JPH07335020A - 導電性フィラーおよびこれを含む導電性樹脂組成物 - Google Patents

導電性フィラーおよびこれを含む導電性樹脂組成物

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JPH07335020A
JPH07335020A JP13206594A JP13206594A JPH07335020A JP H07335020 A JPH07335020 A JP H07335020A JP 13206594 A JP13206594 A JP 13206594A JP 13206594 A JP13206594 A JP 13206594A JP H07335020 A JPH07335020 A JP H07335020A
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conductive
resin
resin composition
conductive filler
filler
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JP13206594A
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Masatoshi Shibata
雅敏 柴田
Kunito Matsui
邦人 松井
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 半透明の有彩色ないし透明の導電性フィラー
であって、樹脂に混入させた場合でも樹脂の分解を促進
する作用が小さく、かつ、少量の添加でも導電性の高い
導電性樹脂組成物を得ることができる導電性フィラー
と、製造過程で樹脂の分解が起きにくく、かつ、カラー
リングが容易な導電性樹脂組成物を提供する。 【構成】 本発明の導電性フィラーは、導電性酸化物に
よって被覆された繊維状無機物質からなり、前記導電性
酸化物が主要カチオン元素としてInとZnとを含有す
るとともに前記Inと前記Znとの合量に占める前記I
nの原子比In/(In+Zn)が0.3〜0.9の範
囲内である実質的に非晶質の酸化物であり、前記繊維状
無機物質の直径が1〜50μmの範囲内でアスペクト比
が5以上であることを特徴とする。また、本発明の導電
性樹脂組成物は、前記本発明の導電性フィラーを樹脂1
00重量部に対して1〜200重量部含有することを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は導電性フィラーおよびこ
の導電性フィラーを含む導電性樹脂組成物に係り、特
に、導電性酸化物によって被覆された繊維状無機物質か
らなるタイプの導電性フィラーおよびこの導電性フィラ
ーを含む導電性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、集積回路等の電子回路は小型化
し、また複雑、緻密になってきている。このような電子
回路は、塵埃が付着すること等を防止するために樹脂成
形物により包装(ケーシング)されるが、樹脂成形物の
電気絶縁性が高すぎると当該樹脂成形物が帯電する結
果、塵埃の付着や電子回路の静電破壊等が起き易くな
る。このため電子回路の包装材としては、導電性を付与
した樹脂製の成形物が利用されている。また、前記の電
子回路を利用した電子装置のハウジング材としても、電
子装置から発生する電磁波の漏れや侵入を防止するた
め、導電性を付与した樹脂が利用されている。
【0003】樹脂を導電化する方法としては、(1)導
電性フィラーを樹脂に混入させる(以下、導電性フィラ
ーを混入させた樹脂を導電性樹脂組成物という)、
(2)導電性フィラーを含む塗料(以下、導電性塗料と
いう)を樹脂(成形物)表面に塗布する、等があり、前
記の導電性フィラーとしては従来よりカーボン粉末、カ
ーボン繊維、金属粉末、金属繊維が利用されてきた。こ
れらの導電性フィラーは黒色または黒色に近い色調を有
しているため、得られる樹脂(導電性を付与した樹脂)
の色調も暗色化する。
【0004】ところで、導電性を付与した樹脂について
も近年ではカラーリングが要望されるようになり、この
ような要望を満たすために白色系の導電性フィラーが開
発されている。具体的には、酸化錫にアンチモンを添加
したもの(ATO),酸化インジウムに錫を添加したも
の(ITO),酸化亜鉛にアルミニウムを添加したもの
(AZO)等によって、酸化チタン等からなる白色粉末
あるいはガラスからなる繊維状物の表面を被覆したもの
が知られている(特開昭60−12602号公報および
特開昭60−161359号公報参照)。また、白色系
の導電性フィラーとしては、酸化亜鉛ウィスカーもよく
知られている(例えば特開平5−25303号公報参
照)。そして、チタン酸カリウムウィスカーの表面をA
TOで被覆したもの、チタニア微粒子の表面をATOで
被覆したもの、およびホウ酸アルミニウムウィスカーの
表面をATOで被覆したものが現在市販されている。
【0005】導電性フィラーには上述のように粉末ない
し微粒子状のもの(以下、微粒子状のものと総称する)
と繊維状のもの(ウィスカーを含む)があるが、微粒子
状の導電性フィラーを樹脂に混入させることで樹脂を導
電化した場合には、繊維状の導電性フィラーを用いた場
合よりも樹脂の物性の低下をまねいたり、比重の増加を
まねいたり、コストの上昇をまねいたりし易い。これ
は、微粒子状の導電性フィラーの接触点数が繊維状の導
電性フィラーに比べて少なく、所望の導電性を得るため
にはその混入量を多くする必要があることに起因する。
このため、導電性フィラーとしては繊維状のもの方が微
粒子状のものよりも好ましいものとして位置付けられ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】繊維状の導電性フィラ
ーは、上述したように微粒子状の導電性フィラーよりも
好ましいものではあるが、ATO,ITOまたはAZO
を利用した上述の導電性フィラーには、これを用いた導
電性樹脂組成物や導電性塗料を得るにあたって樹脂と加
熱混練したり、樹脂を溶解させた溶液中に分散させたり
すると樹脂を分解し、分子量の低下、ひいては樹脂物性
の低下を引き起こすという難点がある。同じことが酸化
亜鉛ウィスカーにも当てはまる。
【0007】ATO,ITOまたはAZOを利用した上
述の導電性フィラーは、還元処理によって被膜(AT
O,ITOまたはAZO)の導電性を向上させることが
でき、これによってその混入量を減少させることで導電
性樹脂組成物や導電性塗料の製造時における樹脂の機械
的強度等の特性劣化を低減させることができる。しかし
ながら、前記の被膜は還元処理によって暗色化するた
め、このような導電性フィラーを用いた導電性樹脂組成
物では自由なカラーリングが困難である。
【0008】また、白色系の導電性フィラーを添加した
樹脂組成物には、カラーリングの際に白色が着色剤の色
彩をくすませてしまうため、鮮やかな着色ができないと
いう欠点があった。さらに、このような樹脂組成物は光
を散乱させやすいために透光性が低く、包装材として利
用した場合には内容物の確認ができないという欠点があ
った。
【0009】本発明の目的は、半透明の有彩色または透
明の導電性フィラーであって、樹脂に混入させた場合で
も樹脂の分解を促進する作用が小さく、かつ、少量の添
加でも導電性の高い導電性樹脂組成物を得ることができ
る導電性フィラーを提供することにある。また、本発明
の他の目的は、製造過程で樹脂の分解が起きにくく、か
つ、カラーリングが容易な導電性樹脂組成物を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明の導電性フィラーは、導電性酸化物によって被覆さ
れた繊維状無機物質からなり、前記導電性酸化物が主要
カチオン元素としてInとZnとを含有するとともに前
記Inと前記Znとの合量に占める前記Inの原子比I
n/(In+Zn)が0.3〜0.9の範囲内である実
質的に非晶質の酸化物であり、前記繊維状無機物質の直
径が1〜50μmの範囲内でアスペクト比が5以上であ
ることを特徴とする。
【0011】また、上記の目的を達成する本発明の導電
性樹脂組成物は、導電性酸化物によって被覆された繊維
状無機物質からなる導電性フィラーを樹脂100重量部
に対して1〜200重量部含有し、前記導電性酸化物が
主要カチオン元素としてInとZnとを含有するととも
に前記Inと前記Znとの合量に占める前記Inの原子
比In/(In+Zn)が0.3〜0.9の範囲内であ
る実質的に非晶質の酸化物であり、前記繊維状無機物質
の直径が1〜50μmの範囲内でアスペクト比が5以上
であることを特徴とする。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。まず本発
明の導電性フィラーについて説明すると、この導電性フ
ィラーは上述のように導電性酸化物によって被覆された
繊維状無機物質からなり、前記導電性酸化物は、主要カ
チオン元素としてInとZnとを含有するとともに前記
Inと前記Znとの合量に占める前記Inの原子比In
/(In+Zn)が0.3〜0.9の範囲内である実質
的に非晶質の酸化物である。ここで、「実質的に非晶質
の酸化物」とは、内部標準法(『セラミックスのキャラ
クタリゼーション技術』(1987年社団法人窯業協会
発行)44〜45頁参照)によって定量した結晶質の量
が50%未満である酸化物を意味し、結晶質の定量の対
象となる物質はインジウム(In)酸化物、亜鉛(Z
n)酸化物、および後述する第3元素の酸化物である。
【0013】上記の導電性酸化物は、カチオン元素とし
てInおよびZnのみを含有する実質的に非晶質の酸化
物であってもよいし、InおよびZn以外のカチオン元
素として価数が正3〜5価である元素を1種または複数
種含有する実質的に非晶質の酸化物であってもよい。た
だし、いずれの場合においても前記Inの原子比In/
(In+Zn)は0.3〜0.9の範囲内に限定され
る。前記原子比が0.3〜0.9の範囲外である酸化物
では内部標準法によって定量した結晶質の量が50%以
上となり易く、結晶質の量が50%以上になると樹脂に
混入させたときに当該樹脂の分解を促進する作用が強く
なる。前記原子比は0.5〜0.9の範囲内であること
が好ましく、特に、0.6〜0.85の範囲内であるこ
とが好ましい。
【0014】また、InおよびZn以外のカチオン元素
として価数が正3〜5価である元素(以下、第3元素と
いう)を1種または複数種含有させる場合、第3元素の
原子比(全第3元素)/(In+Zn+全第3元素)は
0.005〜0.3の範囲内とすることが好ましい。第
3元素を含有させることで導電性をさらに向上させるこ
とができるが、第3元素の原子比が0.3を超えると結
晶質の量が50%以上となり易く、結晶質の量が50%
以上になると樹脂に混入させたときに当該樹脂の分解を
促進する作用が強くなる。第3元素のより好ましい原子
比は0.005〜0.2の範囲内であり、特に0.01
〜0.1の範囲内であることが好ましい。第3元素の具
体例としてはB,Al,Si,Ga,Ge,Ti,Y,
Zr,Sn,Sb,La,Ce,Pbが挙げられ、導電
性改善効果が高いことからSn,Ga,Sbが特に好ま
しい。
【0015】一方、上述した導電性酸化物によって被覆
される繊維状無機物質は、透明または半透明の無機ウィ
スカーもしくは無機繊維であればよいが、取扱い性や人
体に与える影響から、その直径は1〜50μmの範囲内
に限定される。同時に、できるだけ少量の添加で所望の
導電性を付与することができる導電性フィラーを得るう
えから、そのアスペクト比は5以上に限定される。繊維
状無機物質の直径は2〜30μmの範囲内であることが
好ましく、アスペクト比は10以上であることが好まし
い。導電性フィラーの製造過程における繊維状無機物質
の長さについては上限はなく、例えば、ガラス繊維等の
連続長繊維の様に数千mの長さがあってもよい。この場
合には後述の製造方法の例(6)のような連続製造が可
能となり、経済的に優位な製造方法が適用できる。
【0016】上記の繊維状無機物質の具体例としてはチ
タン酸カリウムウィスカー,酸化亜鉛ウィスカー,ホウ
酸アルミニウムウィスカー,炭化ケイ素ウィスカー等の
無機ウィスカーや、アスベスト,ウオラステナイト,鉱
物ウール,ドーソナイト等の天然鉱物、アルミナ繊維,
α−アルミナ繊維,PMF(加工鉱物繊維),炭化ケイ
素繊維,Ti−Al−O−N繊維,Si−N繊維,Si
−N−C繊維,Si−C−O繊維,Si−N−O繊維,
Si−Ti−C−O繊維,Si−B−O−N繊維等の無
機合成繊維、アルカリガラス,無アルカリガラス,石英
ガラス,各種硅酸塩ガラス,Aガラス,Cガラス,Eガ
ラス,Sガラス等からなるガラス繊維が挙げられる。こ
れらの中でも透明性、価格、物性の安定性の面から、ガ
ラス繊維が好ましい。
【0017】本発明の導電性フィラーは、上述した繊維
状無機物質の表面を前述した導電性酸化物によって被覆
することで得られるが、このときの導電性酸化物の厚さ
は1〜500nmの範囲内であることが好ましい。厚さ
が1nm未満ではフィラーの電気抵抗が高くなり過ぎ、
500nmを超えると当該導電性酸化物が剥離し易くな
る。導電性酸化物のより好ましい厚さは5〜100nm
の範囲内である。
【0018】前述した組成および厚さの導電性酸化物に
より上述した繊維状無機物質の全表面(実質的に全表
面)を被覆した場合には、粉体抵抗が1×10-1〜1×
105Ω・cmの範囲内である導電性フィラーを容易に
得ることができる。粉体抵抗が前記の範囲内であれば、
導電性酸化物による被覆は繊維状無機物質の全表面(実
質的に全表面)に亘っていなくてもよい。粉体抵抗は1
×10-1〜1×103 Ω・cmの範囲内であることが好
ましく、特に1×10-1〜1×102 ・cmの範囲内で
あることが好ましい。なお、本発明でいう粉体抵抗と
は、直径10mmの容器に詰めた導電性フィラーを上下
から電極となる金属製の押棒で100kg/cm2 に加
圧しつつ当該導電性フィラーの電気抵抗を測定し、この
測定値と電極の面積および電極間の距離から算出した値
を意味する。
【0019】以上説明した本発明の導電性フィラーは、
繊維状無機物が透明ないし半透明であり、これを被覆す
る導電性酸化物が半透明の有彩色または透明であること
から、半透明の有彩色または透明を呈する。したがっ
て、導電性樹脂組成物用の導電性フィラーや導電性塗料
用の導電性フィラー等として本発明の導電性フィラーを
用いた場合には、導電性樹脂組成物や導電性塗料のカラ
ーリングが容易である。また、導電性酸化物が実質的に
非晶質の酸化物であることから、樹脂に混入させた場合
でも樹脂の分解を促進する作用が小さい。さらに、粉体
抵抗が1×10-1〜1×105 Ω・cmの範囲内である
ことから、少量の添加でも導電性の高い導電性樹脂組成
物や導電性塗料を得ることができる。
【0020】このような特徴を有する本発明の導電性フ
ィラーを得るにあたっては、例えば、In化合物とZn
化合物とが溶解した導電性酸化物用原料溶液と、前述し
た繊維状無機物(以下、担体という)の所望量とを混合
し、濾過(加圧濾過や減圧濾過を含む)等の方法によっ
て固液分離することで担体表面に前記の原料溶液からな
る液膜を形成した後、200〜800℃で焼成する。
【0021】焼成温度が200℃未満では使用原料の十
分な分解や目的とする導電性酸化物の形成が困難であ
り、800℃を超えると担体の劣化や一旦形成された導
電性酸化物からの成分の蒸発が生じ易くなる。好ましい
焼成温度は300〜600℃の範囲内である。焼成時間
は、焼成温度にもよるが、概ね1分〜10時間の範囲内
である。処理時間が短すぎると使用原料の十分な分解や
目的とする導電性酸化物の形成が困難であり、長すぎる
と担体の劣化や一旦形成された導電性酸化物からの成分
の蒸発が生じ易くなるとともに、経済性が低下する。好
ましい焼成時間は5分〜5時間の範囲内である。焼成時
の雰囲気は、窒素ガス,アルゴンガス等の不活性ガス
や、水素ガス,メタンガス等の還元性ガス、空気,酸素
ガス等の酸化性ガス、あるいはこれらの混合ガスとす
る。
【0022】なお、この焼成によって得られた導電性フ
ィラーについて前記の原料溶液との混合、固液分離によ
る前記液膜の形成、および焼成からなる一連の操作を所
望回数繰り返してもよい。
【0023】前記のIn化合物およびZn化合物の具体
例としては、InおよびZnのそれぞれにつてのハロゲ
ン化物(塩化物、臭化物等)、硫化物、硝酸塩、硫酸
塩、炭酸塩、有機酸塩(酢酸塩、シュウ酸塩、プロピオ
ン酸塩、ナフテン酸塩等)、アルコキシド(メトキシ
ド、エトキシド、イソプロポキシド、n−プロポキシド
等)、有機金属錯体(アセチルアセトネート等)が挙げ
られる。これらの化合物の中でも、熱分解後に不純物が
残存するのを防ぐうえから硝酸塩、有機酸塩、アルコキ
シド、または有機金属錯体を使用することが好ましく、
特に酢酸塩を使用することが好ましい。
【0024】また、前述した第3元素を含有する導電性
酸化物によって担体の表面を被覆する場合には、上述し
たIn化合物およびZn化合物の他に、所望の第3元素
のハロゲン化物(塩化物、臭化物等)、硫化物、硝酸
塩、硫酸塩、炭酸塩、有機酸塩(酢酸塩、シュウ酸塩、
プロピオン酸塩、ナフテン酸塩等)、またはアルコキシ
ドを併用する。
【0025】上記の原料溶液を得る際の溶媒の具体例と
しては水、アルコール類、エタノールアミン類、アミノ
シラン類、非プロトン性極性溶媒(DMSO,NMP,
スルホラン,THF)や、これらの混合物が挙げられ
る。これらの溶媒に対する前記化合物の溶解性は良好で
あり、目的とする溶液を容易に得ることができる。なか
でも、炭素数1〜5のアルコール(メタノール,エタノ
ール,イソプロパノール,n−プロパノール,メトキシ
エタノール,エトキシエタノール,エチレングリコール
等)や、エタノールアミン(モノエタノールアミン,ジ
エタノールアミン,トリエタノールアミン等)、および
アミノシラン(γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン,γ−アミノプロピルトリエトキシシラン,N−β−
(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン等)が好ましい。
【0026】上記の溶媒に溶解させる前記In化合物と
前記Zn化合物との比は、Inの原子比In/(In+
Zn)が0.3〜0.9の範囲内の所望値である導電性
酸化物が得られるように適宜設定される。また、第3元
素の化合物をも溶解させる場合、当該第3元素の化合物
の添加量は、第3元素の原子比(全第3元素)/(In
+Zn+全第3元素)が0.005〜0.3の範囲内の
所望値である導電性酸化物が得られるように適宜設定さ
れる。原料溶液中のIn化合物およびZn化合物の濃度
は、In元素とZn元素の合量の濃度が0.01〜10
モル/リットルの範囲内となるように適宜設定すること
が好ましい。前記の濃度が0.01モル/リットル未満
では生産性に劣り、10モル/リットルを超えると原料
溶液と担体との混合が困難になる。
【0027】本発明の導電性フィラーは、上述した方法
以外にも、上記の溶液を用いた下記(1)〜(6)の方
法によって製造するとができる。 (1)上記の原料溶液と担体とを混合した後、溶媒を蒸
発させることで担体表面に被膜を形成し(蒸発乾固)、
この後200〜800℃で1分〜10時間焼成する。
【0028】(2)上記の原料溶液と担体とを混合し、
これに、シュウ酸2水和物,アルカリ(NaOH,KO
H,NaCO3 ,K2 CO3 ,NaHCO3 ,KHCO
3 ,アンモニア水等)等の沈殿形成剤を有機溶媒に溶解
させてなる溶液を加えることで前記の担体の表面にIn
元素とZn元素を含む化合物層を液中で生成させた後、
濾過(加圧濾過や減圧濾過を含む)等の方法によって固
液分離し、この後200〜800℃で1分〜10時間焼
成する。
【0029】(3)スプレードライ法や噴霧熱分解法等
の方法により担体表面に所定の被膜を形成する。すなわ
ち、上記の原料溶液と担体とを混合したものを50〜8
00℃の気相中に噴霧することで担体表面に所定の被膜
を形成する。この後、必要に応じて200〜800℃で
1分〜10時間焼成する。 (4)ヘンシルミキサー、ナウターミキサー、コニカル
ブレンダー等の装置を用いて、攪拌状態にある担体に上
記の原料溶液を噴霧することで担体表面に所定の被膜を
形成する。この後、必要に応じて200〜800℃で1
分〜10時間焼成する。
【0030】(5)ナウターミキサー等の装置を用い
て、200〜800℃に加熱した担体に上記の原料溶液
を噴霧することで担体表面に所定の被膜を形成する。 (6)ベルトアプリケーター、ロールアプリケーター等
の装置を用いて、担体の材料となる連続長繊維表面に上
記の原料溶液からなる液膜を形成した後に200〜80
0℃で熱処理することで前記長繊維表面に所定の被膜を
形成し、この後、被膜が形成されている前記の連続長繊
維を所望長に切断する。
【0031】さらに、本発明の導電性フィラーはスパッ
タリング法や真空蒸着法等の物理蒸着法(PVD)ある
いは化学蒸着法(CVD)により担体表面に所定の被膜
を形成することでも製造することができる。ただし生産
性の面からは、In化合物とZn化合物とが溶解した所
定の溶液を用いる上記の方法により製造する方が好まし
い。
【0032】本発明の導電性フィラーを得るにあたって
は、上述した方法により得られたものについて還元処理
を施してもよい。還元処理を行うことにより、更に低電
気抵抗の導電性フィラーを得ることができる。この還元
処理は、例えば、ガス中または真空中で熱処理すること
により行うことができる。このときのガスとしては、水
素ガス,メタンガス,COガス等の還元性ガスや、窒素
ガス,アルゴンガス等の不活性ガス、あるいはこれらの
ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いることができる。還
元温度(処理温度)は100〜800℃の範囲内で適宜
選択可能である。還元温度が100℃未満では還元が不
十分となり易く、800℃を超えると過度の還元により
金属が生じたり成分の蒸発が生じる。また還元時間(処
理時間)は、還元温度にもよるが、0.1〜100時間
の範囲内で適宜選択可能である。還元時間が0.1時間
未満では還元が不十分となり易く、還元時間が100時
間を超えると経済性に乏しくなる。
【0033】さらに、本発明の導電性フィラーにおいて
担体(繊維状無機物)を被覆している導電性酸化物は、
表面処理剤により表面処理されていてもよい。表面処理
剤としては、ビニルシラン,アクリルシラン,アミノシ
ラン,ウレイド変性アミノシラン,エポキシシラン,ク
ロロシラン,メルカプトシラン,パーオキシシラン等の
シランカップリング剤や、イソプロピル・トリイソステ
アロイル・チタネート,イソプロピル・ジ(ドデシルベ
ンゼンスルホニル)4−アミノベンゼンスルホニル・チ
タネート,イソプロピル・トリアクロイル・チタネート
等のチタンカップリング剤、あるいはクロム系カップリ
ング剤等を用いることができる。このとき、酢酸ビニル
系エマルジョン等の潤滑剤や、ポリ酢酸ビニル等の集束
剤を添加してもよい。
【0034】次に、本発明の導電性樹脂組成物について
説明すると、この導電性樹脂組成物は、上述した本発明
の導電性フィラーを樹脂100重量部に対して1〜20
0重量部含有していることを特徴とするものである。こ
こで、前記の樹脂は熱可塑性樹脂であってもよいし、熱
硬化性樹脂であってもよい。
【0035】熱可塑性樹脂の具体例としてはポリ塩化ビ
ニル,エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル樹脂
や、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン等の
ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート,ポリブ
チレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6,
ナイロン66等のポリアミド、ポリアセタール、アクリ
ロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブ
タジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカー
ボネート、エチレン−プロピレン共重合体、フッ素樹
脂、ケイ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェ
ニレンサルファイド、ポリイミド等が挙げられる。
【0036】また、熱硬化性樹脂の具体例としてはオル
ソフタル酸系,イソフタル酸系,ビスフェノール系,ハ
ロゲン系等の不飽和ポリエステル樹脂や、ビスフェノー
ル系,ノボラック系,ハロゲン化ビスフェノール系,エ
ラストマー変性系等のビニルエステル樹脂、ビスフェノ
ール系,ノボラック系,臭化ビスフェノール系,脂環
系,グリシルアミン系等のエポキシ樹脂、ノボラック
系,レゾール系,付加型ポリイミド樹脂系等のフェノー
ル樹脂、フラン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱硬化
ウレタン樹脂、熱硬化アクリル樹脂等が挙げられる。
【0037】上記の樹脂100重量部に対する導電性フ
ィラーの含有量を1〜200重量部に限定する理由は、
導電性フィラーの含有量が1重量部未満では導電性樹脂
組成物の導電性が低く、200重量部を超えると樹脂物
性の低下をまねくからである。導電性フィラーの含有量
は、目的とする導電性樹脂組成物の用途等に応じて前述
の範囲内で適宜変更可能である。例えば、成型物,繊
維,フィルム,シート等の成形体の原料として使用する
導電性樹脂組成物を得る場合には、導電性フィラーの含
有量(樹脂100重量部に対する含有量)を5〜100
重量部とすることが好ましく、特に5〜50重量部とす
ることが好ましい。また、導電性塗料の原料として使用
する導電性樹脂組成物を得る場合には、導電性フィラー
の含有量(樹脂100重量部に対する含有量)を5〜1
50重量部とすることが好ましく、特に10〜100重
量部とすることが好ましい。
【0038】前述した本発明の導電性フィラーを上述の
割合で含有する本発明の導電性樹脂組成物の表面抵抗は
概ね1×103 〜1×1015Ω/□の範囲内となり、体
積抵抗は概ね1×103 〜1×1015Ω・cmの範囲内
となる。これらの電気抵抗値は、導電性フィラーの組成
(特に導電性酸化物の組成)やその含有量、および樹脂
種を選択することにより前記の範囲内で適宜調整するこ
とができる。なお、本発明でいう「導電性樹脂組成物の
表面抵抗」および「導電性樹脂組成物の体積抵抗」は、
共に、樹脂が硬化した状態下で測定した値を意味する。
【0039】また、この導電性樹脂組成物の色は、着色
剤を含有させない限りは、導電性フィラーの色を反映し
た半透明の有彩色もしくは透明、または導電性フィラー
の色と樹脂の色とが融合した半透明の有彩色を呈する。
したがって、その製造時に所望の着色剤を添加すること
により容易にカラーリングすることができる。さらに、
導電性フィラーによる樹脂の分解は少ないため、樹脂物
性の低下も小さい。
【0040】このような特性を有する本発明の導電性樹
脂組成物は、半透明の有彩色ないし透明を呈する静電気
シールド材、電磁波シールド材、帯電防止材等の成形材
料として、あるいは半透明の有彩色ないし透明を呈する
導電性塗料の原料として好適である。
【0041】本発明の導電性樹脂組成物は、樹脂の種類
に応じて、例えば下記(a)〜(d)の方法により製造
することができる。 (a)樹脂を溶媒に溶解させ、この溶液中に導電性フィ
ラーを分散させた後に溶媒を除去することで導電性樹脂
組成物を得る。前記の溶媒としては、アセトン,メチル
エチルケトン,メチルイソブチルケトン,シクロヘキサ
ノン等のケトン類や、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸ブ
チル,乳酸エチル,酢酸グリコールモノエチルエーテル
等のエステル類、グリコールジメチルエーテル,グリコ
ールモノメチルエーテル,グリコールモノエチルエーテ
ル,ジオキサン等のグリコールエーテル類、ベンゼン,
トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素、メチレンクロ
ライド,エチレンクロライド,1,1,1−トリクロロ
エタン,トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素、メタ
ノール,エタノール,プロパノール,ブタノール等のア
ルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シド、フェノール等が挙げられる。
【0042】(b)モノマー中に導電性フィラーを分散
させた状態下でモノマーを重合させることにより導電性
樹脂組成物を得る。 (c)タンブラーやVブレンダー等を用いて樹脂と導電
性フィラーとをドライの状態で混合した後、混合物中の
樹脂を溶融させることで導電性樹脂組成物を得る。 (d)単軸押出機や二軸押出機等を用いて樹脂を溶融混
練し、この状態下の樹脂に導電性フィラーを添加してさ
らに混練することで導電性樹脂組成物を得る。
【0043】なお、上述のようにして本発明の導電性樹
脂組成物を得るにあたっては、樹脂および導電性フィラ
ー以外の原料として各種の充填剤や難燃剤(ガラス繊
維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、
炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミ
ニウム、アルミナ、チタニア、シリカ、ホワイトカーボ
ン、けいそう土、二硫化モリブデン、カーボンブラッ
ク、グラファイト、木粉、ホスファゲン化合物、燐酸エ
ステル、アンチモン化合物等)、着色剤(チタニア、亜
鉛華、ベンガラ等)、安定剤、劣化防止剤等を、導電性
を損なわない範囲内で適宜添加することができる。
【0044】このようにして得られる本発明の導電性樹
脂組成物は、押出成形、射出成形、加圧成形、真空成形
等の方法よって所望形状の成型体あるいは繊維、フィル
ム、シート等に成形することにより、実用に供される。
また、本発明の導電性樹脂組成物を適当な溶媒に溶解、
分散させて導電性塗料とすることで、実用に供される。
なお、導電性塗料を得る場合に使用する溶媒の具体例と
しては、前述した導電性樹脂組成物の製造方法例(a)
で例示した溶媒と同じものが挙げられる。本発明の導電
性樹脂組成物の用途の一例を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 実施例1 まず、酢酸インジウム195gと無水酢酸亜鉛61gと
を、2−メトキシエタノール415gとモノエタノール
アミン61gとの混合溶媒に溶解させて、導電性酸化物
用の原料溶液を得た。次に、この原料溶液に平均長さ2
00μmにチョップした直径13μmのEガラスからな
るガラス繊維400gを加え、10分間攪拌した後に濾
過して、前記のガラス繊維の表面に前記の原料溶液から
なる液膜を形成した。表面に液膜が形成された前記のガ
ラス繊維を500℃で10分間焼成(焼成時の雰囲気は
空気)することでガラス繊維表面に導電性酸化物を形成
した後、焼成後のガラス繊維について前記の原料溶液へ
の添加、攪拌、濾過、および焼成からなる一連の操作を
前述の条件で8回繰り返し、最後に500℃で1時間焼
成した(焼成時の雰囲気は空気)。この後、真空中で2
00℃に加熱することによる還元処理を2時間行って、
半透明で淡黄色の導電性フィラーを得た。
【0047】このようにして得られた導電性フィラーに
ついてX線回折測定を行ったところ、ガラス繊維を被覆
している導電性酸化物中の結晶部分の割合は内部標準法
に基づく定量で20%であった。このことから、当該導
電性酸化物は実質的に非晶質であることが確認された。
また、導電性酸化物の組成分析をICP分析(誘導結合
プラズマ発光分光分析)により行ったところ、当該導電
性酸化物におけるInの原子比In/(In+Zn)は
0.69であった。さらに、Arイオン銃を備えたAE
S(オージェ電子分光分析)装置を用いた測定から、ガ
ラス繊維は上記の導電性酸化物によってほぼ均一に厚さ
25nmで被覆されていることが確認された。この導電
性フィラーの粉体抵抗を測定したところ35Ω・cmで
あった。また、60℃、98%RHの条件で耐湿性試験
を行い、試験開始から1000時間後に粉体抵抗を測定
したところ、試験前の値から5Ω・cm増えただけの4
0Ω・cmであった。このことから、当該導電性フィラ
ーは耐湿性に優れていることがわかる。
【0048】実施例2 まず、酢酸インジウム6水和物7.2gと硝酸亜鉛6水
和物1.2gとをエタノール100mlに溶解させて、
導電性酸化物用の原料溶液を得た。また、シュウ酸2水
和物6.1gをエタノール100mlに溶解させて、沈
殿形成用溶液を得た。次に、前記の原料溶液(液温;室
温)に平均長さ200μmにチョップした直径11μm
のEガラスからなるガラス繊維100gを加えてよく攪
拌し、これへ前記の沈殿形成用溶液を滴下した。滴下終
了後に液温を40℃に上げ、4時間熟成した。これによ
り、前記のガラス繊維の表面にはIn元素とZn元素を
含む化合物層が形成された。この後、濾過によって固液
分離し、表面に前記の化合物層が形成されているガラス
繊維を110℃で12時間乾燥した。乾燥後に300℃
で2時間焼成し(焼成時の雰囲気は空気)、さらに、真
空中で190℃に加熱することによる還元処理を2時間
行って、半透明で淡黄色の導電性フィラーを得た。
【0049】このようにして得られた導電性フィラーに
ついてX線回折測定を行ったところ、ガラス繊維を被覆
している導電性酸化物中の結晶部分の割合は内部標準法
に基づく定量で10%であった。このことから、当該導
電性酸化物は実質的に非晶質であることが確認された。
また、導電性酸化物の組成分析をICP分析により行っ
たところ、当該導電性酸化物におけるInの原子比In
/(In+Zn)は0.85であった。さらに、Arイ
オン銃を備えたAES装置を用いた測定から、ガラス繊
維は上記の導電性酸化物によってほぼ均一に厚さ29n
mで被覆されていることが確認された。この導電性フィ
ラーの粉体抵抗を測定したところ23Ω・cmであっ
た。
【0050】実施例3 酢酸インジウムの使用量を146gにするとともに無水
酢酸亜鉛の使用量を92gにした以外は実施例1と同一
条件で導電性酸化物用の原料溶液を得、導電性酸化物用
の原料溶液としてこの原料溶液を用いた以外は実施例1
と同一・同条件の処理を行って、半透明で淡黄色の導電
性フィラーを得た。このようにして得られた導電性フィ
ラーについてX線回折測定を行ったところ、ガラス繊維
を被覆している導電性酸化物中の結晶部分の割合は内部
標準法に基づく定量で20%であった。このことから、
当該導電性酸化物は実質的に非晶質であることが確認さ
れた。また、導電性酸化物の組成分析をICP分析によ
り行ったところ、当該導電性酸化物におけるInの原子
比In/(In+Zn)は0.53であった。さらに、
Arイオン銃を備えたAES装置を用いた測定から、ガ
ラス繊維は上記の導電性酸化物によってほぼ均一に厚さ
35nmで被覆されていることが確認された。この導電
性フィラーの粉体抵抗を測定したところ1.5×103
Ω・cmであった。
【0051】実施例4 集束剤塗布装置を用いて、単繊維の直径が13μmでフ
ィラメント数が3200 fil/stであるガラス繊維ロー
ビング(Eガラス繊維製)に実施例1で使用した導電性
酸化物用原料溶液と同一組成の原料溶液を塗布した。こ
のロービングを500℃に保持した熱処理炉に導き、滞
留時間2分で処理した。次に、真空中で180℃、6時
間処理して、半透明で淡黄色の連続長繊維状導電性繊維
フィラーを得た。この連続長繊維状導電性繊維フィラー
についてX線回折測定を行ったところ、ガラス繊維を被
覆している導電性酸化物中の結晶部分の割合は内部標準
法に基づく定量で15%であった。このことから、当該
導電性酸化物は実質的に非晶質であることが確認され
た。導電性酸化物の組成分析をICP分析により行った
ところ、当該導電性酸化物におけるInの原子比In/
(In+Zn)は0.68であった。また、この連続長
繊維状導電性繊維フィラーを平均長さ500μmに切断
して導電性フィラーを得、当該導電性フィラーの粉体抵
抗を測定したところ45Ω・cmであった。さらに、A
rイオン銃を備えたAES装置を用いた測定から、ガラ
ス繊維表面は導電性酸化物によってほぼ均一に厚さ22
nmで被覆されていることが確認された。
【0052】比較例1 酢酸インジウムと無水酢酸亜鉛の代わりに、ナーセム錫
367gとトリエトキシアンチモン39gを使用した以
外は実施例1と同一条件で導電性酸化物用の原料溶液を
得、導電性酸化物用の原料溶液としてこの原料溶液を用
いた以外は実施例1と同一・同条件の処理を行って灰青
色の導電性フィラーを得た。このようにして得られた導
電性フィラーについてX線回折測定を行ったところ、ガ
ラス繊維を被覆している導電性酸化物中の結晶部分の割
合は内部標準法に基づく定量で85%であった。
【0053】樹脂分解性の評価 試料として実施例1で得た導電性フィラー、比較例1で
得た導電性フィラー、チタン酸カリウムウィスカー(直
径0.3〜0.6μm、長さ10〜20μm)をアンチ
モンドープ酸化錫(ATO)で被覆してなる市販の導電
性フィラー(以下、導電性フィラーAという)、および
Eガラスからなるガラス繊維(直径13μm、平均長さ
200μm)を用意し、分子量25000のポリカーボ
ネート(出光石油化学(株)製のタフロンFN2500
0)と混合した後に窒素雰囲気中340℃で30分間混
練したときの樹脂分解性を試料毎に評価した。このと
き、ポリカーボネートの使用量は4g、試料の添加量は
1gとした。また樹脂分解性は、混練物を塩化メチレン
に溶解させて試料を分離した後にポリカーボネートの分
子量を測定し、その分子量が初期の値(25000)か
らどれだけ低下しているかで評価した。なお、比較のた
め、試料を添加せずに上記の条件で混練した時のポリカ
ーボネートの分子量も測定した。これらの分子量の測定
結果を表2に示す。
【0054】
【表2】 表2から明らかなように、実施例1の導電性フィラーの
樹脂分解性は低い。
【0055】実施例5 ポリカーボネート(出光石油化学(株)製のタフロンF
N2200A,分子量22000)80重量部と実施例
1の導電性フィラー20重量部とを40φ単軸押出機
(ベントタイプスクリュー)で混練して、導電性樹脂組
成物を得た。このときの混練条件は、スクリュー回転数
100rpm、混練温度280℃とした。この混練に引
き続き、成型温度280℃、金型温度80℃、射出圧力
1200kgf/cm2 、型締め力100tの条件で射
出成形して、80×80×3mmの板状のテストピース
およびJIS K7113に規定の1号形試験片を作製
した。そして、前記のテストピースについて体積抵抗と
比重を測定し、前記の1号形試験片について曲げ強度、
弾性率およびアイゾット衝撃値を測定した。なお、体積
抵抗率はASTM D257、比重はJIS K711
2、曲げ強度および弾性率はJIS K7203、アイ
ゾット衝撃値はJIS K7110にそれぞれ基づいて
測定した。これらの結果を表3に示す。
【0056】実施例6 導電性フィラーとして実施例2の導電性フィラーを用い
た以外は実施例5と同条件で混練して、導電性樹脂組成
物を得た。そして、この導電性樹脂組成物を実施例5と
同条件で射出成形して実施例5と同一形状のテストピー
スおよび1号形試験片を得、これらのテストピースおよ
び1号形試験片について体積抵抗、比重、曲げ強度、弾
性率およびアイゾット衝撃値を実施例5と同一手法で測
定した。これらの結果を表3に示す。
【0057】実施例7 ABS樹脂(日本合成ゴム社製のJSR ABS35)
80重量部と実施例1の導電性フィラー20重量部とを
40φ単軸押出機(ベントタイプスクリュー)で混練し
て、導電性樹脂組成物を得た。このときの混練条件は、
スクリュー回転数100rpm、混練温度230℃とし
た。この混練に引き続き、成型温度230℃、金型温度
70℃、射出圧力800kgf/cm2 、型締め力10
0tの条件で射出成形して、実施例5と同一形状のテス
トピースおよび1号形試験片を得た。そして、これらの
テストピースおよび1号形試験片について体積抵抗、比
重、曲げ強度、弾性率およびアイゾット衝撃値を実施例
5と同一手法で測定した。これらの結果を表3に示す。
【0058】実施例8 ポリプロピレン(出光石油化学(株)製の出光ポリプロ
J−754HP)80重量部と実施例3の導電性フィラ
ー20重量部とを40φ単軸押出機(ベントタイプスク
リュー)で混練して、導電性樹脂組成物を得た。このと
きの混練条件は、スクリュー回転数100rpm、混練
温度220℃とした。この混練に引き続き、成型温度2
20℃、金型温度50℃、射出圧力900kgf/cm
2 、型締め力100tの条件で射出成形して、実施例5
と同一形状のテストピースおよび1号形試験片を得た。
そして、これらのテストピースおよび1号形試験片につ
いて体積抵抗、比重、曲げ強度、弾性率およびアイゾッ
ト衝撃値を実施例5と同一手法で測定した。これらの結
果を表3に示す。
【0059】比較例2 平均長さ200μmにチョップした直径13μmのEガ
ラスからなるガラス繊維をフィラーとして用いた以外は
実施例5と同条件で樹脂組成物を得た。そして、この樹
脂組成物を実施例5と同条件で射出成形して実施例5と
同一形状のテストピースおよび1号形試験片を得、これ
らのテストピースおよび1号形試験片について体積抵
抗、比重、曲げ強度、弾性率およびアイゾット衝撃値を
実施例5と同一手法で測定した。これらの結果を表3に
示す。
【0060】比較例3 平均長さ200μmにチョップした直径13μmのEガ
ラスからなるガラス繊維をフィラーとして用いた以外は
実施例7と同条件で樹脂組成物を得た。そして、この樹
脂組成物を実施例5と同条件で射出成形して実施例5と
同一形状のテストピースおよび1号形試験片を得、これ
らのテストピースおよび1号形試験片について体積抵
抗、比重、曲げ強度、弾性率およびアイゾット衝撃値を
実施例5と同一手法で測定した。これらの結果を表3に
示す。
【0061】比較例4 平均長さ200μmにチョップした直径13μmのEガ
ラスからなるガラス繊維をフィラーとして用いた以外は
実施例8と同条件で樹脂組成物を得た。そして、この樹
脂組成物を実施例5と同条件で射出成形して実施例5と
同一形状のテストピースおよび1号形試験片を得、これ
らのテストピースおよび1号形試験片について体積抵
抗、比重、曲げ強度、弾性率およびアイゾット衝撃値を
実施例5と同一手法で測定した。これらの結果を表3に
示す。
【0062】
【表3】
【0063】表3から明らかなように、実施例5〜実施
例8で作製した各テストピースの体積抵抗は1×105
〜1×107 Ω・cmである。このことから、実施例5
〜実施例8で作製した各導電性樹脂組成物は導電性に優
れたものであることがわかる。また、実施例5〜実施例
8で作製した各テストピースおよび各1号形試験片の物
性値と比較例2〜比較例4で作製した各テストピースお
よび各1号形試験片の物性値との比較から、実施例5〜
実施例8のそれぞれで使用した導電性フィラーは樹脂の
物性をそれ程劣化させることなく、体積抵抗のみを大幅
に低下させていることがわかる。
【0064】透光性の評価 実施例5〜実施例8で作製した各テストピースは半透明
の淡黄色を呈していた。そこで、実施例5〜実施例6で
作製した各テストピースを厚さ0.5mmに研磨して試
料とし、これらの試料について、文字を印刷した上質紙
の紙面上に置いたときにその下の文字が視認できるか否
かをみることで透光性を評価した。この結果、実施例5
〜実施例6の各テストピースからそれぞれ作製した試料
では文字を十分に判読することができ、各試料の透光性
は良好であった。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の導電性フ
ィラーは半透明の有彩色または透明を呈し、樹脂に混入
させた場合でも樹脂の分解を促進する作用が小さく、か
つ、少量の添加でも導電性の高い導電性樹脂組成物を得
ることができるものである。また、本発明の導電性樹脂
組成物は、製造過程で樹脂の分解が起きにくく、かつ、
カラーリングが容易なものである。したがって、本発明
によれば物性が良好な所望色の静電気シールド材、電磁
波シールド材、帯電防止材、導電性塗料等を得ることが
容易になる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性酸化物によって被覆された繊維状
    無機物質からなり、前記導電性酸化物が主要カチオン元
    素としてInとZnとを含有するとともに前記Inと前
    記Znとの合量に占める前記Inの原子比In/(In
    +Zn)が0.3〜0.9の範囲内である実質的に非晶
    質の酸化物であり、前記繊維状無機物質の直径が1〜5
    0μmの範囲内でアスペクト比が5以上であることを特
    徴とする導電性フィラー。
  2. 【請求項2】 導電性酸化物が、InおよびZn以外の
    カチオン元素として価数が正3〜5価である元素を1種
    または複数種含有する、請求項1に記載の導電性フィラ
    ー。
  3. 【請求項3】 導電性酸化物の厚さが1〜500nmの
    範囲内である、請求項1または請求項2に記載の導電性
    フィラー。
  4. 【請求項4】 粉体抵抗が1×10-1〜1×105 Ω・
    cmの範囲内である、請求項1〜請求項3のいずれか一
    項に記載の導電性フィラー。
  5. 【請求項5】 導電性酸化物によって被覆された繊維状
    無機物質からなる導電性フィラーを樹脂100重量部に
    対して1〜200重量部含有し、前記導電性酸化物が主
    要カチオン元素としてInとZnとを含有するとともに
    前記Inと前記Znとの合量に占める前記Inの原子比
    In/(In+Zn)が0.3〜0.9の範囲内である
    実質的に非晶質の酸化物であり、前記繊維状無機物質の
    直径が1〜50μmの範囲内でアスペクト比が5以上で
    あることを特徴とする導電性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 導電性酸化物が、InおよびZn以外の
    カチオン元素として価数が正3〜5価である元素を1種
    または複数種含有する、請求項5に記載の導電性樹脂組
    成物。
  7. 【請求項7】 導電性酸化物の厚さが1〜500nmの
    範囲内である、請求項5または請求項6に記載の導電性
    樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 導電性フィラーの粉体抵抗が1×10-1
    〜1×105 Ω・cmの範囲内である、請求項5〜請求
    項7のいずれか一項に記載の導電性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 表面抵抗が1×103 〜1×1015Ω/
    □の範囲内であり、体積抵抗が1×103 〜1×1015
    Ω・cmの範囲内である、請求項5〜請求項8のいずれ
    か一項に記載の導電性樹脂組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008195766A (ja) * 2007-02-09 2008-08-28 Denso Corp 樹脂複合材料
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