JPH0734195A - 高温特性の優れた鋼および鋼管の製造方法 - Google Patents

高温特性の優れた鋼および鋼管の製造方法

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JPH0734195A
JPH0734195A JP17574693A JP17574693A JPH0734195A JP H0734195 A JPH0734195 A JP H0734195A JP 17574693 A JP17574693 A JP 17574693A JP 17574693 A JP17574693 A JP 17574693A JP H0734195 A JPH0734195 A JP H0734195A
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JP
Japan
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steel
strip
temperature
steel pipe
less
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JP17574693A
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Inventor
Akihiro Miyasaka
明博 宮坂
Junji Yamanaka
淳史 山中
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は高温特性の優れた鋼および鋼管の製
造方法に係り、さらに詳しくは、例えば自動車排気系等
において優れた耐酸化性と高温強度を有する鋼あるいは
鋼管を製造する方法に関する。 【構成】 Crを重量%で3.5〜9.9%、Siを
0.3〜3.0%とMn,AlおよびMo,Wの1種以
上を含有し、C,N等を低減した鋼を、所定の条件で熱
延、冷延、熱処理するか、あるいはさらに所定の条件で
鋼管として造管することを特徴とする高温特性の優れた
鋼および鋼管の製造方法。あるいはさらに、熱延後に再
結晶熱処理するか、付加成分として、Nb,V,Ti,
Zr,Ta,Hf,希土類元素,Caを含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高温特性の優れた鋼およ
び鋼管の製造方法に係り、さらに詳しくは、例えば自動
車のエンジンに取り付けられるエギゾーストマニホール
ド用、排気ガス浄化触媒保持基体用、自動車排気系のフ
ロント部分の鋼管等として、耐酸化性、強度や加工性等
の特性に優れ、かつ低コストの鋼および鋼管を製造する
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車のエギゾーストマニホール
ド(以下エキマニと称する)には、従来の鋳鉄製エキマ
ニに代えて、ステンレス鋼製のエキマニが使用される例
が増加している。これはステンレス鋼製エキマニの方が
肉厚を薄くすることが可能であり、自動車の軽量化に大
きく役立つためである。JIS(日本工業規格)のSU
S310等のオーステナイト系ステンレス鋼は優れた耐
熱性および加工性を有しているので一般の耐熱用途に広
く使用されている。しかし、この種の鋼は一般に高価で
ある上に、熱膨張係数が大きく、熱疲労特性に劣るとい
う難点を有している。
【0003】一方、フェライト系ステンレス鋼は、一般
にオーステナイトステンレス鋼よりも熱膨張係数が小さ
いので熱疲労特性に優れることから、エキマニのように
加熱・冷却の温度サイクルを受ける用途には適している
と言える。このため、JIS規格G4305に定めるS
US410LやSUS430LX等が既に、エキマニ等
として実用されている。さらに、例えば特開昭64−8
254号公報や特開平2−175843号公報ではCr
を多量に含有し、高温強度を改善したフェライト系ステ
ンレス鋼が提案されている。しかし、これらのフェライ
ト系ステンレス鋼は非常に高価であり、エキマニに使用
した場合には、鋳鉄製エキマニに比べてコストが著しく
高く、排気ガス浄化触媒用としてもコストが高い、とい
う難点がある。かつ、Crを多量に含有しているために
加工性がよいとは言えず、エキマニや排気ガス浄化触媒
のような複雑な形状を形成するためには、製造工程が複
雑になり加工コストも高くなるという難点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこうした現状
に鑑みて、自動車排気系等の高温における強度が高く、
かつ耐酸化性に優れる鋼および鋼管を、低コストで製造
する方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成すべく、排気系統をはじめとする高温環境におい
て優れた耐酸化性と高温強度を有する鋼とその製造方法
を開発するべく、種々の観点から検討してきた。まず、
本発明者らは上記の目的を達成すべく種々検討した結
果、Crを従来のステンレス鋼とは逆に3.5〜9.9
%と比較的少なくした鋼に、SiおよびMo,Wを複合
添加することによって高温強度および高温での耐酸化性
を大きく改善できること、合金元素量の範囲を特定の条
件を満足するように厳密に制御すると一段と高温での耐
酸化性と高温強度が改善されることを見出した。さらに
本発明者らは、かかる鋼にNb,V,Ti,Zr,T
a,Hfを添加すると加工性が一段と改善され、一方、
希土類元素あるいはCaを添加すると、高温での耐酸化
性もよくなることを見出した。さらに本発明者らはかか
る鋼および鋼管を低コストで製造する方法について検討
を続けた結果、高Cr鋼を鋼片から帯鋼とし最終的に再
結晶焼鈍するに際して、あるいはさらに造管するに際し
て、プロセス条件を精密に選択すれば、かかる目的に適
した鋼あるいは鋼管が得られることを見出した。
【0006】本発明はかかる知見に基づいてなされたも
のであり、第1発明が要旨とするところは、重量%でS
i:0.3〜3.0%、 Mn:0.02〜2.0
%、Cr:3.5〜9.9%、 Al:0.01〜
1.0%、Mo,Wの1種または2種を合計で0.5〜
3.0%含有し、Cを0.03%以下、 Pを
0.03%以下、Sを0.03%以下、 Nを
0.02%以下、に低減し、残部Feおよび不可避不純
物からなり、次式で与えられるOR値 OR値=〔%Cr〕+4〔%Si〕−17〔%C〕−3
〔%N〕 が6.5以上である高Cr鋼片を、下記の工程で順次鋼
板とすることを特徴とする高温特性の優れた鋼の製造方
法にある。 鋼片を1150〜1300℃の温度に加熱した後に、
圧延完了温度が650℃以上で板厚1.6mm以上6.0
mm以下のホットストリップに熱間圧延し、帯鋼として巻
き取る工程、 上記の熱延帯鋼を、累積圧下率が40%以上の冷間圧
延を加えて冷延帯鋼とする工程、 上記の冷延帯鋼を、760℃以上の温度に0.5min
以上保持する熱処理を施して再結晶させる工程。
【0007】また、第2発明が要旨とするところは、第
1発明において、熱延帯鋼を冷間圧延する前に、740
℃以上の温度に0.5min 以上保持する熱処理を施して
再結晶させる高温特性の優れた鋼の製造方法にある。第
3発明が要旨とするところは、第1発明あるいは第2発
明において、高Cr鋼片が付加成分としてさらに、重量
%で、Nb,V,Ti,Zr,Ta,Hfの1種または
2種以上であって、その含有量が合計として0.01%
以上1.0%未満含有する高温特性の優れた鋼の製造方
法にある。第4発明が要旨とするところは、第1発明、
第2発明あるいは第3発明において、高Cr鋼片が付加
成分としてさらに、重量%で、希土類元素:0.001
〜0.1%、Ca:0.0005〜0.03%、の1種
または2種を含有する高温特性の優れた鋼の製造方法に
ある。
【0008】さらに、第5発明の要旨とするところは、
重量%で、Si:0.3〜3.0%、 Mn:0.0
2〜2.0%、Cr:3.5〜9.9%、 Al:
0.01〜1.0%、Mo,Wの1種または2種を合計
で0.5〜3.0%、含有し、Cを0.03%以下、
Pを0.03%以下、Sを0.03%以下、
Nを0.02%以下、に低減し、残部Feおよび不
可避不純物からなり、次式で与えられるOR値 OR値=〔%Cr〕+4〔%Si〕−17〔%C〕−3
〔%N〕 が6.5以上である高Cr鋼片を、下記の工程で順次鋼
管とすることを特徴とする高温特性の優れた鋼管の製造
方法にある。 鋼片を1150〜1300℃の温度に加熱した後に、
圧延完了温度が650℃以上で板厚1.6mm以上6.0
mm以下のホットストリップに熱間圧延し、帯鋼として巻
き取る工程、 上記の熱延帯鋼を、累積圧下率が40%以上の冷間圧
延を加えて冷延帯鋼とする工程、 上記の冷延帯鋼を、760℃以上の温度に0.5min
以上保持する熱処理を施して再結晶させる工程、 上記の帯鋼を所定の幅に切断した後、ロール成形によ
って連続的に円筒状に成形しながら、鋼帯両端を溶接し
て鋼管として造管する工程。
【0009】また、第6発明が要旨とするところは、第
5発明において、の工程によって再結晶させた帯鋼の
段階から鋼管として造管されるまでに鋼に付加される全
歪量εを、帯鋼の板厚t(mm)、電縫鋼管の最終外径D
(mm)に対して、ε≦t/D+0.03とすることを特
徴とする高温特性に優れた鋼管の製造方法にある。第7
発明が要旨とするところは、第5発明あるいは第6発明
において、熱延帯鋼を冷間圧延する前に、740℃以上
の温度に0.5min 以上保持する熱処理を施して再結晶
させる高温特性の優れた鋼管の製造方法にある。第8発
明が要旨とするところは、第5発明、第6発明あるいは
第7発明において、鋼管として造管し最終外径にある鋼
管を、760℃以上の温度に1min 以上保持する熱処理
を施して再結晶させる高温特性の優れた鋼管の製造方法
にある。第9発明が要旨とするところは、第5発明、第
6発明、第7発明あるいは第8発明において、高Cr鋼
片が付加成分としてさらに、重量%で、Nb,V,T
i,Zr,Ta,Hfの1種または2種以上を、その含
有量が合計として0.01%以上1.0%未満含有する
高温特性に優れた鋼管の製造方法にある。第10発明が
要旨とするところは、第5発明、第6発明、第7発明、
第8発明あるいは第9発明において、高Cr鋼片が付加
成分としてさらに、重量%で、希土類元素:0.001
〜0.1%、Ca:0.0005〜0.03%、の1種
または2種を含有する高温特性の優れた鋼管の製造方法
にある。
【0010】さらに、第11発明が要旨とするところ
は、第6発明、第7発明、第8発明、第9発明あるいは
第10発明において、鋼帯両端を電気抵抗溶接によって
溶接して電縫鋼管として造管する鋼管の製造方法にあ
り、第12発明が要旨とするところは、第6発明、第7
発明、第8発明、第9発明あるいは第10発明におい
て、鋼帯両端をレーザ溶接によって溶接して鋼管として
造管する鋼管の製造方法にあり、第13発明が要旨とす
るところは、第6発明、第7発明、第8発明、第9発明
あるいは第10発明において、鋼帯両端を溶接する手段
が電縫溶接とレーザ溶接との複合溶接である鋼管の製造
方法にある。
【0011】
【作用】まず、本発明方法が対象とする高Cr鋼おい
て、各成分の範囲を限定した理由を述べる。 Si:SiはCrを3.5%以上含有する鋼に複合して
添加すると、高温での耐酸化性改善効果が顕著であり、
またフェライト組織を確保するためにも必要な元素であ
って、含有量が0.3%未満ではその効果が充分ではな
く、3.0%を超えて含有すると常温での靭性と加工性
が低下するので、含有量範囲を0.3〜3.0%に限定
する。 Mn:Mnは鋼の脱酸剤として必要で0.02%以上を
含有させる必要があるが、2.0%を超えて含有させて
もその効果はもはや飽和しているばかりか、過剰にMn
を含有させるとフェライト単相組織を確保することが難
しくなるので、上限含有量は2.0%とする。
【0012】Cr:CrはSiと複合して添加して、エ
キマニとして必要な耐食性、耐酸化性を確保するために
3.5%以上を含有させることが必要であるが、9.9
%を超えて含有させてもいたずらにコストを増すばかり
か、加工性が低下するので上限含有量は9.9%とす
る。 Al:Alは鋼の脱酸剤として0.01%以上の添加が
必要であり、またフェライト組織を確保するためにも有
用な元素であるが、1.0%を超えて添加すると粗大な
酸化物系介在物を形成して加工性を低下させるので、含
有量は0.01〜1.0%に限定する。
【0013】Mo,W:Mo,Wはフェライト組織を安
定にする上で有用な元素であり、またCrを3.5%以
上含有する鋼に添加して自動車排気系用鋼として必要な
高温強度を確保するために、MoおよびWの1種または
2種の合計で0.5%以上を含有させなければならない
が、3.0%を超えて添加してもその効果はもはや飽和
するのに対して、いたずらにコストを増加させるととも
に粗大な析出物を生成して加工性を低下させるので、上
限含有量は3.0%とする。
【0014】C,N:CおよびNはCrと化合物を生成
して耐酸化性を低下させるので、CおよびN量は少ない
方が望ましく、上限含有量はCが0.03%、Nが0.
02%とする。 P:Pは多量に存在すると靭性を低下させるので少ない
方が望ましく、上限含有量は0.03%とする。 S:Sも多量に存在すると熱間加工性および延性を低下
させるので少ない方が望ましく、上限含有量は0.03
%とする。
【0015】さらに本発明では、各元素の含有量の組み
合わせとして、下記の式で定義されるOR値が6.5以
上であることが必要である。 OR値=〔%Cr〕+4〔%Si〕−17〔%C〕−3
〔%N〕 これは、本発明者らが自動車排気系用鋼としての特性を
得るための最適成分組成および組み合わせについて詳細
に検討した結果に基づく知見であって、OR値が6.5
未満では排気系用鋼として最も重要な特性である高温で
の耐酸化性が不充分であり、例えば自動車排気系での使
用温度として800℃あるいはそれ以上を想定すると、
OR値として6.5以上を確保することが必要である。
ここで、本発明者らの検討によれば、Crが3.5%以
上含有された鋼では、耐酸化性に対してSiはCrの4
倍の効果を有し、CおよびNはいずれもCrとの析出物
を生成して耐酸化性を損なうことを見出したことに基づ
くものである。
【0016】以上が本発明が対象とする自動車排気系用
鋼の基本的成分と条件であるが、本発明においては必要
に応じてさらに以下の元素を添加して特性を一段と向上
させた鋼も対象としている。なお、以下の成分を添加し
た場合においても前述のOR値が6.5以上という条件
を満足しなければならないのは、言うまでもない。N
b,V,Ti,Zr,Ta,Hf:Nb,V,Ti,Z
r,Ta,Hfは、Crを3.5%以上含有し、Mo,
Wを含有する鋼に複合して添加すると、加工性を高める
のに効果がある。V,Ti,Zr,Ta,Hfの1種ま
たは2種以上の含有量の合計が0.01%未満ではその
効果が充分発揮されない。一方、1.0%を超えて添加
してもその効果はもはや飽和するのに対して、いたずら
にコストを増加させるだけであるし、粗大な析出物を生
成して靭性を低下させる恐れがあるので、Nb,V,T
i,Zr,Ta,Hfの1種または2種以上の合計含有
量は0.01%以上1.0%以下とする。
【0017】希土類元素(REM),Ca:希土類元素
およびCaは熱間加工性の向上、高温での耐酸化性の改
善に効果のある元素であるが、希土類元素では0.00
1%以上、Caでは0.0005%以上を添加しないと
その添加効果が充分ではなく、一方、希土類元素では
0.1%を超えて、Caでは0.03%を超えて添加す
ると、それぞれ粗大な非金属介在物を生成して、逆に熱
間加工性や耐酸化性を劣化させるので、上限含有量は希
土類元素では0.1%、Caでは0.03%とした。な
お、本発明において希土類元素とは原子番号が57〜7
1番および89〜103番の元素およびYを指す。
【0018】本発明の鋼においては、上記の成分の他に
スクラップや原料等からの混入不純物として、あるいは
靭性や加工性等を調整する目的で、Ni,Cu等の成分
を含有することができるが、Ni,Cu,B等を添加し
た場合であっても本発明の範囲を逸脱するものではな
い。
【0019】次に、本発明の工程とその限定理由を説明
する。 鋼片加熱温度:鋼片をその中心部まで均一に加熱して、
熱間圧延における熱間加工性を確保する必要がある。し
かし、1300℃を超えて加熱すると、スラブの溶け落
ちが発生したり、酸化スケール生成による材料損失が著
しくなって、歩留が低下するため好ましくない。一方、
加熱温度が1150℃未満では、熱間圧延における変形
抵抗が大きくなりすぎる。従って、鋼片加熱温度は11
50〜1300℃とする。
【0020】熱間圧延:熱間圧延は通常の板圧延プロセ
スを用いることができる。後続の冷間圧延での生産性を
確保しつつ板としての特性を満足させるためには、熱間
圧延後の板厚は1.6mm以上6.0mm以下とすることが
適切である。また、後続の冷間圧延における生産性の観
点から、板の形状はホットコイルとする。 圧延完了温度:熱延後の延性を確保する目的と圧延負荷
を軽減するためから、熱間圧延の終了温度は680℃以
上とする必要がある。
【0021】冷間圧延:本発明方法による鋼板を使用し
て部品等を製作するに際して、良好な加工性を確保する
ためには、冷間圧延においては累積圧下率を40%以上
とする必要がある。この累積圧下率を満足すれば、冷間
圧延としては通常の圧延プロセスを適用することがで
き、最終製品の板厚に応じた冷間圧延前板厚を選定する
ことが可能である。
【0022】熱処理:本発明方法による鋼板を使用して
部品等を製作するに際して、良好な加工性を確保するた
めには、冷間圧延後の鋼板を熱処理するに際して、76
0℃以上の温度に0.5min 以上保持する必要がある
が、これは保持温度が760℃未満では、本発明が対象
とする鋼を再結晶させるために非常な長時間を要するこ
とから、工業的には適用し難いためであり、保持時間が
0.5min 未満では必要な加熱温度が高くなりすぎて、
鋼板の酸化や表面性状の低下を生ずるためである。上記
の条件が満足されていれば、熱処理としては鋼板の連続
熱処理設備、バッチ(ボックス)熱処理設備のいずれを
使用してもよい。
【0023】鋼管への成形および溶接:鋼管への成形お
よび溶接には通常の鋼管製造プロセスが適用でき、自動
車排気系用鋼管として必要な外径に応じて所定の幅に鋼
帯を切断してから、ロール成形および溶接して鋼管とし
て造管することができる。溶接としては、通常の電縫溶
接、通常のレーザ溶接、あるいは電縫溶接とレーザ溶接
の複合溶接を用いることができる。
【0024】本発明においては必要に応じて上記の工程
に加えて、さらに工程を付加してもよく、あるいはその
条件を限定するが、その理由は以下の通りである。 冷延前熱処理:本発明者らの検討によれば、例えば自動
車排気系用として特に高い加工性が要求される場合に
は、熱延帯鋼を冷間圧延する前に再結晶させておくこと
がさらに有効である。この目的のためには、保持温度は
740℃以上とする必要があり、保持時間は0.5min
以上とする必要がある。上記の条件が満足されていれ
ば、熱処理としては鋼板の連続熱処理設備、バッチ(ボ
ックス)熱処理設備のいずれを使用してもよい。
【0025】全歪量:鋼管として、曲げや拡管等で特に
高い加工性が要求される場合には、冷間圧延後の熱処理
の工程において再結晶させた帯鋼の段階から、鋼管とし
て造管されるまでに鋼に付加される全歪量εを極力低減
することが有効である。本発明方法が対象とする高Cr
鋼の板厚t(mm)、鋼管の最終外径D(mm)に対して、
εがt/D+0.03以下となるように製造すれば、加
工性が特に優れた鋼管が得られる。
【0026】造管後熱処理:鋼管としての加工性を非常
に厳しく要求される場合には、鋼管として造管し最終外
径にある鋼管を焼鈍して、最終外径としての鋼管までに
導入された歪を除去することが有効であり、かかる目的
のためには保持温度は760℃以上が必要であり、保持
時間は1min 以上が必要である。
【0027】なお、本発明方法によって製造される鋼板
あるいは鋼管の製造過程において、冷延板の表面性状や
鋼管としての所定の特性を得る目的で、鋼板あるいは鋼
管の脱スケール処理や酸洗処理を施すことは、本発明方
法の本質から何ら逸脱するものではなく、いずれも本発
明が対象とする範囲に包含されるものであって、必要に
応じて、通常の脱スケール工程や酸洗工程を付加するこ
とができる。
【0028】本発明において提案する方法に従って製造
された鋼は、例えばエキマニとして使用するに際して、
鋼板として製造した後に、鋼板をプレス成形し、さらに
加工・溶接してエキマニとして製造してもよいし、鋼板
を例えば電縫鋼管等としてまず鋼管の形状にした後に、
2次加工および溶接等によってエキマニに加工してもよ
く、その他のプロセスも含めて本発明で限定する組成お
よび元素の組み合わせを有する鋼は、いずれも本発明方
法の対象とするところであって、コストや既存製造設備
の制約等によって最適なエキマニ製造工程を選択するこ
とができ、どのエキマニ製造工程を選択したとしても、
それをもって本発明の範囲を逸脱するものではない。排
気ガス浄化触媒支持基体として使用する場合は、鋼板と
して使用する場合が一般的であるし、フロントパイプと
して使用する場合は、鋼管として使用するのが一般的で
あるが、これらは実施態様の一例であって本発明方法が
対象とする鋼あるいは鋼管の対象は、もちろんこれらの
製品形状に限定されるものではない。
【0029】
【実施例】以下に本発明の実施例について説明する。 (実施例1)表1に成分を示す鋼を溶製し、熱間圧延に
よって厚さ4.0mmの帯鋼とした後、表2に示す条件で
それぞれ冷間圧延、熱処理を施して鋼帯を製造した。な
お、熱間圧延に際して、鋼片加熱温度は1220℃とし
た。本発明例No.6および12では、表2に示す条件で
冷間圧延前に熱処理を施した。次にこれらの鋼板から試
験片を採取して、JIS規格G0567に準拠して80
0℃での高温引張試験と、800℃における連続高温酸
化試験を実施した。また、最高加熱温度を800℃とす
る熱疲労試験も実施した。
【0030】試験結果を表2に合わせて示す。ここで表
2の高温引張試験結果において、◎は800℃における
0.2%耐力が22N/mm2 以上であったことを示し、○
は17N/mm2 以上22N/mm2 未満であったことを示し、
×は17N/mm2 未満であったことを示す。また、高温酸
化試験結果において、○は800℃における酸化増量が
0.1g/m2 /hr 以下であったことを示し、×は酸化増
量が0.1g/m2 /hrより大きかったことを示してい
る。さらに、熱疲労試験結果において、○は破断に至る
までの繰り返し数が500回以上であったことを示し、
×は繰り返し数が500回未満であったことを示してい
る。
【0031】表2から明らかなように、本発明鋼である
No.1〜12は高温強度、耐酸化性および耐熱疲労特性
に優れているのに対して、比較例であるNo.13〜15
は高温強度、高温での耐酸化性あるいは耐熱疲労特性に
劣ることがわかる。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】(実施例2)表3に成分を示す鋼を溶製
し、表4に示す条件の熱間圧延によって厚さ4.0mmの
鋼帯とした後、表4に示す条件でそれぞれ冷間圧延、熱
処理を施してから、成形および溶接によって表4に示す
寸法の鋼管として造管した。造管溶接はすべて電縫溶接
とした。熱間圧延における鋼片加熱温度は、すべて12
10℃とした。本発明例No.7では、表4に示す条件で
冷間圧延前に熱処理を施し、No.9では電縫鋼管造管後
に表4に示す条件で熱処理を施した。次にこれらの鋼板
から試験片を採取して、JIS規格G0567に準拠し
て800℃での高温引張試験と、800℃における連続
高温酸化試験を実施した。また、最高加熱温度を800
℃とする熱疲労試験も実施した。
【0035】試験結果を表4に合わせて示す。ここで表
4の高温引張試験において、◎は800℃における0.
2%耐力が22N/mm2 以上であったことを示し、○は1
7N/mm2 以上22N/mm2 未満であったことを示し、×は
17N/mm2 未満であったことを示す。また、高温酸化試
験結果において、○は800℃における酸化増量が0.
1g/m2 /hr 以下であったことを示し、×は酸化増量が
0.1g/m2 /hr より大きかったことを示している。さ
らに、熱疲労試験結果において、○は破断に至るまでの
繰り返し数が500回以上であったことを示し、×は繰
り返し数が500回未満であったことを示している。
【0036】表4から明らかなように、本発明鋼である
No.1〜9は高温強度、耐酸化性および耐熱疲労特性に
優れているのに対して、比較例であるNo.10〜12は
高温強度、高温での耐酸化性あるいは耐熱疲労特性に劣
ることがわかる。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は高温特性の
優れた鋼および鋼管を製造する方法を提供するものであ
り、産業の発展に貢献するところ極めて大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C21D 8/10 D 7412−4K C22C 38/18 38/22

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 Si:0.3〜3.0%、 Mn:0.02〜2.0%、 Cr:3.5〜9.9%、 Al:0.01〜1.0%、および Mo,Wの1種または2種を合計で0.5〜3.0% 含有し、さらに Cを0.03%以下、 Pを0.03%以下、 Sを0.03%以下、 Nを0.02%以下、に低減し、残部Feおよび不可避
    不純物からなり、次式で与えられるOR値 OR値=〔%Cr〕+4〔%Si〕−17〔%C〕−3
    〔%N〕 が6.5以上である高Cr鋼片を、下記の工程で順次鋼
    板とすることを特徴とする高温特性の優れた鋼の製造方
    法。 鋼片を1150〜1300℃の温度に加熱した後に、
    圧延完了温度が650℃以上で板厚1.6mm以上6.0
    mm以下のホットストリップに熱間圧延し、帯鋼として巻
    き取る工程、 上記の熱延帯鋼を、累積圧下率が40%以上の冷間圧
    延を加えて冷延帯鋼とする工程、 上記の冷延帯鋼を、760℃以上の温度に0.5min
    以上保持する熱処理を施して再結晶させる工程。
  2. 【請求項2】 請求項1において、熱延帯鋼を冷間圧延
    する前に、740℃以上の温度に0.5min 以上保持す
    る熱処理を施して再結晶させることを特徴とする高温特
    性の優れた鋼の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、高Cr鋼片
    が付加成分としてさらに、重量%で、 Nb,V,Ti,Zr,Ta,Hfの1種または2種以
    上を合計として0.01%以上1.0%未満含有するこ
    とを特徴とする高温特性の優れた鋼の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1,2または3において、高Cr
    鋼片が付加成分としてさらに、重量%で、 希土類元素:0.001〜0.1%、 Ca:0.0005〜0.03%、 の1種または2種を含有することを特徴とする高温特性
    の優れた鋼の製造方法。
  5. 【請求項5】 重量%で、 Si:0.3〜3.0%、 Mn:0.02〜2.0%、 Cr:3.5〜9.9%、 Al:0.01〜1.0%、および Mo,Wの1種または2種を合計で0.5〜3.0% 含有し、さらに Cを0.03%以下、 Pを0.03%以下、 Sを0.03%以下、 Nを0.02%以下、に低減し、残部Feおよび不可避
    不純物からなり、次式で与えられるOR値 OR値=〔%Cr〕+4〔%Si〕−17〔%C〕−3
    〔%N〕 が6.5以上である高Cr鋼片を、下記の工程で順次鋼
    管とすることを特徴とする高温特性の優れた鋼管の製造
    方法。 鋼片を1150〜1300℃の温度に加熱した後に、
    圧延完了温度が650℃以上で板厚1.6mm以上6.0
    mm以下のホットストリップに熱間圧延し、帯鋼として巻
    き取る工程、 上記の熱延帯鋼を、累積圧下率が40%以上の冷間圧
    延を加えて冷延帯鋼とする工程、 上記の冷延帯鋼を、760℃以上の温度に0.5min
    以上保持する熱処理を施して再結晶させる工程、 上記の帯鋼を所定の幅に切断した後、ロール成形によ
    って連続的に円筒状に成形しながら、鋼帯両端を溶接し
    て鋼管として造管する工程。
  6. 【請求項6】 請求項5において、の工程によって再
    結晶させた帯鋼の段階から鋼管として造管されるまでに
    鋼に付加される全歪量εを、帯鋼の板厚t(mm)、鋼管
    の最終外径D(mm)に対して、ε≦t/D+0.03と
    することを特徴とする高温特性の優れた鋼管の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項5あるいは6において、熱延帯鋼
    を冷間圧延する前に、740℃以上の温度に0.5min
    以上保持する熱処理を施して再結晶させることを特徴と
    する高温特性の優れた鋼管の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項5,6または7において、鋼管と
    して造管し最終外径にある鋼管を、760℃以上の温度
    に1min 以上保持する熱処理を施して再結晶させること
    を特徴とする高温特性の優れた鋼管の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項5,6,7または8において、高
    Cr鋼片が付加成分としてさらに、重量%で、 Nb,V,Ti,Zr,Ta,Hfの1種または2種以
    上を合計として0.01%以上1.0%未満 含有することを特徴とする高温特性の優れた鋼管の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 請求項5,6,7,8または9におい
    て、高Cr鋼片が付加成分としてさらに、重量%で、 希土類元素:0.001〜0.1%、 Ca:0.0005〜0.03%、 の1種または2種を含有することを特徴とする高温特性
    の優れた鋼管の製造方法。
  11. 【請求項11】 鋼帯両端を電気抵抗溶接によって溶接
    し、電縫鋼管として造管することを特徴とする請求項
    6,7,8,9あるいは10記載の高温特性の優れた鋼
    管の製造方法。
  12. 【請求項12】 鋼帯両端をレーザ溶接によって溶接
    し、鋼管として造管することを特徴とする請求項6,
    7,8,9あるいは10記載の高温特性の優れた鋼管の
    製造方法。
  13. 【請求項13】 鋼帯両端を溶接する手段が電縫溶接と
    レーザ溶接との複合溶接であることを特徴とする請求項
    6,7,8,9あるいは10記載の高温特性の優れた鋼
    管の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016089245A (ja) * 2014-11-10 2016-05-23 新日鐵住金株式会社 耐食鋼材

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