JPH0339759Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は原子炉リアクタウエルのシール装置に
関するものである。

「従来の技術」 一般に、沸騰水型原子炉における核燃料の交換
作業等は、原子炉圧力容器の上蓋を開いた状態で
行なわれているが、このとき、主として放射性物
質の拡散を防止することを目的として、原子炉圧
力容器内の核燃料を水没状態にするとともに、原
子炉格納容器および原子炉圧力容器の上方にシー
ル水の層を設ける必要がある。

第２図は、原子炉格納容器１と原子炉圧力容器
４との上部空間を液密に区画して、リアクタウエ
ル６とドライウエル７とに分離させるシール装置
CNの従来例を示すものである。該シール装置Ｃ
は、原子炉圧力容器４の上部外周壁に垂設された
支持リング８と、原子炉格納容器１の上部フラン
ジ２の下方における内壁に一体に設けられた環状
のバルクヘツド１３との間に、垂直ベローズ９が
配設され、そして、該垂直ベローズ９の内側方及
び外側方をガードリング１０，１１で覆い、該ガ
ードリング１０とバルクヘツド１３の上面との間
に液密とするための水平なシールプレート１４が
設けられた構造となつている。また、第２図例で
は原子炉格納容器１の上部と原子炉建屋１５との
間にも、同様のシール装置Ｂが設けられている。
なお、第２図において、符号１６はたまつた水を
排出するためのドレン抜き、符号１７はリング状
窪部で、原子炉格納容器１の上部フランジ２と垂
直ベローズ９のガードリング１０との間に形成さ
れるものを示す。

このようなシール装置Ｃ等を使用することによ
り、リアクタウエル６に第２図に水位WLで示す
ように貯水可能となるとともに、原子炉運転中に
熱伸縮あるいは地震等の外荷重によつて生じる変
位を垂直ベローズ９で吸収することができるよう
になる。

「考案が解決しようとする問題点」 しかしながら、第２図例の構造であると、前記
使用済燃料の交換作業時の水没により、第２図鎖
線Ｘで示すように、リング状窪部１７に水がたま
り、放射性物質の付着堆積する現象が生じ易く、
かつ、リング状窪部１７は、その容積が大きいた
めに、ドレン抜き１６により排水をした後におい
ても、除染作業に多大の労力が必要となり、作業
員の被ばく線量が多くなり易い等の問題点があつ
た。

本考案は上記問題点を有効に解決することを目
的とするものである。

「問題点を解決するための手段」 本考案に係る原子炉リアクタウエルのシール装
置は、原子炉格納容器の上部フランジの内側に、
上部フランジ面とほぼ同一高さの水平面を有する
バルクヘツドを配設し、該バルクヘツドの内側と
原子炉圧力容器との間に、前記水平面よりも下方
に位置するドレン抜きを有するとともにリアクタ
ウエルとドライウエルとの間を液密に区画するシ
ール部を設けた構成を有するものである。

そして、リアクタウエルの貯水後の排水時にお
いて、バルクヘツドが水平面であることにより、
バルクヘツドの部分における窪部の形成をなくし
てバルクヘツドの上の水が停滞する現象や、放射
性物質が堆積する現象の発生を防止する、バルク
ヘツドからシール部への水の流れは、水平面に沿
うものとなつて単純化され、シール部に流された
水は、ドレン抜きによつて排水される。

また、バルクヘツドの水平面が上部フランジ面
の高さとされることにより、ドライウエルの上部
にシール部のドレン抜きが設定される。

「実施例」 以下、第１図を参照して本考案の原子炉リアク
タウエルのシール装置の一実施例を説明する。な
お、図中従来例と共通の部分には同一符号を付
し、説明を簡略化する。

該一実施例のシール装置Ａは、原子炉格納容器
１の上部フランジ２とその内側のバルクヘツドと
が、ほぼ同一水平面状態となるように配設される
とともに、該バルクヘツド３の内側と原子炉圧力
容器４との間に、前記水平面よりも下方に位置す
るシール部５が設けられて、これらにより原子炉
格納容器１と、原子炉圧力容器４との空間を、リ
アクタウエル６とドライウエル７とに区画してい
るものである。そして、前記シール部５は、原子
炉圧力容器４の外周壁に垂設された支持リング８
と、バルクヘツド３の内側部との間に、垂直ベロ
ーズ９を配設して構成されており、該垂直ベロー
ズ９の内側方及び外側方はガードリング１０，１
１で覆われ、内側方のガードリング１０は、バル
クヘツド３に垂設されるとともに、垂直なシール
プレート１２により液密構造となつている。

このような構造を有するシール装置Ａである
と、リアクタウエル６に水位WLで示すように、
貯水を行ない、次いで排水を行なつたときに、バ
ルクヘツド３の上面が水平をなすとともに、その
内外の原子炉格納容器１の上部フランジ２あるい
はシール部５と同一平面となつているので、放射
性物質が混入した水がバルクヘツド３の上面にた
まることがなくなる。また、前述の貯水を行なつ
たときに、バルクヘツド３の上面に放射性物質が
付着堆積した場合であつても、シール部５あるい
は他のシール装置Ｂの方に清水で洗い流し、ドレ
ン抜き１６から排出することにより、容易に除染
することができるようになる。

「考案の効果」 以上説明したように、本考案に係る原子炉リア
クタウエルのシール装置は、バルクヘツドが水平
面とされているから、窪部の形成をなくして、核
燃料の交換時の貯水時に、バルクヘツドの上に水
が停滞する現象や放射性物質が堆積する現象の発
生を低減して、バルクヘツドの排水作業性を向上
させることができる。

そして、バルクヘツドの水平面よりも下方位置
にシール部のドレン抜きが設けられることによ
り、放射性物質がバルクヘツドの上面に付着堆積
した場合であつても、洗い流すことが簡単に実施
し得て、ひいては作業員の被曝線量を低減するこ
とができる。

また、バルクヘツドの水平面を上部フランジ面
の高さに合わせて、その下方位置にシール部のド
レン抜きを設置することにより、上部フランジ面
及びバルクヘツド上面からシール部までの形状を
平面状とする単純化を図ることができる等の効果
を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の原子炉リアクタウエルのシー
ル装置の一実施例を示す縦断面図、第２図はその
シール装置の従来例を示す縦断面図である。 １……原子炉格納容器、２……上部フランジ、
３……バルクヘツド、４……原子炉圧力容器、５
……シール部、６……リアクタウエル、７……ド
ライウエル、８……支持リング、９……垂直ベロ
ーズ、１０，１１……ガードリング、１２……シ
ールプレート、１５……原子炉建屋、１６……ド
レン抜き、Ａ……シール装置、Ｂ……シール装
置、WL……水位。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 原子炉格納容器の上部フランジの内側に、上部
   フランジ面とほぼ同一高さの水平面を有するバル
   クヘツドを配設し、該バルクヘツドの内側と原子
   炉圧力容器との間に、前記水平面よりも下方に位
   置するドレン抜きを有するとともにリアクタウエ
   ルとドライウエルとの間を液密に区画するシール
   部を設けたことを特徴とする原子炉リアクタウエ
   ルのシール装置。