JPH07330773A - ポルフィリン誘導体とその用途 - Google Patents

ポルフィリン誘導体とその用途

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JPH07330773A
JPH07330773A JP6157791A JP15779194A JPH07330773A JP H07330773 A JPH07330773 A JP H07330773A JP 6157791 A JP6157791 A JP 6157791A JP 15779194 A JP15779194 A JP 15779194A JP H07330773 A JPH07330773 A JP H07330773A
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porphyrin
acid
compound
vinyl
cancer
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JP6157791A
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English (en)
Inventor
Isao Sakata
功 阪田
Susumu Nakajima
進 中島
Koichi Koshimizu
弘一 小清水
Hiroyuki Takada
弘之 高田
Yasushi Inui
裕史 乾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Hakka Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Toyo Hakka Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、側鎖上に不斉炭素がなく且つ種々
の官能基を持たせるように工夫し色々な官能基を持つ生
理活性物質と結合できるようにデザインされた癌指向性
ポルフィリン系薬剤で、放射性金属(RI)や中性子捕
捉療法(BNCT)のための10B化合物と結合させて
放射性診断、核磁気共鳴診断(MRI)やBNCTに適
した薬剤を提供することを目的とする。 【構成】 本発明は、種々の官能基(ケトン基、水酸
基、アミノ基、カルボキシル基など)担持ポルフィリン
類、およびそれに多官能性化合物を介して得られた放射
性金属や10B化合物との結合体で構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポルフィリン誘導体と
その用途、癌の診断・治療を行うためのミサイル的役割
を果たす担体、特に新規なポルフィリンおよび金属ポル
フィリン誘導体を有効成分とするシンチグラフィー、核
磁気共鳴ならびに核磁気共鳴および/または中性子捕捉
による癌の診断および/または治療に用いる薬剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】癌の新しい診断・治療法として光物理化
学的蛍光診断・治療[Photodynamic Di
agnosis and Therapy(PDD
T)]が行われている。これはある種のポルフィリン化
合物を静脈注射などの方法により投与し、癌組織に保持
させた後、レーザー光を照射して癌組織のみを選択的に
蛍光診断し破壊するというものである。PDDTは、ポ
ルフィリンの癌組織に保持される時間が正常組織に比べ
て長いという性質と光増感作用を持つという2つの性質
を利用している。過去13年間に世界中で3000人以
上の人々がPDDTによる悪性腫瘍の治療を受けてお
り、癌治療法の1つとして定着しつつある。PDDTに
より良好な治療成績が報告されている癌種は、網膜癌、
皮膚癌、食道癌、表在性膀胱癌、初期の肺癌など多岐に
渡っている。また最近は、内視鏡を用いた蛍光診断にも
利用されるようになった。
【0003】我々もこれらポルフィリンが持つ諸性質
(癌親和性、蛍光物質、殺細胞性)を考慮に入れ700
種以上の誘導体を合成し、特許出願してきた。そして癌
組織集積性とポルフィリンの化学構造の関係を明らかに
した。[Modern Medicine、1993、
7月号(朝日新聞社発行)]そして特開昭62−174
079を初め、ポルフィリン関連化合物として15の特
許出願し、癌の光物理化学的蛍光診断・治療剤、放射性
診断剤および核磁気共鳴造影剤を提供してきた。
【0004】しかしながら、我々が出願した化合物なら
びに一般に開示されている化合物はポルフィリンの側鎖
上で不斉炭素が存在するために立体異性体が生じ、得ら
れた誘導体は混合物となり単離精製を困難にしている。
したがって不斉炭素を含まないようなポルフィリン化合
物が強く望まれていた。
【0005】現在癌の診断や治療に用いられようとして
いるモノクローナル抗体は最も期待されたミサイル療法
である。しかしこの方法では当初考えられたほど抗体が
癌組織に集積性を示さず、抗体が高分子量であるため
に、臨床例で高率にその抗体に対する抗体すなわちHA
MA現象が生じることが明らかになった。そして大きな
壁にぶつかって進展を阻まれている。一方スマンクスに
代表される高分子に制癌剤などを結合させて治療を行う
方法にも限界があり(動脈注射法では良好な成績が見ら
れる、しかし静脈投与ではそれほどでもない)、難し
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、ポルフ
ィリン骨格上の側鎖を不斉炭素不含−CHO、−CH
OH、−COOHおよび−NHなどの官能基を有する
化合物に誘導体化すれば、放射性短半減期金属化合物
(ラジオアイソトープ、RI化合物)、中性子捕捉療法
10B化合物や制癌剤などの種々の官能基を持つ生理
活性物質と縮合または結合し、癌の新規な診断・治療剤
を提供できるのではないかと、種々研究を重ねた。
【0007】
【問題を解決するための手段】その結果、前々願誘導体
(特願平5−97857号)および前願誘導体(特願平
4−276488号)の中で血液由来のプロトポルフィ
リンより合成誘導体化して得られたクロリン類を出発原
料として、再度全不飽和(血液由来の4個のテトラピロ
ール型)であるポルフィリンに転換しスピログラフィス
ポルフィリン[SP(ホルミルポルフィリン)]に導
き、本ホルミル(−CHO基)官能基を化学転換して、
−CHOH、−COOHおよびCHNHに誘導体
化すれば、立体異性体を含まない癌組織に対して優れた
集積性を持つ担体になることを見いだした。
【0008】本担体を用いて、ヒドラジノ基(−NHN
)、カルボン酸基(−COOH)、アミノ基(−N
)またはケトン基(=CO)を持つ生理活性物質を
縮合ならびに結合させることができた。また本担体は前
願の発明の詳細な説明の項で述べた 1)アルブミンテ
スト 2)ダンシルメチオニンテスト 3)蛍光強度及
び燐光寿命測定の結果よりそれぞれの用途別に利用でき
ることが判った。したがって本誘導体は癌の診断・治療
のための良好な担体になると思われた。
【0009】本発明は上記の知見に基づいて完成された
ものであって、その要旨は一般式
【化2】 [式中、RはX、OH、OX、NHまたはNHX、
はOHまたはY、Xは多官能性カルボン酸から2H
あるいはOHを除いた残基、Yはアミノ酸またはアミノ
アルコールからHを除いた残基、Mは2H、Znまたは
Mn)で示されるポルフィリンあるいは金属ポルフィリ
ン化合物。(但し式中、ポルフィリン骨格の4つのピロ
ール環のうちA及びB環の側鎖の官能基がそれぞれ入れ
替わった位置異性体も含む。)
【0010】上記各記号の意味に関して使用された「ア
ミノ酸」なる語は必須アミノ酸を示し、「多官能性カル
ボン酸」なる語は1個のカルボキシル基あるいはその誘
導体に加え、少なくとも1個の官能基(例えば−N
、−OH、−SH、−COOH、NH・NH−、
10B)を有するものを言う。好ましくは、キレート形
成能基を有するエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、
ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)やジカルボン
酸であるマロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル
酸、フタル酸、アミノマロン酸を挙げることができ、ア
ミノベンゾヒドラジド、安息香酸ヒドラジド、カルバジ
ン酸などのヒドラジド誘導体も使用されてよい。また中
性子捕捉療法用の10B誘導体も含まれる。一方、「ア
ミノアルコール」なる語はモノエタノールアミン、ジグ
リコールアミン、アミノ糖であるグルコサミンを意味す
る。
【0011】本発明の各種官能基(−CHO、−OH、
−COOH、−NH)を持つポルフィリンは新規物質
であり、自体常套によってこれを製造することができ
る。一般式に対応するRが−C=O基を有する化合物
にあっては、まずプロトポルフィリンジメチルエステル
の光酸化を行い(工程a)、還元・酸化(工程b)を経
て、金属錯体化(工程c)へ進み、得られた金属ホルミ
ルポルフィリン体を加水分解(工程d)せしめる。なお
加水分解工程(d)は各種工程の前後を問わず、必要に
応じ調製して良い。
【0012】また、一般式に対応するRが−OH基を
有する化合物にあっては、先の工程dで得られた金属ホ
ルミル体を還元すればよい(工程e)。一方、一般式に
対応するRが−COOH基を有する化合物にあって
は、先の工程dで得られた金属ホルミル体を酸化(工程
f)あるいはカルボン酸残基を持つヒドラジノ誘導体で
縮合(工程g)、または工程eで得られたOH体にジカ
ルボン酸を結合すればよい(工程h)。他方、一般式に
対応するRが−NH基を有する化合物にあっては、
先の工程dで得られた金属ホルミル体にオキシム化(工
程i)またはアルキルニトロ化(工程j)を行い、それ
ぞれ別々に還元(工程k)処理して目的とする金属アミ
ノポルフィリン体を得る。また、必要があればRのカ
ルボン酸残基保護や溶解促進のためにアミノ酸またはア
ミノアルコールをアミド結合させる(工程l)。
【0013】かくして上記で得られたRに−OH基や
−NH基などの官能基を持つ各誘導体についてEDT
A化またはDTPA化を行う(工程m)。放射性診断剤
として用いるには、得られた多官能性カルボン酸を持つ
ポルフィリン誘導体に特願平1−60320と同様に処
理して短半減期放射性金属を骨格外に錯体化すればよい
(工程n)。
【0014】また、中性子捕捉療法(BNCT)薬剤と
して治療用に用いるには、上記で得られたNH基など
の官能基を持つ誘導体に10B誘導体(例えばドデカボ
ラン、ボロノアミノ酸)を結合させればよい(工程
o)。
【0015】更に、生理活性物質(例えば制癌剤)を結
合せしめるには、上記で得られた種々の官能基を持つポ
ルフィリンと生理活性物質とをアミド結合、エステル結
合、ヒドラゾン結合させればよい(工程p)。
【0016】構成工程(a、b、cおよびd)はJ.
E.Falk著[Porphyrins and Me
talloporphyrins](Elsevier
発行、1975年)およびD.Dolphin著[Th
e Porphyrins](Academic Pr
ess発行、1978年)等に記載された常套の方法に
よってこれを行うことができる。
【0017】すなわち、工程(a、b)については光化
学反応を利用してクロリン化工程(フォトプロトポルフ
ィリン)を経由し、NaBH還元でジオールとなし、
NaIO酸化で分解してこれを行うことができる。錯
体化工程(c)については通常、金属の塩化物、酢酸
塩、硫酸塩、硝酸塩等を使用してこれを行う。金属の種
類としては、長燐光寿命効果があるZn、Ga、逆に短
縮効果があるMn、Cu、Feなどが挙げられる。また
この金属導入工程(c)は各種工程の前後を問わず、必
要に応じ調整して良い。人為的に合成する代わりに、植
物や動物のような天然資源からこれを採取しても良い。
【0018】次に、以上のようにして構成したホルミル
化合物および/またはその金属錯体(I)を末端OH基
に誘導体化するには還元工程(e)に付す。すなわち、
スピログラフィスおよび/またはその金属錯体をNaB
処理して、目的担体のアルコール基担持ポルフィリ
ン誘導体(II)を製造する。また末端COOH基に誘
導体化するには、(I)を酸化工程(f)あるいはヒド
ラジノ誘導体による縮合工程(g)、あるいは(II)
をジカルボン酸によるエステル結合工程(h)に付す。
すなわち、(I)をAgO等の酸化剤で処理するかま
たはカルボン酸担持ヒドラジン誘導体と反応させるか、
あるいは(II)をジカルボン酸無水物と反応させて目
的担体であるカルボキシル基担持ポルフィリン誘導体
(III)を製造する。その具体例としては以下のもの
を挙げることができる。 (1)2−ヒドロキシメチル−4−ビニル−デューテロ
ポルフィリン(以下OH−SPと言う) (2)2−ヒドロキシメチル−4−ビニル−Mn−デュ
ーテロポルフィリン(以下OH−Mn−SPと言う) (3)2−ヒドロキシメチル−4−ビニル−デューテロ
ポルフィニル−6、7−ビスアスパラギン酸(以下OH
−SP−Aspと言う) (4)2−ヒドロキシメチル−4−ビニル−Mn−デュ
ーテロポルフィニル−6、7−ビスアスパラギン酸(以
下OH−Mn−SP−Aspと言う) (5)2−カルボキシ−4−ビニル−デューテロポルフ
ィリン(以下COOH−SPと言う) (6)2−カルボキシ−4−ビニル−Mn−デューテロ
ポルフイリン(以下COOH−Mn−SPと言う) (7)2−カルボキシ−4−ビニル−デューテロポルフ
ィニル−6、7−ビスアスパラギン酸(以下COOH−
SP−Aspと言う) (8)2−カルボキシ−4−ビニル−Mn−デューテロ
ポルフィニル−6、7−ビスアスパラギン酸(以下CO
OH−Mn−SP−Aspと言う) (9)2−メチリデンヒドラジノp−安息香酸−4−ビ
ニル−デューテロポルフィリン(以下pPhCOOH−
SPと言う) (10)2−メチリデンヒドラジノp−安息香酸−4−
ビニル−Mn−デューテロポルフィリン(以下pPhC
OOH−Mn−SPと言う) (11)2−メチリデンヒドラジノp−安息香酸−4−
ビニル−デューテロポルフィニル−6、7−ビスアスパ
ラギン酸(以下pPhCOOH−SP−Aspと言う) (12)2−メチリデンヒドラジノp−安息香酸−4−
ビニル−Mn−デューテロポルフィニル−6、7−ビス
アスパラギン酸(以下pPhCOOH−Mn−SP−A
spと言う) (13)2−メチリデンヒドラジノm−安息香酸−4−
ビニル−デューテロポルフィリン(以下mPhCOOH
−SPと言う) (14)2−メチリデンヒドラジノm−安息香酸−4−
ビニル−Mn−デューテロポルフィリン(以下mPhC
OOH−Mn−SPと言う) (15)2−メチリデンヒドラジノm−安息香酸−4−
ビニル−デューテロポルフィニル−6、7−ビスアスパ
ラギン酸(以下mPhCOOH−SP−Aspと言う) (16)2−メチリデンヒドラジノm−安息香酸−4−
ビニル−Mn−デューテロポルフィニル−6、7−ビス
アスパラギン酸(以下mPhCOOH−Mn−SP−A
spと言う) (17)2−サクシニルオキシメチル−4−ビニル−デ
ューテロポルフィリン(以下SuccinylO−SP
と言う) (18)2−サクシニルオキシメチル−4−ビニル−M
n−デューテロポルフィリン(以下SuccinylO
−Mn−SPと言う) (19)2−グルタリルオキシメチル−4−ビニル−M
n−デューテロポルフィリン(以下GlutarylO
−Mn−SPと言う) (20)2−メチリデンカルバジン酸メチル−4−ビニ
ル−デューテロポルフィリン(以下NHCOOEt−M
n−SPと言う) (21)2−メチリデンセミカルバゾン−4−ビニル−
デューテロポルフィリン(以下NHCONH−Mn−
SPと言う) (22)2−メチリデンチオセミカルバゾン−4−ビニ
ル−デューテロポルフィリン(以下NHCSNH−M
n−SPと言う)
【0019】一方、(I)を末端NH基に誘導体化す
るには、縮合(工程iまたはj)ついで還元(工程k)
に付す。すなわち、(I)にオキシムまたはニトロアル
カンを縮合反応させる。次いで、Zn/HOAc等の適
当な還元剤で処理して目的担体であるアミノ基担持金属
ポルフィリン誘導体(IV)を製造する。また、必要で
あれば、Rを適宜、溶解促進または保護基としてアミ
ド結合(工程l)に付す。すなわち、Rのカルボン酸
残基に、アスパラギン酸等のアミノ酸またはモノエタノ
ールアミンやアミノグルコース等のアミノアルコールを
縮合剤WSCなどを用いて反応させて、目的のポルフィ
リン化合物を製造する。また加水分解(工程d)は各工
程の前後を問わず、必要に応じ調製して良い。
【0020】以下に、代表例を挙げて、本願アミノ基担
持ポルフィリン化合物(IV)の調整を、更に具体的に
説明する。例えば、式中RがNH、MがMn、R
がOHの場合(25)には、前々願、前願において記載
のフォトプロトポルフィリンジメチルエステルをNaB
にて還元後、NaIOで酸化分解してスピログラ
フィスジメチルエステルを得る。本アルデヒド体をヒド
ロキシルアミンにてオキシム化を行い、次いでポルフィ
ル骨格内にZn金属錯体化を施した。得られたZn金属
オキシムポルフィリンジメチルエステルを酢酸中Zn粉
末にて還元し、次いでZn錯体からMn錯体に変換後加
水分解処理し、目的とする担体、Mn金属アミノ基担持
ポルフィリン(25)を得た。その具体例としては以下
のものを挙げることができる。
【0021】(23)2−アミノメチル−4−ビニル−
デューテロポルフィリン(以下NH−SPと言う) (24)2−アミノメチル−4−ビニル−Zn−デュー
テロポルフィリン(以下NH−Zn−SPと言う) (25)2−アミノメチル−4−ビニル−Mn−デュー
テロポルフィリン(以下NH−Mn−SPと言う) (26)2−アミノメチル−4−ビニル−Mn−デュー
テロポルフィニル−6、7−ビスアスパラギン酸(以下
NH−Mn−SP−Aspと言う) (27)2−サクシニルアミノメチル−4−ビニル−M
n−デューテロポルフィリン(以下SuccinylN
H−Mn−SPと言う) (28)2−サクシニルアミノメチル−4−ビニル−M
n−デューテロポルフィニル−6、7−ビスアスパラギ
ン酸(以下SuccinylNH−Mn−SP−Asp
と言う) (29)2−グルタリルアミノメチル−4−ビニル−M
n−デューテロポルフィリン(以下GlutarylN
H−Mn−SPと言う) (30)2−アミノメチル−4−ビニル−Zn−デュー
テロポルフィニル−6、7−ビスアミノエタノール(以
下NH−Zn−SP−NHEtOHと言う) (31)2−アミノメチル−4−ビニル−Mn−デュー
テロポルフィニル−6、7−ビスアミノエタノール(以
下NH−Mn−SP−NHEtOHと言う) (32)2−メチリデンp−アミノベンゾヒドラゾン−
4−ビニル−Mn−デューテロポルフィリン(以下pP
hNH−Mn−SPと言う) (33)2−メチリデンm−アミノベンゾヒドラゾン−
4−ビニル−Mn−デューテロポルフィリン(以下mP
hNH−Mn−SPと言う) (34)2−アミノメチル−4−ビニル−Mn−デュー
テロポルフィニル−6、7−ビスグルコサミン(以下N
−Mn−SP−NHgluと言う)
【0022】一方、以上によって得られたOH基やNH
基等の官能基を持つポルフィリン誘導体に、以前出願
(特願平1−60320号)した条件にてEDTA化、
DTPA化(工程m)、続いて放射性診断剤のための短
半減期放射性金属で錯体化(工程n)を行った。
【0023】上記担体を用いて更に癌の診断剤や治療剤
として利用するには、以下に代表例を挙げてキレート剤
担持ポルフィリンの調製を更に具体的に説明する。例え
ば、先に得られた化合物OH−Mn−SP−Asp
(4)をピリジン等の有機溶媒に溶解し、DTPAを加
え以前出願した(特開昭62−174079号、特公平
4−24661号、特開平2−76881号、特開平3
−261786号)の方法にしたがって合成・精製処理
し、DTPA結合ポルフィリン誘導体(36)を得た。
その担体例としては、以下のものを挙げることができ
る。
【0024】(35)2−ジエチレントリアミン−四酢
酸−アセチルオキシメチル−4−ビニル−Mn−デュー
テロポルフィリン[以下DTPAO−Mn−SP(ST
A−R21)と言う] (36)2−ジエチレントリアミン−四酢酸−アセチル
オキシメチル−4−ビニル−Mn−デューテロポルフィ
ニル−6、7−ビスアスパラギン酸[以下DTPAO−
Mn−SP−Asp(STA−R12)と言う] (37)2−ジエチレントリアミン−四酢酸−メチルカ
ルバモイルメチル−4−ビニル−Mn−デューテロポル
フィリン[以下DTPANH−Mn−SP(STA−R
N101)と言う] (38)2−ジエチレントリアミン−四酢酸−メチルカ
ルバモイルメチル−4−ビニル−Mn−デューテロポル
フィニル−6、7−ビスアスパラギン酸(以下DTPA
NH−Mn−SP−Aspと言う)
【0025】結合金属が放射性金属であるポルフィリン
化合物の金属複合体は、上記と同様にして対応するキレ
ート剤担持ポルフィリン化合物と対応する放射性金属化
合物からこれを調製することが出来る。例えば放射性金
属が67Ga、111Inまたは201Tlである場合
は、それぞれ67GaCl111InClまたは
201TlClを使用すればよい。また、放射性金属
99mTcである場合は、過テクネチウム酸塩(例え
ばNa99mTcO)を適当な還元剤(たとえばハイ
ドロサルファイトナトリウム、塩化第一スズ)とともに
使用すればよい。かくしてえられるキレート剤担持ポル
フィリン金属複合体の具体例は次のとおりである。
【0026】(39)2−99mTc−ジエチレントリ
アミン−四酢酸−アセチルオキシメチル−4−ビニル−
Mn−デューテロポルフィリン[以下99mTc−DT
PAO−Mn−SP(99mTC−STA−R21)と
言う] (40)2−111In−ジエチレントリアミン−四酢
酸−アセチルオキシメチル−4−ビニル−Mn−デュー
テロポルフィリン(以下111In−DTPAO−Mn
−SPと言う) (41)2−99mTc−ジエチレントリアミン−四酢
酸−アセチルオキシメチル−4−ビニル−Mn−デュー
テロポルフィニル−6、7−ビスアスパラギン酸[以下
99mTc−DTPAO−Mn−SP−Asp(99m
TC−STA−R12)と言う] (42)2−111In−ジエチレントリアミン−四酢
酸−アセチルオキシメチル−4−ビニル−Mn−デュー
テロポルフィニル−6、7−ビスアスパラギン酸(以下
111In−DTPAO−Mn−SP−Aspと言う) (43)2−99mTc−ジエチレントリアミン−四酢
酸−メチルカルバモイルメチル−4−ビニル−Mn−デ
ューテロポルフィリン[以下99mTc−DTPANH
−Mn−SP(99mTC−STA−RN101)と言
う] (44)2−111In−ジエチレントリアミン−四酢
酸−メチルカルバモイルメチル−4−ビニル−Mn−デ
ューテロポルフィリン(以下111In−DTPANH
−Mn−SPと言う) (45)2−99mTc−ジエチレントリアミン−四酢
酸−メチルカルバモイルメチル−4−ビニル−Mn−デ
ューテロポルフィニル−6、7−ビスアスパラギン酸
(以下99mTc−DTPANH−Mn−SP−Asp
と言う) (46)2−111In−ジエチレントリアミン−四酢
酸−メチルカルバモイルメチル−4−ビニル−Mn−デ
ューテロポルフィニル−6、7−ビスアスパラギン酸
(以下111In−DTPANH−Mn−SP−Asp
と言う)
【0027】他方、BNCT療法用10B化合物と結合
させるには(工程o)、好ましくはNH基等の官能基
を持つポルフィリン誘導体が選ばれる。すなわち、(I
V)にカルボン酸残基を持つドデカボラン誘導体(Na
101211SCHCHCOOH)を適当な
縮合剤DCC、WSCなどを用いてアミド縮合させた。
以上これらの諸反応は、一般有機化学実験書中に記載さ
れた常套の方法によって、これを行うことができる。な
おいずれの場合も、適宜脱水剤や脱酸剤のような反応促
進剤や縮合剤の使用も考慮されてよい。
【0028】次に、10B担持Mnポルフィリンの調製
を更に具体的に説明する。例えば、先に得られた化合物
NH−Mn−SP−Me(25のジメチルエステル
体)をDMF等の有機溶媒に溶解し、別途調製したNa
101211SCHCHCOOHを加え縮合
剤としてWSCを用いてアミド結合体を得る。得られた
エステル体を加水分解して10B担持Mn−ポルフィリ
ン誘導体を得た。その具体例としては、以下のものを挙
げることが出来る。
【0029】(47)2−ドデカボラニルチオエチルカ
ルバモイルメチル−4−ビニル−Mn−デューテロポル
フィリン[以下1012−NH−Mn−SP(ST
A−BX900)と言う] (48)2−ドデカボラニルチオエチルカルバモイルメ
チル−4−ビニル−Mn−デューテロポルフィニル−
6、7−ビスアスパラギン酸[以下1012−NH
−Mn−SP−Asp(STA−BX902)と言う]
【0030】本発明によるポルフィリン誘導体の医薬品
製剤の製造は自体公知法により行われ、本発明による誘
導体を適当な緩衝液で溶解するだけでよい。好適な添加
物として例えば医薬的に容認できる溶解補助剤(例えば
有機溶媒)、pH調製剤(例えば酸、塩基、緩衝液)、
安定剤(例えばアスコルビン酸)、賦形剤(例えばグル
コース)、等張化剤(例えば塩化ナトリウム)などが配
合されてもよい。
【0031】本発明による薬剤はポルフィリン系薬剤と
しての必要十分な特性すなわち燐光寿命、アルブミンに
対する親和性、特定臓器特に癌に対する特異的集積性、
殺細胞効果、水溶性、純度などを充分満足しているもの
である。本発明による薬剤の良好な水溶性は、高濃度溶
液(50mg/ml)の製造を可能とし、更に本発明に
よる薬剤は試験管内だけでなく生体内でも高い安定性を
示す。
【0032】
【作用】本発明にかかるポルフィリン化合物は、ポルフ
ィリン骨格の側鎖末端に、アルデヒド残基・アルコール
残基・アミノ残基、またはカルボン酸残基など種々の官
能基を持ち、あるいはポルフィリン骨格内に金属錯体を
有する点に化学構造上の特徴を有し、他の生理活性物質
との付加体・縮合体を構築しやすいように工夫した化合
物である。その結果種々の生理学的もしくは薬理学的特
性を発揮する。
【0033】これらポルフィリン誘導体は癌細胞に選択
的に集積し、かつ癌細胞からの排泄が遅い。なお、正常
な臓器や細胞からは速やかに排泄されるため、それらに
損傷を与えることはない。元来、ポルフィリン誘導体の
殆んどのものは光に対して強い作用を有するが、本発明
に従ってポルフィリン誘導体の側鎖に多官能性化合物残
基を導入ならびに金属錯体化することによって正常組織
からの排泄性を高めるとともに、光毒性の発現を抑制す
るようデザインした誘導体が可能となった。また、これ
らからラジオアイソトープや10Bなどの生理活性物質
を誘導体化することによって、診断や治療を目的とする
担体にもなることが出来た。これらの特性(癌親和性、
殺細胞効果、水溶性、生理活性物質の担体)に基づき、
本発明のポルフィリン誘導体は特定の臓器、特に癌や悪
性腫瘍に対する診断・治療用の薬剤として有用である。
【0034】以下実施例を挙げて説明する。なお、実施
例での収率はすべて出発原料であるSP−Meやその中
間体から換算し求めた値である。
【0035】
【実施例】
実施例 1 スピログラフィスポルフィリンジメチルエステルの合成 特開平5−97857ならびにR.K.Dinello
らの方法[The Porphyrins、Acade
mic Press発行、Vol 1、303(197
8)]に準じて合成した。すなわち、フォトプロトポル
フィリンジメチルエステル(P−Me)1gをクロロホ
ルム300mlに溶解し、室温撹拌下に5%ソジウムボ
ロハイドライド(SBH)のメタノール溶液20mlを
滴下後30分間反応せしめた。反応後、反応液に10%
クエン酸水溶液を加え、水洗分液後クロロホルム層を減
圧濃縮した。得られた濃縮物をジオキサン100mlに
溶解し、10%過ヨウ素酸ナトリウム水溶液10mlお
よび3%塩酸40mlを加え、室温で18時間放置し
た。反応溶液中に析出した紫色結晶を濾取し、水洗乾燥
後クロロホルム−メタノールにて再沈殿し、スピログラ
フィスポルフィリンジメチルエステル(SP−Me)を
得た。(450mg、47.3%)
【0036】実施例 2 SP−Meの還元 実施例1で得られたSP−Me2gをクロロホルム10
0mlに溶解後、1%ソジウムボロハイドライド/メタ
ノール溶液100mlを加え還元した。還元液を20%
クエン酸溶液、0.9%生理食塩水で洗浄後減圧濃縮
し、クロロホルム−n−ヘキサンにより再沈殿を行いO
H−SP−Me[(1)のメチルエステルを得た。(2
g、収率97.1%)
【0037】実施例 3 OH−SP−MeのMn金属錯体化 実施例2で得られたOH−SP−Me2gをクロロホル
ム−メタノール(1:1 v/v)100mlに溶解
し、酢酸マンガン4gを加えて60℃に加温し、撹拌下
2時間反応させた。反応液にクロロホルムを加え0.9
%生理食塩水、次いで20%クエン酸溶液で洗浄後、ク
ロロホルム層を減圧濃縮した。得られた濃縮物をメタノ
ール−酢酸エチル−n−ヘキサンにて再沈殿を行いOH
−Mn−SP−Me[(2)のメチルエステル]を得
た。(2.3g、収率100%)
【0038】実施例 4 OH−Mn−SP−Meの加水分解 実施例3で得られたOH−Mn−SP−Me2.3gを
エタノール20mlに溶解後、10%水酸化ナトリウム
溶液30mlを加え加水分解した。加水分解液を20%
クエン酸溶液にて中和後クロロホルムで抽出した。抽出
物を減圧濃縮しメタノール−酢酸エチル−n−ヘキサン
にて再沈殿を行いOH−Mn−SP(2)を得た。
(2.05g、収率92.8%)
【0039】実施例 5 OH−Mn−SPのアスパラギン酸誘導体化 実施例4で得られたOH−Mn−SP(2)1.0gを
メタノールに溶解し、ジシクロヘキシルアミン(DCH
A)にて常法によりOH−Mn−SP−DCHA塩
(1.5g)とした。本DCHA塩をクロロホルム60
mlおよびアセトニトリル20mlに溶解し、アスパラ
ギン酸ジメチルエステル(AspMe)塩酸塩1.5g
を加え、水溶性カルボジイミド(WSC)1.9gを徐
々に加えて4時間反応させた。反応後(TLCにて反応
終末点を確認)、反応液を水洗分液後、クロロホルム層
を減圧濃縮した。得られた濃縮物をエタノール20ml
に溶解後、10%水酸化ナトリウム溶液30mlを加え
加水分解した。加水分解液を20%クエン酸溶液にて中
和後クロロホルムで抽出した。抽出物を減圧濃縮しメタ
ノール−酢酸エチル−n−ヘキサンにて再沈殿を行いO
H−Mn−SP−Asp(4)を得た。(1.3g、収
率96.3%)
【0040】実施例 6 OH−Mn−SPおよびOH−Mn−SP−AspのD
TPA誘導体化 実施例4で得られたOH−Mn−SP(2)1.0gお
よび実施例5で得られたOH−Mn−SP−Asp
(4)1.3gをそれぞれ別々に採り、特開平2−76
881に準じて操作し、前者はピリジン56mlに溶解
し無水ジエチレントリアミン五酢酸(無水DTPA)
2.0gを加え、室温撹拌下に20時間反応させた。後
者はピリジン75mlに溶解し無水DTPA2.8gを
加え、室温撹拌下に4時間反応させた。反応後、それぞ
れ別々に反応液をろ過しろ液を減圧濃縮した。得られた
濃縮物をメタノール−酢酸エチルにて再沈殿を数回繰り
返し行い、DTPAO−Mn−SP[STA−R21
(35)]およびDTPAO−Mn−SP−Asp[S
TA−R12(36)]を得た。(0.2g、収率1
2.7%、0.32g、収率17.3%)
【0041】実施例 7 OH−Mn−SPのコハク酸誘導体化 実施例4で得られたOH−Mn−SP(2)を100m
g採り、ピリジン5mlに溶解し無水コハク酸100m
gを加え室温撹拌下に30分間反応させた。反応後、反
応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた濃縮物を
メタノール−酢酸エチルにて再沈殿を数回繰り返し行
い、SuccinylO−Mn−SP(18)を得た。
(90mg、収率78.0%)
【0042】実施例 8 SP−Meオキシム体の合成 実施例1で得られたSP−Me7.0gをピリジン78
0mlに溶解後、塩酸ヒドロキシルアミン18gを加え
室温撹拌下に30分反応させた。反応液を減圧濃縮後、
濃縮物に0.9%生理食塩水1lを加え結晶を析出させ
濾取した。得られた結晶を乾燥後、クロロホルム−メタ
ノール−酢酸エチル−n−ヘキサンにて再沈殿を行いS
P−Meのオキシム体(NOH−SP−Me)を得た。
(7.2g、収率100%)
【0043】実施例 9 NOH−SP−MeのZn金属錯体化 実施例8で得られたNOH−SP−Me2.0gをクロ
ロホルム100mlに溶解し、メタノール100mlに
酢酸亜鉛5gを溶解した液を加えて、室温撹拌下1時間
反応させた。反応液にクロロホルムを加え0.9%生理
食塩水および5%クエン酸溶液で洗浄後、クロロホルム
層を減圧濃縮した。得られた濃縮物をピリジン−酢酸エ
チル−n−ヘキサンにて再沈殿を行いNOH−Zn−S
P−Meを得た。(2.2g、収率100%)
【0044】実施例 10 NOH−Zn−SP−Meの還元 実施例9で得られたNOH−Zn−SP−Me2.0g
を、ジメチルスルホキシド100mlおよび酢酸200
mlに溶解後、室温撹拌下に亜鉛粉末12gを数回に分
けて加え5時間反応した。反応液を濾過し濾液に15%
食塩水900mlを加え結晶を析出させ濾取した。得ら
れた結晶を乾燥後、クロロホルム−メタノール−酢酸エ
チル−n−ヘキサンにて再沈殿を数回行い、NH−Z
n−SP−Me[(24)のメチルエステル]を得た。
(700mg、収率35.7%)
【0045】実施例 11 NH−Zn−SP−MeのMn金属錯体化 実施例10で得られたNH−Zn−SP−Me700
mgを酢酸70mlに溶解後、酢酸マンガン3.4gを
加えて60℃に加温し、撹拌下3時間反応させた。反応
液に15%食塩水400mlを加え結晶を析出させ濾取
した。得られた結晶を乾燥後、クロロホルム−メタノー
ル−酢酸エチル−n−ヘキサンにて再沈殿を数回行い、
NH−Mn−SP−Me[(25)のメチルエステ
ル]を得た。(375mg、収率54.4%)
【0046】実施例 12 NH−Mn−SPのDTPA誘導体化 実施例11で得られたNH−Mn−SP−Me100
mgをピリジン2mlに溶解し、10%ピリジン10m
l、無水DTPA00mgを加え、室温撹拌下に30分
反応させた。反応後、反応液をろ過しろ液を減圧濃縮し
た。得られた濃縮物をメタノール−酢酸エチルにて再沈
殿を数回繰り返し行い、DTPANH−Mn−SP−M
e[(37)のメチルエステル]45mgを得た。得ら
れた結晶体全量を45mgをメタノール10mlに溶解
後、10%水酸化ナトリウム溶液10mlを加え室温下
3時間放置し加水分解した。加水分解液を20%クエン
酸水溶液にて中和後、クロロホルムで抽出した。抽出物
を減圧濃縮しメタノール−酢酸エチルにて再沈殿を行
い、DTPANH−Mn−SP[STA−RN101
(37)]を得た。(30mg、収率9.3%)
【0047】実施例 13 NH−Mn−SPのコハク酸誘導体化 実施例11で得られたNH−Mn−SP−Meを50
mg採り、ピリジン5mlに溶解し無水コハク酸30m
gを加え室温撹拌下に30分間反応させた。反応後、反
応液をろ過しろ液を減圧濃縮した。得られた濃縮物をメ
タノール−酢酸エチルにて再沈殿を数回繰り返し行い、
SuccinylNH−Mn−SP−Me[(27)の
メチルエステル]40mgを得た。得られた褐色結晶体
全量をメタノール10mlに溶解後、10%水酸化ナト
リウム溶液10mlを加え室温下3時間撹拌して加水分
解した。加水分解液を20%クエン酸水溶液にて中和
後、クロロホルムで抽出した。抽出物を減圧濃縮しメタ
ノール−酢酸エチルにて再沈殿を行いSuccinyl
NH−Mn−SP(27)を得た。(30mg、収率5
6.9%)
【0048】実施例 14 STA−R21、STA−R12およびSTA−RN1
01の99mTc標識特開平2−76881と同様に操
作して各ポルフィリン誘導体の99mTcによる標識を
行った。すなわち、アスコルビン酸35mgを脱酸素水
100mlに溶解し、アスコルビン酸溶液とした。一
方、無水塩化第一スズ190mgを脱酸素水100ml
に溶解しスズ溶液とした。他方、脱酸素酢酸緩衝液(p
H5.2)を用意した。アスコルビン酸溶液、スズ溶液
および酢酸緩衝液を混合し、各ポルフィリン誘導体[実
施例6で得られたSTA−R21(35)、STA−R
12(36)および実施例12で得られたSTA−RN
101(37)](1.5mM)を別々に加え、標識に
供するまで凍結保存した。動物実験を行う前に凍結3種
各誘導体含有溶液を解凍し、過テクネチウム酸ナトリウ
ム[99mTC]/生理食塩水0.3ml(標識時放射
能:300MBq)を加えて、振とう混和し99mTC
−DTPAO−Mn−SP[99mTC−STA−R2
1(39)]、99mTC−DTPAO−Mn−SP−
Asp[99mTC−STA−R12(41)]および
99mDTPANH−Mn−SP[99mTC−STA
−RN101(43)]の注射液をそれぞれ別々に調製
した。標識率(放射化学的純度)は90%以上であっ
た。
【0049】実施例 1599m TC−STA−R21、99mTC−STA−R
12および99mTC−STA−RN101の担癌動物
実験 実施例14で得られた3種類のポルフィリン誘導体のコ
ロン26(大腸癌)移植マウスにおける体内挙動を検討
した。供試動物として体側部にコロン26を移植したC
DF系雌性マウスを用い、99mTCをラベル化した
各種ポルフィリン誘導体(投与量1.5mM)をマウス
尾静脈より投与し、腫瘍を含む体内分布を日立ガンマカ
メラ(RC−135E)および日立核医学画像処理装置
(RP−200)を使用し、薬剤投与後1分間毎に撮像
し(図1)データを記録した。ROI設定には腫瘍、肝
臓、肺臓、心臓、大腿部を選択し、腫瘍と各臓器との比
(表1およびクリアランスカーブ(図2)より各誘導体
の体内動態を検討した。
【0050】図1は99mTC−STA−R12(4
1)の投与3分後から30分毎に撮像したシンチグラム
画像を示す。投与後30分までは腫瘍部分(↓印)に集
積が認められなかったが、60分を越えた頃より次第に
腫瘍部分が明瞭に画出できた。
【0051】表1は各誘導体(39、41および43)
の投与後3時間、6時間時点における腫瘍と各臓器のカ
ウント比を示す。肝臓を除いて、STA−Rシリーズは
何れの場合にも高い腫瘍/臓器(比)を示した。
【0052】
【表1】
【0053】図2は腫瘍、肝臓、肺臓、心臓および皮膚
におけるクリアランスカーブを示す。腫瘍を除く他の臓
器においては時間とともにカウントが減少するのに反し
て、腫瘍部分では180分に至るまで増大傾向を示し本
誘導体が腫瘍組織に集積することを証明した。このこと
99mTCのような放射性短半減期金属化合物の癌キ
ャリアーとしてSTA−Rシリーズが有用であることを
示している。
【0054】実施例 16101211SCHCHCOOHの合成 Williamsonのエーテル合成を準用して、ソジ
ウムボロキャプティト−10B(Na 1012
11SH・HO)500mgをジメチルスルフォキシ
ド5mlに溶解し、ついでモノブロモプロピオン酸メチ
ル400mgを加え、撹拌下に2N KOH5mlを滴
下し室温で3時間反応させた。反応液を中和後、析出し
た結晶を濾取し、乾燥後Na 101211SCH
CHCOOHの白色結晶を得た。(310mg、収
率49.9%)
【0055】実施例 1710 B−NH−Mn−SPの合成 Na 101211SCHCHCOOH80m
gをDMF2ml、クロロホルム20mlに溶解し、N
−Mn−SP−Me160mgを加えた後、WSC
100mgを数回に分けて添加し、室温撹拌下1時間反
応させた。反応液を10%クエン酸溶液および0.9%
生理食塩水にて洗浄後、クロロホルム層を減圧濃縮し
た。得られた濃縮物をエタノール5mlに溶解後、10
%水酸化ナトリウム溶液10mlを加え加水分解した。
加水分解液を20%クエン酸溶液にて中和後クロロホル
ムで抽出した。抽出物を減圧濃縮しメタノール−酢酸エ
チル−n−ヘキサンにて再沈殿を行い10B−NH
Mn−SP[STA−BX900(47)]を得た。
(63mg、収率37.1%)
【0056】実施例 18 STA−BX900のKG1脳腫瘍移植ラットにおける
MRI造影動物実験 実施例17で得られたSTA−BX900(47)のK
G1脳腫瘍移植ラットにおける体内挙動をMRIにて検
討した。供試動物として頭頂部に穿頭孔を開け表面より
5mmの深さで9Lグリオーマ細胞を移植2週間後のF
isher344系雌性ラットを用いた。STA−BX
900(47)ポルフィリン誘導体(投与量18μmo
l/kg)をラット尾静脈より投与し、腫瘍を含む体内
分布特に脳内分布をドイツ、ブルッカー社製動物用MR
I装置(BMT24/40、地場強度2.4テスラ、マ
ルチスピンエコー法、Tr/Te=500/28mse
c)を使用して経時的にMRI画像を撮像し、増強度を
追跡した。その結果、薬剤投与1時間後から撮像が可能
であり、24時間まででほぼ一定になり、48時間後で
も鮮明に画出されていた。そのMRI画像を図3、図
4、図5、図6に示す。
【0057】実施例 19 STA−BX900のKG1脳腫瘍移植ラットにおける
体内分布 薬剤量を100μmol/kg投与した以外は実施例1
8と同様にして操作し、投与90分後に動物を犠牲死さ
せ、脳内組織をとりだし、Bの生体内分布量を誘導結合
高周波プラズマ発光分析(ICP分析)により求めた。
その結果、B濃度は腫瘍脳では160ppm、血液中の
それでは44ppm、脳の正常部分では3ppmであっ
た。したがって脳内の癌化された部分のみに本化合物が
集積していることが分かる。
【0058】
【発明の効果】本発明のポルフィリン誘導体はその側鎖
上に不斉炭素を有さず、末端官能基にケトン基、水酸
基、アミノ基、カルボキシル基を持ち、いかなる生理活
性物質でも簡単に結合または縮合できるので、癌の診断
(RIやMRI用の薬剤)あるいは癌の治療薬(10
を用いるBNCT用の薬剤)にきわめて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】99mTC−STA−R12(41)投与後3
0分毎のシンチ画像を示す写真である。
【図2】99mTC−STA−R12(41)投与後の
腫瘍を含む各臓器のクリアランスカーブを示す図であ
る。
【図3】薬剤投与前のラット脳のMRI画像を示す写真
である。
【図4】STA−BX900(47)投与6時間後のM
RI画像を示す写真である。
【図5】STA−BX900(47)投与24時間後の
MRI画像を示す写真である。
【図6】STA−BX900(47)投与48時間後の
MRI画像を示す写真である。
【符号の説明】
左上部の数字 薬剤投与後の時間(分) ↓印 腫瘍部分 1 腫瘍 2 肝臓 3 肺臓 4 心臓 5 皮膚

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 [式中、RはX、OH、OX、NHまたはNHX、
    はOHまたはY、Xは多官能性カルボン酸から2H
    あるいはOHを除いた残基、Yはアミノ酸またはアミノ
    アルコールからHを除いた残基、Mは2H、Znまたは
    Mn)で示されるポルフィリンあるいは金属ポルフィリ
    ン化合物。(但し式中、ポルフィリン骨格の4つのピロ
    ール環のうちA及びB環の側鎖の官能基がそれぞれ入れ
    替わった位置異性体も含む。)
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポルフィリンおよび金属
    ポルフィリン化合物からなる診断用および/または治療
    用担体。
  3. 【請求項3】 癌の診断に使用される請求項2記載の担
    体と短半減期放射性金属との組み合わせからなる放射性
    診断剤。
  4. 【請求項4】 癌の診断に使用される請求項2記載のM
    n金属ポルフィリン化合物からなる核磁気共鳴用診断
    剤。
  5. 【請求項5】 癌の診断および/または治療に使用され
    る請求項2記載の10B担持Mnポルフィリン化合物か
    らなる核磁気共鳴用診断剤および/または中性子捕捉療
    法用治療剤
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