JPH07331384A - メカニカルデスケーリング性と生引き性に優れた線材 - Google Patents

メカニカルデスケーリング性と生引き性に優れた線材

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JPH07331384A
JPH07331384A JP14410694A JP14410694A JPH07331384A JP H07331384 A JPH07331384 A JP H07331384A JP 14410694 A JP14410694 A JP 14410694A JP 14410694 A JP14410694 A JP 14410694A JP H07331384 A JPH07331384 A JP H07331384A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 メカニカルデスケーリング後の伸線におい
て、残留スケールによる表面疵や高歪み域での表面肌の
平滑化によるダイス摩耗等の問題が起きない。 【構成】 線材の長さ方向に垂直な断面の表面にある凹
部の入り口の長さに対して底までの深さの比が0.5以
下で、凹部の入り口からの深さが7μm以下の表面凹凸
を持ち、スケールの厚さが3μm以上15μm以下で、
スケールの組成のうちFeOの割合が65%以上であ
り、線材表層から50μm以内の部分の組織において、
同じ結晶方位を有する領域の面積が0.0005mm2
以下の組織を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は線材のメカニカルデスケ
ーリング特性と、線材を熱処理せずにデスケーリング後
直接伸線を行う、いわゆる生引き性に優れた熱間圧延線
材(以後線材と称する。)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年線材の伸線加工においては、公害問
題やコスト低減の観点からバッチ酸洗法からメカニカル
デスケーリング(以後MDと称す。)法に代わりつつあ
る。そのため線材においてはMD性良好なスケール特性
を備えた線材の開発が急がれている。これまで、スケー
ル厚みやスケール組成を制御することにより線材の残留
スケール量は概ね調整することは可能であった。しか
し、MD法では線材に曲げ歪みを加えたり表面をブラッ
シングすることによりスケールを落とすために、バッチ
による酸洗と異なり表面全体を均一に安定的に処理する
ことが難しく、線材の圧延方向に沿って線状に残留スケ
ールが発生したり、大きさ0.1mm以下に微細に砕け
たスケール粉が表面に点在する場合がある。
【0003】そこで残留スケールの低減に関する先行特
許例として、線材表面の脱炭を少なくして二次スケール
の成長を均一にする特開平5−123739や、ビレッ
トの熱間圧延前に高圧水で一次スケールを除去し平均表
面粗度を1.5μm以下にする特開昭61−15470
2が開示されている。しかし、多くの詳細な調査の結
果、ビレットのコーナー部の脱炭が特に大きいことはな
く、かつ脱炭部と残留スケールの発生している位置は一
致しないことから、ビレットの脱炭は残留スケール発生
原因と考えにくいこと、さらに高圧水によるデスケーリ
ングではビレットの温度低下が大きいために、実操業条
件としては加熱炉内でのビレット加熱温度を高くしなけ
ればならず、ビレット表面にファイアライトなどのサブ
スケールができ易い環境にしなければならないこと、ま
た高圧水でデスケーリングした場合、ビレットコーナー
部は特に温度が下がり易く、ビレット内の硬さが一様で
なくなり、圧延時の不均一な変形による表面凹凸の粗大
化を誘発させる原因となっていた。そして、平均表面粗
度ではスケールが残り易い線材表面の凹凸の形状を評価
することができないために、この指標では十分な効果が
得られていなかった。さらに、線材の表面凹凸が小さく
なると伸線時の潤滑性が不安定になるために生引き性が
低下し十分な効果が得られないことがわかった。
【0004】また表面のスケールを完全に除去できたと
しても、酸洗によりデスケーリングした場合と異なり線
材の表面肌が平滑なために伸線加工歪みが大きくなると
潤滑不良が発生し易いという問題があった。そのためM
D処理した線材には、伸線工程において潤滑不良により
疵が発生したり、ダイス寿命が劣化するなどの問題があ
った。この原因について、鋼線を伸線する際の潤滑は、
鋼線表面の凹部に付着した潤滑剤が鋼線とダイスの間に
引き込まれ、高い圧力と熱で液状化し潤滑膜を形成す
る。しかし、伸線加工歪みが大きくなり表面が平滑化し
てくると凹部が少なくなり、鋼線とダイスの間に引き込
まれる潤滑剤が減少し平滑化した部分に潤滑剤が供給さ
れなくなるために、潤滑不良を起こすものと考えられて
いる。このことから伸線時の鋼線表面肌の平滑化を防ぐ
技術として、メカニカルデスケーリング後線材の表面に
凹凸を形成する特開昭48−352が開示されている。
しかしこの方法では凹凸は導入できるが完全に残留スケ
ールを除去することはできず、処理コストも高くなると
いう問題があった。以上の状況から従来は、残留スケー
ルを少なくするために表面凹凸を少なくすることと、伸
線時の潤滑状態を改善するために表面凹凸を多くするこ
とは相反する特性であり、両方の特性を一つの線材で同
時に満たすことは非常に困難であると考えられていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の
ように困難であると考えられていた線材の開発を行うべ
く、残留スケールの残らない条件及び高歪み域でも表面
が平滑化しない条件について詳細な実験を行った。はじ
めに、残留スケールを完全に除去できる条件を明確にす
るために、メカニカルデスケーリングを行っても、なお
残っているスケールの特徴について詳細な調査を行っ
た。その結果メカニカルデスケーリング後のスケールの
剥離割合は、全体としてはスケールの厚みや組成によっ
て決まるものの、わずかに残留しているスケールの性状
を詳細に分類し統計的に整理した結果、残留スケールは
線材表面の凹部上に存在し、その凹部は、線材の長さ方
向に垂直な断面で観察して、線材表面の入り口の長さと
入り口から凹部の底までの長さの比が0.5より大きく
かつ、線材表面の入り口から凹部の底までの長さが7μ
mより長い場合(例えば入り口の長さが14μmで深さ
が7μmより深い場合)に残留スケールが起こり易いこ
とがわかった。このことからメカニカルデスケーリング
でスケールが全く残らない様にするためには、表面に散
見される極わずかな凹部も存在しない線材が必要であ
る。
【0006】次に、伸線加工歪みが大きくなると線材の
表面が平滑化して潤滑不良が発生するメカニズムについ
て多くの実験を行ったところ、線材の強度が大きくか
つ、伸線により大きな加工歪みを加えるもので特に潤滑
不良が発生しやすいことが判明した。そして伸線による
表面の平滑化については、伸線加工歪みが小さいうちは
熱間圧延時に存在する10〜50μm程度の大きな凹
凸、あるいはうねりが潤滑剤を引き込む役割をするが、
ダイスで伸線を繰り返すうちに凸部がつぶされていき、
平滑化が進行する。しかし、詳細な観察の結果一定の条
件で圧延した線材においては、従来の線材では平滑化が
進む歪みまで伸線加工を加えても凸部は平滑化せず、さ
らに細かい凹凸に分割変形されていくことが確認され
た。この線材は、凸部の表面のミクロ的な凹凸あるいは
凸部を形成する地鉄の組織が細かいことが明らかになっ
た。つまり、凸部の表面のミクロ的な凹凸あるいは凸部
を形成する地鉄の組織が細かいと、ダイスで変形される
際にミクロ的な凹凸や組織単位での隆起と沈降が鋼線の
表面で発生するために、表面の平滑化が進行せず一段と
微細な凹凸に分割変形が進むことになることが明らかに
なった。
【0007】以上の検討結果から、メカニカルデスケー
リング性と生引き性を両立させるためには、線材の長さ
方向に垂直な断面で観察して、線材表面の入り口の長さ
と入り口から凹部の底までの長さの比が0.5より大き
くかつ線材表面の入り口から凹部の底までの長さが7μ
mより長い凹部がなく、表層から50μm以内の部分の
組織において、同じ結晶方位を有する領域の面積が0.
00050mm2 以下の組織を有した線材が必要である
ことがわかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するためになされたものでその要旨とするところは、炭
素含有量が質量分率で0.4%以上1.0%以下の炭素
鋼線材の長さ方向に垂直な断面の表面にある凹部の入り
口の長さに対して底までの深さの比が0.5以下で、凹
部の入り口からの深さが7μm以下の表面凹凸を持ち、
スケールの厚さが3μm以上15μm以下で、スケール
の組成のうちFeOの割合が65%以上であり、線材の
長さ方向に垂直な断面内において表層から50μm以内
の部分の組織において、同じ結晶方位を有する領域の面
積が0.0005mm2 以下の組織を有することを特徴
とするメカニカルデスケーリング性と生引き性に優れた
線材にある。
【0009】
【作用】上記に記載した本発明の限定条件に関する作用
を以下に示す。炭素含有量が質量分率で0.4%以上
1.0%以下の炭素鋼線材に限定した理由は、0.4%
未満であると、線材の強度が低く伸線加工歪みが大きく
なり表面の平滑化が進んでも潤滑被膜が切れることが少
なく問題にならないためである。1.0%より大きい
と、線材の強度が大きすぎるために平滑化が進まなくて
も潤滑被膜が切れてしまい、表面凹凸だけでは潤滑状態
が制御できないためである。
【0010】線材の長さ方向に垂直な断面の表面にある
凹部の入り口の長さに対して底までの深さの比を0.5
以下に限定した理由は、0.5より大きくなるとMD法
では凹部の中にスケールが残り易くなるためである。特
に1.0以上の鋭角に食い込んだ凹部があるとベンディ
ング、ブラッシング、ショットブラストなどのような方
法の組み合わせでも完全に除去することは困難になる。
【0011】凹部の入り口からの深さを7μm以下に限
定した理由は、7μmより大きくなると凹部の中にスケ
ールが残り易くなるためである。これは上記の深さの比
が0.5以下に限定した理由とほぼ同じで、MD法で利
用されるブラッシングやショットブラストなどでは、ス
ケールに対して直接外力を加えることによりスケールを
剥離させるので、凹部の底に残されたスケールを掃き出
すことは非常に困難である。7μm以下であれば、曲げ
歪みを加えることにより凹部が開いてブラッシングなど
により掃き出すことは可能である。
【0012】ここで任意の断面において上記の様な凹凸
が一つでも確認されることは、細長い線材コイル全長を
考慮すると、伸線時にダイス摩耗を劣化させるのに十分
な量の残留スケールが残っていることを表している。一
方凹凸の深さを粗度計などにより計測した表面粗度、例
えばRmaxやRaなどによる凹凸の指標では、測定し
た値を演算処理するために1つ1つの凹凸を正確に評価
していないことや、凹部にスケールが線材の表面まで詰
まった状態になっている場合には粗度計でスケールや凹
凸の存在を測定する事はできないので、凹凸の指標とM
D性の相関は極めて小さくなることを示している。さら
に、粗度計による凹凸の指標では、深さ方向の凹凸は数
1000倍の感度があるため1μmオーダーまで測定可
能であるが、凹部の入り口を測るための長さ方向の倍率
はせいぜい数100倍程度であり、チャート上の微小な
凹凸も実際の線材の上では台地状あるいは盆地状の長さ
を持ったものを測定したことになる。そのため本発明の
ように入り口の長さと深さを限定したものとは凹凸の形
状が全く異なり、MD性を評価する指標にはならない。
【0013】スケールの厚さが3μm以上15μm以下
に限定した理由は、スケールの厚みが3μmより薄いと
ベンディングなどで曲げ加工を行っても、スケールに十
分な歪みが入らないために残留スケールができ易くなる
ためである。スケール厚みが15μmより厚いとファイ
アライトなどのサブスケールが発生し、剥離性を阻害す
ることがあるためである。スケールの組成のうちFeO
の割合が65%以上である理由は、FeO分率が下がる
とFe23 やFe34 の緻密なスケールの割合が増
加するために、剥離性が劣化するためである。
【0014】線材の長さ方向に垂直な断面内において表
層から50μm以内の部分の組織に限定した理由は、表
層から50μmより深い部分の組織は、伸線により鋼線
表面に形成される凹凸に影響を及ぼさないためである。
同じ結晶方位を有する領域の面積が0.0005mm2
以下に限定した理由は、伸線加工により歪みが導入され
る際、鋼線の表面では同じ結晶方位を有する結晶の単位
で隆起と沈降が発生するために、同じ結晶方位を持った
領域の面積が0.0005mm2 より大きいと、表面の
凸部が伸線により微細な凹凸に分割変形する事ができ
ず、表面の平滑化が進行するためである。
【0015】次に本発明にかかる線材の製造方法につい
て説明する。本発明にかかる線材は、加熱炉で加熱され
た炭素含有量0.4%以上1.0%以下のビレット表面
のスケールをウォータージェットにより完全に除去する
際に、スプレーのノズル配置やエアーや水の流量を調整
することにより、ビレットのコーナー部と面部の温度差
が70℃を越えないようにして、かつビレットの温度が
800℃以上900℃以下の状態で熱間圧延を開始す
る。引き続き最終圧延機の出口における圧延速度を50
m/s以上150m/s以下で、鋼材の温度を900℃
以上1050℃以下になるように圧延途中で適宜冷却を
行いながら圧延する。その後、圧延した線材を効率的に
冷却できるように流量と相対速度を変化させながら冷却
することにより、0.15s以内に900℃以下800
℃以上まで急速に冷却を行い巻き取りを行う。次に、ス
テルモアコンベアの上に巻き取った線材をブロワーの開
度を調整することにより、線材の温度が500℃になる
までを0.5℃/s以上15℃/s以下、500℃以下
では10℃/s以上で冷却することにより、製造するこ
とが可能である。
【0016】上記の製造方法に関して、ビレットの表面
に生成したスケールをエアーおよび水により完全に除去
するのは、ビレットの表面特にコーナー部などに残った
スケールが圧延により線材に噛み込まれることにより線
材表面に凹凸が形成されるためである。特にビレットの
コーナー部は面の部分に吹き付けられたエアーおよび水
があたりにくくスケールが残りやすいので、コーナー部
用のノズルを設けるなどの考慮が必要である。
【0017】加熱炉で加熱されたビレット表面温度のば
らつきを70℃以下に抑えつつスケールを除去するの
は、ビレット内に温度むらができると圧延時に不均一な
変形を起こし、しわの原因になったり、温度の低い部分
が多くなると安定した圧延が困難になるためである。ビ
レットの温度が800℃以上900℃以下の状態で速や
かに下流に設置された圧延機のロールに噛み込ませるの
は、ビレットの温度が800℃より低いと安定した圧延
ができないためであり、900℃より高いと、最終の圧
延温度が高くなりすぎるために圧延後の組織が粗大化す
る。
【0018】線材表層部を同じ結晶方位を有する領域の
面積が0.0005mm2 以下にするためには圧延開始
時のビレット温度管理が重要である。引き続き連続的に
最終圧延機の出口における圧延速度を50m/s以上1
50m/s以下で圧延を行うのは、圧延速度が50m/
sより小さいと連続圧延時の鋼材の温度が十分上がらな
いために安定した圧延が難しいためである。また、15
0m/sより速い速度での圧延は、ローラーガイドの調
整や圧延機の制御が難しくなり安定した圧延は困難にな
る。そして鋼材の温度を900℃以上1050℃以下に
なるように圧延するのは、鋼材温度が900℃未満にな
ると、ロールの摩耗や破損が起き易くなり、大量生産が
できなくなり、1050℃より高くなると圧延後の組織
が粗大化してしまい、線材に同じ結晶方位を有する領域
の面積が0.0005mm2 以下の組織を造り込むこと
は困難になる。その後0.15s以内に冷却して巻き取
るのは、圧延により加熱された鋼材の組織の粗大化を防
ぐために、速やかに冷却する必要があるためである。
0.15sより遅いと、線材の組織が粗大化してしま
い、同じ結晶方位を有する領域の面積が0.0005m
2 以下の組織を造り込むことは困難になる。
【0019】その後速やかに900℃以下800℃以上
に冷却して巻き取るのは、線材のスケール量および厚さ
を調整するためである。900℃より高いと巻き取った
後にスケールが成長し、かつスケール組成も剥離しにく
い組成になる。また800℃以下であると、線材の剛性
が高くなり巻き取りが困難になるためである。鋼材の温
度が500℃までを0.5℃/s以上15℃/s以下で
冷却するのは、0.5℃/sより小さいと組織が粗大化
しやすいことや伸線に悪影響を及ぼす組織が成長する恐
れがある。15℃/sより大きいと鋼種によってはパー
ライト以外の組織が混ざる可能性があり、あまり大きな
冷却速度にすることは望ましくない。500℃以下では
10℃/s以上で冷却するのは、線材の表面に成長した
スケールが、剥離しにくいスケール組成へと変態する事
を抑えるためであり、FeOの割合を65%以上にする
ためにはできるだけ速く室温まで冷却することが望まし
い。
【0020】
【実施例】以上述べた製造方法にて本発明にかかる線材
の製造を行うと同時に、圧延条件を変えて異なる性状の
線材を造り、線材特性の比較試験を行った。圧延した線
材の評価は、線材コイルの両端から100m切り込んだ
ところからサンプリングを行い、線材の長さ方向に垂直
な断面を1リングから8箇所サンプリングし樹脂で埋め
込みを行い、スケールの厚みを測定した。また、サンプ
リングした線材を捻り試験機で捻りを加えて強制的にス
ケールを全て剥離させ、集めたスケールをX線でFe
O、Fe23 、Fe34 の回析強度を比較し、スケ
ール中のFeOの比率を計算した。
【0021】そして圧延した2tonの線材コイルのう
ちの1tonをベンディングした後、ワイヤーブラシで
スケールを落とした。その後、約100m毎にコイルを
切り込んで約50箇所からサンプリングを行い、それぞ
れのサンプルについて残留スケールの有無を確認した。
またそのサンプルの線材の長さ方向に垂直な断面を切り
出して樹脂で埋め込み研磨してから表面凹凸を確認し
た。また、同じ結晶方位を有する領域の面積の測定法と
しては、ミクロビームX線ラウエ法やファセットピット
法や着色腐食法等があるが、本実施例では、塩酸とエチ
ルアルコールと水を100ccづつ混合した水溶液に5
gの塩化第2銅を溶かしたエッチング液で約30秒間腐
食して結晶方位の違いを色調の差で確認できる着色腐食
法を利用して同じ結晶領域を有する領域の面積を測定し
た。そして残りの1tonを利用して、メカニカルデス
ケーリング後5.5mmから1mmまで連続伸線機を利
用して800m/minの高速で生引き試験を行い、ダ
イス焼き付きの発生や断線の発生により生引き性が良好
であるかどうか評価を行った。
【0022】以下に本発明と比較材の比較結果を図と表
で示す。図1は本発明による線材の長さ方向に垂直な断
面を観察した表面状態を示す顕微鏡写真の一例であり、
地鉄とスケールの境界には凹凸は認められず、厚さ約3
μmのスケールが付いている。図2は比較材のMD後の
線材の長さ方向に垂直な断面を観察した表面状態を示す
顕微鏡写真の一例であり、表面に凹凸が認められ、その
中にスケールが残留している。写真中のAは、深さ比
0.5超の凹凸であり、Bは深さが7μm超の凹凸の例
である。それぞれの凹凸の中にはスケールが線材の表面
部まで詰まった状態で残留している。
【0023】表1において、スケール厚さとは、線材の
長さ方向に垂直な断面の円周上45度づつ8箇所におい
てスケールの厚みを測定したものの平均値で算出した。
スケール組成は、100m毎に30cm長さのスケール
が落ちていない部分をサンプリングして、捻り試験機で
スケールを剥離させて、X線回析によりFeO、Fe2
3 、Fe34 の回析強度を計測し、強度の合計に占
めるFeO回析強度の割合をFeO比率とした。深さ比
0.5超の凹凸数とは、100m毎に切り出した線材の
長さ方向に垂直な断面サンプルを顕微鏡(倍率400
倍)で観察し、1つの断面上で観察される全ての表面の
凹凸の内、凹部の入り口部から凹部の底までの長さを入
り口の長さで割った値が0.5超になるものを深さ比
0.5超の凹凸として数えた。また深さ比とは別に、凹
部の入り口部から凹部の底までの長さが7μm超の凹み
を深さ7μm超の凹凸数として数えた。
【0024】
【表1】
【0025】水準1は、本発明にかかる特徴を持った線
材であり、このサンプルではMD後の微細なスケールの
残留は全くなく、生引き性も良好であった。水準2、3
および水準11、12はコイルのスケール厚みを変化さ
せた水準である。スケール厚みが3μmより薄い場合と
15μmより厚い場合に残留スケールが発生している。
水準4、5および水準13はスケール組成を変化させた
水準である。FeO比率が65%より小さくなるとMD
してもスケールが残る。
【0026】水準6および水準14、15は、線材の長
さ方向に垂直な断面内において表層から50μm以内の
部分の組織において、同じ結晶方位を有する領域の面積
の影響について調査したものである。同じ結晶方位を有
する領域の面積が0.0005mm2 以下の場合は生引
き性が良好であるが、面積が0.0005mm2 より大
きくなると残留スケールがなくても、伸線により鋼線の
表面が平滑化して生引き性が不良になった。また、同一
結晶方位を有する領域の存在部位については、圧延最終
段において軽圧下することにより、中心部において同一
結晶方位を有する領域の面積が大きい線材を製造したが
生引き性は変わらなかったことから、最低限表層部の同
一結晶領域の面積が0.0005mm2 以下であれば同
等の生引き性が得られるものと推定される。
【0027】水準7、8、9、10は凹凸の深さ比と7
μm超の深さの凹凸数の影響を見たものである。1断面
の中に1つでもあると残留スケールが発生する。また、
深さ比が0.5以下の凹凸数と、深さが7μm以下の凹
凸の数については、線材表面のうねりとの区別がつき難
くなるために、測定者による計測誤差が大きくなるが、
400倍に拡大して計数した結果は表1に示すとおりで
ある。この結果から明らかなように、残留スケールの発
生とは関係なく、本発明の場合にはこれらの凹凸が何個
あってもMD性には影響ない。
【0028】
【発明の効果】本発明による線材は、MD性が良好なた
めにスケールの取り残しによる線材表面疵が発生しにく
いことに加えて、高歪み域でも表面の平滑化が進まない
ために潤滑不良が起こり難く、線材二次メーカーで安定
した伸線状態が得られ、品質の高い鋼線を製造すること
が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による線材の表面状態を顕微鏡により観
察した金属組織の一例を示す図
【図2】比較例をMDした後の特徴的な表面状態を顕微
鏡により観察した金属組織の一例を示す図

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素含有量が質量分率で0.4%以上
    1.0%以下の炭素鋼線材の長さ方向に垂直な断面の表
    面にある凹部の入り口の長さに対して底までの深さの比
    が0.5以下で、凹部の入り口からの深さが7μm以下
    の表面凹凸を持ち、スケールの厚さが3μm以上15μ
    m以下で、スケールの組成のうちFeOの割合が65%
    以上であり、線材の長さ方向に垂直な断面内において表
    層から50μm以内の部分の組織において、同じ結晶方
    位を有する領域の面積が0.0005mm2 以下の組織
    を有することを特徴とするメカニカルデスケーリング性
    と生引き性に優れた線材。
JP14410694A 1994-06-03 1994-06-03 メカニカルデスケーリング性と生引き性に優れた線材 Ceased JP3265123B2 (ja)

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