JP2024007310A - 回収ε-カプロラクタムの精製方法および精製装置 - Google Patents

回収ε-カプロラクタムの精製方法および精製装置 Download PDF

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Takuma Ito
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Abstract

【課題】水系溶媒で晶析を行うにもかかわらず、回収ε-カプロラクタムの損失率がより十分に低い、回収ε-カプロラクタムの精製方法を提供すること。【解決手段】回収ε-カプロラクタム(11)を水系溶媒で晶析(4)した後、該晶析による母液(52)を、前記回収ε-カプロラクタムとは別の回収ε-カプロラクタム(11)に加えて、晶析することを繰り返す、回収ε-カプロラクタムの精製方法。【選択図】図1

Description

本発明は回収ε-カプロラクタムの精製方法および精製装置に関する。
ナイロン6(またはナイロン6を含有する樹脂組成物)を解重合し、モノマーであるε-カプロラクタムを回収/精製して再利用する方法や、ナイロン6を製造する際に熱水抽出されたε-カプロラクタムもしくは熱水抽出されたオリゴマーを解重合して得たε-カプロラクタムを回収/精製して再利用する方法は古くから知られている。
例えば、ポリアミド6は、工業的には、ε-カプロラクタムを重合し、重合したポリアミドを精練して製造されている。精練においては、熱水でポリアミド6を洗浄する。熱水には、未反応ε-カプロラクタムやオリゴマーが含まれているため、工業的には、前記熱水からε-カプロラクタムを回収し、濃縮、蒸留し、回収ε-カプロラクタムとして再度重合に利用されている。
また例えば、ポリアミド6を水および触媒の存在下、解重合し、濃縮、蒸留を経て、回収ε-カプロラクタムを得る方法も知られている。
しかし、回収ε-カプロラクタムは、純度が低く、特定の用途にしか使用できない。
そこで、特許文献1~3には、回収ε-カプロラクタムを、有機溶媒で晶析したり、水で晶析したりして精製することが開示されている。
特開平8-48666号公報 特開平10-287645号公報 特開平10-298162号公報
従来の回収ε-カプロラクタムの精製方法において、例えば、有機溶媒で晶析する場合、除害装置および消防機能などを導入する必要があり、安全性および経済性に劣った。
また例えば、水溶媒で晶析する場合、除害装置および消防機能などを必要とせず、安全性および経済性に優れるが、ε-カプロラクタムは水に易溶であるため、回収ε-カプロラクタムの損失率が比較的高く、問題となった。
本発明は、水などの水系溶媒で晶析を行うにもかかわらず、回収ε-カプロラクタムの損失率がより十分に低い、回収ε-カプロラクタムの精製方法を提供することを目的とする。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 回収ε-カプロラクタムを水系溶媒で晶析した後、
該晶析による母液を、前記回収ε-カプロラクタムとは別の回収ε-カプロラクタムに加えて、晶析することを繰り返す、回収ε-カプロラクタムの精製方法。
(2) 前記水系溶媒は水である、(1)に記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法。
(3) 前記回収ε-カプロラクタムの水溶液を濃縮工程および蒸留工程に供し、前記晶析を行う晶析工程に供する、(1)または(2)に記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法であって、
前記母液を、前記別の回収ε-カプロラクタム水溶液とともに、前記濃縮工程、前記蒸留工程および前記晶析工程にこの順序で繰り返し供する、回収ε-カプロラクタムの精製方法。
(4) 前記母液を前記濃縮工程へ供給する、(3)に記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法。
(5) 前記晶析工程後、固液分離することにより前記母液を得る、(3)または(4)に記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法。
(6) 前記濃縮工程、前記蒸留工程、前記晶析工程、前記固液分離工程および前記母液の前記濃縮工程への供給工程をこの順序で連続的に行う、(5)に記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法。
(7) 前記回収ε-カプロラクタムの水溶液を濃縮工程に供し、前記晶析を行う晶析工程に供する、(1)または(2)に記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法であって、
前記母液を、前記別の回収ε-カプロラクタム水溶液とともに、前記濃縮工程および前記晶析工程にこの順序で繰り返して供する、回収ε-カプロラクタムの精製方法。
(8) 前記母液を前記濃縮工程へ供給する、(7)に記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法。
(9) 前記晶析工程後、固液分離することにより前記母液を得る、(7)または(8)に記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法。
(10) 前記濃縮工程、前記晶析工程、前記固液分離工程および前記母液の前記濃縮工程への供給工程をこの順序で連続的に行う、(9)に記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法。
(11) 前記回収ε-カプロラクタムは、ナイロン6または該ナイロン6を含有する樹脂組成物を解重合して得られたε-カプロラクタム、該ナイロン6を製造する際に熱水で抽出されたε-カプロラクタム、該ナイロン6を製造する際に熱水で抽出されたオリゴマーを解重合して得られたε-カプロラクタム、またはそれらの混合物である、(1)~(10)のいずれかに記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法。
(12) 前記回収ε-カプロラクタムは水溶液の形態を有し、その溶媒を蒸発させることなく、そのままの形態で使用される、(1)~(11)のいずれかに記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法。
(13) 前記母液は、前記晶析による母液とともに、ナイロン6を製造する際に精練工程で得られる、ε-カプロラクタムおよび/またはそのオリゴマーを含有する熱水を含む母液類として用いられる、(1)~(12)のいずれかに記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法。
(14) ナイロン6を解重合して回収ε-カプロラクタムを得る解重合部;
前記回収ε-カプロラクタムを濃縮する濃縮部;
濃縮されたε-カプロラクタムを蒸留する蒸留部;
蒸留されたε-カプロラクタムを水系溶媒と加熱混合した後、冷却して晶析を行う晶析部;および
晶析したε-カプロラクタムと母液とを分離する固液分離部
を含み、
前記濃縮部、前記蒸留部、前記晶析部および前記固液分離部がこの順序で相互に接続された循環型ユニットを構成し、前記固液分離部にて分離された前記母液が前記濃縮部へと供給可能となっている、回収ε-カプロラクタムの精製装置。
(15) (2)~(6)のいずれかに記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法を実施する、(14)に記載の回収ε-カプロラクタムの精製装置。
(16) ナイロン6を解重合して回収ε-カプロラクタムを得る解重合部;
前記回収ε-カプロラクタムを濃縮する濃縮部;
濃縮されたε-カプロラクタムを水系溶媒と加熱混合した後、冷却して晶析を行う晶析部;および
晶析したε-カプロラクタムと母液とを分離する固液分離部
を含み、
前記濃縮部、前記晶析部および前記固液分離部がこの順序で相互に接続された循環型ユニットを構成し、前記固液分離部にて分離された前記母液が前記濃縮部へと供給可能となっている、回収ε-カプロラクタムの精製装置。
(17) (7)~(10)のいずれかに記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法を実施する、(16)に記載の回収ε-カプロラクタムの精製装置。
本発明によれば、水系溶媒で晶析を行うにもかかわらず、より十分に低い損失率で、回収ε-カプロラクタムを精製することができる。詳しくは、本発明によれば、より十分に高い純度のε-カプロラクタムをより十分に低い損失率で得ることができる。
本発明に係る回収ε-カプロラクタムの精製装置の一例を示す概略構成図である。 本発明に係る回収ε-カプロラクタムの精製装置の別の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明に係る回収ε-カプロラクタムの精製方法について、本発明に係る回収ε-カプロラクタムの精製装置の一例を示す図1および図2を用いて詳細に説明する。まず、本発明に係る回収ε-カプロラクタムの精製装置を簡単に説明した後、本発明に係る回収ε-カプロラクタムの精製方法について、詳細に説明する。
[回収ε-カプロラクタムの精製装置]
<第1実施態様>
本発明の第1実施態様に係る回収ε-カプロラクタムの精製装置10(以下、単に「精製装置10」ということがある)は、後述する第3実施態様に係る回収ε-カプロラクタムの精製方法(蒸留工程を含む)を実施するための装置である。精製装置10は、例えば図1に示すように、解重合部1、濃縮部2、蒸留部3、晶析部4および固液分離部5を含む。
解重合部1は、ナイロン6または当該ナイロン6を含有する樹脂組成物を解重合して回収ε-カプロラクタム11を得る部分(または機器)であり、例えば、解重合缶であってもよい。解重合部1において、後述の解重合工程が実施される。本明細書中、回収ε-カプロラクタムは、このような解重合により得られたε-カプロラクタムおよび/または当該ε-カプロラクタムに由来するε-カプロラクタムを包含して意味するものとする。後述するバージンε-カプロラクタムは、解重合を経ることなく、ベンゼンまたはフェノールを出発物質として合成されたε-カプロラクタムのことである。
濃縮部2は、回収ε-カプロラクタム11を濃縮して、濃縮ε-カプロラクタム21を得る部分(または機器)であり、例えば、濃縮器であってもよい。濃縮部2において、後述の濃縮工程が実施される。
蒸留部3は、濃縮ε-カプロラクタム21を蒸留して、蒸留ε-カプロラクタム31を得る部分(または機器)であり、例えば、蒸留器であってもよい。蒸留部3において、後述の蒸留工程が実施される。
晶析部4は、蒸留ε-カプロラクタム31を水系溶媒と加熱混合した後、冷却して晶析を行う部分(または機器)であり、例えば、晶析器であってもよい。晶析部4において、後述の晶析工程が実施される。
固液分離部5は、晶析したε-カプロラクタム51と母液52とを分離する部分(または機器)であり、例えば、固液分離器であってもよい。固液分離部5において、後述の固液分離工程が実施される。
本実施態様の精製装置10においては、濃縮部2、蒸留部3、晶析部4および固液分離部5がこの順序で相互に接続された循環型ユニットを構成しており、固液分離部5にて分離された母液52が濃縮部2へと供給可能となっている。本実施態様において循環型ユニットとは、濃縮部2、蒸留部3、晶析部4および固液分離部5の各々での処理が当該順序で繰り返され、全体として1つのループ(またはサイクル)が形成されること、またそのループを提供する装置をいう。母液52の濃縮部2への供給は通常、移送部55により達成される。移送部55は、単なる配管であってもよいし、または圧縮器等のポンプを備えた配管であってもよい。なお、濃縮部2から蒸留部3への濃縮ε-カプロラクタム21の供給、蒸留部3から晶析部4への蒸留ε-カプロラクタム31の供給、および晶析部4から固液分離部5への晶析混合物の供給は通常、それぞれ移送部25、35、45により達成される。このような移送部25、35、45は、それぞれ独立して、移送部55と同様に、単なる配管であってもよいし、または圧縮器等のポンプを備えた配管であってもよい。晶析混合物とは、晶析により得られる、晶析ε-カプロラクタム51と母液52との混合物のことである。
解重合部1、濃縮部2、蒸留部3、晶析部4および固液分離部5は、それぞれ独立して、連続式またはバッチ式のいずれの方式であってもよく、晶析ε-カプロラクタムの生産性のさらなる向上の観点から、連続式であることが好ましい。解重合部1、濃縮部2、蒸留部3、晶析部4および固液分離部5が連続式とは、それらの各部が、被処理物を滞留させることなく、連続的に運転または処理を行う方式という意味である。
解重合部1から濃縮部2への移送部15、濃縮部2から蒸留部3への移送部25、蒸留部3から晶析部4への移送部35、晶析部4から固液分離部5への移送部45および固液分離部5から濃縮部2への移送部55もまた、それぞれ独立して、連続式またはバッチ式のいずれの方式であってもよく、晶析ε-カプロラクタムの生産性のさらなる向上の観点から、連続式であることが好ましい。移送部15、25、35、45および55が連続式とは、それらの各移送部が、個別に、被処理物を滞留させることなく、連続的に運転または処理を行う方式という意味である。
本実施態様に係る精製装置10は、晶析ε-カプロラクタムの生産性のさらなる向上の観点から、解重合部1、濃縮部2、蒸留部3、晶析部4および固液分離部5だけでなく、移送部15、25、35、45および55も連続式であり、全体として連続的な循環ループを形成することが好ましい。本実施態様において全体として連続的な循環ループとは、解重合部1、濃縮部2、蒸留部3、晶析部4および固液分離部5の各部が連続式であるだけでなく、移送部15、25、35、45および55の各移送部も連続式であることにより、結果として、循環ループ全体として、被処理物を、滞留なしに、連続的に処理するループのことである。
<第2実施態様>
本発明の第2実施態様に係る回収ε-カプロラクタムの精製装置10aは(以下、単に「精製装置10a」ということがある)、後述する第4実施態様に係る回収ε-カプロラクタムの精製方法(蒸留工程を含まない)を実施するための装置である。精製装置10aは、例えば図2に示すように、解重合部1、濃縮部2、晶析部4および固液分離部5を含む。
本発明の第2実施態様に係る回収ε-カプロラクタムの精製装置10aは、以下の事項以外、上記した精製装置10と同様である:
・精製装置10aは蒸留部3を含まないこと;および
・晶析部4において、濃縮部2で得られた濃縮ε-カプロラクタム21を直接的に用いること;詳しくは、晶析部4が、濃縮ε-カプロラクタム21を水系溶媒と加熱混合した後、冷却して晶析を行う部分(または機器)であること。
本実施態様の精製装置10aにおいては、濃縮部2、晶析部4および固液分離部5がこの順序で相互に接続された循環型ユニットを構成しており、固液分離部5にて分離された母液52が濃縮部2へと供給可能となっている。本実施態様において循環型ユニットとは、濃縮部2、晶析部4および固液分離部5の各々での処理が当該順序で繰り返され、全体として1つのループが形成されること、またそのループを提供する装置をいう。濃縮部2から晶析部4への濃縮ε-カプロラクタム21の供給は通常、移送部26により達成される。移送部26は、第1実施態様に係る精製装置10における移送部55と同様に、単なる配管であってもよいし、または圧縮器等のポンプを備えた配管であってもよい。濃縮部2から晶析部4への移送部26は、第1実施態様に係る精製装置10における移送部15、25、35、45および55と同様に、連続式またはバッチ式のいずれの方式であってもよく、晶析ε-カプロラクタムの生産性のさらなる向上の観点から、連続式であることが好ましい。
本実施態様に係る精製装置10aは、晶析ε-カプロラクタムの生産性のさらなる向上の観点から、解重合部1、濃縮部2、晶析部4および固液分離部5だけでなく、移送部15、26、45および55も連続式であることが好ましい。このとき、精製装置10aは全体として連続的な循環ループを形成することが好ましい。本実施態様において精製装置10aが全体として連続的な循環ループとは、解重合部1、濃縮部2、晶析部4および固液分離部5の各部が連続式であるだけでなく、移送部15、26、45および55の各移送部も連続式であることにより、結果として、循環ループ全体として、被処理物を、滞留なしに、連続的に処理するループのことである。
[回収ε-カプロラクタムの精製方法]
<第3実施態様>
本発明の第3実施態様に係る回収ε-カプロラクタムの精製方法においては、回収ε-カプロラクタムを水系溶媒で晶析した後、当該晶析による母液を、回収ε-カプロラクタムとは別の回収ε-カプロラクタムに加えて、晶析することを繰り返す。詳しくは、回収ε-カプロラクタム水溶液11を濃縮および蒸留し、水系溶媒で晶析した後、晶析による母液52を、前記回収ε-カプロラクタム水溶液とは別の回収ε-カプロラクタム水溶液11とともに、前記濃縮、前記蒸留および前記晶析にこの順序で繰り返して供する。このとき、晶析による晶析ε-カプロラクタム51は高純度を有するため、取り出されて、ナイロン6等の原料として有効に使用される。他方、母液52は、廃棄されることなく、濃縮工程に供給されて、別の新たな回収ε-カプロラクタム水溶液11とともに、濃縮および蒸留後、再度、晶析に供される。しかも、このような母液52の再利用(晶析での利用)は繰り返し行われる。本実施態様において、濃縮工程、蒸留工程、晶析工程、固液分離工程および母液の濃縮工程への供給工程は、結果として、この順序で連続的に行われることが好ましい。さらに、濃縮ε-カプロラクタムの蒸留工程への供給工程、蒸留ε-カプロラクタムの晶析工程への供給工程、および晶析ε-カプロラクタムおよび母液を含む晶析混合物の固液分離工程への供給工程もまた、連続的に行われることが好ましい。このとき、図1に示される循環ループは連続的循環ループをなす。これらの結果、ε-カプロラクタムの損失率がより十分に低減される。特に、繰り返し回数が多いほど、ε-カプロラクタムの損失率はより十分に低減される。本明細書において、上記のように、複数の工程が連続的に行われると表現される場合、各工程での処理が、被処理物を滞留させることなく、連続的に行われだけでなく、工程間の移送も、被処理物を滞留させることなく、連続的に行われることをいう。なお、「晶析による母液」は、晶析後に固液分離することにより得られる母液のことである。
本実施態様において回収ε-カプロラクタム11は水溶液の形態を有し、かつ晶析は後で詳述する水系溶媒で行われる。このため、本実施態様の精製方法は、実施に際し、除害装置および消防機能などを導入する必要がなく、安全性および経済性に優れている。本明細書中、水溶液は当該水溶液の溶媒全量に対する水の含有割合が50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは93質量%以上、十分に好ましくは98質量%以上、より十分に好ましくは100質量%である溶液を意味する。
特に、本実施態様において晶析が水系溶媒で行われることは、安全性および経済性の向上に寄与するだけでなく、精製効率のより十分な向上に寄与する。本実施態様のように、晶析を水系溶媒で行うと、母液52は水溶液の形態を有するため、解重合により得られる回収ε-カプロラクタム水溶液11を、その溶媒を蒸発させることなく、そのまま混合(または使用)できるためである。さらには、回収ε-カプロラクタムとして、解重合により得られる回収ε-カプロラクタム水溶液11だけでなく、ε-カプロラクタムの製造過程の精練工程で生じる熱水も、その溶媒を蒸発させることなく、そのまま容易に用いることができる。
これに対して、晶析を有機溶媒(特に非水系溶媒)で行うと、母液は有機溶媒溶液の形態を有するため、解重合により得られる回収ε-カプロラクタム水溶液の少なくとも水溶媒を蒸発させないと、当該晶析を行うことができない。さらにまた、ε-カプロラクタムの製造過程の精練工程で生じる熱水も、少なくとも水溶媒を蒸発させないと、当該晶析を行うことができない。よって、精製コストの増大により、精製効率および経済性が著しく低下する。
本実施態様において、回収ε-カプロラクタムは、ナイロン6または当該ナイロン6を含有する樹脂組成物を解重合して得られたε-カプロラクタムのことであり、ナイロン6を製造する際に熱水で抽出されたε-カプロラクタム、ナイロン6を製造する際に熱水で抽出されたオリゴマーを解重合して得られたε-カプロラクタム、またはそれらの混合物を含んでもよい。
ナイロン6は、ε-カプロラクタムを重合したものであればいかなるものであってもよく、他のモノマーと共重合されたものであってもよい。
共重合モノマーとしては、各種のアミノカルボン酸、ε-カプロラクタム以外のラクタム及びナイロン塩が挙げられる。共重合モノマーの具体例として、例えば、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、4-(アミノメチル)安息香酸、ω-ラウロラクタム、ナイロン46塩、ナイロン66塩、ナイロン610塩、ナイロン6T塩、ナイロン6I塩、メタキシリレンジアミンとアジピン酸との塩等が挙げられる。共重合モノマーは30モル%以下の割合で共重合されてもよい。
ナイロン6を含有する樹脂組成物は、ナイロン6を含有する限り特に制限されず、通常はナイロン6を10質量%以上、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上含有するものである。
樹脂組成物におけるナイロン6以外の成分としては、ナイロン66、ポリメタキシリレンアジパミド、PET、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリアルキレン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)等のポリマー素材;綿、麻、レーヨン等のセルロース系繊維、ウール、絹等のタンパク系繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セルロースナノファイバー等の繊維状強化材;ガラスビーズ、マイカ、タルク、二酸化チタン、シリカ等の無機添加剤;さらには難燃剤、熱安定剤、着色剤、衝撃性改良剤等の各種添加剤等が挙げられる。
ナイロン6を含有する樹脂組成物としては、ナイロン6を含有する製品、原料素材製造や素材加工や製品組立て工程で発生する産業廃棄物、あるいは製品使用済み廃棄物等を挙げることができる。例えば、衣料用や産業用の繊維構造物あるいは繊維屑、また工業用・家庭用の樹脂構造物、複層フィルムあるいはこれらの樹脂屑等を挙げることができる。さらに具体的には、繊維構造物としては、ユニホーム、ストッキング、ニットウェアー、水着等の衣料品、漁網、タイヤコード、ロープ等の産業用資材、カーペット、カーテン等のインテリア用品等が挙げられる。繊維屑としては、製造工程で生じるポリマー糸屑、布帛の裁断屑、使用済み製品屑等が挙げられる。樹脂構造物としては、家電製品用部品、自動車用部品、住宅用部品等の家庭用品、機械用部品、パッケージ、フィルム等の工業用品等が挙げられる。複層フィルムとしては、食品包装フィルム、ラミネートフィルム、透明蒸着フィルム、アルミ蒸着フィルム、コートフィルム等が挙げられる。樹脂屑としては、製造工程で生じるポリマー成形屑、切り屑、使用済み製品屑等が挙げられる。
特に複層フィルムは、そのまま解重合に供されてもよいし、または、当該複層フィルムから剥離されたナイロン6が解重合に供されてもよい。
本実施態様において、母液は通常、晶析により得られるろ液および結晶の洗浄に用いられた洗浄液のことである。母液は、晶析による母液だけでなく、ナイロン6を製造する際に精練工程で得られる、ε-カプロラクタムおよび/またはそのオリゴマーを含有する熱水も含む母液類として用いられてもよい。
本実施態様に係る回収ε-カプロラクタムの精製方法は通常、以下に説明する解重合工程、濃縮工程、蒸留工程、晶析工程、固液分離工程および供給工程を含み、通常は乾燥工程をさらに含む。以下、各工程について、詳細に説明する。
(解重合工程)
本実施態様において、解重合はいかなる方法により行われてもよく、通常は、ナイロン6および/または当該ナイロン6を含有する樹脂組成物を、水および触媒の存在下に加熱することにより行われる。
解重合温度は、特に限定されず、例えば50~450℃であってもよく、解重合速度の低下防止および晶析ε-カプロラクタムの純度のさらなる向上の観点から、好ましくは150~400℃、さらに好ましくは220~400℃である。
触媒は、解重合速度を高めるために用いられるもので、酸あるいは塩基触媒が用いられる。酸触媒としては、リン酸、硫酸、固体酸及びこれらの塩が挙げられる。塩基触媒としてはアルカリ水酸化物、アルカリ塩、アルカリ土類水酸化物、アルカリ土類塩、有機塩基、固体塩基等が挙げられる。
触媒の使用量は、特に限定されず、例えば、ナイロン6(特に樹脂組成物が使用される場合は、樹脂組成物に含まれるナイロン6)に対して、0.1~100質量%であってもよく、解重合速度の低下防止、精製コストの低減および副反応生成物の増加防止の観点から、好ましくは1~50質量%、さらに好ましくは1~10質量%の範囲である。
水の使用量は、特に限定されず、例えば、ナイロン6に対して、0.1~50質量倍であってもよく、解重合速度の低下防止および水溶液中のε-カプロラクタム濃度の低下防止の観点から、好ましくは0.5~20質量倍である。
水は高温のスチームの形で供給されるのが望ましいが、反応前にナイロン6または当該ナイロン6を含有する樹脂組成物と同時に仕込んで、温度を上げていく方法であってもよい。
解重合により、ε-カプロラクタム濃度が通常、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは12質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上のε-カプロラクタム水溶液11が得られる。ε-カプロラクタム水溶液11の濃度の上限は特に限定されず、当該濃度は通常、50質量%以下、特に40質量%以下である。このようなε-カプロラクタム水溶液11は単に「回収ε-カプロラクタム」または「回収ε-カプロラクタム水溶液」と呼ばれてもよい。
ε-カプロラクタム濃度は、対象試料を十分に乾燥させ、その乾燥前後の質量に基づいて、以下の式により算出される値を用いている。
ε-カプロラクタム濃度(質量%)=[(乾燥後の質量)/(乾燥前の質量)]×100
回収ε-カプロラクタム水溶液の溶媒は通常、水であり、回収ε-カプロラクタムの損失率を十分に低くすることができる範囲の量で有機溶媒をさらに含んでいてもよい。詳しくは、上記した解重合で、水とともに有機溶媒が使用されてもよい。有機溶媒としては、水との相溶性に優れたものが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、エチレングリコール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。有機溶媒の使用量は、本工程で得られる回収ε-カプロラクタム水溶液の溶媒全量に対する水の含有割合が後述の範囲内となるような量であってもよい。回収ε-カプロラクタム水溶液の溶媒全量に対する水の含有割合は通常、50質量%以上であり、回収ε-カプロラクタムの損失率のさらなる低減および晶析ε-カプロラクタムの生産性のさらなる向上の観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは93質量%以上、十分に好ましくは98質量%以上、より十分に好ましくは100質量%である。回収ε-カプロラクタム水溶液の溶媒全量に対する水の含有割合が100質量%であるとは、回収ε-カプロラクタム水溶液の溶媒が、有機溶媒を含まず、水のみを含むという意味である。)
解重合は、連続式で行われてもよいし、またはバッチ式で行われてもよく、晶析ε-カプロラクタムの生産性のさらなる向上の観点から、連続式で行われることが好ましい。解重合によって生成したε-カプロラクタムを連続的に系外へ取り出すことで、ε-カプロラクタムの加水分解などの副反応を抑制することができる。解重合工程が連続式で行われるとは、被処理物を滞留させることなく、解重合処理が連続的に行われることをいう。
(濃縮工程)
濃縮は通常、水溶液中のε-カプロラクタム濃度が90質量%以上(特に93質量%以上)になるまで行い、濃縮ε-カプロラクタム21を得る。この際、濃縮方法はいかなる方法でもよく、通常は、効用缶にて水(および必要により有機溶媒)を蒸留除去する方法や、逆浸透膜で濃縮する方法等が採用される。水溶液中のε-カプロラクタム濃度が90質量%より小さいと、晶析ε-カプロラクタムにおけるε-カプロラクタムの純度が低下する。濃縮ε-カプロラクタム21の濃度の上限は特に限定されず、当該濃度は通常、99質量%以下、特に98質量%以下である。
濃縮は減圧下で行ってもよい。濃縮の際の圧力は、例えば、1~100Torrであってもよく、晶析ε-カプロラクタムの純度のさらなる向上の観点から、好ましくは10~50Torrであり、より好ましくは20~40Torrである。
濃縮は加熱下で行ってもよい。濃縮の際の温度は、例えば、10~100℃であってもよく、晶析ε-カプロラクタムの純度のさらなる向上の観点から、好ましくは30~80℃であり、より好ましくは40~70℃、さらに好ましくは40~60℃である。
濃縮されたε-カプロラクタム(濃縮ε-カプロラクタム)21は、不純物(例えばアジピミド)を含むが、後述する蒸留工程および晶析工程により、除去されて、高純度のε-カプロラクタムが得られる。
濃縮は、連続式で行われてもよいし、またはバッチ式で行われてもよく、晶析ε-カプロラクタムの生産性のさらなる向上の観点から、連続式で行われることが好ましい。濃縮工程が連続式で行われるとは、被処理物を滞留させることなく、濃縮処理が連続的に行われることをいう。
(蒸留工程)
蒸留を行い、蒸留ε-カプロラクタム31を得る。蒸留方法としては、特に限定されず、例えば、単蒸留、薄膜蒸留、精留等であってもよい。蒸留は、晶析ε-カプロラクタムの純度の観点から、20Torr以下の圧力/150℃以下の温度で減圧蒸留を行うことが好ましい。
蒸留の際の圧力は通常、0.01~20Torrであり、晶析ε-カプロラクタムの純度のさらなる向上の観点から、好ましくは0.1~10Torrであり、より好ましくは0.1~5Torrである。
蒸留の際の温度は通常、80~200℃であり、晶析ε-カプロラクタムの純度のさらなる向上の観点から、好ましくは100~150℃であり、より好ましくは110~130℃である。
蒸留工程において、蒸留操作を2回以上繰り返して行ってもよい。
蒸留工程において、不純物の発生を抑制するため予め塩基類が添加されていてもよい。塩基類としてはアルカリ水酸化物、アルカリ塩、アルカリ土類水酸化物、アルカリ土類塩、有機塩基、固体塩基等が挙げられる。
蒸留ε-カプロラクタム31の純度は通常、95~99%であり、好ましくは97.5~99%、より好ましくは98~99%である。
純度は、高速液体クロマトグラフィーにより測定された、波長210nmにおけるε-カプロラクタム検出面積の全成分検出面積に対する割合を用いている。
蒸留は、連続式で行われてもよいし、またはバッチ式で行われてもよく、晶析ε-カプロラクタムの生産性のさらなる向上の観点から、連続式で行われることが好ましい。蒸留工程が連続式で行われるとは、被処理物を滞留させることなく、蒸留処理が連続的に行われることをいう。
回収ε-カプロラクタムは、上記したように、ナイロン6を含有する製品や産業廃棄物に由来するものであるため、常に同じ品質(例えば純度)のものが安定して得られるとは限らない。回収ε-カプロラクタムの品質が安定している場合、後述の第4実施態様のように蒸留工程を行わなくても、より十分に高い純度のε-カプロラクタムをより十分に低い損失率およびより十分な安定操業にて連続的に得ることはできる。しかし、回収ε-カプロラクタムの品質が安定していない場合、蒸留工程を行わないと、回収ε-カプロラクタムの不安定な品質が連続晶析の安定した操業に悪影響を与える可能性がある。従って、本発明では本実施態様のように蒸留工程を行うことにより、回収ε-カプロラクタムの品質が安定していない場合であっても、より十分に高い純度のε-カプロラクタムを、より十分に低い損失率およびより十分な安定操業にて連続的に得ることができる。
(晶析工程)
晶析を水系溶媒で行う。詳しくは、蒸留ε-カプロラクタム31を水系溶媒と加熱混合して水溶液を得た後、これを冷却して、再結晶を行い、晶析ε-カプロラクタム51と母液52の混合物(すなわち晶析混合物)を得る。晶析は通常、大気圧下で行ってもよい。
水系溶媒は水を主成分とする溶媒という意味であり、例えば、水(すなわち水のみを含む溶媒)であってもよいし、または水と有機溶媒との混合溶媒であってもよい。安全性および作業環境の観点から、水系溶媒は水であることが好ましい。晶析のための水系溶媒に含まれてもよい有機溶媒としては、前記した回収ε-カプロラクタム水溶液の溶媒に含まれてもよい有機溶媒として例示した同様の有機溶媒が挙げられる。晶析のための水系溶媒に有機溶媒(以下、「有機溶媒A」ということがある)が含まれ、かつ回収ε-カプロラクタム水溶液の溶媒に有機溶媒(以下、「有機溶媒B」ということがある)が含まれる場合、有機溶媒Aおよび有機溶媒Bはそれぞれ独立して選択されてもよい。晶析のための水系溶媒における水の含有割合は通常、50質量%以上であり、晶析ε-カプロラクタムの生産性のさらなる向上の観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは93質量%以上、十分に好ましくは98質量%以上、より十分に好ましくは100質量%である。水系溶媒における水の含有割合が100質量%であるとは、当該水系溶媒が、有機溶媒を含まず、水のみを含むという意味である。
加熱混合は、蒸留ε-カプロラクタム31が水系溶媒に溶解する限り特に限定されない。例えば、加熱温度は30~90℃であってもよく、晶析ε-カプロラクタムの生産性および純度のさらなる向上の観点から、好ましくは40~80℃、より好ましくは40~60℃である。
加熱混合により得られる水溶液のε-カプロラクタム濃度は通常、30質量%以上(特に60~90質量%)であり、晶析ε-カプロラクタムの生産性および純度のさらなる向上の観点から、好ましくは70~90質量%、より好ましくは75~90質量%、さらに好ましくは80~90質量%である。
冷却温度は通常、30℃以下(特に0~20℃)であり、晶析ε-カプロラクタムの生産性および純度のさらなる向上の観点から、好ましくは1~15℃、より好ましくは2~8℃である。
晶析は、連続式で行われてもよいし、またはバッチ式で行われてもよく、晶析ε-カプロラクタムの生産性のさらなる向上の観点から、連続式で行われることが好ましい。晶析工程が連続式で行われるとは、被処理物を滞留させることなく、晶析処理が連続的に行われることをいう。
(固液分離工程)
晶析により得られる晶析混合物(晶析ε-カプロラクタム51と母液52の混合物)を晶析ε-カプロラクタム51(固体)と母液52(液体)に分離する。分離方法は特に限定されず、例えば、ろ過であってもよい。母液52におけるε-カプロラクタムの濃度(含有割合)は、特に限定されず、例えば、50~80質量%、特に65~75質量%であってもよい。
固液分離された晶析ε-カプロラクタム51を、水で洗浄してもよい。水の量は特に限定されず、例えば、晶析ε-カプロラクタムに対して1~50質量%であってもよく、晶析ε-カプロラクタムの生産性および純度のさらなる向上の観点から、好ましくは1~20質量%であり、より好ましくは1~10質量%である。洗浄に供された洗浄液は、ろ液と混合されてもよい。
固液分離は、連続式で行われてもよいし、またはバッチ式で行われてもよく、晶析ε-カプロラクタムの生産性のさらなる向上の観点から、連続式で行われることが好ましい。固液分離工程が連続式で行われるとは、被処理物を滞留させることなく、固液分離処理が連続的に行われることをいう。
(供給工程)
固液分離により得られた母液52を濃縮工程に供給する。これにより、母液52は、別の新たなε-カプロラクタム水溶液11とともに、濃縮、蒸留、晶析および固液分離に供されることとなり、母液52の有効利用(すなわち再利用)が達成される。濃縮工程に供給され、別の新たなε-カプロラクタム水溶液11と混合される母液52の割合に上限はない。なお、母液52は、上記したように、ナイロン6を製造する際に精練工程で得られる熱水と混合され、母液類として使用されてもよい。
母液52の濃縮工程への供給量(例えば供給速度)は、特に限定されず、例えば、母液52と回収ε-カプロラクタム水溶液11との混合割合が、「母液/回収ε-カプロラクタム水溶液」比率で、例えば、1/10~10/1、特に1/3~3/1となるような量であってもよい。
供給工程は、上記のような、母液の濃縮工程への供給工程だけでなく、濃縮ε-カプロラクタムの蒸留工程への供給工程、蒸留ε-カプロラクタムの晶析工程への供給工程、および晶析ε-カプロラクタムおよび母液を含む晶析混合物の固液分離工程への供給工程を含んでもよい。
これらの供給工程は、それぞれ独立して、連続式で行われてもよいし、またはバッチ式で行われてもよく、晶析ε-カプロラクタムの生産性のさらなる向上の観点から、連続式で行われることが好ましい。供給工程が連続式で行われるとは、被処理物を滞留させることなく、供給が連続的に行われることをいう。
(乾燥工程)
固液分離により得られた晶析ε-カプロラクタム51を乾燥させる。乾燥方法は特に限定されず、例えば、真空乾燥、常温乾燥(放置乾燥)、熱風乾燥であってもよい。
晶析ε-カプロラクタム51の純度は通常、99.5%以上であり、好ましくは99.8%以上、より好ましくは99.9%以上である。
当該乾燥は、連続式で行われてもよいし、またはバッチ式で行われてもよく、晶析ε-カプロラクタムの生産性のさらなる向上の観点から、連続式で行われることが好ましい。乾燥が連続式で行われるとは、被処理物を滞留させることなく、乾燥処理が連続的に行われることをいう。
<第4実施態様>
本発明の第4実施態様に係る回収ε-カプロラクタムの精製方法は、蒸留工程を行わないこと以外、上記した第3実施態様に係る回収ε-カプロラクタムの精製方法と同様である。詳しくは、第4実施態様に係る回収ε-カプロラクタムの精製方法においては、回収ε-カプロラクタム11を水系溶媒で晶析した後、晶析による母液を、先の回収ε-カプロラクタムとは別の回収ε-カプロラクタムに加えて、晶析することを繰り返すに際し、以下の態様で実施する:
回収ε-カプロラクタム水溶液11を濃縮し、水系溶媒で晶析した後、晶析による母液52を、前記回収ε-カプロラクタム水溶液とは別の回収ε-カプロラクタム水溶液11とともに、前記濃縮および前記晶析にこの順序で繰り返して供する。このとき、晶析による晶析ε-カプロラクタム51は高純度を有するため、第3実施態様においてと同様に、取り出されて、ナイロン6等の原料として有効に使用される。他方、母液52は、第3実施態様においてと同様に、廃棄されることなく、濃縮工程に供給される。その後、母液52は、別の新たな回収ε-カプロラクタム水溶液11とともに、濃縮後、再度、晶析に供される。このような母液52の再利用(晶析での利用)は繰り返し行われる。
本実施態様において、濃縮工程、晶析工程、固液分離工程および母液の濃縮工程への供給工程は、この順序で連続的に行われることが好ましい。さらに、濃縮ε-カプロラクタムの晶析工程への供給工程、および晶析ε-カプロラクタムおよび母液を含む晶析混合物の固液分離工程への供給工程もまた、連続的に行われることが好ましい。このとき、図2に示される循環ループは連続的循環ループをなす。これらの結果、ε-カプロラクタムの損失率が十分に低減される。特に、繰り返し回数が多いほど、ε-カプロラクタムの損失率は十分に低減される。
本実施態様に係る回収ε-カプロラクタムの精製方法は通常、解重合工程、濃縮工程、晶析工程、固液分離工程および供給工程を含み、通常は乾燥工程をさらに含む。本実施態様に係る回収ε-カプロラクタムの精製方法は、濃縮ε-カプロラクタムの晶析工程への供給工程、および晶析ε-カプロラクタムおよび母液を含む晶析混合物の固液分離工程への供給工程をさらに含んでもよい。
本実施態様における解重合工程、濃縮工程、固液分離工程、供給工程(特に母液の濃縮工程への供給工程)および乾燥工程はそれぞれ、第3実施態様における解重合工程、濃縮工程、固液分離工程、供給工程(特に母液の濃縮工程への供給工程)および乾燥工程と同様である。本実施態様における、晶析混合物の固液分離工程への供給工程は、第3実施態様における晶析混合物の固液分離工程への供給工程と同様である。
本実施態様において、晶析工程は、蒸留ε-カプロラクタム31の代わりに、濃縮工程で得られた濃縮ε-カプロラクタム21用いること以外、第3実施態様における晶析工程と同様である。
濃縮ε-カプロラクタムの晶析工程への供給工程は、濃縮ε-カプロラクタム21を移送部26により晶析工程へ供給する工程である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例及び比較例で用いた測定法は次の通りである。
[測定方法]
(1)ε-カプロラクタムの純度
ε-カプロラクタムについて、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて純度を測定した。
<測定条件>
<装置> Waters製 Waters2695 system
<検出> UV 210 nm
<カラム> Waters Puresil C18,5μm,120Å,直径4.6mm×カラム長250mm(40℃)
<移動相> メタノール/水=35/65
<注入量> 10μL
<流速> 0.7mL/分
(2)結晶収率(単位:%)
・実施例1および3ならびに比較例1~4
[(晶析ε-カプロラクタム質量)/(蒸留ε-カプロラクタム質量)]×100
・実施例2
[(晶析ε-カプロラクタム質量)/(濃縮ε-カプロラクタム質量)]×100
(3)みかけのε-カプロラクタム回収率(単位:質量%)
工程繰り返し回数0回目で使用された回収ε-カプロラクタムが、工程繰り返し回数n回目までに回収された割合の累積値。
(4)損失率
損失率は、工程繰り返し回数0回目で使用された回収ε-カプロラクタムのうち、晶析されなかったε-カプロラクタムの割合(質量%)である。損失率は、所定の工程繰り返し回数ごとに算出され得る値であり、100質量%から上記「みかけのε-カプロラクタム回収率」を減じた値により表される。
[ε-カプロラクタムの精製方法]
(実施例1:第1および第3実施態様)(晶析溶媒:水、母液:濃縮工程)(濃縮工程-蒸留工程-晶析工程-固液分離工程-濃縮工程の循環ループ)
<工程繰り返し回数0回目>
ナイロン6 500質量部と80質量%リン酸50質量部とを解重合缶に仕込み、窒素雰囲気下、290℃に加熱した。高温スチーム(300℃)を解重合缶へ吹き込みを始め、解重合を5時間行った。この間、解重合缶から留出するε-カプロラクタムと水蒸気との混合物を冷却してε-カプロラクタム水溶液を回収した(解重合工程)。回収ε-カプロラクタム水溶液の溶媒全量に対する水の含有割合は100質量%であった。この水溶液(回収ε-カプロラクタム水溶液)の総質量は3000質量部で、ε-カプロラクタム濃度は13質量%であった。次いで、上記のε-カプロラクタム水溶液を、減圧下(30Torr)60℃にて濃縮し、95質量%の濃縮ε-カプロラクタム水溶液350質量部を得た(濃縮工程)。そして、上記の濃縮ε-カプロラクタム水溶液350質量部を、1Torrの圧力/110~130℃の温度で減圧蒸留し、蒸留ε-カプロラクタム280質量部を得た(蒸留工程)。得られた蒸留ε-カプロラクタムの純度は98.0%であり、バージンε-カプロラクタムの純度99.9%よりも劣っていた。
純度98.0%の蒸留ε-カプロラクタム286質量部(蒸留ε-カプロラクタム換算280質量部)に72質量部の水を加え、50℃に加熱することで358質量部の蒸留ε-カプロラクタム水溶液を得た。この水溶液を5℃に冷却することで、結晶を析出させた(晶析工程)。結晶を固液分離し、5質量部の水で洗浄してから真空乾燥することで56質量部の晶析ε-カプロラクタムを得た(固液分離工程)。結晶収率は20%だった。得られた晶析ε-カプロラクタムの純度は99.9%であり、バージンε-カプロラクタムの純度99.9%と同等だった。固液分離に際し、蒸留ε-カプロラクタムを含む母液を307質量部得た。蒸留ε-カプロラクタムを含む母液の溶媒は、主成分が水だったため、濃縮工程に戻すことができた。母液のε-カプロラクタム濃度は73質量%であった。
<工程繰り返し回数1回目>
蒸留ε-カプロラクタムを含む母液307質量部を上記解重合されたε-カプロラクタム水溶液とは別に解重合されたε-カプロラクタム水溶液307質量部に混合し、同条件で濃縮、蒸留、晶析、固液分離した。得られた晶析ε-カプロラクタムの純度は99.9%であり、バージンε-カプロラクタムの純度99.9%と同等だった。
<工程繰り返し回数2~5回目>
その後、蒸留ε-カプロラクタムを含む母液に対して、1倍量の、上記解重合されたε-カプロラクタム水溶液とは別に解重合されたε-カプロラクタム水溶液に混合し濃縮、蒸留、晶析、固液分離することを計5回繰り返した。その結果、全ての得られた晶析ε-カプロラクタムの純度は99.9%であり、バージンε-カプロラクタムの純度99.9%と同等だった。蒸留ε-カプロラクタムを含む母液を濃縮工程に戻していたため、みかけのε-カプロラクタム回収率は75%だった。
(実施例2:第2および第4実施態様)(晶析溶媒:水、母液:濃縮工程)(濃縮工程-晶析工程-固液分離工程-濃縮工程の循環ループ)
<工程繰り返し回数0回目>
実施例1記載の方法で得られた95質量%の濃縮ε-カプロラクタム316質量部(濃縮ε-カプロラクタム換算300質量部)に79質量部の水を加え、50℃に加熱することで395質量部の濃縮ε-カプロラクタム水溶液を得た。この水溶液を3℃に冷却することで、結晶を析出させた(晶析工程)。結晶を固液分離し、5質量部の水で洗浄してから真空乾燥することで57質量部の晶析ε-カプロラクタムを得た(固液分離工程)。結晶収率は19%だった。得られた晶析ε-カプロラクタムの純度は99.9%であり、バージンε-カプロラクタムの純度99.9%と同等だった。固液分離に際し、濃縮ε-カプロラクタムを含む母液を343質量部得た。濃縮ε-カプロラクタムを含む母液の溶媒は、主成分が水だったため、濃縮工程に戻すことができた。母液のε-カプロラクタム濃度は71質量%であった。
<工程繰り返し回数1回目>
濃縮ε-カプロラクタムを含む母液343質量部を、上記解重合されたε-カプロラクタム水溶液とは別に解重合されたε-カプロラクタム水溶液343質量部に混合し、同条件で濃縮、晶析、固液分離した。得られた晶析ε-カプロラクタムの純度は99.9%であり、バージンε-カプロラクタムの純度99.9%と同等だった。
<工程繰り返し回数2~5回目>
その後、濃縮ε-カプロラクタムを含む母液に対して、1倍量の、上記解重合されたε-カプロラクタム水溶液とは別に解重合されたε-カプロラクタム水溶液に混合し、濃縮、晶析、固液分離することを計5回繰り返した。その結果、全ての得られた晶析ε-カプロラクタムの純度は99.9%であり、バージンε-カプロラクタムの純度99.9%と同等だった。濃縮ε-カプロラクタムを含む母液を濃縮工程に戻していたため、みかけのε-カプロラクタム回収率は72%だった。
(実施例3:第1および第3実施態様)(晶析溶媒:水およびイソプロパノールの水系混合溶媒、母液:濃縮工程)(濃縮工程-蒸留工程-晶析工程-固液分離工程-濃縮工程の循環ループ)
<工程繰り返し回数0回目>
実施例1記載の方法で得られた純度98.0%の蒸留ε-カプロラクタム286質量部(蒸留ε-カプロラクタム換算280質量部)に、67質量部の水および5質量部のイソプロパノールを含む水系混合溶媒を加え、50℃に加熱することで358質量部の蒸留ε-カプロラクタムの水溶液を得た(水系混合溶媒における水の含有割合=93.1質量%)。この水溶液を5℃に冷却することで、結晶を析出させた(晶析工程)。結晶を固液分離し、5質量部の水で洗浄してから真空乾燥することで55質量部の晶析ε-カプロラクタムを得た(固液分離工程)。結晶収率は20%だった。得られた晶析ε-カプロラクタムの純度は99.9%であり、バージンε-カプロラクタムの純度99.9%と同等だった。固液分離に際し、蒸留ε-カプロラクタムを含む母液を308質量部得た。蒸留ε-カプロラクタムを含む母液の溶媒は、主成分が水だったため、濃縮工程に戻すことができた。母液のε-カプロラクタム濃度は73質量%であった。
<工程繰り返し回数1回目>
蒸留ε-カプロラクタムを含む母液308質量部を上記解重合されたε-カプロラクタム水溶液とは別に解重合されたε-カプロラクタム水溶液308質量部に混合し、同条件で濃縮、蒸留、晶析、固液分離した。得られた晶析ε-カプロラクタムの純度は99.9%であり、バージンε-カプロラクタムの純度99.9%と同等だった。
<工程繰り返し回数2~5回目>
その後、蒸留ε-カプロラクタムを含む母液に対して、1倍量の、上記解重合されたε-カプロラクタム水溶液とは別に解重合されたε-カプロラクタム水溶液に混合し濃縮、蒸留、晶析、固液分離することを計5回繰り返した。その結果、全ての得られた晶析ε-カプロラクタムの純度は99.9%であり、バージンε-カプロラクタムの純度99.9%と同等だった。蒸留ε-カプロラクタムを含む母液を濃縮工程に戻していたため、みかけのε-カプロラクタム回収率は74%だった。
(比較例1)(晶析溶媒:水、母液:廃液工程)
実施例1記載の方法で得られた蒸留ε-カプロラクタム280質量部に70質量部の水を加え、50℃に加熱することで350質量部の蒸留ε-カプロラクタム水溶液を得た。この水溶液を5℃に冷却することで、結晶を析出させた。結晶を固液分離し、5質量部の水で洗浄してから真空乾燥することで56質量部の晶析ε-カプロラクタムを得た。結晶収率は20%だった。得られた晶析ε-カプロラクタムの純度は99.9%であり、バージンε-カプロラクタムの純度99.9%と同等だった。固液分離に際し、蒸留ε-カプロラクタムを含む母液を299質量部得た。蒸留ε-カプロラクタムを含む母液は、濃縮工程に戻すことなく廃液工程にて処理した。
実施例1記載の方法で得られた蒸留ε-カプロラクタムに水を加え、上記方法で結晶を析出させることを計5回繰り返した。その結果、全ての得られた晶析ε-カプロラクタムの純度は99.9%であり、バージンε-カプロラクタムの純度99.9%と同等だったが、蒸留ε-カプロラクタムを含む母液を廃液工程にて処理していたため、みかけのε-カプロラクタム回収率は20%だった。
(比較例2)(晶析溶媒:ヘキサン、母液:廃液工程)
実施例1記載の方法で得られた蒸留ε-カプロラクタム280質量部に局所排気設備のある防爆建屋内で1000質量部のヘキサンを加え、65℃に加熱することで1280質量部の蒸留ε-カプロラクタム溶液を得た。この溶液を20℃に冷却することで、結晶を析出させた。結晶を固液分離し、200質量部のヘキサンで洗浄してから真空乾燥することで75質量部の晶析ε-カプロラクタムを得た。結晶収率は27%だった。固液分離に際し、蒸留ε-カプロラクタムを含む母液を1405質量部得た。蒸留ε-カプロラクタムを含む母液は、主成分がヘキサンだったため、濃縮工程に戻すことができず廃液工程にて処理した。
(比較例3)(晶析溶媒:酢酸エチル、母液:廃液工程)
実施例1記載の方法で得られた蒸留ε-カプロラクタム280質量部に局所排気設備のある防爆建屋内で400質量部の酢酸エチルを加え、60℃に加熱することで680質量部の回収ε-カプロラクタム溶液を得た。この溶液を5℃に冷却することで、結晶を析出させた。結晶を固液分離し、50質量部の酢酸エチルで洗浄してから真空乾燥することで62質量部の晶析ε-カプロラクタムを得た。結晶収率は22%だった。固液分離に際し、蒸留ε-カプロラクタムを含む母液を668質量部得た。蒸留ε-カプロラクタムを含む母液は、主成分が酢酸エチルだったため、濃縮工程に戻すことができず廃液工程にて処理した。
(比較例4)(晶析溶媒:トリクロロエチレン、母液:廃液工程)
実施例1記載の方法で得られた蒸留ε-カプロラクタム280質量部に局所排気設備のある防爆建屋内で100質量部のトリクロロエチレンを加え、50℃に加熱することで380質量部の蒸留ε-カプロラクタム溶液を得た。この溶液を5℃に冷却することで、結晶を析出させた。結晶を固液分離し、20質量部のトリクロロエチレンで洗浄してから真空乾燥することで95質量部の晶析ε-カプロラクタムを得た。結晶収率は34%だった。固液分離に際し、蒸留ε-カプロラクタムを含む母液を305質量部得た。蒸留ε-カプロラクタムを含む母液は、主成分がトリクロロエチレンだったため、濃縮工程に戻すことができず廃液工程にて処理した。
本発明の精製方法および精製装置は、回収ε-カプロラクタムの精製に有用である。
1:解重合部
2:濃縮部
3:蒸留部
4:晶析部
5:固液分離部
11:回収ε-カプロラクタム
21:濃縮ε-カプロラクタム
31:蒸留ε-カプロラクタム
51:晶析ε-カプロラクタム
52:母液
15:25:26:35:45:55:移送部

Claims (17)

  1. 回収ε-カプロラクタムを水系溶媒で晶析した後、
    該晶析による母液を、前記回収ε-カプロラクタムとは別の回収ε-カプロラクタムに加えて、晶析することを繰り返す、回収ε-カプロラクタムの精製方法。
  2. 前記水系溶媒は水である、請求項1に記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法。
  3. 前記回収ε-カプロラクタムの水溶液を濃縮工程および蒸留工程に供し、前記晶析を行う晶析工程に供する、請求項1に記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法であって、
    前記母液を、前記別の回収ε-カプロラクタム水溶液とともに、前記濃縮工程、前記蒸留工程および前記晶析工程にこの順序で繰り返し供する、回収ε-カプロラクタムの精製方法。
  4. 前記母液を前記濃縮工程へ供給する、請求項3に記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法。
  5. 前記晶析工程後、固液分離することにより前記母液を得る、請求項3に記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法。
  6. 前記濃縮工程、前記蒸留工程、前記晶析工程、前記固液分離工程および前記母液の前記濃縮工程への供給工程をこの順序で連続的に行う、請求項5に記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法。
  7. 前記回収ε-カプロラクタムの水溶液を濃縮工程に供し、前記晶析を行う晶析工程に供する、請求項1に記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法であって、
    前記母液を、前記別の回収ε-カプロラクタム水溶液とともに、前記濃縮工程および前記晶析工程にこの順序で繰り返して供する、回収ε-カプロラクタムの精製方法。
  8. 前記母液を前記濃縮工程へ供給する、請求項7に記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法。
  9. 前記晶析工程後、固液分離することにより前記母液を得る、請求項7に記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法。
  10. 前記濃縮工程、前記晶析工程、前記固液分離工程および前記母液の前記濃縮工程への供給工程をこの順序で連続的に行う、請求項9に記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法。
  11. 前記回収ε-カプロラクタムは、ナイロン6または該ナイロン6を含有する樹脂組成物を解重合して得られたε-カプロラクタム、該ナイロン6を製造する際に熱水で抽出されたε-カプロラクタム、該ナイロン6を製造する際に熱水で抽出されたオリゴマーを解重合して得られたε-カプロラクタム、またはそれらの混合物である、請求項1に記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法。
  12. 前記回収ε-カプロラクタムは水溶液の形態を有し、その溶媒を蒸発させることなく、そのままの形態で使用される、請求項1に記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法。
  13. 前記母液は、前記晶析による母液とともに、ナイロン6を製造する際に精練工程で得られる、ε-カプロラクタムおよび/またはそのオリゴマーを含有する熱水を含む母液類として用いられる、請求項1~12のいずれかに記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法。
  14. ナイロン6を解重合して回収ε-カプロラクタムを得る解重合部;
    前記回収ε-カプロラクタムを濃縮する濃縮部;
    濃縮されたε-カプロラクタムを蒸留する蒸留部;
    蒸留されたε-カプロラクタムを水系溶媒と加熱混合した後、冷却して晶析を行う晶析部;および
    晶析したε-カプロラクタムと母液とを分離する固液分離部
    を含み、
    前記濃縮部、前記蒸留部、前記晶析部および前記固液分離部がこの順序で相互に接続された循環型ユニットを構成し、前記固液分離部にて分離された前記母液が前記濃縮部へと供給可能となっている、回収ε-カプロラクタムの精製装置。
  15. 請求項2~6のいずれかに記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法を実施する、請求項14に記載の回収ε-カプロラクタムの精製装置。
  16. ナイロン6を解重合して回収ε-カプロラクタムを得る解重合部;
    前記回収ε-カプロラクタムを濃縮する濃縮部;
    濃縮されたε-カプロラクタムを水系溶媒と加熱混合した後、冷却して晶析を行う晶析部;および
    晶析したε-カプロラクタムと母液とを分離する固液分離部
    を含み、
    前記濃縮部、前記晶析部および前記固液分離部がこの順序で相互に接続された循環型ユニットを構成し、前記固液分離部にて分離された前記母液が前記濃縮部へと供給可能となっている、回収ε-カプロラクタムの精製装置。
  17. 請求項7~10のいずれかに記載の回収ε-カプロラクタムの精製方法を実施する、請求項16に記載の回収ε-カプロラクタムの精製装置。
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