支持フレーム３１は予備ローラ２０を載置する円弧状に 湾曲したサポートアーム５６と該サポートアーム５６をアーム２５に固着する取 付アーム５７とを備え、上記アーム２５と補助苗のせ台１１との間にロック装置 ３３が、またさらに後方のアーム２５の前端部付近に、ロック解除操作部３５が 取り付けられている。

【００２３】 ロック装置３３は補助苗のせ台１１の外側に突設された傾斜ガイド面付ガイド プレート５８及びガイドプレート５８の後面に後向きに突設したロックピン５９ と、支持フレーム３１側に前方向きに突設された係合ピン６１とを備え、支持フ レーム３１の前端を機体１側に水平揺動させると、係合ピン６１がガイド面に案 内されてガイドプレート５８上面の係合用凹部６０に係脱自在に係合して停止す るとともに、上記係合ピン６１に回動自在に軸支されたフックプレート６２の切 欠状のフック部６３が、上記ロックピン５９に弾力的に係合して、支持フレーム ３１は機体側にロックされる。

【００２４】 一方ロック解除用の操作部３５は、アーム２５上にプレート６４を介して立設 されたゲート状の把手６６と、該把手６６に沿って操作軸６７を介してプレート ６４に左右回動自在に下端を軸支された操作レバー６８とを備え、上記軸６７の 前端部は、アーム２５前端部上のプレート６９にも軸支され、操作レバー６８の 回動とともに回動する。

【００２５】 そして軸６７の前端部のレバー７１と、フックプレート６２外側端のレバー７ ２との間はリンク７３によって連結され、フックプレート６２の内側上部とプレ ート６９との間にはフック部６３がロックピン５９に係止される方向に作用する スプリング７４が張設されている。

【００２６】 その結果、アーム２５及び支持フレーム３１の前端を機体１側に水平回動させ て、係合ピン６１をガイドプレート５８上の凹部６０に係合させると、スプリン グ７４により、フックプレート６２がロックピン５９に自動的に係合して、支持 フレーム３１が機体側にロックされる。これに対し、操作レバー６８を把手６６ とともに握持して揺動させると、スプリング７４に抗してフックプレート６２が ロックピン５９より外されてロック解除される。

【００２７】 ７６は操作レバー６８の下端又は操作軸に固設されたストッパーでスプリング ７４により、操作レバー６８が操作状態から解放されると外側方に揺動するのを アーム２５に当接して所定姿勢で停止させるものである。

【００２８】 上記支持フレーム３１におけるサポートアーム５６上には予備ロール２０を覆 う開閉自在な蓋（カバー）７０が取付アーム５７側にヒンジ７５を介して取り付 けられており、さらにカバー７０と取付アーム５７との間には、カバー７０が開 状態と閉状態の途中において、ヒンジ７５の軸心を左右いずれかに支点越えして 開又は閉いずれかに択一的にカバー姿勢が定まるように、ドグルスプリング８０ が張設されている。

【００２９】 図１１は前述したセンサー２８の詳細図を示し、シートケース１７の側板７７ 間の後方下部には、センサー取付用のプレート７８を介してリミットスイッチか らなるセンサー２８が取り付けられ、上記取付プレート７８の前方には下端が常 に繰り出しシート１６に上端に連結されたスプリング８１によって弾力的に押接 されるＬ字形のセンサーレバー７９が回動自在に軸支され、シート１６が使い尽 くされてなくなりセンサーレバー７９が、シートケース１７下部のシートガイド 用のガイドプレート８２のスリット（図示しない）に収容される位置まで回動す ると、センサーレバー７９の上端がセンサー２８を作動させ、警報音や警告灯そ の他の表示によってオペレーターに紙切れを知らせるものである。

【００３０】 図１２はセンサー２８の他の実施例を示し、シートケース１７の後部開口部の 上下に送受信用の光電管等からなるセンサー２８ａ，２８ｂを付設し、該センサ ー２８ａ，２８ｂによって紙切れを前記同様にしてオペレーターに報知するもの である。

【００３１】

【考案の効果】

以上のように構成される本考案の装置によれば、移植苗の植付時にシートを圃 場面に押接することにより、密着させた状態でシートを貫通して行う植付が確実 且つ正確位置に行われ、植付時の植付杆からの苗の落下や姿勢乱れや植付直後の 苗の浮上（浮苗）が防止されるほか、圃場面へのシートの密着により十分な繰り 出し反力が得られるため、機体走行に伴うシートの引きずりが防止され、シート 引きずりによる苗傷みや前倒れが防止される利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】マルチ移植機の全体側面図である。

【図２】マルチ移植機の全体平面図である。

【図３】シート押さえ装置の側面図である。

【図４】（Ａ）〜（Ｃ）はシート押さえ装置の作動状態
を示す側面図である。

【図５】シート押さえ具の第１実施例を示す背面図であ
る。

【図６】（Ａ），（Ｂ）はシート押さえ具の第２，第３
実施例を示す背面図である。

【図７】シート押さえ具の第３実施例を示す側面図であ
る。

【図８】シート押さえ具の第３実施例を示す背面図であ
る。

【図９】予備ローラロック装置の正面図である。

【図１０】予備ローラロック装置の側面図である。

【図１１】シート切れ報知センサーの詳細側面図であ
る。

【図１２】シート切れ報知センサーの他の例を示す詳細
側面図である。

【符号の説明】

１ 機体 １３ 植付杆 １６ シート ４１ａ 植付苗 ４４ 押さえ具

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 阿部 善夫 島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地 １ 三菱農機株式会社内 (72)考案者 塚原 譲 島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地 １ 三菱農機株式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 機体走行に伴って圃場面（５１）を覆う
   ように繰り出されるロール状のシート（１６）と、繰り
   出されたシート（１６）上から移植苗（４１ａ）を植え
   付ける植付杆（１３）とを設けたマルチ移植機におい
   て、上記植付杆（１３）の近傍に植付杆（１３）による
   苗移植時に植付杆（１３）近傍において上記シート（１
   ６）を圃場面（５１）に押接する押さえ具（４４）を設
   けてなるマルチ移植機におけるシート押さえ装置。