JP2001233877A - フェニルアルコキシポルフィリン錯体 - Google Patents

フェニルアルコキシポルフィリン錯体

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JP2001233877A
JP2001233877A JP2000043758A JP2000043758A JP2001233877A JP 2001233877 A JP2001233877 A JP 2001233877A JP 2000043758 A JP2000043758 A JP 2000043758A JP 2000043758 A JP2000043758 A JP 2000043758A JP 2001233877 A JP2001233877 A JP 2001233877A
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Yoshinori Nakae
良則 仲江
Isao Sakata
功 阪田
Susumu Nakajima
進 中島
Harumi Sakahara
晴海 阪原
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PHOTOCHEMICAL CO
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 腫瘍組織に対する集積性を維持し、光毒性を
顕著に低減させたポルフィリン錯体であり、核磁気共鳴
画像(MRI)による癌の診断に適した造影剤ならびに
増感剤を提供。 【解決手段】 次式(I): 【化1】 [式中、R1およびR2は、いずれか一方が−CH=CH
2または−CH(CH3)OHのとき、他方は−CH(C
3)O−(CH2)n−Aを表わすか、あるいは両者は共
に−CH(CH3)O−(CH2)n−Aを表わし(ただし、
置換基Aはフェニル基を表す。);Aspは、アスパラ
ギン酸残基を表し;nは、1〜3の整数であり;Mは、
Mn、Fe、CoまたはCuの遷移金属を表わす]で示
されるポルフィリン錯体またはその薬理学的に許容され
る塩である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポルフィリン誘導
体とその用途、特にポルフィリン金属錯体を有効成分と
する核磁気共鳴画像(MRI)による癌の診断剤および
/または核磁気共鳴画像(MRI)に使用する造影剤に
関する。
【0002】
【従来の技術】癌の新しい診断法として核磁気共鳴画像
(MRI)が普及してきているが、その造影剤の開発が
医薬分野における近年のテーマの一つとなっている。造
影剤は、生体組織内の水への緩和効果および生理学的な
安全性から、常磁性であること、濃度依存性があるこ
と、生理学的pH範囲で水への溶解度が高く化学的に安
定であること、保存が容易であること、毒性がないこと
など様々な条件を満たさなければならず、常磁性金属、
ニトロキシドラジカルなどが提案されているが、現在臨
床的に応用されているのはガドリニウム−ジエチレント
リアミン5酢酸(Gd−DTPA)だけである。しか
し、本薬剤は体内分布に組織特異性がなく、そのほとん
どが細胞外液に分布し、腎臓から直ちに体外へ排泄され
てしまうため応用範囲は制限されてしまう。このような
背景から組織特異的に分布するMRI用造影剤の開発が
望まれていた。
【0003】そこで、生体内の特定の部位に集まるタン
パク質、例えばモノクローナル抗体に金属キレートある
いはニトロキシドラジカルを付加し、組織特異性のある
造影剤の開発も試みられているが、抗体活性が生体内で
低下する問題が未解決のままである。
【0004】一方、ポルフィリン類が癌組織に対して選
択的な集積性を有することは良く知られているが、選択
性は充分でなかった。また、ポルフィリン類は光によっ
て毒性を発揮するため、これを人体に投与した場合、患
者は正常組織に分布したポルフィリン誘導体が体外に排
出されるまで長期間にわたって暗所にとどまることが必
要となる。
【0005】すでにPhilipらによりMn−テトラ
(4−スルホナトフェニル)ポルフィリン(Mn−TP
PS)が合成され、MRI効果について発表されており
[Cancer Research 48, 4604 (1988)]、この薬剤につ
いてLyon.Patronasらも報告[Magnetic R
esonance in Medicine, 4, 24 (1987) 、Cancer Treatm
ent Reports, 20, 391 (1986)]し、特開平1−275
583号にも開示されているが、TPPS誘導体は毒性
が強く、癌組織選択性もなく、また投与量も100mg
/kg体重以上と多量必要とするため実用化が困難であ
る。
【0006】本発明者らも、ポルフィリン化合物がもつ
種々の特性、例えば、癌に対する親和性、蛍光性、殺細
胞性等を考慮し、より有効なポルフィリン化合物の検索
を行い、これまでに1,000種以上のポルフィリン誘
導体を合成し、癌組織に対する集積性と、その化学構造
の相関関係を明らかにしてきた(Modern Med
icine、1993年、7月号;朝日新聞社)。
【0007】その研究の中から、癌の光物理化学的蛍光
診断・治療剤、核磁気共鳴画像法用の造影剤および中性
子捕捉療法剤として有用な、幾つかのポルフィリン化合
物を提案してきている。特にMRI用造影剤に関しては
特開平4−59779において有用な化合物を開示し
た。このうち、腫瘍集積性の高いと思われる環状化合物
を担持するポルフィリン誘導体に着目し、より有用な誘
導体の探索を行った。
【0008】そして鋭意研究の結果、3種のフェニルア
ルコキシポルフィリン錯体が、癌組織に対して優れた集
積性を示し、光毒性の低減された、MRI用の造影剤と
なることを確認し、本発明を完成したのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】すなわち本発明は、腫
瘍組織に対する集積性を維持したまま、光毒性を顕著に
低減させたポルフィリン錯体を探索し、MRIによる癌
の診断に適した造影剤ならびに増感剤を提供することを
課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明はその基本的な態様として、次式(I):
【0011】
【化2】
【0012】[式中、R1およびR2は、いずれか一方が
−CH=CH2または−CH(CH3)OHのとき、他方
は−CH(CH3)O−(CH2)n−Aを表わすか、あるい
は両者は共に−CH(CH3)O−(CH2)n−Aを表わし
(ただし、置換基Aはフェニル基を表す。);Asp
は、アスパラギン酸残基を表し;nは、1〜3の整数で
あり;Mは、Mn、Fe、CoまたはCuの遷移金属を
表わす]で示されるポルフィリン錯体またはその薬理学
的に許容される塩を提供する。
【0013】より具体的には、本発明は、上記式(I)
中において、 :R1 が−CH=CH2であり、R2 が−CH(CH3)
O−(CH2)n−Aである式(I)で示されるポルフィ
リン錯体またはその薬理学的に許容される塩; :R1 が−CH(CH3)O−(CH2)n−Aであり、R
2 が−CH=CH2である式(I)で示されるポルフィ
リン錯体またはその薬理学的に許容される塩; :R1 が−CH(CH3)OHであり、R2 が−CH
(CH3)O−(CH2)n−Aである式(I)で示されるポ
ルフィリン錯体またはその薬理学的に許容される塩; :R1 が−CH(CH3)O−(CH2)n−Aであり、R
2 が−CH(CH3)OHである式(I)で示されるポ
ルフィリン錯体またはその薬理学的に許容される塩; :R1 およびR2 が共に−CH(CH3)O−(CH2)n
−Aである式(I)で示されるポルフィリン錯体または
その薬理学的に許容される塩; であり、遷移金属Mが特にMnであるポルフィリン錯体
を提供する。
【0014】すなわち、本発明が提供するポルフィリン
錯体は、ポルフィリン骨格の側鎖に、フェニルアルコキ
シ基とアスパラギン酸残基を導入させ、遷移金属錯体と
した点に特異性を有するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明が提供する式(I)で示さ
れるポルフィリン錯体は、例えば、以下のようにして製
造することができる。すなわち、まずプロトポルフィリ
ン ジメチルエステルをHBr付加体とし、次いでフェ
ニルアルキルエーテル縮合体化する工程(a)、さらに
得られた化合物を遷移金属、例えばMnにより錯体化す
る工程(b)を順次実施する。なお、この場合におい
て、製造工程(a)および(b)の順序は必須でなく、
工程順が入れ代わってもよいことはいうまでもない。
【0016】次いで、かくして製造されたポルフィリン
錯体のカルボキシル基と、アスパラギン酸をアミド化反
応させる工程(c)を行うことにより製造することがで
きる。以下に各工程をさらに詳細に説明する。
【0017】上記フェニルアルキルエーテル化工程
(a)は、J.E.Falk著[Porphyrins
and Metalloporphyrins](E
lsevier発行、1975年)およびD.Dolp
hin著[The Porphyrins](Acad
emic Press発行、1978年)等に記載され
た、常套の方法によってこれを行うことが出来る。
【0018】すなわち、プロトポルフィリン ジメチル
エステルに対するHBr付加反応は、先に本発明者らに
より出願、特許化された方法(特開平1−14661
5;特許第2520735号)により行うことができ
る。次いで、得られたHBr付加体を適当な炭素数をも
つフェニルアルキルアルコール類と縮合させ、フェニル
アルキルオキシ体とする。ここで縮合させるフェニルア
ルキルアルコール類としては、例えばベンジルアルコー
ル、フェネチルアルコール、フェニルプロピルアルコー
ル等を挙げることができる。
【0019】錯体化工程(b)は、先の特許公報に記載
の方法と同様にして実施され、例えば、上記工程(a)
により得られたフェニルアルキルオキシ体について、M
n、Cu等の遷移金属錯体が得られる。
【0020】次いで、工程(c)により、例えば、上記
工程(b)で製造されたフェニルアルコキシポルフィリ
ン錯体を常法によりアルカリ加水分解した後、アスパラ
ギン酸メチルエステル、例えば、アスパラギン酸モノメ
チルエステルあるいはアスパラギン酸ジメチルエステル
を反応させてアミド結合させ、アスパラギン酸担持のポ
ルフィリン化合物へ誘導する。
【0021】この反応は、泉屋ら著「ペプチドの合成の
基礎と実験」(丸善発行、1985年)等に記載された
常套の方法により行うことができる。特に、特開昭64
−61481号、特開平4−59779号、特開平9−
124652号等に記載された方法にしたがって実施す
ればよい。
【0022】この反応は、ポルフィリン化合物の側鎖に
アスパラギン酸残基を導入するのであるから、ポルフィ
リン化合物の側鎖カルボキシル基と、アスパラギン酸の
アミノ基との間で反応を進行させればよい。したがっ
て、反応においては、ポルフィリン化合物の側鎖カルボ
キシル基および/またはアスパラギン酸のアミノ基を、
常法により反応性置換基へ変換したり、あるいは両者に
存在する反応に関与することが好ましくない官能基を適
当に保護しておくことを適宜考慮すべきである。
【0023】以上の方法により、本発明が目的とする式
(I)で示されるポルフィリン錯体へと誘導される。
【0024】本発明が提供する式(I)で示されるポル
フィリン金属錯体の医薬品製剤の製造は、自体公知の方
法により行われ、本発明のポルフィリン金属錯体を適当
な緩衝液または注射用蒸留水で溶解するだけでよい。好
適に使用し得る添加物として、例えば、医薬的に許容し
得る溶解補助剤(例えば、有機溶媒)、pH調整剤(例
えば、塩酸、緩衝液)、安定剤(例えば、アスコルビン
酸)、賦形剤(例えば、グルコース)、等張化剤(例え
ば、塩化ナトリウム)などをさらに配合してもよい。
【0025】本発明が提供する薬剤であるMRIによる
癌の診断に使用する造影剤は、ポルフィリン系薬剤とし
ての十分な機能特性、すなわち、短燐光寿命、アルブミ
ンに対する親和性、特定臓器、特に癌に対する特異的集
積性、水溶性、純度、生体内での安定性などを充分満足
するものである。
【0026】
【作用】本発明が提供する式(I)で示されるポルフィ
リン錯体は、ポルフィリン骨格の側鎖末端に、フェニル
アルキルアルコール残基とアスパラギン酸残基を有し、
さらにポルフィリン骨格内に金属錯体を有する点に構造
上の特徴をもつ。その結果、種々の生理活性ならびに薬
理学的特性を発揮するものである。
【0027】すなわち、本発明のポルフィリン金属錯体
は、癌細胞に選択的に集積し、かつ癌細胞からの排出が
遅く、正常な臓器ならびに細胞からは速やかに排泄され
る。元来、ポルフィリン誘導体のほとんどは、光に対し
て強い作用を有するが、本発明が提供するポルフィリン
金属錯体は、光毒性の発現を抑制するように設計されて
いる。したがって、MRIによる癌の診断に使用するこ
とが可能となった。
【0028】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
【0029】実施例1:プロトポルフィリン ジメチル
エステルのHBr付加反応 特開平1−146615号に記載の方法に準じて行っ
た。すなわち、プロトポルフィリン ジメチルエステル
(PP−Me)50gを酢酸170mlに懸濁させ、こ
の懸濁液に30%HBr/酢酸溶液340mlを加え、
2日間放置し、反応させた。反応終了後、反応液を減圧
濃縮し、残渣としてHBr付加体(Br−DP−Me)
約50gを得た。
【0030】実施例2:Br−DP−Meのアミノプロ
ポキシ化反応および加水分解 上記実施例1で得たBr−DP約50gに、フェニルプ
ロピルアルコール300mlを加え、55℃にて攪拌
下、約1週間反応させた。反応終了後(TLCにて確
認)、反応液に1mol/L水酸化ナトリウム水溶液6
00mlを加え、メタノール1000mlを加えて、加
水分解を行った。加水分解終了後、20%クエン酸水溶
液によりpHを5.7に調整し、析出した沈澱物を濾取
し、水洗後乾燥し、さらに酢酸エチル−ヘキサン混合溶
液にて精製を行い、目的とするフェニルプロポキシポル
フィリン誘導体(PP−DP−H)約50gを得た。
【0031】実施例3:Mn錯体化反応 上記実施例2で得られたPP−DP−H(50g)を、
酢酸150mlに溶解し、酢酸マンガン4水和物の酢酸
溶液(100g/1350ml)を加え、暗所にて4時
間還流した。TLCにより反応完結を確認後、反応液を
約1/2に減圧濃縮し、ジクロロメタン800mlと生
理食塩水500mlを加えて液々抽出した。ジクロロメ
タン層を10%クエン酸水溶液および蒸留水にて洗浄
後、無水硫酸ナトリウムにて脱水、減圧濃縮して粗PP
−Mn−DP−Hを約50g得た。
【0032】実施例4:カラムクロマト法によるモノフ
ェニルプロポキシポルフィリンMn錯体(monoPP
−Mn−DP−H)およびジフェニルプロポキシポルフ
ィリンMn錯体(diPP−Mn−DP−H)の分離精
製 実施例3で得た粗フェニルプロポキシポルフィリンMn
錯体(PP−Mn−DP−H)を、シリカゲルカラムク
ロマトグラフィーに付し、酢酸エチル、酢酸エチル/メ
タノール(10:1)、酢酸エチル/メタノール(4:
1)、メタノールにより順次溶出した。その結果、酢酸
エチル/メタノール(10:1)溶出画分よりジフェニ
ルプロポキシポルフィリンMn錯体(diPP−Mn−
DP−H)が、次いで酢酸エチル/メタノール(4:
1)溶出画分よりモノフェニルプロポキシポルフィリン
Mn錯体(monoPP−Mn−DP−H)が得られ
た。
【0033】diPP−Mn−DP−H: Massスペクトル:M+ 887(C525646
n)
【0034】monoPP−Mn−DP−H: Massスペクトル:M+ 751(C434454
n)
【0035】実施例5:アスパラギン酸誘導体化反応 (a) 上記実施例4で得られたdiPP−Mn−DP
−H(1.6g)をテトラヒドロフランに溶解させた
後、ジシクロヘキシルアミン(DCHA)にて常法によ
りDCHA塩化し、n−ヘキサンにより洗浄し、DCH
A塩(2.0g)を得た。
【0036】(b) 次いで上記で得られたDCHA塩
をアセトニトリル20mlに溶解し、ジクロロメタン8
0mlを加えた後、アスパラギン酸ジメチルエステル塩
酸塩6gを加え、さらに水溶性カルボジイミド(WS
C)を加えて攪拌下で反応した。反応の終点をTLCに
て確認後、ジクロロメタンを加え、生理食塩水にて洗浄
後、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、減圧濃縮してジ
フェニルプロポキシポルフィリンMn錯体アスパラギン
酸メチル誘導体(diPP−Mn−DP−diAsp
(OMe))を2.3g得た。
【0037】実施例6:di−PP−Mn−DP−di
Asp(OMe)の加水分解 上記の実施例5で得たdiPP−Mn−DP−Asp
(OMe)2.3gをメタノール20mlに溶解後、水
酸化ナトリウム水溶液を加え、常法により加水分解を行
った。反応終点をTLCにて確認後、エタノール100
mlを加え、析出した沈澱物を濾取して乾燥し、本発明
の目的化合物であるジフェニルプロポキシポルフィリン
Mn錯体アスパラギン酸ナトリウム塩誘導体(di−P
P−Mn−DP−diAsp(Na))を1.7g得
た。また、加水分解後、クエン酸水溶液にて反応液をp
H5.4に調整し、析出した沈殿を濾取して乾燥するこ
とにより、本発明の目的化合物であるジフェニルプロポ
キシポルフィリンMn錯体アスパラギン酸誘導体(di
−PP−Mn−DP−diAsp)も1.6g得た。d
i−PP−Mn−DP−diAspの赤外線吸収スペク
トルを図1に示す。
【0038】実施例7:ジフェニルエトキシポルフィリ
ンMn錯体アスパラギン酸誘導体(diPE−Mn−D
P−diAsp)の合成
【0039】フェニルプロピルアルコールの代わりに、
フェネチルアルコールを用い、その後同様に操作するこ
とにより、ジフェニルエトキシポルフィリンMn錯体ア
スパラギン酸誘導体(diPE−Mn−DP−diAs
p)を得ることができた。diPE−Mn−DP−di
Aspの赤外線吸収スペクトルを図2に示す。
【0040】実施例8:ジフェニルメトキシポルフィリ
ンMn錯体アスパラギン酸誘導体(diPM−Mn−D
P−diAsp)の合成 フェニルプロピルアルコールの代わりに、ベンジルアル
コールを用い、その後同様に操作することにより、ジフ
ェニルメトキシポルフィリンMn錯体アスパラギン酸誘
導体(diPM−Mn−DP−diAsp)を得ること
ができた。diPM−Mn−DP−diAspの赤外線
吸収スペクトルを図3に示す。
【0041】実施例9:緩和時間短縮効果 上記実施例6ないし8で得られた各化合物のin vi
troにおけるT1緩和時間を測定し、得られたデータ
より緩和度を算出した。各化合物は1/15Mリン酸緩
衝液(pH8.0)にて溶解し、濃度を0.09mM、
0.18mM、0.9mM溶液とし、それぞれT1緩和
時間の測定に用いた。測定は以下の条件において実施し
た。
【0042】 測定装置:JEOL JNM−FSE−60C 磁場強度:1.4T 共鳴周波数:60MHz T1測定法:Saturation Recovery
(90°―t―90°) 測定温度:25℃(室温)
【0043】各化合物の緩和度は、濃度と直線関係にあ
ったのでリン酸緩衝液の緩和速度をブランクとして次式
に従い緩和度を算出した。
【0044】
【数1】 緩和度=[1/T1(S)−1/T1(R)]/C T1(S):化合物が存在する時のT1緩和時間(秒) T1(R):化合物が存在しない時のT1緩和時間(秒) C:化合物の濃度(mM)
【0045】各化合物のin vitroにおけるT1
緩和時間および緩和度を表1に示す。本発明のフェニル
アルコキシポルフィリン錯体は緩和度が高く、MRI造
影剤として有用であると思われた。
【0046】
【表1】
【0047】実施例10:MRI撮像効果 SCCVII癌細胞を移植した14〜21日目のC3H
/Heマウスにリン酸緩衝液にて溶解したdiPP−M
n−DP−diAspならびに対照群としてGd−DT
PAをそれぞれ0.1mmol/kg静注後、0.5時
間、1時間、2時間および24時間後にMRI撮像し
た。そのMRI画像を図4に示す。対照群では腫瘍描画
できないのに対し、本目的化合物を投与すれば、腫瘍が
明瞭に描画することを確認した。
【0048】
【発明の効果】本発明が提供する式(I)で示されるポ
ルフィリン錯体は、in vitroおよびin vi
voにおいて安定な化合物であり、腫瘍細胞への集積性
を有し、光毒性の低減された、すなわち正常細胞に対す
る毒性を発現することのない化合物であり、優れた緩和
時間短縮能をもつことから、腫瘍や各種臓器のMRI診
断用造影剤として理想的な化合物である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のジフェニルプロポキシポルフ
ィリンMn錯体(diPP−Mn−DP−Asp)につ
いて、その赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図2】図2は、本発明のジフェニルエトキシポルフィ
リンMn錯体(diPE−Mn−DP−Asp)につい
て、その赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図3】図3は、本発明のジフェニルメトキシポルフィ
リンMn錯体(diPM−Mn−DP−Asp)につい
て、その赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図4】図4は、本発明のジフェニルプロポキシポルフ
ィリンMn錯体(diPP−Mn−DP−Asp)また
はGd−DTPAについて、投与0.5、1、2および
24時間後におけるマウスのMRI画像である。上段左
より、diPP−Mn−DP−Asp投与0.5、1、
2、24時間後におけるSCCVII担癌マウスのMR
I画像の写真をあらわす。下段左より、Ga−DTPA
投与0.5、1、2、24時間後におけるSCCVII
担癌マウスのMRI画像の写真をあらわす。なお、図中
の矢印は腫瘍の位置を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C050 PA02 4C085 HH07 KA09 KB07 KB08 KB56 LL18

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(I): 【化1】 [式中、R1およびR2は、いずれか一方が−CH=CH
    2または−CH(CH3)OHのとき、他方は−CH(C
    3)O−(CH2)n−Aを表わすか、あるいは両者は共
    に−CH(CH3)O−(CH2)n−Aを表わし(ただし、
    置換基Aはフェニル基を表す。);Aspは、アスパラ
    ギン酸残基を表し;nは、1〜3の整数であり;Mは、
    Mn、Fe、CoまたはCuの遷移金属を表わす。]で
    示されるポルフィリン錯体またはその薬理学的に許容さ
    れる塩。
  2. 【請求項2】 式中、R1 およびR2 は、いずれか一方
    が−CH=CH2のとき、他方は−CH(CH3)O−(C
    2)n−Aである請求項1に記載の式(I)で示される
    ポルフィリン錯体またはその薬理学的に許容される塩。
  3. 【請求項3】 式中、R1 およびR2 は、いずれか一方
    が−CH(CH3)OHのとき、他方は−CH(CH3)O
    −(CH2)n−Aである請求項1に記載の式(I)で示
    されるポルフィリン錯体またはその薬理学的に許容され
    る塩。
  4. 【請求項4】 式中、R1 およびR2 が共に−CH(C
    3)O−(CH2)n−Aである請求項1に記載の式
    (I)で示されるポルフィリン錯体またはその薬理学的
    に許容される塩。
  5. 【請求項5】 nが3であり、R1 およびR2 が共に−
    CH(CH3)O−(CH2)n−Aである請求項1に記載の
    式(I)で示されるポルフィリン錯体またはその薬理学
    的に許容される塩。
  6. 【請求項6】 遷移金属が、Mnである請求項1に記載
    の式(I)で示されるポルフィリン錯体またはその薬理
    学的に許容される塩。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載のポ
    ルフィリン錯体またはその薬理学的に許容される塩から
    なる核磁気共鳴画像(MRI)用の造影剤。
  8. 【請求項8】 癌の診断に使用される請求項1ないし6
    のいずれかに記載のポルフィリン錯体。
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