JPH07330720A - ε−カプロラクタムの精製法 - Google Patents
ε−カプロラクタムの精製法Info
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- JPH07330720A JPH07330720A JP12031094A JP12031094A JPH07330720A JP H07330720 A JPH07330720 A JP H07330720A JP 12031094 A JP12031094 A JP 12031094A JP 12031094 A JP12031094 A JP 12031094A JP H07330720 A JPH07330720 A JP H07330720A
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- Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】ナイロン6を主成分とし、ナイロン66を含有
する熱可塑性物を、解重合し、回収ε−カプロラクタム
を得、該回収ε−カプロラクタムに塩基性物質を添加
し、蒸留することによりε−カプロラクタムを精製す
る。 【効果】ナイロン6を主成分とし、ナイロン66を含有
する熱可塑性物から得られる回収ε−カプロラクタム
を、繊維用原料、樹脂用原料、原料中間体などとして利
用できる純度の高いε−カプロラクタムに、工業的に有
利な方法で精製することができる。
する熱可塑性物を、解重合し、回収ε−カプロラクタム
を得、該回収ε−カプロラクタムに塩基性物質を添加
し、蒸留することによりε−カプロラクタムを精製す
る。 【効果】ナイロン6を主成分とし、ナイロン66を含有
する熱可塑性物から得られる回収ε−カプロラクタム
を、繊維用原料、樹脂用原料、原料中間体などとして利
用できる純度の高いε−カプロラクタムに、工業的に有
利な方法で精製することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ε−カプロラクタムの
精製法に関する。さらに詳しくは、ナイロン6を解重合
して得た回収ε−カプロラクタムの精製法に関する。
精製法に関する。さらに詳しくは、ナイロン6を解重合
して得た回収ε−カプロラクタムの精製法に関する。
【0002】本発明により得られるε−カプロラクタム
は、繊維用原料、樹脂用原料、原料中間体などとして利
用できる有用な化合物である。
は、繊維用原料、樹脂用原料、原料中間体などとして利
用できる有用な化合物である。
【0003】
【従来の技術】ナイロン6を主成分とし、他の素材を含
有する熱可塑性物については、ナイロン66を含むもの
を解重合し、水蒸気蒸留によりε−カプロラクタムとヘ
キサメチレンジアミンとの混合物が得られることが知ら
れているが(米国特許第5266694号)、とくに精
製法については知られていない。
有する熱可塑性物については、ナイロン66を含むもの
を解重合し、水蒸気蒸留によりε−カプロラクタムとヘ
キサメチレンジアミンとの混合物が得られることが知ら
れているが(米国特許第5266694号)、とくに精
製法については知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】米国特許第52666
94号に記載の方法は、ナイロン6を主成分とし、他の
素材を含有する熱可塑性物を解重合し、ε−カプロラク
タムを回収することには成功しているが、得られるε−
カプロラクタムの純度において、必ずしも満足とは言え
ない。
94号に記載の方法は、ナイロン6を主成分とし、他の
素材を含有する熱可塑性物を解重合し、ε−カプロラク
タムを回収することには成功しているが、得られるε−
カプロラクタムの純度において、必ずしも満足とは言え
ない。
【0005】本発明の目的は、ナイロン6を主成分と
し、ナイロン66を含有する熱可塑性物を、解重合して
得た回収ε−カプロラクタムから、高純度のε−カプロ
ラクタムを工業的に有利に得る手段を提供することであ
る。
し、ナイロン66を含有する熱可塑性物を、解重合して
得た回収ε−カプロラクタムから、高純度のε−カプロ
ラクタムを工業的に有利に得る手段を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ナイロン
6を主成分とし、ナイロン66を含有する熱可塑性物
を、解重合して得られた回収ε−カプロラクタムには、
ナイロン66が分解して生成する特有の含酸素不純物、
すなわち、脂肪族カルボン酸類などが含まれており、こ
れらが、ε−カプロラクタムの純度低下の主原因である
ことを、突き止めた。
6を主成分とし、ナイロン66を含有する熱可塑性物
を、解重合して得られた回収ε−カプロラクタムには、
ナイロン66が分解して生成する特有の含酸素不純物、
すなわち、脂肪族カルボン酸類などが含まれており、こ
れらが、ε−カプロラクタムの純度低下の主原因である
ことを、突き止めた。
【0007】そこで、本発明者らは、鋭意検討の結果、
塩基性物質を添加し、蒸留することによって、極めて効
果的にそれらを除くことができ、高純度のε−カプロラ
クタムが得られることを見い出し、本発明に到達した。
塩基性物質を添加し、蒸留することによって、極めて効
果的にそれらを除くことができ、高純度のε−カプロラ
クタムが得られることを見い出し、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明は、ナイロン6を主成分
とし、ナイロン66を含有する熱可塑性物を解重合して
得た回収ε−カプロラクタムに塩基性物質を添加し、蒸
留することを特徴とするε−カプロラクタムの精製法、
前記方法において、ナイロン6を主成分とし、ナイロン
66を含有する熱可塑性物を、リン酸またはリン酸塩触
媒を用い、水の存在下で、解重合することを特徴とする
ε−カプロラクタムの精製法、および前記方法におい
て、回収ε−カプロラクタムを蒸留して、留出ε−カプ
ロラクタムを得、該留出ε−カプロラクタムを晶析する
ことを特徴とするε−カプロラクタムの精製法などであ
る。
とし、ナイロン66を含有する熱可塑性物を解重合して
得た回収ε−カプロラクタムに塩基性物質を添加し、蒸
留することを特徴とするε−カプロラクタムの精製法、
前記方法において、ナイロン6を主成分とし、ナイロン
66を含有する熱可塑性物を、リン酸またはリン酸塩触
媒を用い、水の存在下で、解重合することを特徴とする
ε−カプロラクタムの精製法、および前記方法におい
て、回収ε−カプロラクタムを蒸留して、留出ε−カプ
ロラクタムを得、該留出ε−カプロラクタムを晶析する
ことを特徴とするε−カプロラクタムの精製法などであ
る。
【0009】以下、本発明の構成を詳細に説明する。
【0010】本発明で言うナイロン6は、ε−カプロラ
クタムを重合したものであれば、いかなるものであって
も良い。通常、ポリε−カプロラクタム、ε−カプロラ
クタムのオリゴマー等であり、他モノマーとの共重合体
であっても良い。共重合成分としては、ヘキサンメチレ
ンジアミン、1,4−ジアミノブタン、p−フェニレン
ジアミンなどのジアミン成分、セバシン酸、コハク酸、
テレフタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸成分、
あるいはラウロラクタムなどのアミノカルボン酸成分な
どを挙げることができる。好ましくは、ポリε−カプロ
ラクタム、ε−カプロラクタムのオリゴマーである。
クタムを重合したものであれば、いかなるものであって
も良い。通常、ポリε−カプロラクタム、ε−カプロラ
クタムのオリゴマー等であり、他モノマーとの共重合体
であっても良い。共重合成分としては、ヘキサンメチレ
ンジアミン、1,4−ジアミノブタン、p−フェニレン
ジアミンなどのジアミン成分、セバシン酸、コハク酸、
テレフタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸成分、
あるいはラウロラクタムなどのアミノカルボン酸成分な
どを挙げることができる。好ましくは、ポリε−カプロ
ラクタム、ε−カプロラクタムのオリゴマーである。
【0011】本発明で言うナイロン66は、通常、アジ
ピン酸とヘキサンメチレンジアミンのポリアミドである
が、他モノマーとの共重合体であっても良い。共重合成
分としては、セバシン酸、コハク酸、テレフタル酸、イ
ソフタル酸などのジカルボン酸成分、あるいは1,4−
ジアミノブタン、p−フェニレンジアミンなどのジアミ
ン成分を挙げることができる。
ピン酸とヘキサンメチレンジアミンのポリアミドである
が、他モノマーとの共重合体であっても良い。共重合成
分としては、セバシン酸、コハク酸、テレフタル酸、イ
ソフタル酸などのジカルボン酸成分、あるいは1,4−
ジアミノブタン、p−フェニレンジアミンなどのジアミ
ン成分を挙げることができる。
【0012】本発明で用いる熱可塑性物は、ナイロン6
を原料・素材構成として、含んでおり、かつナイロン6
6を含んでいることが重要である。ナイロン6について
は、ε−カプロラクタムを回収するために、好ましく
は、50重量%以上含有し、さらに好ましくは、80重
量%以上含有する。ナイロン66については、多少とも
含まれておれば、本発明の効果が現れる。
を原料・素材構成として、含んでおり、かつナイロン6
6を含んでいることが重要である。ナイロン6について
は、ε−カプロラクタムを回収するために、好ましく
は、50重量%以上含有し、さらに好ましくは、80重
量%以上含有する。ナイロン66については、多少とも
含まれておれば、本発明の効果が現れる。
【0013】また、本発明で用いる熱可塑性物のナイロ
ン6以外の原料・素材構成は、いかなる有機物、無機物
であっても良い。熱可塑性物には、他の繊維、ポリマ
ー、添加物、コーティング剤、油剤、フィラーなどが含
まれていても良い。たとえば、綿、麻、レーヨン等のセ
ルロース系繊維、ウール、絹等のタンパク系繊維、アク
リル系繊維、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリエ
チレンテレフタレート、ナイロン66、樹脂添加剤、繊
維用油剤、繊維用加工処理剤、ガラス繊維、炭素繊維、
酸化チタン、シリカなどが含まれていても良い。好まし
くは、セルロース系繊維、タンパク系繊維、ポリウレタ
ン、ポリアクリレート、ポリエチレンテレフタレートあ
るいはナイロン66などが含まれる。さらに好ましく
は、セルロース系繊維を0.1から30重量%、あるい
はポリウレタンを0.1から30重量%を含有する。さ
らに、セルロース系繊維、あるいはポリウレタンを0.
1から20重量%を含有するものが好ましく用いられ
る。
ン6以外の原料・素材構成は、いかなる有機物、無機物
であっても良い。熱可塑性物には、他の繊維、ポリマ
ー、添加物、コーティング剤、油剤、フィラーなどが含
まれていても良い。たとえば、綿、麻、レーヨン等のセ
ルロース系繊維、ウール、絹等のタンパク系繊維、アク
リル系繊維、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリエ
チレンテレフタレート、ナイロン66、樹脂添加剤、繊
維用油剤、繊維用加工処理剤、ガラス繊維、炭素繊維、
酸化チタン、シリカなどが含まれていても良い。好まし
くは、セルロース系繊維、タンパク系繊維、ポリウレタ
ン、ポリアクリレート、ポリエチレンテレフタレートあ
るいはナイロン66などが含まれる。さらに好ましく
は、セルロース系繊維を0.1から30重量%、あるい
はポリウレタンを0.1から30重量%を含有する。さ
らに、セルロース系繊維、あるいはポリウレタンを0.
1から20重量%を含有するものが好ましく用いられ
る。
【0014】本発明で用いる熱可塑性物としては、ナイ
ロン6を主成分とする製品、原料素材製造・素材加工・
製品組み立て製造過程で発生する産業廃棄物、あるいは
製品使用済み廃棄物などを挙げることができる。たとえ
ば、衣料用、屋内用、屋外用、工業用の繊維構造物、あ
るいは繊維屑など、また、家庭機器・器具用、工業用の
樹脂構造物、あるいはこれらの樹脂屑などを挙げること
ができる。さらに具体的には、繊維構造物としては、ユ
ニフォーム、インナーウェアー、ストッキング、ニット
ウェアー、水着などの衣料品、カーテン、カーペットな
どのインテリア用品、ロープ、網、ベルト、シートなど
の産業用資材、また繊維屑としては、製造過程で生じる
ポリマー糸屑、布帛の裁断屑、不良品屑、使用済み製品
などを挙げることができる。樹脂構造物としては、家電
製品用成型部品、玩具用成型部品、自動車用成型部品、
家財用成型部品、住宅用成型部品など家庭用品、工業機
械用成型部品、パッケージ、フィルムなどの工業用品、
また樹脂屑としては、製造過程で生じるポリマー成型
屑、フィルム屑、切り屑、不良品屑、使用済み製品など
を挙げることができる。また、これらは解重合原料とし
て、ポリε−カプロラクタム、あるいはε−カプロラク
タムのオリゴマー等と一緒に用いることもできる。 本
発明で行う解重合法は、いかなる方法でも良い。通常、
ナイロン6は加熱により解重合され、触媒を用いても良
く、水の不存在下でも(乾式)、存在下でも良い(湿
式)。
ロン6を主成分とする製品、原料素材製造・素材加工・
製品組み立て製造過程で発生する産業廃棄物、あるいは
製品使用済み廃棄物などを挙げることができる。たとえ
ば、衣料用、屋内用、屋外用、工業用の繊維構造物、あ
るいは繊維屑など、また、家庭機器・器具用、工業用の
樹脂構造物、あるいはこれらの樹脂屑などを挙げること
ができる。さらに具体的には、繊維構造物としては、ユ
ニフォーム、インナーウェアー、ストッキング、ニット
ウェアー、水着などの衣料品、カーテン、カーペットな
どのインテリア用品、ロープ、網、ベルト、シートなど
の産業用資材、また繊維屑としては、製造過程で生じる
ポリマー糸屑、布帛の裁断屑、不良品屑、使用済み製品
などを挙げることができる。樹脂構造物としては、家電
製品用成型部品、玩具用成型部品、自動車用成型部品、
家財用成型部品、住宅用成型部品など家庭用品、工業機
械用成型部品、パッケージ、フィルムなどの工業用品、
また樹脂屑としては、製造過程で生じるポリマー成型
屑、フィルム屑、切り屑、不良品屑、使用済み製品など
を挙げることができる。また、これらは解重合原料とし
て、ポリε−カプロラクタム、あるいはε−カプロラク
タムのオリゴマー等と一緒に用いることもできる。 本
発明で行う解重合法は、いかなる方法でも良い。通常、
ナイロン6は加熱により解重合され、触媒を用いても良
く、水の不存在下でも(乾式)、存在下でも良い(湿
式)。
【0015】解重合温度は、通常、100から400℃
であり、好ましくは、200から350℃、さらに好ま
しくは、220から300℃である。温度が低いと、ナ
イロン6が溶融しないうえ、解重合速度が遅くなる。温
度が高いと、不必要なナイロン6の分解が起こり、回収
ε−カプロラクタムの純度低下をもたらす。
であり、好ましくは、200から350℃、さらに好ま
しくは、220から300℃である。温度が低いと、ナ
イロン6が溶融しないうえ、解重合速度が遅くなる。温
度が高いと、不必要なナイロン6の分解が起こり、回収
ε−カプロラクタムの純度低下をもたらす。
【0016】触媒を用いる場合は、通常、酸、あるいは
塩基触媒などを用いる。酸触媒としては、リン酸、ホウ
酸、硫酸、有機酸、有機スルホン酸、固体酸、およびこ
れらの塩、また塩基触媒としては、アルカリ水酸化物、
アルカリ塩、アルカリ土類水酸化物、アルカリ土類塩、
有機塩基、固体塩基などが挙げられる。好ましくは、リ
ン酸、ホウ酸、有機酸、アルカリ水酸化物、アルカリ塩
などが挙げられる。さらに好ましくは、リン酸、リン酸
ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素
ナトリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。
塩基触媒などを用いる。酸触媒としては、リン酸、ホウ
酸、硫酸、有機酸、有機スルホン酸、固体酸、およびこ
れらの塩、また塩基触媒としては、アルカリ水酸化物、
アルカリ塩、アルカリ土類水酸化物、アルカリ土類塩、
有機塩基、固体塩基などが挙げられる。好ましくは、リ
ン酸、ホウ酸、有機酸、アルカリ水酸化物、アルカリ塩
などが挙げられる。さらに好ましくは、リン酸、リン酸
ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素
ナトリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。
【0017】触媒の使用量は、通常、熱可塑性物に含ま
れるナイロン6成分に対して、0.01から100重量
%である。好ましくは、0.1から50重量%、さらに
好ましくは、1から20重量%である。触媒使用量は少
ないと、反応速度が遅くなり、多いと、副反応が多くな
るうえ、触媒コストがかさみ経済的に不利になる。
れるナイロン6成分に対して、0.01から100重量
%である。好ましくは、0.1から50重量%、さらに
好ましくは、1から20重量%である。触媒使用量は少
ないと、反応速度が遅くなり、多いと、副反応が多くな
るうえ、触媒コストがかさみ経済的に不利になる。
【0018】乾式解重合を行う場合は、通常、生成した
ε−カプロラクタムを反応器から減圧蒸留により留出さ
せ、回収ε−カプロラクタムを得る。解重合反応が終了
してから、減圧蒸留によりε−カプロラクタムを取り出
しても良いし、反応の進行とともに、連続的に取り出し
ても良い。
ε−カプロラクタムを反応器から減圧蒸留により留出さ
せ、回収ε−カプロラクタムを得る。解重合反応が終了
してから、減圧蒸留によりε−カプロラクタムを取り出
しても良いし、反応の進行とともに、連続的に取り出し
ても良い。
【0019】湿式解重合を行う場合は、通常、生成した
ε−カプロラクタムを反応器から水とともに留出させ、
回収ε−カプロラクタム水溶液を得る。解重合反応が終
了してから、蒸留によりε−カプロラクタム水溶液を取
り出しても良いし、反応の進行とともに、連続的に取り
出しても良い。好ましくは、反応器へ連続的に、水を供
給し、かつ、生成するε−カプロラクタム水溶液を反応
器から連続的に取り出す。さらに好ましくは、常圧で、
反応器へ連続的に水蒸気を供給し、かつ生成するε−カ
プロラクタム水溶液を反応器から連続的に取り出す。
ε−カプロラクタムを反応器から水とともに留出させ、
回収ε−カプロラクタム水溶液を得る。解重合反応が終
了してから、蒸留によりε−カプロラクタム水溶液を取
り出しても良いし、反応の進行とともに、連続的に取り
出しても良い。好ましくは、反応器へ連続的に、水を供
給し、かつ、生成するε−カプロラクタム水溶液を反応
器から連続的に取り出す。さらに好ましくは、常圧で、
反応器へ連続的に水蒸気を供給し、かつ生成するε−カ
プロラクタム水溶液を反応器から連続的に取り出す。
【0020】湿式解重合の水使用量は、通常、熱可塑性
物に含まれるナイロン6成分に対して、0.1から10
0重量倍である。好ましくは、0.5から50重量倍、
さらに好ましくは、1から20重量倍である。水の使用
量は、少ないと、反応速度が遅くなり、多いと、回収ε
−カプロラクタム水溶液の濃度が低くなり、ε−カプロ
ラクタムの取得上、不利になる。
物に含まれるナイロン6成分に対して、0.1から10
0重量倍である。好ましくは、0.5から50重量倍、
さらに好ましくは、1から20重量倍である。水の使用
量は、少ないと、反応速度が遅くなり、多いと、回収ε
−カプロラクタム水溶液の濃度が低くなり、ε−カプロ
ラクタムの取得上、不利になる。
【0021】本発明においては、解重合で得た回収ε−
カプロラクタムに塩基性物質を添加し、蒸留することが
重要である。回収ε−カプロラクタムには、ナイロン6
6特有の分解生成物が含まれる。添加した塩基性物質に
より、分解物が高沸点化あるいは低沸点化することによ
り、蒸留でε−カプロラクタムを分離できるものと考え
られる。
カプロラクタムに塩基性物質を添加し、蒸留することが
重要である。回収ε−カプロラクタムには、ナイロン6
6特有の分解生成物が含まれる。添加した塩基性物質に
より、分解物が高沸点化あるいは低沸点化することによ
り、蒸留でε−カプロラクタムを分離できるものと考え
られる。
【0022】回収ε−カプロラクタムの蒸留に添加する
塩基性物質は、通常、無機塩基および有機塩基などであ
る。無機塩基としては、金属酸化物、金属水酸化物、金
属炭酸水素塩、金属炭酸塩、金属燐酸塩、金属ホウ酸
塩、金属カルボン酸塩、アンモニアなどが挙げられる。
有機塩基としては、アミン類、アンモニウム塩、カルボ
ン酸塩などが挙げられる。好ましくは、アルカリ水酸化
物、アルカリ炭酸水素塩、アルカリ炭酸塩、あるいはア
ルカリ燐酸塩などであり、単独であっても2種類以上の
混合物であっても良い。さらに好ましくは、アルカリ水
酸化物であり、なかでも水酸化ナトリウムが好ましい。
塩基性物質は、通常、無機塩基および有機塩基などであ
る。無機塩基としては、金属酸化物、金属水酸化物、金
属炭酸水素塩、金属炭酸塩、金属燐酸塩、金属ホウ酸
塩、金属カルボン酸塩、アンモニアなどが挙げられる。
有機塩基としては、アミン類、アンモニウム塩、カルボ
ン酸塩などが挙げられる。好ましくは、アルカリ水酸化
物、アルカリ炭酸水素塩、アルカリ炭酸塩、あるいはア
ルカリ燐酸塩などであり、単独であっても2種類以上の
混合物であっても良い。さらに好ましくは、アルカリ水
酸化物であり、なかでも水酸化ナトリウムが好ましい。
【0023】回収ε−カプロラクタムの蒸留に添加する
塩基性物質の量は、熱可塑性物に含まれるナイロン66
の量にもよるが、通常、ε−カプロラクタムに対して、
0.01から50重量%である。好ましくは、0.05
から20重量%、さらに好ましくは、0.1から10重
量%である。塩基性物質が少ないと、精製効果が現れ
ず、多いと、不必要な分解が起こる上、薬品コストがか
さみ経済的に不利である。
塩基性物質の量は、熱可塑性物に含まれるナイロン66
の量にもよるが、通常、ε−カプロラクタムに対して、
0.01から50重量%である。好ましくは、0.05
から20重量%、さらに好ましくは、0.1から10重
量%である。塩基性物質が少ないと、精製効果が現れ
ず、多いと、不必要な分解が起こる上、薬品コストがか
さみ経済的に不利である。
【0024】回収ε−カプロラクタムへの塩基性物質の
添加方法としては、液体あるいは固体の塩基性物質をそ
のまま加えても良いし、適当な溶媒にとかし溶液状態で
加えても良い。添加タイミングとしては、蒸留前に添加
することが望ましいが、蒸留開始後、ε−カプロラクタ
ムが留出する前に、添加しても良い。
添加方法としては、液体あるいは固体の塩基性物質をそ
のまま加えても良いし、適当な溶媒にとかし溶液状態で
加えても良い。添加タイミングとしては、蒸留前に添加
することが望ましいが、蒸留開始後、ε−カプロラクタ
ムが留出する前に、添加しても良い。
【0025】回収ε−カプロラクタムの蒸留方法として
は、単蒸留、薄膜蒸留、ストリッピング、あるいは精留
などが挙げられる。また、蒸留操作としては、バッチ式
に、予め塩基性物質と回収ε−カプロラクタムを蒸留缶
に仕込んで、蒸留することもできるし、連続式に、塩基
性物質と回収ε−カプロラクタムを蒸留缶に仕込みなが
ら、同時にε−カプロラクタムを留出させ、蒸留するこ
ともできる。
は、単蒸留、薄膜蒸留、ストリッピング、あるいは精留
などが挙げられる。また、蒸留操作としては、バッチ式
に、予め塩基性物質と回収ε−カプロラクタムを蒸留缶
に仕込んで、蒸留することもできるし、連続式に、塩基
性物質と回収ε−カプロラクタムを蒸留缶に仕込みなが
ら、同時にε−カプロラクタムを留出させ、蒸留するこ
ともできる。
【0026】なお、本発明で得られる留出ε−カプロラ
クタムは、通常、十分に高純度ではあるが、さらに他の
精製手段を加え高純度化をはかることも可能である。他
の精製手段としては、晶析、イオン交換処理、活性炭処
理、酸化剤処理、還元剤処理、水素添加処理などが挙げ
られる。好ましくは、晶析を行う。留出ε−カプロラク
タムの晶析法としては、有機溶媒による晶析、水溶媒に
よる晶析、溶融晶析など、種々の方法が挙げられる。こ
れらの方法は組み合わせることができ、繰り返しを行っ
て多段晶析することもできる。
クタムは、通常、十分に高純度ではあるが、さらに他の
精製手段を加え高純度化をはかることも可能である。他
の精製手段としては、晶析、イオン交換処理、活性炭処
理、酸化剤処理、還元剤処理、水素添加処理などが挙げ
られる。好ましくは、晶析を行う。留出ε−カプロラク
タムの晶析法としては、有機溶媒による晶析、水溶媒に
よる晶析、溶融晶析など、種々の方法が挙げられる。こ
れらの方法は組み合わせることができ、繰り返しを行っ
て多段晶析することもできる。
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。実施例は、何ら本発明を限定するものではな
い。
明する。実施例は、何ら本発明を限定するものではな
い。
【0028】実施例1 ナイロン66、20重量%含有ナイロン6繊維100g
(ナイロン6、80g)と75重量%リン酸10.7g
(リン酸8.0g)を1L解重合缶へ仕込んだ。窒素雰
囲気下で、260℃まで加熱した。過熱水蒸気を導入速
度250ml/時間で、解重合缶への吹き込みを始め、
反応を開始した。解重合缶から留出するε−カプロラク
タム・水蒸気を冷却、ε−カプロラクタム水溶液を回収
しながら、解重合反応を3時間続けた。得られた回収ε
−カプロラクタム水溶液の総重量は725g、ε−カプ
ロラクタム濃度は9.7重量%、回収ε−カプロラクタ
ムは70.4g、解重合収率は88%であった。
(ナイロン6、80g)と75重量%リン酸10.7g
(リン酸8.0g)を1L解重合缶へ仕込んだ。窒素雰
囲気下で、260℃まで加熱した。過熱水蒸気を導入速
度250ml/時間で、解重合缶への吹き込みを始め、
反応を開始した。解重合缶から留出するε−カプロラク
タム・水蒸気を冷却、ε−カプロラクタム水溶液を回収
しながら、解重合反応を3時間続けた。得られた回収ε
−カプロラクタム水溶液の総重量は725g、ε−カプ
ロラクタム濃度は9.7重量%、回収ε−カプロラクタ
ムは70.4g、解重合収率は88%であった。
【0029】回収ε−カプロラクタム水溶液を減圧30
mmHg、加熱温度55℃で、濃縮し、濃度96重量%
の濃縮ε−カプロラクタム72.9g(ε−カプロラク
タム70.0g)を得た。
mmHg、加熱温度55℃で、濃縮し、濃度96重量%
の濃縮ε−カプロラクタム72.9g(ε−カプロラク
タム70.0g)を得た。
【0030】濃縮ε−カプロラクタムの液体クロマトグ
ラフィー(LC)分析からアジピン酸含有量は5000
ppm、ガスクロマトグラフィー(GC)不純物は1.
49%であった。
ラフィー(LC)分析からアジピン酸含有量は5000
ppm、ガスクロマトグラフィー(GC)不純物は1.
49%であった。
【0031】濃縮ε−カプロラクタム30.0g(ε−
カプロラクタム28.8g)に20重量%水酸化ナトリ
ウム水溶液0.49g(水酸化ナトリウム0.99g)
を添加し、減圧5mmHg、加熱温度150から170
℃で蒸留し、留出ε−カプロラクタム27.1gを得
た。濃縮、蒸留収率は94%であった。
カプロラクタム28.8g)に20重量%水酸化ナトリ
ウム水溶液0.49g(水酸化ナトリウム0.99g)
を添加し、減圧5mmHg、加熱温度150から170
℃で蒸留し、留出ε−カプロラクタム27.1gを得
た。濃縮、蒸留収率は94%であった。
【0032】留出ε−カプロラクタムの滴定分析からア
ジピン酸含有量は0.5ppm未満、GC不純物は0.
41%であり、繊維用ナイロン6原料として使用可能で
あった。
ジピン酸含有量は0.5ppm未満、GC不純物は0.
41%であり、繊維用ナイロン6原料として使用可能で
あった。
【0033】比較例1 実施例1で得た濃縮ε−カプロラクタム30.0g(ε
−カプロラクタム28.8g)を、アルカリ無添加で、
減圧5mmHg、加熱温度150から170℃で蒸留
し、留出ε−カプロラクタム26.2gを得た。濃縮、
蒸留収率は91%であった。
−カプロラクタム28.8g)を、アルカリ無添加で、
減圧5mmHg、加熱温度150から170℃で蒸留
し、留出ε−カプロラクタム26.2gを得た。濃縮、
蒸留収率は91%であった。
【0034】留出ε−カプロラクタムの滴定分析からア
ジピン酸含有量は150ppm、GC不純物は1.02
%であり、繊維用ナイロン6原料として使えなかった。
ジピン酸含有量は150ppm、GC不純物は1.02
%であり、繊維用ナイロン6原料として使えなかった。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、ナイロン6を主成分と
し、ナイロン66を含有する熱可塑性物から得られる回
収ε−カプロラクタムを、繊維用原料、樹脂用原料、原
料中間体などとして利用できる純度の高いε−カプロラ
クタムに、工業的に有利な方法で精製することができ
る。
し、ナイロン66を含有する熱可塑性物から得られる回
収ε−カプロラクタムを、繊維用原料、樹脂用原料、原
料中間体などとして利用できる純度の高いε−カプロラ
クタムに、工業的に有利な方法で精製することができ
る。
Claims (14)
- 【請求項1】 ナイロン6を主成分とし、ナイロン66
を含有する熱可塑性物を解重合して得た回収ε−カプロ
ラクタムに塩基性物質を添加し、蒸留することを特徴と
するε−カプロラクタムの精製法。 - 【請求項2】 ナイロン6を主成分とし、ナイロン66
含有する熱可塑性物が、ナイロン6を50重量%以上含
有することを特徴とする請求項1記載のε−カプロラク
タムの精製法。 - 【請求項3】 ナイロン6を主成分とし、ナイロン66
を含有する熱可塑性物が、繊維構造物、繊維屑、樹脂構
造物、および樹脂屑から選ばれた少なくとも1種である
ことを特徴とする請求項1または2記載のε−カプロラ
クタムの精製法。 - 【請求項4】 ナイロン6を主成分とし、ナイロン66
を含有する熱可塑性物が、セルロース系繊維、タンパク
系繊維、アクリル系繊維、ポリウレタン、ポリアクリレ
ート、およびポリエチレンテレフタレートから選ばれた
少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1か
ら3記載方法のうちいずれか一項のε−カプロラクタム
の精製法。 - 【請求項5】 ナイロン6を主成分とし、ナイロン66
を含有する熱可塑性物が、セルロース系繊維を含有する
ことを特徴とする請求項1から3記載方法のうちいずれ
か一項のε−カプロラクタムの精製法。 - 【請求項6】 ナイロン6を主成分とし、ナイロン66
を含有する熱可塑性物が、セルロース系繊維を0.1か
ら30重量%含有することを特徴とする請求項5記載の
ε−カプロラクタムの精製法。 - 【請求項7】 ナイロン6を主成分とし、ナイロン66
を含有する熱可塑性物が、ポリウレタンを含有すること
を特徴とする請求項1から3記載方法のうちいずれか一
項のε−カプロラクタムの精製法。 - 【請求項8】 ナイロン6を主成分とし、ナイロン66
を含有する熱可塑性物が、ポリウレタンを0.1から3
0重量%含有することを特徴とする請求項7記載のε−
カプロラクタムの精製法。 - 【請求項9】 ナイロン6を主成分とし、ナイロン66
を含有する熱可塑性物を、リン酸および/またはリン酸
塩触媒を用い、水の存在下で、解重合することを特徴と
する請求項1から8記載方法のうちいずれか一項のε−
カプロラクタムの精製法。 - 【請求項10】 解重合反応器へ連続的に水蒸気を供給
し、かつ、生成するε−カプロラクタムを水とともに解
重合反応器から連続的に取り出し、回収ε−カプロラク
タム水溶液を得ることを特徴とする請求項9記載のε−
カプロラクタムの精製法。 - 【請求項11】 回収ε−カプロラクタムに添加する塩
基性物質が、アルカリ水酸化物、アルカリ炭酸水素塩、
アルカリ炭酸塩、およびアルカリ燐酸塩から選ばれた少
なくとも1種であることを特徴とする請求項1から10
記載方法のうちいずれか一項のε−カプロラクタムの精
製法。 - 【請求項12】 回収ε−カプロラクタムに添加する塩
基性物質が、アルカリ水酸化物である請求項11記載の
ε−カプロラクタムの精製法。 - 【請求項13】 回収ε−カプロラクタムに添加する塩
基性物質が、水酸化ナトリウムである請求項12記載の
ε−カプロラクタムの精製法。 - 【請求項14】 回収ε−カプロラクタムを蒸留して、
留出ε−カプロラクタムを得、該留出ε−カプロラクタ
ムを晶析することを特徴とする請求項1から13記載方
法のうちいずれか一項のε−カプロラクタムの精製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12031094A JPH07330720A (ja) | 1994-06-01 | 1994-06-01 | ε−カプロラクタムの精製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12031094A JPH07330720A (ja) | 1994-06-01 | 1994-06-01 | ε−カプロラクタムの精製法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07330720A true JPH07330720A (ja) | 1995-12-19 |
Family
ID=14783081
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12031094A Pending JPH07330720A (ja) | 1994-06-01 | 1994-06-01 | ε−カプロラクタムの精製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07330720A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016505580A (ja) * | 2012-12-19 | 2016-02-25 | ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se | シクロヘキサノンオキシムのベックマン転位からの精製カプロラクタムの製造方法 |
-
1994
- 1994-06-01 JP JP12031094A patent/JPH07330720A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016505580A (ja) * | 2012-12-19 | 2016-02-25 | ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se | シクロヘキサノンオキシムのベックマン転位からの精製カプロラクタムの製造方法 |
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