JP2001233883A - カゴ状ホウ素化合物担持ポルフィリン錯体 - Google Patents

カゴ状ホウ素化合物担持ポルフィリン錯体

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JP2001233883A
JP2001233883A JP2000043757A JP2000043757A JP2001233883A JP 2001233883 A JP2001233883 A JP 2001233883A JP 2000043757 A JP2000043757 A JP 2000043757A JP 2000043757 A JP2000043757 A JP 2000043757A JP 2001233883 A JP2001233883 A JP 2001233883A
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porphyrin
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porphyrin complex
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Yoshinori Nakae
良則 仲江
Isao Sakata
功 阪田
Susumu Nakajima
進 中島
Akira Matsumura
明 松村
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OKAYAMA PREF GOV SHIN GIJUTSU
OKAYAMA PREF GOV SHIN GIJUTSU SHINKO ZAIDAN
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OKAYAMA PREF GOV SHIN GIJUTSU
OKAYAMA PREF GOV SHIN GIJUTSU SHINKO ZAIDAN
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 カゴ状ホウ素化合物を結合させたポルフィリ
ン金属錯体であり、MRI、中性子線照射による癌の診
断/治療に使用する造影剤増感剤の提供。 【解決手段】 次式(I): [R1およびR2は、−CH=CH2、−CH(CH3)O
H、−CH(CH3)O−(CH2)n−NHCOCH2CH2
S−A;(置換基Aは、次式 カゴ状ホウ素化合物[1012112-−);n、mは、
2または3の整数;lは、0または1の整数;Mは、M
n、Fe、CoまたはCuの遷移金属]で示されるポル
フィリン錯体またはその塩。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポルフィリン化合
物の側鎖にカゴ状ホウ素化合物を担持させたポルフィリ
ン金属錯体に関し、詳細には、ドラッグデリバリーシス
テム(DDS)として、ミサイル的な薬物担持機能を有
するポルフィリン金属錯体に、中性子捕捉剤として有用
なカゴ状ホウ素化合物を結合させたポルフィリン金属錯
体に関する。
【0002】さらに本発明は、これらのポルフィリン金
属錯体を有効成分とする核磁気共鳴画像(MRI)およ
び/または中性子線照射による、癌の診断および/また
は治療に使用する造影剤ならびに増感剤にも関する。
【0003】
【従来の技術】癌の新しい診断・治療法として光物理化
学的蛍光診断・治療法(Photodynamic D
iagnosis and Therapy:PDD
T)が行われている。これはある種のポルフィリン化合
物を、静脈注射などの方法により投与し、癌組織に選択
的に集積・保持させた後、レーザー光を照射することに
より、癌組織のみを選択的に蛍光診断し、破壊するとい
うものである。
【0004】このPDDTは、ポルフィリン化合物の癌
組織に保持される時間が正常細胞に比べて長いこと、さ
らにポルフィリン化合物が有する光増感作用の二つの性
質を利用した療法である。
【0005】過去15年間にわたり、世界中で約5,0
00人以上の人々がPDDTによる悪性腫瘍の治療を受
けており、PDDTは癌治療法の1つとしてほぼ定着し
つつある。このPDDTにより良好な治療成績が報告さ
れている癌種としては、脳腫瘍、網膜癌、皮膚癌、食道
癌、表在性膀胱癌あるいは初期の肺癌など、多岐に亘っ
ている。また最近、内視鏡を用いた蛍光診断にも、PD
DTが利用されるようになってきている。
【0006】さらに最近になって、PDDTに用いられ
ているポルフィリン化合物の癌組織への選択的集積性に
着目し、DDS効果による癌の治療法の開発が示唆され
てきている。すなわち、ポルフィリン化合物に抗癌剤を
担持させることにより、癌組織に選択的に抗癌剤を移行
させ、癌組織に対して抗癌剤本来の作用を直接発揮せし
めるものであり、癌に対するモノクローナル抗体療法に
代わる、より効果的なDDS療法が期待されている。
【0007】本発明者らも、ポルフィリン化合物がもつ
種々の特性、例えば、癌に対する親和性、蛍光性、殺細
胞性等を考慮し、より有効なポルフィリン化合物の検索
を行い、これまでに1,000種以上のポルフィリン誘
導体を合成し、癌組織に対する集積性と、その化学構造
の相関関係を明らかにしてきた(Modern Med
icine、1993年、7月号;朝日新聞社)。
【0008】そして、その研究の中から、癌の光物理化
学的蛍光診断・治療剤、核磁気共鳴画像法用の造影剤お
よび中性子補足療法剤として有用な、幾つかのポルフィ
リン化合物を提案してきている。しかしながら、これま
でに提案したポルフィリン化合物は、DDS効果を積極
的に意図したものではなく、したがってかかるDDS効
果を有効に発揮させ得るためには、いまだ十分なものと
はいえない問題点がある。
【0009】たとえば、ポルフィリン化合物をDDS担
体として利用して、抗癌剤等の生理活性物質を標的組織
に効果的、選択的に移行せしめるためには、使用する生
理活性物質とポルフィリン化合物が共有結合されたうえ
で、ポルフィリン化合物自体に高機能性、すなわち、癌
親和性、蛍光性、殺細胞性等を付与させることが必要と
なる。
【0010】ところで、癌治療法の一つに中性子捕捉療
法があり、患部の切除が難しい脳腫瘍などの治療に応用
されている。本療法は非放射性同位体に熱中性子を照射
したときに起こる核反応で発生するエネルギーによって
癌細胞を致死させる療法である。中性子と核反応しやす
い非放射性同位体としては6Li、10B、113Cd、19 9
Hg、235Uがあるが、安全性、安定性の面から中性子
捕捉療法に応用されているのはもっぱら10Bである。今
までに約20種の10B化合物が脳腫瘍などの治療に応用
されてきたが、現在最も有望とされている10B原子12
個からなるカゴ状化合物Na2 101211SHでさえ、
腫瘍組織への選択性は充分とはいえない問題点がある。
【0011】近年では、DNA関連化合物やモノクロー
ナル抗体に10Bを結合させる研究も始められているが、
生体内での抗体活性の低下という問題点が未解決のまま
である。
【0012】そこで本発明者らは、かかる薬剤Na2 10
1211SHの癌細胞への選択的な集積性を得るべく、
アミノ基担持のポルフィリン化合物を合成すると共に、
当該化合物にカゴ状ホウ素化合物系薬剤を結合させたポ
ルフィリン金属錯体を合成し、この化合物がMRI用の
造影剤、あるいはPDDT用ならびに中性子捕捉治療剤
として有用なものであることを提案してきた(特開平7
−330773号)。
【0013】しかしながら、これらポルフィリン金属錯
体を製造するにあたり、カゴ状ホウ素化合物系薬剤を担
持する側のポルフィリン化合物の合成に問題があり、実
用化が困難であった。すなわち、アミノ基を担持したポ
ルフィリン化合物の合成にあたっては、出発原料のプロ
トポルフィリンジメチルエステルからの工程数が多く、
また、その中間工程中に苛酷な酸化工程と、還元工程が
存在するために、目的とするポルフィリン化合物の収率
が低かった。
【0014】さらに、当該化合物はポルフィリンの側鎖
に、カゴ状ホウ素化合物系薬剤と共有結合し得る機能的
アミノ基を導入したものではあるが、ポルフィリン骨格
とアミノ基との距離が短かいため、ポルフィリン核のπ
電子の影響を受け、アミノ基自体の反応性が乏しかっ
た。さらに、ポルフィリン誘導体特有の光毒性の低減
も、いまだ十分なものとはいえない問題点があった。
【0015】そこで本発明者らは、今回ポルフィリン化
合物の所有する癌親和性、蛍光性、殺細胞性等の高機能
性を有効に発揮すると共に、DDS療法に適用し得る、
光毒性を排除した新規なポルフィリン錯体を得るべく検
討を行い、プロトポルフィリン ジメチルエステルにH
Brを付加した後、適当な炭素数を持つアミノアルコー
ル類を1または2個縮合させて末端に機能性アミノ基を
担持させたポルフィリン誘導体とし、さらに遷移金属、
たとえばMnによりそれを錯体化すれば、ポルフィリン
特有の光毒性の影響を免れたポルフィリン誘導体になる
ことを見出した(特願平11−339329号)。
【0016】そして、かかるポルフィリン誘導体の側鎖
末端に存在する機能的アミノ基とカゴ状ホウ素化合物系
薬剤を共有結合させて得たポルフィリン金属錯体が、癌
組織に対して優れた集積性を示し、MRIに対する造影
能を兼ね備えた中性子捕捉療法用薬剤となることを確認
し、本発明を完成したのである。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】すなわち本発明は、D
DSとしてミサイル的な薬物担持機能を有するポルフィ
リン金属錯体に、中性子捕捉療法用薬剤として有用なカ
ゴ状ホウ素化合物を結合させたポルフィリン金属錯体、
ならびにこれらのポルフィリン金属錯体を有効成分とす
るMRIおよび/または熱中性子線照射による、癌の診
断および/または治療に使用する造影剤ならびに増感剤
を提供することを課題とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明はその基本的な態様として、次式(I):
【0019】
【化3】
【0020】[式中、R1およびR2は、いずれか一方が
−CH=CH2または−CH(CH3)OHのとき、他方
は−CH(CH3)O−(CH2)n−NHCOCH2CH2
−Aを表わすか、あるいは両者は共に−CH(CH3)O
−(CH2)n−NHCOCH2CH2S−Aを表わし;
(ただし置換基Aは、次式
【0021】
【化4】
【0022】で表わされる、各頂点の原子が10Bである
カゴ状ホウ素化合物[1012112-−を表わす);n
およびmは、2または3の整数であり;lは、0または
1の整数であり;Mは、Mn、Fe、CoまたはCuの
遷移金属を表わす]で示されるカゴ状ホウ素化合物担持
ポルフィリン錯体またはその薬理学的に許容される塩を
提供する。
【0023】より具体的には、本発明は、上記式(I)
中において、 :R1が−CH=CH2であり、R2が−CH(CH3)O
−(CH2)n−NHCOCH2CH2S−Aである式
(I)で示されるカゴ状ホウ素化合物担持ポルフィリン
錯体またはその薬理学的に許容される塩; :R1が−CH(CH3)O−(CH2)n−NHCOCH2
CH2S−Aであり、R2が−CH=CH2である式
(I)で示されるカゴ状ホウ素化合物担持ポルフィリン
錯体またはその薬理学的に許容される塩; :R1が−CH(CH3)OHであり、R2が−CH(C
3)O−(CH2)n−NHCOCH2CH2S−Aである
式(I)で示されるカゴ状ホウ素化合物担持ポルフィリ
ン錯体またはその薬理学的に許容される塩; :R1が−CH(CH3)O−(CH2)n−NHCOCH2
CH2S−Aであり、R2が−CH(CH3)OHである
式(I)で示されるカゴ状ホウ素化合物担持ポルフィリ
ン錯体またはその薬理学的に許容される塩; :R1およびR2が共に−CH(CH3)O−(CH2)n−
NHCOCH2CH2S−Aである式(I)で示されるカ
ゴ状ホウ素化合物担持ポルフィリン錯体またはその薬理
学的に許容される塩; であり、遷移金属Mが、特にMnであるポルフィリン錯
体を提供する。
【0024】すなわち、本発明が提供するカゴ状ホウ素
化合物担持ポルフィリン錯体は、ポルフィリン骨格の側
鎖に、機能性アミノ基を有するアミノアルコキシ基を導
入させ、当該機能性アミノ基とカゴ状ホウ素化合物誘導
体のカルボン酸基とを共有結合させた点に特異性を有す
るものである。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明が提供する式(I)で示さ
れるカゴ状ホウ素化合物を担持するポルフィリン錯体は
新規物質であり、例えば、以下のようにして製造するこ
とができる。すなわち、まずプロトポルフィリン ジメ
チルエステルをHBr付加体とし、次いでアミノエーテ
ル縮合体化する工程(a)、さらに得られた化合物を遷
移金属、例えばMnにより錯体化する工程(b)を順次
実施することにより、カゴ状ホウ素化合物を担持し得
る、側鎖末端に機能性アミノ基を有するポルフィリン金
属錯体を製造する。なお、この場合において、製造工程
(a)および(b)の順序は必須でなく、工程順が入れ
代わってもよいことはいうまでもない。
【0026】次いで、かくして製造された側鎖末端に機
能性アミノ基を有するポルフィリン金属錯体と、カゴ状
ホウ素化合物誘導体のカルボン酸基をアミド化反応させ
ることによりカゴ状ホウ素化合物を担持させる工程
(c)、さらに得られた化合物を、例えば無水コハク酸
等によりエステル化する工程(d)を行うことにより製
造することができる。以下に各工程をさらに詳細に説明
する。
【0027】上記アミノエーテル化工程(a)は、J.
E.Falk著[Porphyrins and Me
talloporphyrins](Elsevier
発行、1975年)およびD.Dolphin著[Th
e Porphyrins](Academic Pr
ess発行、1978年)等に記載された、常套の方法
によってこれを行うことが出来る。
【0028】すなわち、プロトポルフィリン ジメチル
エステルに対するHBr付加反応は、先に本発明者らに
より出願、特許化された方法(特開平1−14661
5;特許第2520735号)により行うことができ
る。次いで、得られたHBr付加体を適当な炭素数をも
つアミノアルコール類と縮合させ、アミノアルキルオキ
シ体とする。ここで縮合させるアミノアルコール類とし
ては、例えばアミノエタノール、アミノプロピルアルコ
ール等を挙げることができる。
【0029】錯体化工程(b)は、上記工程(a)によ
り得られたアミノアルキルオキシ体を、先の特許公報に
記載の方法と同様にして、Mn、Cu等の遷移金属で錯
体化し、側鎖末端に機能性アミノ基を有し、カゴ状ホウ
素化合物を担持し得るポルフィリン錯体へ誘導される。
【0030】カゴ状ホウ素化合物を担持させる工程
(c)は、上記で製造された機能性アミノ基を有するポ
ルフィリン錯体をN,N−ジメチルホルムアミド(DM
F)等の有機溶媒に溶解し、カゴ状ホウ素化合物誘導体
(Cs2 101211SCH2CH2COCl)のDMF溶
液を加え、攪拌等の処理を実施することにより行うこと
ができる。なお適宜反応時に弱塩基のような反応促進剤
や縮合剤の使用も考慮されてもよい。
【0031】エステル化工程(d)は、通常の有機化学
的なエステル化反応で行うことができる。例えば、上記
で製造されたカゴ状ホウ素化合物を担持したポルフィリ
ン金属錯体を、ピリジンなどの塩基性溶媒中、無水コハ
ク酸と反応させた後、常法処理を行うことにより実施す
ることができる。
【0032】以上の方法により、本発明が目的とする式
(I)で示されるカゴ状ホウ素化合物担持ポルフィリン
錯体へと誘導されるが、そのなかでも特に好ましい本発
明のポルフィリン錯体は、次式(I−a)
【0033】
【化5】
【0034】で示されるカゴ状ホウ素化合物担持ポルフ
ィリン金属錯体(10B−diAP−Mn−DP−AP−
SUC)である。
【0035】本発明が提供する式(I)で示されるポル
フィリン金属錯体の医薬品製剤の製造は、自体公知の方
法により行われ、本発明のポルフィリン金属錯体を適当
な緩衝液で溶解するだけでよい。好適に使用し得る添加
物として、例えば、医薬的に許容し得る溶解補助剤(例
えば、有機溶媒)、pH調整剤(例えば、塩酸、緩衝
液)安定剤(例えば、アスコルビン酸)賦形剤(例え
ば、グルコース)等張化剤(例えば、塩化ナトリウム)
などをさらに配合してもよい。
【0036】本発明が提供する薬剤であるMRIおよび
/または中性子線照射による癌の診断および/または治
療に使用する造影剤ならびに捕捉剤は、ポルフィリン系
薬剤としての十分な機能特性、すなわち、燐光寿命、ア
ルブミンに対する親和性、特定臓器、特に癌に対する特
異的集積性、殺細胞効果、水溶性、純度などを充分満足
するものである。本発明が提供する薬剤の良好な水溶液
は、高濃度溶液(30mg/ml)の製造を可能にし、
生体内でも高い安定性を示した。
【0037】
【作用】本発明が提供する式(I)で示されるカゴ状ホ
ウ素化合物担持ポルフィリン錯体は、ポルフィリン骨格
の側鎖末端に機能性アミノ基を介してカゴ状ホウ素化合
物残基を有し、さらにポルフィリン骨格内に金属錯体を
有する点に構造上の特徴をもつものである。その結果、
種々の生理活性ならびに薬理学的特性を発揮するもので
ある
【0038】すなわち、本発明のポルフィリン金属錯体
は、癌細胞に選択的に集積し、かつ癌細胞からの排出が
遅い一方、正常な臓器ならびに細胞からは速やかに排泄
される。元来、ポルフィリン誘導体のほとんどは、光に
対して強い作用を有するが、本発明が提供するポルフィ
リン金属錯体は、光毒性の発現を抑制するように設計さ
れている。そのうえ、カゴ状ホウ素化合物のような中性
子線捕捉剤などの生理活性物質を結合することにより、
癌の診断および/または治療に使用することが可能とな
った。
【0039】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
【0040】実施例1:プロトポルフィリン ジメチル
エステルのHBr付加反応 特開平1−146615号に記載の方法に準じて行っ
た。すなわち、プロトポルフィリン ジメチルエステル
(PP−Me)50gを酢酸170mlに懸濁させ、こ
の懸濁液に30%HBr/酢酸溶液340mlを加え、
2日間放置し、反応させた。反応終了後、反応液を減圧
濃縮し、残渣としてHBr付加体(Br−DP)約50
gを得た。
【0041】実施例2:Br−DPのアミノプロポキシ
化反応 上記実施例1で得たBr−DP約50gに、アミノプロ
ピルアルコール・塩酸塩350mlを加え、55℃にて
攪拌下、約1ヶ月間反応させた。反応終了後(TLCに
て確認)、反応液に水を加えて、さらに20%水酸化ナ
トリウム水溶液にてpHを10.5に調整し、加水分解
を行った。生成した沈澱物を30分間放置し、次いで1
0%−HCl水溶液にてpHを3.0に調整し、合成吸
着剤(HP−20)を用いて吸着させた。吸着物を水洗
し、メタノールにて溶出し、アミノプロポキシポルフィ
リン誘導体(AP−DP−AP)を32.5g得た。
【0042】実施例3:Mnによる金属錯体化反応 上記実施例2で得られたAP−DP−AP(32.5
g)を、メタノール975mlに溶解し、酢酸マンガン
4水和物のメタノール溶液(32.5g/163ml)
を加え、55℃加温、攪拌下に3時間反応を行った。T
LCにより反応完結を確認後、反応液を約1/2に減圧
濃縮し、粗アミノプロポキシポルフィリンMn錯体(A
P−Mn−DP−AP)を、泥状物として得た。
【0043】実施例4:カラムクロマト法によるモノア
ミノプロポキシポルフィリンMn錯体(monoAP−
Mn−DP−AP)およびジアミノプロポキシポルフィ
リンMn錯体(diAP−Mn−DP−AP)の分離精
【0044】実施例3で得た粗アミノプロポキシポルフ
ィリンMn錯体(AP−Mn−DP−AP)を、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーに付し、酢酸エチル、酢
酸エチル/メタノール(1:1)、メタノールおよびメ
タノール/酢酸(20:1)により順次溶出した。その
結果、メタノール溶出画分よりモノアミノプロポキシポ
ルフィリンMn錯体(monoAP−Mn−DP−A
P)が、次いでメタノール/酢酸溶出画分よりジアミノ
プロポキシポルフィリンMn錯体(diAP−Mn−D
P−AP)が得られた。
【0045】monoAP−Mn−DP−AP: Massスペクトル:M+ 804(C435575
n)
【0046】diAP−Mn−DP−AP: Massスペクトル:M+ 879(C466486
n)
【0047】実施例5:Na2 101211SCH2CH2
COClの合成 Williamsonのエーテル合成を準用して、ソデ
ィウムボロキャプテート−10B(Na2 101211SH
・H2O)500mgをジメチルスルフォキシド5ml
に溶解し、ついで3−ブロモプロピオン酸メチル400
mgを加え、攪拌下に2mol/L KOH5mlを滴
下し室温で3時間反応させた。反応液を中和後、析出し
た結晶を濾取し、乾燥後Na2 101211SCH2CH2
COOHの白色結晶を310mg得た。得られた結晶を
DMF31mlに溶解後、攪拌下に塩化チオニル1ml
を滴下し室温下で12時間反応させた。反応液を減圧し
て塩化チオニルを留去し、101213SCH2CH2CO
ClのDMF溶液を得た。
【0048】実施例6:カゴ状ホウ素化合物系薬剤との
アミド化反応 実施例4で得たdiAP−Mn−DP−AP(100m
g)をDMF10mlに溶解し、この溶液に実施例5で
得た101213SCH2CH2COClのDMF溶液を滴
下し、室温下にて40時間攪拌した。反応液にクロロホ
ルム40mlを加えた後、5%炭酸ナトリウムおよび蒸
留水にて洗浄後、クロロホルム層を減圧濃縮し、カゴ状
ホウ素化合物担持ジアミノプロポキシポルフィリンMn
錯体(10B−diAP−Mn−DP−AP)を40mg
得た。
【0049】実施例7:無水コハク酸とのエステル化反
応 実施例6で得た10B−diAP−Mn−DP−AP(4
0mg)をピリジン1mlで溶解し、無水コハク酸(4
0mg)を加え、4時間攪拌した。反応液を合成吸着剤
(HP−20)を用いて吸着させ、吸着物を水洗し、メ
タノールにて溶出し、カゴ状ホウ素化合物担持ジアミノ
プロポキシポルフィリンMn錯体コハク酸エステル(10
B−diAP−Mn−DP−AP−SUC)を40mg
得た。
【0050】実施例8:癌培養細胞への取込 3種の癌細胞(9L Glioma、U−87 Gli
oma、U−251Glioma)を10B−diAP−
Mn−DP−AP−SUCまたはソディウムボロキャプ
テートをそれぞれホウ素濃度30mg/mlとなるよう
含む培地にて24時間培養し、培養細胞をリン酸緩衝液
にて洗浄後、ホウ素濃度を高周波プラズマ発光分析(I
CP)により測定した。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】表内の数字は測定値±標準偏差(μgB/
108cells)を表す。10B−diAP−Mn−D
P−AP−SUCは癌細胞への取込が認められた。
【0053】実施例9:組織集積性 9L Glioma癌細胞を移植し、14日目のFis
her strain944ラット(1群4匹)にリン
酸緩衝液にて溶解した10B−diAP−Mn−DP−A
P−SUCまたは生理食塩水にて溶解したソディウムボ
ロキャプテートを0.05mmol/kg静脈注射して
24時間後、各臓器におけるホウ素濃度を高周波プラズ
マ発光分析(ICP)により測定した。結果を表2に示
す。
【0054】
【表2】
【0055】表内の数字は測定値±標準偏差(μgB/
g)を表す。10B−diAP−Mn−DP−AP−SU
Cには腫瘍選択性が認められた。
【0056】実施例10:中性子線による殺細胞効果 9L Glioma癌細胞を10B−diAP−Mn−D
P−AP−SUCまたはソディウムボロキャプテートを
それぞれホウ素濃度30mg/mlとなるよう含む培地
にて24時間培養し、ホウ素を含まない培地で薬剤最終
濃度3mg/mlに希釈した。対照群としてホウ素系薬
剤を含まない培地で同様に培養した9LGlioma癌
細胞を用いた。希釈液を重水リアクターに移して熱中性
子をそれぞれ、0、15、30、45、60分間照射し
(n=3)、コロニー形成試験に供した。コロニー形成
は5% CO2下、37℃、2週間培養にて実施し、細
胞数50個以上のものをコロニー数としてカウントし
た。各薬剤を含む培地で培養した細胞において、中性子
線非照射時のコロニー数に対する中性子線照射時のコロ
ニー数(生存率)をプロットした結果を図1に示す。10
B−diAP−Mn−DP−AP−SUCは著しい殺細
胞効果が見られた。
【0057】実施例11:MRI造影効果 SCCVII癌細胞を移植した14〜21日目のC3H
/Heマウスにリン酸緩衝液にて溶解した10B−diA
P−Mn−DP−AP−SUCを100mg/kg静注
後、1時間後にMRI撮像した。そのMRI画像を図2
に示す。本化合物投与により腫瘍が明瞭に描画すること
を確認した。
【0058】
【発明の効果】本発明が提供する式(I)で示されるカ
ゴ状ホウ素化合物担持ポルフィリン金属錯体は、ポルフ
ィリンの側鎖末端に反応活性の高いアミノ基を介してカ
ゴ状ホウ素化合物を結合させたものである。本願化合物
は、カゴ状ホウ素化合物担持であるため、中性子線捕捉
作用により癌の中性子捕捉療法用治療剤としての特性を
発揮し、さらにMn錯体であるため、癌のMRI診断用
の光無毒性な造影剤としての特性も併せ持つ。したがっ
て、本発明が提供する式(I)で示される化合物は、癌
の診断および/または治療の両方に使用することが可能
な点で特に優れた誘導体であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のカゴ状ホウ素化合物担持ジア
ミノプロポキシポルフィリンMn錯体コハク酸エステル
10B−diAP−Mn−DP−AP−SUC)につい
て、その殺細胞効果(細胞生存率)を示す図である。
【図2】図2は、本発明のカゴ状ホウ素化合物担持ジア
ミノプロポキシポルフィリンMn錯体コハク酸エステル
10B−diAP−Mn−DP−AP−SUC)につい
て、投与1時間後におけるマウスのMRI画像である。
なお、図中の矢印は腫瘍の位置を示す。
【符号の説明】
1 中性子線照射単独群 2 ソディウムボロキャプテート+中性子線照射併用群 3 10B−diAP−Mn−DP−AP−SUC+中性
子線照射併用群
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H048 AA01 AA03 AB20 AB92 AB99 VA20 VA30 VA32 VA56 VA77 VB10 4H050 AA01 AA03 AB20 AB92 AB99 WB14 WB21

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(I): 【化1】 [式中、R1およびR2は、いずれか一方が−CH=CH
    2または−CH(CH3)OHのとき、他方は−CH(C
    3)O−(CH2)n−NHCOCH2CH2S−Aを表わ
    すか、あるいは両者は共に−CH(CH3)O−(CH2)n
    −NHCOCH2CH2S−Aを表わし;(ただし置換基
    Aは、次式 【化2】 で表わされる、各頂点の原子が10Bであるカゴ状ホウ素
    化合物[1012112-−を表わす);nおよびmは、
    2または3の整数であり;lは、0または1の整数であ
    り;Mは、Mn、Fe、CoまたはCuの遷移金属を表
    わす]で示されるカゴ状ホウ素化合物担持ポルフィリン
    錯体またはその薬理学的に許容される塩。
  2. 【請求項2】 式中、R1 およびR2 は、いずれか一方
    が−CH=CH2のとき、他方は−CH(CH3)O−(C
    2)n−NHCOCH2CH2S−Aである請求項1に記
    載の式(I)で示されるカゴ状ホウ素化合物担持ポルフ
    ィリン錯体またはその薬理学的に許容される塩。
  3. 【請求項3】 式中、R1 およびR2 は、いずれか一方
    が−CH(CH3)OHのとき、他方は−CH(CH3)O
    −(CH2)n−NHCOCH2CH2S−Aである請求項
    1に記載の式(I)で示されるカゴ状ホウ素化合物担持
    ポルフィリン錯体またはその薬理学的に許容される塩。
  4. 【請求項4】 R1 およびR2 が共に−CH(CH3)O
    −(CH2)n−NHCOCH2CH2S−Aである請求項
    1に記載の式(I)で示されるカゴ状ホウ素化合物担持
    ポルフィリン錯体またはその薬理学的に許容される塩。
  5. 【請求項5】 nが3であり、mが2であり、R1 およ
    びR2 が共に−CH(CH3)O−(CH2)n−NHCOC
    2CH2S−Aである請求項1に記載の式(I)で示さ
    れるカゴ状ホウ素化合物担持ポルフィリン錯体またはそ
    の薬理学的に許容される塩。
  6. 【請求項6】 遷移金属が、Mnである請求項1に記載
    の式(I)で示されるカゴ状ホウ素化合物担持ポルフィ
    リン錯体またはその薬理学的に許容される塩。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載のカ
    ゴ状ホウ素化合物担持ポルフィリン錯体またはその薬理
    学的に許容される塩からなる中性子捕捉療法用の治療
    剤。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし6のいずれかに記載のカ
    ゴ状ホウ素化合物担持ポルフィリン錯体またはその薬理
    学的に許容される塩からなる核磁気共鳴画像(MRI)
    用の造影剤。
  9. 【請求項9】 癌の診断および/または治療に使用され
    る請求項1ないし6のいずれかに記載のカゴ状ホウ素化
    合物担持ポルフィリン錯体またはその薬理学的に許容さ
    れる塩。
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