JPH07336836A - 架橋ポリエチレンケーブルのモールドジョイント方法 - Google Patents

架橋ポリエチレンケーブルのモールドジョイント方法

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JPH07336836A
JPH07336836A JP6129312A JP12931294A JPH07336836A JP H07336836 A JPH07336836 A JP H07336836A JP 6129312 A JP6129312 A JP 6129312A JP 12931294 A JP12931294 A JP 12931294A JP H07336836 A JPH07336836 A JP H07336836A
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敬一郎 片岡
Seiichi Okuyama
清一 奥山
Susumu Takahashi
享 高橋
Hiroyuki Miyata
裕之 宮田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 架橋ポリエチレンケーブルのモールドジョイ
ントの耐電圧特性低下要因の1つと考えられる水分量を
減少させることができるので、モールドジョイントの電
気的性能の向上を図ることができる。 【構成】 ケーブル絶縁体6および補強絶縁体10が架
橋剤の分解残渣としてアルコール類が生成する架橋剤を
使用したものである架橋ポリエチレンケーブルのモール
ドジョイントを行うに際して、ケーブル絶縁体6および
補強絶縁体10中のアルコール類を分解させ、かつ、該
アルコール類の分解によって発生した水分を乾燥させる
ことを目的としてジョイント部を加熱用ヒーター1で加
熱する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、架橋ポリエチレンケ
ーブル(CVケーブル)のモールドジョイントの耐電圧
特性低下要因の1つと考えられる水分量を減少させるこ
とで、モールドジョイントの電気的性能の向上が期待で
きる架橋ポリエチレンケーブルのモールドジョイント方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、架橋ポリエチレンケーブルの架
橋工程において、DCP(ジクミルパーオキサイド)が
分解すると架橋残渣として、アセトフェノン、クミルア
ルコール、αメチルスチレン、メタン等が発生する。こ
れらの残渣の量を減少させることを目的として、50度
C(℃)〜60度C(℃)で1週間〜1カ月の期間にわ
たってケーブルを加熱および乾燥することが実施され
る。
【0003】ケーブル中の架橋残渣を抜く意味は、主に
メタンガスを抜くためである。すなわち、メタンガスが
ケーブル絶縁体中に残っているとすれば、時間と共にシ
ース内にメタンガスが溜まり、圧力が上昇し、端末のキ
ャップがはずれたり、ビニルシースが膨れたりする不具
合が発生する可能性があるからである。なお、他の架橋
残渣は揮散しにくいため、前記ケーブル乾燥では半分以
上が残っている。ケーブル布設後、電圧階級によって異
なるが、(1)架橋剤入りポリエチレンまたは照射ポリ
エチレンのテープを巻いて絶縁層(補強絶縁層)を形成
し、加熱加圧してモールドするテープ式モールドジョイ
ント法(テーピング モールデッド ジョイント、Tapi
ng Molded Joint:TMJ)、(2)押し出し機を用い
て、金型内の同種材料を注入して絶縁層(補強絶縁層)
を形成して、加熱加圧してモールドする押し出し式モー
ルドジョイント(エクストルージョン モールデッド
ジョイント、Extrusion Molded Joint:EMJ)によ
り、ケーブル同士が接続されるが、従来は、モールドで
発生した架橋残渣を積極的に抜く事は実施されていな
い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】架橋残渣のうちクミル
アルコールは高温で長時間の熱履歴を受けると、分解し
て水とαメチルスチレンになる。モールドにおいて、ジ
ョイント部のケーブルに残っているクミルアルコールが
モールド時の加熱により分解し、水が発生する。また、
補強絶縁体にもクミルアルコールの分解による水が発生
する。これらの水は耐電圧特性を低下させる要因とな
る。ただし、現在の設計絶縁厚においては、絶縁破壊に
つながる様なことはなく、実用上問題はない。
【0005】しかしながら、最近はユーザー(ケーブル
使用者)より絶縁厚の低減が要求されており、また、海
底ケーブル用のジョイントの様に同径ジョイントが必要
となる場合には、この問題がクローズアップされる。な
お、クミルアルコールの分解は架橋ポリエチレンケーブ
ルの平均的な使用温度である70度C〜80度Cで徐々
に進行し、絶縁体中の水分が増加していく。モールドジ
ョイント部には、前述の様に他のケーブル部に比べて水
分が多いため、長時間の使用によりジョイント時の水分
が無視できないレベルまで増加する恐れがでてくる。
【0006】本発明は、前記問題点を解消するべくなさ
れたものであって、架橋ポリエチレンケーブルのモール
ドジョイントの耐電圧特性低下要因の1つと考えられる
水分量を減少させて、モールドジョイントの電気的性能
の向上を図ることができる架橋ポリエチレンケーブルの
モールドジョイント方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するため、次の構成を有する。すなわち、請求項1の
発明は、ケーブル絶縁体および補強絶縁体が架橋剤の分
解残渣としてアルコール類が生成する架橋剤を使用した
ものである架橋ポリエチレンケーブルのモールドジョイ
ント方法において、ケーブル絶縁体および補強絶縁体中
のアルコール類を分解させ、かつ、該アルコール類の分
解によって発生した水分を乾燥させることを目的として
ジョイント部を加熱する工程を含むことを特徴とする架
橋ポリエチレンケーブルのモールドジョイント方法であ
る。
【0008】請求項2の発明は、ケーブル絶縁体および
ジョイント部に設ける補強絶縁層が架橋剤の分解残渣と
してアルコール類が生成する架橋剤を使用したものであ
る架橋ポリエチレンケーブルのモールドジョイント方法
において、ケーブル絶縁体中のアルコール類を分解さ
せ、かつ、該アルコール類の分解によって発生した水分
を乾燥させることを目的として、補強絶縁層を設ける前
のジョイント部を加熱する工程と、ジョイント部に補強
絶縁層を設けて該補強絶縁層を架橋する工程と、当該補
強絶縁体中のアルコール類を分解させ、かつ、該アルコ
ール類の分解によって発生した水分を乾燥させることを
目的として、補強絶縁層が架橋された後のジョイント部
を加熱する工程とを含むことを特徴とする架橋ポリエチ
レンケーブルのモールドジョイント方法である。
【0009】
【作用】請求項1の発明によれば、架橋ポリエチレンケ
ーブルのモールドジョイントを行うに際して、ケーブル
絶縁体および補強絶縁体中のアルコール類(クミルアル
コール等)を分解させ、かつ、該アルコール類の分解に
よって発生した水分を乾燥させることを目的としてジョ
イント部を加熱するので、ジョイント部の水分量を減少
させることができ、モールドジョイントの電気的性能の
向上を図ることができる。
【0010】請求項2の発明によれば、架橋ポリエチレ
ンのモールドジョイントを行うに際して、ケーブル絶縁
体中のアルコール類を分解させ、かつ、該アルコール類
の分解によって発生した水分を乾燥させることを目的と
して、補強絶縁層を設ける前のジョイント部を加熱する
ので、ケーブル絶縁体中のアルコール類を大部分分解あ
るいは揮散させ、同時に水分を除去することができる。
また、ジョイント部に補強絶縁層を設けて該補強絶縁層
を架橋し、当該補強絶縁体中のアルコール類を分解さ
せ、かつ、該アルコール類の分解によって発生した水分
を乾燥させることを目的として、補強絶縁層が架橋され
た後のジョイント部を加熱するので、補強絶縁層で発生
したアルコール類を分解および揮散させ、さらにジョイ
ント部全体の水分を乾燥させることができる。
【0011】なお、請求項2の発明においては、補強絶
縁層を設ける前のジョイント部において、加熱後にケー
ブル絶縁体表面を適宜の薄さで削り取るようにすること
ができる。このようにすれば、加熱に際して劣化した絶
縁体表面を除去しモールド部の絶縁性能の低下を防止で
きる。また、前記加熱の前にケーブル絶縁体をペンシリ
ングすることができる。このようにすれば、導体に近い
絶縁体を充分に加熱することができる。また、補強絶縁
層の加熱を、補強絶縁層をガス体による加圧下で加熱し
て架橋した後に、加熱しつつ該ガス体を入れ替えること
により行うことができる。このようにすれば、比較的短
時間で、補強絶縁層で発生したアルコール類を分解およ
び揮散させさらにジョイント部全体の水分を乾燥させる
ことができる。
【0012】
【実施例】以下図面を参照して本発明の実施例を詳細に
説明する。図1、図2は、本発明の実施例に係る架橋ポ
リエチレンケーブルのモールドジョイントの説明図であ
る。図1および図2はモールドジョイントされる架橋ポ
リエチレンケーブルのジョイント部におけるモールド
前、モールド後の概略側面図である。図1、図2におい
て符号1は架橋ポリエチレンケーブルのジョイント部を
取り巻くように配設されるジョイント部加熱用の加熱用
ヒーター、2は加熱用ヒーター1の内周の空間内の空
気、3は加熱用ヒーター1が発生する熱を均等にジョイ
ント部に伝達するための均熱用パイプ、4はジョイント
部の導体が偏芯するのを防止する偏芯防止用スペーサ
ー、5はケーブルの導体および導体接続管(表面に内部
半導電層が形成される)、6は前記ケーブルの絶縁体、
7は前記ケーブルの外部半導電層、8は前記均熱パイプ
3の取り付け用スペーサー、9は前記ケーブルの金属シ
ース、10はジョイント部の補強絶縁層である。なお、
実施例では、ケーブルの絶縁体6および補強絶縁層10
の絶縁体には、架橋剤としてジクミルパーオキサイドが
用いられている。
【0013】図1に示す工程では、ケーブル絶縁体6を
ペンシリング(絶縁体6の接続側端部を鉛筆の用に先細
に削る加工)して、モールドジョイントする前に、モー
ルドジョイントしようとするケーブル部を加熱用ヒータ
ー1で予め加熱する。この加熱は、ケーブル絶縁体6中
のクミルアルコールを大部分分解あるいは揮散させ、同
時に水分を除去することを目的として行う。その後、補
強絶縁層10を通常どおり設け、加圧・加熱下で補強絶
縁層10を架橋して、絶縁体モールドをおこなう。絶縁
体モールドが終了した後にさらに図2に示すようにジョ
イント部の加熱を行う。図2の工程では架橋後の補強絶
縁体10で発生したクミルアルコールを分解及び揮散さ
せ、さらにジョイント部全体の水分を乾燥させることを
目的としたものである。
【0014】ここで、加熱条件は、温度が高ければ時間
が短くてすむが、絶縁体の熱劣化が生ずる恐れがあり、
あまり高くできない。温度を低くして時間を長くすると
ジョイントの施工時間が長くなり過ぎて実用的でなくな
る。以上の点を勘案した実施例として下記のものがあ
る。
【0015】図1の状態で120度C(℃)で3日間加
熱する。この場合、ケーブル絶縁体6の表面(ペンシリ
ングした表面も含めて)が酸化劣化するので加熱終了
後、当該表面を薄く削り落とした方が好ましい。また、
ケーブル絶縁体6をペンシリングしてから加熱する理由
は、ケーブル導体5に近い側のケーブル絶縁体6を充分
に加熱するためである。
【0016】続いて図2の状態では、80度Cで7日間
加熱する。この場合の温度を低くしている理由は、水分
量の多い補強絶縁体10を融点を越える温度で急に加熱
すると発泡する恐れがでてくるためである。なお、加圧
下であればこのようなことはないので、架橋終了後例え
ば架橋用の金型に入れたまま120度Cに保持しなが
ら、加圧ガスを入れ替える方法をとれば、水分を抜く事
ができるので比較的短時間に加熱処理を終わらせること
が可能である。
【0017】前記実施例のように、本発明においては、
架橋ポリエチレンケーブル製造時のケーブル乾燥段階
で、温度,加熱時間を本発明の条件に適宜に相当させれ
ば、ケーブルの電気的性能の向上が期待できる。なお、
前記実施例においては、補強絶縁層の形成および架橋に
よるモールドを行うのは、テープ式モールドジョイント
あるいは押し出し式モールドジョイントのいずれによっ
てもよいものである。また、前記実施例の架橋ポリエチ
レンケーブルは、架橋剤としてジクミルパーオキサイド
(DCP)を使用したものとし得るが、本発明は架橋剤
の分解残渣としてアルコール類の生成する架橋剤を使用
したすべての架橋ポリエチレンケーブルに適用できるも
のである。また、本発明は、架橋を乾式架橋で行うもの
に限定されず、蒸気架橋で行うものでも適用可能であ
る。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
クミルアルコールを大部分分解させ、発生した水分をさ
らに乾燥させるようにするのでモールドジョイントの電
気的性能を向上できる。また、クミルアルコールを大部
分分解させてしまうので、長期にわたり加熱をしてもそ
れ以上には、耐電圧特性を低下させるほど水分が増える
ことがない。したがって、架橋ポリエチレンケーブルの
モールドジョイントの耐電圧特性低下要因の1つと考え
られる水分量を減少させることができるので、モールド
ジョイントの電気的性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るケーブルのジョイント部
を説明する、ジョイント部のペンシリング後であって、
モールド前の状態の断面図である。
【図2】実施例に係る絶縁体のモールド後の状態の説明
図である。
【符号の説明】
1 加熱用ヒーター 3 均熱用パイプ 5 導体 6 ケーブル絶縁体 10 補強絶縁層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 享 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 宮田 裕之 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式会 社フジクラ内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーブル絶縁体および補強絶縁体が架橋
    剤の分解残渣としてアルコール類が生成する架橋剤を使
    用したものである架橋ポリエチレンケーブルのモールド
    ジョイント方法において、 ケーブル絶縁体および補強絶縁体中のアルコール類を分
    解させ、かつ、該アルコール類の分解によって発生した
    水分を乾燥させることを目的としてジョイント部を加熱
    する工程を含むことを特徴とする架橋ポリエチレンケー
    ブルのモールドジョイント方法。
  2. 【請求項2】 ケーブル絶縁体およびジョイント部に設
    ける補強絶縁層が架橋剤の分解残渣としてアルコール類
    が生成する架橋剤を使用したものである架橋ポリエチレ
    ンケーブルのモールドジョイント方法において、 ケーブル絶縁体中のアルコール類を分解させ、かつ、該
    アルコール類の分解によって発生した水分を乾燥させる
    ことを目的として、補強絶縁層を設ける前のジョイント
    部を加熱する工程と、 ジョイント部に補強絶縁層を設けて該補強絶縁層を架橋
    する工程と、 当該補強絶縁体中のアルコール類を分解させ、かつ、該
    アルコール類の分解によって発生した水分を乾燥させる
    ことを目的として、補強絶縁層が架橋された後のジョイ
    ント部を加熱する工程とを含むことを特徴とする架橋ポ
    リエチレンケーブルのモールドジョイント方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019502343A (ja) * 2015-11-23 2019-01-24 エヌケーティー エイチブイ ケーブルズ ゲーエムべーハー 2本の電力ケーブル間のフレキシブル加硫継手及びその継手の製造プロセス

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019502343A (ja) * 2015-11-23 2019-01-24 エヌケーティー エイチブイ ケーブルズ ゲーエムべーハー 2本の電力ケーブル間のフレキシブル加硫継手及びその継手の製造プロセス
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