JPH07332847A - 噴霧乾燥方法 - Google Patents

噴霧乾燥方法

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JPH07332847A
JPH07332847A JP12265294A JP12265294A JPH07332847A JP H07332847 A JPH07332847 A JP H07332847A JP 12265294 A JP12265294 A JP 12265294A JP 12265294 A JP12265294 A JP 12265294A JP H07332847 A JPH07332847 A JP H07332847A
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spray
drying
nozzle
nozzles
particles
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JP12265294A
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Inventor
Sadaki Kuroda
禎樹 黒田
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 噴霧乾燥操作において、乾燥後の粒子中に粗
大な粒子がごく僅かしか含まれないような乾燥方法の提
供。 【構成】 乾燥条件下に複数のノズル4から同時に固体
の溶液または分散液を液滴状に噴霧し乾燥させて噴霧乾
燥粒子を得るに当たり、異なるノズルからの噴霧液滴に
よって形成されるスプレーコーン同士の接触点Qとノズ
ル吹き出し口Pとの距離が、その乾燥条件における噴霧
乾燥粒子の限界含水率到達距離以上であるような条件で
噴霧および乾燥を行う噴霧乾燥方法。塩化ビニル系重合
体ラテックスの噴霧乾燥に応用すると、特に高品質のペ
ースト用塩化ビニル系樹脂を製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、噴霧乾燥後の乾燥粒子
中に粗大な粒子がごく僅かしか含まれないような噴霧乾
燥方法に関する。
【0002】
【従来の技術】固体の水性溶液又は水性分散液等の分散
系から微細な乾燥粒子を得るための噴霧乾燥方法におけ
るアトマイザー(噴霧器)としては、回転円盤型アトマ
イザー、圧力ノズル、及び二流体ノズルなどがあり、そ
れぞれの特徴に応じて使い分けられている。
【0003】このうち二流体ノズルは保守管理が容易
で、かつ粒径の制御も噴霧気体の圧力、あるいは該気体
と被噴霧液体とのフィード重量比を変えることにより比
較的容易に可能であることから、特に微細で均一な噴霧
が必要な場合には好適である。また、一流体ノズルにお
いても、噴霧圧力を高くすることによって、微細な噴霧
を可能にした例もある。(特公昭56−47206号)
【0004】このようなノズル型アトマイザーを用いる
噴霧乾燥を工業的規模で実施する場合、乾燥処理能力を
増すための方法としては、ノズルの大型化は噴霧粒径の
変動を引き起こすため一般には行われず、必要な処理能
力に応じた本数のノズルを乾燥機内に設置することとな
る。このように複数のノズルを用いて固体の溶液または
分散液を液滴状に噴霧して乾燥を行う場合、ノズルの設
置間隔や運転条件によっては、噴霧粒子が乾燥不十分の
まま、他の未乾燥の噴霧粒子や乾燥済の粒子等と衝突・
合一し、目的とする粒子径よりもはるかに大きい粒子を
形成してしまう例が多く見られた。
【0005】噴霧乾燥において、粗大な粒子の生成を防
ぐための方法としては、例えば、特開昭54−4195
1号公報にあるように、ノズルの噴霧方向を調整して、
乾燥塔内の乾燥気流に回転運動を起こし、得られる乾燥
粒子に適度の熱履歴を与える方法や、特開昭48−67
341号公報に見られる通り、噴霧気/液重量比、噴霧
気体通路の二流体ノズルへの入口・出口等の径・断面積
を一定の範囲内に保って、塩化ビニル系重合体ラテック
スを噴霧乾燥して、40μmより大きい乾燥粒子の含有
量が2%以下と少ない粉末を得る方法が示されている。
しかし、これらの方法によっても、粉砕工程を必要とし
たり、ノズル配置によっては、粗粒生成が増加したりす
る、等の問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、固体
の溶液または分散液の噴霧乾燥を行うにあたり、被乾燥
材料の噴霧粒子が乾燥不十分のまま、他の未乾燥の噴霧
粒子や乾燥済の粒子と衝突・合一し、目的とする粒子径
よりもはるかに大きい粒子を形成することがなく、従っ
て噴霧乾燥粒子中に粗大な粒子をごく僅かしか含まず、
粉砕や篩分工程を必要としないか簡略化できるような噴
霧乾燥方法、及びこれに基づく塩化ビニル系重合体ラテ
ックスの噴霧乾燥方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、噴霧乾燥に
おいてノズルの配置とノズルからの噴霧状況、及びこの
とき得られる乾燥粒子中の粗大粒子の生成量との関連に
ついて検討を加えた結果、噴霧粒子の含水率と噴霧条件
とを特定の関係とすることにより、噴霧粒子が衝突・合
一して生成する粗大な粒子を著しく少なくすることが可
能となることを見出し、本発明を完成した。
【0008】即ち、本発明の要旨は、乾燥条件下に複数
のノズルから同時に固体の溶液または分散液を液滴状に
噴霧し乾燥させて噴霧乾燥粒子を得るに当たり、異なる
ノズルからの噴霧液滴によって形成されるスプレーコー
ン同士の接触点とノズル吹き出し口との距離が、その乾
燥条件における噴霧乾燥粒子の限界含水率到達距離以上
であるような条件で噴霧および乾燥を行うことを特徴と
する噴霧乾燥方法、に存する。
【0009】以下に本発明を詳細に説明する。 (1)ノズルの形式 一流体ノズル:ノズル形式としては、フルコーン型、
ホロコーン型、フラット型等、微細な噴霧に適したもの
であれば、特に制限はない。 二流体ノズル:二流体ノズルの形式には、外部混合型
や内部混合型などがあり、どちらも使用できるが、閉塞
が起きにくいことから、外部混合式のものが好ましい。
【0010】その他のノズル:加圧二流体ノズル、三
流体ノズル等、微細噴霧を目的として上記のノズルを改
良したものはいずれも好適に使用できる。 これらのノズルの内、工業的には二流体ノズルが噴霧粒
子径の制御が容易であり、保守も容易で、使いやすい。
【0011】(2)ノズルの形状 微細噴霧が可能であれば形状は特に限定されない。但
し、ノズル先端からのスプレーコーンの広がりを表す噴
霧角度(θ)については、
【0012】
【数1】5°≦θ≦90°、より好ましくは 10°≦
θ≦50° となっているのがよい。θが5°未満では、噴霧の形状
が、棒状や直線状となり、微粒化には向かない。逆に、
θが90°を超えるような場合は、本法の実施のために
は、確保すべきノズル相互間の距離が大きくなり、結果
として乾燥機の径が大きくなってしまい、経済的に不利
である。
【0013】なお、ここで言う「スプレーコーン」とは
噴霧を行った際にノズル吹き出し口から発生する、通常
は円錐形の噴霧液滴(及び乾燥粒子)の集合体である。
これは、噴霧中の状態を観察することにより目視可能で
ある。この噴霧角度は噴霧条件により変動するが、その
測定方法は別項で説明する。
【0014】(3)乾燥機 乾燥気流の方向が下降流となる、垂直下降流型のものが
本発明の方法には好適である。乾燥機本体の大きさは、
蒸発能力と噴霧時に本発明方法が達成できるようなノズ
ル配置との関係で設計するのがよいが、一般には直胴部
の直径が1〜15m、高さが0.5〜50mの範囲のも
のを用いる。胴部の直径があまり大きい場合は、胴中央
部の空間が有効に利用できなくなったり、ノズルを挿入
するための支持アームが長くなり、このアームへの粉体
付着等の問題が発生する恐れがある。
【0015】(4)乾燥条件とノズル配置 ノズル本数:本発明方法は複数のノズルを用いる場合
に関するものであり、使用するノズルの本数は必要とさ
れる乾燥能力に応じて定める。通常ノズル本数は4〜2
00本程度である。 噴霧方向:ノズルの噴霧方向とは、設置されたノズル
の中心線の向いている方向のことであるが、本発明方法
は、複数のノズルの噴霧方向が実質的に同一の方向とな
っている場合、特に好適に用いられる。
【0016】「噴霧方向が実質的に同一」とは、ノズル
相互の噴霧方向のなす角度が0°〜15°の範囲内にあ
ることを言い、ほぼ平行な噴霧が行われている場合のこ
とである。また、ノズルの噴霧方向と乾燥気流とのなす
角度は、特に制限はないが、気流方向に対し0°〜90
°となっているのが良く、特に0°〜15°の範囲内に
あるのが好ましい。この角度が90°を超えるような場
合は、いわゆる「向流」式になり、噴霧することによる
乾燥気流の乱れが激しくなって均一な乾燥が難しくなっ
たり、同じノズルからの噴霧内での干渉が起こりやすく
なり粗大粒子が生成する、等の問題が発生する傾向とな
る。噴霧方向と気流方向との角度が0°〜15°の、い
わゆる並流式のものが噴霧内・噴霧間の干渉を少なくす
る上で好ましい。
【0017】図2及び図3に、本発明方法を適用するこ
とができる噴霧乾燥機の例を示す。 ノズル配置と乾燥条件:ノズルの配置は、異なるノズ
ルからの噴霧液滴によって形成されるスプレーコーン同
士の接触点とノズル吹き出し口との距離が、その乾燥条
件における噴霧乾燥粒子の限界含水率到達距離以上とな
っている必要がある。
【0018】ここで「限界含水率」とは、乾燥過程にお
いて、被乾燥材料の噴霧粒子が恒率乾燥から減率乾燥に
移行する点として定義され、噴霧粒子の表面にあった水
分が全て蒸発し、粒子内部の水分が表面へ拡散して蒸発
するようになる移行点であるとされる。現象的には、噴
霧粒子の温度が急上昇し、乾燥気流の温度に接近しはじ
める点として観察される。
【0019】限界含水率は通常静的な乾燥過程において
定義されるが、本発明においては、動的な乾燥過程であ
る噴霧乾燥において、噴霧乾燥粒子が限界含水率相当状
態に達するまでに飛行する距離を「限界含水率到達距
離」と定義する。この限界含水率到達距離の測定は以下
のようにして行うことが出来る。即ち、1本のノズルの
みを使用し、所定の乾燥条件において噴霧乾燥を行い、
この時のノズル直下のスプレーコーンの温度を異なる位
置で測定する。得られた温度をノズル吹き出し口からの
距離に対してプロットしたグラフの曲線が変曲点を示す
距離として「限界含水率到達距離」が求められる。
【0020】この時、噴霧の状態を写真またはビデオに
撮影することにより、ノズル吹き出し口でのスプレーコ
ーンの開き角度を写真等の上で測定することにより、前
述の、この乾燥条件における噴霧角度(θ)も求めるこ
とが出来る。本発明方法を満足するようなノズル配置の
決定方法を図1を用いて以下に説明する。逆に、ノズル
配置が定められている時の乾燥条件も同様に考えて選ぶ
ことができる。
【0021】垂直下降流の乾燥気流をもつ乾燥機におい
て、全てのノズルの噴霧方向が垂直下向きで、スプレー
コーンが円錐状に広がる場合を考えると、別途測定され
た、所定の乾燥条件における限界含水率到達距離をx
(cm)、そのときの使用ノズルの噴霧角度をθ(°)と
すれば、ノズル間に確保すべき間隔H(cm)は、下式に
より求められる。
【0022】
【数2】H=2xsin(θ/2) 実際の配置にあたっては、この間隔は装置壁の影響や乾
燥気流とスプレーコーンとの干渉、噴霧のゆらぎ等によ
る誤差を配慮して、上式で求められる値の1.1倍以上
となるようにするのが設計上及び運転上好ましい。
【0023】また、ノズルの噴霧方向と乾燥気流とが平
行でない場合は、スプレーコーンが乾燥気流により変形
して円錐形ではなくなることとなるが、このようなとき
も、そのスプレーコーン同士の接触点とノズル吹き出し
口との間の距離が、その乾燥条件における噴霧乾燥粒子
の限界含水率到達距離以上となっていれば良い。一般に
は、ノズルの間隔は15〜300cmとし、中でも25
〜150cmであるのが好適である。
【0024】ノズルの設置形式としては、一般に乾燥機
上部空間の同一円周上に等間隔で配置するか、複数の同
心円の円周上に同様に配置するのが効率的であるが、本
発明の条件が確保できれば、特に限定されるものではな
い。また、ノズルの設置位置が、乾燥機内で上下になっ
ても構わないが、この場合は上下のノズルからのスプレ
ーコーン同士の接触点を考慮する必要があり、一般に接
触点とノズル吹き出し口との間の距離が短くなるので、
設計上は不利となりやすい。
【0025】(5)噴霧 被乾燥材料:本発明の噴霧乾燥方法を適用する被乾燥
材料(被噴霧液体)は固体の溶液又は分散液であり、ノ
ズルにより微細液滴化し、溶媒や分散媒を揮発させて、
乾燥・粉粒化させることができるものであれば特に制限
なく対象とすることができ、例えばポリエステル、ポリ
スチレン、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニ
ル等の熱可塑性樹脂の分散液または溶液、フェノール樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキ
シ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂の分
散液、洗剤・石鹸等、染料・顔料等、殺虫剤、除草剤、
殺菌剤その他の農薬類、スキムミルク、インスタントコ
ーヒー、ココア、麦芽抽出物、でんぷん、その他の食品
類、天然及び合成香料、抗生物質、血清、血漿、各種ビ
タミン、ペニシリン、ぶどう糖、各種アミノ酸等の医薬
品類、などを例示することができる。これらの中でも、
重合体の分散液または溶液を噴霧し、微細で均一な粉粒
体を回収する工程を対象とするのが好適であり、例えば
塩化ビニル系重合体のラテックスの噴霧乾燥に特に適し
ている。
【0026】噴霧用気体:噴霧されるものの性質に合
わせて選択するが、通常は空気、不活性気体(窒素、ヘ
リウム、ネオン、アルゴン等)、または水蒸気を用い
る。これらの二種以上の混合物を用いてもよい。 気/液供給重量比:噴霧用気体と被噴霧液体との供給
重量比(以下「マス・レシオ」と記す)は、噴霧後の液
滴径に大きく影響するが、通常は0.1〜20、好まし
くは0.5〜10、より好ましくは1〜5の範囲内とな
るように操作する。この値が小さすぎると粗い粒子が多
くなり、大きくすると粗い粒子の削減には有効である
が、噴霧用気体の使用量が増加し、圧縮気体の製造設備
費及びそのためのランニング・コストが大きくなる。
【0027】噴霧線速:ノズル先端部の開口部におけ
る噴霧線速は、通常10〜1000m/s、好ましくは
100〜600m/sの範囲にあるのが良い。噴霧線速
が10m/s未満では、微細液滴化の効果が小さくな
り、他方、噴霧線速が1000m/sを超えるような場
合は、ノズル開口部の摩耗が速くなったり、被噴霧液体
が分散系のときなどは、分散安定性が損なわれて、ノズ
ルの閉塞や粗大粒子の生成が起こる可能性がある。
【0028】(6)噴霧乾燥条件 乾燥用気体:噴霧用気体と同様、被噴霧物の性質に合
わせて選択する。通常は入手のし易さから、空気を用い
る例が多い。 温度条件:被乾燥材料の性質に応じて処理温度は調節
する必要がある。通常は、目標とする乾燥効率と、被乾
燥材料の耐熱性及び供給熱源の温度で条件を設定する。
一般には、乾燥用の熱風温度として乾燥機入口で50〜
450℃、出口で25〜200℃を用いることが多い。
出口温度が25℃以下の場合は、外気温との関係で温度
を安定に維持するのが困難となりやすく、また、水系の
噴霧では乾燥不十分となることがある。
【0029】(7)塩化ビニル系重合体ラテックスの噴
霧乾燥 塩化ビニル系重合体ラテックスを、二流体ノズルを装備
した噴霧乾燥装置を使用して、本発明方法により乾燥さ
せ、品質の優れたペースト用塩化ビニル系樹脂を製造す
ることが可能である。これについて以下に説明するが、
特記以外は上述の内容に従えばよい。
【0030】組成:塩化ビニル系重合体ラテックス
(以下単に「ラテックス」ともいう)としては、塩化ビ
ニルまたは塩化ビニルとこれと共重合可能なコモノマー
との混合物を水性媒体中で、乳化剤及び水溶性重合開始
剤の存在下に乳化重合する方法によって、あるいは乳化
剤及び油溶性重合開始剤の存在下に微細懸濁重合する方
法によって製造されるものが使用できる。
【0031】塩化ビニルと共重合可能なコモノマーとし
ては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸
ビニル等のビニルエステル、アクリル酸、メタクリル酸
などの一価不飽和酸、これらの一価不飽和酸のアルキル
エステル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテ
ル、オクチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル
等のビニルエーテル、マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸などの二価不飽和酸、これらの二価不飽和酸のアルキ
ルエステル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデ
ン、不飽和ニトリルなどの一種または二種以上の混合物
が例示できる。
【0032】重合処方:塩化ビニル系重合体ラテック
スの製造に用いる重合開始剤としては、乳化重合の場合
は、例えば過硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アン
モニウム塩等)、過酸化水素等の水溶性過酸化物、また
はこれらの水溶性過酸化物と水溶性還元剤(例えば亜硫
酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナト
リウム、アスコルビン酸、ナトリウムホルムアルデヒド
スルホキシレートなど)とからなる水溶性レドックス開
始剤、また微細懸濁重合の場合は、アゾビスイソブチロ
ニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピ
バレート等の単量体可溶性(油溶性)開始剤、またはこ
れらの油溶性開始剤と前記の水溶性還元剤との組合せか
らなるレドックス開始剤が挙げられる。
【0033】また、ラテックスの製造に用いられる乳化
剤としては、例えば高級アルコール硫酸エステル塩(ア
ルカリ金属塩、アンモニウム塩)、アルキルベンゼンス
ルホン酸塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩)、高級
脂肪酸塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩)、その他
のアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン
界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は1種類
を用いてもよいし、2種以上の併用も可能である。特に
好ましいのはアニオン界面活性剤である。また、アニオ
ン界面活性剤及び/またはノニオン界面活性剤は重合用
乳化剤とは別に、ラテックスの調製時または調製後に添
加してもよい。
【0034】さらに、ラテックスの製造においては、重
合度調整剤その他の助剤類を用いてもよい。重合度調整
剤としては、例えばトリクロルエチレン、四塩化炭素、
2−メルカプトエタノール、オクチルメルカプタン等の
連鎖移動剤、フタル酸ジアリル、イソシアヌル酸トリア
リル、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロ
ールプロパントリメタクリレートなどの架橋剤が挙げら
れる。
【0035】他の助剤類としては、上記以外に、例えば
レドックス開始剤の活性化剤として作用する塩化第二
銅、硫酸第一鉄、硝酸第二ニッケル等の水溶性遷移金属
塩、あるいはリン酸一又は二水素アルカリ金属塩、フタ
ル酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどのpH調整
剤等が挙げられる。 ラテックス濃度:塩化ビニル系重合体ラテックス中の
固形分含量は、特に制限されるものではなく、通常20
〜80重量%、好ましくは40〜65重量%であり、重
合反応終了後のラテックスをそのまま用いてもよいし、
限外濾過等の方法で濃縮したものを用いてもよい。ラテ
ックスの粘度は普通0.1Pa・s 以下である。
【0036】乾燥条件:二流体ノズルとしては外部混
合型のものが良い。また、温度条件としては、熱風温度
として、乾燥機入口で50〜300℃、乾燥機出口で2
5〜90℃を用いるとよい。出口温度が25℃以下で
は、温度を安定に維持するのが困難となりやすく、ま
た、乾燥不十分となりやすい。90℃以上では処理量が
少なくなり、乾燥効率が低下する。また、マス・レシオ
は0.5〜5、好ましくは1〜2.5の範囲を用いると
良い。 噴霧ガス:通常空気を使用するが、特に微細噴霧を望
む場合は、水蒸気または水蒸気と空気または不活性気体
との混合ガスを用いると効率的である。
【0037】
【実施例】以下に本発明の具体的態様を実施例を用いて
更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない
限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
例中の「部」及び「%」は、特記以外はそれぞれ「重量
部」及び「重量%」を表す。
【0038】(1)二流体ノズル 一定の乾燥条件下で噴霧角度(θ)を種々選ぶことがで
きるように、液体用オリフィスの開き角度や噴霧用気体
の吹き出し角度を種々変えた二流体ノズルを製作した。
材質はステンレス鋼とし、開口部断面積は、液体流路
(内筒)で95mm 2 、気体流路(外套−内筒間隙)は約
48mm2 とした。
【0039】(2)乾燥装置 容積150m3 、高さ8m、直径5mの噴霧乾燥機内部
に、上記(1)で製作した二流体ノズル6本(同一寸
法、角度のもの)を、別途測定したそれぞれのノズルの
噴霧角度に応じた限界含水率到達距離を配慮して定めた
間隔で、同一円周上に垂直下方向きに配置した。また、
この装置では乾燥用の熱風は塔頂部より垂直下降流で供
給され、ノズルと乾燥気流との角度は0°であった。
(図2に概略を示す。)
【0040】(3)塩化ビニル系重合体ラテックスの製
造 播種乳化重合法により、塩化ビニル単量体を重合させ
て、塩化ビニル系重合体ラテックスを製造した。用いた
重合開始剤は過硫酸カリウム−ピロ亜硫酸ナトリウムの
レドックス系開始剤で、主乳化剤はラウリル硫酸ナトリ
ウムである。反応温度は55℃で、得られたラテックス
の固形分含量は45重量%、ラテックス中の重合体粒子
の平均粒子径は、1.1μmであった。また、生成ポリ
塩化ビニルの平均重合度は1200であった。
【0041】(4)噴霧乾燥 上記(2)の乾燥装置を用いて、上記(3)で得られた
ラテックスを噴霧乾燥した。ラテックスの供給量は約6
0〜70kg/hr・ノズル、マス・レシオは2.0
で、乾燥用熱風の乾燥機入口温度は160℃、出口温度
は50℃となるように運転した。
【0042】限界含水率到達距離を求めるため、乾燥機
側壁に設けられた点検孔から測温体(熱電対)を挿入し
て、ノズル直下のスプレーコーン内の噴霧粒子の温度を
複数の位置で測定した。噴霧角度20°のノズルについ
ての測定結果は表−1のようになり、これをグラフに直
すと図4のようになる。この結果から、この乾燥条件で
は限界含水率到達距離が150cmとなることが判明し
た。同様にして、噴霧角度35°及び45°のノズルに
ついても測定を行ったところ、限界含水率到達距離はそ
れぞれ135cm、105cmと求められた。
【0043】この条件でノズルを変えて噴霧角度を変え
たり、あるいはノズルの間隔を変えたりして上記の塩化
ビニル重合体ラテックスの乾燥実験を行った。このとき
得られた乾燥塩化ビニル樹脂の、粒子径及び40μmを
超える粒子の含有量(粗粒量)のデータを表−2に示
す。なお表−2中、噴霧の干渉距離とはスプレーコーン
同士の接触点とノズル吹き出し口との距離(ノズルの噴
霧角度(θ)及び設置間隔(H)から式:H/2sin(θ
/2)によって算出される。)のうち最短のものをい
う。)
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】(5)乾燥塩化ビニル系樹脂の粒径分布の
測定 乾燥により得られた塩化ビニル系樹脂中の、40μmを
超える粗粒の含有量及び平均粒子径を下記の方法で測定
した。 〈粒径分布測定方法〉レーザー回折粒径分布測定装置
(堀場製作所(株)製、LA−500)に、フローセル
・ホルダーをセットし、分散媒として0.1%ポリオキ
シエチレンソルビタンモノラウレート水溶液約200m
lをバスに入れ、撹拌・循環させる。回折像のブランク
を測定し、次いで上記(4)で得られた塩化ビニル系樹
脂を少量バスに添加し、30秒間分散させた後、試料の
粒径分布を測定する。得られた粒径分布から平均粒子径
(メジアン径)及び40μmを超える粗粒含有量(重量
%)を算出する。
【0047】(6)結果の評価 上記の通り、噴霧の干渉距離が、本実験の条件での限界
含水率到達距離より大きい場合は、粗粒量が著しく少な
くなっていることが判る。
【0048】
【発明の効果】本発明方法に従って条件を選んで噴霧乾
燥を行うことにより、噴霧粒子同士の衝突や合一による
粗大粒子の生成を防止することができ、安定に、微細な
粒径の乾燥粒子を得ることができる。本方法を例えば塩
化ビニル系重合体ラテックスの噴霧乾燥に適用すること
により、粗大粒子の生成が効果的に削減できるので、こ
れにより粉砕・篩分等の工程も省略もしくは簡素化する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ノズル間隔と噴霧角度、および限界含水率到達
距離との関係の説明図。
【図2】本発明方法が適用できる噴霧乾燥機の一例の概
略断面図を示す。
【図3】本発明方法が適用できる噴霧乾燥機の他の例の
概略断面図を示す。
【図4】噴霧の温度とノズル吹き出し口からの距離の関
係の一例を示す。この図上の曲線の変曲点がその乾燥条
件における限界含水率に達するまでの噴霧粒子の飛行距
離(限界含水率到達距離)に相当する。
【符号の説明】
1 乾燥機本体 2 噴霧ノズルへの被噴霧液体の供給配管 3 乾燥気流 4 噴霧ノズル 5 スプレーコーンの外縁 6 噴霧方向 x 限界含水率到達距離 H ノズル間隔 P ノズルの吹き出し口 Q スプレーコーン同士の接触点 θ 噴霧角度

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乾燥条件下に複数のノズルから同時に固
    体の溶液または分散液を液滴状に噴霧し乾燥させて噴霧
    乾燥粒子を得るに当たり、異なるノズルからの噴霧液滴
    によって形成されるスプレーコーン同士の接触点とノズ
    ル吹き出し口との距離が、その乾燥条件における噴霧乾
    燥粒子の限界含水率到達距離以上であるような条件で噴
    霧および乾燥を行うことを特徴とする噴霧乾燥方法。
  2. 【請求項2】 ノズルの中心線で示される噴霧方向が実
    質的に同一となるように配置された複数のノズルを用い
    る請求項1に記載の噴霧乾燥方法。
  3. 【請求項3】 ノズルの噴霧方向と乾燥用気流の流れ方
    向との角度が0°〜90°である請求項1または請求項
    2に記載の噴霧乾燥方法。
  4. 【請求項4】 乾燥用気流が垂直下降流をなす請求項1
    〜3のいずれか1項に記載の噴霧乾燥方法。
  5. 【請求項5】 ノズルが二流体ノズルである請求項1〜
    4のいずれか1項に記載の噴霧乾燥方法。
  6. 【請求項6】 噴霧乾燥される液体が塩化ビニル系重合
    体ラテックスである請求項1〜5のいずれか1項に記載
    の噴霧乾燥方法。
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