JPH0734606B2 - 電線異常の診断方法 - Google Patents

電線異常の診断方法

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JPH0734606B2
JPH0734606B2 JP13831989A JP13831989A JPH0734606B2 JP H0734606 B2 JPH0734606 B2 JP H0734606B2 JP 13831989 A JP13831989 A JP 13831989A JP 13831989 A JP13831989 A JP 13831989A JP H0734606 B2 JPH0734606 B2 JP H0734606B2
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wire
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誠 遠藤
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Tohoku Electric Power Co Inc
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、電線異常の診断方法に係り、特に、交番磁束
を電線導体部分に及ぼした場合の磁気特性を測定するこ
とにより、導体部分における腐食状態などの異常を高い
精度で診断するものである。
「従来技術」 鋼心アルミ撚線等の電線は、これが海岸近くに架線され
ているなどの環境下にある場合には、その腐食の恐れが
大となる問題が生じる。
このような電線の腐食状況を非破壊によって検査する方
法として、第5図(B)(C)(D)に示すような電線
検査用コイル1B・1C・1Dを被測定電線Wに装着して通電
することにより、交番磁束を被測定電線Wの導体部分と
強磁性体部分とに交差させ、磁気特性の変化によって腐
食などの異常現象が生じているかどうかを判別すること
が考えられている。
第5図(B)の電線検査用コイル1Bは、プローブコイル
型と呼称されており、線輪が被測定電線Wの表面に沿っ
て巻回されているために、破線で示すように、発生させ
た磁束φを主として被測定電線Wの半径方向に交差させ
るものとなる。
第5図(C)の電線検査用コイル1Cは、分割コイル型と
呼称されており、被測定電線Wの周方向に沿って湾曲し
た円弧板状の鉄心に線輪が巻回されており、破線で示す
ように、発生させた磁束φを被測定電線Wの長手方向に
沿って主として外層付近に交差させるものとなる。
また、第5図(D)の電線検査用コイル1Dは、貫通コイ
ル型と呼称されており、1本の素線を被測定電線Wの表
面に螺旋状に巻回してなるもので、破線で示すように、
発生させた磁束φが被測定電線Wの内部にまで到達する
有効なものと考えられる。
「発明が解決しようとする課題] しかし、第5図(B)(C)に示す電線検査用コイル1B
・1Cを使用して電線の検査を行なう場合には、磁束φが
電線外層付近の一部分だけに交差するために、電線外層
部の局部的な異常の検出精度は高まるが、電線内層部の
異常を検出することは困難である。一方、電線検査用コ
イル1Dは、電線の外層部及び内層部、即ち電線の全層に
わたって磁束φを交差させ得るために、電線全層の異常
の有無を検出することが可能であるが、しかしこの電線
検査用コイル1Dのみでは欠陥部が外層部分であるのか内
層部分であるのかその位置を判別することができず、ま
た、被測定電線Wに巻き付けなければならないので、作
業性が悪く検査効率を低下させるなどの難点がある。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、電
線異常部分の識別性が高く、異常診断作業を効率良く行
なうものである。
「課題を解決するための手段」 本発明は、これらの課題を解決する二つの手段を提案し
ている。
第1の手段としては、複数層の素線を有する被測定電線
に交番磁束を交差させて、素線の異常の有無を検出する
方法において、主として全層に交番磁束が及ぶ電線検査
コイルを使用して、被測定電線に交番磁束を交差させて
磁気特性データの収集により被測定電線に異常が生じて
いるか否か判別し、異常が認められた場合に、主として
外層に交番磁束が及ぶ電線検査コイルを使用して、被測
定電線に交番磁束を交差させて磁気特性データの収集に
より異常が被測定電線の外層であるか否かを判別し、被
測定電線の外層に異常が認められなかった場合に、異常
発生箇所が被測定電線の内層であると特定する技術を採
用している。
第2の手段としては、複数層の素線を有する被測定電線
に交番磁束を交差させて、素線の異常の有無を検出する
方法において、第1の手段と逆の工程、つまり、主とし
て外層に交番磁束が及ぶ電線検査コイルを使用して、被
測定電線に交番磁束を交差させて磁気特性データの収集
により異常が被測定電線の外層であるか否かを判別し、
異常が認められなかった場合に、主として全層に交番磁
束が及ぶ電線検査コイルを使用して、被測定電線に交番
磁束を交差させて磁気特性データの収集により被測定電
線に異常が生じているか否か判別し、被測定電線の全層
に異常が認められた場合に、異常発生箇所が被測定電線
の内層であると特定する技術を採用している。
「作用」 第1の手段において、被測定電線の全層に交番磁束を交
差させたときに異常が認められない場合は、被測定電線
に欠陥が生じておらず、これが健全であることを意味
し、異常が認められた場合は、被測定電線の何処かに欠
陥があることを意味する。したがってこの場合におい
て、続いて被測定電線の外層付近に交番磁束を集中交差
させることにより、外層部分の異常の有無を判別して、
異常が認められない場合は、前記欠陥が内層部分にある
ことが確認され、また異常が認められた場合は、前記欠
陥が外層部分にあることが確認される。
第2の手段において、被測定電線の外層付近に交番磁束
を集中交差させたときに異常が認められた場合は、外層
部分に欠陥があることが確認され、また異常が認められ
ない場合は、被測定電線の他の部分に異常が認められる
か否かを、被測定電線の全層に交番磁束を交差させるこ
とにより診断し、全層部分に異常が認められない場合
は、被測定電線に欠陥が生じておらず、これが健全電線
であることが確認され、また全層部分において異常が認
められた場合には、被測定電線の内層部に欠陥があるこ
とが確認される。
「実施例」 以下、本発明に係る電線異常の診断方法の実施例につい
て、図面を参照しながら説明する。
第1図は、方式の異なる2種類の検査用コイル(電線検
査用コイル)を使用して、電線の異常の有無を診断する
フローの例を示すものである。
この場合、2種類の検査用コイルとして被測定電線の全
層に交番磁束を交差させるものとして第5図(D)に準
ずる特性を有するごとく開発した第5図(A)に示すも
のと、被測定電線の外層付近に交番磁束を集中交差させ
る第5図(C)に示すものとを使用する。なお、第5図
(A)に示す検査用コイル1Aは、非磁性材料からなる縦
割り状円筒体に対して巻回状態に支持され、縦割り箇所
において分割されるコイル状線輪を縦割り箇所でコネク
タにより電気的および機械的に結合してなり、第5図
(A)に示すように、磁束φを被測定電線Wの全層に交
差させ得るものである。
これら二つの検査用コイル1A,1Cを、被測定電線Wの対
象とする箇所に装着するとともに、同一箇所についてそ
れぞれインピーダンスを求めるとともに、標準電線(健
全電線)との差の有無により、電線異常の診断が行なわ
れる。
つまり、第1図のフローに示す評価診断フロー例による
理論によって、検出された欠陥が外層と内層とのいずれ
で生じているかを判定することができる。この場合の診
断フローをステップ順に説明する。
S1:第5図(A)に示す方式の検査用コイルを使用して
電線の内外層(全層)部分に交番磁束を交差させて、 S2:健全電線とのインピーダンスの差があるか否かを判
定することにより欠陥の有無を診断し、差が無い場合は
S3へ移行し、差がある場合はS4へ移行する。
S3:[診断1]全層部分に欠陥が無いことが確認され、
作業を終了する。
S4:第5図(C)に示す方式の検査用コイルを使用し
て、電線の外層部分に交番磁束を交差させて、 S5:健全電線とのインピーダンスの差があるか否かを判
定することにより欠陥の有無を診断し、差が無いか、ま
たはその差が僅かである場合はS6へ移行し、差がある場
合はS7へ移行する。
S6:[診断2]外層部分に欠陥がないことが確認され、
作業を終了する。
S7:[診断3]外層部分に欠陥があることが確認され、
作業を終了する。
これらの診断と異常状態の関係について、以下補足説明
する。
被測定電線における外層の素線と内層の素線とでは、前
述したように海岸近くの架線環境等に基づいて、外傷や
腐食の状態が相違することが起こり得る。
つまり、外層の素線には、外傷や摩耗等の異常が発生し
易く、内層の素線には、毛細管現象によって滞留した水
分等が抜けにくいこと等により酸化腐食等の異常が発生
し易くなるため、外層の素線における外傷や摩耗等の異
常は、比較的短い範囲に発生し、内層の素線における酸
化腐食等の異常は、比較的長い範囲に発生すると考えら
れる。
また、1箇所での電線検査用コイルによる測定範囲は、
例えば数10mm以下(後述する実験例では5mm)となる。
したがって、二つの検査用コイル1A,1Cにより被測定電
線における所望範囲について、異常がないこと、異
常があること、外層異常であること、内層異常であ
ることの診断をする場合において、ごく小さな範囲の診
断では、外層及び内層に同時に異常が生じている場合
に、外層に異常があると診断され、内層異常の診断がな
されない可能性があるが、狭い範囲の外層及び内層に同
時に異常が生じる確率がきわめて小さいことと、外層異
常の前後について内層異常を診断できることを考慮すれ
ばよい。
つまり、外層の素線における外傷や摩耗等の異常範囲は
短く(狭く)、内層の素線における酸化腐食等の異常は
長く(広く)なるので、内外両層に異常があったとして
も、外層の異常範囲の前後等に内層の異常範囲が存在し
て、外層の異常範囲の前後で内層の異常範囲を検出し得
る。
例えば、外層の異常が外傷によるものであると、異常範
囲が数mm程度の短いものとなり、内層の異常が腐食によ
るものであると、異常範囲が数100mm程度以上になると
考えられるので、異常範囲が重畳した場合であっても、
内層の異常を外層の異常箇所の近傍で検出できるものと
なる。
なお、電線異常の診断では、外層の異常、内層の異常、
内外層両方の異常、いずれの場合でも、異常があるとし
て扱われ、当然、異常が認められた場合には、異常の程
度を詳細に検査して、必要に応じて電線の交換等が行な
われことになる。この際に、異常箇所の特定を行なって
おくと、以後の検査作業を効率よく実施することができ
る。
[実験例] 次いで、第2図ないし第4図により実験例を説明する。
該実験例では、第1図の実施例のフローチャートに準じ
て、第5図(A)に示す全層検査用コイル1A、第5図
(C)に示す外層検査用コイル1Cの順にインピーダンス
を測定した。
即ち、検査用コイル1Aを被測定電線Wに装着してそのイ
ンピーダンスZ1nを測定し、このインピーダンスZ1nと検
査用コイル1Aを標準電線(健全電線)に装着して得たと
きのインピーダンスZ10との差 ΔZ1n=Z1n−Z10を求める。
同様に検査用コイル1Cを被測定電線Wに装着してそのイ
ンピーダンスZ2nを測定し、このインピーダンスZ2nと検
査用コイル1Cを標準電線に装着して得たときのインピー
ダンスZ20との差 ΔZ2n=Z2n−Z20を求める。
なお、実験例において使用した検査用コイル1Aおよび1C
の仕様は次の通りである。
検査用コイル1Aの仕様 0・3φエナメル線密巻き 巻数:60回 層心直径:20mmφ 検査用コイル1Cの仕様 0・3φエナメル線密巻き 巻数:60回 層心直径:20mmφ コイル長さ(軸方向寸法):5mm 第2図は、実験例で比較される電線モデルを示してお
り、サンプルSaは、鋼線の上にアルミ線を撚り合わせて
なる鋼心アルミ撚線(ACSR)の健全電線モデル、サンプ
ルSbは外層アルミ素線6本が腐食等により欠損している
電線モデル、サンプルScは内層アルミ素線6本が腐食等
により欠損している電線モデルであり、第2図におい
て、●印(黒く塗り潰した部分)は、欠損している素線
であることを意味する。
これらの電線モデルについて、周波数50ないし1000kHz
における前述のインピーダンス差を求めた。その結果を
第3図および第4図に示す。
第3図から明らかなように、第5図(A)例の検査用コ
イル1Aによると、素線欠損箇所が外層および内層にある
場合の検出感度がそれぞれ良好であり、特に周波数が高
くなるにしたがってインピーダンス差が顕著になるもの
の、素線欠損箇所によるインピーダンスの差が少なく、
この全層検査の範囲では素線欠損箇所の違いによる特性
差が生じない。
これに対して、第4図から明らかなように、第5図
(C)例の検査用コイル1Cによると、素線欠損箇所が外
層である場合の検出感度が良好であり、特に周波数が低
い領域から、内外層のインピーダンス差が顕著なものと
なるため、欠陥箇所の判定が容易となる。
なお、第1図のフローに基づく説明では、全層部分の欠
陥の有無を判定した後に、外層部分の欠陥の有無を判定
するようにしたが、S4とS1の手順を逆にする診断方法を
採ることもできる。
つまり、外層検査用の検査用コイル1Cにより、外層の異
常の有無を判定し、異常が認められなかった場合に、全
層検査用の検査用コイル1Aにより、全層の異常の有無を
判定して、異常の程度により異常発生箇所を特定するも
のである。
「発明の効果」 本発明による電線異常の診断方法によれば、方式の異な
る2種類の検査用コイルを用いて、電線の全層部分と外
層部分とに範囲の異なる磁束を交差させて、全層に異常
があるか否かの判別と、外層に異常があるか否かの判別
とを行なうことにより、電線に異常がないこと、電線に
異常があること、電線の外層異常であること、電線の内
層異常であることをそれぞれ診断確認することができ、
その場合に、欠陥の発生予想部分に適した検査用コイル
と他の検査用コイルとの使い分けにより、確実にかつ迅
速に異常を識別して、事後の処理を容易に行なうことが
できるなどの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係る電線異常の診断方法の実施例の
フローチャート、第2図(A)ないし(C)は、実験例
で比較される電線モデルの説明図、第3図は、全層検査
用コイルで求めたインピーダンス差と電線欠損箇所との
周波数特性図、第4図は外層検査用コイルで求めたイン
ピーダンス差と電線欠損箇所との周波数特性図、第5図
(A)ないし(D)は、電線検査に使用されるコイルモ
デルの説明図である。 1A〜1D……検査用コイル(電線検査用コイル)、W……
被測定電線。
フロントページの続き (72)発明者 岩泉 泰 宮城県仙台市青葉区一番町2丁目3番22号 藤倉電線株式会社仙台支店内 (72)発明者 福田 淳治 東京都江東区木場1丁目5番1号 藤倉電 線株式会社内 (72)発明者 小島 泰雄 東京都江東区木場1丁目5番1号 藤倉電 線株式会社内 (56)参考文献 特公 昭51−1035(JP,B1)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数層の素線を有する被測定電線(W)に
    交番磁束を交差させて、素線の異常の有無を検出するも
    のであって、主として全層に交番磁束が及ぶ電線検査コ
    イル(1A)を使用して、被測定電線に交番磁束を交差さ
    せて磁気特性データの収集により被測定電線に異常が生
    じているか否か判別し、異常が認められた場合に、主と
    して外層に交番磁束が及ぶ電線検査コイル(1C)を使用
    して、被測定電線に交番磁束を交差させて磁気特性デー
    タの収集により異常が被測定電線の外層であるか否かを
    判別し、被測定電線の外層に異常が認められなかった場
    合に、異常発生箇所が被測定電線の内層であると特定す
    ることを特徴とする電線異常の診断方法。
  2. 【請求項2】複数層の素線を有する被測定電線(W)に
    交番磁束を交差させて、素線の異常の有無を検出するも
    のであって、主として外層に交番磁束が及ぶ電線検査コ
    イル(1C)を使用して、被測定電線に交番磁束を交差さ
    せて磁気特性データの収集により異常が被測定電線の外
    層であるか否かを判別し、異常が認められなかった場合
    に、主として全層に交番磁束が及ぶ電線検査コイル(1
    A)を使用して、被測定電線に交番磁束を交差させて磁
    気特性データの収集により被測定電線に異常が生じてい
    るか否か判別し、被測定電線の全層に異常が認められた
    場合に、異常発生箇所が被測定電線の内層であると特定
    することを特徴とする電線異常の診断方法。
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