JPH07335378A - Ptc発熱体の製造法 - Google Patents
Ptc発熱体の製造法Info
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- JPH07335378A JPH07335378A JP14852594A JP14852594A JPH07335378A JP H07335378 A JPH07335378 A JP H07335378A JP 14852594 A JP14852594 A JP 14852594A JP 14852594 A JP14852594 A JP 14852594A JP H07335378 A JPH07335378 A JP H07335378A
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- Japan
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- ptc
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- heating element
- amorphous polymer
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 非晶質ポリマー、導電性充填材および結晶性
ポリマー粒子からなるPTC組成物を用い、薄いPTC
発熱体を製造するに際し、それが本来有する体積抵抗や
正温度係数を維持しながら、屈曲試験後の抵抗変化率の
小さいものの製造法を提供する。 【構成】 非晶質ポリマー、導電性充填材および該非晶
質ポリマーと相溶性のない結晶性ポリマー粒子よりなる
PTC組成物を有機溶剤に分散させたペーストを、導電
層としての金属箔を配したフレキシブルサーキット基材
フィルム上に塗布し、乾燥させてPTC発熱体を製造す
る。
ポリマー粒子からなるPTC組成物を用い、薄いPTC
発熱体を製造するに際し、それが本来有する体積抵抗や
正温度係数を維持しながら、屈曲試験後の抵抗変化率の
小さいものの製造法を提供する。 【構成】 非晶質ポリマー、導電性充填材および該非晶
質ポリマーと相溶性のない結晶性ポリマー粒子よりなる
PTC組成物を有機溶剤に分散させたペーストを、導電
層としての金属箔を配したフレキシブルサーキット基材
フィルム上に塗布し、乾燥させてPTC発熱体を製造す
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、PTC発熱体の製造法
に関する。更に詳しくは、非晶質ポリマー、導電性充填
材および結晶性ポリマー粒子からなるPTC組成物を用
いた発熱体の製造法に関する。
に関する。更に詳しくは、非晶質ポリマー、導電性充填
材および結晶性ポリマー粒子からなるPTC組成物を用
いた発熱体の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】本出願人は先に、非晶質ポリマー、導電
性充填材およびこの非晶質ポリマーと相溶性のない結晶
性ポリマー粒子からなるPTC組成物を提案している
(特開平6-45105号公報)。このPTC組成物は、結晶性
ポリマーを用いることによって得られる高い正温度特性
を維持したまま、バラツキの低減と生産性の向上を図る
ことができるという効果を奏する。
性充填材およびこの非晶質ポリマーと相溶性のない結晶
性ポリマー粒子からなるPTC組成物を提案している
(特開平6-45105号公報)。このPTC組成物は、結晶性
ポリマーを用いることによって得られる高い正温度特性
を維持したまま、バラツキの低減と生産性の向上を図る
ことができるという効果を奏する。
【0003】このようなPTC組成物は、具体的には次
のようにして用いられる。EPDMとカーボンブラック
とを混練し、取り出された生地にトルエンを加え、次い
でポリエチレンビーズを加える。この混合物を金属メッ
シュでロ過した後、大部分のトルエンを蒸発させ、テフ
ロン型に流し込み、乾燥させてテストピース(50×10×
0.5mm)とし、これを銀ドータイトで電極に取り付けてP
TC材料とする。
のようにして用いられる。EPDMとカーボンブラック
とを混練し、取り出された生地にトルエンを加え、次い
でポリエチレンビーズを加える。この混合物を金属メッ
シュでロ過した後、大部分のトルエンを蒸発させ、テフ
ロン型に流し込み、乾燥させてテストピース(50×10×
0.5mm)とし、これを銀ドータイトで電極に取り付けてP
TC材料とする。
【0004】一方、これとは別に、薄くしかも製造が容
易なPTC発熱体として、発熱体インクおよび導電イン
クを用い、発熱層および導電層を発熱パターンに合わせ
て印刷する方法が従来から行われている。この場合、発
熱層はインク印刷の必要はあるが、導電層にはその必要
はなく、かえってインク印刷によって導電層は変形等の
際断線のおそれがある。
易なPTC発熱体として、発熱体インクおよび導電イン
クを用い、発熱層および導電層を発熱パターンに合わせ
て印刷する方法が従来から行われている。この場合、発
熱層はインク印刷の必要はあるが、導電層にはその必要
はなく、かえってインク印刷によって導電層は変形等の
際断線のおそれがある。
【0005】更に、上記提案のPTC組成物を発熱体イ
ンクに用いた場合にあっても、導電層として銅ドータイ
トを用いた場合には、屈曲試験後の抵抗変化率が著しく
大きいという問題がみられる。
ンクに用いた場合にあっても、導電層として銅ドータイ
トを用いた場合には、屈曲試験後の抵抗変化率が著しく
大きいという問題がみられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、非晶
質ポリマー、導電性充填材および結晶性ポリマー粒子か
らなるPTC組成物を用い、薄いPTC発熱体を製造す
るに際し、それが本来有する体積抵抗や正温度係数を維
持しながら、屈曲試験後の抵抗変化率の小さいものの製
造法を提供することにある。
質ポリマー、導電性充填材および結晶性ポリマー粒子か
らなるPTC組成物を用い、薄いPTC発熱体を製造す
るに際し、それが本来有する体積抵抗や正温度係数を維
持しながら、屈曲試験後の抵抗変化率の小さいものの製
造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、
非晶質ポリマー、導電性充填材および該非晶質ポリマー
と相溶性のない結晶性ポリマー粒子よりなるPTC組成
物を有機溶剤に分散させたペーストを、導電層としての
金属箔を配したフレキシブルサーキット基材フィルム上
に塗布し、乾燥させてPTC発熱体を製造することによ
り達成される。
非晶質ポリマー、導電性充填材および該非晶質ポリマー
と相溶性のない結晶性ポリマー粒子よりなるPTC組成
物を有機溶剤に分散させたペーストを、導電層としての
金属箔を配したフレキシブルサーキット基材フィルム上
に塗布し、乾燥させてPTC発熱体を製造することによ
り達成される。
【0008】非晶質ポリマー基体のPTC材料は、印刷
(塗布)方式による使用が可能であるが、3次元網目構造
の密度が高くなることと体積変化が小さいことから、正
温度係数は小さい。そこで、絶縁性充填材をそこに導入
することで、3次元網目構造の密度を低下させ、しかも
その絶縁性充填材として体積変化の大きな結晶性ポリマ
ーを用いることで、高い正温度特性をひき出すことがで
きる。
(塗布)方式による使用が可能であるが、3次元網目構造
の密度が高くなることと体積変化が小さいことから、正
温度係数は小さい。そこで、絶縁性充填材をそこに導入
することで、3次元網目構造の密度を低下させ、しかも
その絶縁性充填材として体積変化の大きな結晶性ポリマ
ーを用いることで、高い正温度特性をひき出すことがで
きる。
【0009】マトリックスとなる非晶質ポリマーとして
は、結晶化度が10%以下でかつガラス転移点が50℃以下
であって、常温で溶剤に可溶なものであれば任意のもの
を用いることができる。具体的には、天然ゴムまたは各
種合成ゴム(イソプレンゴム、NBR、EPDM等)、ア
ルキルアクリレート重合体などが用いられる。これらの
非晶質ポリマーは、必須3成分よりなる組成物中約10〜
60体積%、好ましくは約20〜50体積%の割合で用いられ
る。
は、結晶化度が10%以下でかつガラス転移点が50℃以下
であって、常温で溶剤に可溶なものであれば任意のもの
を用いることができる。具体的には、天然ゴムまたは各
種合成ゴム(イソプレンゴム、NBR、EPDM等)、ア
ルキルアクリレート重合体などが用いられる。これらの
非晶質ポリマーは、必須3成分よりなる組成物中約10〜
60体積%、好ましくは約20〜50体積%の割合で用いられ
る。
【0010】導電性充填材としては、酸化により著しく
抵抗値を変化させるような鉄、銅などの粉末や短繊維で
なければ、任意のものを使用することができ、一般には
粒子、短繊維を問わず、最大径または最大長が約10μm
以下、好ましくは約5μm以下の充填材であって、Ni、Ag
などの粒子あるいはNi、Ag、Auなどでメッキした粒子ま
たは短繊維、更にはカーボンブラック、カーボン短繊維
などが用いられる。これらの導電性充填材は、必須3成
分よりなる組成物中約5〜40体積%、好ましくは約10〜30
体積%を占めるような割合で用いられる。
抵抗値を変化させるような鉄、銅などの粉末や短繊維で
なければ、任意のものを使用することができ、一般には
粒子、短繊維を問わず、最大径または最大長が約10μm
以下、好ましくは約5μm以下の充填材であって、Ni、Ag
などの粒子あるいはNi、Ag、Auなどでメッキした粒子ま
たは短繊維、更にはカーボンブラック、カーボン短繊維
などが用いられる。これらの導電性充填材は、必須3成
分よりなる組成物中約5〜40体積%、好ましくは約10〜30
体積%を占めるような割合で用いられる。
【0011】結晶性ポリマーからなる、体積変化の大き
な絶縁性充填材としては、最大径(長)が約0.5〜50μm、
好ましくは約1〜30μmの粒子(ビーズ、短繊維などを含
む)が用いられる。その種類は、用いられる非晶質ポリ
マーと相溶性のないものであれば特に限定されず、必要
な正温度特性曲線に合わせて複数のポリマーを混合して
用いることも可能である。
な絶縁性充填材としては、最大径(長)が約0.5〜50μm、
好ましくは約1〜30μmの粒子(ビーズ、短繊維などを含
む)が用いられる。その種類は、用いられる非晶質ポリ
マーと相溶性のないものであれば特に限定されず、必要
な正温度特性曲線に合わせて複数のポリマーを混合して
用いることも可能である。
【0012】一般には、PTC材料がヒータとして用い
られることを考えると、約50〜250℃程度の融点を有す
るポリエチレン、ポリプロピレン、トランス-ポリブタ
ジエン、ポリオキシメチレン、ポリスチレン、ポリオキ
シエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリ塩化ビニル、
これらの単量体の共重合体、各種ワックスなどが用いら
れる。これらの結晶性ポリマーは、必須3成分よりなる
組成物中約10〜60体積%、好ましくは約20〜50体積%の割
合で用いられる。これ以下の配合割合では、本発明の目
的とする所望の効果が得られず、一方これより多い割合
で用いられると、機械的物性が低下し、割れたりするの
で好ましくない。
られることを考えると、約50〜250℃程度の融点を有す
るポリエチレン、ポリプロピレン、トランス-ポリブタ
ジエン、ポリオキシメチレン、ポリスチレン、ポリオキ
シエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリ塩化ビニル、
これらの単量体の共重合体、各種ワックスなどが用いら
れる。これらの結晶性ポリマーは、必須3成分よりなる
組成物中約10〜60体積%、好ましくは約20〜50体積%の割
合で用いられる。これ以下の配合割合では、本発明の目
的とする所望の効果が得られず、一方これより多い割合
で用いられると、機械的物性が低下し、割れたりするの
で好ましくない。
【0013】以上の3成分、即ち非晶質ポリマー、導電
性充填材および結晶性ポリマー粒子を必須成分とするP
TC組成物は、成形性および正温度特性にすぐれている
が、この成形品を高温で長時間使用した場合には、成形
品の抵抗値が上昇し、発熱温度が低下してしまうという
現象がみられることがある。
性充填材および結晶性ポリマー粒子を必須成分とするP
TC組成物は、成形性および正温度特性にすぐれている
が、この成形品を高温で長時間使用した場合には、成形
品の抵抗値が上昇し、発熱温度が低下してしまうという
現象がみられることがある。
【0014】このような場合には、上記の3成分よりな
るPTC組成物中に、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸
バリウム、チタン酸ストロンチウム、ニオブ酸カリウム
などの固有抵抗値が108Ω・cm以上の絶縁性充填材を更
に添加することが好ましい。これらの絶縁性充填材は、
粒径が約10nm〜10μm、好ましくは約20nm〜1μmのもの
が、これら4成分よりなる組成物中約1〜30体積%、好ま
しくは約5〜25体積%を占めるような割合で用いられ、組
成物の調製に際しては、導電性充填材と共に非晶質ポリ
マ−へ練りこまれる。
るPTC組成物中に、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸
バリウム、チタン酸ストロンチウム、ニオブ酸カリウム
などの固有抵抗値が108Ω・cm以上の絶縁性充填材を更
に添加することが好ましい。これらの絶縁性充填材は、
粒径が約10nm〜10μm、好ましくは約20nm〜1μmのもの
が、これら4成分よりなる組成物中約1〜30体積%、好ま
しくは約5〜25体積%を占めるような割合で用いられ、組
成物の調製に際しては、導電性充填材と共に非晶質ポリ
マ−へ練りこまれる。
【0015】また、前記3成分を必須成分とする組成物
中には、導電性を損なわない範囲内、一般には約5体積%
以下、好ましくは約1体積%以下の割合で、架橋剤、架
橋促進剤、加工助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを
配合することができる。
中には、導電性を損なわない範囲内、一般には約5体積%
以下、好ましくは約1体積%以下の割合で、架橋剤、架
橋促進剤、加工助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを
配合することができる。
【0016】組成物の調製は、非晶質ポリマーへ導電性
充填材を練り込んだ後、トルエン、キシレン、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ソ
ルベントナフサ、石油エーテル、ミネラルスピリット等
の溶剤を加えて非晶質ポリマーを溶解させてスラリー状
とし、次いで結晶性ポリマー粒子を混入する方法、ある
いは非晶質ポリマーをこれらの溶剤に溶解させた後、導
電性充填材および結晶性ポリマー粒子を加えて分散させ
る方法などによって行われる。この際、各種配合剤等も
同時に溶解または分散させる。
充填材を練り込んだ後、トルエン、キシレン、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ソ
ルベントナフサ、石油エーテル、ミネラルスピリット等
の溶剤を加えて非晶質ポリマーを溶解させてスラリー状
とし、次いで結晶性ポリマー粒子を混入する方法、ある
いは非晶質ポリマーをこれらの溶剤に溶解させた後、導
電性充填材および結晶性ポリマー粒子を加えて分散させ
る方法などによって行われる。この際、各種配合剤等も
同時に溶解または分散させる。
【0017】これらの操作は、湿式分散装置、例えばダ
イノーミルや3本ロール等を用いて行われ、粒ゲージを
用いて所定の分散度合になったことを確認するようにす
る。なお、結晶性ポリマー粒子は、こうした分散装置を
使用した後で配合した方が好ましい場合もある。調製さ
れたペースト状の分散液は、更に溶剤で希釈し、スクリ
ーン印刷に適した溶液粘度および固形分濃度に調整した
上で用いることもできる。
イノーミルや3本ロール等を用いて行われ、粒ゲージを
用いて所定の分散度合になったことを確認するようにす
る。なお、結晶性ポリマー粒子は、こうした分散装置を
使用した後で配合した方が好ましい場合もある。調製さ
れたペースト状の分散液は、更に溶剤で希釈し、スクリ
ーン印刷に適した溶液粘度および固形分濃度に調整した
上で用いることもできる。
【0018】このようにして調製されたPTC組成物が
塗布されるフレキシブルサーキット基材フィルムとして
は、一般に厚さが約10〜100μm程度のポリエチレンテレ
フタレート(PET)、ポリイミド、ポリ塩化ビニル等
の樹脂フィルムが用いられ、発熱体としての使用を考え
たとき耐熱温度の高い材料が望ましい。
塗布されるフレキシブルサーキット基材フィルムとして
は、一般に厚さが約10〜100μm程度のポリエチレンテレ
フタレート(PET)、ポリイミド、ポリ塩化ビニル等
の樹脂フィルムが用いられ、発熱体としての使用を考え
たとき耐熱温度の高い材料が望ましい。
【0019】フレキシブルサーキット基材フィルム上へ
の導電層としての金属箔の配設は、フレキシブルサーキ
ット基材フィルム上へ接着剤を介して厚さが約10〜50μ
m程度の銅箔、アルミニウム箔等の金属箔、好ましくは
銅箔を貼り合わせ、エッチング加工して所望のパターン
を形成させることにより行われ、くし形あるいはジグザ
グ状のものなど細かいパターンや複雑なパターンのもの
を形成させることができる。このようにして形成される
導電層は、変形等に強く、面状発熱体の特徴の一つであ
るフレキシビリティーを十分に発揮させることを可能と
する。
の導電層としての金属箔の配設は、フレキシブルサーキ
ット基材フィルム上へ接着剤を介して厚さが約10〜50μ
m程度の銅箔、アルミニウム箔等の金属箔、好ましくは
銅箔を貼り合わせ、エッチング加工して所望のパターン
を形成させることにより行われ、くし形あるいはジグザ
グ状のものなど細かいパターンや複雑なパターンのもの
を形成させることができる。このようにして形成される
導電層は、変形等に強く、面状発熱体の特徴の一つであ
るフレキシビリティーを十分に発揮させることを可能と
する。
【0020】導電層としての金属箔を配設したフレキシ
ブルサーキット基材フィルム上への前記PTC組成物ペ
ーストの塗布は、スクリーン印刷、ナイフコータ、グラ
ビアコータを用いる方法など、均一な厚さでの塗布が可
能な方法であれば任意の方法を使用することができる
が、発熱層を特定のパターンとして形成させる場合に
は、スクリーン印刷法をとることが好ましい。塗布され
たペーストは、約80〜150℃で約1〜10分間程度乾燥させ
ることにより、膜厚約10〜50μm程度の発熱層を形成さ
せる。
ブルサーキット基材フィルム上への前記PTC組成物ペ
ーストの塗布は、スクリーン印刷、ナイフコータ、グラ
ビアコータを用いる方法など、均一な厚さでの塗布が可
能な方法であれば任意の方法を使用することができる
が、発熱層を特定のパターンとして形成させる場合に
は、スクリーン印刷法をとることが好ましい。塗布され
たペーストは、約80〜150℃で約1〜10分間程度乾燥させ
ることにより、膜厚約10〜50μm程度の発熱層を形成さ
せる。
【0021】形成された発熱層は、その性能を安定させ
るために、加熱や放射線照射によって架橋させておくこ
とが好ましい。加熱架橋は、オーブン加熱あるいは熱プ
レスなどによって行われる。特に、組成物の1成分とし
て用いられている結晶性ポリマーは、加硫した際に溶融
・流れが起こり易く、このため加硫物のバラツキを大き
くする要因ともなっているが、これを放射線架橋した上
で用いると、結晶性ポリマーの熱的・機械的強度が高め
られ、PTC特性のバラツキを低減させることができ
る。
るために、加熱や放射線照射によって架橋させておくこ
とが好ましい。加熱架橋は、オーブン加熱あるいは熱プ
レスなどによって行われる。特に、組成物の1成分とし
て用いられている結晶性ポリマーは、加硫した際に溶融
・流れが起こり易く、このため加硫物のバラツキを大き
くする要因ともなっているが、これを放射線架橋した上
で用いると、結晶性ポリマーの熱的・機械的強度が高め
られ、PTC特性のバラツキを低減させることができ
る。
【0022】放射線架橋は、電子線などを用いて行わ
れ、照射線量は結晶性ポリマーの種類によって異なる。
例えば、高密度ポリエチレンでは約3〜10Mrad、好まし
くは約3〜5Mradが、またポリオキシエチレンの場合には
約10〜25Mrad、好ましくは約10〜18Mrad照射される。こ
のような照射線量よりも過度の照射は、架橋密度が大き
くなりすぎ、ポリマーのゲル分率が高くなって結晶性が
損なわれるため、PTC強度を低下させる結果を招く。
れ、照射線量は結晶性ポリマーの種類によって異なる。
例えば、高密度ポリエチレンでは約3〜10Mrad、好まし
くは約3〜5Mradが、またポリオキシエチレンの場合には
約10〜25Mrad、好ましくは約10〜18Mrad照射される。こ
のような照射線量よりも過度の照射は、架橋密度が大き
くなりすぎ、ポリマーのゲル分率が高くなって結晶性が
損なわれるため、PTC強度を低下させる結果を招く。
【0023】導電層としての金属箔を配設したフレキシ
ブルサーキット基材フィルム上に形成させたPTC組成
物発熱層の表面は、それの保護のためフレキシブルサー
キットの基材フィルムとしても使用されるフィルムでラ
ミネートされることが好ましい。
ブルサーキット基材フィルム上に形成させたPTC組成
物発熱層の表面は、それの保護のためフレキシブルサー
キットの基材フィルムとしても使用されるフィルムでラ
ミネートされることが好ましい。
【0024】
【発明の効果】非晶質ポリマー、導電性充填材および結
晶性ポリマー粒子からなるPTC組成物を用い、薄いP
TC発熱体を製造するに際し、PTC組成物のペースト
を導電層としての金属箔を配設したフレキシブルサーキ
ット基材フィルム上に塗布、乾燥させて発熱層を形成さ
せることにより、屈曲試験後の抵抗変化率が小さく、フ
レキシブルサーキットとしての信頼性を向上させたもの
を得ることができる。
晶性ポリマー粒子からなるPTC組成物を用い、薄いP
TC発熱体を製造するに際し、PTC組成物のペースト
を導電層としての金属箔を配設したフレキシブルサーキ
ット基材フィルム上に塗布、乾燥させて発熱層を形成さ
せることにより、屈曲試験後の抵抗変化率が小さく、フ
レキシブルサーキットとしての信頼性を向上させたもの
を得ることができる。
【0025】
【実施例】次に、実施例について本発明を説明する。
【0026】実施例1 EPDM(日本合成ゴム製品EP22)50g(32体積%)、酸化亜
鉛7.5g(1体積%)、イオウ2.3g(1体積%)およびステアリン
酸3g(1体積%)をソルベントナフサ300g中に加え、撹拌し
て溶解させた(室温、400rpm、12時間)。その溶液に、S
RFカーボンブラック(粒径0.07μm)100g(25体積%)およ
びポリエチレンビーズ(粒径6μm)75g(40体積%)を加え、
撹拌(室温、800rpm、10分間)した後、その混合物を3本
ロールに3回通した。その後、粘度調整のために、ソル
ベントナフサを150g添加して導電性組成物を調製した。
鉛7.5g(1体積%)、イオウ2.3g(1体積%)およびステアリン
酸3g(1体積%)をソルベントナフサ300g中に加え、撹拌し
て溶解させた(室温、400rpm、12時間)。その溶液に、S
RFカーボンブラック(粒径0.07μm)100g(25体積%)およ
びポリエチレンビーズ(粒径6μm)75g(40体積%)を加え、
撹拌(室温、800rpm、10分間)した後、その混合物を3本
ロールに3回通した。その後、粘度調整のために、ソル
ベントナフサを150g添加して導電性組成物を調製した。
【0027】ポリイミドフィルム(厚さ75μm)上に接着
剤層を介し、電極幅1mm、電極間距離1mmの電極として
ジグザグ状に形成させた銅箔導電層(厚さ18μm)を積層
させたフレキシブルサーキット基材フィルム上に、スク
リーン印刷装置を用いて、乾燥後の厚さが約30μmにな
るように上記導電性組成物を均一に塗布し、120℃のオ
ーブン中で5分間乾燥させた後、180℃のオーブン中に10
分間放置して架橋反応させた。このようにして形成させ
た発熱層上には、更に保護層としてPETフィルム(厚
さ25μm)を40℃で積層させた。
剤層を介し、電極幅1mm、電極間距離1mmの電極として
ジグザグ状に形成させた銅箔導電層(厚さ18μm)を積層
させたフレキシブルサーキット基材フィルム上に、スク
リーン印刷装置を用いて、乾燥後の厚さが約30μmにな
るように上記導電性組成物を均一に塗布し、120℃のオ
ーブン中で5分間乾燥させた後、180℃のオーブン中に10
分間放置して架橋反応させた。このようにして形成させ
た発熱層上には、更に保護層としてPETフィルム(厚
さ25μm)を40℃で積層させた。
【0028】実施例2〜3 実施例1において、更に酸化チタン240g(20体積%;実施
例2)または酸化亜鉛350g(20体積%;実施例3)を添加し
た導電性組成物が用いられた。
例2)または酸化亜鉛350g(20体積%;実施例3)を添加し
た導電性組成物が用いられた。
【0029】実施例4 実施例1において、SRFカーボンブラックの代わり
に、FTカーボンブラック(粒径0.09μm)200g(35体積%)
を用いた導電性組成物が用いられた。
に、FTカーボンブラック(粒径0.09μm)200g(35体積%)
を用いた導電性組成物が用いられた。
【0030】実施例5 実施例1において、ポリエチレンビーズの代わりに、エ
チレン-アクリル酸共重合体ビーズ(粒径10μm)75g(40体
積%)を用いた導電性組成物が用いられた。
チレン-アクリル酸共重合体ビーズ(粒径10μm)75g(40体
積%)を用いた導電性組成物が用いられた。
【0031】実施例6 実施例1において、EPDMの代わりに、NBR(日本
合成ゴム製品N215SL)50g(32体積%)を用いた導電性組成
物が用いられた。
合成ゴム製品N215SL)50g(32体積%)を用いた導電性組成
物が用いられた。
【0032】比較例1 実施例1において、電極として銅箔導電層の代わりに、
同寸法の銀ドータイトが用いられた。
同寸法の銀ドータイトが用いられた。
【0033】比較例2 実施例2において、電極として銅箔導電層の代わりに、
同寸法の銀ドータイトが用いられた。
同寸法の銀ドータイトが用いられた。
【0034】以上の各実施例および比較例で得られたP
TC面状発熱体について、次の各項目の測定を行った。 体積抵抗 正温度係数:70℃での体積抵抗/25℃での体積抵抗 屈曲試験後の抵抗変化率:JIS K-5400 6.16 耐屈曲性試
験の治具(心棒の直径2mm)を用いて、屈曲試験を1回行
った後の抵抗変化率
TC面状発熱体について、次の各項目の測定を行った。 体積抵抗 正温度係数:70℃での体積抵抗/25℃での体積抵抗 屈曲試験後の抵抗変化率:JIS K-5400 6.16 耐屈曲性試
験の治具(心棒の直径2mm)を用いて、屈曲試験を1回行
った後の抵抗変化率
【0035】得られた結果は、次の表に示される。 表 例 体積抵抗 正温度係数 屈曲試験後の抵抗変化率(%) 実施例1 30 3.5 0 〃 2 70 5.1 +5 〃 3 60 4.5 +5 〃 4 30 3.0 +2 〃 5 25 2.0 +3 〃 6 35 2.8 +2 比較例1 30 3.8 +20 〃 2 70 5.3 +25
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年9月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】実施例1 EPDM(日本合成ゴム製品EP22)50g(32体
積%)、酸化亜鉛7.5g(1体積%)、イオウ2.3
g(1体積%)およびステアリン酸3g(1体積%)を
ソルベントナフサ300g中に加え、撹拌して溶解させ
た(室温、400rpm、12時間)。その溶液に、S
RFカーボンブラック(粒径0.07μm)100g
(25体積%)およびポリエチレンビーズ(粒径6μ
m)75g(40体積%)を加え、撹拌(室温、800
rpm,10分間)した後、その混合物を3本ロールに
3回通した。その後、粘度調整のために、ソルベントナ
フサを150g添加してPTC組成物を調製した。
積%)、酸化亜鉛7.5g(1体積%)、イオウ2.3
g(1体積%)およびステアリン酸3g(1体積%)を
ソルベントナフサ300g中に加え、撹拌して溶解させ
た(室温、400rpm、12時間)。その溶液に、S
RFカーボンブラック(粒径0.07μm)100g
(25体積%)およびポリエチレンビーズ(粒径6μ
m)75g(40体積%)を加え、撹拌(室温、800
rpm,10分間)した後、その混合物を3本ロールに
3回通した。その後、粘度調整のために、ソルベントナ
フサを150g添加してPTC組成物を調製した。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】 ポリイミドフィルム(厚さ75μm)上
に接着剤層を介し、電極幅1mm、電極間距離1mmの
電極としてジグザグ状に形成させた銅箔導電層(厚さ1
8μm)を積層させたフレキシブルサーキット基材フィ
ルム上に、スクリーン印刷装置を用いて、乾燥後の厚さ
が約30μmになるように上記PTC組成物を均一に塗
布し、120℃のオーブン中で5分間乾燥させた後、1
80℃のオーブン中に10分間放置して架橋反応させ
た。このようにして形成させた発熱層上には、更に保護
としてPETフィルム(厚さ25μm)を40℃で積層
させた。
に接着剤層を介し、電極幅1mm、電極間距離1mmの
電極としてジグザグ状に形成させた銅箔導電層(厚さ1
8μm)を積層させたフレキシブルサーキット基材フィ
ルム上に、スクリーン印刷装置を用いて、乾燥後の厚さ
が約30μmになるように上記PTC組成物を均一に塗
布し、120℃のオーブン中で5分間乾燥させた後、1
80℃のオーブン中に10分間放置して架橋反応させ
た。このようにして形成させた発熱層上には、更に保護
としてPETフィルム(厚さ25μm)を40℃で積層
させた。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】実施例2〜3 実施例1において、更に酸化チタン240g(20体積
%;実施例2)または酸化亜鉛350g(20体積%;
実施例3)を添加したPTC組成物が用いられた。
%;実施例2)または酸化亜鉛350g(20体積%;
実施例3)を添加したPTC組成物が用いられた。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】実施例4 実施例1において、SRFカーボンブラックの代わり
に、FTカーボンブラック(粒径0.09μm)200
g(35体積%)を用いたPTC組成物が用いられた。
に、FTカーボンブラック(粒径0.09μm)200
g(35体積%)を用いたPTC組成物が用いられた。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】実施例5 実施例1において、ポリエチレンビーズの代わりに、エ
チレン−アクリル酸共重合体ビーズ(粒径10μm)7
5g(40体積%)を用いたPTC組成物が用いられ
た。
チレン−アクリル酸共重合体ビーズ(粒径10μm)7
5g(40体積%)を用いたPTC組成物が用いられ
た。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】実施例6 実施例1において、EPDMの代わりに、NBR(日本
合成ゴム製品N215SL)50g(32体積%)を用
いたPTC組成物が用いられた。
合成ゴム製品N215SL)50g(32体積%)を用
いたPTC組成物が用いられた。
Claims (3)
- 【請求項1】 非晶質ポリマー、導電性充填材および該
非晶質ポリマーと相溶性のない結晶性ポリマー粒子より
なるPTC組成物を有機溶剤に分散させたペーストを、
導電層としての金属箔を配したフレキシブルサーキット
基材フィルム上に塗布し、乾燥させることを特徴とする
PTC発熱体の製造法。 - 【請求項2】 PTC組成物ペーストをフレキシブルサ
ーキット基材フィルム上に塗布し、乾燥させた後、架橋
反応させる請求項1記載のPTC発熱体の製造法。 - 【請求項3】 更に固有抵抗が108Ω・cm以上の絶縁性
充填材を添加したPTC組成物が用いられる請求項1ま
たは2記載のPTC発熱体の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14852594A JPH07335378A (ja) | 1994-06-07 | 1994-06-07 | Ptc発熱体の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14852594A JPH07335378A (ja) | 1994-06-07 | 1994-06-07 | Ptc発熱体の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07335378A true JPH07335378A (ja) | 1995-12-22 |
Family
ID=15454734
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14852594A Pending JPH07335378A (ja) | 1994-06-07 | 1994-06-07 | Ptc発熱体の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07335378A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000109693A (ja) * | 1998-10-07 | 2000-04-18 | Nok Corp | Ptc組成物および面状発熱体 |
JP2004143354A (ja) * | 2002-10-28 | 2004-05-20 | Nok Corp | Ptcインク組成物 |
WO2004048165A1 (ja) * | 2002-11-28 | 2004-06-10 | Nok Corporation | ドアミラーヒーター |
-
1994
- 1994-06-07 JP JP14852594A patent/JPH07335378A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000109693A (ja) * | 1998-10-07 | 2000-04-18 | Nok Corp | Ptc組成物および面状発熱体 |
JP2004143354A (ja) * | 2002-10-28 | 2004-05-20 | Nok Corp | Ptcインク組成物 |
JP4501336B2 (ja) * | 2002-10-28 | 2010-07-14 | Nok株式会社 | Ptcインク組成物 |
WO2004048165A1 (ja) * | 2002-11-28 | 2004-06-10 | Nok Corporation | ドアミラーヒーター |
US7202445B2 (en) | 2002-11-28 | 2007-04-10 | Nok Corporation | Door mirror heater |
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