JPH0734395Y2 - 放射性物質の収納容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、使用済み核燃料等の放射性物質を輸送、ある
いは貯蔵するために収納する容器に関する。

［従来の技術］ 原子力発電所の使用済み核燃料等の放射性物質を容器に
収納する場合、放射線を遮蔽するために、その収納は水
中で行う。従って、放射性物質を収納した容器中には放
射性物質とともに水が満たされている。このままの状態
にしておくと、放射線の作用による発熱によって蒸気が
発生し容器内に圧力がかゝるので、放射性物質を収納
後、排水しなければならない。このため、放射性物質の
収納容器には排水手段が設けられている。

従来の放射性物質の収納容器には、重力排水手段を備え
た容器及び吸い上げ排水手段を備えた容器の２種類があ
る。第４図は重力排水手段を備えた収納容器を示す断面
図である。この収納容器は容器本体１と、その上下をそ
れぞれ覆い上記容器本体１を保護する衝撃吸収カバー2
a,2bよりなる。容器本体１は円筒形の側板３及び底板４
によって収納部が形成され、上部は一次蓋５、二次蓋６
によって密閉されるようになっている。底板４には排水
孔７が設けられ、この排水孔７の外側端部にはプラグ８
が取り付けられている。９は放射線の漏洩防止のための
鉛製の補助遮蔽材である。そして、収納容器側部上下の
対向する位置には、それぞれ収納容器を吊り上げ用のト
ラニオン10a,10b及び11a,11bの２対が設けられている。

この収納容器内の水の抜き出しは、プラグ８を外し、重
力排水する。

第５図は吸い上げ排水手段を備えた収納容器を示す断面
図である。この収納容器は一次蓋５に排水孔12を設け、
この排水孔12に排水パイプ13を接続させている。他の構
成部分は第４図と同じである。

この収納容器内の水の抜き出しは、排水孔12に吸い上げ
手段を接続し、排水する。

［考案が解決しようとする課題］ しかし、上記従来の収納容器においては、その排水手段
にそれぞれ解決すべき問題を有している。

第４図の収納容器にあっては、排水孔７を設けるために
底板４を厚くしなければならず、また排水孔７から漏洩
する放射線を遮蔽するために、排水孔７を覆う補助遮蔽
材９が必要である。

また、第５図の収納容器にあっては、多量の排水を行う
には大容量のポンプが必要であるとともに、排水完了ま
でには長時間を要する。

本考案は、上記従来の収納容器における問題を解決し、
排水手段の構造が簡単であり、且つ排水が容易な放射性
物質の収納容器を提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段及び作用］ 上記の目的を達成するために、本考案は、側部に吊り下
げ用のトラニオンを有する放射性物質の収納容器を改良
したものであり、容器本体下部のトラニオンのうち少な
くとも一つのトラニオンには排水孔を有し、前記容器本
体の側板には該側板を貫通し前記排水孔と接続する斜孔
を設けている。

上記容器本体の排水経路は、側板に設けた斜孔とトラニ
オンに設けた排水孔が接続した流路であり、斜孔とトラ
ニオンの排水孔の接続部でその方向を変え、屈曲してい
る。そして放射線（γ線）は直進するので、容器本体内
で発生する放射線は上記排水孔の内面に衝突して減衰す
るとともに、トラニオンが遮蔽材の役目をなす。

［実施例］ 第１図は本考案の一実施例を示す断面図である。第１図
において、第４図及び第５図と同じ構成部分については
同一の符号を付し説明を省略する。本実施例において
は、重力排水及び吸い上げ排水よりなる二つの排水手段
を備えた放射性物質の収納容器である。

重力排水のためには、収納容器本体１下部のトラニオン
11a,11bの少なくとも一つに排水孔14が設けられ、側板
３には、この側板３を貫通しトラニオンの排出孔14と接
続する斜孔15が設けられている。斜孔15の開口部は内側
が高く、外側が低い傾斜になっている。８はプラグであ
る。

吸い上げ排水のためには、第５図の収納容器と同様に排
水パイプ13を備えている。

第２図は収納容器本体下部の部分断面図、第３図は収納
容器本体下部の部分側面図である。図中３は側板、４は
底板、15は斜孔、10aはトラニオンである。プラグ８は
Ｏ−リング16a,16bが２箇所に介装されて取り付けられ
ている。17はプラグ８を押圧するプラグ押えであり、ト
ラニオン10aにネジ止めされている。斜孔15の傾斜の度
合いは第２図に示すように、内側開口の下端の高さh₁を
少なくとも外側開口の上端高さh₂と同じにし、好ましく
はh₂よりもh₁を高くし、収納容器本体内部から発生する
放射線の直進を阻止する。

本実施例において排水をする場合、まず、プラグ８を外
して重力排水し、次いで、底部に残留する水を排水パイ
プ13によって吸い上げる。このように、大部分の水を排
水速度が大きい重力排水によって排出し、残りの僅かの
水を吸い上げ排水することにより、収納容器内の水を速
やかに排出することができる。

［考案の効果］ 本考案は、容器本体下部のトラニオンに排水孔を設けて
上記排水孔と側板に設けた斜孔を接続させ、排水流路を
方向転換させた構造である。このため、放射線がトラニ
オンによって遮蔽され、排水の流出部に遮蔽材を備える
必要がない。

また、トラニオンが排水手段兼用であるので、別途に排
水孔を設ける必要がなく、さらに、底板に排水孔を設け
ないので、底板の板厚を薄くすることができ、構造の簡
素化及び重量軽減によりコストを低減することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す断面図、第２図は第１
図の収納容器本体下部の部分断面図、第３図は第１図の
収納容器本体下部の部分側面図、第４図及び第５図は従
来の収納容器を示す図で、第４図は重力排水手段を備え
た収納容器の断面図、第５図は吸い上げ排水手段を備え
た収納容器の断面図である。 １……容器本体、1a,2b……衝撃吸収カバー、３……側
板、４……底板、５……一次蓋、６……二次蓋、８……
プラグ、10a,10b,11a,11b……トラニオン、13……排水
パイプ、14……トラニオンの排水孔、15……斜孔、16a,
16b……Ｏ−リング、17……プラグ押え。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】側部に吊り下げ用のトラニオンを設けた放
   射性物質の収納容器において、容器本体下部のトラニオ
   ンのうち少なくとも一つのトラニオンには排水孔を有
   し、前記容器本体の側板には該側板を貫通し前記排水孔
   と接続する斜孔を設けたことを特徴とする放射性物質の
   収納容器。