JPH07330341A - 針状磁性酸化鉄粒子粉末の製造法 - Google Patents

針状磁性酸化鉄粒子粉末の製造法

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JPH07330341A
JPH07330341A JP6152958A JP15295894A JPH07330341A JP H07330341 A JPH07330341 A JP H07330341A JP 6152958 A JP6152958 A JP 6152958A JP 15295894 A JP15295894 A JP 15295894A JP H07330341 A JPH07330341 A JP H07330341A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粒度が均斉であって樹枝状粒子が混在してお
らず、しかも、大きな軸比(長軸径/短軸径)を有する
針状磁性酸化鉄粒子粉末を工業的に得られる製造法を提
供する。 【構成】 第一鉄塩水溶液と当量未満のアルカリ水溶液
とを反応させて得られた鉄含有沈殿物を含む反応溶液
に、酸素含有ガスを通気して針状ゲータイト核粒子を生
成させた後、該針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩反
応溶液に、この液のpH値が3〜6の範囲内に維持する
ようにアルカリ水溶液を添加しながら、酸素含有ガスを
通気することにより前記核粒子の成長反応を行って針状
ゲータイト粒子を生成させ、次いで、前記針状ゲータイ
ト粒子を還元して針状マグネタイト粒子を得るか、必要
により、更に酸化して針状マグヘマイト粒子を得る針状
磁性酸化鉄粒子粉末の製造法において、あらかじめ針状
ゲータイト粒子を生成させる反応溶液中にアスコルビン
酸又はその塩を存在させておくとともに、成長反応中の
前記反応溶液中に水可溶性ケイ酸塩を連続的又は間欠的
に添加することにより得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録用磁性粒子粉
末として好適な粒度が均斉であって樹枝状粒子が混在し
ておらず、しかも、大きな軸比(長軸径/短軸径−以
下、同じ−)を有する針状磁性酸化鉄粒子粉末を提供す
ることを目的とする。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録再生用機器の小型軽量化
が進むにつれて、磁気テープ、磁気ディスク等の記録媒
体に対する高性能化の必要性が益々生じてきている。即
ち、高記録密度、高感度特性及び高出力特性等が要求さ
れる。磁気記録媒体に対する上記のような要求を満足さ
せる為に要求される磁性材料粒子粉末の特性は、高い保
磁力と優れた分散性を有することである。
【0003】即ち、磁気記録媒体の高感度化及び高出力
化の為には磁性粒子粉末が出来るだけ高い保磁力を有す
ることが必要であり、この事実は、例えば、株式会社総
合技術センター発行「磁性材料の開発と磁粉の高分散化
技術」(1982年)の第310頁の「磁気テープ性能
の向上指向は、高感度化と高出力化‥‥にあったから、
針状γ−Fe2 3 粒子粉末の高保磁力化‥‥を重点と
するものであった。」なる記載の通りである。
【0004】また、磁気記録媒体の高記録密度の為に
は、前出「磁性材料の開発と磁粉の高分散化技術」第3
12頁の「塗布型テープにおける高密度記録のための条
件は、短波長信号に対して、低ノイズで高出力特性を保
持できることであるが、その為には保磁力Hcと残留磁
化Brが共に大きいことと塗布膜の厚みがより薄いこと
が必要である。」なる記載の通り、磁気記録媒体が高い
保磁力と大きな残留磁化Brを有することが必要であ
り、その為には磁性粒子粉末が高い保磁力を有し、ビー
クル中での分散性、塗膜中での配向性及び充填性が優れ
ていることが要求される。
【0005】周知の通り、磁性粒子粉末の保磁力の大き
さは、形状異方性、結晶異方性、歪異方性及び交換異方
性のいずれか、若しくはそれらの相互作用に依存してい
る。
【0006】現在、磁気記録用磁性粒子粉末として使用
されている針状マグネタイト粒子粉末、針状マグヘマイ
ト粒子粉末等の磁性酸化鉄粒子粉末や鉄を主成分とする
金属磁性粒子粉末は、その形状に由来する異方性を利用
すること、即ち、軸比を大きくすることによって比較的
高い保磁力を得ている。
【0007】これら既知の磁性粒子粉末は、出発原料で
あるゲータイト粒子又は該ゲータイト粒子を加熱処理し
て得られた針状ヘマタイト粒子を、水素等還元性ガス中
で加熱還元してマグネタイト粒子又は鉄を主成分とする
金属粒子とすることにより、また、前記マグネタイト粒
子を、空気中で酸化してマグヘマイト粒子とすることに
より得られている。
【0008】また、既知のCoで変成された又はCoと
Feとで変成された針状磁性酸化鉄粒子粉末は、針状マ
グネタイト粒子又は針状マグヘマイト粒子を前駆体粒子
として用い、該前駆体粒子のFeに対し0.5〜15.
0原子%のCoを含むように、上記前駆体粒子を水酸化
コバルトを含むアルカリ懸濁液又は水酸化コバルト・水
酸化第一鉄を含むアルカリ懸濁液中に分散させ、該分散
液を加熱処理することにより得られる。
【0009】磁気記録媒体の残留磁化Brは、磁性粒子
粉末のビヒクル中での分散性、塗膜中での配向性及び充
填性に依存しており、これら特性の向上の為には、ビヒ
クル中に分散させる磁性粒子粉末が粒度が均斉であって
樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、大きな軸比を有
していることが要求される。
【0010】上述した通り、粒度が均斉であって樹枝状
粒子が混在しておらず、しかも、大きな軸比を有する磁
性粒子粉末は、現在、最も要求されているところであ
り、このような特性を備えた磁性粒子粉末を得るために
は、出発原料であるゲータイト粒子粉末の粒度が均斉で
あって樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、大きな軸
比を有することが要求される。
【0011】従来、粒度が均斉であって樹枝状粒子が混
在していない針状ゲータイト粒子を得る為の試みは種々
行われており、例えば、特開平3−162508号公報
や特開平4−357116号公報などが挙げられる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】粒度が均斉であって樹
枝状粒子が混在しておらず、しかも、大きな軸比を有す
る針状ゲータイト粒子粉末は、現在最も要求されている
ところであるが、前出特開平3−162508号公報に
記載の針状ゲータイト核粒子の成長反応をケイ素化合物
の存在下で行う方法による場合には、粒度が均斉であっ
て樹枝状粒子が混在していない針状ゲータイト粒子は得
られるが、その軸比はまだ不十分である。
【0013】また、前出特開平4−357116号公報
に記載の針状ゲータイト粒子が生成する以前の液中にア
スコルビン酸又はその塩を存在させておく方法による場
合には、軸比を大きくすることができるが、焼結防止効
果が不十分なので、目的とする磁性酸化鉄粒子粉末を得
ることができない。
【0014】そこで、本発明は、粒度が均斉であって樹
枝状粒子が混在しておらず、しかも、大きな軸比を有す
る針状ゲータイト粒子粉末を得、該針状ゲータイト粒子
又は該針状ゲータイト粒子を加熱焼成して得られた針状
ヘマタイト粒子を還元性ガス中で加熱還元して針状マグ
ネタイト粒子を得るか、又は、更に酸化して針状マグヘ
マイト粒子を得る針状磁性酸化鉄粒子粉末を得ることを
技術的課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記技術的課題は、次の
通りの本発明によって達成できる。
【0016】即ち、本発明は、第一鉄塩水溶液と該第一
鉄塩水溶液中のFe2+に対し当量未満のアルカリ水溶液
とを反応させて得られた鉄含有沈澱物を含む第一鉄塩反
応溶液に、酸素含有ガスを通気することにより前記鉄含
有沈澱物を酸化反応して針状ゲータイト核粒子を生成さ
せた後、当該針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩反応
溶液に、この液のpH値が3.0〜6.0の範囲内に維
持するようにアルカリ水溶液を添加しながら、酸素含有
ガスを通気することにより前記針状ゲータイト核粒子の
成長反応を行って針状ゲータイト粒子を生成させ、次い
で、前記針状ゲータイト粒子又は該針状ゲータイト粒子
を加熱焼成して得られた針状ヘマタイト粒子を還元性ガ
ス中で加熱還元して針状マグネタイト粒子を得るか、或
いは、更に酸化して針状マグヘマイト粒子を得る針状磁
性酸化鉄粒子粉末の製造法において、あらかじめ前記第
一鉄塩水溶液、前記アルカリ水溶液、前記鉄含有沈澱物
を含む第一鉄塩反応溶液及び成長反応を開始する前の前
記針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩反応溶液のいず
れかに、アスコルビン酸又はその塩を存在させておくと
ともに、成長反応中の前記針状ゲータイト核粒子を含む
第一鉄塩反応溶液中に、前記第一鉄塩水溶液中の全Fe
に対しSi換算で0.2〜5.0原子%の水可溶性ケイ
酸塩を、連続的又は間欠的に添加することからなる針状
磁性酸化鉄粒子粉末の製造法である。
【0017】また、本発明は、成長反応で添加する前記
水可溶性ケイ酸は、前記アルカリ水溶液中のOH濃度に
対しmol比で0.001〜0.125の範囲に調整し
て連続的又は間欠的に添加することからなる前記針状磁
性酸化鉄粒子粉末の製造法である。
【0018】また、本発明は、前記製造法により得られ
た針状マグネタイト粒子又は針状マグヘマイト粒子を前
駆体粒子として用い、該前駆体粒子のFeに対し0.5
〜15.0原子%のCoを含むように、前記前駆体粒子
を水酸化コバルトを含むアルカリ懸濁液又は水酸化コバ
ルトと水酸化第一鉄とを含むアルカリ懸濁液中に分散さ
せ、該懸濁液を加熱処理することによりCoで変成され
た又はCoとFe2+とで変成された針状マグネタイト粒
子又は針状マグヘマイト粒子を得ることからなる針状磁
性酸化鉄粒子粉末の製造法である。
【0019】次に、本発明方法実施にあたっての諸条件
について述べる。
【0020】本発明において使用される第一鉄塩水溶液
としては、硫酸第一鉄水溶液、塩化第一鉄水溶液等を使
用することができる。
【0021】本発明において使用されるアルカリ水溶液
としては、水酸化アルカリ水溶液として水酸化ナトリウ
ム水溶液、水酸化カリウム水溶液等、炭酸アルカリ水溶
液として炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、
炭酸アンモニウム等、また、前記水酸化アルカリと前記
炭酸アルカリとの混合水溶液等を挙げることができる。
【0022】本発明の針状ゲータイト核粒子の生成にお
けるアルカリ水溶液の使用量は、第一鉄塩水溶液中のF
2+に対し当量未満である。当量以上の場合には、粒度
が不均斉であって樹枝状粒子が混在しているゲータイト
核粒子が生成したり、粒状のマグネタイト粒子が混在し
てくる。
【0023】本発明におけるアスコルビン酸の塩として
は、アスコルビン酸ナトリウム等を使用することができ
る。
【0024】アスコルビン酸又はその塩の添加は、生成
する針状ゲータイト粒子の粒度、樹枝状粒子の有無や軸
比等の形態に影響するものであるから、第一鉄塩水溶
液、アルカリ水溶液、鉄含有沈澱物を含む第一鉄塩反応
溶液及び成長反応を開始する前の針状ゲータイト核粒子
を含む第一鉄塩反応溶液のいずれかの液中である。
【0025】アスコルビン酸又はその塩の添加量は、第
一鉄塩水溶液中のFe2+に対し、アスコルビン酸として
0.01〜5.0mol%である。0.01mol%未
満の場合には、本発明の目的とする粒度が均斉であって
樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、大きな軸比を有
する針状ゲータイト粒子が得られない。5.0mol%
を越える場合には、生成する針状ゲータイト粒子の長軸
径が小さくなり、その結果、軸比も小さく目的とする針
状ゲータイト粒子が得られない。好ましい範囲は0.0
5〜1.0mol%であり、より好ましくは0.1〜
0.5mol%である。
【0026】本発明における針状ゲータイト核粒子の生
成量は、針状ゲータイト粒子に対し10〜90mol%
の範囲が好ましい。10mol%未満の場合には、本発
明の目的とする大きな軸比を有する針状ゲータイト粒子
が得られない。90mol%を越える場合には、水可溶
性ケイ酸塩を添加することによる焼結防止効果が十分で
はなく、目的とする針状磁性酸化鉄粒子粉末が得られな
い。好ましい範囲は30〜70mol%である。
【0027】本発明の針状ゲータイト核粒子の成長反応
において使用されるアルカリ水溶液の使用量は、針状ゲ
ータイト核粒子を含む第一鉄塩反応溶液中のpH値が
3.0〜6.0の範囲内に維持するように添加する。p
H値が3.0未満の場合には、成長反応の速度が極めて
遅く、成長反応終了までに長時間を要するので工業的で
なくなる。6.0を越える場合には、マグネタイトが混
在することがある。好ましい範囲は3.4〜5.5であ
る。
【0028】成長反応の終了は、反応溶液中の残存Fe
2+の量で判断することができ、Fe2+の量が1%以下と
なった場合を反応が終了したものと見なすことができ
る。
【0029】本発明において使用される水可溶性ケイ酸
塩としては、水ガラス、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸
ナトリウム、ケイ酸カリウム等を挙げることができる。
【0030】水可溶性ケイ酸塩の添加量は、第一鉄塩水
溶液中の全Feに対してSi換算で0.2〜5.0原子
%である。水可溶性ケイ酸塩の添加量が0.2原子%未
満の場合には、水可溶性ケイ酸塩を添加した効果が得ら
れず、5.0原子%を越える場合には、水可溶性ケイ酸
塩が過剰となり針状ゲータイト粒子の成長反応に及ぼす
量を越えて反応溶液中に遊離することになるので好まし
くない。また、水可溶性ケイ酸塩が針状ゲータイト粒子
に吸着する量が多過ぎると、針状磁性酸化鉄粒子粉末と
した場合に飽和磁化値等が低下することもあり磁気記録
用材料粉末として好ましくない。好ましい範囲は、0.
15〜1.5原子%であり、より好ましくは0.3〜
1.1原子%である。
【0031】また、成長反応で添加する水可溶性ケイ酸
塩は、アルカリ水溶液中のOH濃度に対しmol比で
0.001〜0.125の範囲である。水可溶性ケイ酸
塩の添加量がアルカリ水溶液中のOH濃度に対してmo
l比で0.001未満の場合には、本発明の目的とする
効果が得られず、0.125を越える場合には、針状ゲ
ータイト粒子の成長反応における水可溶性ケイ酸塩を短
時間で添加することとなり、本発明の目的とする効果が
得られなくなる。好ましい範囲はmol比で0.002
〜0.05であり、より好ましくはmol比で0.00
3〜0.01である。
【0032】水可溶性ケイ酸塩の添加は、成長反応にお
ける前記針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩反応溶液
中であり、連続的又は間欠的に添加する。その添加方法
は、アルカリ水溶液とは別々に添加してもよく、また、
成長反応で添加するアルカリ水溶液中にあらかじめ前記
mol比となるように混合・分散しておいてから添加し
てもよい。
【0033】本発明における反応温度は、針状ゲータイ
ト核粒子の生成及び針状ゲータイト粒子の成長反応とも
15〜90℃の範囲である。15℃未満の場合には、レ
ピッドクロサイトが混在することがあるので針状磁性酸
化鉄粒子粉末とした場合に良好な磁気特性が得られなく
なることがあり、90℃を越える場合には、マグネタイ
トが混在することがある。好ましい温度は針状ゲータイ
ト核粒子の生成においては30〜50℃の範囲であり、
針状ゲータイト粒子の成長反応においては40〜85℃
の範囲である。
【0034】本発明における酸化手段は、酸素含有ガス
(例えば空気)を液中に通気することにより行い、必要
により機械的操作等により攪拌を伴ってもよい。
【0035】尚、本発明において、ゲータイト核粒子の
生成反応と該ゲータイト核粒子の成長反応とを同一の反
応塔を用いて行うことができることはもちろん、別々の
反応塔を用いる場合でも目的とするゲータイト粒子が得
られる。
【0036】また、本発明において、磁性粒子粉末の特
性向上等の為、ゲータイト粒子の反応に通常添加される
Co化合物、Ni化合物、Zn化合物、Al化合物、P
化合物等の1種又は2種以上を添加しておいてもよく、
この場合にも本発明の目的とする針状ゲータイト粒子粉
末を得ることができる。その場合の添加時期としては、
ゲータイト核粒子の生成反応においてはいずれの時期で
あってもよく、ゲータイト核粒子の成長反応においては
成長反応開始前に添加しておくことが好ましい。また、
その添加量は、Al化合物及びP化合物の場合は、ゲー
タイト粒子に対して0.5〜5.0重量%が好ましく、
Co化合物、Ni化合物及びZn化合物の場合には、磁
化の低下がないか若しくは少ないので異物として発生さ
せない限りいくらでもよく、その量の上限としては30
重量%程度である。
【0037】本発明においては、必要により、針状ゲー
タイト粒子を、加熱焼成時や加熱還元時の各加熱処理に
先立って周知の方法により、Si化合物、Al化合物、
P化合物等の焼結防止効果を有する物質によって、あら
かじめ被覆しておいてもよい。この被覆処理によって粒
子及び粒子相互間の焼結が防止され、針状ゲータイト粒
子の粒子形状及び軸比を保持継承し、個々に独立した磁
性酸化鉄粒子が得られやすくなる。
【0038】本発明においては、得られた針状ゲータイ
ト粒子粉末を加熱焼成して針状ヘマタイト粒子とするこ
ともできる。
【0039】針状ゲータイト粒子を加熱焼成して針状ヘ
マタイト粒子を得る場合の加熱焼成温度としては、常法
の単に加熱脱水のみの場合には、250〜500℃であ
る。好ましい範囲は250〜300℃であり、必要によ
り、更に非酸化性雰囲気下又は酸化性雰囲気下において
加熱焼成を施してもよい。
【0040】前記非酸化性雰囲気下又は酸化性雰囲気下
における加熱焼成は、空気、酸素ガス、窒素ガス流下、
300〜800℃の温度範囲で行うことができる。該加
熱焼成温度は、焼結防止剤として用いたSi、Al、P
等の各塩の種類と被覆量に応じて適宜選択することが好
ましい。800℃を越える場合には、粒子の変形と粒子
及び粒子相互間の焼結を引き起こしてしまう。好ましい
範囲は550〜700℃である。
【0041】本発明においては、得られた針状ゲータイ
ト粒子や針状ヘマタイト粒子を出発原料粒子として、還
元性ガス(例えば、水素ガス)流下で加熱還元すること
により針状マグネタイト粒子粉末とする。加熱還元の温
度範囲は、300〜550℃である。300℃未満の場
合には、還元反応の進行が遅く、長時間を要する。ま
た、550℃を越える場合には、還元反応が急激に進行
して粒子の変形と、粒子と粒子相互間の焼結を引き起こ
す。好ましい範囲は300〜450℃である。
【0042】本発明においては、得られた針状マグネタ
イト粒子粉末を再酸化して針状マグヘマイト粒子粉末と
することができる。再酸化の温度範囲は、200〜50
0℃である。200℃未満である場合には、酸化反応の
進行が遅く、長時間を要する。また、500℃を越える
場合には、酸化反応が急激に進行して粒子の変形と、粒
子及び粒子相互間の焼結を引き起こす。好ましい範囲は
300〜450℃である。
【0043】尚、針状マグネタイト粒子粉末と針状マグ
ヘマイト粒子粉末の中間酸化物である針状ベルトライド
化合物粒子粉末とすることもでき、前記針状マグネタイ
ト粒子を、更に250〜500℃の温度範囲で酸化して
含まれる第一鉄の量を調節して針状ベルトライド化合物
粒子とするか、前記針状マグヘマイト粒子を再度還元性
ガス流下、300〜550℃の温度範囲で加熱還元して
含まれる第一鉄の量を調節してベルトライド化合物粒子
とすることもできる。
【0044】本発明における磁性酸化鉄粒子粉末のCo
変成は、常法により行うことができ、例えば、特公昭5
2−24237号公報、特公昭52−24238号公
報、特公昭52−36751号公報及び特公昭52−3
6863号公報に記載されているように、前駆体粒子を
水酸化コバルト、又は、水酸化コバルト・水酸化第一鉄
を含むアルカリ懸濁液中に分散させ、該分散液を加熱処
理することにより行われる。
【0045】本発明における水酸化コバルトは、硫酸コ
バルト、塩化コバルト等の水可溶性コバルト塩と水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ水溶液
を用いることにより得られる。
【0046】本発明における水酸化第一鉄は、硫酸第一
鉄、塩化第一鉄等の水可溶性第一鉄塩と水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ水溶液を用いる
ことにより得られる。
【0047】Co変成にあたり、加熱処理する時の条件
は、非酸化性雰囲気下で50〜100℃の温度範囲で行
なうことが好ましい。
【0048】Co変成の温度は、処理時間に関与するも
のであり、温度を50℃以下とすれば、Coで変成され
た又はCoとFe2+で変成されたマグネタイト粒子又は
マグヘマイト粒子が生成し難く、生成するとしても極め
て長時間の処理を必要とする。
【0049】本発明における水可溶性コバルト塩の変成
量は、マグネタイト粒子又はマグヘマイト粒子中のFe
に対しCo換算で0.5〜15.0原子%である。0.
5原子%未満である場合には、得られる針状マグネタイ
ト粒子又はマグヘマイト粒子の保磁力を向上させるとい
う効果を十分達成することができない。15.0原子%
を越える場合には、得られる針状マグネタイト粒子又は
マグヘマイト粒子の保磁力分布を小さくするという効果
が十分ではない。針状マグネタイト粒子又はマグヘマイ
ト粒子の保磁力及び保磁力分布を考慮した場合、2.0
〜13.0原子%が好ましい。
【0050】添加した水可溶性コバルト塩は、ほぼ全量
が磁性酸化鉄粒子の粒子表面における変成の為に利用さ
れる。
【0051】第一鉄塩水溶液の変成量は、マグネタイト
粒子又はマグヘマイト粒子中のFeに対しFe換算で
1.0〜20.0原子%である。1.0原子%未満の場
合には、十分な保磁力が得られず、20.0原子%を越
える場合には、角形比や配向度で低下するので好ましく
ない。
【0052】アルカリ水溶液の使用量としては、懸濁液
濃度として0.5〜2.0mol/lの範囲である。
0.5mol/l未満の場合には、十分な保磁力が得ら
れず、2.0mol/lを越える場合であってもよいが
必要以上とすることもなく、また、反応終了後における
不要の塩を除去する洗浄効率からも工業的ではなくな
る。
【0053】
【作用】前述した通りの構成を採る本発明方法の作用
は、次の通りである。
【0054】通常のゲータイト粒子生成反応中に水可溶
性ケイ酸塩を添加した場合の効果としては、特公昭63
−13941号公報に記載されているように軸比を短く
することができる。即ち、ゲータイト結晶粒子の成長を
抑制する働きによって粒子の長軸方向の成長を抑制して
軸比を短くさせるものである。
【0055】しかしながら、本発明におけるゲータイト
核粒子の成長反応において水可溶性ケイ酸塩を連続的又
は間欠的に添加した場合には、成長反応液中に新たなゲ
ータイト核粒子が発生することを抑えることができるの
で、得られるゲータイト粒子の粒度を均斉なものとする
ことができる。
【0056】また、得られたゲータイト粒子を出発原料
粒子として各種加熱処理をして磁性酸化鉄粒子とする際
の焼結防止効果にも大きな効果があることが認められ
た。その理由としては、成長反応時においてはゲータイ
ト核粒子の粒子表面に成長反応によって形成されるゲー
タイト中に、連続的又は間欠的に添加される水可溶性ケ
イ酸塩が吸着・反応されて含まれるようになるので良好
な被覆層が形成されるためではないかと考えている。
【0057】一方、アスコルビン酸又はその塩を添加す
ることについては、前出特開平4−357116号公報
に記載されているように、ゲータイト粒子の軸比を大き
くすることができるが、前述したように、アスコルビン
酸又はその塩のみでは優れた磁性酸化鉄粒子粉末を得る
ことはできない。
【0058】そこで、本発明者は、以上のような知見に
基づいてアスコルビン酸又はその塩の存在下であって、
しかも、水可溶性ケイ酸塩の添加時期と添加方法とを種
々検討した結果、本発明に到達したのである。
【0059】即ち、あらかじめ第一鉄塩水溶液、アルカ
リ水溶液、鉄含有沈澱物を含む第一鉄塩反応溶液及び成
長反応を開始する前の針状ゲータイト核粒子を含む第一
鉄塩反応溶液のいずれかに、アスコルビン酸又はその塩
を存在させておくとともに、成長反応中の針状ゲータイ
ト核粒子を含む第一鉄塩反応溶液中に、第一鉄塩水溶液
中の全Feに対しSi換算で0.2〜5.0原子%の水
可溶性ケイ酸塩を、連続的又は間欠的に添加することに
より、粒度が均斉であって樹枝状粒子が混在しておら
ず、しかも大きな軸比を有する針状ゲータイト粒子が得
られ、得られた針状ゲータイト粒子を出発原料粒子とし
た場合には、粒度が均斉であって樹枝状粒子が混在して
おらず、しかも大きな軸比を有する針状磁性酸化鉄粒子
粉末が得られる。
【0060】本発明者は、このような結果が得られたの
は、アスコルビン酸又はその塩の存在下で水可溶性ケイ
酸塩を連続的又は間欠的に添加することによる相乗効果
によるものと考えている。
【0061】即ち、本発明におけるアスコルビン酸又は
その塩は、ゲータイト核粒子の粒子表面に対し触媒的な
働きをして、水可溶性ケイ酸塩がゲータイト核粒子の粒
子表面により効果的に吸着・反応しているとともに、新
たなゲータイト核粒子と樹枝状粒子との発生をより効果
的に抑制しているのではないかと考えている。
【0062】この結果、生成したゲータイト粒子を出発
原料粒子として得られた針状磁性酸化鉄粒子粉末は、粒
度が均斉であって樹枝状粒子が混在しておらず、しかも
大きな軸比を有しているので、後出実施例に示す通り、
転写特性にも優れており、磁気記録媒体とした場合の角
型比や配向度にも優れているという良好な結果を得るこ
とができたのである。
【0063】尚、水可溶性ケイ酸塩を本発明とは異なる
方法で添加した場合、例えば、ゲータイト核粒子の成長
反応開始前又は成長反応途中において水可溶性ケイ酸塩
を1度に全量添加したり、又は、水可溶性ケイ酸塩を存
在させずに成長反応を行った場合には、均斉な粒度が得
られず、樹枝状粒子が混在することがあり、しかも、軸
比も不十分なゲータイト粒子しか得られず、また、本発
明の相乗効果も認められない。
【0064】
【実施例】次に、実施例並びに比較例により、本発明を
説明する。
【0065】実施例並びに比較例における粒子の長軸
径、軸比は、いずれも電子顕微鏡写真から測定した数値
の平均値で示した。
【0066】磁性酸化鉄粒子粉末の磁気特性及び塗膜特
性は、「振動試料磁力計VSM−3S−15」(東英工
業(株)製)を使用し、針状マグネタイト粒子粉末及び
針状マグヘマイト粒子粉末は外部磁場5KOe、Co変
成磁性酸化鉄粒子粉末は外部磁場10KOeまでかけて
測定した。
【0067】転写特性は、転写実測値と長軸径を下記の
式に挿入し、長軸径0.2μmに補正した値で示した。 Q=40×(0.2−C)+D 尚、Q=補正転写値、C=長軸径(μm)、D=転写実
測値である。 実測値は、社団法人粉体粉末夜勤協会発行「粉体および
粉末夜勤」(1979年)第26巻第4号第149頁及
び社団法人電子通信学会発行「電子通信学会技術研究報
告」MR77−27第2頁に記載の方法に準じて行っ
た。即ち、直径6mm、高さ5mmの円筒形容器につめ
た磁性酸化鉄粒子粉末を50Oeの磁界中、60℃で8
0分間保持して磁化した後、室温まで冷却して、残留磁
化Irpを測定し、次いで、この試料に直流磁界をか
け、飽和磁化値Irsを求め、次式によって計算したも
のである。 転写実測値P.T=−20logIrp/Irs
【0068】塗膜の角型比、配向度及びS.F.D.の
測定は、後出実施例16の方法により得られたシート試
料片を用いて行った。また、S.F.D.は、前記磁気
測定器の微分回路を使用して、磁気履歴曲線の減磁カー
ブの微分曲線を得、この曲線の半値巾を測定し、この値
を保磁力で除することにより求めた。
【0069】<針状ゲータイト粒子粉末の製造法> 実施例1〜3、比較例1〜4;
【0070】実施例1 Fe2+ 0.86mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液3
5lと1.4−NのNaOH水溶液15l(硫酸第一鉄
水溶液中のFe2+に対し0.35当量に該当する。)と
を混合し、pH6.8、温度40℃においてFe(O
H)2 を含む硫酸第一鉄水溶液の生成を行った。
【0071】上記Fe(OH)2 を含む硫酸第一鉄水溶
液に、アスコルビン酸5.28gを含む水溶液0.1l
(アスコルビン酸はFeに対し0.1mol%に該当す
る。)を添加した後、温度40℃において毎分120l
の空気を240分間通気してゲータイト核粒子を生成さ
せた。反応溶液の一部を抜き取り、常法により、濾過、
水洗、乾燥して得られた粒子粉末の電子顕微鏡写真(×
30000)を図1に示す。
【0072】得られた針状ゲータイト粒子粉末は、図1
に示す通り、長軸0.52μm、軸比24の針状粒子で
あった。また、粒度が均斉で樹枝状粒子が混在しないも
のであった。
【0073】上記針状ゲータイト核粒子を含む硫酸第一
鉄水溶液(ゲータイト核粒子の存在量は生成ゲータイト
粒子に対し35mol%に該当する。)に、温度85℃
において毎分150lの空気を2.0時間通気し、10
NのNaOH水溶液を反応液中のpH値が3.8を維持
するように調整しながら添加すると共に、5.0mol
/lの3号水ガラスを毎分3.15gの速度で連続的に
添加(反応終了までに添加したSi量は、硫酸第一鉄水
溶液中のFe2+に対しSi換算で0.56原子%に該当
する量であった。)し、残存Fe2+が1%以下となるま
で反応してゲータイト粒子粉末を生成した。成長反応に
要した時間は8時間であった。
【0074】生成ゲータイト粒子は、常法により、濾
過、水洗、乾燥した。
【0075】得られたゲータイト粒子粉末は、図2の電
子顕微鏡写真(×30000)に示す通り、長軸0.5
8μm、軸比21の針状粒子であった。また、粒度が均
斉であって樹枝状粒子が混在しないものであった。
【0076】実施例2〜3、比較例1〜4 針状ゲータイト核粒子の生成時における第一鉄塩水溶液
の種類及び濃度、アルカリ水溶液の種類、濃度及び当
量、アスコルビン酸又はその塩の使用量及び添加時期、
生成時の反応温度、空気通気量並びに針状ゲータイト核
粒子の成長反応時におけるゲータイト核粒子の存在量、
アルカリ水溶液の種類、反応時のpH値、水可溶性ケイ
酸塩の種類、添加方法、添加速度及びOH濃度に対する
mol比、反応温度、空気通気量を種々変化させた以外
は実施例1と同様にして針状ゲータイト粒子を生成し
た。
【0077】この時の主要製造条件及び粒子粉末の特性
を表1及び表2に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】<針状マグネタイト粒子粉末の製造> 実施例4〜6、比較例5〜8;
【0081】実施例4 実施例1で得られた濾別、水洗した針状ゲータイト粒子
のペースト5.3Kg(針状ゲータイト粒子約1.6K
gに相当する。)を28lの水中に懸濁させた。この時
のpHは8.0であった。次いで、上記懸濁液にヘキサ
メタリン酸ナトリウム24gを含む水溶液240ml
(針状ゲータイト粒子に対しPO3 として1.15wt
%に相当する。)を添加して10分間攪拌した後、更
に、3号水ガラス28.0g(針状ゲータイト粒子に対
しSiO2 として0.5wt%に相当する。)を添加し
て10分間攪拌した後、濾別、乾燥してP化合物とSi
化合物とで被覆されている針状ゲータイト粒子粉末を得
た。上記粒子表面がP化合物で被覆されている針状ゲー
タイト粒子粉末を、空気中480℃で加熱処理し、次い
で、空気中、650℃で30分間加熱処理してP化合物
とSi化合物とで被覆されている針状ヘマタイト粒子粉
末を得た。
【0082】上記粒子表面がP化合物とSi化合物とで
被覆されている針状ヘタイト粒子粉末1000gをレト
ルト還元容器中に投入し、駆動回転させながらH2 ガス
を毎分2lの割合で通気し、還元温度480℃で還元し
てP化合物とSi化合物とで被覆されている針状マグネ
タイト粒子粉末を得た。
【0083】得られたP化合物とSi化合物とで被覆さ
れている針状マグネタイト粒子粉末は、図8の電子顕微
鏡写真(×30000)に示す通り、平均値で長軸0.
52μm、軸比13であり、粒度が均斉な粒子であっ
て、樹枝状粒子が混在しないものであった。また、磁気
測定の結果、保磁力Hcは446Oe、飽和磁化σsは
74.3emu/gであった。
【0084】実施例5〜6、比較例5〜8 出発原料の種類、被覆する金属化合物の種類及び添加
量、脱水温度、空気中加熱処理の有無及び加熱温度、還
元温度を種々変化させた以外は、実施例4と同様にして
針状マグネタイト粒子粉末を得た。
【0085】この時の主要製造条件及び粒子粉末の特性
を表3に示す。
【0086】
【表3】
【0087】<針状マグヘマイト粒子粉末の製造> 実施例7〜9、比較例9〜12;
【0088】実施例7 実施例4で得られた粒子表面がP化合物とSi化合物と
で被覆されている針状マグネタイト粒子粉末300gを
空気中300℃で60分間酸化して粒子表面がP化合物
とSi化合物とで被覆されているマグヘマイト粒子粉末
を得た。
【0089】得られた粒子表面がP化合物とSi化合物
とで被覆されている針状マグヘマイト粒子粉末は、電子
顕微鏡観察の結果、長軸0.51μm、軸比14であ
り、粒度が均斉な粒子であり、樹枝状粒子が混在しない
ものであった。また、磁気測定の結果、保磁力Hcは4
35Oe、飽和磁化σsは71.5emu/gであっ
た。
【0090】実施例8〜9、比較例9〜12 針状マグネタイト粒子粉末の種類並びに酸化温度を種々
変化させた以外は、実施例7と同様にして針状マグヘマ
イト粒子粉末を得た。
【0091】この時の主要製造条件及び粒子粉末の特性
を表4に示す。
【0092】
【表4】
【0093】<Coで変成された針状マグネタイト粒子
粉末の製造> 実施例10〜12、比較例13〜16;
【0094】実施例10 実施例4で得られた粒子表面がP化合物とSi化合物と
で被覆されている針状マグネタイト粒子粉末100gを
可及的に空気の混入を防止しながら硫酸コバルトと硫酸
第一鉄を用いたコバルト3.0mol%と第一鉄7.0
mol%が溶存している1.0lの水中に投入し微細な
スラリーになるまで分散させ、次いで該分散液に18−
NのNaOH水溶液102mlを注加し、更に水を加え
て全容を1.3lとしてOH基濃度1.0mol/lの
分散液とした。該分散液の温度を90℃に昇温し、この
温度で攪拌しながら5時間後にスラリーを取り出し、水
洗、濾過し、60℃で乾燥して、Coで変成された針状
マグネタイト粒子粉末を得た。
【0095】得られた粒子は、電子顕微鏡観察の結果、
前駆体である粒子表面がP化合物とSi化合物とで被覆
されているマグネタイト粒子の形状、粒度を継承してお
り、長軸0.53m、軸比12であり、粒度が均斉な粒
子であった。また、磁気測定の結果、保磁力Hcは68
2Oe、飽和磁化σsは78.3emu/g、転写が5
0dBであった。
【0096】実施例11〜12、比較例13〜16 前駆体であるマグネタイト粒子の量を100g、処理液
全容量を1.3lとして、前駆体の種類、Coの添加量
並びに第一鉄の添加量種々変化させた以外は、実施例1
0と同様にしてCoで変成された又はCoとFe2+で変
成された針状マグネタイト粒子を得た。
【0097】この時の主要製造条件及び特性を表5に示
す。
【0098】
【表5】
【0099】<Coで変成された針状マグヘマイト粒子
粉末の製造> 実施例13〜15、比較例17〜20;
【0100】実施例13 実施例7で得られた粒子表面がP化合物とSi化合物と
で被覆されている針状マグヘマイト粒子粉末100gを
可及的に空気の混入を防止しながら硫酸コバルトと硫酸
第一鉄を用いたコバルト2.5mol%と第一鉄6.0
mol%が溶存している1.0lの水中に投入し、微細
なスラリーになるまで分散させ、次いで該分散液に18
−NのNaOH溶液102mlを注加し、更に水を加え
て全容を1.3lとしてOH基濃度1.0mol/lの
分散液とした。該分散液の温度を90℃に昇温し、この
温度で攪拌しながら5時間後にスラリーを取り出し、水
洗、濾別し、60℃で乾燥してCoで変成された針状マ
グヘマイト粒子を得た。
【0101】得られた粒子は、電子顕微鏡観察の結果、
前駆体である粒子表面がP化合物とSi化合物とで被覆
されている針状マグヘマイト粒子の形状、粒度を継承し
ており、長軸0.52μm、軸比13であり、粒度が均
斉な粒子であった。また、磁気測定の結果、保磁力Hc
は665Oe、飽和磁化σsは76.2emu/g、転
写が50dBであった。
【0102】実施例14〜15、比較例17〜20 前駆体である針状マグヘマイト粒子の量を100g、処
理液全容量を1.3lとして、前駆体の種類、Coの添
加量並びに第一鉄の添加量を種々変化させた以外は、実
施例13と同様にしてCo又はCoとFe2+で変成され
た針状マグヘマイト粒子を得た。
【0103】この時の主要製造条件及び特性を表6に示
す。
【0104】
【表6】
【0105】<磁気テープの製造> 実施例16〜27、比較例21〜36;
【0106】実施例16 140ccのガラスビンに実施例4で得られた粒子表面
がP化合物とSi化合物とで被覆されている針状マグネ
タイト粒子粉末、樹脂及び溶剤を下記の割合で入れた
後、ペイントコンディショナーで2時間混合分散を行う
ことにより調整した磁性塗料を厚さ25μmのポリエチ
レンテレフタレートフィルム上にアプリケーターを用い
て40μmの厚さに塗布し、次いで、1450Gaus
sの磁場中で配向させた後乾燥させることにより得た。
【0107】 1.5mmφガラスビーズ 100g 針状マグネタイト粒子粉末 15g トルエン 5.6g リン酸エステル(GAFACRE−610 東邦化学(製)) 0.6g レシチン 0.6g 塩ビ酢ビ共重合体樹脂(ビニライトVAGH ユニオンカーバイト社(製)) 3.75g ブタジエンアクリロニトリルゴム(Hycar 1432J 日本ゼオン社 (製)) 0.75g メチルイソブチルケトン:メチルエチルケトン:トルエン=3:1:1の 混合溶液 40.5g
【0108】この磁気テープのS.F.D.は0.4
9、保磁力Hcは373Oe、角型比Br/Bmは0.
82、配向度2.58であった。
【0109】実施例17〜27、比較例21〜36 磁性粒子粉末の種類を種々変化した以外は、実施例16
と同様にして磁気テープを製造した。尚、針状マグネタ
イト粒子粉末及び針状マグヘマイト粒子粉末は1450
Gauss、Co変成磁性酸化鉄粒子粉末は1900G
aussの磁場中で配向させた。
【0110】磁気テープの諸特性を表7乃至表10に示
す。
【0111】
【表7】
【0112】
【表8】
【0113】
【表9】
【0114】
【表10】
【0115】
【発明の効果】本発明に係る針状磁性酸化鉄粒子粉末の
製造法によれば、針状ゲータイト粒子粉末が前出実施例
に示した通り、粒度が均斉であって樹枝状粒子が混在し
ておらず、しかも、大きな軸比を有する針状ゲータイト
粒子粉末を得ることができる。
【0116】本発明に係る針状ゲータイト粒子粉末を出
発原料とし、加熱還元して得られた針状マグネタイト粒
子粉末や加熱還元し、次いで、酸化して得られた針状マ
グヘマイト粒子粉末もまた粒度が均斉であって樹枝状粒
子が混在しておらず、しかも、大きな軸比を有している
ので、本発明に係る針状磁性酸化鉄粒子粉末は、前出実
施例に示した通り、粒度が均斉であって樹枝状粒子が混
在しておらず、しかも、大きな軸比を有しているので、
前出実施例に示すした通り、転写特性にも優れており、
磁気記録媒体とした場合の角型比や配向度にも優れてい
るという針状磁性酸化鉄粒子粉末を得ることが出来るの
で、高記録密度、高感度、高出力用磁性粒子粉末として
好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた針状ゲータイト核粒子の粒
子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)である。
【図2】実施例1で得られた針状ゲータイト粒子粉末の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図3】実施例2で得られた針状ゲータイト粒子粉末の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図4】比較例1で得られた針状ゲータイト粒子粉末の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図5】比較例2で得られた針状ゲータイト核粒子粉末
の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図6】比較例3で得られた針状ゲータイト粒子粉末の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図7】比較例4で得られた針状ゲータイト核粒子粉末
の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図8】実施例4で得られた針状マグネタイト粒子粉末
の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図9】実施例5で得られた針状マグネタイト粒子粉末
の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図10】比較例6で得られた針状マグネタイト粒子粉
末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)で
ある。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一鉄塩水溶液と該第一鉄塩水溶液中の
    Fe2+に対し当量未満のアルカリ水溶液とを反応させて
    得られた鉄含有沈澱物を含む第一鉄塩反応溶液に、酸素
    含有ガスを通気することにより前記鉄含有沈澱物を酸化
    して針状ゲータイト核粒子を生成させた後、 前記針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩反応溶液に、
    この液のpH値が3.0〜6.0の範囲内に維持するよ
    うにアルカリ水溶液を添加しながら、酸素含有ガスを通
    気することにより前記針状ゲータイト核粒子の成長反応
    を行って針状ゲータイト粒子を生成させ、 次いで、前記針状ゲータイト粒子又は該針状ゲータイト
    粒子を加熱焼成して得られた針状ヘマタイト粒子を還元
    性ガス中で加熱還元して針状マグネタイト粒子を得る
    か、或いは、更に酸化して針状マグヘマイト粒子を得る
    針状磁性酸化鉄粒子粉末の製造法において、 あらかじめ前記第一鉄塩水溶液、前記アルカリ水溶液、
    前記鉄含有沈澱物を含む第一鉄塩反応溶液及び成長反応
    を開始する前の前記針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄
    塩反応溶液のいずれかに、アスコルビン酸又はその塩を
    存在させておくとともに、 成長反応中の前記針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩
    反応溶液中に、前記第一鉄塩水溶液中の全Feに対しS
    i換算で0.2〜5.0原子%の水可溶性ケイ酸塩を、
    連続的又は間欠的に添加することを特徴とする針状磁性
    酸化鉄粒子粉末の製造法。
  2. 【請求項2】 成長反応で添加する前記水可溶性ケイ酸
    塩は、前記アルカリ水溶液中のOH濃度に対しmol比
    で0.001〜0.125の範囲に調整して連続的又は
    間欠的に添加することを特徴とする請求項1記載の針状
    磁性酸化鉄粒子粉末の製造法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の製造法により得られた針
    状マグネタイト粒子又は針状マグヘマイト粒子を前駆体
    粒子として用い、該前駆体粒子のFeに対し0.5〜1
    5.0原子%のCoを含むように、前記前駆体粒子を水
    酸化コバルトを含むアルカリ懸濁液又は水酸化コバルト
    と水酸化第一鉄とを含むアルカリ懸濁液中に分散させ、
    該懸濁液を加熱処理することによりCoで変成された又
    はCoとFe2+とで変成された針状マグネタイト粒子又
    は針状マグヘマイト粒子を得ることを特徴とする針状磁
    性酸化鉄粒子粉末の製造法。
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