JPH0531599Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は主として原子力発電所の原子炉におい
て、放射性物質で汚染された制御棒駆動機構を洗
浄する分解洗浄用水槽の遮蔽構造に関する。

〔従来技術及びその問題点〕

原子力発電所の原子炉一次系或いは廃棄物処理
系で利用される多くの機器配管類は、その構成上
避けることのできない放射性の微細なクラツドが
蓄積又は付着し易い。そのため、定期検査や補修
改造において機器の分解手入れ作業時にこの蓄積
付着している放射性クラツドにより作業員に放射
線被曝を与えることになる。そこで、この放射線
被曝を可能な限り減少するため、運搬可能な汚染
された機器については水を遮蔽材とし、それを水
槽内に水没させ、その水槽内で機器の分解洗浄或
いは超音波洗浄等を実施していることが既に知ら
れている。しかしながら、機器の分解洗浄により
その水槽内には当然に除去された放射性クラツド
が蓄積する。そのため、例えその洗浄水を排水し
ても、水槽とその排水系を構成している配管の各
部に放射性クラツドが経年的に蓄積する。特に、
この配管の曲がり部や継ぎ合わせ溶接部や弁の前
後等にクラツドの蓄積が多くなり、配管自体が高
線量の放射線源となる。

そこで、従来この配管からの被曝低減対策とし
て第３図の如く水槽３の下部に鉛板１２を設置し
て配管１，１ａの放射線遮蔽を行つていた。

即ち、一例として被洗浄物が制御棒駆動機構
（以下CRDという）の水槽３は、その底面に複数
の配管口１３，１３ａが開口し、それにドレン配
管１ａ及び排水用の配管１が連通されている。そ
して、水槽３の作業を主として行う前面側下部に
厚さ数cm以内の鉛板１２が設けられ、配管１，１
ａから放出される放射線を遮蔽するものとしてい
た。ところが、配管構成が複雑な場合には干渉物
その他により遮蔽材の取付け位置に規制が生じ、
有効な遮蔽が難しくなる。又、この鉛板１２は重
量が大であり、取扱い難く配管の全周を囲むのが
困難であるため、水槽の裏面側又は床面に放射さ
れた放射線が反射し、作業室内の線量を高めてい
た。さらにはこの遮蔽体となる鉛板自体が柔らか
い物質であるため、工具その他により傷付きやす
く、その傷部分に放射性クラツドが付着すると、
除染しにくく、それらが蓄積して遮蔽体自体も放
射線源となり得る。

〔考案の概要〕

そこで、本考案は以上の問題点を解決するため
次の構成をとる。

即ち、洗浄水が満たされる内部に放射性物質で
汚染された制御棒駆動機構が上方から着脱自在に
載置される支持台８を内部に有し、上端が開放さ
れ側方から作業者が洗浄作業をおこなえるように
構成された細長い水槽３と、該水槽３の底のほぼ
全面が該水槽３の内部から独立した二重底となる
ように、該底に十分なる水充填空間を介して設け
られた細長い水容器２と、該水容器２内にその長
手方向に沿つて敷設され、少なくとも一端が水槽
３と連通するドレン配管１，１ａと、該水容器２
に下端開口が連通し上端開口が前記水槽３の前記
洗浄水の上方に位置されるオーバーフロー管７
と、該水容器２の内部に連通して該容器内に清浄
な水を供給する給水口５ａと、を具備する制御棒
駆動機構の分解洗浄用水槽である。

〔作用〕

このように構成することにより、水容器２内に
給水口５ａから清浄な水を挿脱自在に給水し、内
部の空気をオーバーフロー管７を介して排出する
と共に、オーバーフロー管７の上端から清浄な水
がオーバーフローしたことにより、水容器２内が
水で満たされたことを容易に確認することができ
る。そして、水槽３に洗浄水を満たし、支持台８
に水槽３に上方から汚染された制御棒駆動機構９
を載置し、水槽内で洗浄すればよい。このとき洗
浄に使用されたドレン水は、ドレン配管１，１ａ
に流通し、それら配管類に放射線汚染物質が付着
する。

しかしながらそれらの配管類は、外周が清浄な
水が満たされた水容器２により完全に遮蔽されて
いるため、水槽３の側方から洗浄作業をする作業
員に与える被爆量を飛躍的に減少させることがで
きる。

しかも、この水容器２は水槽３の底面を利用し
二重底型に形成されているため、より確実な遮蔽
構造となる。

〔考案の実施例〕

次に図面に基づいて本考案の実施例につき説明
する。

第１図は本考案の第１実施例の横断面図であ
る。

同図で分解洗浄用水槽３自体は第３図に示す従
来型水槽と同様に構成され、その下面に同様のド
レン配管１ａ、洗浄水排水用配管１が設けられて
いる。そして、各配管１，１ａは水槽３の底面に
開口された複数の配管口に連通する。又、水槽３
内には第１図に示す如く適宜な支持体８その他が
立設され、その上端に適宜形状の支持ローラ１１
が設けられている。この支持ローラ１１には被洗
浄物であるCRD（制御棒駆動機構）９が着脱自在
に支持される。そして、水槽３の上端縁近傍に水
槽給水管４が設けられている。

ここにおいて、本考案の特徴とするところは水
槽３の下面に連設し、別個の水容器２が水槽３に
沿つて設けられ、その水容器２が各配管１，１ａ
を取り囲むように形成されている。そして、この
水容器２の一方側面には遮蔽水給水管５が貫通
し、その給水口５ａが水容器２内に開口する。さ
らに、他方の側面にはオーバーフロー管７の一端
が開口すると共に、該管７の上端が水槽３の上方
に開口している。しかしながら、このオーバーフ
ロー管７の上端が分解洗浄用水槽３の水面に接
し、又は水槽内に水没することはない。又、水容
器２の下面には遮蔽水排水管６が設けられてい
る。而して、遮蔽水給水管５により容器２内に清
浄な水を供給する。そして、オーバーフロー管７
の上端からオーバーフロー水が出るまで給水し、
容器２内を水で充満させる。それと共に、水槽給
水管４より水槽３内に水を供給し、その水槽３内
に被洗浄物であるCRD９を水没させる。そして、
該CRDを適宜な方法で洗浄する。このとき、水
槽３内の水は配管１又は１ａを通じ、適宜なフイ
ルターによりクラツドが取り除かれて再び、給水
管４により水槽３内に供給される。しかしなが
ら、各配管１，１ａの内面には高線量の放射性物
質が付着し、各配管１，１ａ自体から外方へ放射
線が放出されている。この放射線は水容器２内の
清浄な水により遮蔽され、容器２の外部にまで達
するものは殆どない。又、この容器２内の水は清
浄な水であり、配管１又は水槽３内の水とは分離
されたものであるから、汚染されることもない。
なお、配管１，１ａを点検整備するには水容器２
内の清浄な水を遮蔽水排水管６より排出し、水容
器２に設けた図示しない適宜な蓋を開口するこに
より、行うことができる。又、配管１，１ａはで
きる限りその付帯する部品点数を少なくしてシン
プルにし、放射性クラツドの蓄積を減少すること
が好ましい。

次に、第２図は本考案の第２実施例を示す横断
立面図である。

この実施例では水容器２自体が二重底に形成さ
れ、第１の底面と各配管１，１ａとの間は空間で
構成されている。それと共に、第１の底面と第２
の底面との間に清浄な水が充満するように構成し
たものである。なお、これらの清浄な水は容器２
内に密閉されたものであるから、汚染することが
なく、この清浄な水自体を床面その他の除染の際
に使用することができる。

〔考案の効果〕

本考案の分解清浄用水槽は、水槽の底面を利用
しその底面全面が独立した二重底となるように構
成し、そこに放射線遮蔽用の水容器２を形成した
ものであるから、極めて簡単な構成により且つ、
内部に敷設されたドレン配管から生じ放射線を確
実に遮蔽し、水槽の側方で洗浄作業をおこなう作
業者の放射線被爆を効果的に防止できる。

しかも、この水容器は水槽とは独立し、内部に
清浄な水を供給すると共に、その水容器にオーバ
ーフロー管７が配置され、それが水槽の上方に開
口するように位置されたから、確実に水容器内に
清浄な水が充填されたことを確認することができ
る。

そして、構造が簡単で取扱い易い分解洗浄用水
槽を得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例を示す分解洗浄用
水槽の横断面立面図、第２図は同第２実施例の横
断面立面図、第３図は従来型分解洗浄用水槽の遮
蔽構造を示す斜視図。 １，１ａ……配管、２……水容器、３……水
槽、４……水槽給水管、５……遮蔽水給水管、６
……遮蔽水排水管、７……オーバーフロー管、８
……支持台、９……CRD（制御棒駆動機構）、１
０……脚、１１……支持ローラ、１２……鉛板、
１３，１３ａ……配管口、５ａ……給水口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 洗浄水が満たされる内部に放射性物質で汚染さ
   れた制御棒駆動機構が上方から着脱自在に載置さ
   れる支持台８を有し、上端が開放され側方から作
   業者が洗浄作業をおこなえるように構成された細
   長い水槽３と、該水槽３の底のほぼ全面が該水槽
   ３の内部から独立した二重底となるように、該底
   に十分なる水充填空間を介して設けられた細長い
   水容器２と、該水容器２内にその長手方向に沿つ
   て敷設され、少なくとも一端が水槽３と連通する
   ドレン配管１，１ａと、該水容器２に下端開口が
   連通し上端開口が前記水槽３の前記洗浄水の上方
   に位置されるオーバーフロー管７と、該水容器２
   の内部に連通して該容器内に清浄な水を供給する
   給水口５ａと、を具備する制御棒駆動機構の分解
   洗浄用水槽。