JPH07330908A - ジシラン含有オルガノポリシロキサン及びその製造方法並びに表面処理剤及び結合剤 - Google Patents

ジシラン含有オルガノポリシロキサン及びその製造方法並びに表面処理剤及び結合剤

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JPH07330908A
JPH07330908A JP6143816A JP14381694A JPH07330908A JP H07330908 A JPH07330908 A JP H07330908A JP 6143816 A JP6143816 A JP 6143816A JP 14381694 A JP14381694 A JP 14381694A JP H07330908 A JPH07330908 A JP H07330908A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記平均組成式(1)で示されるジシラン含
有オルガノポリシロキサン。 〔R1 aSi(OR2b(4-a-b)/2m〔R1 cSi2(OR2d(6-c-d)/2n …(1) (但し、R1及びR2はそれぞれ水素原子又は置換もしく
は非置換の一価炭化水素基である。a,b,c及びd
は、0≦a≦2、0≦b≦3、0≦c≦3、0<d<6
で、0≦a+b<4、0<c+d<6を満たす整数であ
り、mは0≦m≦0.9、nは0.1≦n≦1で、m+
n=1を満たす正数である。) 【効果】 本発明のジシラン含有オルガノポリシロキサ
ンは、硬化性官能基を有するため、低い温度での造膜化
が可能であり、硬度も高く、更に高温時での体積収縮に
よるクラックが発生せず、耐熱性が良好である。このた
め、無機物材料に対する表面処理剤、結合剤として有効
に使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無機物材料用表面処理
剤、結合剤などとして好適に使用し得る新規ジシラン含
有オルガノポリシロキサン及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】無機物
材料用表面処理剤及び結合剤として、従来、シランカッ
プリング剤、オルガノポリシロキサン、シリケート等が
主に使用されている。これらの物質は、硬化性官能基を
有するため、低い温度での縮合硬化による造膜化が可能
であるが、高温時での体積収縮によるクラック発生が避
け難く、耐熱性に劣っていた。
【0003】また、クラックが発生しにくいポリシラン
を用いた例として、特開平5−295563号公報のも
のがあるが、シリコーン樹脂と同等の低温での造膜化は
困難である。上記公報記載の方法による400℃という
高温でも、ジメチルポリシランのように造膜化できない
ものもある。唯一造膜化できたメチルフェニルポリシラ
ンでも、密着性、耐薬品性などか劣り、満足できるもの
は得られていない。従って、上記のような欠点のない表
面処理剤及び結合剤が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は、上
記要望に応えるため鋭意検討を行った結果、下記一般式
(2)で示される加水分解性基含有ジシラン又はその部
分加水分解縮合物を加水分解すること、或いは該シラン
又はその部分加水分解縮合物と下記一般式(3)で示さ
れる加水分解性基含有シラン又はその部分加水分解縮合
物とを共加水分解することにより、下記平均組成式
(1)で示される新規なジシラン含有オルガノポリシロ
キサンが得られることを知見した。
【0005】 R1 cSi26-c …(2) R1 aSi 4-a …(3) 〔R1 aSi(OR2b(4-a-b)/2m〔R1 cSi2(OR2d(6-c-d)/2n …(1) (但し、R1及びR2はそれぞれ水素原子又は置換もしく
は非置換の一価炭化水素基である。a,b,c及びd
は、0≦a≦2、0≦b≦3、0≦c≦3、0<d<6
で、0≦a+b<4、0<c+d<6を満たす整数であ
り、mは0≦m≦0.9、nは0.1≦n≦1で、m+
n=1を満たす正数である。また、Xは加水分解性基で
ある。)
【0006】そして、このジシラン含有オルガノポリシ
ロキサンは、無機物材料用表面処理剤及び結合剤の主成
分として使用した場合、従来のシリコーン樹脂系と同様
に硬化性官能基を有するため、低い温度での造膜化が可
能であり、従って生産性が向上し、更に密着性、耐薬品
性なども良好であることを見い出した。
【0007】しかも、分子内にジシラン骨格を有するた
め、高温時において、有機基が熱分解する前或いは同時
にSi−Si結合のSi−O−Si結合への酸化反応が
起き、この酸化反応による重量増加によって、有機基の
熱分解による体積収縮が抑えられ、従ってクラック発生
が回避でき、耐熱性が良好となる。
【0008】また、原料となるジシランは、シラン合成
時に副生する蒸留残渣としてのクロロ含有ジシランを使
用し得る。このジシランは一般にポリシロキサン合成原
料として不適切とされてきたため、廃棄処分されること
が多いものであったが、本発明の方法によれば、産業廃
棄物を有効利用でき、地球環境上からも好ましい。
【0009】従って、このように本発明に係るジシラン
含有オルガノポリシロキサンは、耐熱性、密着性、耐薬
品性といった性能上の効果を与えるだけでなく、その製
造原料として産業廃棄物を利用できるので、地球環境保
護の面までも満足できる優れたものであることを知見
し、本発明をなすに至ったものである。
【0010】なお従来、ポリシラン構造を含有するオル
ガノポリシロキサンとして、特開平2−204410号
公報及び特開平2−202953号公報のものが知られ
ているが、これらの公報のポリシラン含有オルガノポリ
シロキサンのポリシラン構造は、直鎖状であり、ジシラ
ンのケイ素原子に結合した硬化性官能基を持たない。一
方、本発明に係るジシラン含有オルガノポリシロキサン
のジシラン構造はジシランのケイ素原子に結合した硬化
性官能基を持ち、ポリシロキサンとの架橋構造を取り、
構造的に異なり、硬化特性、密着性の優れたものとな
る。また、用途的にも上記公報のオルガノポリシロキサ
ンは、紫外線吸収剤又はハードコート膜であるが、前記
のように双方のポリシラン含有オルガノポリシロキサン
の構造を考慮すると、架橋密度が高い本発明のオルガノ
ポリシロキサンの方が膜強度的に優れる。更に、無機物
材料に表面処理した際の結合力も分子中の硬化性官能基
の量の多い本発明の方が優れるものである。
【0011】従って、本発明は、上記平均組成式(1)
で示されるジシラン含有オルガノポリシロキサン、上記
一般式(2)で示される加水分解性基含有ジシラン又は
その部分加水分解縮合物の少なくとも1種を加水分解縮
合することを特徴とする式(1)においてm=0である
上記ジシラン含有オルガノポリシロキサンの製造方法、
上記式(2)の加水分解性基含有ジシラン又はその部分
加水分解縮合物の少なくとも1種と、上記一般式(3)
で示される加水分解性基含有シラン又はその部分加水分
解縮合物の少なくとも1種とを共加水分解縮合すること
を特徴とする式(1)においてm>0である上記ジシラ
ン含有オルガノポリシロキサンの製造方法、上記ジシラ
ン含有オルガノポリシロキサンを主成分とする無機物材
料用表面処理剤、及び、上記ジシラン含有オルガノポリ
シロキサンを主成分とする無機物材料用結合剤を提供す
る。
【0012】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のジシラン含有オルガノポリシロキサンは、下記
平均組成式(1)で示されるものである。 〔R1 aSi(OR2b(4-a-b)/2m〔R1 cSi2(OR2d(6-c-d)/2n …(1)
【0013】上記式中、R1 aSi(OR2b
(4-a-b)/2及びR1 cSi2(OR2d(6-c-d)/2の少な
くとも一方が分岐構造をとることが好ましい。aは0≦
a≦2、より好ましくは0.5≦a≦1.5、bは0≦
b≦3、より好ましくは0.1≦b≦1で、0≦a+b
<4を満たす整数である。a>2であると低分子量化す
るため、揮発成分が多くなって処理効率が低下してしま
うので好ましくない。cは0≦c≦3、dは0<d<6
で、0<c+d<6、より好ましくは0<c+d<4を
満たす整数である。特に0<c+d<4であるとジシラ
ン構造は分岐構造となり、より密着性、耐熱性の優れた
ものとなる。
【0014】更に、mは0≦m≦0.9、nは0.1≦
n≦1で、m+n=1を満たす正数である。m>0.9
かつn<0.1であると耐熱性でのジシラン含有効果が
得られないため好ましくない。
【0015】また、R1は水素原子又は置換もしくは非
置換の一価炭化水素基であり、炭素数1〜10、特に1
〜6のものが好ましい。具体的には、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニ
ル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等
のアラルキル基を例示することができ、これらの基はそ
の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換さ
れていてもよい。また、反応性基として、ビニル基、ア
リル基等のアルケニル基、アリルオキシプロピル基、メ
タクリロキシプロピル基等の脂肪族不飽和基含有有機基
置換アルキル基を例示することができる。これらのうち
特に好適なものはメチル基である。
【0016】また、R2は水素原子又は一価の炭化水素
基であり、R1と同様の基を挙げることができるが、メ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル
基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロア
ルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基、フ
ェニルエチル基等のアラルキル基を例示することができ
る。これらの基はその水素原子の一部もしくは全部がハ
ロゲン原子で置換されていてもよい。これらのうち特に
好適なものは水素原子、炭素原子数4以下のアルキル基
である。
【0017】上記式(1)のジシラン含有オルガノポリ
シロキサンは、下記一般式(2) R1 cSi26-c …(2) (但し、R1及びcは上記と同様の意味を示し、Xは加
水分解性基である。)で示される加水分解性基含有ジシ
ラン又はその部分加水分解縮合物の少なくとも1種を加
水分解縮合する(式(1)においてm=0の場合)か、
又は、上記式(2)の加水分解性基含有ジシラン又はそ
の部分加水分解縮合物の少なくとも1種と、下記一般式
(3) R1 aSi 4-a …(3) (但し、R1,a及びXは上記と同様の意味を示す。)
で示される加水分解性基含有シラン又はその部分加水分
解縮合物の少なくとも1種とを共加水分解縮合すること
(式(1)においてm>0の場合)ことにより得ること
ができる。
【0018】ここで、式(2)のジシランにおいて、c
は上述したように0≦c≦3の整数であり、cがc>3
であると架橋率が低下するため、耐熱性に劣り、しかも
密着性も低下するので好ましくない。
【0019】また、加水分解性基Xは、ハロゲン原子、
アルコキシ基、アセトキシ基、アミノ基、オキシム基等
であり、ハロゲン原子及びアルコキシ基が好ましい。こ
の場合、アルコキシ基としては特に炭素数1〜4のもの
が好ましく、ハロゲン原子としては特に塩素原子が好ま
しい。
【0020】またこのジシランは、通常行われている金
属ケイ素とハロゲン化アルキル反応によるシラン合成時
に副生する高沸点溜分として得ることが可能であり、製
造コスト更に地球環境を考慮するとこの高沸点溜分を用
いることが好ましい。
【0021】従って、加水分解性基Xとして好適なもの
は、高沸点溜分として得られる塩素原子又はこれよりア
ルコール等との反応により低コストにて誘導できるアル
コキシ基である。
【0022】本発明において使用される加水分解性基含
有ジシランの具体例は以下の通りである。 (CH3O)3SiSi(OCH33,(CH3O)2CH
3SiSi(OCH33,(CH3O)2CH3SiSiC
3(OCH32,(CH3O)3SiSi(CH32
CH3,(CH3O)2CH3SiSi(CH32OC
3,(CH3O)3SiSi(CH33,Cl3SiSi
Cl3,Cl2CH3SiSiCl3,Cl2CH3SiSi
CH3Cl2,Cl3SiSiCH3,Cl2CH3SiSi
CH3Cl
【0023】式(1)においてm=0のジシラン含有オ
ルガノポリシロキサンは、上記条件を満たす加水分解性
基含有ジシラン及び/又はその部分加水分解縮合物を単
独でもしくは2種以上の組み合わせで原料として使用
し、公知の方法に従い、酸性又は塩基性条件下で加水分
解縮合することにより得られる。
【0024】また、式(1)においてm>0のジシラン
含有オルガノポリシロキサンは、上記式(3)で示され
る加水分解性基含有シラン及び/又はその部分加水分解
縮合物を上記加水分解性基含有ジシラン及び/又はその
部分加水分解縮合物と混合し、共加水分解縮合すること
によって得られる。
【0025】本発明において使用される加水分解性基含
有シラン及びその部分加水分解縮合物の具体例は以下の
通りである。
【0026】
【化1】
【0027】なお、上記メトキシ基含有シラン及びオリ
ゴマー以外にも種々のアルコキシ基やその他の加水分解
性基を含み、上記例には限定されない。
【0028】また、上記加水分解縮合、共加水分解縮合
は、上述したように公知の方法により行うことができる
が、特に酸性条件下で行う場合は塩酸、硫酸、メタンス
ルホン酸等を触媒として使用し、0〜200℃で0.5
〜24時間反応を行うことが好ましく、また塩基性条件
下で行う場合は、アンモニア、炭酸ナトリウム等を触媒
として使用し、0〜200℃で1〜48時間反応を行う
ことが好ましい。
【0029】本発明のジシラン含有オルガノポリシロキ
サンは、無機物材料用表面処理剤又は結合剤の主成分と
して使用することができる。かかる用途に使用する場合
は、ジシラン含有オルガノポリシロキサンをトルエン等
の有機溶剤と十分混合し、均一な溶液状態にした後、無
機物材料の表面に均一に塗布し、十分乾燥させて被着す
る。この時、公知のシリコーン樹脂系表面処理剤又は結
合剤と同様、公知の酸性、塩基性及び金属化合物等の硬
化触媒を添加してもよい。また、マイカ、シリカ、酸化
チタン、酸化アルミニウム等の無機物質補強材料と併用
してもよい。
【0030】その後、大気中或いは酸素雰囲気下におい
て熱処理を行い、必要に応じて酸化反応を起こさせるこ
とにより、ジシラン含有オルガノポリシロキサンで表面
改質された無機物材料が得られる。この場合、熱処理と
しては20〜250℃で10分〜10時間行うことがで
きる。
【0031】なお、無機物材料の具体例としては、鉄、
銅、ニッケル、アルミニウム、シリコン、ステンレス
鋼、真鍮、ガラスクロス、レンガなどであり、特に限定
されるものではない。また、形状も特に限定されず、棒
状、管状、バルク状、ファイバー状、フィルム状或いは
粉体状であってもよい。
【0032】
【発明の効果】本発明のジシラン含有オルガノポリシロ
キサンは、硬化性官能基を有するため、低い温度での造
膜化が可能であり、硬度も高く、更に高温時での体積収
縮によるクラックが発生せず、耐熱性が良好である。こ
のため、無機物材料に対する表面処理剤、結合剤として
有効に使用することができる。
【0033】また、本発明の製造方法によれば、かかる
ジシラン含有オルガノポリシロキサンを容易かつ確実に
製造し得る。
【0034】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるも
のではない。
【0035】〔実施例1〕冷却管、温度計、滴下漏斗を
付した0.3リットルのセパラブルフラスコに1,2−
ジメチル−1,1,2,2−テトラメトキシジシランを
20g(96mmol)、メチルトリメトキシシランを
100g(735mmol)、トルエンを91.6g、
更にイソプロピルアルコールを9.2g仕込み、室温で
撹拌した。撹拌下、メタンスルホン酸を1.9g添加
後、水23.7gを20分かけて滴下したところ、フラ
スコ内が45℃まで昇温した。
【0036】更に、室温にて1時間撹拌した後、反応溶
液を20%Na 2SO4水溶液で洗浄し、Na2SO4乾燥
した。29Si−NMR及び官能基測定から得られたジシ
ラン含有オルガノポリシロキサンの平均組成式は、〔C
3Si(OR 0.241.380.88〔(CH32Si
2(OR 0.251.880.12(ORはOH基が50mo
l%、OCH3が50mol%)であった。濾過後、不
揮発分50%のトルエン溶液に調製した。
【0037】〔実施例2〜4〕実施例1において、表1
に示すように1,2−ジメチル−1,1,2,2−テト
ラメトキシジシランを10gづつ増量し、同様の手順に
て、不揮発分50%のトルエン溶液を得た。
【0038】〔実施例5〕冷却管、温度計、滴下漏斗を
付した200mlのセパラブルフラスコに1,2−ジメ
チル−1,1,2,2−テトラメトキシジシランを5
0.0g(238mmol)とメタノールを50.0g
仕込み、室温で撹拌した。撹拌下、0.01Nの塩酸溶
液9.4gを10分かけて滴下したところ、フラスコ内
が38℃まで昇温した。
【0039】更に、室温にて3時間撹拌して、トルエン
に溶媒置換し、不揮発分50%のトルエン溶液に調製し
た。29Si−NMR及び官能基測定から得られたジシラ
ン含有オルガノポリシロキサンの平均組成式は、〔(C
32SiSi (OR 0.211.90 (ORはOH基が
40mol%、OMe基が60mol%)であった。
【0040】〔実施例6〕冷却管、温度計、滴下漏斗を
付した300mlのセパラブルフラスコに1,2−ジメ
チル−1,1,2,2−テトラメトキシジシランと1,
1,2−トリメチル−1,2,2−トリメトキシジシラ
ンとの混合物(混合モル比2:1)100gとトルエン
104.2g、イソプロピルアルコール8.9gを仕込
み、室温で撹拌した。29Si−NMR及び官能基測定か
ら得られたジシラン含有オルガノポリシロキサンの平均
組成式は、〔(CH32.5SiSi (OR
0.191.91 (ORはOH基が40mol%、OMe基
が60mol%)であった。以下、実施例1と同様の手
順にて、不揮発分50%のトルエン溶液を得た。
【0041】〔比較例1〕冷却管、温度計、滴下漏斗を
付した300mlのセパラブルフラスコにメチルトリメ
トキシシラン100g(735mmol)とトルエン7
3g、イソプロピルアルコール7.6gを仕込み、室温
で撹拌した。29Si−NMR及び官能基測定から得られ
たジシラン含有オルガノポリシロキサンの平均組成式
は、〔CH3SiO3/2 であった。以下、実施例1と同
様の手順にて、不揮発分50%のトルエン溶液を得た。
【0042】〔比較例2〕ガス導入管、冷却管、温度
計、滴下漏斗を付した500mlの3つ口フラスコに脱
水したTHF300mlと金属リチウム7g(1.0m
ol)、クラウンエーテル1.3gを仕込み、窒素雰囲
気下0℃に冷却した。冷却後、ジクロロジメチルシラン
65g(0.5mol)を40分かけて滴下し、滴下
後、室温にて18時間撹拌した。反応混合物を熱トルエ
ン抽出し、抽出溶液を濃縮し、ジメチルポリシランを2
1.5g得た。GPCによる分子量測定の結果、平均分
子量は約1900(ポリスチレン換算)であった。平均
組成式を下記に示す。
【0043】
【化2】
【0044】〔比較例3〕上記反応のジクロロジメチル
シランの代わりにメチルフェニルジクロロシランを用い
て、比較例2と同様の方法によりメチルフェニルポリシ
ランを合成した。GPCによる分子量測定の結果、平均
分子量は約1600(ポリスチレン換算)であった。平
均組成式を下記に示す。
【0045】
【化3】
【0046】上記実施例1〜6及び比較例1によって得
られたシリコーン系ワニスの物性を表1に示した。
【0047】
【表1】
【0048】上記実施例1〜5のジシラン含有オルガノ
ポリシロキサンと比較例1のオルガノポリシロキサンに
ついて、熱重量測定(TG)を行った。測定には(株)
理学製サーモフレックスTG8110を使用した。ま
た、サンプルは不揮発分50%のトルエン溶液をアルミ
シャーレに2g取り、150℃のオーブンに入れ、1時
間加熱縮合させた。更に乳鉢で粉末状にしたものを使用
した。熱重量結果を図1に示す。
【0049】図1に示した結果から明らかなように、オ
ルガノポリシロキサンに比べ、ジシラン含有オルガノポ
リシロキサンの方が耐熱性に優れていることが認められ
る。
【0050】〔実施例7〕実施例1〜6から得られたジ
シラン含有オルガノポリシロキサンの50%トルエン溶
液と比較例1から得られたオルガノポリシロキサンの5
0%トルエン溶液を各々10gずつ取り、リン酸を0.
06g添加し、十分撹拌して均一な溶液状態にした後、
150mm×50mmの大きさの鉄板の表面に塗布し
た。塗布後、溶媒を気化させて乾燥し、空気中において
150℃の温度で1時間熱処理した。これにより表面が
シリコーン系樹脂により被覆された鉄板を得た。
【0051】また、比較例2及び3より得られたポリシ
ランをトルエンに溶解させて5%溶液を調製した。この
溶液を150mm×50mmの大きさの鉄板の表面に塗
布した後、溶媒を気化させて乾燥した。乾燥後空気中に
おいて400℃の温度で3時間処理したところ、メチル
フェニルポリシランにより被覆された鉄板は得られた
が、ジメチルポリシランでは得られなかった。
【0052】上記方法で得られた鉄板について、被膜の
性能測定を下記要領にて行った。結果を表2に示す。外 観 目視により観察した。膜 厚 膜厚計((株)サンコウ電子研究所製電磁式膜厚計SL
−110)を使用して被膜の厚さを測定した。硬 度 JIS−K5401に準じ鉛筆引っ掻き試験を行った。密着性 JIS−K5401に準じ1mm角100個の碁盤目試
験を行い、セロハンテープ剥離試験により測定した。耐薬品性 還流状態のトルエン溶液中に24時間浸した後、被膜を
観察した。トルエン溶液をGPC分析することにより高
分子化合物の有無を確認した。耐熱性 150℃にて1時間硬化させて得た被膜を更に350℃
にて3時間硬化させて被膜の状態を目視にて観察した。
【0053】
【表2】
【0054】〔実施例8〕実施例3より得られたジシラ
ン含有オルガノポリシロキサンの50%トルエン溶液1
000gにトリエタノールアミン1gを添加し、この液
にガラスクロスを含浸させた。その後、30分間風乾
し、更に110℃にて10分間予備乾燥させた。このと
きのピックアップは35〜40重量%の間にあった。こ
のものを31cm×31cmに切断し、15枚重ねて1
0kg/cm2の成形圧においてから、180℃まで加
熱し、この温度で1時間保持することにより積層板を製
造した。
【0055】上記方法により得られた積層板の特性を表
3に示す。
【0056】
【表3】
【0057】表2,3の結果より、本発明のジシラン含
有オルガノポリシロキサンは、表面処理剤及び結合剤と
して優れた性能を有していることが認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜5のジシラン含有オルガノポリシロ
キサン及び比較例1のシラン加水分解物の熱重量測定結
果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 磯部 憲一 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料 技術研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記平均組成式(1)で示されるジシラ
    ン含有オルガノポリシロキサン。 〔R1 aSi(OR2b(4-a-b)/2m〔R1 cSi2(OR2d(6-c-d)/2n …(1) (但し、R1及びR2はそれぞれ水素原子又は置換もしく
    は非置換の一価炭化水素基である。a,b,c及びd
    は、0≦a≦2、0≦b≦3、0≦c≦3、0<d<6
    で、0≦a+b<4、0<c+d<6を満たす整数であ
    り、mは0≦m≦0.9、nは0.1≦n≦1で、m+
    n=1を満たす正数である。)
  2. 【請求項2】 下記一般式(2) R1 cSi26-c …(2) (但し、R1及びcは上記と同様の意味を示し、Xは加
    水分解性基である。)で示される加水分解性基含有ジシ
    ラン又はその部分加水分解縮合物の少なくとも1種を加
    水分解縮合することを特徴とする式(1)においてm=
    0である請求項1記載のジシラン含有オルガノポリシロ
    キサンの製造方法。
  3. 【請求項3】 上記式(2)の加水分解性基含有ジシラ
    ン又はその部分加水分解縮合物の少なくとも1種と、下
    記一般式(3) R1 aSi 4-a …(3) (但し、R1,a及びXは上記と同様の意味を示す。)
    で示される加水分解性基含有シラン又はその部分加水分
    解縮合物の少なくとも1種とを共加水分解縮合すること
    を特徴とする式(1)においてm>0である請求項1記
    載のジシラン含有オルガノポリシロキサンの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のジシラン含有オルガノポ
    リシロキサンを主成分とする無機物材料用表面処理剤。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のジシラン含有オルガノポ
    リシロキサンを主成分とする無機物材料用結合剤。
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